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少女「コミケ行くので泊めてください!」男「は……?」【第一章】
少女「コミケ行くので泊めてください!」男「は……?」【第二章】
少女「コミケ行くので泊めてください!」男「は……?」【最終章】


445: ◆mclKiA7ceM 2017/08/29(火) 18:02:54.97 ID:IiVBuModo
感想ありがとうございます。AAを含めてとはいえ、既に
200KBを超えていますが、お楽しみ頂けているようで幸いです

>>440
当日参加された方ですか、恐縮です
実際の出来事と異なる部分は“COMIKE”限定のイベントということでお楽しみください


お待たせしました。完結の目途が立ちましたので、
最終章は前編、中編、後編に分けて今日から更新します。

それでは、最終章 前編を開始します。
今回は少ないですが30レスほどの予定です。

446: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/29(火) 18:04:03.27 ID:IiVBuModo




ふと、目が覚めた。



あけぼのというには深すぎる、大都市の外れの、住宅街を包む夏の宵闇。

壁時計の針がさすのは丑三つ時。


ふと、窓から吹き込む夜の風に、目が覚めた。


なんとなく二度寝するのもきまりが悪いような気がして、

冷たい床から体を起こす。


だが。そこまで脳が覚醒して、……引っかかった。


この二日は、たしかに深夜に早く起きていた。

だが、早すぎる。

早く目覚めすぎるのも体に悪い、起きるのはせいぜい午前3時ごろ。


誤差といってしまえばそれまでかもしれない。

だが、今の時刻は、午前2時を少し過ぎたあたり。


なぜ俺は、今日に限って、少し早く目が覚めた?

447: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/29(火) 18:04:37.35 ID:IiVBuModo


そこまで頭を巡らせて。

俺は、自分を眠りから揺り起こした要因に気付く。


風。


ベッドのそばにある窓から吹き込む、間近の秋を思わせるほのかに冷たい風。


しかし俺は、この風をしばらく肌で感じてはいなかった。

記憶が確かならばおよそ二日間ほど。

昨日までは何か、窓の風を、さえぎるモノがあって――――



いない。



この二日、いつのまにか見慣れた姿になっていた、彼女。


少女の姿が、そこには無かった。

448: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/29(火) 18:05:04.13 ID:IiVBuModo


男「…………」




男「そうか」





男「…………」



男「アイツは、行ったか」

449: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/29(火) 18:05:32.51 ID:IiVBuModo

男「キレイに自分の荷物だけ無くなっていやがる」


男「干しといた、昨日の服も……」

男「見事に無いな」


男「……ふう」


男「そりゃあ、もともと一人暮らしだし」

男「寂しいってこたぁ無いが……」



男「……ちょっと、薄情なモンだな」

450: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/29(火) 18:06:00.37 ID:IiVBuModo

男「…………」

男「……となると、今日の予定も、変更か」


男「今日の天気は、一日を通しての晴れ」

男「予想最高気温は30度。べらぼうに暑くはないが……」

男「それでも進んで外に出たくはないな」


男「加えてビッグサイトなら。人々の熱気で、気温はマシマシだ」

男「そんなところに、好きこのんで行く理由は……」


男「もう、無いな」

451: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/29(火) 18:06:27.66 ID:IiVBuModo

男「やれやれ」


男「…………」


男「……いや、ないな」

男「目当ても無いのに行っても、疲れるだけだ」


男「が、目が覚めちまったモンは、仕方がない」

男「どうしようかね」



男「…………明るいな」

452: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/29(火) 18:06:54.79 ID:IiVBuModo

男「……月か」


男「満月とはいかないが、たいした光だな」

男「それでも、夏は空気中の水分が多いから」

男「さほどクッキリ見えているワケじゃないんだろうが」


男「でも、たとえば冬なら、空気が澄んで」

男「星も瞬いて……」


男「…………」

453: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/29(火) 18:07:24.08 ID:IiVBuModo

男「……やめだ、やめだ」


男「アイツは、自分の意思で、行った」

男「ソレを俺がああだこうだ考えてどうする」


男「こんな時は月見酒だ」


ガサゴソ


男「一杯いくらの安物の酒でも」

男「気晴らしくらいにはなりますよってね」

454: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/29(火) 18:07:51.41 ID:IiVBuModo


トクトク


男「…………」


ズズッ


男「…………」




男「まっず」

455: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/29(火) 18:08:18.50 ID:IiVBuModo

ケータイ「プルルル! プルルル! プルプルプル!」


男「ん……?」

男「こんな時間に誰だ。メイワク電話か?」


男「…………」



男「友人か」


男「真夜中にいったい何なんだ。ったく……」ピッ

456: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/29(火) 18:08:46.69 ID:IiVBuModo

男「はい、もしもし。俺だが」

友人『んんwww男氏wwwヤケモーニンwwwwwwぺゃっwww』

男「おはようという時間でもないだろう」

友人『それはwwwたしかにwww』

友人『しかし業界のアイサツは、すべてヤケモーニンですなwwwぴゃっwwwwww』

男「そんなコンビニか何かみたいな……」

男「いや、そんなコトはどうでもいい。こんな時間に何の用だ」

友人『んんwww男氏、黒ずくめ氏から聞きましたぞwww』

友人『三日目の今日はコスプレで参加する予定だとwww』

457: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/29(火) 18:09:13.83 ID:IiVBuModo

男「…………」


男「いや、その予定だが」

男「申し訳ないが取りやめるコトになった」

友人『んん!?www何故ですかなwww』

友人『少女氏は乗り気であったと聞いているwwwwww』

男「その少女がいないんだ」


友人『…………んん?www』

友人『それはwwwいったいwwwどういうコトですかなwwwwww』

458: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/29(火) 18:09:40.52 ID:IiVBuModo

男「だから、少女は、もう俺の家にいないんだよ」

男「昨日は、昼は俺のメシ食って、夜は出前で寿司とって」

男「それでさっさと寝たんだが」


男「いま起きたら、少女の姿が消えていた」

男「荷物も無い。自分の家に帰ったんだろう」

友人『……んんwwwだからソレはどういうコトですかなwww』

友人『我、まったく状況がつかめないwww』

友人『少女氏は、ザシキワラシか何かであったとwwwwww』

男「どうしてそうなる」

459: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/29(火) 18:10:07.93 ID:IiVBuModo

友人『男氏、少女氏とケンカでもしたのですかなwww』

男「あいにく、一切断じて何も無い」

友人『では、何故wwwwww』

男「俺にもわからんよ」


男「ただ……」

友人『ただ?www』


男「アイツはどうも、満足したみたいだ」

男「この街に来た目的を終わらせてな」

460: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/29(火) 18:10:38.01 ID:IiVBuModo

友人『んんwwwそのような抽象的なコトを言われても、まったくワケがわからないwww』

友人『我にもわかるよう説明するべきwww』

男「そう言われても、俺もこうとしか説明しようがない」


男「少なくとも、目的の一つはCOMIKEみたいだったが……」

男「それも、昨日、ああだったしな」


友人『…………』

男「そういうコトだ」

男「で、お前、結局何の用だったんだ?」

461: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/29(火) 18:11:05.69 ID:IiVBuModo

友人『……いや、我、今日の朝はちと所用がありますのでwww』

友人『今のうちに、コスプレに関して、何か手伝えるコトがないかとwwwwww』

男「お前、コスプレの用意まであるのか……。ホント全方位だな」


男「だが。ソレも必要無くなった」

男「コスプレする当人がいないんだからな」


友人『…………』

男「本来なら俺から断りを入れるべきだが」

男「お前さえ良ければ、黒ずくめさんに伝えてくれないか」

462: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/29(火) 18:11:34.60 ID:IiVBuModo

男「少女がいなくなったから、コスプレは出来ない」

男「俺も、三日目は、行く気は無い」

男「……って」


友人『…………』

男「理にかなってはいないんだろうが」

男「……それだけのために会うのも、バツが悪くてな」

友人『……わかりましたぞ』


友人『ですがwww男氏はソレで、いいのですかなwww』

463: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/29(火) 18:12:02.83 ID:IiVBuModo

男「……? どういう意味だ」

友人『んんwww文字通りの意味www』


友人『男氏はソレで後悔は無いのですかなwwwwww』


男「…………」

友人『……んん、では我はまだ今日のサークルチェックが終わっていないwww』

友人『それではこれにてwwwぺゃっwwwwww』


プチ

ツー ツー ツー…

464: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/29(火) 18:12:29.97 ID:IiVBuModo


男「…………」


男「言いたい放題、言いやがって……」


男「…………」


男「だけど俺は、アイツの保護者でも何でもないんだぞ……」

男「何の権利があって、何の責任がある……」



男「…………」

465: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/29(火) 18:12:58.04 ID:IiVBuModo

