【ガルパン】安藤と押田【最終章】

1: SSまとめSTATION 2017/12/26(火) 14:19:29.38 ID:+yBWwTx8O
:放課後・BC自由学園・中庭



安藤「もうヤダ。しんどい」

押田「何が」

安藤「限界だ。私は疲れた」

押田「だから何が」

安藤「ホントうんざりだ、もう耐えられない」

押田「貴様、まさか副隊長を辞めたいなどと——」

安藤「違う。お前といがみ合うフリをするのがつらいんだ」

押田「……へ」

安藤「ちょっとは前みたく仲良くしてくれーっ」

押田「っ、鬱陶しい、離れろ、しがみつくな」

安藤「押田、聞いてくれ」

押田「なんだ」

安藤「好き」

押田「!? ッ……ば、バカじゃないのか……君は……」

安藤「あー、いいわぁ。いつもはケンケンしてるくせにちょっとイジられるとすぐそうやって照れるとこ、ほんと好き」

押田「っ、しね、バカ安藤っ」

 ぽか

安藤「痛てぇ」



 ————あ、副隊長達だー、また喧嘩?————



押田「見ろ。後輩たちが見ている」

安藤「む」

押田「学園のみんなもこの偽装作戦に協力してくれているんだ。示しをつけろ。私たちは副隊長なんだぞ」

安藤「ちぇ、わかったよ」


安藤「こんにゃろー」

 ぽかっ

押田「いたいっ」


   ——わ、殴り合いですわぁー——


安藤「……。はぁ……」



2: SSまとめSTATION 2017/12/26(火) 14:23:46.82 ID:+yBWwTx8O

押田「クッ!、貴っ様ーァ! 何をする! これだからお前らのような下賤なやつはっ!」

安藤「……」

押田「今すぐこの学園から追い出してやりたいところだ! まったく貴様らはーっ……」

安藤「……」

押田(……おい、早くお前も何か言い返せ)

安藤(……)



安藤「はぁ~……」



押田「おいってば」

安藤「……どりゃ」

 がばぁっ

押田「わっ」


 くんくんくんくん


安藤「あー、お前の髪はいい匂いがする」

押田「っ、変態、やめろ」



  ——わぁっ、取っ組み合っていらっしゃいますわ!

