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シリーズ一覧
しんのすけ「アローラ地方を冒険するゾ」
【メレメレ島編】【アーカラ島編】【ウラウラ島編】【エーテルパラダイス編】【ポニ島編】
【ウルトラスペース編 前編】【ウルトラスペース編 後編】【大大試練編】【エピローグ】



200: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/16(金) 21:13:35.16 ID:hGqQJJjA0
エーテル代表の ルザミーネが
勝負を しかけてきた!

リーリエ「お願いします! マサオさん!」ヒョイッ

ルザミーネ「行きなさい! テッカグヤ!」ヒョイッ

ヨワシ(群)「ギョオオオオッ!」ポンッ

テッカグヤ「フー……!」ポンッ

ルザミーネ「テッカグヤ、ギガドレインよ!」

テッカグヤは浮かんでいる腕を緑に輝かせると、マサオの身体から次々とエネルギーを奪い取っていく。

ルザミーネ「吸い尽くしてあげる……」

リーリエ「マサオさん! アクアテールです!」

ヨワシ「ギョオオォォッ!」

マサオは攻撃をこらえつつ、テッカグヤへ距離を詰めると、身体を一回転させてテッカグヤにアクアテールを放つ!

ドズムッ

テッカグヤ「フゥッ……!」グラッ

ヨワシ「ギョッ!」

ひろし「まるで大怪獣バトルだ……!」

201: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/16(金) 21:14:41.73 ID:hGqQJJjA0
ルザミーネ「さっさとその群れを散らせないとね……テッカグヤ、ヘビーボンバーで群れを一気に叩きつぶしなさい!!」

テッカグヤ「フー……ッ!」ゴウッ!!

テッカグヤの腕の先端が点火すると、ガスを噴射させて勢いよくウルトラスペースの暗い空へと飛び上がっていく。

ひろし「ヤバイ! あの技だ!」

ルザミーネ「ヨワシじゃあこれを避けることなんて出来ないでしょう?」

リーリエ「……!」

テッカグヤは上空へ飛び上がると、方向転換して今度は真っ逆さまにこちらへ落ちてくる。

リーリエ(かあさまの言うとおり、このまま群れを纏ったマサオさんでは、テッカグヤさんの攻撃は間違いなく当たってしまいます。ですが……!)

キィィィン!!

みさえ「こっちに来る!」

ひろし「逃げるぞ!」

リーリエ「マサオさん! 群れを――!」

ドッゴォォォッ!!

202: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/16(金) 21:16:35.65 ID:hGqQJJjA0
ひろしとみさえが退避してリーリエの指示が飛んだ数秒後、テッカグヤが頭から地面へと衝突した。着地の衝撃で、大きな揺れが起き、土埃が舞う。

ひろし「ど、どうなったんだ?」

リーリエは思わず体勢を崩し、膝をついた姿勢になる。しかし、場の状況から目を離さず、様子を確認する。

リーリエ(マサオさん――)

土埃が消えると、果たしてそこには、マサオの姿がなかった。いるのは、地面から起き上がろうとするテッカグヤのみだ。

ルザミーネ「潰れた……かしらね」

「ヨ ワ ー ー ッ !」

ルザミーネ「!?」

ひろし「ヨワシの群れが……!」

リーリエ「マサオさん! 元に戻ってハイドロポンプです!」

次々とヨワシの群れがあちらこちらから集まって、1匹のヨワシ――マサオへと集まっていく。そして再び、群れたヨワシへと形を成していった。
元の群れた姿になったマサオは、ヘビーボンバーから体勢を整えようとするテッカグヤの背中に向けてハイドロポンプを放った!

ヨワシ「ギョギョオォォッ」ブシャーーッ!!

テッカグヤ「フゥッ……!」

リーリエ「アクアテール、です!」

そして更に、テッカグヤの背中に向けて尾びれを叩きつけた! テッカグヤの身体が更に地面に埋まり、うめき声をあげる。

203: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/16(金) 21:17:34.63 ID:hGqQJJjA0
ルザミーネ「信じられない……どうしてそんな」

リーリエ「これがマサオさんの力です。こうやってしんちゃんたちは、予想もつかないことをして、大試練を勝ち抜いてきたんです」

ルザミーネ「テッカグヤ……! 早く起き上がりなさい!」

テッカグヤ「フー……!」ゴウッ!

テッカグヤは噴射口を再点火して、マサオを押しのけて起き上がると、再び腕の先をマサオへと向けた。

ルザミーネ「タネばくだんよ!」

テッカグヤ「フー……!」ドンッ

テッカグヤは腕の先から種子の弾丸を発射すると群れたマサオに直撃、そしてマサオとヨワシたちのエネルギーを吸い取ったかと思うと、光り出して大爆発を起こした。

ドカァァァン!

ヨワシ「ギョオォォーッ!」バラバラッ!

リーリエ(マサオさんっ……耐えてっ!)

タネばくだんの爆風に巻き込まれながら、マサオは、ウツロイドにとりつかれて試合を見つめているしんのすけと目があった。

しんのすけ「……」

ヨワシ「オオ……ギョオオッ!」

マサオが雄叫びを上げた。しんのすけに「僕たちを忘れちゃったの?」と語りかけるように。

204: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/16(金) 21:19:06.09 ID:hGqQJJjA0
リーリエ「マサオさん……」

ルザミーネ「もう一度、ギガドレインよ!」

再びテッカグヤの両腕が光り出して、マサオの群れからどんどん体力を奪っていく。群れを維持していく力を失っていき、ヨワシたちが離れていく。

ヨワシ「ギョ……オオオッ」

ひろし「まずい……! あの分だとあと一発貰えばバラバラになっちまう!」

ルザミーネ「これでとどめよ! タネばくだん!」

テッカグヤ「フー……!」ドンッ

テッカグヤの腕から、種子の弾丸が飛び出した。これでマサオに当たってしまえば、群れがほとんど吹き飛んで、単独の姿に戻ってしまうのはリーリエでも目に見えている。

リーリエ「マサオさんっ!」

ヨワシ「ギョオオオッ!」

突然、マサオが最後の力を振り絞ると、まとっていた群れが再び分離した。
さっきのように、タネバクダンを回避するのみならず、巨大な魚から巨人の姿へ変化し始めた!

205: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/16(金) 21:22:42.56 ID:hGqQJJjA0
ドドドドド!

リーリエ「群れたマサオさんが別の姿に?」

ひろし「あれは……カンタムじゃねぇか!」

ヨワシ「オオオォォォッ!!」

その姿は上半身だけで体色こそ青いものの、しんのすけが見ていたロボットアニメの主役――カンタムの姿そのものだった!

しんのすけ「……」

カンタムの姿になったマサオは、2つの腕を象ったヨワシたちをハイドロポンプによる推進力を得て、ロケットパンチの如くテッカグヤへ飛ばした!

ヨワシ「ギョオォォォォッ!!」ドォォォォッ!!

ドッカァァァァァン!!!

テッカグヤ「……!」グラッ

拳状に群れたヨワシたちがテッカグヤに直撃すると、爆風のような衝撃波と供に水と一緒に飛び散っていく!

テッカグヤ「フー……」

ドスンッ!

マサオのカンタムパンチを受けたことで、テッカグヤは体力の限界に達したのか、ぐらりと巨体が傾き、そのまま大きな音を立てながら、地面に倒れてしまった。

リーリエ「すごい……マサオさん、こんなことが出来るなんて!」

206: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/16(金) 21:24:13.92 ID:hGqQJJjA0
ひろし「よっしゃっ! まず1匹目だ!」

ひまわり「たい!」

ルザミーネ「……なんてこと!」

リーリエ「かあさま、マサオさんも友達のしんちゃんを取り戻すためにゼンリョクで戦っているんです! 大切な人のためなら、人もポケモンも、強くなれるんです」

ルザミーネ(大切な人に友達、ですか。なら……)

ルザミーネ「しんのすけ君、今度はあなたが戦ってみる?」

しんのすけ「……」ユラリ

リーリエ「!」

ひろし「しんのすけを矢面に立たせるつもりか!」

ルザミーネ「フフ……しんのすけ君もトレーナーですよ? ポケモン勝負で戦わせることになんら問題はありませんわ」

みさえ「あんたが戦いなさいよ!」

ルザミーネ「さ、ボールを持って。あなたが戦って、あのポケモンを倒すの」

しんのすけ「……」

リーリエ「しんちゃん……!」

ヨワシ「オオォォ……!」

207: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/16(金) 21:27:50.97 ID:hGqQJJjA0
ルザミーネに促されて、ウルトラボールを握りながら前に出てくるしんのすけ。
ウツロイドに取り付かれた痛々しい姿と向き合って、リーリエは動揺を隠しきれなかった。

ルザミーネ「頑張って、応援してるから」

しんのすけ「…………」ポイッ

デンジュモク「デンデンジュッ!!」ポンッ!

ルザミーネ「さぁ、どんな技を出せばあの子を倒せるのかしら?」

しんのすけ「……」

しんのすけ「……じゃ、ケツだけ星人して」

全員「」ズルッ

ルザミーネ「そんなワザ覚えてるわけ無いでしょう!」

しんのすけ「なんだ……つまんねーの」

みさえ「リーリエちゃん、今のうちに!」

リーリエ「ハッ! マサオさん! ねっとうです!」

ヨワシ「……ギョオォッ!」ブシューーッ!

マサオは一瞬ためらいがちに、デンジュモクに向けて熱した水鉄砲を吐き出した。ルザミーネが先制を取られたことに気付いた時には、デンジュモクに水が間近に迫っていた。

208: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/16(金) 21:28:56.07 ID:hGqQJJjA0
ルザミーネ「デンジュモク! ほうでん!」

デンジュモク「デンデンッ!」バチチチッ!

デンジュモクが周囲に電気を解き放ったと同時に、熱湯を浴びて悲鳴を上げる。だが、デンジュモクのほうでんはマサオをまとっているヨワシを全て散らせてしまった!

ヨワシ(単)「ヨ、ヨワッ……!」

リーリエ「マサオさん群れが……!」

ひろし「無理もねぇ、さっきからくさタイプの攻撃を食らってばっかだった。……よく耐えた方だぜ」

ルザミーネ「出るものが出ましたわね。とどめよ。デンジュモク、パワーウィップ!」

デンジュモク「デンデーンッ!」ブンッ

デンジュモクは走り出すと黒い腕を鞭のようにしならせて、勢いに任せてマサオへと振り下ろした!

ドズンッ!

しんのすけ「……」

ほうでんをまともに受けて痺れたマサオは避けることもままならず、デンジュモクの腕に打たれてリーリエの足元まで飛ばされた。

ヨワシ「ヨワ……」

リーリエ「マサオさん……ありがとうございます。きっと、あなたの想いはしんちゃんに届いています……!」シュン

209: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/16(金) 21:30:11.61 ID:hGqQJJjA0
ロトム図鑑「これで互いにポケモンの数は同じか」

デンジュモク「ジュジュジューーッ!!」ゴウッ!!

みさえ「なに? あのビースト、急にオーラをまとい始めたわ!」

ひろし「恐らく、あれがビーストブーストだ。ウルトラビーストは、敵を倒せば倒すほど、自らの能力を高める特性を持っているって、博士からもらったデータに書いてあった」

リーリエ「……」

ルザミーネ「さぁ、次のポケモンを出したらどう?」

リーリエ「分かってます……!」

リーリエ「ネネちゃんさん! お願いします!」ヒョイッ

キテルグマ「クーーーッ!」ポンッ!

ルザミーネ「キテルグマ……懐かしいわね」

リーリエ「ええ、かあさまのポケモンさんも今はエーテルパラダイスにいます」

ルザミーネ「生憎だけど、どうでもいいもの。だって、ビーストがいるのだから」

そう言って、ルザミーネはデンジュモクを触手で触れ、更にしんのすけの頭もこれみよがしに撫でる。

ルザミーネ「そして……わたくしには愛しい『息子』がいますもの。アローラに未練なんてないわ」

リーリエ「……ッ! ネネちゃんさん! デンジュモクさんにじしんですっ!」

210: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/16(金) 21:33:22.92 ID:hGqQJJjA0
キテルグマ「クゥーッ!!」グワッ!

ネネも「目ェ覚ましなさいよバカしん!」と言わんばかりに、ピッピ人形を両手に持って地面に叩きつけ、衝撃波を放った!
地面が揺れて地割れが生じ、まっすぐにデンジュモクへと向かっていく!

ルザミーネ「デンジュモク、かわしてシグナルビームよ」

デンジュモク「デンジュッ!」パッ!

デンジュモクの頭部が点灯したと同時に、ジャンプしてじしんを避けると、頭部が赤や青、緑黄色と変色しながら、不思議な色の光線をネネに向けて発射した。じしんを使った直後のネネには避ける余裕はなく、極彩色の光を浴びて体勢を崩してしまった。

キテルグマ「ク……クゥ……!」ユラリッ

みさえ「なんだか様子が変よ?」

リーリエ「ネネちゃんさん、どうなさったのですか……?」

キテルグマ「クゥ……クーーッ!」ブンブンッ!

ロトム図鑑「なにもないところを攻撃してどうすんだよ」

ひろし「まさか……今の攻撃で、混乱してちまったっていうのか?」

ルザミーネ「フフッ、デンジュモク、更に10まんボルトよ!」

デンジュモク「デンジューッ!」バチチチッ!

デンジュモクは自らの手足と尻尾を地面にくっつけて木のような形状になると、全身から電気を放ち、キテルグマに命中させた!

キテルグマ「クーーッ!?」ビリビリッ!!

211: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/16(金) 21:36:05.14 ID:hGqQJJjA0
電撃がネネの全身を駆け巡り、痺れながら膝をつく。
それを根性で立ち上がり、気合を入れるように咆哮すると、リーリエの指示を受ける訳もなく、ピッピ人形を握り、デンジュモクに渾身のアームハンマーを振り下ろした!

キテルグマ「クーーーッ!!」

ドズムッ!!

デンジュモク「デンンッ!」

アームハンマーで吹っ飛ばされたデンジュモクが、しんのすけの眼前に転がってくる!

しんのすけ「……」

リーリエ「しんちゃん!」

みさえ「しんのすけ!」

キテルグマ「クウッ……!?」

212: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/16(金) 21:37:09.25 ID:hGqQJJjA0
すかさずルザミーネが飛び出すとしんのすけを触手で掴み、抱き寄せた。

ルザミーネ「大丈夫? しんのすけ君?」

しんのすけ「……」

ルザミーネ「かわいそうに、ひどいことするポケモンね……。どこにも怪我はない?」

しんのすけ「……へーき」

リーリエ「……!」ギリッ

ひろし「ふざけんな! あんたが前に出さなきゃしんのすけは危ない目に遭わなかったんだろうが!」

ルザミーネ「フフッ……それより、よそ見してていいのかしら?」

リーリエ「え――」

デンジュモクは既に立ち上がっており、両腕をネネに向けて伸ばしていた。両腕の金属コードらしき箇所に、見る見るうちに電気が溜まっていく。

ひろし「やばい! あれは……」

ルザミーネ「デンジュモク! でんじほうを放ちなさい!」

デンジュモク「デンデンジュッ!」カッ

ドウッ!!

213: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/16(金) 21:38:41.40 ID:hGqQJJjA0
一瞬の閃光の後、デンジュモクの両腕から、極太の電撃が発射された。しんのすけに誤って攻撃して呆然としていたネネが我に返った時には、既に電撃は目の前まで迫っていた。

キテルグマ「クーーーッ!?」

電撃を浴びてネネの巨体が後方に吹っ飛び、そのまま岩盤へと激突した。でんじほうの攻撃が収まったところで、身体を痙攣させながら倒れる。

キテルグマ「ク……クウっ」バチバチッ

ひろし「でんじほう……電気タイプの中でも最強の技だ。あんなもの喰らったらひとたまりもねぇ」

ルザミーネ「これで2匹目、ね」

リーリエはネネのもとへ近寄ると、その場でルザミーネに背中を向けて無言で立ち尽くした。

ルザミーネ「どうしたの? 早く次のポケモンを出しなさい」

リーリエ「……ネネちゃんさんっ!」

キテルグマ「……」

214: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/16(金) 21:39:47.74 ID:hGqQJJjA0
リーリエ「今まで攻撃を受けてがまんした分、思いっきり暴れてくださいっ!」

キテルグマ「クーーーッ!!」ガバッ!