男「…………」


男「……ちょっと、外の空気でも吸うか」


ガチャ



――アパートの外廊下

ヒュウウウウウウ…

カタカタカタ


男「…………」

466: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/29(火) 18:13:25.99 ID:IiVBuModo

男「……月がまぶしいな」


男「相変わらず、ボロっちいアパートだ」ギシ

男「風呂設置する余裕があるなら」

男「リフォームの一つでもしやがれっての」

大家「いやー、すみませんね。そんなお金無くって……」


男「……!」

男「な……。……、な……」

大家「私が出店した稼いだお金で、少しでも男さんたちに還元できればいいんですけどね」

467: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/29(火) 18:13:53.13 ID:IiVBuModo

大家「というのは冗談ですが」

男「冗談なんですか。断固リフォームする気は無いというコトですね」

大家「ええ。そんなコトしても、私に一銭のトクもありませんので」

男「コッチはコッチで、現金なヒトだ」


大家「……で。男さん」

大家「こんな朝早く、いや夜遅くに、いったいどうしました?」

男「…………」

男「……それは、コチラのセリフですよ」

468: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/29(火) 18:14:20.62 ID:IiVBuModo

大家「え? 私ですか?」

大家「私はホラ、大家として、アパートの掃除なんかもしなきゃいけないのでー」サッサッ

男「…………」

大家「で、どうしましたか」


大家「もしやとは思いますが、……少女ちゃん案件ですか?」

男「……!」


男「…………」

大家「ふふっ、その顔は、アタリって顔ですねー」

469: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/29(火) 18:14:48.85 ID:IiVBuModo

男「……どうして」

大家「え? だって私、会いましたもん」


大家「少し前、男さんの部屋を出ていく、少女ちゃんと」


男「……!!」

男「お、おい! アイツは! アイツはどこへ行った!?」

大家「…………」クス


大家「気になりますか?」

470: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/29(火) 18:15:17.89 ID:IiVBuModo

男「……!」

男「……いや。べ、別に」

大家「ふっ、ふっ、ふっ。男さん、面白いなあ」

大家「そこまで取り乱しておいて、真逆のウソつくんですか?」

男「……ちっ」

大家「もう。オトコのヒトって、ほんとメンドクサイですねえ」


大家「心配だから、行き先を知りたい」

大家「気になるから、追いかける」

大家「それでいいじゃないですか」

471: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/29(火) 18:15:46.30 ID:IiVBuModo

男「…………」

大家「…………」


大家「だーっ、もう。ホントにスナオじゃないんだから……」


大家「……じゃあ。コレは私のヒトリゴトです」

大家「聞くも聞かないも、動くも動かないも、男さんの自由です」

大家「それに関して私は何も思いませんし、何も言いません」

大家「ソレでいいですね?」


男「…………」

472: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/29(火) 18:16:15.50 ID:IiVBuModo

大家「ヘンジが無いってコトは、承諾と捉えますよ」


大家「……そうですね。少女ちゃん、荷物を持って向こうの道に走っていきました」

大家「方角でいえば西。ちょうど太陽の沈む、夜明けとは逆の方向ですね」

大家「もっとも、今はまだ、朝焼けの時間には早いですが」


大家「あと少女ちゃん、なんでどこか行くのかって私が尋ねたら、こうも言ってました」

大家「『私はもう、ココにいちゃいけないから。ココにいる資格は無いから』」

大家「『男さんのメイワクになりますから』……」

大家「って」

473: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/29(火) 18:16:43.07 ID:IiVBuModo

男「…………」

男「……アイツめ」


男「勝手なコトを……!!」ダッ


大家「ちょ、ちょっと! どこへ行くんですか!!」

大家「まさか本当に少女ちゃんを追いかけるつもりですか!?」

大家「西ってコト以外何もわからないんですよっ!?」


男「そんなコト、知ったことか!!」

474: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/29(火) 18:17:09.98 ID:IiVBuModo

男「ココにいる資格は無い? 俺のメイワクになる!?」

男「そんなコト、一方的に聞かされて、黙ってられるかっ!!」


大家「…………」


男「……大家さん。情報ありがとう」

男「アテはある。だから、あとは俺一人で探します」

男「それでは」ダッ


大家「……待ってください」

475: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/29(火) 18:17:39.90 ID:IiVBuModo

男「……?」

大家「…………」キュポ


無線『……繰り返します。お嬢、目的の少女、発見しました』

無線『どうやら高雄山に向かっているもよう。タクシーを使用しています……』


男「……、そ、それは……」

大家「もしかするとこういう事態になるかと思って、組のヒトに尾行してもらっていました」

大家「私のこまやかな心遣いに感謝してくださいね?」

男「…………」

476: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/29(火) 18:18:09.55 ID:IiVBuModo

大家「さて、高雄山といいましたか」

大家「けっして近くはない場所ですが、クルマかっ飛ばせば、まだ間に合います」

大家「さすがに朝のタクシーは巡回していない時間帯ですので」

大家「深夜勤務のタクシーのケツを叩く、というコトになりそうですが」


大家「……どうしますか?」

男「そんなの、考えるまでもない」

男「少女を追います」

大家「…………」フフ

男「ありがとう、大家さん。やっぱり優しいですね」

477: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/29(火) 18:18:36.70 ID:IiVBuModo

大家「ふふ。カタギのヒトに良い印象与えるのも、大切なシゴトなのでー」

大家「あんまりカン違いしないでくださいねー?」

男「わかってますよ」

男「それでは、俺はこれで……!」ダッ

大家「ええ! 思う存分、やっちゃってきてくださーい!!」



大家「……さて」


大家「組員さん。高雄山に向かうとおぼしきヒトは、本当に少女ちゃんだけですか?」

478: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/29(火) 18:19:09.44 ID:IiVBuModo

無線『いえ。少女さんと同時に、いえ、少女さんを追うようにして……』

無線『数台のナンバープレートの無い車も高雄山に向かっています』

大家「……なるほど。私の直感も、捨てたモンじゃないですね」

大家「コチラ側ではないにしろ、尋常ではないのも確かでしたか」


大家「―――では皆さん。この夏、大一番のシノギです」


大家「組長には私から伝えます。組員の皆さんは、いつでも“動ける”態勢で、山へ」

大家「有事の場合は、現場判断での介入も許可します」

無線『了解です。お嬢』

479: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/29(火) 18:19:36.56 ID:IiVBuModo

大家「ええ。お互い、頑張りましょう」ピッ


大家「……今日はCOMIKEの、三日目でしたか」

大家「まったく。どこのシマの人間だか知りませんが」

大家「カタギのヒトが楽しむお祭の日をジャマするのは、いただけませんね」




大家「さーてと。東狂、救っちゃいますか!」





 

480: ◆mclKiA7ceM 2017/08/29(火) 18:20:12.36 ID:IiVBuModo
最終章 前編は以上になります。
最終章 中編は、明日18時ごろの開始を予定しています。

481: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/29(火) 18:32:39.13 ID:mQNEKt+so
おつ

482: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/29(火) 19:00:53.74 ID:F0JrUj/Uo
おつんつん

486: ◆mclKiA7ceM 2017/08/30(水) 18:00:12.28 ID:d5mh3pIZo
それでは、最終章 中編を開始します。
今回は100レスほどの予定です。

487: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:00:56.63 ID:d5mh3pIZo



――高雄山 頂上


ヒュウウウウウウ…


少女「…………」


少女「さすがに、夏でも、晴れてても」

少女「標高の高いところの夜は、寒いなあ」



ヒュウウウウウウ…

488: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:01:24.17 ID:d5mh3pIZo
no title