——私たちも殴り合うぞ! とりゃー!——

    ——あれぇー!——


安藤「取っ組み合いだってさ。すんすんすん……」

押田「気色悪いっ」

安藤「ぁー、ちょっと落ち着いた」

押田「いい加減に離れろ」

安藤「もうちょっとだけ」

押田「は、な、れ、ろっ」

安藤「もー、分かったよ」



 ——このエスカレーター組がぁっ、このこの! このぉ!——

 ——生意気ですわよっ、受験組の分際でっ——



安藤「盛り上がってるなぁ。ほら十分だろ。行くぞ」

押田「不真面目なやつ」

3: SSまとめSTATION 2017/12/26(火) 14:25:55.52 ID:+yBWwTx8O



:学園校舎・廊下

安藤「でも、やっぱさぁ」

押田「またか」

安藤「お前と私、学校ですれ違うたびにケンケンしてさぁ。マジでけっこうつらいんだけど」

押田「……」

安藤「お前は、平気なのか」

押田「……、相手をあざむくための作戦だ。徹底しなければだめだ。付け焼刃の演技では相手を欺くことはできない」

安藤「そんな事は言われなくたって分かってる。けど、今はそいういう話をしてんじゃないんだよぉ」

押田「だからくっつくなってばっ」

安藤「あれもこれも承知してるけど、それでも今は、気持的に嫌なんだっ」

押田「気持ちに嫌って……子供じゃないんだから……て、あっ」



押田「安藤、貴様、もしかして」

安藤「おうよ、ドゥームデイ、始まってんよ」

押田「……もー、……」



押田「君はホルモンの影響を受けすぎる」

安藤「うるさい。貴様はそういうのが全然ない。ずるい」

押田「私だって無いわけじゃない。君は極端すぎるんだ」

安藤「貴様は色白だから血も薄いんだ。薄情なんだ」

押田「君は色黒だからな。よっぽど血が濃いんだろう。だから直情的なんだ」

安藤「そうなんだよぉー」

押田「認めるのか……」

安藤「なー、今日くらいは一緒に遊んでくれよ」

押田「だからだめだってば。今は受験組とエスカレーター組との相互交流厳禁だ。マリー様から固く——」

安藤「マリー様マリー様とうるさいんだお前は。バカの一つ覚えみたいに」

押田「なんだと」

4: SSまとめSTATION 2017/12/26(火) 14:29:01.11 ID:+yBWwTx8O
安藤「もういい、ちょっとついてこい。行くぞ」

押田「? どこへ行くんだ?」

安藤「お前の大好きなマリー様のところへだ」

押田「どうして」

安藤「談判してやる。隊長の許可があればいいんだろ。来い」

押田「わっちょ、手を引っ張るなよ。もう、どうかしてるぞ君は……」

安藤「そうだよ、どうかしてんだよっ」


 たたたたたっ




 ——あーっ、押田様が安藤様に拉致られてる!——

   ——校舎裏でボコり合いだぁー!——


  ——副隊長達ぱねぇー!——





安藤「っ、あーっ、もーっ!」

押田「安藤……」



 ————————————。









マリー「別にいいわよ? ちょっとぐらい仲良くしてもいいんじゃない?」

押田「へ」

5: SSまとめSTATION 2017/12/26(火) 14:34:36.37 ID:+yBWwTx8O
安藤「っしゃぁっ。ほれみろ押田」

押田「い、いいのですか? マリー様のせっかくの作戦が」

マリー「無理はしたくないし」

押田「ですが、それでは」

マリー「ただし、仲良しをするなら他の生徒に見られないよう、こっそりとね」

押田「あ……そういう事ですか」

安藤「押田よ、貴様も隊長の柔軟な思考を見習え」

押田「黙れ」

マリー「あと、ガス抜きは今日だけよ。明日からはちゃんと仲良く喧嘩をしてちょうだいね」

安藤「サーッ、隊長!」

押田「は、はい、ありがとうございます……よいのかなぁ……」

 ————————————。






:視聴覚室


安藤「ようし、ここなら誰も来ないだろう」

押田「勝手に使って大丈夫なのか」

安藤「大丈夫だって。よっしゃ、じゃあっトランプしようぜ!」



押田「……。お前とトランプか。久しぶりだな……」

押田「……まぁ、そうだな、マリー様が良いといってるんだ……」

押田「今日は……いいか……」



安藤「何をぶつぶついってる」

押田「よしっ、安藤、私は七並べがしたい!」

安藤「おっけー、じゃあカード並べようぜ!」

 ————ガチャ!

押田「!?」

安藤「!!」

 ぞろぞろぞろ……

演劇部員「はーい、それじゃ劇団紫季のDVDを見て演技の勉強よー」

<「はーい」


安藤(あちゃぁ、人が来ちゃった)

押田(……っ)


演劇部員「——ん? あれ? 貴方たち、たしか、戦車道の——」

安藤「あー、すみません、私たちはすぐに出ていくので————」


 ————バサァッ!!


安藤「うぶぁっ!?」

演劇部員「へ?」

6: SSまとめSTATION 2017/12/26(火) 14:39:17.35 ID:+yBWwTx8O
押田「このバカもの! こんな布陣で敵のクィーンを撃破できるものか! 貴様の作戦は下の下だ!」

安藤「なっ、はぁっ!?」

演劇部員「あ、あぁ、作戦会議中だったのね」

安藤「あ、いや、えっと」

押田「申し訳ありません、すぐに場所を開けますよ。どうせくだらない作戦会議でしたから————ふん、まったく時間の無駄だ。貴様、私の時間を奪った罰として散らばったトランプ、集めておけよ」

安藤「ちょ、押田!」

押田「ふん!」


 つかつかつか、ガチャ……ばたん!


