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叢雲

1: ◆36ujqGfUl2 2017/10/11(水) 01:59:14.88 ID:DF2fbMQq0
提督「ほら、これだ。書類と指輪」

叢雲「ふーん。海軍は結婚相手の斡旋もはじめたわけ?」

提督「いや、これは艦娘相手に使う装備らしい」

叢雲「艦娘に?」

提督「ほら、ある程度以上に艦娘の錬度が上がらなくなる現象あるだろ」

叢雲「あるわね。私もそうだし」

提督「その上限を、これを使うことで……よくわからんが、絆の力とかなんとかで突破できるらしい」

叢雲「本当によくわからないのだけど」

提督「軍事機密だそうだ。どうでもいいところばかり隠したがる……いつものことだ」



2: ◆36ujqGfUl2 2017/10/11(水) 01:59:48.77 ID:DF2fbMQq0
叢雲「それにしてもケッコンカッコカリってネーミングはどうなのよ」

提督「俺もそう思う」

叢雲「大丈夫なの、この戦争」

提督「もうだめかもしれないな」

叢雲「みんなで大陸のほうに逃げましょうか」

提督「いよいよダメになったらそうするか。俺はドラム缶の中にでも入れて運んでくれ」

叢雲「はいはい。何なら浮き輪に掴まっていてもいいわよ。ひっぱってあげるから」

提督「ま、そうなることのないよう、もう少し現場でがんばるとしよう」

叢雲「そうしましょ」

提督「というわけで、とりあえず使ってみよう。叢雲でいいか」

叢雲「いいわよ」

提督「これが指輪だ。あと書類にサインしてくれ。俺はもうしたから」

叢雲「はいはい。指輪をはめて、サインっと」

提督「おっ、叢雲の身体が光り始めたぞ」

叢雲「……」

提督「……」

叢雲「……」

提督「……」

叢雲「……なんかちかちかして、うっとうしいんだけど」

3: ◆36ujqGfUl2 2017/10/11(水) 02:01:16.86 ID:DF2fbMQq0
提督「何か変わったところはあるか?」

叢雲「別に……。このままだと、夜戦で一番に狙われそうね」

提督「おかしいな。ちょっと説明書読むか……。えーと……あ、最後のページ同士がくっついていた」

叢雲「で、どうすればいいのかしら?」

提督「んーと……あ、これか。叢雲、指輪の箱の中を見てくれ。そこに入ってる紙の、叢雲用の項目を読みあげるらしい」

叢雲「これ? ……艦娘の名前がずらっと書いてある……どこ? ……あ、私の名前があるところ。これ?」

提督「そう、そこだ」

叢雲「『……あんたのこと、まあ、嫌いじゃないっていうか。別に命令聞いてあげても……いいかなって』」

提督「急に何言ってんだ?」

叢雲「そう書いてあるの。『何よ。べ、別にそんな意味じゃないし』」

提督「どういう意味だって?」

叢雲「だから書いてあるまま……あ、光が消えた」

提督「さっぱりわからなかったが、これでケッコンカッコカリは終わりだな」

叢雲「ふーん……。確かに錬度が上がるような気がしてきたわね」

提督「わかるのか……。じゃあ早速出撃……」


吹雪「…………ちょっと! 二人とも!」

白雪「…………いくらなんでもそれはないんじゃないですか」

4: ◆36ujqGfUl2 2017/10/11(水) 02:02:23.37 ID:DF2fbMQq0
提督「な、なんだよ」

叢雲「な、なによ」

吹雪「仮にも結婚ですよ結婚!」

白雪「もう少しムードやそれなりの反応というものがあるべきでしょう」

吹雪「それなのに、私たちがいる前でそんなことをはじめて……!」

白雪「二人とも恥ずかしくはないのですか」

提督「何を怒られているのかさっぱりわからん」

叢雲「た、単に錬度が上がるようになるだけじゃないの……」

吹雪「違う、違うよ叢雲ちゃん!」

白雪「そう、結婚というものはもっとこう……愛と豊かさに溢れた……」

提督「いや、だから結婚じゃない……」

吹雪「そんなことはありません! これを見てください!」

叢雲「な、なにこれ。……説明書の裏側?」

提督「……ケッコンカッコカリをした後、本人同士が望むならば配偶者としての法的保証を申請できる、か」

吹雪「そうです! つまり、カッコカリといえど実質結婚なんです!」

提督「でも、本人同士が望んだらの話だろ」

叢雲「私たちは別に……ねえ」

提督「なあ」