元気を取り戻したようにネネが起き上がり、ピッピ人形をぐるんぐるんと振り回しながらデンジュモクへと急接近した。
そして、デンジュモクの目の前で垂直にジャンプすると、勢いに任せてピッピ人形をデンジュモクの脳天に向けて振り下ろした!

ド ス ン ッ ! !

デンジュモク「デン゛ッ!??」

ルザミーネ「!?」

キテルグマ「フンッ! フンッ! フンッ!」ドゴドゴドゴッ!!

今までの攻撃全てを倍返しをするように、ネネは何度もデンジュモクを殴りつけると、コードを束ねたようなの胴体を掴み、そのままネネがでんじほうを受けて直撃した岩盤へと投げつけた!

キテルグマ「クァァァッ!!」

ドゴッ!
パラパラ……

デンジュモク「デ、デン……!」

ルザミーネ「いったいどこからそんな力が……!」

215: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/16(金) 21:45:16.67 ID:hGqQJJjA0
リーリエ「ネネちゃんさんは、常に自分が威力の高い技を喰らえば喰らうほど、その分倍返しにして相手を攻撃する、がまんがあるんです」

ルザミーネ「威力の高い技を喰らうほど……っ」

ルザミーネ「まさか、デンジュモクがビーストブーストで技の威力を高めることを読んでいたというの? ビーストではない普通のポケモンが、デンジュモクの攻撃を耐え切ると本気で思っていたの?!」

リーリエ「わたしは最初から、ネネちゃんさんの力を信じてました。それだけです!」

キテルグマ「クーッ!」

ネネはリーリエの言葉を肯定するように声を上げると、しんのすけへ振り向いた。

キテルグマ「クー……クゥーッ!」

しんのすけ「……」

ネネがしんのすけに対して呼びかけらしき唸り声を出すと、背後で岩盤に叩きつけられたデンジュモクがふらりと立ち上がった。ネネもデンジュモクの存在に気づいて向き直る。

デンジュモク「デンジュゥ……」ユラッ

キテルグマ「クーッ……!」

ルザミーネ「デンジュモク……ほうでんよ!」

リーリエ「ネネちゃんさん! アームハンマーです!」

216: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/16(金) 21:46:12.74 ID:hGqQJJjA0
デンジュモク「デンジュッ!!」バチチチッ!

キテルグマ「クーーッ!!」ダッ!

デンジュモクが自身を中心に電撃を発し、ネネがピッピ人形を掴んで腕の筋肉に力を込める。
電撃が空中を走り、それがネネに当たるものの、一切怯まずデンジュモクに接近する。そして再びデンジュモクに向けて、ピッピ人形を叩きつける!

キテルグマ「クゥゥゥーーッ!!」

ド ゴ ッ !

デンジュモク「デンッデ……!」

そこでネネの体力が尽きてしまったのか、デンジュモクにのしかかる形で、両者が倒れ込んだ。

ドサッ

キテルグマ「ク……クッ」ガクッ

デンジュモク「デ……デンジュッ……」パタッ

デンジュモクも一度、空に向かって腕を伸ばしたものの、そのままパタリと音を立てて崩れ落ちてしまった。

ひろし「引き分け……」

ルザミーネ「そんな……たかがキテルグマに、ビーストブーストで力を高めたビーストちゃんと引き分けるなんて!」

217: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/16(金) 21:49:08.93 ID:hGqQJJjA0
2体のビーストが倒れて屈辱と焦りを見せるルザミーネとは対照的に、リーリエはねぎらうようにネネへ話しかける。

リーリエ「ネネちゃんさん、お疲れ様です。ゆっくり休んでください……」シュン

ここまではうまくいった。残りはお互いに2匹。ここが正念場だ。相手が何を出してくるか、そしてその後に行われる戦いの勝敗で全てが決まる。

リーリエ「カザマさん! お願いします!」ヒョイッ

ジュナイパー「ホーッ!」ポンッ

ルザミーネ「ジュナイパー……。知っているわ。確か、しんのすけ君が連れていたフクスローの進化系ね。なら……!」スッ

ルザミーネ「行きなさい! ウツロイド!」ヒョイッ

ウツロイド「じぇるるっぷ……」ポンッ!

ジュナイパー「……ホーッ!」バサッ

ルザミーネ「ウフフ! デジャヴを感じますわ……。こういう趣向もありだと思ったのだけど、ねぇひろしさん」

ひろし「……!」

リーリエ(ウツロイドさん……。以前、パラダイスでしんちゃんとカザマさんが一度、相手にしたとひろしさんとハウさんがおっしゃってた……だからかあさまは出したのですね)

218: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/16(金) 21:52:16.78 ID:hGqQJJjA0
ルザミーネ「あの時の決着、付けてもよくってよ。ウツロイド、ヘドロばくだん!」

リーリエ「カザマさん! かげぬいです!」

ウツロイド「じぇるるっ!」バシャッ!

ジュナイパー「ホーッ!」グググッ

カザマが2本の矢羽根をつがえ、ウツロイドが毒の塊を精製し先に発射した!
放物線を描きながら飛んでくるヘドロばくだんを、カザマが矢羽根をつがえたまま横に跳躍しつつ回避、しかしウツロイドもカザマを追うようにヘドロばくだんを次々と発射する。

ジュナイパー「じぇるるっぷ……!」バシャッバシャッバシャッ!

ジュナイパー「ホーッ!」バシュッ!

ウツロイドが新しいヘドロばくだんを精製するタイミングを見計らい、引き絞った弦から手を放した。同時にヘドロばくだんも飛び出す。
1本目の矢羽根がヘドロばくだんを貫いて破裂させ、もう1本の矢羽根がウツロイドの影に突き刺さり、黒い爆発を起こした!

ドゴォォォン!

ウツロイド「じぇるっ……!」

リーリエ「更にリーフブレードですっ!」

ジュナイパー「ホーッ!」ジャキンッ!

カザマはウツロイドに接近すると、自らの翼を鋭く逆立て、ウツロイドへと斬りかかる!

219: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/16(金) 21:57:21.56 ID:hGqQJJjA0
ルザミーネ「ウツロイド、ヘドロウェーブ!」

ウツロイド「じぇるるっぷ!」グワッ!

ウツロイドの全身から毒液がにじみ出ると、自らの触手にまとって身体を回転させると、大量の毒が周囲に拡散していく。

ジュナイパー「ホッ……!」

ウツロイドの放った毒の波状攻撃がカザマに直撃し、リーフブレードが空振りに終わってしまう。

ルザミーネ「まだまだよ……! アシッドボム!」

今度はウツロイドの身体から酸性の毒が発射された。ヘドロウェーブのダメージにひるんでいるカザマに直撃し、煙を上げながら、身体を溶かしていく。

ジュナイパー「ホ、ホーッ!」ジュウウ

リーリエ「カザマさんっ!」

220: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/16(金) 21:59:30.97 ID:hGqQJJjA0
ルザミーネ「そして、パワージェム!」

ウツロイド「じぇるるっぷ!」ブゥゥン!

ウツロイドの周囲に輝く岩石が作り出されたかと思うと、そこから次々と弱ったジュナイパーに向けて光線が照射される!

ドンドンドンッ!

ジュナイパー「ホーーッ!?」

リーリエ「!」

パワージェムの光に当たったカザマが、リーリエの立っている方向へと飛ばされ、彼女に激突して空中に吹っ飛ばされる!

リーリエ「きゃああっ……!!」

しんのすけ「……!」

目の前の景色が何度も回転したかと思うと、リーリエは頭を打って、カザマと一緒に地面に転がってしまった。今まで感じたことのない、意識を失いそうな鈍い痛みがリーリエを襲い、うつ伏せに倒れる。

リーリエ「あっ……う、うぅ……」

みさえ「リーリエちゃん!」

ひろし「大丈夫か!?」

ロトム図鑑「そもそも、どくタイプの技を使うやつにカザマを出してもな……Zリングも持ってないし」

みさえ「弱気になってどうするのよ! リーリエちゃんは勝つわ!」

221: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/16(金) 22:00:28.27 ID:hGqQJJjA0
ルザミーネ「これでわかったでしょう? Zリングも持ってないアナタが、ビーストちゃんに……このわたくしに勝てると本気で思ってるの?」

ルザミーネ「そもそも! 子供が親に逆らい、あまつさえ歯向かおうとするなんて……傲慢にもほどがあります! これは罰です!!」

リーリエ「……」ユラッ

ジュナイパー「ホー……!」ユラッ

ルザミーネ「まだ戦うというの?」

ルザミーネが追い打ちをかけるように言葉を投げかけるが、リーリエとカザマはふらふらと、それでいてしっかりとした足取りで立ち上がった。頭を打った時に擦りむいたのか血が流れ、腕でこすって拭き取る。

222: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/16(金) 22:01:46.93 ID:hGqQJJjA0
リーリエ(しんちゃん……! あなたはいつもお下品で、ナンパして、周りを困らせて……。今だって、かあさまに操られているのにインドぞうさん丸出しで……)

――ケツだけ星人~ぶりぶり~ぶりぶり~
――まったく参っちゃうよね。方向音痴を探すのにも一苦労ですよ
――ほほーう? オラたちが待ってる間にお洋服を買ってたのですか。それも、気合を入れないと着れそうもない服なんて買って

リーリエ(でも! あなたは、わたしを守ってくれました! わたしを変えてくれました!)

――ハァーやれやれ、しょーがないなぁ
――リーリエちゃんには指一本触れさせないゾ!
――今日はオラが布団になったげるから。いっぱい泣いていいよ

リーリエ(しんちゃん――わたしの夢で、憧れで、ほしぐもちゃんと同じくらいかけがえのない大切な人……あなたを、失いたくないです!)

――ずっと、わたしを守ってくれてありがとうね。今度はわたしが、ゼンリョクであなたを守ってみせますから。しんちゃんが、わたしを守ってくれたように

リーリエ「わたしは約束したんです! しんちゃんを守るって! だから……」

――リーリエちゃん

リーリエ「絶対に――負けられないんですっ!!」ギンッ!

ジュナイパー「ホーーーーッ!」ゴウッ

223: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/16(金) 22:04:57.84 ID:hGqQJJjA0
みさえ「その勢いよ! リーリエちゃん!」

ひろし(カザマくんに一瞬、赤いオーラが?)

しんのすけ「……」

ルザミーネ「打ちのめしても何度も何度も立ち上がって……本当に目障りなコね!」

ルザミーネ「ウツロイド、もう一度ヘドロばくd……」

ヒュンヒュンヒュンッ!

ウツロイド「じぇるるっ……!?」ドスドスドスッ!

ルザミーネ「矢が……?!」

ジュナイパー「……ホー!」

リーリエ「ふいうち、です」

リーリエ「そしてカザマさん! 続けてかげぬいです!」

ジュナイパー「ホッホーッ!」

224: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/16(金) 22:06:38.29 ID:hGqQJJjA0
ヘドロばくだんやヘドロウェーブに当たらないためにウツロイドと距離をとったカザマは3本の矢をつがえると、上空に向けて矢を一斉に曲射した。
影の矢が放物線軌道を描いて、次々とウツロイドに向けて勢いよく落ちていく!

ドカンッ! ドカンッ! ドカンッ!

ウツロイド「じぇ……じぇるっ!」

ルザミーネ「こうなったら……しんのすけくん!」

しんのすけ「……!」ピクッ

再びしんのすけが、ルザミーネの前に出てくる。

リーリエ「……また、しんちゃんを盾にするつもりですか!」

しかし、ルザミーネは笑顔を浮かべたまま、首を横に振って否定した。

ルザミーネ「リーリエ。わたくしがなぜ、しんのすけ君を息子として迎え入れたのか、その理由を見せてあげますわ。さぁ、しんのすけ君! ウツロイドにZパワーを与えなさい」

しんのすけ「ほい……」

しんのすけはZリングを掲げると、構えを取り始めた。

ジュナイパー「ホホーッ!?」

みさえ「あの構えって……」

リーリエ「しんちゃんを利用して……Zワザを使うつもりですか!」

ひろし「きたねーぞてめぇ!!」

225: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/16(金) 22:07:35.36 ID:hGqQJJjA0
バッ バッ ゴポポポッ ブリッ!

ルザミーネ「おしりは見せなくていいの!」

ピカッ! ゴウッ!!

ウツロイドは Zパワーを 身体に まとった!

ウツロイドが 解き放つ
全力の Zワザ!

ウツロイド「じぇるるっぷ……!!」

ア シ ッ ド ポ イ ズ ン デ リ ー ト !

ウツロイドは触手を大きく広げると、毒の奔流が周りに広がっていく。
やがて、猛毒の雨あられが降り注ぐ中、毒の沼と化した地面が柔らかくなっていく。

ジュナイパー「ホ、ホーッ!」ズブッ

リーリエ「カザマさんっ!」

すると、カザマがどんどん、毒の沼へと沈んでいく。翼をジタバタさせて暴れるも、余計に深く落ちていくだけだ。

ズブズブズブ……

ジュナイパー「……!」

そして、完全にカザマの姿が毒の沼へと姿を消してしまった。

226: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/16(金) 22:09:48.25 ID:hGqQJJjA0
ひろし「どくタイプのZワザ……これじゃあ……」

ルザミーネ「ふふ、これで終わり……」

ヒュンヒュンヒュンッ!!

その時、次々とかげぬいによる矢が飛来し、ウツロイドに襲いかかった!

ドカンッ! ドカンッ! ドカンッ!

ウツロイド「じぇるっ!?」

ジュナイパー「ホー!」ググッ

リーリエ「カザマさんっ! 無事だったんですね!」

ルザミーネ「そんな……なぜ?!」

離れた所からかげぬいで射撃をしているカザマの姿に仰天したルザミーネは、カザマが沈んだ場所をみやった。

ルザミーネ「あれはっ……!」

そこには、草で編まれた人形が転がっていた。

ひろし「そうか、みがわりか!」

227: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/16(金) 22:11:31.35 ID:hGqQJJjA0
リーリエ「これならっ! カザマさん! ブレイブバードです!」

ジュナイパー「ホーーッ!!」ゴウッ!!

かげぬいのダメージで動けないところで、カザマが地上からジャンプし、勢いよく滑空して一直線にウツロイドへ向かっていく!

ドンッ!!

ウツロイド「じぇるっ……!!」

カザマ自身が1本の巨大な矢になったかのように、ウツロイドへと突進し、吹っ飛ばしていく。ウツロイドは悲鳴を上げるまもなく、ウルトラスペースの空を舞い、地面へと落下して動かなくなった。

ウツロイド「」ピクピクッ

ルザミーネ「……ウツロイドまで!」キッ!

ひろし「よしっ、これであいつは最後の1匹だ!」

みさえ「リーリエちゃん! もう少し! もう少しで勝てるわよっ!」

ひまわり「たいやーっ!」

ロトム図鑑「ビーストもたいしたことないな」

ジュナイパー「ホホーッ! ホーッ!」ダカラオマエガエラソウニスルナッ!!

228: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/16(金) 22:12:56.58 ID:hGqQJJjA0
ジュナイパー「ホッ……!」ガクッ

みさえ「どうしたの?」

ひろし「おそらく、弱点の攻撃を食らったことに加えて、みがわりとブレイブバードによる反動だろう。どくタイプの相手によくやったぜ、カザマくん……」

リーリエ「カザマさん、もう大丈夫です。後はわたしとボーちゃんに任せてください!」

ジュナイパー「ホッホー……」シュンッ!

ひろし「しんのすけ! もう少し待ってろ! もうすぐお前を助けてやるからな!」

ルザミーネが全身を震わせながら、最後に残ったウルトラボールを掲げる。

ルザミーネ「まだよ……! まだわたくしにはフェローチェがいます!」

ルザミーネ「行きなさい! フェローチェ!」ヒョイッ!

フェローチェ「フェローッ!!」ポンッ!