安藤「ちくしょう、あんにゃろ」

演劇部員「おぉ……ねぇ、ねぇ、君」

安藤「あ、はい?」

演劇部員「今のって、本当の喧嘩? それとも演技? 演技だとしたら、なかなかやるわねぇ」

安藤「あー……。……。……はっはっは。やぁ、まずは私たちが模範にならないといませんからね」

演劇部員「大会、頑張ってね、私たちも上手く喧嘩してるからね」

安藤「はい、ありがとうございます! ではっ」

演劇部員「応援してるわ~」

 ————————。



安藤「……、はぁ……」







 ————————。

:廊下


 つかつかつかつか 

安藤「……。」

押田「安藤」

安藤「なんだ、廊下で待っていたのか」

押田「うん」

安藤「ほれ、トランプ、ちゃんと集めてきてやったぞ」

押田「……あぁ」

安藤「喧嘩のフリが上手だなって褒められたよ。よかったな」

押田「……、別に、うれしくなんか」

7: SSまとめSTATION 2017/12/26(火) 14:40:21.33 ID:+yBWwTx8O


押田「……」

押田「安藤」


安藤「なんだよ」

押田「さっきは、とっさの事とはいえ、少し、悪かったと思ってる」

安藤「……」

押田「正直。私も、あまり良い気分はしなかった。なぁ、怒っているか?」

安藤「……。……別に、怒ってなどいない。しかたがない。お前は私と違って、真面目だからな」

押田「安藤。……ありがとう」


安藤「……。」

押田「……。」


押田「……なぁ、良かったら私の部屋へ来ないか、そうすればゆっくりと」

安藤「バカ、エスカレーター組の寮に、受験組の私が入れるわけないだろ」

押田「そうか……そうだな……」

安藤「……。な、戦車倉庫へ行ってみよう。今なら、誰も使ってないだろ」

押田「! うん!」

 たたたたた……

 ——————————。






 :戦車道倉庫


安藤「——よし、誰もいない」

押田「よかった」

安藤「じゃあ今度こそ七並べ、やるか!」

押田「うん。だがお前のやりたいゲームがあれば、そちらを先にやってもいい」

安藤「いいの?」

押田「うん」

安藤「なら、ポーカーだ!」

押田「望むところだっ」

安藤「七並べもそのあとにやろう」

押田「ふふ、何をしようがどうせ勝つのは私だ」

安藤「言ったなぁ——」



 ————ガチャァ、キギィ!!(倉庫の扉が開く音)



押田(あ……)


安藤(………………)

8: SSまとめSTATION 2017/12/26(火) 17:20:56.42 ID:+yBWwTx8O


整備科学生「てめーらーっ、今日中に臨時メンテ終わらすぞーっ」 <『おーっ』

整備科学生「ん? あ、副隊長達。打ち合わせですか?」



押田「あ、あぁ、うん——」

 ————バサッ

押田「ぷぁっ!?」

整備科学生「え」

安藤「うんざりだ、やってられるか!」

押田「……お前……」

整備科学生「ありゃ、相変わらず、火花ちらしてますねー」

押田「……」

安藤「もう帰るっ! もう知らん!! カードはお前が片づけとけよ!」

押田「安藤……」

安藤「ふんっ」

 つかつかつかつか……

押田「……」 

整備科学生「あの、拾うの手伝いましょうか?」

押田「……いや、いいんだ、気にしないでくれ」

整備科学生「そう……?」

押田「うん」


押田「……」

 ————————————。







:戦車倉庫・外壁前


 ガチャ……


押田「……」


安藤「あ、やっと出てきたのか、遅いぞ」

押田「……なんだ、待ってたのか」

安藤「当たり前だろ」

押田「……」

安藤「ふふん、視聴覚室ではやられたからな。今度は私の番だ……とは言うものの……やっぱ、あんま気分よくねーな……」

押田「……」

安藤「あーあ、学園艦の上じゃしばらくはお前とは遊べないのかもな。街も完璧に分断されてるし。……けど、今日はちょっとだけ息抜きできた。試合が終わるまでは、我慢するかぁ……」