489: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:01:51.56 ID:d5mh3pIZo


少女「…………」


少女「真夜中なのに、あんなに煌々とネオンが輝いている」

少女「この世界は、あんなにもたくさんの人が暮らしてて……」


少女「そして、その人々には」

少女「それぞれ一人一人に、目的が、嗜好が、人生がある……」


少女「かぁ」


少女「…………」グス

490: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:02:20.85 ID:d5mh3pIZo

少女「あはは、なんで泣いてるんだろ」


少女「おじいちゃんにはたくさんメイワクかけちゃったなあ……」


少女「でも」

少女「ホテルのバイキングで、魚のカブトやお肉ばっか取って怒られたり」

少女「カップ麺に一緒にお湯をそそいだり」

少女「スーパーで食材買ってきて、一緒に料理作ったり」

少女「お寿司の出前でイチバン高いヤツ頼んじゃったり……」


少女「小っちゃいころみたいで、楽しかったなぁ」

491: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:02:49.00 ID:d5mh3pIZo

少女「って、食べるコトばっかりだ」

少女「あはは。他には……」


少女「…………」


少女「COMIKEかぁ」

少女「ありえないくらい、いっぱい人がいて……」

少女「ふふ。えっちな本やアクセサリーなんかも、いっぱい買って」

少女「……タイヘンなコトもいっぱいあったけど」

少女「想像通りの。いや、想像以上のお祭だった」

492: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:03:16.44 ID:d5mh3pIZo


少女「でも」


少女「あのお祭は、集まった数十万人という人々が」

少女「あんなに色んなヒトがいるのに」

少女「皆。少しずつルールを守って」

少女「絶妙な自由と秩序のバランスの上で成り立っている」


少女「だから」

少女「私みたいなヤツが、いちゃいけないんだ……」

493: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:03:42.86 ID:d5mh3pIZo

少女「私みたいな、心の汚れたヤツが……」


少女「…………」グス

少女「おじいちゃん。ごめんね……」




男「ココにいたか」ザッ


少女「……!」



少女「……お。…………男、さん……」

494: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:04:09.55 ID:d5mh3pIZo

男「…………」

少女「…………」

男「…………」


男「……まあ、その、なんだ」

男「別れのアイサツのヒトコトくらい、しておくべきかと思ってな」


少女「…………」

少女「……どうして、ココがわかったんですか?」

男「あー……」

495: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:04:37.07 ID:d5mh3pIZo

男「一つは、情報のタレコミ」

男「プライバシーに配慮して名前は伏せるが。お前を心配してくれている、ヒトがいた」


少女「…………」


男「そして、高雄山でも、頂上にいると思ったのは」

男「東狂の海のハナシしてたろう。眩い海、瞬く星……」

男「海でも空でもないが、山でそれらにイチバン近い場所といえば」

男「この頂上だと思ってな」


少女「…………」

496: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:05:04.61 ID:d5mh3pIZo

男「俺の推理は以上だ」

男「だけど、なんでお前がココに来たのか、そんなコトはセンサクせん」

少女「…………」

男「…………」


男「だけど、ゴカイは解いておきたい」

少女「……?」


男「お前、俺のメイワクになるから帰る、とか言ったらしいな」

少女「え……!」

497: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:05:32.11 ID:d5mh3pIZo

男「あー。タレコミ元、バレちまったか……」

男「まあいいや。大家さんも共犯ってコトだ」

男「あのヒトも、あのヒトなりにお前のコト、心配してたぞ」

少女「……そうですか」


男「とにかく。お前が自分のコト、俺のメイワクになるとか思ってるなら」

男「ソレはマチガイだ」

男「お前のコトをメイワクだなんて、一度も思ったコトは無い」

少女「男さん……」

498: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:05:58.77 ID:d5mh3pIZo

男「それよりもな。この二日間……。いや、出会った日も含めれば、三日間か」

男「俺はお前と一緒にいて、楽しかった」

男「そりゃあ人の多いCOMIKEは苦行のヒトコトだったが……」

男「それでも、お前と行くCOMIKEは、楽しかった」

男「ガラにもなく、今日も行ってやろうか、なんて一瞬思ったくらいだ」

男「お前がいないんなら、行く意味も無いけどな」

少女「…………」グス

男「少なくとも、この三日間、俺は娘が出来たみたいで楽しかった」

男「だから……」

499: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:06:25.41 ID:d5mh3pIZo


男「俺のメイワクになるとか、言わないでくれよ」


ギュッ


少女「……!」


男「こんな明るい子に、そんな風に自分を責められたら……」

男「哀しくなるだろ……」


少女「……男さん…………」

500: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:06:52.86 ID:d5mh3pIZo

男「お前はメイワクなんかじゃない。俺が断言する」

男「お前さえ良ければ、来週も、来月も、いつまでも……」

男「俺と一緒にいてほしい」


少女「男さん……」


少女「……うぅ。私も、私だって……」

少女「男さんと一緒にいたいですよぉ……!!」

男「…………」

少女「うっうっ。うぅ、うわぁぁぁ――――ん…………」



 

501: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:07:19.77 ID:d5mh3pIZo



男「……落ち着いたか?」

少女「……ハイ」


男「なら、戻ろう」グッ

少女「…………」


少女「それは、出来ないんです」


男「どうして」


少女「…………」

502: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:07:46.44 ID:d5mh3pIZo

少女「……私が、この街にいられるのは、あと一日」

少女「今日にはもう、帰らなくちゃいけませんから」


男「だったら、今日一日だけでも」

男「今日一日だけでも、一緒にいるコトは出来るだろう」

少女「…………」

少女「だけど」



少女「私なんかが、戻っていいんでしょうか」

少女「戦士の戦利品を盗もうとした、私なんかが……」

503: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:08:13.34 ID:d5mh3pIZo

男「…………」


男「……そうだな」

男「窃盗未遂でも、窃盗は窃盗」

男「見つかれば許されるハナシじゃあないだろう」

少女「…………」


男「でも」

男「集まった数十万人だって、全員が全員根っからの善人じゃない」

男「ちょっとくらい心に後ろ暗いところだってある。人間なんだから」

504: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:08:41.50 ID:d5mh3pIZo

少女「…………」

男「……ナットクいかないって顔だな」


男「…………上を見ろ」

少女「上……?」


男「夏の夜明けは早いが、まだ日は昇っていない」

男「空を見てみろ。黒い夜の空を」


少女「空……」

505: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:09:08.27 ID:d5mh3pIZo
no title

506: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:09:36.58 ID:d5mh3pIZo


少女「…………」


少女「きれい」


男「だろう。ココは、東狂で最も空に近い場所の一つ」

男「最も星がよく見える場所の一つだ」


少女「こんな星空が、本当にあるなんて……」

少女「まるで天然のプラネタリウムだなぁ」

男「なんじゃそりゃ」

507: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:10:03.96 ID:d5mh3pIZo

男「……これでも、夏は空気中の水分が多いから、冬のほうがよく見える」

男「街の光が届くこんなところより、内陸の山のほうが、もっと星はよく見えるぞ」

男「自然は限りなく広い」

男「お前の目に見えている部分なんて、ほんの一部なんだ」

少女「…………」


男「って、大学生風情が何を、ってハナシだがな」


男「だけど。ヒトも、同じコトだ」

男「見てみろ、星を」

508: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:10:30.71 ID:d5mh3pIZo

男「様々な大きさ、様々な色、様々な輝きをする星が、無数にある」

男「俺たちの目に見える太陽系の星から、銀河の果てまで、限りなく」


男「そして、無窮に瞬く星々……」

男「とはいうが、永遠に輝きつづける星なんて、この世には存在しない」

男「すべてが等しく有限で。すべてには等しく終わりがあり」

男「だからこそ、こうして今を、きらめくんだ」


少女「…………」

男「人間だって、色んなヤツがたくさんいて、色んな考えを持ち、ソレを表現している」

509: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:10:57.58 ID:d5mh3pIZo

男「だからこそ。俺も、お前も」

男「COMIKEっていう、デカいお祭に、心惹かれるんじゃないか?」

少女「…………」


男「そして、俺もお前も、その一員だ」


男「スタッフも、サークル参加者も、一般参加者も」

男「それは店と客の関係じゃなく、等しく皆が同じ“参加者”」

男「……それが、COMIKEの理念の一つだ」


少女「参加者……、ですか」

510: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:11:24.71 ID:d5mh3pIZo

男「そうだ。だから、悔やむ意味はあっても、恥じる必要はない」

男「幸いにも、表現する手段は、黒ずくめさんや友人が用意してくれている」

男「だから」

男「あと一日だけ、COMIKEに戻って、悔いの無いように参加しても」


男「いいんじゃないかと、俺は思うがな」


少女「…………」


少女「ふふっ」

男「む。何がおかしい」

511: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:11:52.23 ID:d5mh3pIZo

少女「いえ。オカシクはありませんが」


少女「男さんは、いつでも、同じコトを言うんだなって」


男「はぁ? こんな……、ハズカシイことっ、言ったのはコレが初めてだと思うが」

少女「ふふ。目は口程に物を言う」

少女「というワケではありませんが、いつも心に思ってるコトは」

少女「ふとした時に口をついて出るモノですよ」

男「そうか。……用心しなければな」ムム

少女「ふふふ」

512: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:12:19.25 ID:d5mh3pIZo


男「で、どうする。それでもなお行くというのであれば、止めはしないが」

少女「……いいえ。戻りますよ、私は」


少女「今年の夏のCOMIKEの、最終日」

少女「二人で。いや、みんなで」

少女「悔いの無いように楽しみましょう」


男「…………」

男「そうだな」


ザワ…

513: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:12:46.34 ID:d5mh3pIZo


少女「あ……」


男「朝日が……」


no title

514: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:13:13.35 ID:d5mh3pIZo

少女「きれいですね……」


サワ…


少女「朝日とともに、光も、風も、鳥も、一緒に動き出して……」

男「…………」

男「太陽が昇れば、小さな光は消えていく」

男「いや……。太陽という大きな光に、集まっていく」

男「行こう。俺たちも、俺たちの場所に集まっていく時間だ」

少女「はい!!」




ザッ

515: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:13:40.63 ID:d5mh3pIZo


男「……?」


チャキ チャキ チャキ チャキ

特殊部隊「動くな!!」



男「……!!」

少女「……、……」



ザッザッザッザッ ザッザッザッザッ

チャキ チャキ チャキ

516: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:14:08.04 ID:d5mh3pIZo

男「……おい。何のマネだ、これは?」

特殊部隊「動くなと言っている」チャキ


特殊部隊「…………」チャキ

特殊部隊「…………」チャキ

特殊部隊「…………」チャキ


男(拳銃を構えた迷彩服が、6,7……、およそ十人足らず)