ルザミーネ「ウツロイドを失ってしまったのは惜しいですけれども、しんのすけ君のエースポケモンが倒れた今、あなたの残りのポケモンを倒すにはこの子で充分です!」

リーリエ「……」

ルザミーネ「どうしたのかしら? 勝てないと悟って、降参する覚悟を決めたのかしら」

リーリエ「……この時を、待ってました」

229: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/16(金) 22:18:24.74 ID:hGqQJJjA0
ルザミーネ「……?」

リーリエ「わたしは待っていたんです。かあさまの最後のポケモンが、フェローチェさんになったこの時を!」スッ

ルザミーネ「なんですって……!」

リーリエ「わたしの最後のポケモンさん。この子で、フェローチェさんを倒します! ボーちゃんさんっ!」ヒョイッ

ミミッキュ「ボ!」ポンッ!

ルザミーネ「そのポケモン……確かにゴーストタイプだから、フェローチェのかくとう技は防げますわ。けれど、それで勝ったと思わないことね」

ルザミーネ「そのまま今度こそ、Zワザで倒してあげる!しんのすけ君!」

しんのすけ「……」

しんのすけは再びZリングを掲げると、構えを取り始めた。

リーリエ「かあさま……またZワザを使う気ですか! そんなことしたらしんちゃんが!」

ひろし「やめろ! Zワザはしんのすけの体力を使っちまうんだぞっ!」

しんのすけ「……!」ブルブル

しかし、ひろしの言葉を無視するように、しんのすけは震える手でZワザのポーズを取り始める。

230: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/16(金) 22:19:55.25 ID:hGqQJJjA0
バッ バッ ブリブリ ジャキンッ!

ピカッ! ゴウッ!!

フェローチェは Zパワーを 身体に まとった!

フェローチェが 解き放つ
全力の Zワザ!

フェローチェ「フェローッ!!」

ぜ っ た い ほ し ょ く か い て ん ざ ん !

しんのすけ「ああんっ……」フラッ

ドサッ!

ひろし「し、しんのすけっ!」

みさえ「そんなっ!」

リーリエ「しんちゃん!」

思わず駆け寄ろうとするが、なんとか踏みとどまった。今はまだ勝負の最中だ。
それに、相手は目論見通りフェローチェのみになったけれども、ここで隙を見せたら逆転を許してしまいかねない。
焦る気持ちを落ち着かせて、冷静さを取り戻す。

231: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/16(金) 22:24:40.51 ID:hGqQJJjA0
リーリエ「かあさまっ……!」

しんのすけ「」

ルザミーネ「ふふ……二度使っただけで倒れちゃうなんて、使えない子」

みさえ「許せない……! アンタは絶対に許さない!」

ルザミーネ「さぁ行きなさい! フェローチェ!」

フェローチェ「フェロローッ!!」

フェローチェは口から糸を吐き出すと、ボーちゃんの全身に巻きつけて、繭のように覆い尽くしてしまった。

ミミッキュ「ボ……!」

それを握って振り上げ、糸に巻きつけられたボーちゃんを地面に叩きつける。

ドシャアッ!

フェローチェ「ロォォォッ!」

フェローチェは出している糸を切り、ボーちゃんを空中に投げつけると、フェローチェが飛び出し、手刀で糸ごとボーちゃんを切り裂いた!

フェローチェ「フェロォォッ!!」

ザンッ!!

ひろし&みさえ「!!」

232: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/16(金) 22:27:21.18 ID:hGqQJJjA0
リーリエ「……」

ひろしとみさえがZワザの威力に衝撃を受け、ルザミーネが勝ちを確信している一方で、リーリエは冷静さを保ったまま、切り裂かれた糸を凝視していた。

ルザミーネ「これでわたくしの勝ち、ですね」

リーリエ「いいえ」

すると、影の手が伸びてきて、フェローチェの吐き出した糸を引きちぎっていく。そして、ボーちゃんが糸を突き破る形で飛び出してきた!

ミミッキュ「ボーッ!」

ルザミーネ「しまった! ばけのかわ……っ!」

リーリエ「Zワザを使ってもムダです!! ボーちゃんさん! じゃれつくです!!」

ミミッキュ「ボーーーッ!」グワッ!

Zワザを受けてばけのかわが剥がれたボーちゃんは、影の手でフェローチェを振り払い、逆に倒れ込ませると、フェローチェに向けて激しくもみあった!

ポカポカドカドカ!

フェローチェ「フェロ! フェローッ!」

傍から見れば激しいスキンシップを受けているように感じるが、フェローチェは苦痛に満ちた悲鳴を上げている。

233: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/16(金) 22:31:26.62 ID:hGqQJJjA0
みさえ「どうして、ただじゃれつかれているだけなのに苦しそうなの?」

ひろし「じゃれつくはフェアリータイプの技だ! あのビーストはむし・かくとうだから、弱点の1つなんだ!」

ひろし「そしてフェローチェと呼ばれたあのビーストは、素早い代わりにとても打たれ弱いんだ!」

みさえ「それじゃあ……!」

ひろしの解説を聞いた瞬間、ルザミーネはリーリエに目を瞠った。そこでようやく、リーリエの狙いに気が付いた。

ルザミーネ「まさか……あなたはわたくしがフェローチェを最後に出すように誘導したというの?!」

リーリエ「……」

そしてフェローチェはだんだん体力を失っていき、ボーちゃんがフェローチェから離れたときには、ぐったりと動かなくなってしまっていた。

フェローチェ「」ピクピクッ

ミミッキュ「ボーッ……」

234: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/16(金) 22:32:33.38 ID:hGqQJJjA0
ひろし「よっしゃあっ! ざまーみろルザミーネ!!」グッ

みさえ「言ったでしょ? 必ずリーリエちゃんが勝つって!!」

ひまわり「たいやーっ!」

リーリエ「しんちゃんっ!」シュンッ

リーリエはボーちゃんをボールに戻すと、すぐさまルザミーネのそばで横たわっているしんのすけを抱きかかえた。

リーリエ「しんちゃん! しっかりして! しんちゃんっ!」

しんのすけ「……」

ルザミーネ「……アアアウッ!」

目の前の敗北に唖然としていたルザミーネは、目を大きく見開くと、2本の触手で頭部を掴み、その場で暴れだした。

ルザミーネ「どうして! どうして! どうしてわたくしのビーストちゃんたちがあああっ!!」グニャグニャッ!!

リーリエ「……」

リーリエはしんのすけを抱きかかえたまま、口を一文字にして真摯な表情で、ルザミーネと向き合う。

235: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/16(金) 22:34:24.41 ID:hGqQJJjA0
リーリエ「……かあさま、わたしはまだまだトレーナーとして未熟です。やっぱり、しんちゃんのポケモンさんは、しんちゃんしかゼンリョクを引き出すことはできないというのをこの戦いで実感しました」

リーリエ「それでもあなたがなぜ負けたのか、分かりますか?」

ルザミーネ「!?」ギロッ

リーリエ「あなたの敗因は、最初にビーストさんを見せびらかしたことで、わたしにどんなビーストさんを使ってくるのか教えたからです!」

リーリエ「そして――あなたがポケモンさんを、ビーストさんを、自分を美しく見せるための道具としか見てなかったからです!」

ルザミーネ「それがなんだというのですか! 全てがわたくしの愛で満たされて、美しくなればそれでいいの!」

リーリエ「子供は親のモノではありません! ポケモンもトレーナーが好きにしていい モノではありません!」

リーリエ「わたしも生きています! コスモッグも生きています! しんちゃんも、ビーストさんもみんな生きています! モノではないのです!」

リーリエ「かあさま……もうたくさんの人に迷惑をかけること、やめましょう。一緒に帰って、みなさんに謝って……」




――きゃあああああっ!!!

236: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/16(金) 22:35:32.94 ID:hGqQJJjA0
ひろし「みさえっ!」

リーリエ「!」

みさえの悲鳴が響き、リーリエは驚いて振り返ると、恐らくルザミーネがゲットしたであろうウツロイドがみさえへと襲いかかっていた! みさえはひまわりをかばうように抱えながら、その場に座り込んでいた。
ロトム図鑑とフェローチェ、シロの周りにも、助けを妨害するように、ウツロイドが3匹を取り囲んでいく。

ウツロイドたち「じぇるるっぷ……!」

ロトム図鑑「うわっ! こっちくんな!」

フェローチェ(あい)「フェローッ!」

シロ「キャンキャンッ!」

リーリエ「みさえさんっ!」

リーリエ「かあさまっ! なにをするつもりですか!」

ルザミーネ「……確かに、勝負に勝ったらしんのすけ君を返すと言いましたわ」

ルザミーネの顔に、ニヤニヤとした不気味な笑みが戻ってくる。

ルザミーネ「だけど、あなた方を無事に帰すと一言も約束してません! 言ったでしょう? 誰の許しを得てここにやってきたのですか? 招かれざる客を歓迎するほど、わたくしは寛容ではありませんの!」

237: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/16(金) 22:36:48.42 ID:hGqQJJjA0
リーリエ「かあさまっ! もうやめて!」

ひろし「ぐぅっ、きったねぇぞ……てめぇっ!」バッ

ひろしは靴を脱いでルザミーネに嗅がせて怯ませるために突っ込もうとすると、触手が伸びて、ひろしとリーリエを捕らえた!

シュルルッ!

ひろし「ぐっ!」ググッ

リーリエ「きゃあっ!」ググッ

ルザミーネ「ウフフ!」

リーリエ「ううっ……かあさまっ!」グググッ

ひろし「くっそおおっ! こんなもんっ」グググッ

ルザミーネ「リーリエ、親に逆らった挙句、わたくしのプライドを傷付けた報い……受けてもらいます! まずはその目で、あなたの味方がわたくしのウツロイドによって命を落とすさまを見届けなさい!」

更に事態は悪化するように、ウツロイドたちがみさえに近づいていく。

みさえ「いやっ……来ないで!」

238: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/16(金) 22:37:32.03 ID:hGqQJJjA0
ウツロイドたち「じぇるるっぷ!」グワッ

せめてひまわりだけでも、とひまわりを守るようにみさえはうずくまると、一斉にウツロイドたちがみさえへと覆いかぶさってきた!

みさえ「ひいいいーーーっ!!」

リーリエ「みさえさんっ!」

ひろし「みさえーーっ!! ひまわりーーーっ!! やめろーーーっ!!!」

しんのすけ「……」

みさえ「いやあああああああっ!!」

クチュッ!
グニャグニャッ!

239: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/16(金) 22:40:06.04 ID:hGqQJJjA0
もぞもぞとウツロイドたちが動きだした。あの内側で何が起きているのかわからない。
ひろしとリーリエの頭の中に、最悪のシナリオが掻き立てられる。

リーリエ「そん……な……」

ひろし「み……さえ……ひまわり……」ボウゼン

ルザミーネ「ウフッ、アハハハハっ!!」

その光景を勝ち誇るように嘲笑っていたのは、ルザミーネただひとりだった。ひろしもリーリエも、このおぞましい光景から無意識に目をそらしていた。

ルザミーネ「アハハハハハハハハ!!」

ゴ ス ッ ! !

ルザミーネ「アグゥッ!?」

ひろし&リーリエ「!?」

いきなり黒くて巨大な影が現れたかと思うと、大きな衝撃とともにルザミーネが後ろへ吹っ飛び、岩壁へと激突した。
その際に触手の力が緩まり、すぐにひろしとリーリエは拘束を破ってルザミーネから離れた。彼女は、驚愕に目が見開かれ、苦しそうにもんどりうっている。

ルザミーネ「う……がっ……ああ」ガクガク

ひろし「なにが起きたんだ?」

リーリエ「……!」

240: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/16(金) 22:40:57.41 ID:hGqQJJjA0
リーリエ「ひ、ひろしさん……後ろです」

ひろし「え?」

リーリエに言われ、ひろしが背後を振り返ると、そこには予想だにしない光景が広がっていた。
さっきまでみさえに襲いかかっていたウツロイドたちが地面に転がっており、ロトム図鑑とあい、シロが唖然として立ち尽くしていた。
瀕死になったウツロイドたちの上に浮かんでいたのは――。

241: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/16(金) 22:41:33.52 ID:hGqQJJjA0
「うちの娘に!」

8本の巨大な触手――。

「うちの夫に!」

触手に抱えられるひまわり――。

「うちの息子に!」

黒く染まりきった身体――。

「うちの家族に!!」

ウツロイドの頭部に覆われ、憤怒の光を宿しながらルザミーネを睨みつける金色の目――。

みさえ(マザービースト)「手ェ出してんじゃないわよッ! 妖怪メノクラゲババアッッ!!」

ウツロイドと融合し、異形の姿となったルザミーネ同様、マザービーストとして覚醒したみさえが、ウルトラスペースに君臨していた。

ひろし「」

リーリエ「」

242: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/16(金) 22:45:20.51 ID:hGqQJJjA0
ルザミーネ「そんな……わたくしと同じように、ウツロイドの愛を受け入れたというの……?」

ここに来て初めて、ルザミーネは心の奥底から予想外といった表情を見せた。しかしみさえはそんなルザミーネを無視して、ひろしへと近づいた。

みさえ「あなた、ひまをお願い」フワッ

ひまわり「たい……」

ひろし「み、みさえ……その姿、大丈夫なのか?」

みさえ「心配しないで。……リーリエちゃん」

リーリエ「は、はいっ」

みさえ「よく頑張ったわね。しんのすけのために、ありがとう」ナデナデ

みさえ「ちょっとあなたのママと『お話』してくるわ。その間、もう少ししんのすけのこと、お願いね」

リーリエ「え?」

243: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/16(金) 22:46:15.36 ID:hGqQJJjA0
ルザミーネ「……許せない! ウツロイドは、わたくしだけのモノなのにっ!」ギリリッ!

ゴウッ!!

怒号を上げながら、ルザミーネは輝く岩を作り出し、極太の光線をみさえに向けて発射する!

みさえ「……」スッ

しかし、みさえは1本の触手を光線に向けてかざすと、壁に阻まれたように光線が押さえつけられ、そのまま分解するように消滅した。

ゴウッ!

シュウウウ

244: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/16(金) 22:47:19.62 ID:hGqQJJjA0
ルザミーネ「なっ……」

ひろし「す、すげぇ……」

みさえ「――ルザミーネさん」

ルザミーネ「!」

みさえ「アンタがビーストの母だとか、自分を美しく見せるだとか、そんなの正直どうでもいいの」

みさえ「ただね、他人の息子に……家族に手を出したらどうなるか、ホンモノの母親の怒りってものを、ゼンリョクで思い知らせてあげるわ!! 覚悟しなさい!!!」

みさえ「……スゥーッ」

みさえ「はぁぁぁぁぁっ!!!」

ゴウッ
バチチチッ!!!

覚醒したみさえが雄叫びを上げた瞬間、スパークの走った真紅のオーラを全身に纏い、周囲の大地に衝撃波が走り、石の破片が宙に浮かびヒビが入る!

245: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/16(金) 22:49:46.64 ID:hGqQJJjA0
今日はここまで。
次回の更新はいつものように明日の夜です。
ルザミーネファンのみなさん、ごめんなさい。いよいよハイパーフルボッコのお時間です。

じゃ、そゆことで~

あっ、とーちゃん退院おでめとう! 今のとーちゃんも代役お疲れ様!

249: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/16(金) 23:26:59.44 ID:hGqQJJjA0
【おまけ】

このSSを執筆する前に書いた「母VS母」のコンプセントアートですが……。
塗り絵にでもどうぞ。

no title

256: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/17(土) 18:57:24.58 ID:1bwQQCIO0
みさえの放つ殺意と巨大な力の前に、ルザミーネは一瞬たじろいだものの、すぐにみさえを睨みつける。

ルザミーネ「――そんなものッ!!」ゴウッ!

みさえ「!」

ゴスッ!!

ルザミーネが飛び出し、触手を丸めて拳を作りながら急接近すると、みさえの頭部に向けて強烈な右ストレートを放った。

ギャンッ! ドドドドド!

地面を擦って砂煙を上げながら一直線に吹き飛ばされるみさえ。しかしすぐさま空中で大きくターンすると、今度はみさえが触手を丸めながらルザミーネへ近づいた!