押田「なぁ、安藤」

安藤「うん?」

押田「情けない話だが、今になって、お前の気持が少しだけ——」

9: SSまとめSTATION 2017/12/26(火) 17:21:45.22 ID:+yBWwTx8O

安藤「え?」

 ——————あ、戦車道の人だー————

 ————また喧嘩をしてるのでしょうか?————

押田「……ッ」

安藤「ゆっくりと話をする暇もない」

押田「……」

安藤「もういいや。適当に喧嘩して、帰ろう。話は部屋に帰ってからスカイプですればいい」


押田「………………安藤……」


安藤「さっさと適当に私を殴れ」


押田「………………。」

安藤「押田?」

押田「……いやだ」

安藤「へ?」

押田「私だって、お前を殴りたくなんかない。私だって、お前と喧嘩なんかしたくない」

安藤「……!」




 ————……? 口論、でしょうか?————

   ————作戦でもめてるんじゃないの?——




安藤「押田」

 すた、すた、すた

   ————間合いを詰めていきますわ————

     ————きっとしばき合うんですわ!————

 すた、すた、すた

押田「……」

安藤「……」

 ————おふた方とも互いに制空権の中ですわ!——

     ————~~~ッ!————

安藤「押田、ありがとう、満足した。明日からは、思いっきり喧嘩をしよう」

押田「……っ、何なんだ、貴様は気まぐれすぎる」

安藤「押田」

押田「なんだっ」

安藤「好き」

押田「ッ!! しねっ!! バカ安藤!」

 ぽかっ

安藤「痛ぇっ」




 ————~~~ッ、始まりましたわーーーーっ!!!————


 ——————————————————。

10: SSまとめSTATION 2017/12/26(火) 17:24:32.73 ID:+yBWwTx8O




:翌日


安藤「おおぉ、ここが隊長の別荘かぁ」

押田「湖のほとりの綺麗な一軒家だな」

安藤「明日まで私たちに使わせてくれるそうだ。ありがたい、隊長が気をつかってくれたんだ」

押田「……お前に頼まれたと、隊長から聞いたが」

安藤「っ! 言わないでくれといったのに」

押田「君はおせっかいな奴だ。誰もこんなことは頼んでいない」

安藤「うるせぇ……ていうか、それより」

押田「なんだ」

安藤「なんか今日……距離近くない?」

押田「気のせいだ」

安藤「そうか、気のせいか。さっきからずっと、お前と肩が触れてるんだけどな」

押田「……。」


 ……くりくり


安藤「待て、何をしてる!」

押田「私の髪と君の髪とで三つ編みを作っている」

安藤「やめろ!」

押田「やめない」


 ……すんすん


押田「君の頭は、相変わらず臭いが強い」

安藤「へ」

押田「やっぱり血が濃いんだろうな君は。だから肌の匂いがきついんだ。色もこんなに強い」

安藤「や、やめろ、髪は女の命なんだろ。匂いが移ってもいいのか」

押田「……。君という奴はいつもそうだ」

安藤「なにが」

押田「好き勝手に人をからかうくせに、いざ自分がやられると、すぐにそうやってたじろぐ」

安藤「っ、だまれ!」

11: SSまとめSTATION 2017/12/26(火) 17:25:09.16 ID:+yBWwTx8O
押田「耳が赤いぞ。浅黒い肌でもわかる」

安藤「……っ」

押田「そういうところは……、嫌いじゃない」


押田「……。」


押田「今日で、私も安心した」

安藤「……?」

押田「だから明日からこそは、容赦しない。貴様とは敵同士だ」

安藤「……ふん、言われるまでもない」




安藤「だから髪をほどいてくれ」

押田「だめ、今日はこのまま」

安藤「首が痛い……」




~完~

12: SSまとめSTATION 2017/12/26(火) 17:27:07.99 ID:+yBWwTx8O
ありがとうございました。
2017年も締めといことで二人のおしりの穴も締めさせました。
良いお年を。

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