男(COMIKEのコスプレ……、というワケではなさそうだな)


男「おい、少女」

517: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:14:35.03 ID:d5mh3pIZo

少女「…………」

男「なんだ、コレは。お前の友達か?」

少女「……いえ」

少女「こんな悪そうな友達がいたら、怒られちゃいますから」


男「…………」タラ

男(……サッパリ意味がわからんが)

男(ヘタに動けば、明日のお天道様は拝めないコトはわかる)

男(まずはコイツらの目的がハッキリしないと……)

518: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:15:09.45 ID:d5mh3pIZo


少女「わかっているぞ。目的は私だろう?」


男「……!」


特殊部隊「そうだ。スナオじゃないか」

少女「いやー、見慣れた顔だからな」

少女「おおかた。私がココに戻るのを、この数日、ずっと待ってたんだろう」

少女「暑い中、雨の降る中。ご苦労ってモンだ」

特殊部隊「それ以上喋るな」チャキ

519: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:15:36.49 ID:d5mh3pIZo

特殊部隊「“ブツ”のある場所に、案内してもらおうか」


少女「…………」

男「…………」


少女「……すいません、男さん」

男「……?」

少女「残念ですけど、ココでお別れみたいです」


男「な……!」

520: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:16:04.55 ID:d5mh3pIZo

少女「さすがに。一人、二人ならまだしも」

少女「十人近くが相手では、さしもの私も、手も足も出ません」


少女「おい! このヒトは関係無い。解放してやれ」

特殊部隊「ふん……。いいだろう」


男「…………」

少女「男さん。少しの間だったけど、楽しかったです」

少女「この数日間は、私の短い人生の中でも、イチバン輝いていたと思います」

男「おい! そんな言い方……」

521: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:16:31.69 ID:d5mh3pIZo

少女「行ってください」

少女「これは、私の戦い」

少女「あなたを巻き込むワケには、いきませんから」


男「…………」


特殊部隊「……ハナシは決まったようだな」

特殊部隊「それでは、“ブツ”を見せてもらおうか」

少女「ええ。それなら、こ……」




ヒュルルルルルル…

522: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:16:58.76 ID:d5mh3pIZo

男「……ん?」

男「なんだ、この音…………」


no title

523: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:17:27.04 ID:d5mh3pIZo


ズガァァァァァァァァン!!!!!!!!!!!!



特殊部隊「ッ!!?」

特殊部隊「総員、伏せろォォォッッ!!!!」



男「な……、な……!?」

少女「なんですか、コレ……!」



ヒュルルルルルル…

524: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:17:54.67 ID:d5mh3pIZo
no title

525: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:18:22.40 ID:d5mh3pIZo


特殊部隊「ぐわああああああッッッ!!!」

特殊部隊「敵襲、敵襲! いったいどこに……!?」



男「おい、少女! お前の手引きか!?」

少女「知りませんよ! こんな超火力出せる重火器持ち込んでませんし!!」


組員「男さん、少女さんですね」ヌッ


男「……!? どうおわぁぁぁぁっっっ!!!」

少女「黒服のヒトたち……。いったいどちら様です?」

526: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:18:52.30 ID:d5mh3pIZo

組員「私どもは貴方がたの味方です」

組員「それとも……。お嬢の部下、と申し上げたほうが通りが良いでしょうか」


男「ああ、大家さんの……!」

少女「えぇ? 大家さんがお嬢で、部下って……、えぇ!?」

組員「細かい説明は後で」


組員「あの特殊部隊は、我が組の精鋭が抑えています」

組員「お二人はコチラへ」

組員「友人さんから連絡を受けたという“有志”の方が、お待ちです」

527: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:19:32.81 ID:d5mh3pIZo

男「え、友人の奴が……? いったい誰を……」

no title

528: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:20:03.79 ID:d5mh3pIZo

少女「く、クルマ!?」

男「……ちょっと待て。このタクシーは……!!」


運転手「ええ。お久しぶりです」パカッ

運転手「およそ半日ぶりですな」


男「う、運転手さん……!」

少女「あなたが、一体どうして……」

運転手「いや。今日もいつも通り、日が昇ってから動き出す予定だったのですが」

運転手「息子に呼び出されましてな」

529: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:20:34.06 ID:d5mh3pIZo

男「え……? 息子って、いったい誰」

運転手「さあ、ウカウカしてるヒマはありませんぞ!」

運転手「この山を脱出します。はやく後部座席に!!」


男「わ。わかりましたけど……」パタン

少女「……そ、その口調。まさか……」


組員「それでは、運転手さん。お二人をお願いします」

運転手「任されましたぞ。走り屋の誇りにかけて」

運転手「目指すは、朝日をその逆三角形に浴びる、ビッグサイト!!」

530: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:21:00.48 ID:d5mh3pIZo


運転手「んん、久方ぶりの全力全開!!」


ギュルルン!! ギュルルン!!





運転手「―――フルスロットル以外はあり得ない!!!」






ブオオオオオオオン!!!!!!!!!!!!

531: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:21:27.63 ID:d5mh3pIZo



――首都高速道路


ブオオオオオオオ


少女「……高雄山が、みるみる遠ざかっていく」

男「い、いったいこのクルマ、何キロ出てるんですか!?」

運転手「今、120キロになりましたな」ブオオオオオ

男「ブッ壊れますよ!?」

運転手「私の運転に耐え得る程度の改造は施していますので」

532: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:21:54.81 ID:d5mh3pIZo

男「だいたい、何もこんなに急がなくても……」

男「謎の特殊部隊は、組員のヒトたちが止めてくれてるし……」


ドォォン!!!!!!


少女「あ。また、山のほうで爆発が」

少女「アイツら、ホンモノの仕事人ですよ。大丈夫かな……」

運転手「ほっほ。ご安心を」

運転手「仮に相手がホンモノだとしても」

運転手「彼らもまた、“ホンモノ”なので」

533: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:22:21.93 ID:d5mh3pIZo


プァンプァンプァンプァン!! プァンプァンプァンプァン!!


男「……!?」


パトカー『そこの暴走タクシー!! 今すぐ止まれぇぇぇ!!!』プァンプァンプァンプァン


運転手「おっと……。サツの小僧の群れが、何か言っていますな」

男「う、運転手さん? ココの高速道路の制限速度は!?」

運転手「ん……。たしか、通常は60キロでしたかな」

男「ダブルスコア!!」

534: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:22:49.32 ID:d5mh3pIZo

男「俺たち、そこまで急いでませんから! 法定速度内で走りましょう!?」

運転手「残念ながら、一度動き出した“相棒”は」

運転手「私にも止められないのです」

男「うっそだー!!!」


少女「でも……、男さん! 私、燃えてきましたよ!!」

少女「不肖私。カーチェイスは何度か経験がありますが」

少女「こんなにアツい逃走劇は、コレが初めてです!!」

男「君も君で何でカーチェイスの経験なんてあるのかな!」

535: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:23:17.16 ID:d5mh3pIZo


パトカー『そこの……、暴走タクシー……。今すぐ……、止ま……』プァンプァン…




少女「……みるみる、遠ざかっていきますね」

運転手「既に老いぼれた身ですが、ぺーぺーの若造どもには負けませんぞ」ブオオオオオ

運転手「というか量産型の白黒パンダごときの出力に」

運転手「我が“相棒”が、遅れをとる道理がありませんな」

運転手「なあ、相棒!!」


タクシー「…………」

536: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:23:43.18 ID:d5mh3pIZo


男「…………」ハハッ


少女「ちょ、ちょっと待ってください!!」

少女「進行方向にETCのレーンが!」

no title

537: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:24:10.43 ID:d5mh3pIZo


運転手「―――む」キキッ


ギュリルルルルララララララララララララ!!!!!!!!!!!!



男「ちょ、ちょっと! 車体がイケナイ声あげてますよ!!」

運転手「―――奔れ! 天馬の如く!!」


ヒヒイイイイイインンンンンンンンンンンン!!!!!!!!!!!!