みさえ「オラオラオラオラオラッ、オラァッ!」ドゴドゴドゴドゴドゴッ!!!

ルザミーネ「がっ! ぐっ! ヴうっ!」ガガガガッ!!

みさえは8本の触手で一斉にルザミーネの全身にかけてラッシュをかける! ルザミーネもラッシュで応戦を試みるものの、みさえの攻撃速度に合わせられず、全身にかけて拳撃を浴びた!

みさえ「――っオラッ!」ブンッ!

更にみさえは廻し蹴りを繰り出して頭部に大打撃を与える!

ルザミーネ「あぐっ! うヴッ!」グラッ

257: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/17(土) 18:59:14.67 ID:1bwQQCIO0
ルザミーネ「ッああああっ!」グルルルン!

ルザミーネも負けじと身体を旋回させて触手を回しながらみさえを払おうとした。しかし、みさえは2本の触手でガードしつつ1本の触手でルザミーネの足を掴むと、頭上へと振り上げ、一緒に落下する。

みさえ「ふんっ!」グワッ!

ルザミーネ「なっ!?」

そして触手を力いっぱい動かして、落下する際に生まれる勢いに任せて、ルザミーネを地面に叩きつけた!

みさえ「おりゃあああっ!」

ドッゴォッ!!

ルザミーネ「ご、ごのっ!」ブンッ!

ガシッ!

ルザミーネ「!?」グググッ

みさえ「次から次へと、自分のワガママに人を巻き込んで……いい加減にしなさいよ! オバサン! しんのすけに手を出そうなんて15年早いのよ!」バチッ! バチチッ!

ルザミーネ「オ、オバ……ッ! なんですって……!」ガクガク

みさえ「オバサンにオバサンって言って何が悪いのよオバサン!! 私より11歳年上だからっていつまでも調子こいてんじゃないわよ!!」

ルザミーネ「キ……ヴアアアゥッー!!」カッ!!

258: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/17(土) 19:12:13.92 ID:1bwQQCIO0
ドウッ!!

みさえ「!?」

ルザミーネの触手からパワージェムの光線が放たれ、すぐさまみさえは距離を取った。そのままルザミーネは立ち上がると、1本の触手を丸め、みさえの顔面に拳を叩き込もうと襲いかかる!

ルザミーネ「アアアウッ!」グワッ

みさえ「ぬぁぁっ!」ゴウッ

まけじとみさえも触手を丸めて振りかぶり、ルザミーネに突進した! 触手と触手がぶつかりあい、2人のマザービーストを中心に凄まじいエネルギーが周囲にほとばしり、大地を抉っていく!

ドッゴォォォッ!!

ルザミーネ「ヴ ア ア ア ア ア ウ ッ !!」ゴゴゴゴゴゴ!!

みさえ「お ん ど り ゃ あ あ あ あ あ っ ! !」ドドドドドド!!

2つの拮抗した力がぶつかり合う!
しかし――。

みさえ「――ふんッ!」グッ

ルザミーネ「!??」ガクン!

みさえはルザミーネの触手と激突している触手を一気に下ろすと、つられてルザミーネも体勢を崩した!
その隙にルザミーネの腹部に向けて手の空いている触手をえぐりこむように打ち込んだ。

みさえ「るあああっ!」

ドゴッ!

ルザミーネ「がはっ!」

259: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/17(土) 19:13:28.56 ID:1bwQQCIO0
ウルトラスペースの上空に吹っ飛ぶルザミーネは、鈍い痛みをこらえながら空中で一回転して体勢を立て直すと、すべての触手を大きく広げた!

ルザミーネ「アアアウッ!」

ドンドンドンドンッ!

みさえ「……!」ギュンッ

すべての触手からパワージェムの光弾が放たれ、全てがみさえに降り注いでくる!
しかし、みさえは地面を蹴って空中に飛翔すると、光弾を避けつつルザミーネに接近する!

ルザミーネ「はあああっ!!」ゴウッ!

ルザミーネは赤いオーラを纏うと、2本の触手を空に向かって掲げると、宝石のように煌く巨大な岩が出現した。

ルザミーネ「消え失せなさい!」ブンッ!

それを投げつけるような動作で触手を振り下ろすと、巨大な岩は光の玉と化して、みさえに向かって落ちていく!

ゴゴゴゴゴゴ!

260: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/17(土) 19:14:38.81 ID:1bwQQCIO0
みさえ「……!」

光の玉がみさえにぶつかった瞬間、周りの空間を巻き込みながら、大爆発を起こす!

ドゴォォォォン!
シュウウウッ

ルザミーネ「ウフフ……これを喰らって生きてられるはずが……」

ゴゴゴゴ

みさえ「……」バチッ バチチッ

ルザミーネ「あ……あ……!?」

みさえ「なにこれ? 日焼けさせるつもりだったのかしら? アンタのビーストに対する愛がこの程度なら、正直ガッカリなんだけど」

ルザミーネ「なんなの…? なんなの……あなたは」ワナワナ

みさえ「子供たちを愛している、普通の『かーちゃん』よ」ブゥンッ!

みさえの姿が一瞬にして消えたかと思うと、ルザミーネの目の前に現れる!

ルザミーネ「!?」

みさえ「るぉらぁぁっ!」ガスッ!

ルザミーネ「あ゛ぐぁっ!」ゴッ!

261: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/17(土) 19:16:09.04 ID:1bwQQCIO0
みさえ「メリーゴーランド・グリグリ・シネマトゥエンティーファイブッ!!」グリグリグリグリ!!

ルザミーネ「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ ! ? ?」グルングルングルンッ!!

ルザミーネの頭部に2つの触手を押し付けると、そのまま回転しつつグリグリ攻撃を始めた! えも知れぬ鈍い激痛に、ルザミーネは悲鳴を上げる。

みさえ(――なんなのかしら? この人の攻撃のおかしな手応えのなさ……)

ひろし「なんてハイレベルな戦いなんだ……」

ひろし(あのみさえと夫婦喧嘩は絶対出来ねぇ……)

ロトム図鑑(あの戦いを録画してポケチューブにアップすればたくさん再生数稼げそうだな)

リーリエ「ひろしさん! ちょっと不安ですけど……かあさまはみさえさんに任せて、わたしたちはしんちゃんを!」

ひろし「あ、ああ!」

263: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/17(土) 19:22:07.83 ID:1bwQQCIO0
みさえとルザミーネが壮絶な戦いを繰り広げている中、リーリエはしんのすけにを降ろして揺さぶった。

ひろし「しんのすけ! しっかりしろ!」ユサユサ

リーリエ「しんちゃん! しんちゃんっ!!」ユサユサ

しんのすけ「」

ひろしとリーリエはしんのすけの肩を揺さぶるが、当の本人は返事がないまま、目を閉じている。

ひろし「返事しろよ! お前、島巡りチャンピオンになるんだろ! こんなとこで寝てんじゃねぇ!」

リーリエ「いや……いやです! 一緒に旅するって、トレーナーについて教えてくれるって、約束したじゃないですか!!」

ひまわり「うあ……あ……!」

シロ「クーン……」

フェローチェ「フェロ……」

リーリエ「しんちゃん……死なないで……っ!」

しんのすけ「」






ブッ

264: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/17(土) 19:23:02.37 ID:1bwQQCIO0
リーリエ「」ズルッ

ひろし「くせっ!」

しんのすけ「……」ブルブルッ

ロトム図鑑「……どうやら、気を失っているだけのようだ。さすがに二度もZワザを使えば、大の大人でも堪えるだろうぜ」

リーリエ「はぁ……びっくりしました。とにかく、無事で良かったです」

ひろし「だけどよお……ルザミーネの奴、しんのすけをここまでボロボロにしやがって……!」ギリッ

ひろし「しんのすけ……どうしたら目を覚ましてくれるんだ?」

リーリエ「このウツロイドさんを剥せれば、元通りになるのでは?」

リーリエはしんのすけにまとわりついているウツロイドを指さした。

ひろし「なるほど……よし、俺が触手を外してみる。リーリエちゃんは頭の方を引っ張ってみるんだ!」

リーリエ「はいっ」

265: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/17(土) 19:23:50.60 ID:1bwQQCIO0
ひろしは、身体にまとわりついているウツロイドの触手を剥がしに掛かり、リーリエもウツロイドの頭部を掴んで無理やり外そうと引っ張る。しかし、ウツロイドも抵抗してがっちりと固定したように動かない。

リーリエ「ううッ……! ダメです…びくとも動きません」

ひろし「くっそお、ここまで来て……!」

ロトム図鑑「私に任せろ。電気ショック療法だ」

ぶりぶりざえもんはコードを伸ばすと、それをしんのすけのインドぞうさんにあてがった!

ビリビリビリビリッ!!

しんのすけ「お゛お゛お゛う゛お゛お゛お゛う゛!!??」ビクビクビクッ!!

げ    ん

こ    つ

ロトム図鑑「」

リーリエ「どこに電気ショック与えてるんですかっ!///」

ロトム図鑑「だ、大事なところに刺激を与えれば起き上がると思って……」

ひろし「しんのすけのインドぞうさんを使い物にさせなくする気か!」

266: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/17(土) 19:24:57.15 ID:1bwQQCIO0
リーリエ「でも、本当にこのままずっと元に戻らなくなったらと思うと、わたし……」

ロトム図鑑「……私に良い作戦がある」

ひろし「お前また下らないことやるんじゃないだろうな?!」

ロトム図鑑「馬鹿な事を言うな。いつまでも私が空気を読まずにボケると思うか」

ロトム図鑑「今、眠っているしんのすけの精神そのものに訴えかけて、意識を無理やり覚醒させる」

リーリエ「どうやってですか?」

ロトム図鑑「私をしんのすけの意識とリンクさせるのだ。コンピューターにハッキングできることを応用して、私が直接奴の精神の中に潜り込み、記憶や感覚を引き出して刺激を与え、目覚めさせる」

ひろし「そんなことできるのか?」

ロトム図鑑「私を舐めるな。私はゴーストタイプだぞ。人間に取り付くぐらいわけがない。それに、元国際警察のハッカー兼サイバーテロ対策部隊所属だからな」

ひろし「なんだそりゃ……お前電気タイプも入ってるだろ! ハッキング関係ねぇし!」

ひろし「ああくそっ、この際文句は言ってられねぇか! もう好きにやってくれ!」

リーリエ「なんだかSFっぽくてよくわからないですが……。ぶりぶりざえもんさん、お願いします! しんちゃんを助けてください!」

ロトム図鑑「よしきた。コードをしんのすけの頭にくっつけるぞ」

ひろし「まさにワラにもすがる思いってやつだな……」

267: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/17(土) 19:26:00.31 ID:1bwQQCIO0
ぶりぶりざえもんはコードをしんのすけの両こめかみにくっつけると、目を閉じ始めた。

ロトム図鑑「しんのすけの脳内神経とリンク完了……ダイブ開始」ウィーン

ぶりぶりざえもんの画面が、まるで意識を失うようにぼかされていく。

ひろし「本当に頼んだぞ。ぶりぶりざえもん」

リーリエ(しんちゃん……)

ロトム図鑑「…………」ピーピコピコピコ

しんのすけ「……」ピクッ

ひろし「動いた!」

ロトム図鑑「……だいぶ厄介なことになってるな。今のしんのすけは、記憶もなければ意思もない、廃人も同然だ。無理やりウツロイドの力で自我を無理やり抑えられていると言っていいだろう」

リーリエ「そんな……しんちゃんは、元に戻らないんですか?」

ロトム図鑑「脳に直接刺激を与えれば、物の弾みで戻るかもしれん」

リーリエ「刺激、ですか?」

ひろし「具体的に何をすればいいんだ?」

ロトム図鑑「さあな、なにせ人間の精神をハッキングするなんて初めてだからな……」

ひろし「くそっ、どうしたら? どうしたら目覚めてくれるんだ? しんのすけ!」

268: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/17(土) 19:29:59.50 ID:1bwQQCIO0
しんのすけの精神世界

しんのすけの心は、ルザミーネが取り付かせたウツロイドの『毒』によって、ばらばらにされていた。
精神は既に形を成しておらず、暗黒の空間の中でぼんやりと浮かんでいた。
ただ――意識の外からやってきだ、何者かが語りかけてくる。

「……か? ……け」

――オラ、オラ、誰だっけ?
――カンタムだっけ?
――アクション仮面だっけ?
――カザマくんだっけ?
――あれ? カザマくんって誰だっけ?

「お……しん……視す……な!」

走馬灯のように、たくさんの人やポケモンの姿が浮かんでは忘却の彼方へと消えていく。

――どうしよう。このまま消えちゃおっかなー
――消えちゃえばかーちゃんからグリグリ攻撃受けないで済むしー、リーリエちゃんが道に迷っても関係ないしー
――あ、でもおねいさんに会えなくなるのは嫌だなー

じぇるるっぷ……

――お?

269: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/17(土) 19:31:01.21 ID:1bwQQCIO0
しんのすけだけしかいないはずの精神世界に、ぼんやりと青白い何かが浮かんできた。メノクラゲのようにも、帽子をかぶった少女のようにも見える、不思議なポケモン。

じぇるるっぷ

――なんかいる

「……げろ!」

ウツロイドは、触手を動かして、「こっちへ来い」としんのすけを手招きしていた。

じぇるるっぷ

――オラ、ナンパされてるのかな?
――でもオラ、子供にもポケモンにも興味ないし、行ってもしょうがないか

じぇるるっぷ……!

「なに………サッと……る! ……げろ!」

すると、しんのすけに来る気がないと判断したのか、今度はウツロイドがしんのすけへ接近してくる。

――なんか来た。モテモテで困っちゃうけど、あんまり嬉しくないなー

ウツロイドがしんのすけの精神を冒し尽くそうと迫る。触手を伸ばして、バラバラになりかけたしんのすけの心を覆い尽そうとしてくる。

270: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/17(土) 19:32:32.57 ID:1bwQQCIO0
一方、みさえとルザミーネは周囲に砂埃を起こさせながら、互いを牽制するようににらみ合っていた。

みさえ「……」

ルザミーネ「……」

スウーッ

ルザミーネ「はぁっ!」ドッ!

みさえ「!」

先手を取ったのはルザミーネだった。パワージェムの光線を発射し、みさえが垂直にジャンプして回避、するとルザミーネがみさえへ接近し、ウツロイドで覆われている頭部を殴りつけた。
みさえは地面に落下しつつ受け身を取るが、ルザミーネは追撃に次々と光弾をみさえに向けて放っていく!

ドンドンドンドンッ!!

ルザミーネ「ウフフフフッ!!」

みさえ「……!」

みさえは後方に避けながら回避し続けていると、光弾で土埃が周囲に巻き上がって視界が潰されていく。
いきなり砂埃が払われ、ルザミーネが笑みを浮かべ触手を振りかざして突進してくる!

ルザミーネ「アアアアッ!!」ブンッ!

271: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/17(土) 19:35:49.41 ID:1bwQQCIO0
みさえ「!」ブゥンッ!

ルザミーネが触手を振り下ろしたその時、みさえの姿が刹那のうちに消え失せてしまった。触手が空振りに終わったその時、瞬間移動で背後に回ったみさえが、ルザミーネにタックルを仕掛けた

みさえ「うぉらぁぁぁっ!」ブンッ!

ルザミーネ「があああっ!!」ゴスッ!

キィーーーーンッ!
ドゴォッ!

ルザミーネ「ぐ、ううっ」

ルザミーネ「う あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!」ギュンッ!

岩盤に叩きつけられたルザミーネは、怒り狂いながらみさえに、2つの触手を振りかげる!

ブンッ!

みさえ「……!」ガシッ!

ググググッ!

みさえはルザミーネの触手を受け止めると、互いに押しのけようと力と力がぶつかり合う!

みさえ「アンタよりリーリエちゃんとグラジオくんの方がよっぽどしっかりしてるわ。やってることは赤ん坊のひま以下よ、アンタは」グググ

みさえ「知ってる? ワガママな人って、なんて呼ばれるか? 」

ルザミーネ「……?」

272: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/17(土) 19:36:43.64 ID:1bwQQCIO0
みさえ「『怪獣』よ! アンタは見た目も心も、ウルトラビーストよりよっぽど怪獣らしいわよっ!」

ルザミーネ「なんですって……!」

ドズムッ!