吹雪「そ、そんなわけないでしょう! いつもあんなに二人で仲良さそうに……」

白雪「まってください、吹雪」

吹雪「え?」

5: ◆36ujqGfUl2 2017/10/11(水) 02:03:32.38 ID:DF2fbMQq0
白雪「この二人……もはや、そういった段階は通り過ぎてしまっているのかもしれません」

吹雪「それって……そ、そっか! 司令と叢雲ちゃんは、すでに実質夫婦……!」

白雪「そうです。しかも、長年連れ添った熟年夫婦の域」

提督「言われ放題だな」

叢雲「だれが熟年よ」

吹雪「夫婦には特につっこまないあたり、やっぱり……!」

提督「妙な話になってきたなあ」

叢雲「こういう話に飢えてたのかしら」

白雪「でも、配偶者扱いにはしておいたほうがいいと思います。色々と便利な制度があるので」

叢雲「そうなの? じゃ、一応なっておく?」

提督「ああ、かまわない」

叢雲「それじゃ、そうしましょ」

吹雪「軽い! なにこの会話!」

白雪「……何の盛り上がりもないのに、おそろしくあてられます」

提督「はいはい、いいからそろそろ出撃してくれ」

叢雲「そうするわ。行くわよ、二人とも」

吹雪「うー、なんだか納得いかないんですけど」

白雪「叢雲と提督にはこれ以上、何を言っても無駄ですよ。行きましょう」

吹雪「はーい」

6: ◆36ujqGfUl2 2017/10/11(水) 02:03:58.19 ID:DF2fbMQq0
提督「……」

提督「ふむ」

提督「結婚、か」

提督「……」

提督「くく」

7: ◆36ujqGfUl2 2017/10/11(水) 02:04:50.98 ID:DF2fbMQq0
叢雲「叢雲、出撃するわ」

吹雪「吹雪、出ます」

白雪「白雪、同じく」


吹雪「……どう、叢雲ちゃん。出撃して、何か変わったこととかある?」

叢雲「んー、特には。さっきも言ったけど、錬度が上がりそうな気がするくらいかしら」

白雪「事前に聞いた時は、もっと劇的な変化があるものだと思っていたのですが」

叢雲「そういうものなんじゃないの」

吹雪「そうなのかなあ……」

白雪「……そろそろ深海棲艦の出現が報告された海域です」

叢雲「そうね。おしゃべりはここまで」

吹雪「うん、いくよ」

叢雲「……あ」

白雪「どうしました?」

叢雲「いや、このまま戦闘すると、指輪無くしそうで邪魔だな……と思って。部屋に置いたままではだめなのかしら」

吹雪「ロ、ロマンがない……」

白雪「……叢雲……」

叢雲「あー、悪かったわ、余計な話して。ほら、集中集中」

吹雪「もう……」

白雪「……まあ、叢雲はこれでいいのかもしれません」

叢雲「いくわよ、二人とも……砲撃開始!」

8: ◆36ujqGfUl2 2017/10/11(水) 02:05:23.41 ID:DF2fbMQq0
叢雲「……指輪、か」

叢雲「ふふ」

 叢雲はそっと指を、唇に当てる。


おわり

9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/11(水) 02:32:08.82 ID:yCUp0mPnO

10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/11(水) 04:33:22.05 ID:HBvsqHZZO

叢雲らしいっちゃらしいね
というか結構どんな反応してもおかしくないのが叢雲

11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/11(水) 08:07:45.79 ID:sI9VXNpIO
おつくも

12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/11(水) 09:20:42.96 ID:ZI1gW/lXo
おつである

13: ◆36ujqGfUl2 2017/10/11(水) 12:01:37.42 ID:DF2fbMQq0
読んでいただいたみなさまありがとうございました
レベル99の初期艦と提督なんてもうこんな感じじゃないの?
と思ってこんな感じでした

14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/11(水) 14:52:22.34 ID:NzehItbao
イイッスねぇ