少女「ま……、まるで! クルマから出る摩擦音が、馬のいななきのようです!!」

538: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:24:38.65 ID:d5mh3pIZo

男「というか奇蹄目の鳴き声そのものではァ!!?」

運転手「久方のエキサイトに相棒も悦んでおりますな」


運転手「さあ、ここからですぞ!!」バッ


シュオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!!


少女「車体が、空気の層を破って……! いや、走りながら取り込んで!!」

少女「いわば風の結界!! インビジブル・アーマーを作りだしています!!」

運転手「数多のライバルと渡り合うためには……。こういった技術も必要だったのですよ」

男「いったいナニと戦ってたんですかぁぁぁ!!?」

539: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:25:05.71 ID:d5mh3pIZo


ETC係員「ん……? なんだありゃ…………」


ETC係員「ってぇ!? う、うおああああああああああああ!!! 轢かれるぅぅぅ!!!!!!」
     
no title

540: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:25:47.81 ID:d5mh3pIZo

パラパラ…

ETC係員「あ~~~れぇ~~~!!!」ジャポン


男「……い。ETCが、木端微塵に……」ダラダラ

少女「係員のヒトは海に投げ出されました! いちおう無事です!」

運転手「避けられるか、避けられないかを考える必要は無い……」

運転手「ジャマだと思ったら、とりあえずぶち破ってみる」


運転手「それが、ハードボイルド……」


少女「か、カッコイイ……!!」

541: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:26:32.00 ID:d5mh3pIZo

運転手「タバコ。よろしいですかな」

男「え、ええ……」

運転手「かたじけない」

シュポ


運転手「ふぅー…………っ」


運転手「やはり走りの最中に吸うシガレットは格別ですな」

男「……あ、あの。あなたは、以前からこんなコトを?」


運転手「東狂という街の日常ですな」

542: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:26:59.11 ID:d5mh3pIZo

男「本当に、この運転手さん。いったい何者なんだ……」




ギャルルルルルルルルルルルル…


男「……? 今、何か……」

少女「あれは……? 後ろから、何か白いのが……」

少女「このクルマに、超スピードで猛追してきます」


運転手「――――……!!」

運転手「……あ。アレは……」

543: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:27:26.08 ID:d5mh3pIZo
no title

544: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:27:53.12 ID:d5mh3pIZo


少女「し、白バイです!! しかも改造車!!」

少女「ば、バイクなのにスゴいスピードですよ! このままじゃ追いつかれる!!」

男「チョーシ乗ってるから何かトンデモナイのが出てきちゃったじゃないですかぁぁ!!?」


運転手「……単車で、私の相棒に追いつく警察……」

運転手「まさか……」


運転手「ちょっと、揺れますぞ。どこかに掴まってください」

男「へ!? 揺れるって……」

545: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:28:19.44 ID:d5mh3pIZo

少女「そういえば、今日もある、サイドブレーキ脇のコップ……」

少女「いまだに中身の水が、一滴もこぼれていません」


チャポン


少女「ソレがこぼれるほどの。“何か”を、すると……!?」

男「何かってナニ!!?」


運転手「どうやら、“重り”を外す時が来たようですな……」

運転手「バックタイヤ!! パージ!!」

ポチ


バカァン!!!!!!

546: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:28:45.99 ID:d5mh3pIZo

少女「ああっ、車体の後ろについていたタイヤが外れました!!」

男「そ、そのままバイクのほうに飛んで……!」


白バイ「――――!!」

no title

547: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:29:12.67 ID:d5mh3pIZo

男「起爆したぁ!? ちょっ、なんてモノ載せてるんですか!!」

男「ていうか何で爆弾なんて使ってるんですかァ!?」

少女「あーあ。ありゃ、あの白バイ、運転手もろとも爆発四散ですねぇ……」


運転手「―――いや」



no title

548: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:29:39.87 ID:d5mh3pIZo
no title


男「……!!」

少女「爆発の中から、人影が……!?」

549: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:30:07.86 ID:d5mh3pIZo


ギャルルルルルルルルルルルル!!!!!!!!!!!!



少女「あの白バイ!! 爆発をモノともせず、追いかけてきます!!」

運転手「やはりか」


男「……ちょっと、あの白バイ、なんか構えてますよ!!」



no title

550: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:30:42.36 ID:d5mh3pIZo


少女「……!! マシンガンです、あれは!!」

少女「当たったらいくら改造車でもハチの巣ですよぉ!?」

男「なんで今日は機関銃とか爆弾とか改造車とかが出てくるんだァ!!?」

運転手「……ふ」

運転手「どうやら相手は、本気で私たちを仕留める気のようですな」


運転手「掴まって! ドリフト旋回のち、防護シールドを展開し、迎撃します!!」キキッ

男「迎撃!!? 何なの、このクルマ!!!」


シュゴオオオオオオオオ!!

551: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:31:36.17 ID:d5mh3pIZo


白バイ「――――」ニヤ

カシャァン!!


少女「……? 白バイ、マシンガンを捨てました……!」

運転手「なんだと、重火器はフェイク!!」キキキキィ

運転手「では、本命は……!」


白バイ「――――」チャキ


     ライフル
運転手「小銃!! 止まったところで、タイヤを撃ち抜く気か……!」

552: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:32:03.87 ID:d5mh3pIZo


男「もぉ~~~ダメだぁ~~~!」


運転手(読まれた? この私が……)

運転手「だが、ならば!!」パカッ


少女「や、屋根を開けて何をする気ですか!?」

運転手「その素顔、見せてもらおう……!!」スチャ

男「バズーカ!?!!??!??!?! 今あなたコレどっから出したんですか!!?!?」


運転手「深く追究してはいけませんぞ!」

白バイ「――――!!」

553: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:32:31.33 ID:d5mh3pIZo
no title

554: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:32:58.43 ID:d5mh3pIZo
no title

555: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:33:25.96 ID:d5mh3pIZo


ブアァァァァァァァァッ


少女「ぐ……。トンデモナイ爆風です……」

運転手「すぐに再発進しますぞ! 掴まって!!」

ブオオオオオオオ


男「こ。公道でコレはイカンでしょ……」

男「はっ、それよりも、あの白バイは!?」

運転手「…………」

556: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:33:52.36 ID:d5mh3pIZo



カラァン



少女「……あ」

男「ヘルメットが、外れて……!」

運転手「…………」

運転手「お前しかいないと思っていたよ」



運転手「署長」



署長「…………」

557: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:34:21.75 ID:d5mh3pIZo

署長「……久しぶりだな。運転手」

署長「オレも、朝から首都高を爆走するようなバカは」

署長「お前しかいないと思っていた」

運転手「ふ。署長になっても、真っ先に現場に出るのは変わりなし、か」

署長「否定はせんがな。そのパトロールで、昨日、お前の息子にも会ったぞ」

運転手「……!」

署長「COMIKEで無線傍受をしていたが。……いい面構えをしていた。懐かしいな」

運転手「血は争えんというコトか。ならば代わりに、親の私をナワにかけるか?」

署長「……望むところだ。決着をつけよう。いつかの因縁、いつかの勝負に」

558: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:34:49.20 ID:d5mh3pIZo

少女「しょ、署長? 署長さんって、あの!?」

男「昨日、COMIKE会場で、出会った……!」


運転手「奴とは、若い頃、ちと因縁がありましてな」

運転手「今はこの付近の警察署の署長なんかに収まっていますが……」

運転手「当時は、それはそれは、激しくぶつかり合ったものです」


署長「……いくぞ!!」

ギャルルルルルルルルルルルル!!!!!!!!!!!!