みさえ「がっ!」

みさえの腹にルザミーネの触手がめり込まれる。
そして、4つの触手で追い打ちをかけ、みさえを地面へと叩き落とす!

ドゴォッ!

みさえ「――ッ!」

ルザミーネ「はぁぁぁっ!」ドドドドド!!!

そのままルザミーネは追撃に光弾を放ち、みさえに直撃すると爆発を起こし煙幕が巻き上がる!

シュウウウ

ルザミーネ「はぁ……はぁ……ふふっ! なにが怪獣よ! わたくしにそんな口、聞いたことを後悔するがいい――」

ゴウッッ!!

みさえ「――ッらぁ!!」ブンッ!

ルザミーネ「!!」

273: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/17(土) 19:37:47.46 ID:1bwQQCIO0
ゴスッ!!

煙幕を払いながら現れたみさえは、勝ち誇った笑みを浮かべたルザミーネの頭部に会心の右ストレートをぶち込んだ!

みさえ「オラオラオラオラオラ!!」ドカドカドカドカ!!

ルザミーネ「うあっ! があっ! ああっ!」

みさえ「私だって、もっと美しくなりたい! もっとおいしいもの食べて、高い服着て、イケメンに囲まれたいわよ! 」ドカボカドカボカドカボカッ!!

みさえ「でも、それ以上に家族を愛してるの! そのくらい我慢できなくて何が母親よ!」ガガガガガッ!!

みさえ「ワガママばかりで母親ヅラしてるアンタなんかに、私は負けない!!」ドドドドドド!!

ルザミーネ「ぐ……ッ!」

274: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/17(土) 19:39:16.95 ID:1bwQQCIO0
そのまま他の触手による拳撃がルザミーネの全身を穿ち、フィニッシュに脳天に向けて拳を振り下ろす!

みさえ「ぅオラッ!」グンッ!

ルザミーネ「――ッ!」

げ    ん

こ    つ

ルザミーネ「あ゛あ゛っ!」

ドッゴォォォ

みさえ(やっぱり――ああ、そういうことだったのね)

ルザミーネ「あ……あぐ……ウツロイドとひとつになって、ビーストちゃんの愛を得て強くなったはずなのに! どうして!!」

みさえ「……なんでアンタが私に勝てないか、分からないの?」フワッ

ルザミーネ「勝てないですって……!」

みさえ「教えてあげる。アンタが本当に愛してる人のために、戦ってるわけじゃないからよ」

ルザミーネ「何が言いたいの……!」

275: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/17(土) 19:40:20.30 ID:1bwQQCIO0
みさえ「表ではビーストを愛してるかもしれないけど、心の奥底では、別の人達を愛してあげたくてたまらないの。あなたの心と体が反発し合ってるから勝てないのよ」

みさえ「だって、さっきからあなたの攻撃、まるで手応えが感じないもの」

ルザミーネ「思い上がりも甚だしいですわ……!」カッ!

ルザミーネが光線を発射してみさえがそれを避けると、再び立ち上がった!

ルザミーネ「アアアゥッ!」ドウッ!

もう一度ルザミーネは無数に枝分かれしたパワージェムを放つと、ひろしたちの近くにあった岩を吹き飛ばし、その欠片がひろしたちにぶつかる!

ドカァァン!

ひろし「あぶねぇ!」

リーリエ「ひゃっ!」

岩の欠片から頭を守る際、無意識に自分の足元を見たその時だった。ひろしの頭の中に、かつてしんのすけが、敵の手に落ちていた自分に言ってくれた言葉を思い出した。

――とーちゃんはとーちゃんなんだよ、このニオイわかるでしょ

ひろし「……!」

276: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/17(土) 19:45:07.24 ID:1bwQQCIO0
ひろし「――これだ! こいつを使えばいいんだ!」

リーリエ「ひろしさん、どうなさったのですか?」

ひろし「思いついたんだ。しんのすけの記憶を取り戻させる手段が!」

リーリエ「本当ですか?!」

ひろし「あぁ! しかも効果も実証済みだ。リーリエちゃんも、しんのすけに呼びかけて手伝ってくれ!」

リーリエ「実証済みの意味がよくわかりませんが……わたしにできることがあるなら、なんでもやります!」

ひろし(しんのすけ――思い出すんだ! お前はこれで、俺が家族と一緒に未来を生きることを思い出させてくれた。だから今度は俺が、お前を正気に戻す番だ!)

277: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/17(土) 19:47:12.53 ID:1bwQQCIO0
その頃、精神世界では――

「逃げ……のすけ! お……!」

じぇるるっぷ――

ウツロイドの触手が、しんのすけの欠片に触れそうになったその時だった。

ムワァァァァ

ウツロイド「じぇるる!!??」

――うわっ! 臭っ!

あたり一面に、この世のものとは思えない異臭が漂い始めた。
精神世界が阿鼻叫喚の巷と化す中、バラバラになりかけていたしんのすけの心が集まり、頭痛が走る。

「くっせえ! なんだこのニオイは!?」

ウツロイド「じぇる! じぇるるる!!」ウェッ

――う、ううっ……クサすぎて……あったまいったい~!

278: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/17(土) 19:47:58.66 ID:1bwQQCIO0
しんのすけ「ううっ……うっ……!」ガクガク

ひろし「しんのすけ! 思い出すんだ!」ツーーン!

リーリエ「ひ、ひろしさん! 靴の臭いなんて嗅がせてどうするんですか!」

ひろし「他人にゃ分かんねぇかもしれないけど、これは俺たち家族だけが知っている特別な臭いなんだ! しんのすけは、それを心の奥底に刻んでいるはずなんだ!」

リーリエ「えぇ……でも、なんだかすごく苦しそうなんですけど……」

ロトム図鑑「いや、しんのすけの脳波に反応が出ているぞ。これならいけるかもしれないが……その前に私がこのニオイで機能障害を起こすかもしれん……」クラッ

リーリエ「それって、単純に臭いを嫌がってるだけなのでは……」

ひろし「リーリエちゃんもしんのすけに呼びかけるんだ! ほら、ひまわりもシロも、しんのすけに呼びかけろ!」

ひまわり「たいっ! たーやたーや!」

シロ「キャンッ!」

リーリエ「わ、わかりました!」

279: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/17(土) 19:49:31.17 ID:1bwQQCIO0
その時、リーリエの腰にくっつけていたボールから、カザマたちが飛び出した!

ポンポンポンポンッ!

ジュナイパー「ホーッ!」

ヨワシ「ヨワッ!」

キテルグマ「クーッ!」

ミミッキュ「ボッ!」

フェローチェ「フェロッ!」

リーリエ「カザマさん……! みなさんも、わかっているのですね。みんなでしんちゃんを呼びましょう!」

ジュナイパー「ホー!」

ロトム図鑑「私もしんのすけが喜びそうな美女トレーナーのデータを脳内に直接送り込んでみよう」

ひろし「あ、あのなぁ……」

280: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/17(土) 19:50:36.10 ID:1bwQQCIO0
――ぬぅっ……ううっ……オラ、オラって誰? なんでオラってここにいるの?

――しんのすけ!

――しんちゃん!

――たーやっ!

――キャンッ!

悪臭にむせていると知らないはずなのに、知っている気がする誰かの声がしんのすけに語りかけてきた。

――……しんのすけ? しんのすけって誰だっけ? そんなウルトラスーパーゴージャスな名前の人……オラ、知ってる気がする……!

――しんのすけ!

――しんちゃん!

――しんちゃん!

――しんちゃん!

――しん様!

たくさんの人たちの声が聞こえてくる。しかし、なにかが障害となって記憶を引き出せない。

――ダメだっ、思い出せない~なんだっけなんだっけぇっ

281: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/17(土) 19:51:46.64 ID:1bwQQCIO0
「やれやれ、これだけやってまだ思い出せないとは。じゃあこれならどうだ!」

エリカ「しんのすけさん!」

フウロ「しんちゃん!」

アスナ「しんのすけ君!」

マーシュ「しんのすけはん!」

ライチ「しんのすけ!」

ビッケ「しんのすけさん!」

――うっひょおおーーっ! なんか色々思い出してきたような気がする~!

――そうだ、オラはたしかおねいさんにモテモテになるために生きてるんだっけ!

――それに……このニオイ、知ってる。なんだっけ……

282: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/17(土) 19:52:27.04 ID:1bwQQCIO0
すると、霧が晴れていくようにある光景がしんのすけの目の前に現れた。
最初に見えたのは、靴下だった。
顔を上げると、靴下の持ち主の顔が――ひろしのからかうような笑顔を浮かべた顔が見えた。

ひろし「お前ってやつは、さすが俺の息子だ!」

――とーちゃん

移り変わると、次はしんのすけを必死に揺り起こしたり、必死にママチャリを漕いで幼稚園に連れて行こうとする必死な表情、そしてみさえの顔が蘇る。

みさえ「アンタは、ダメな子なんかじゃない」

――かーちゃん

いたずらをしてしんのすけを振り回すひまわりと、散歩の時のんびりとしんのすけについて行くシロ。

ひまわり「たいっ!」
シロ「アンッ!」

――ひまわりに、シロ

283: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/17(土) 19:53:03.37 ID:1bwQQCIO0
カスカベにいた頃、いつも通っていた公園やよしなが先生の家に集まっていた4人の友達とひとりの変わった友達、風間、マサオ、ネネ、ボーちゃん、あいがしんのすけに合わせるように掛け声を出す。

「カスカベ防衛隊っ! ファイヤーーッ!!」

――カスカベ防衛隊のみんな

その風間たちの姿が、ジュナイパー、ヨワシ、キテルグマ、ミミッキュ、フェローチェの姿になった。再び掛け声を出す。

「アローラ防衛隊っ! ファイヤーーッ!!」

――アローラのカザマくん、マサオくん、ネネちゃん、ボーちゃん、あいちゃん

頼りになるのかどうかもわからないけれども、しんのすけとの間に確かな繋がりを感じるロトム図鑑……もといぶりぶりざえもん。

ロトム図鑑「図鑑の使用料百億万円、ローンまたはクレジットでも可」

――ぶりぶりざえもん

284: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/17(土) 19:53:42.78 ID:1bwQQCIO0
アローラに来て初めてできた最初の友達で、しんのすけと供に島巡りに出たマラサダ好きの少年、ハウ。

ハウ「おれー? おれねーハウ! しまキングの孫! でねーニャビーがパートナーなのー」

――ハウくん

メレメレの吊り橋で出会ってから、方向音痴ですぐトラブルを起こすから、なんだか心配で世話を焼いていたら、いつの間にか自分の妹とも友達とも言える存在になった少女、リーリエ。

リーリエ「わたし……しんちゃんのように、どんな試練にも立ち向かえるようになりたいのです!」

――リーリエちゃん

285: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/17(土) 19:54:26.01 ID:1bwQQCIO0
そして、しんのすけが過去と今、未来、果てには宇宙や平行世界、夢の中で出会ってきたたくさんの人たちの顔が浮かんできた。

ほとんど別れてからずっと会っていないけれども、育んできた思い出や彼らの意志は、時を越え、世界を越え、しんのすけの中にたくさんのものを残していった。

286: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/17(土) 19:55:38.92 ID:1bwQQCIO0
最後にしんのすけとリーリエ、ハウの3人がアローラ地方を冒険している映像が浮かび、そこから枝分かれするように無数にヴィジョンが現れる。

島巡りチャンピオンになって、たくさんのおねいさんに囲まれる未来。

しんのすけとカザマたちポケモン、ハウ、リーリエ、アセロラ、グラジオたちアローラ防衛隊が、アローラ地方を守る未来。

カスカベに帰って、風間たちと再会する未来。

野原一家が集まって、いつものように力を合わせて巨悪を倒す未来。

リーリエ、そしてカザマたちとまだ見ぬ遠い地方を冒険する未来。

映し出される数多の未来。その全てで家族と友達が笑っている。
彼らの存在こそ、しんのすけをしんのすけたらしめている、かけがえのないものなのだから。


――お前の未来は、お前のもんだゾ。好きなように生きろ! じゃあな!


――思い出した!

しんのすけ「オラ、野原しんのすけ5歳! 趣味は陸に揚げられたヒンバスごっこで、今おねいさんたちにモテモテになるために島巡りチャンピオンになる途中!」

287: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/17(土) 19:57:33.46 ID:1bwQQCIO0
ロトム図鑑「……やっと思い出したか」

しんのすけ「あれ? ぶりぶりざえもん? ……っていうか、ここどこ? なんか臭っ!」

ロトム図鑑「今のお前は、夢の中にいるようなものだ」

しんのすけ「夢?」

じぇるるっぷ……!

しんのすけが記憶を取り戻したことに感づいたのか、ウツロイドが悪臭に耐えながらこっちに近づいてくる!

しんのすけ「のわっ、なんか来た!」ダッ

288: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/17(土) 19:58:19.11 ID:1bwQQCIO0
ロトム図鑑「しんのすけ、こっちだ!」

ぶりぶりざえもんに導びかれながら、しんのすけはウツロイドから逃げ出す。向こう側には、目がくらむほどの光が溢れている。
振り返ると、再びしんのすけを暗闇へ引きずり込もうとウツロイドが触手を伸ばしてくる!

しんのすけ「うわわっ、どうしよーこのままじゃ追いつかれちゃうよーっ!」

ロトム図鑑「私のコレクションの中でも秘蔵中の秘蔵! シロナの水着データブラック&ホワイト!」

シロナ(白)「しんのすけ君!」

シロナ(黒)「こっちに来て!」

しんのすけ「うおおーっ! ポ ッ ポ ー ッ ! !」ドドドドッ!!

2人のシロナのイメージを見せられ、サニーゴの頭の珊瑚を鼻先に吊るされたヒドイデの如く猛ダッシュでウツロイドを振り切り、しんのすけとロトム図鑑は光の中へと飛び込んでいった!

289: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/17(土) 20:01:03.29 ID:1bwQQCIO0
パチッ

しんのすけ「……お?」

目を開けると、自分の顔をひろしとリーリエ、そしてカザマたちが覗いていた。

リーリエ「!」

ひまわり「たいやーーっ!!」

フェローチェ『しん様がお目覚めになられましたわ!』

ジュナイパー『しんのすけっ! 大丈夫か?』

ひろし「しんのすけ……!」ウルッ

しんのすけ「オラ、確か……」

ひろし「しんのすけ……とーちゃんがわかるか?」

しんのすけ「……なんかありきたりの顔」

ひろし「るせーよ! ったく、心配かけやがって、この大バカ野郎!」ギュッ

290: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/17(土) 20:02:13.78 ID:1bwQQCIO0
ウツロイド「じぇ、じぇるるるっ!」ウェェェ

しんのすけが起き上がると同時に、取り付いていたウツロイドが自然と離れていった。ひろしの悪臭にこりたのか、若干ふらつきながら、ウルトラスペースの空へと消えていってしまった。

しんのすけ「なに、今の?」

フェローチェ『あれがしん様を操っていたビーストですわん』

ロトム図鑑「意識の中でも追っかけられていたのに覚えてないとは……」

しんのすけ「そうだっけ?」

リーリエ「……しんちゃん」

名前を呼ばれて振り返ると、リーリエが潤んだ瞳でこっちを見ていた。目元から透明な雫が何粒も彼女の頬を伝っている。

しんのすけ「おわっ、リーリエちゃん。どしたの? 顔傷だらけで汚れちゃってるよ? 今流行りのコスメティックバイオレンスってヤツ? 大丈夫?」

リーリエ「なにが大丈夫なんですかっ!!」キッ

しんのすけ「うおおっ?」ビクッ

291: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/17(土) 20:03:33.04 ID:1bwQQCIO0
リーリエは突然感情をむきだしに大声を張り上げて泣き出し、しんのすけは驚いて一瞬のけぞってしまった。
しんのすけがポニの大峡谷でルザミーネにさらわれてから今まで、抑えていたものがリーリエの中で爆発していく。

リーリエ「……っ!」フルフル

リーリエ「わたしなんか庇って……かあさまに操られて……。ホント、みんな大変だったんですよ……?」ポタポタ

しんのすけ「り、リーリエちゃん?」

吹き出てくる激しい気持ちに体を震わせて嗚咽を漏らしながら、言葉を紡ぐ。
とめどなく言葉と涙が滂沱のごとく流れて、しんのすけを濡らす。

ギュゥッ!!

リーリエ「わたし、わたしっ、かあさまと戦ってるとき、ウツロイドさんに操られてるあなたを見て、辛くて、気がおかしくなりそうになったんですから!!」

しんのすけ「えっと……オラがかわいいからつい抱きしめたくなるの分かるけど、ちょっと苦しいし、なんか怖いんだけど……」

リーリエ「もう離さない……ゼッタイにゼッタイに離さない! これからずっと、わたしが守ってあげる! だからっ……!」

リーリエ「勝手に……ひとりで遠くへ行かないで……」

しんのすけ「ほ……ほい」

292: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/17(土) 20:04:24.93 ID:1bwQQCIO0
復活したしんのすけと、感極まって泣いているリーリエのやり取りを、2人のマザービーストは戦いの手を止めて刮目していた。

みさえ「しんのすけ……よかった……! これで私たち、もとの家族に戻れたのね……!」ウルッ

ルザミーネ「……どうして? しんのすけ君は確かに、わたくしとビーストちゃんの愛情を受けて、新しい息子になったハズなのに!」

ひろし「俺たち家族の絆を舐めるんじゃねえ! 別の世界に連れてかれたって、操られたって、俺たちは心で繋がっているんだ! だから取り戻せた!」

みさえ「あなただってそうよ! どんなにあなたがリーリエちゃんを娘と認めなくても、あの子とあなたは繋がっているのよ!」

みさえの言葉に反応したのか、リーリエはしんのすけから手を離すと、涙を拭いてルザミーネを強い眼差しで見据える。

リーリエ「次は、あなたの目を覚まさせます!」

ルザミーネ「家族の絆ですって? わたくしとビーストちゃんの愛に比べたらそんなもの……!」

ふと、ルザミーネの触手を見ると、いくつものウルトラボールが握られていた。

ルザミーネ「行きなさい! ビーストちゃんたち! この不埒な人たちを、このウルトラスペースから消し去って!」ヒョイッ

293: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/17(土) 20:07:16.55 ID:1bwQQCIO0
ウツロイド「じぇるるっぷ……!」ポンッ!

マッシブーン「ブンブーン!」ポンッ!

デンジュモク「デンデンッ!」ポンッ!

ひろし「あいつ何匹ビーストを持ってやがるんだ!!」

ウルトラボールから次々とビーストが現れると、しんのすけたちになだれ込むように襲いかかってきた。
その時!

???「マヒナぺーア!」

???「グソクムシャ! であいがしらだ!」

???「エンニュート! かえんほうしゃ!」

しんのすけたちの前に飛び出してきたルナアーラがムーンフォースでマッシブーンを吹き飛ばし、グソクムシャがであいがしらでデンジュモクを弾き、エンニュートがかえんほうしゃでウツロイドを追い払った!

プルメリ「無事かい!?」

リーリエ「ほしぐもちゃん! プルメリさん!」

しんのすけ「くさやのおじさん!」

グズマ「グズマだっつってんだろ!」

294: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/17(土) 20:08:27.76 ID:1bwQQCIO0
ルナアーラ「マヒナぺィーア!」

リーリエ「ほしぐもちゃん、もう大丈夫なのですか?」

ルナアーラ「マヒナペ!」

しんのすけ「えっ? ほしぐもちゃん? なんかおっきくなったねぇ」

リーリエ「ほしぐもちゃん……コスモッグは、太陽と月の笛を使うことでルナアーラに進化するんです」

しんのすけ「ほーほー……。ケツだけ星人~! ブリブリ~ブリブリ~!」

ルナアーラ「マヒナ♪ マヒナ♪」キャッキャッ

しんのすけ「おおっ、ホントにほしぐもちゃんだ!」

リーリエ「だからそれやめてください! ほしぐもちゃんも喜ばないでって!」

ルザミーネ「グズマに伝説のポケモン……次から次へと! わたくしはビーストちゃんといたいだけなの! あなたたちはどうでもいいのです!」

プルメリ「あれが……代表なのかい? みさえも……一体何がなんだか」

ひろし「俺だってわかんねぇよ……ただ、やっと俺たちの家族が帰ってきたんだ。後は奴を止めるだけだ!」

プルメリ「そうかい。やったんだね、リーリエ」

リーリエ「はい!」

グズマ「代表……」

295: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/17(土) 20:12:08.22 ID:1bwQQCIO0
ルザミーネ「こうなったら……もっともっと、強いビーストちゃんを捕まえて迎え撃つしかありませんね!」

ルザミーネは触手を広げると、どこからともなく、ビーストの群れが現れた。触手でしんのすけたちを指差すと一斉にビーストたちが向かってきた!

ウツロイド「じぇるるっぷ……!」

カミツルギ「カミィィ!」

マッシブーン「ブンブーン!」!

アクジキング「ズモォォォッ!」

デンジュモク「デンデンジュ!」

ルザミーネ「……!」グニュッ

同時に、ルザミーネもウルトラスペースの奥へと姿を消した。

しんのすけ「あーっ! 逃げるなー!」

ウツロイドたち「じぇるるっぷ!」

ウツロイドの1匹が、しんのすけとリーリエに襲いかかる!

リーリエ「きゃっ!」

みさえ「オラァッ!」ドンッ!

ウツロイド「じぇるるっ!?」グシャ

296: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/17(土) 20:13:15.74 ID:1bwQQCIO0
しんのすけ「うわっ、かーちゃんも妖怪メノクラゲオババになってる!」

みさえ「当たり前でしょ! 子供がピンチになったら、どんなことをしてでも助けるのが親なの! あんたを助けられるのなら、メノクラゲオババにもケチケチオババにもなんでもなってやるわよっ!」ブンッ!

ウツロイド「じぇるっ!」ドシャッ

近づいてくるビーストを触手でなぎ倒しながら、みさえはリーリエへと顔を向けた。

みさえ「あなたのお母さんと、戦ってみてわかったの」バキッ!

みさえ「あの人がもし本気でビーストのことを愛していたら、私、どうなっていたかわからないわ。でもね、心の奥底で、ビーストにとりつかれている自分に抗っている、母親としてのルザミーネさんが見えたわ」ドゴッ!

リーリエ「みさえさん……」

みさえ「子供を大事に思わない母親なんて、いない。……ルザミーネさんだって、あなたを嫌っているわけじゃない。それは絶対に言い切れる。あなたも、それを心のどこかでわかってると思う。だって、家族はみんな心で繋がっているもの」ガスッ!

リーリエ「……!」

みさえ「でも、それを伝えるのは私じゃない。あなた自身がしなきゃいけないこと」

みさえ「さ、ここは私達に任せて、あなたはママにきちんと自分の言葉を伝えに行きなさい。しんのすけも、リーリエちゃんのサポートお願いね!」ドギャッ!

リーリエ「はいっ! しんちゃん、ほしぐもちゃん、かあさまを追いましょう!」

297: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/17(土) 20:14:04.28 ID:1bwQQCIO0
しんのすけ「みんなー行くぜい!」

ジュナイパーたち『おうっ!!』

ルナアーラ「マヒナペーア!」

プルメリ「グズマ、あんたも代表に筋通しに行くんだろ? ここはあたいらに任せて、行ってきな!」

グズマ「ああ……!」

リーリエ「その前にしんちゃん……ズボン履いてください」つズボン

しんのすけ「なんで? オラ別にこのまんまでもいいんだけど」

リーリエ「履 い て く だ さ い ! 常 識 で す っ !」シャーッ!

304: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/18(日) 18:43:01.26 ID:AhocT7pU0
一方その頃、月輪の祭壇では……。

テッカグヤ「フー……」

アクジキング「グモォォォッ!!」ガツガツムシャムシャ

ハプウ「ぬぅ……なんとしぶといビーストじゃ! バンバドロといい勝負じゃな!」

バンバドロ「ヒヒウンッ……!」

ハウ「ガオガエン、まだ戦えるー?」

ガオガエン「ガォォッ……」

ハウ「グラジオー、ヌルはへいきー?」

グラジオ「……」

ヌル「オォォ……」ブルブルッ

305: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/18(日) 18:47:08.68 ID:AhocT7pU0
ヌルは全身に大やけどを負って、弱々しくその場で横たわっていた。

マリエ庭園での戦いからアクジキングに警戒はしていたものの、アクジキングのタフさと威力にものを言わせた攻撃で、次第に弱っていき、さらにそこへテッカグヤの大文字を食らってしまい、体力は限界に近づいたのだ。

グラジオ「ヌル……すまない。オレが不甲斐ないばかりに、何度もオマエを傷つけてしまった」

ヌル「……」

リーリエがエーテルパラダイスに連れ去られた時の怒りを抱いたまましんのすけと戦った時、ヌルに余計な傷を追わせてしまった。マリエ庭園でも己の慢心のせいで、危うくヌルが食われてしまうところだった。

グラジオ「許しを請うわけじゃない……。だが、オレは――」

ヌル「オ……オオッ!」ユラッ

だが、ヌルは4つの足でしっかりと立ち上がり、緑色の瞳をグラジオに向けた。まるでグラジオに「しっかりしろ、オマエと俺は一心同体だ」と語りかけているように。

グラジオ「ヌル……またオレと供に戦ってくれるか?」

ヌル「オォォッ……!」

ピシピシッ!!

306: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/18(日) 18:48:29.03 ID:AhocT7pU0
グラジオの言葉に応えるがごとく、ヌルの力を拘束していたカブトにヒビが入る。ヒビの内側から、光が漏れ出してくる。

ハウ「ヌルのカブトがー!」

グラジオ「オレを、信じてくれるか?」

ピシビキッ!

グラジオ「なら――今こそオレにチカラ、貸してくれ!」

ピシッ!

グラジオ「『 シ ル ヴ ァ デ ィ 』 ! ! 」

バキンッッ!!

シルヴァディ「ド ド ギ ュ ウ ウ ー ン ッ !」

タイプ:ヌルを制御していたカブトが外れ、その中から白い毛並みに覆われた、猛禽類のごとく勇ましい顔が現れて咆哮を上げた!

ハウ「ヌルが、進化したー!」

ハプウ「おおっ! なんと荘厳なポケモンじゃあ!」

307: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/18(日) 18:50:37.30 ID:AhocT7pU0
グラジオは懐に手を伸ばすと、一枚のメモリを取り出した。

グラジオ(奴のタイプはあく・ドラゴン! ならばこのタイプだ!)

グラジオ「シルヴァディ、ARシステム起動!」

グラジオ「無垢なる力から、遍くを浄化する神聖なる力へ、その身の性質を変化しチカラ、振え!」スッ

グラジオはシルヴァディの頭部に向かってメモリを投げると、それをわかっているようにシルヴァディも飛び出し、メモリを頭部に受け止めた。すると、頭部や尻尾が白から鮮やかな桃色へと変色した!

シルヴァディ「……!」キラキラッ

グラジオ「シルヴァディ! ヤツにマルチアタックだ!」

シルヴァティ「オオオッ!!」ダッ!

ARシステムでフェアリータイプとなったシルヴァディは、一度力を溜めると飛び出し、アクジキングに両前足の爪で切り裂いた!

ザンッ!!

アクジキング「ズモッ! オォォォ……」

ズズンッ

一撃を喰らい、沈んでいくアクジキング。
シルヴァディはフェアリーメモリを頭部から飛び出すと、グラジオはそれをキャッチ。代わりにグラジオはエレクトロメモリを取り出すと、それをシルヴァディの頭部に投擲した!

グラジオ「遍くを浄化する神聖なる力から 万物を貫く雷霆の力へ、その身の性質を変化しチカラ、振え!」

308: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/18(日) 18:51:37.89 ID:AhocT7pU0
するとシルヴァディの体色が黄色に変色し、電気を帯び始めた!

シルヴァディ「……!」バチバチッ!

ハプウ「ほにゃあ……その奇妙な機械を使って、タイプを変化させているのか!」

グラジオ「そう、これがビースト・キラーであるタイプ:ヌル……シルヴァディの真髄だ!」

グラジオ「シルヴァディ、その森羅万象の力を異界の敵にふり下ろせ! もう1匹のビーストにマルチアタックだ!」

シルヴァディ「オオォッ!!」

今度はでんきタイプになったシルヴァディは、雷鳴の如き疾さでテッカグヤに接近すると、顔から足に掛けて、電気を帯びた爪で唐竹に切り裂く!

ザンッ!

テッカグヤ「フー……!?」

アクジキングと同じように、テッカグヤも、でんきのマルチアタックで大きなダメージを負い、巨体が大きな音と振動を立てて倒れ伏した。

ハウ「ヌル、すごい……!」

シルヴァディは身を翻してグラジオのもとに戻ると、甘えるように顔をグラジオへ摺り寄せた。

シルヴァディ「オオオ……」スリスリ

グラジオ「フッ……これからも、頼む。シルヴァディ」

309: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/18(日) 19:02:14.95 ID:AhocT7pU0
ウルトラスペース 奥

ルザミーネ「どこまでもどこまでも……しつこい人たちですわね!」ギロッ!

リーリエ「かあさまを元の世界に連れて帰るなら……追います! どこまでも!」

ルナアーラ「マヒナぺーア!!」

しんのすけ「やい、妖怪メノクラゲオババ! オラが来たからにはもう負けないゾ! 大人しく降参しろ!」

ルザミーネ「しんのすけ君――残念ですわ……大人しくわたくしの息子になっていればいいものを。そうすれば、ビーストちゃんと一緒に、新しい未来を切り拓けたかもしれないのに」

しんのすけ「オラのかーちゃんはみさえだもん! ルザミーネおねいさんの子供はリーリエちゃんとクジラくんでしょ!」

ルザミーネ「そんなこと、もうどうでもいいでしょう。……本当はこのまま、アローラもこの世界も、ビーストで満たすはずだったのに!」

ルザミーネ「こうなれば、わたくし自身があなたたちを直々に葬ってあげます。ビーストちゃんの力を得たわたくしに、伝説のポケモンなど取るに足りません!」グニャッ!

しんのすけ&リーリエ「……!」スッ

グズマ「……ちょっといいか」

310: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/18(日) 19:05:12.02 ID:AhocT7pU0
しんのすけ「んもーなに? せっかく気合入れるところだったのに」

グズマ「一度、代表と話す時間をくれ。代表には世話になったからな……その筋を通してえんだ」

しんのすけ「魚の卵の……」

リーリエ「それは筋子です」

ルザミーネ「グズマ……ふらりと消えていったと思ったら、その子達についていたのね。だらしのないコ」

グズマ「……今まで俺たちを助けてくれて、カンシャしてるぜ。代表」

グズマ「最初に、代表と会ったときのこと、今でも覚えてる」

ルザミーネ「……」

グズマ「あんときゃスカル団もまだ名が知れてなかった頃だけどよぉ。ポータウンに代表が直々にやってきて援助をするって聞いたときはびっくりしたぜ」

グズマ「そしてなにより、生まれて初めてオレの力が必要だと言われたことが、胸ん中に刻まれてるんだ」

グズマ「嬉しかったぜ……。今まで、オレ様の気持ちを理解せず、期待ばかり押し付けて勝手に失望しやがった師匠や親どもと違っていたからな。俺にとって代表は、自分の力を認めてくれるだけじゃなく、本当の親のように思える時さえあった」

ルザミーネ「そう」

311: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/18(日) 19:06:22.90 ID:AhocT7pU0
グズマ「……ブッ壊してもブッ壊しても手を緩めなくて嫌われているグズマさまだがよ、これだけは一つ言わせてもらうぜ」

グズマ「アローラをブッ壊してまで、代表がしたかったことが正しいとはオレは思わねぇ」

グズマ「ウルトラビーストに愛を注ぐのは代表の勝手だ。だが、アローラにはオレとあいつらの居場所があるんだ。代表の好き勝手にしていいもんじゃねぇだろうが」

ルザミーネ「破壊という言葉が人の形を成しているあなたが、それを言うのかしら?」

グズマ「ああ、歯向かうもんをブッ壊すのは好きだがよ、大事なもんまでブッ壊されるのは我慢なんねぇのがグズマ様だ」

ルザミーネ「じゃあ今度は、あなた自身が壊れる番よ」ブンッ!