少女「白バイ、再発進します!!」

559: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:35:17.24 ID:d5mh3pIZo

運転手「ならば我らも逃げるまで」

運転手「……しかし、どうやら、タイムアップが近いようですな」

男「え……? それは、どういう……」

運転手「見てくだされ。左手を」


no title

560: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:35:45.52 ID:d5mh3pIZo

男「あれは……、虹の大橋……!! いかにも封鎖されそうな……」

運転手「橋を抜ければ、ビッグサイトはもう間近」

運転手「ココで振り切れなければ、我らの敗北です」

少女「でも、振り切るって、どうやって!?」


少女「初手の分離爆弾はかわされ!」

少女「ドリフトと防護シールドは見切られ!!」

少女「バズーカの砲撃を受けても、なお走り続ける!!!」


少女「あの署長さん、尋常な警察官ではありません!」

少女「そんな相手を……、止めるスベがあるというのですか!?」

561: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:36:13.10 ID:d5mh3pIZo

運転手「…………」

運転手「モチロン、今までに使用した武器の他にも、このクルマには」

運転手「対戦車用も含めていくつかの弾薬を積んでいます」


運転手「だが、ソレではおそらく奴には通用しない」

運転手「奴を倒すには、焦土兵器でもなければ……」

少女「……。さすがに、東狂の街を荒野には出来ませんね」


男「焦土兵器が無いと倒せない警察官って何なんだ……」

男「だいたい、荒野にはならなければ、重火器使ってもいいのか……」

562: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:36:47.60 ID:d5mh3pIZo

運転手「ともかく、大橋に入ります。直進!」キキ

ブオオオオオオオ


少女「……あ」

少女「左手。東の海から、日が昇って……」

no title

563: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:37:14.57 ID:d5mh3pIZo

男「…………」

男「暁の水平線か。眩く照らされる海……」

少女「ミナモに朝日がきらめいて。……美しいです」


男「――――!?」

男「ちょっと待て。太陽を背にして飛んでいる、アレは……!!」

no title

564: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:37:42.59 ID:d5mh3pIZo


運転手「―――ま、さか」


運転手「署長のバイク……!?」

少女「え……!?」


少女「……あ! 本当だ、バイクがコッチに向かって飛んでる!!」

男「そ、そこの埠頭を踏み台に飛び上がったのか!? そんなムチャな……!」


運転手「マズい、追いつかれる……!!」


ピー ピー ピー

565: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:38:09.29 ID:d5mh3pIZo

運転手「……? こんな時に無線通信!?」

ピッ

運転手「誰だ! 何の用か知らないが、今は取り込み中だ!!」



無線『―――、一日遅れの“雨”が降る。傘が無いなら、左にかわせ』



運転手「……!!」

男「な……?」

少女「こ。この声は……!!」

566: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:38:36.22 ID:d5mh3pIZo

運転手「……そうか。そういうコトか」

キキ!!



署長「とらえた――――!」



少女「白バイ……。上から来ます!!」

男「つ。潰される……!」



運転手「―――急発進。フルスロットルゥゥ!!」

567: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:39:03.65 ID:d5mh3pIZo


――虹の大橋 ビッグサイト側

自転車「フーン、フーン♪」チリンチリン

パトカー「ちょっと、ソコのキミ!!」プァンプァン

自転車「げ……!」

パトカー「こんな時間に自転車で出歩いて」キキッ


パカッ

警察官「いったい何してるんだ?」

自転車「ええ……、と、ですね。実はCOMIKEに行くために」

568: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:39:34.28 ID:d5mh3pIZo

警察官「ふぅん。COMIKEに、ね……」

警察官「いったいどこから来たの?」

自転車「愛智県の小牧t……」


パトカー「バキバキバキバキ!!!!!! メキメキメキメキメキメキ!!!!」


警察官「えっ!!?」


トラック「お……? あ。悪いな! パトロールの兄ちゃん!」

トラック「トラックでパトカー、ぺしゃんこにしちまったわぁ!!」

569: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:40:02.42 ID:d5mh3pIZo

トラック「ガッハッハッハ!!!」バンバン


警察官「えっ? えっ!!?」

自転車「うわあ……。これはヒドい」


トラック「そんなコトより、おとーさん! もう無線入れたんでしょ、ジュンビするよ!」

トラック「おうよ。コロンビア・AAモデル、装填! 発射よーい!!」


トラック「撃ェェェェェェェェェェェェいッッッ!!!!!!」


シュボボボボボボボボ!!!!!!!!!!!!

570: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:40:29.11 ID:d5mh3pIZo


――虹の大橋 中央部

運転手「―――急発進。フルスロットルゥゥ!!」

ギャリギャリギャリギャリギャリ!!!!!!!!!!!!


男「左に発進したはいいけど……。白バイにすぐに追いつかれますよ!?」

少女「待って……。何かが、飛んでくる!!」



ヒュルルルルルル…


運転手「……なるほど」

571: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:40:55.83 ID:d5mh3pIZo

運転手「これは、たしかに“雨”ですな」


男「え……?」

少女「あ……、“雨”って。もしかして……」


少女「あのデタラメに飛んでくるミサイルのコトですかぁぁぁ!!!?」


ヒュルルルルルル…


署長「なん―――、だと―――!!!」

572: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:41:22.96 ID:d5mh3pIZo
no title

573: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:41:50.49 ID:d5mh3pIZo
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574: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:42:19.82 ID:d5mh3pIZo


署長「ぐわああああああああああああ!!!!!!」


運転手「ぐぅ……っ!」

少女「ミサイル、数十発……。虹の大橋の中心をぶち抜きました!」

少女「大橋の中心部は完全に崩落。私たちのいるほうと、向こうで分かれています」

少女「そして、私たちのいる反対側、崩れた橋の向こう岸にいるのは……」


署長「ぐっ……」


少女「署長の姿です! 完全に署長の追跡を止めました!!」

575: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:42:46.91 ID:d5mh3pIZo

男「は……、はは。やったのか……」

男「今日だけで、いったい何回、爆発が起こったんだ……?」


少女「しかし。この数十発のミサイルの主は、いったい?」

少女「見たところ、発射角がデタラメ過ぎて、橋の架かっている湾内はおろか……」

少女「都心のほうまでミサイルが飛んでいますが……」



トラック「はっはっはァ!! それなら大丈夫だ!!」

トラック「ミサイルはヒトの住んでる地域に飛ばないようセッティングしてるんでなぁ!!」

576: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:43:15.23 ID:d5mh3pIZo

男「お、大型トラックから声が……!?」

少女「この声……。さっきの、無線の!!」

運転手「……まさか、お前たちまで現れるとはな」


トラック「よう」ガバッ



組長「愛と正義の救援隊、到着だァ!!」

大家「あ、私もいますよー」


男「お。大家さん……!」

少女「それに大家さんのお父さんも!!」

577: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:43:50.68 ID:d5mh3pIZo

組長「おお、おお! バカ娘のタナコども! 一昨日のケバブ屋以来だな!」

組長「謎の特殊部隊に襲われたってのに、元気そうで何よりだ!!」バンバン

大家「ぐふっ……」


少女「な、謎の特殊部隊って……」

少女「大家さんのお父さん、高雄山の特殊部隊のコトを!?」

組長「ああ、モチロン知ってるぜ。なにしろ」

組長「特殊部隊をハデに爆撃したのは、ウチの組のモンだからな!!」


少女「え。く、“組”って……?」

578: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:44:30.64 ID:d5mh3pIZo

男「ああ……。さすがに説明しなきゃならないか」

男「大家さんの家は、このへん一帯の地主なんだ」

男「そしてお祭に出店なんかもよくする」


男「……ここまで聞いて、何か思い当たる職業は無いか?」

少女「そ……。それは、ウワサに聞く、アレですか」


少女「大好きなモノは、金、女、暴力」

少女「失くした小指は忠誠のアカシ」

少女「恐怖を恐怖で支配する、ヤのつく自営業そのヒトであるとっ!!」

579: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:44:57.53 ID:d5mh3pIZo

組長「はっはっはァ! そりゃまあ言いすぎだがよォ!!」


組長「場合によっては、そういうコトもある」


男「ひえッ……」

少女「おトナリさんが実は極道だった……」

少女「アパート暮らしとかは、かくも面白いモノなんですね!」


大家「はいはい。お喋りはそのへんで」

大家「まずは男さん。目的を達成できたようで何よりです」

男「あ……」

580: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:45:24.23 ID:d5mh3pIZo

大家「次に少女ちゃん。勝手なコトして、男さん困らせたらダメですよ?」

少女「……はい。スミマセン」

大家「うん。わかればいいんです」


大家「そして運転手さん!!」

運転手「何ですかな。組長のお嬢どの」

大家「……あ、あなたが。伝説の?」

運転手「いかにも。もっとも、伝説かどうかは、私には判断しかねますが」

組長「はっはっはァ! まあ、イカれた暴走伝説ってやつだ!!」

581: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:45:51.87 ID:d5mh3pIZo

大家「友人さんのコトも含めて、色々と問い詰めたいコトはありますが」

大家「まあ、今はそれどころではないようですね」



プァンプァンプァンプァン!! プァンプァンプァンプァン!!



少女「げ、このサイレンは……」

少女「向こう岸にパトカーの大軍が!!」

男「今はまだ向こうにいるが、コッチに周ってくるのも時間の問題だな」

大家「はい。ですからお三方は、今すぐCOMIKE会場に直行してください」

582: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:46:18.53 ID:d5mh3pIZo

少女「え……」

大家「どうせ行くんでしょう? COMIKE」


男「…………」

少女「……ええ。モチロンですとも!!」

少女「だって私は、そのためにこの街に来たんですから!」


男「…………」フッ

運転手「良いカノジョさんですな」

男「さて。何のコトだか」

583: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:46:47.61 ID:d5mh3pIZo

大家「良いヘンジです。そうこなくっちゃ」


大家「それと、男さん! コレを」ポイッ

男「……ん? おとと、ウワァ!!」ドカッ

大家「忘れ物ですよ」


大家「COMIKEに向かう戦士には必需品じゃないんですか、そのバッグは」

男「持ってきてくれたんですね……。昨日の装備を入れっぱなしにしておいて良かった」

男「ありがとう」

大家「いいってコトですよ」

584: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:47:14.04 ID:d5mh3pIZo

大家「では、この場は私たちに任せてください!」

大家「さあ。パトカーの集まっていない、今のうちに!!」


運転手「……かたじけない!」ブオオオオオオオ

少女「大家さーん! ありがとうございましたー!!」

男「このお礼は、必ず!!」

シュゴオオオオオオオオ!!



大家「……行きましたか」

組長「やれやれ。ハデにやってくれたモンだぜ」

585: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:47:56.54 ID:d5mh3pIZo

組長「山ン中での撃ち合いくらいならともかくよォ」

組長「橋の真ん中がゴッソリいっちまったとか、どうすんだ?」

大家「私としては、都心のほうに飛んでいったミサイルも気になるんですが……」


大家「……あ。山毛線、全線運行見合わせみたいです」テロテロリン♪

大家「車線に爆発物落下とかで」

組長「はっはっはァ! こりゃあ大事故だなァ!!!」

大家「笑ってる場合じゃないですから……」


組長「だが、あの嬢ちゃんは帰ってきて、全員無事で、万事うまくいった」

586: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:48:24.07 ID:d5mh3pIZo

組長「そうだろう?」

大家「…………」


大家「まあ、たしかに?」

大家「終わり良ければすべて良し、といいますか。当初の目的はすべて達成できましたね」

組長「そうそう! あとは自分で自分のケツを拭くだけだ!!」


大家「といっても、高雄山での爆発事件隠蔽、首都高のETC破壊の損害賠償支払い」

大家「タクシー速度超過事件の揉み消し、それにこの虹の大橋の崩落事件弁明……」

大家「ああ、そういやさっき、なんかパトカー一台も潰してましたっけ」

587: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:48:53.04 ID:d5mh3pIZo

組長「はっはっはァ! そのへんの事後処理はお前に任せるぜ!!」バンバン

大家「ぐふ。ホント、都合いいんだから……」


プァンプァンプァンプァン!! プァンプァンプァンプァン!!


署長『そこのトラックの持ち主!! 組長だな、動くな!!!』


大家「あ。署長さんの白バイ来ちゃいましたよ。どうやって逃げるんですか?」

組長「ん? 今回はヘリも出してないし、逃げ場無えなあ」

大家「……え。それって……」

588: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:49:21.05 ID:d5mh3pIZo

組長「そう! 夏の海なら安心だァ!!」



組長「飛び込めェェェ!!!!!!」


大家「ウソだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!?」




ドボーン


ドボーン



 

589: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/30(水) 18:49:47.44 ID:d5mh3pIZo
最終章 中編は以上になります。
最終章 後編は、無事に完成した場合は、明日18時ごろの開始を予定しています。

599: ◆mclKiA7ceM 2017/08/31(木) 18:00:34.81 ID:YzE8DNDmo
それでは、無事に完成しましたので、最終章 後編を開始します。
最後は150レスほどの予定です。

600: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:02:17.79 ID:YzE8DNDmo



――鷲ントンホテル前

キキッ


運転手「ひとまずココでよろしいですかな」

男「あ……、ありがとうございます」

男「なんかとんでもないコトになっちゃったんですけど……」

運転手「いやいや。年甲斐もなく私も、楽しませてもらいましたぞ」

少女「アレで、まだ余裕があったと……? このヒトの本気とはいったい……」

601: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:03:21.42 ID:YzE8DNDmo

運転手「おそらく私のクルマは、既にマークされているハズ」

運転手「このままココにいてはメイワクがかかるので……」

運転手「ホトボリが冷めるまでは、どこかに身を潜めていますかな」


運転手「それでは、私はこれで」

運転手「お二人とも。三日目、楽しんでくだされ!」

ブロロロロロ…


男「ええ! 運転手さんも、お元気でー!」

少女「捕まらないよう、頑張ってくださいねー!!」

602: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:03:48.93 ID:YzE8DNDmo


男「…………」

少女「…………」

男「行っちゃったな」

少女「ええ。トンデモナイおじいさん……、いやおじさんでしょうか」

少女「とにかく常軌を逸したアラフィフの方でした」


男「常軌を逸したといえば……。お前」

男「あの特殊部隊は、いったい何だったんだ?」

少女「…………」

603: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:04:16.93 ID:YzE8DNDmo

少女「平たくいえば、私の敵のようなモノです」

少女「私たちは普段、彼らを相手に戦っています」

男「……冗談じゃないんだな」

少女「ええ」


少女「でも、今日だけは、今だけは、ソレを忘れたいと思います」

少女「こんな爆速で走ってきたなら、ヤツらも捕捉できていないでしょうから」

少女「……いいですよね?」

男「……ああ。モチロンだ」

604: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:04:44.97 ID:YzE8DNDmo


男「ちょうど、もうすぐ始発の時間だな」

少女「最終日の今日も、やっぱり始発ダッシュって、やってるんでしょうか?」

男「そりゃ、まあ……。やらない理由が無いしな」


男「むしろ、基本的に来場者は三日目がイチバン多い」

男「今日が最も激しい始発ダッシュになるんじゃないか?」

少女「おお。それは……」


少女「この目で確かめるしかありませんね!!」

男「言うと思ったよ」

605: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:05:12.95 ID:YzE8DNDmo


――シーサイド線 国際展覧場駅

アナウンス『走らないでくださーい。走らな……』


始発組「「「「「「始発からきますた!!!!!!」」」」」」ドドドドドドドド
no title

606: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:05:40.68 ID:YzE8DNDmo


少女「うわキモ! ……いえ、失礼」

男「失礼しなくていいぞ。実際ここまで数が多いと、さすがにキモい」


男「……と、いうか、目の焦点の合ってないヤツらが」

男「もう数人じゃ、きかないんだが……」

少女「なのにこの数。彼らはいったい、何故、そこまでして……?」

少女「COMIKEへの情熱というだけでは、もはや割り切れないと思うのですが」


男「ああ。それは、今日が三日目だからだろう」

少女「三日目……? たしか男性向けの日だっけ」

607: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:06:07.02 ID:YzE8DNDmo

男「そうだ。…………男性向けだ」

少女「……。ああ……」


少女「そういうコトですか……」

男「元来、COMIKEというのは、女性の参加者が中心となって始まったと聞く」

男「現在でも基本的にCOMIKE以外の同人誌即売会といえば、女性が中心らしい」


男「だが……。COMIKEだけは特別だ」

男「参加者の比率も男が多く、男性向けの頒布物も多く出展される」

男「つまり、日本中の、その、愛好家が……。今日、この日に集まる」

608: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:06:34.07 ID:YzE8DNDmo

少女「……。なんとも、原始的なハナシに聞こえますが……」

少女「いえ。だからこそ、生きようとする意志! あふれんばかりの生命力!」

少女「底無しのバイタリティー!! まさしく崇高なリビドーを感じます!!」

男「言いつくろってるけどコイツら全員変態ってコトだからな」


少女「いえいえ。ソレ言っちゃオシマイですよ」

少女「私たちだって立場は同じですし」

男「ぐ……。まあ、俺だって気にならないといえばウソになるし」

男「否定は出来んな」

少女「それも含めて、情熱的なこのお祭が、私は好きですよ!」

609: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:07:00.57 ID:YzE8DNDmo

男「いちおうフォローしておくと、健全な頒布物と、健全じゃない頒布物の種類の割合は」

男「一説によると、およそ7対3だという。CDや雑貨もあるからな」

男「まあ、出回ってる数となると、結局逆転するんだが……」



「「「「「「ウオオオオオオラッシャァァァァァァァァァァァァァァァァァァイイイイイイ!!!!!!」」」」」」



ザワザワ

少女「こ……。この、叫び声は……!」

男「来たか……!!」

610: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:07:34.16 ID:YzE8DNDmo



スタッフ長「ぬかせぃ始発組!」

スタッフ長「力を以て事を成すなど徹夜組だけで十分!」


スタッフ長「苦情、主張があるのならまず話し合い!」

スタッフ長「その為ならば我ら三百兵、一丸となって機を刻もう!」


スタッフ長「行くぞ友よ、魂(いのち)を此処に―――!」


       テルモピュライィ・エノモタイア
スタッフ長「駅前門のぉ、守護者ァァァア!」

611: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:08:01.16 ID:YzE8DNDmo
no title