グズマ「!」

ルザミーネが不意をつくようにグズマへ触手をふり下ろそうとした刹那、矢羽根が空を切り、触手を弾いた。
驚いたグズマが背後へ振り返ると、カザマが弓を構えていた。

グズマ「じゃがいも小僧……」

しんのすけ「おじさん無茶しちゃダメ。オラたちに任せなさい」

リーリエ「グズマさん……あなたがかあさまに向けた想い、わたしたちが代わりに伝えます!」

グズマ「……仕方ねぇ、好きにしな」

グズマ(やっぱりよぉ……結局オレは、代表にとっちゃ都合のいい道具だったのか。じゃがいも小僧たちに任せんのも癪だが、頼んだぜ。お前たちが代表に言葉と想いを届けてくれや)

グズマが身を引くと、しんのすけとリーリエ、ルザミーネが視線をぶつけ合う。

312: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/18(日) 19:09:42.82 ID:AhocT7pU0
ルザミーネ「親に縋らないと生きることもできない子供の分際で、わたくしに逆らおうなどと、絶対に許しません! この力で、脆弱なあなたたちを消し去ってあげる!」

ルザミーネはたけりたちながら、触手を振り下ろすとネネが前に立って触手を受け止めた!

キテルグマ『消し去るですって? 上等じゃない!』ググッ

ネネは渾身の力で触手を押し返すと、ルザミーネがよろめく。その隙にあいが飛び出し、ルザミーネにとびひざげりを放つ!

フェローチェ『あいはしん様以外、誰のものにもなるつもりはありませんわ。あなたの愛なんて、受けたくありませんの』ドゴッ!

あいのとびひざげりを受けて、ルザミーネは岩壁にぶつかるとぎょろりと彼女を凝視した。反撃しようと触手をしならせて動き出した瞬間、マサオが口を膨らませ、ボーちゃんは垂れている鼻水の影を爪に変えて飛び出してきた。

ヨワシ『僕たち、ひとりひとりじゃ弱いかもしれないけれど』ブシューッ!

ミミッキュ『みんなで力を合わせれば、怖いものはない!』ジャキンッ!

ボーちゃんのシャドークローが触手を弾き、マサオのハイドロポンプでルザミーネを上空まで押し上げた!

ルザミーネ「このっ……!」バッ!

ルザミーネは煌く石を出現させると、パワージェムを放つ!

ジュナイパー『だから僕たちはしんのすけと歩んでいくって決めたんだ! みんなで強くなって、島巡りチャンピオンのポケモンになるって!』ドシュッ!!

ドゴォォンッ!!

313: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/18(日) 19:10:56.99 ID:AhocT7pU0
カザマが放ったかげぬいの矢とパワージェムの光線がぶつかりあうと爆発して、そのまま打ち消された!

ルザミーネ「ヴアアアウッ!」ゴウッ!

怒りをそのまま放出するように、ルザミーネは次にすべての触手からパワージェムの光線を発射した!

リーリエ「ほしぐもちゃん!」

ルナアーラ「マヒナぺィーアッッ!!」カッ!

ルナアーラが雄叫びを上げると、透明の大きなバリアがしんのすけたちを覆い、ルザミーネのパワージェムを防いだ!

ルザミーネ「……なんなんですか」ワナワナ

ルザミーネが苛立ちを隠せないように全身を震わせて金色の眼差しをしんのすけ達に向ける。

ルザミーネ「なんなんですか、あなたたちは! 何の意味があってわたくしの邪魔をするのです!」

リーリエ「邪魔ではありません! 道を踏み外したかあさまを救いたいのです!」

しんのすけ「オラ、みんなと一緒にだいたい試練をクリアして、島巡りチャンピオンになって、おねいさんたちモテモテになりたい!」

しんのすけ「――だからっ、妖怪メノクラゲオババなんかに……オラたちの未来を、めちゃくちゃにされてたまるもんかーーーっ!」

カッッ!!

314: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/18(日) 19:11:47.35 ID:AhocT7pU0
突然、しんのすけの強い想いに答えるかのように腕にはめているZリングが赤い光を発した。Zリングから解き放たれる赤い光を浴びたカザマたちも、赤いオーラをまとった!

ゴウッ!!

ジュナイパー『!』

リーリエ「しんちゃんのZリングが……!」

しんのすけ「んんっ、なんか熱い!」

グズマ「このオーラは――ぬしポケモンが纏うオーラと同じじゃねぇか!」

キテルグマ『なに……これ?』

ヨワシ『力が湧いてくる……!』

ミミッキュ『やっぱり……』

フェローチェ『どうなさったのですか?』

ミミッキュ『僕らはウルトラホールを通って、この世界にやってきた。今の僕らはぬしポケモンたちと同じ、Zパワーを宿してる』

315: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/18(日) 19:13:08.64 ID:AhocT7pU0
ジュナイパー『以前……ボーちゃんは、ぬしポケモンはウルトラホールのエネルギーを浴びて力を増したって言ってたね』

ミミッキュ『うん、そして、しんちゃんのZリングもウルトラホールのエネルギーをまとって、僕らと心を通じ合わせた』

しんのすけ「ほーほー、つまりオラとカザマくんたちは今、心と心が絡み合ってる関係ということですな! いや~ん」

ジュナイパー『間違ってないけど、気色悪い言い回しをするな!』

フェローチェ『それで、なにをすればよろしいのですか?』

ミミッキュ『みんなのZパワーと、しんちゃんの想いを重ねる!』

ミミッキュ『しんちゃんのZリングに、みんなに宿ったZパワーを! しんちゃんは、みんなのZパワーとひとつになる! そうすれば、何かが起きる!』

しんのすけ「よーし! アローラ防衛隊、ファイヤーーーーッ!!」ダッ!

カザマたち『フ ァ イ ヤ ー ー ー ー ッ ! !』ゴウッ!

しんのすけがジャンプしてZリングを掲げると、カザマたちは一斉にZパワーを放出した! 赤いオーラがしんのすけのZリングに集まっていき、しんのすけを覆っていく!

キィィィィン!

ルザミーネ「今度は何をしようって言うの……?」

316: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/18(日) 19:13:49.35 ID:AhocT7pU0
ゴウゥッ!!

オーラが振り払われると、しんのすけは地面へと着地した。その場にいた全員が、しんのすけの左手には、Zパワーに包まれる前には持っていなかった、あるものを握っている事に気付いた。

しんのすけ「……!」

ルザミーネ「それは……っ!」

しんのすけの手に握られているのは、不思議な桃色に輝く球体のクリスタル。その内側には、アクション仮面のマークが刻まれていた。

ルザミーネ「――Zクリスタル?!」

317: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/18(日) 19:14:40.11 ID:AhocT7pU0
しんのすけ「これがオラたちアローラ防衛隊のゼンリョク! 愛と正義と女子力とゆるゆるさの結晶! 『アクかめZ』だゾ!!」キランッ

ジュナイパー『女子力とゆるゆるさは余計だよ!』

グズマ「嘘だろ……。じゃがいも小僧のヤツ、Zクリスタルを創ったっていうのかよ!」

リーリエ「新しいZクリスタルを創っちゃうなんて、そんなの本にも……ううん、こんなこと……しんちゃんもポケモンさんも、すごいですっ! すごすぎです!!」

ミミッキュ『ボ! 人とポケモンの絆と想いに、ウルトラホールのエネルギーが加わることで、Zクリスタルは創られる! 僕の予想が、当たってた!』

ルザミーネ「Zクリスタル――そんなもので! このわたくしを倒せると思わないで!」

ジュナイパー『しんのすけ! Zワザ行くぞ!』バサッ!

しんのすけ「ブ・ラジャー!」

バッ! バッ!
A! B! B! A! A! B! →! →! ←!

グズマ「なんだァ? あの変わったポーズ?!」

ピカッ! ゴウッ!!

カザマは Zパワーを 身体に まとった!

カザマが 解き放つ
全力の Zワザ!

ア ク シ ョ ン ビ ー ム ガ ン !

318: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/18(日) 19:17:57.98 ID:AhocT7pU0
カザマは片翼を上げると、赤と青と白色の光が集まってきた。そして空いたもう片方の翼を弓状に折り曲げた。光が虹色の矢の形になると、カザマは矢を翼につがえて引き絞った。

ルザミーネ「そんなものっ!」ゴウッ!

ルザミーネが触手を広げると、赤いオーラをまとい数え切れない程の煌く岩を出現させて、それを結集させた。巨大なパワージェムとなり、極大の光線を放つ!

ルザミーネ「ルァァァッ!!」カッ!

ドゥゥゥゥッ!

しんのすけ「カザマくん! ファイヤーーッ!」

ジュナイパー『ファイヤーーーッ!』バシュッ!

ゴウッ!!
キィィィィィン!!

カザマが手を離すと、光の矢が、先端にアクション仮面を象った赤いビームとなり、ルザミーネに向けて発射された!

ジュナイパー『うわあっ!』

反動でカザマが後方へ下がっていくが、しんのすけとマサオ、ネネ、ボーちゃん、そしてあいちゃんが抑える。

しんのすけ&ジュナイパー「ぬくくくっ……!」

ドドドドドドド!!!

ルザミーネ「ヴヴヴヴッ!!」

パワージェムとアクションビームがぶつかりあい、Zパワーによるワザ同士のつばぜり合いが始まる!

319: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/18(日) 19:20:58.89 ID:AhocT7pU0
リーリエ「――ほしぐもちゃん! しんちゃんたちを助けてッ!」

ルナアーラ「マヒナペッ!」バサッ!

ルナアーラが飛び出すと、再び第三の目を開眼し、全身が真っ白に染まる。
フルムーンフェーズになったルナアーラは、アクションビームガンを補助するように、青い波動をビームガンに向けて放った!

ルナアーラ「マヒナぺーーーアッ!!」カッ!!

ブゥゥゥンッ!!

ルザミーネ「なにをっ!」

ルナアーラが力を貸すと、一気に威力が増大したアクションビームガンがパワージェムを押切り、ルザミーネの全身を貫く!

ゴ ウ ッ ! !

ルザミーネ「うああああーーーっ!!」

ルザミーネ「嫌っ! 嫌あああっ! この世界は……自分の愛する……美しいものでなければならないのに……!」ピシッ ピシッ

320: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/18(日) 19:22:05.58 ID:AhocT7pU0
リーリエ「いいえ、世界はあなたの愛を満たすためのモノではありません!」

ルザミーネ「!」

ルザミーネを覆っているウツロイドが光を放ち、苦痛に悶える中、リーリエの声がルザミーネに響く。

リーリエ「興味を失ったらそれまでなんて、ひどすぎです!」

リーリエ「――ですけど、あなたはそれを分かっていたはずです! 本当のかあさまは、どんなポケモンも心の底から愛していました。わたしのことも、にいさまのことも愛していました!」

リーリエ「だから戻ってきてください、あの頃の――みんなを、人もポケモンも本当の意味で愛していた昔の優しいかあさまに!」

ルザミーネ「……ッ!」

パキンッ!
ドォォォォン!!

そして、ルザミーネを中心に大爆発が起きた。衝撃波がたちどころにしんのすけたちを襲い、吹っ飛ばされてしまう。

しんのすけ「おわわっ!」

ジュナイパー『うわぁぁっ!』

ゴゴゴゴゴ……

グズマ「ど、どうなっちまったんだよお……?」

しんのすけ「……あ!」

321: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/18(日) 19:22:55.58 ID:AhocT7pU0
爆発が収まり、煙も空へ溶けるように消える。
空中には人間の姿に戻ったルザミーネと1匹のウツロイドが浮かんでいた。ウツロイドはボールへと戻るとその場に転がり、ルザミーネも同時に地面へ倒れた。

リーリエ「かあさまっ!」ダッ!

倒れて目を閉じるルザミーネに、リーリエが駆け寄る。
リーリエが顔を覗くと、うっすらと、ルザミーネも目を開けた。

リーリエ「かあさま……」

ルザミーネ「リーリエ……」

すると、ルザミーネは自分の右手を持ち上げて、傷と砂で汚れたリーリエの顔に、優しく触れた。リーリエも、ルザミーネの手をそっと握る。

ルザミーネ「……」

リーリエ「……」コクンッ

ルザミーネ「……ふふ」

先ほどの狂気に満ちたモノではなく、どこか満ち足りて安心したような微笑みを浮かべると、人差し指を、リーリエの唇に当てた。

ルザミーネ「あなた……少しは、きれいになったのね……」

それを最後に、右手が崩れ落ち、ルザミーネは意識を失った。

322: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/18(日) 19:23:41.04 ID:AhocT7pU0
「しんのすけーっ!」

しんのすけ&リーリエ&グズマ「!」

振り返ると、マザービーストの姿から元に戻ったみさえとひろし、ひまわりとシロ、そしてぶりぶりざえもんとプルメリが駆け寄ってきた。

みさえ「2人とも大丈夫? みんな無事?」

しんのすけ「おわっ! 妖怪メノクラゲオババから醜い妖怪ケチケチオババに戻ってる!」

みさえ「もっかいメノクラゲオババに戻ってやろうか? あ?」

しんのすけ「い、今の美人のママでいいです」

ひろし「ルザミーネは?」

リーリエ「かあさまは……戻ってきました」

リーリエの笑みを見て、みさえも笑いかける。

みさえ「……そう、やったのね」

ズズンッ!!

323: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/18(日) 19:24:46.29 ID:AhocT7pU0
全員「!」

突如、ウルトラスペース全体が揺れ始めた!

グズマ「なんだ? どうしたってんだよ!? いいところだってのによお!!」

――じぇるるっぷ……!

しんのすけたちの周囲に、再びウツロイドが出現した!

リーリエ「ウツロイドさんが、たくさん……!?」

プルメリ「こりゃ、穏やかじゃなさそうだね……!」

リーリエ「ほしぐもちゃん!」

ルナアーラ「マヒナぺーア!!」

ルナアーラは雄叫びを上げると、しんのすけたちが光に包まれていく。ウツロイドたちが襲いかかろうとした瞬間、ウルトラスペースから姿を消した。

324: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/18(日) 19:41:32.71 ID:AhocT7pU0
月輪の祭壇

――マヒナぺーアッ!

ルナアーラの鳴き声で我に返ると、しんのすけたちは月輪の祭壇に戻っていた。

「!」

ハウ「あー! みんな戻ってきたー!」ピョンピョンッ

グラジオ「フッ……みんな取り戻せたようだな」

ハプウ「伝説のポケモンはおるわ、ウルトラホールは空いておるわで何事かと思ったが……まあなにはともあれ、みな無事で良かった」

ハウ「わーーしんのすけー! 無事だったんだねー! よかったよー!」ギュウウウッ

しんのすけ「ううっ、ハウくん気色悪っ!」

ハウ「気色悪くたっていいよー! しんのすけがいなくなっちゃうくらいならいくらでも気色悪くなるもんー!」スリスリ

ハプウ「しんのすけ、無事でなによりじゃ。よく戻ってきた」

リーリエ「にいさま! かあさまは?」

グラジオとハプウはルザミーネのそばに立って、脈を測り容態を確認する。

グラジオ「……衰弱しているが、意識を失っているだけだ」

325: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/18(日) 19:44:30.85 ID:AhocT7pU0
ハプウ「そこのでかいの、ルザミーネをお連れしろ……弱っておられるが無事じゃ。はやく手当てせねばのう」

グズマ「え?」

グラジオ「……グズマ」

グズマ「……!」

グラジオ「母上を、頼む」

グズマ「……ああ、言われるまでもねえ」

プルメリ「あたいも手伝うよ」

グズマとプルメリは、バンバドロにルザミーネを乗せると、月輪の祭壇の階段を降りていった。このままエーテルパラダイスに連れて応急処置を受けるのだろう。

ハプウ「リーリエ……ハウとグラジオから話は聞いたぞ。しんのすけを助けるために、ポケモントレーナーになって、しんのすけのポケモンたちと力を合わせたそうじゃな」

リーリエ「は、はい!」

ハプウ「顔を見ればわかる。よく頑張った。おかげでお主の大切なもの、すべて取り戻せたようじゃな」

326: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/18(日) 19:45:59.33 ID:AhocT7pU0
しんのすけ「えっ、カザマくんそうだったの?」

ジュナイパー『あぁ、一度リーリエさんの手持ちになったんだ。僕らも彼女も、お前を助けたいって気持ちがあったから、僕らも力を貸してあげたんだ』

キテルグマ『技の指示になれるの、大変だったんだから』

ヨワシ『でも、ぶっちゃけリーリエさんの方がこまめに世話をしてくれたし、頼りになったよ』

しんのすけ「」ガーーン!

しんのすけ「どーせオラなんてトレーナーに向いてないもん……」ズーン

ヨワシ『う、嘘だよしんちゃん!』

フェローチェ『ご心配なく、あいはいつでもしん様の味方ですわ!』

キテルグマ『ホントはみんな、しんちゃんと戦いたかったんだから!』

ジュナイパー『Zクリスタルを創っただけでも、充分ありがたいよ!』

ミミッキュ『よっ、色男』

しんのすけ「いやぁそこまで言われちゃあねぇ」ルンルン

ジュナイパーたち『はぁ……』

リーリエ「ルナアーラさん……あなたを元の世界に戻すはずだったのに……わたしが助けてもらってばかり」

リーリエ「……本当に……本当にありがとうね!」ニコッ

327: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/18(日) 19:46:49.17 ID:AhocT7pU0
ルナアーラ「マヒナペーア!」

リーリエ「どう……したの?」

ルナアーラの顔を見ていると、どこか嬉しそうで、それでいて物足りないというふうに、リーリエは感じ取った。

リーリエ「……!」

リーリエ「あなたの考え……当ててみましょうか?」

リーリエ「あなた……わたしやしんちゃんと、まだまだ旅をしたいんでしょう?」

ルナアーラ「マヒナペ!」

リーリエ「当たり、でしょ!」

リーリエ「だって……だって、わたし、あなたとずっとそばにいた……言ってみれば家族だもの。あなたの想い、わかります」

リーリエ「わたしも同じ。アローラのいろんな島を巡り、多くの出会いがありました。ククイ博士とバーネット博士、しまキングのハラさんと孫のハウさん。それから、オニスズメから助けてくれたしんちゃんと、野原さんの方々……ほかにもほかにもたくさん……」

リーリエ「あなたの暮らしていた世界がどんな世界かわかりませんが、アローラの世界も知りたいよね!! ハラさんがおっしゃっていたでしょ? ポケモンや人に出会うことで人生がおもしろくなるって!」

ルナアーラ「マヒナペ!」

328: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/18(日) 19:47:54.42 ID:AhocT7pU0
リーリエ「でもね、わたしではダメだから……。わたしには、あなたが望む冒険、ポケモン勝負はできないもの……」

リーリエ「それに……あなたに謝らなきゃいけません」

リーリエ「かあさまと戦う時……わたしは勝手にあなたを賭けてしまったんです。それしか、しんちゃんとかあさまを助ける道は無かったからです」

リーリエ「それでも……あなたの気持ちを無視したことに変わりはないです。あなたの家族として……いいえ、人として許されることではありません」

ルナアーラ「……」

みさえ「リーリエちゃん……」

リーリエはしんのすけと向きあった。

リーリエ「しんちゃん。このコと向き合って、連れて行ってくれますか? このコの想い……あなたと一緒に旅をしたい想いを叶えてほしいのです!」

しんのすけ「うーん……」

しんのすけはリーリエを、次にルナアーラを見ると、

しんのすけ「……めんどくさいからヤダ」

リーリエ「え?」キョトン

329: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/18(日) 19:51:32.88 ID:AhocT7pU0
しんのすけ「オラ、カザマくんにマサオくんにネネちゃん、それからボーちゃんに新メンバーのあいちゃんがいるからいっぱいいっぱいだもん。そんなこと言わずに、リーリエちゃんが連れてけばいいじゃん」

しんのすけ「ねーほしぐもちゃん」

ルナアーラ「マヒナぺーア!」

リーリエ「で、でも……わたし、ルナアーラさんの気持ちを無視して……」

ハプウ「本当にそうかのお?」

ハプウは前に出ると、ルナアーラの様子を見た。

ハプウ「もしリーリエに裏切られたと思っておるのなら、とうの昔にお前のもとから去ってるじゃろうに。むしろこやつはしんのすけの答えに同意しておるように見える」

みさえ「リーリエちゃん。あなたはさっき言ってたわよね。ほしぐもちゃんと家族って。ほしぐもちゃんの想いが分かるって」

リーリエ「ええ……」

みさえ「なら、今のほしぐもちゃんの気持ちも、きっとわかるはずよ」

リーリエ「……」

330: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/18(日) 19:52:18.40 ID:AhocT7pU0
グラジオ「オレも……最初からヌルと心を通じ合わせられたわけじゃない。何度もぶつかりあい、傷つけ合い、その果てにようやく互いを知り……絆を深められた」

グラジオ「リーリエ、ルナアーラと供に生きるんだ。前途多難だろうが、それがオマエとルナアーラにとっての幸せだ。オレでも、そのくらいは分かる」

ひろし「それにすごかったぞぉ、ビーストの世界でのリーリエちゃんの奮闘! 俺は間違いなくリーリエちゃんなら立派なトレーナーになれると見たぜ。ルナアーラも幸せもんだよ」

ハウ「リーリエもさー、ルナアーラと強くなりなよー。きっと、もっと楽しいことが待ってるからさー!おれ、ルナアーラと一緒にいるリーリエと戦ってみたいー!」

しんのすけ「うんうん、ほしぐもちゃんも『いっしょにいたい』って言ってるし」

リーリエ「本当なんですか……しんちゃん? ルナアーラさんの声、聞こえたんですか?」

しんのすけ「ちょっとだけねー」

331: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/18(日) 19:55:31.00 ID:AhocT7pU0
リーリエはしんのすけを、そしてグラジオ、ハウ、ひろし、みさえ、ハプウを、最後にルナアーラへ目線を移した。
ルナアーラは静かにリーリエを見据えている……。

リーリエはルナアーラに歩み寄ると、

リーリエ「……いてくれるんですか?」

リーリエ「……本当に、わたしと一緒にいてくれるんですか?」

ルナアーラ「マヒナペ!!」

リーリエは両手をルナアーラに伸ばすと、ルナアーラはリーリエに近づいて、優しくカギ爪を使って彼女の華奢な体を持ち上げて、自身の顔のそばまで持っていった。
そしてリーリエはルナアーラに触れると、そっと額をくっつけた。

リーリエ「……ありがとう」

リーリエ「じゃあ……これからずっと、よろしくお願いしますね! ほしぐもちゃん!!」

ルナアーラ「マヒナぺーア!!」

ルナアーラが嬉しそうに声を上げる。リーリエにも笑顔が戻り、正真正銘自分のパートナーが出来たことを喜んだ。

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332: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/18(日) 19:56:22.55 ID:AhocT7pU0
ハウ「やったねーリーリエー!」

ハプウ「伝説のポケモンを友に、か。めでたいのう」

グラジオ「フッ……」

ひろし「君なら、しんのすけやハウくんに負けないくらい、立派なトレーナーになれるさ」

みさえ「これから先、楽しいことも苦しいことも待ってると思う。だけど、その子が力になってくれるわ。頑張ってね!」

リーリエ「はい!」

しんのすけ「またケツだけ星人見たければいつでも見せてあげるから、リーリエちゃんの言うこと、ちゃんと聞くんだゾ」

ルナアーラ「マヒナぺィーーアッッ!」ラジャッ!

リーリエ「ほしぐもちゃん……さっきよりずっと気合入った声になってませんか?」

ヨワシ『すごいなぁ、伝説のポケモンを仲間にするなんて』

ジュナイパー『……おい、しんのすけ、本当にルナアーラの声、聞こえてたのか?』

しんのすけ「聞くまでもないでしょ」

333: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/18(日) 19:57:08.66 ID:AhocT7pU0
ジュナイパー『……ああ、そうだね』

フェローチェ『しん様……やっぱりお優しい方』ウットリ

キテルグマ『なによこいつ、しんちゃんにすっごく馴れ馴れしくない?』

ひろし「じゃあみんな、帰ろうぜ! 全部終わったこと、パラダイスにいるみんなに伝えなくちゃな!」

「おーーーっ!!」

しんのすけ「……」クラッ

ドサッ

フェローチェ『し、しん様!?』

しんのすけ「へぇぇ……」

みさえ「ど、どうしたの?」

しんのすけ「お腹すいたし、なんか全身から力が抜けてオラのカラダはドボドボだゾ……」

ジュナイパー『ボロボロ、だろ。でも本当に大丈夫か?』

リーリエ「しんちゃん……3回も連続してZワザ、使って頑張ってましたから。ずっと飲まず食わずであっちの世界にいましたし……」

ハウ「さ、3回も連続でZワザ使ったのー!?」

リーリエ「使ったというか、そのうち2回は使わされたというか……」

334: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/18(日) 20:00:55.77 ID:AhocT7pU0
ハウ「Zワザってー、とっても体力を使うのにー……。3回もやっちゃったら死んじゃうって!」

ハプウ「ああ、よく生きてたのう……向こうでの戦いは壮絶なものだったようじゃな」

リーリエ「……」スッ

リーリエは、しんのすけを優しく抱き上げると、しんのすけの背中に手を回したまま階段を降り始めた。

しんのすけ「おー? いいの?」

みさえ「そんなことしなくても私がおぶっていけば――」

リーリエ「いいんです。今は……こうしていたいんです」

335: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/18(日) 20:02:02.81 ID:AhocT7pU0
みさえ「……そう。じゃ、お願いね」ニコッ

しんのすけ「こりゃ楽でいいやー」

リーリエ「ふふっ……」

しんのすけは眠たげながらも満足した顔で、リーリエは取り戻せた大切な人の温もりを感じながら幸せそうな表情で、階段へと向かった。その後ろを、ルナアーラがついてくる。

ルナアーラ「マヒナぺーア!」

夜が明けて、空の彼方に現れる陽光を前に、しんのすけたちは長い階段を降りて月輪の祭壇を去った。

まだ、完全にアローラに蔓延っていた驚異がぬぐい去れたわけではない。ルザミーネによって解き放たれたウルトラビーストたちは、アローラの各地に多く残っている。
だけど、しんのすけたち活躍でアローラは大きな一歩を踏み出すことができた。そう遠くない未来で、彼らは、それを肌で感じることだろう。


★挿入歌 PURENESS★

【ウルトラスペース編 おしまい】

336: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/18(日) 20:03:35.60 ID:AhocT7pU0
今日はここまで。いつもより短くてすみません!
次回の更新は明日の夜です。

じゃ、そゆことで~

337: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/18(日) 20:04:40.00 ID:AhocT7pU0
【おまけ】

しんのすけ「なんで? オラ別にこのまんまでもいいんだけど」

リーリエ「履 い て く だ さ い ! 常 識 で す っ !」シャーッ!

しんのすけ「ほいほい」ハキハキ

しんのすけ「じゃ、いってきまーす」

タッタッタッ

プルメリ「――よし、それじゃあたいもハウとグラジオのように、ここを守るとしようか」

エンニュート「どくどく~!」

プルメリ「エンニュート、かえんほう――」

ひろし「今度は俺も戦ってやる! おいビーストども! この足の臭いに、勝てると思うなよっ! おりゃぁあああ!」

靴を両手にそれぞれ握ってウツロイドの群れへと突進するひろし!

プルメリ「あ、ちょっと! おっさん危ないって!」

ツーーーン

ウツロイド「じぇるるる!!」ウエエ

カミツルギ「か、カミィィィ!」グエエッ

338: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/18(日) 20:05:17.44 ID:AhocT7pU0
プルメリ「く、靴のニオイで、ビーストを倒してるってのかい?」

ダッ!

フェローチェ「フェロォォッ!」グワッ!

アクジキング「モォォォォッ!」モグモグモグ

ひまわりとシロに向かって、フェローチェとアクジキングが襲いかかる!

プルメリ「危ないっ!」

ひまわり「たいっ! たたいやったい!」ビシッ

シロ「キャンッ!」ゴウッ

シロにまたがったひまわりが指示を送ると、シロの身体を中心にキラキラと輝く桃色の風が渦巻き始めた!
風を浴びたビーストたちが、その場で体勢を崩す!

フェローチェ「ロッ……?!」ググッ

アクジキング「ズモッ……!」ガクガクッ

プルメリ「これは――ようせいのかぜ?」

339: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/18(日) 20:06:01.76 ID:AhocT7pU0
突然、プルメリのすぐそばで爆風と衝撃波が襲い来る!

プルメリ&エンニュート「!」サッ

ドッゴォォォォッ!

みさえ「ビーストが何よ! もっとかかって来なさいよオラァアア!!」ドカッバキッグシャッ

ウツロイド「じぇるるっ!?」

デンジュモク「デンデンッ!」

襲い来るウツロイドとデンジュモクを触手で薙ぎはらうと、今度はマッシブーンが「俺が相手だ!」と言わんばかりに飛び出してきた!

マッシブーン「ブンブーンッ!」グワッ!

しかし、みさえは臆せずマッシブーンに突進すると、触手のラッシュをかけた!
マッシブーンは両腕で触手をガードするが、みさえの怒涛の連撃の前に手も足も出せず、後退していくばかりだ。

みさえ「そんなでかい図体してるんなら私を止めて見せなさいよ!!」ドドドドド!!

マッシブーン「ブゥゥゥン!」ドッ!

マッシブーンが拳を振り上げ、みさえに右ストレートを繰り出す!
しかし、みさえはそれを躱すと、マッシブーンの下顎にアッパーを繰り出し、腹に抉るようなボディブローを放った! マッシブーンの身体が一直線に岩壁に叩きつけられる!

ドッゴォォォッ!!

みさえ「これでおしまいよっ!」

340: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/18(日) 20:06:44.39 ID:AhocT7pU0
ゴウッ!
バチチチチッ!!

みさえは Zパワーを 身体に まとった!

みさえが 解き放つ
全力の Zワザ!

オ ー ジ リ ・ ヒ ッ プ ・ バ ー ン !

赤いオーラをまとったみさえは天高く飛翔すると、上空で一回転し、座るような姿勢になると、尻を地面に向けて急降下した!

みさえ「おりゃあああああああっ!!」

ドッゴォォォォッ!!
ビキビキビキッ!!

真紅の隕石と見紛うそれは破壊的な威力を持つヒップドロップとなり、地面に激突した瞬間、みさえを中心に地割れが起き、周囲にいた哀れなビーストを巻き込んだ大爆発が発生した!

プルメリ「うわっ!」

エンニュート「どくっ!?」

プルメリたちはなんとかその場にあった岩に掴んで飛ばされないようにするしかなかった。

341: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/18(日) 20:07:21.19 ID:AhocT7pU0
みさえ「はぁ……はぁ……」

マッシブーン「」

テッカグヤ「」

アクジキング「」

ウツロイド「じ、じぇるるっぷ……」フラフラ

爆発が収まると、瀕死になったビーストたちが横たわる死屍累々の光景と、身の危険を感じたウツロイドがみさえから離れて逃げ出していた。

プルメリ「」ポカン

プルメリ「……なんというか、しんのすけもそうだったけど、普通の家族じゃないよね」

エンニュート「どくどく……」

ロトム図鑑「ハッハッハッ、どうだビーストども、次は私の番だ! 食らえあくうせつだん!」ダッ

ブンブゥゥゥン!

ドカバキグシャ!

ギャアアアア!

プルメリ「……アンタはそーなると思ってたよ」


シリーズ一覧
しんのすけ「アローラ地方を冒険するゾ」
【メレメレ島編】【アーカラ島編】【ウラウラ島編】【エーテルパラダイス編】【ポニ島編】
【ウルトラスペース編 前編】【ウルトラスペース編 後編】【大大試練編】【エピローグ】