612: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:08:27.91 ID:YzE8DNDmo

少女「ぐっ。すさまじい、火柱……!!」

男「スタッフ兵たちの気迫がカタチとなり、炎となって燃え上がっているのか!?」

少女「人間聖火というワケですね。私も燃えてきました……!」


野次馬「今年もスタッフ長がついに点火したぞ!!」

野次馬「いったいどっちが勝つんだ……!?」


スタッフ「スタッフ長。今年の夏、最後の戦いです! 頑張りましょう!」

スタッフ長「…………」


スタッフ長「退くなら今のうちだぞ」

613: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:08:54.88 ID:YzE8DNDmo

スタッフ「……!」


スタッフ長「この戦いは、三日間で最も激しいモノになる」

スタッフ長「加えてこの天候。昨日までの鬱憤を晴らすような、快晴……」

スタッフ長「撤退は負けではない。逃走は恥ではない」

スタッフ長「退き際を見極められるのも、また一流の戦士だ」


スタッフ「……いえ、スタッフ長」

スタッフ「我らスタッフ一同。夏のCOMIKEも、冬のCOMIKEも、スタッフ長についてきました」

スタッフ「かつてのジェノサイドCOMIKEを経て、紡いだこの絆」ゴオオオオオ

614: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:09:21.56 ID:YzE8DNDmo

スタッフ「生半なコトでは燃えつきません!!」ゴオオオオオ


男「300人のスタッフ兵からも、炎が……!」

少女「暑苦しい……。だけど、コレがスタッフたちの絆!!」


野次馬「そうか、あのジェノサイドCOMIKEの時も……」

野次馬「COMIKE雲は別にスタッフ兵関係無いのがスゴいよな」


スタッフ長「…………」フッ

スタッフ長「そうか」

スタッフ長「カクゴは出来ているんだな」

615: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:09:49.57 ID:YzE8DNDmo

スタッフ「ええ」

スタッフ長「ならば、行くぞ」スッ

スタッフ長「これが最後の戦いの始まりだ!!」


スタッフ長「ここから先は! 始発組も! 野次馬も! 一歩も通すな!!!」

スタッフ長「駅前門を守れ!! 安全な来場のために!! 参加者を誘導しろ!!」

スタッフ長「行くぞ……、選ばれし300のスタッフ兵たち!!!」



          コ ミ   ケ ッ ト
スタッフ長「 C o m e G e t (来たりて取れ) !!!!!!」



 

616: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:10:16.40 ID:YzE8DNDmo
no title


スタッフ「「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおお…………!」」」」」」





 

617: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:10:44.70 ID:YzE8DNDmo


――シーサイド線 国際展覧場駅前

ミーンミンミン ミーンミンミン


少女「最後まで、アツい……。方たちでしたね……」

男「ああ……」


スタッフ長「今年も良い勝負だった。次は冬コミで会おう」ガシッ

始発組「ああ……! 始発組の新たな団結力、見せてやるぜ」ガシッ

スタッフ長「でも駅のホームで走るのは危ないからやめろよ」

始発組「ふひ、サーセン」

618: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:11:13.81 ID:YzE8DNDmo


少女「それにしても……。今日は、暑いですね……」

男「ああ。一昨日、昨日と、曇ってたり雨だったからな」

男「晴れてる今日が夏コミ本来の姿というべきか」

男「いや、この暑さでも、じゅうぶん涼しいほうなんだが……」

少女「朝でコレですよね。昼にかけて、もっと気温が上がるのかと思うと」


少女「…………」

男「……帰るか?」

少女「いいえぇ? 帰りませんとも!!」

少女「私は黒ずくめさんとの約束を果たさなければなりませんからァァ!!」

619: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:11:40.55 ID:YzE8DNDmo

男「そうだな。コスプレの約束を……」


男「あっ」


少女「……なんですか、そのやべーコト思い出したみたいな『あっ』は」

男「……いや。今朝、お前がいなかったからさ」

男「今日は参加しないって、友人通して黒ずくめさんに伝えちゃったんだよね」


少女「ハァァ!!? なに勝手なコトを……!!」

少女「……って、私のせいですよね。ほんと勝手なコトしてスミマセン……」

男「い、いや。謝るな。早とちりした俺も悪いし」

620: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:12:13.83 ID:YzE8DNDmo

男「……となると、どうしたモノか」

少女「黒ずくめさん、今日は一般参加だから、早ければ」

少女「もうこの待機列のどこかにいるんじゃないですか?」

男「ううん……。とりあえず、電話してみるか」プルルル


黒ずくめ『はい、もしもし』ムシャムシャ

黒ずくめ『……あっ、男さんですか!?』

男「ああ、そうだ」

男「その……、友人の奴から連絡は、いってるか?」

621: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:12:46.87 ID:YzE8DNDmo

黒ずくめ『はい。今日は参加なされないと……』

男「ええと、そのハズだったんだが」

男「少女の奴が見つかったんで、良ければ、今から参加したいなー、と……」

黒ずくめ『えっ? 本当ですか!?』

男「ああ。ムシの良いハナシだとは思うが……」

黒ずくめ『いや、いや! 大歓迎ですよ!! 少女ちゃんいます!?』

男「うん、ココにいる。おい、少女……?」

少女「…………」コク


少女「お電話代わりました。少女です」

622: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:13:14.00 ID:YzE8DNDmo

黒ずくめ『少女ちゃん……』

少女「……スミマセン、私のせいで色々振り回しちゃって」

少女「男さんにも、友人さんにも、黒ずくめさんにもメイワクかけちゃって」


男「…………」


少女「でも。そんな私を許してもらえるのなら」

少女「もう一度だけ! COMIKEに参加したいんです!!」


黒ずくめ『…………』

少女「…………」

623: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:13:42.35 ID:YzE8DNDmo

黒ずくめ『少女ちゃん』

少女「はい」

黒ずくめ『僕は、君が今までどんな人生を送ってきて、何を考えているのかは、わからない』

黒ずくめ『昨日なにがあったのかも、僕は知らない』

黒ずくめ『でも。ビッグサイトの前では、誰でも、等しく参加者の一人だ』


黒ずくめ『君にはCOMIKEに参加する資格がある』


少女「……!」

黒ずくめ『君さえ良ければ。ゼヒ、このお祭に参加してほしい』

624: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:14:08.84 ID:YzE8DNDmo

少女「……は! ハイ!!」


少女「聴きましたか、今の声……!」

少女「ああ、もう。トロけちゃいそうです……」

男「…………」ボリボリ


男「……もう一回、代わってもらっていいか?」

少女「え。男さんも、黒ずくめさんの声聴きたいんですか?」

男「いやそうじゃなくて。訊かなきゃいけないコトがあるから」

少女「……? はーい」

625: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:14:36.45 ID:YzE8DNDmo


男「すまん、もう一度俺だ。一つ訊きたいコトがある」

黒ずくめ『はい? なんでしょうか?』

男「黒ずくめさん、今どこにいる?」

男「ビッグサイトの近くにいるなら、合流したいんだが……」

黒ずくめ『ああ、それなら。近くにいますよ……!』


黒ずくめ『有開パークビルってわかります?』

男「ああ。たしか、鷲ントンホテルのすぐトナリの……。そこに?」

黒ずくめ『はい。一階のマグロナルドで、朝食中です』

626: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:15:05.89 ID:YzE8DNDmo

男「わかった。今すぐ行って構わないか?」

黒ずくめ『ええ。朝食がまだでしたら、一緒に食べましょう』

男「そうするよ。じゃあ」ピッ


男「黒ずくめさん、鷲のトナリのマグロナルドで朝飯中だそうだ」

少女「マグロナルド……? って、ハンバーガーのチェーン店ですよね?」

男「ああ、そうだが。ソレがどうした?」

少女「いや。黒ずくめさんも、ハンバーガーとか、食べるんだなって」

少女「てっきりケーキと紅茶しか食べないようなヒトだと……」

男「そんなヤツはCOMIKEではとっくに死んでるな」

627: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:15:33.66 ID:YzE8DNDmo


――有開パークビル 1F マグロナルド

黒ずくめ「あ。男さーん、少女ちゃーん! コッチですよー」

男「どうも。今日は私服から黒ずくめなんですね」

黒ずくめ「ええ。もっとも、コスプレ用の衣装ではありませんが」


少女「くくく、黒ずくめさん!! ここここんにちは!!」

黒ずくめ「昨日ぶりだね、少女ちゃん。でもこの時間帯なら、おはようかな」

少女「そそそそうですね! おはようございますですともっ!!」

男「キンチョーしすぎだろ……」

628: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:16:08.17 ID:YzE8DNDmo

男「もう注文は済ませてきた。相席、良いか?」

黒ずくめ「ええ、構いませんよ。少女ちゃんも、どうぞ」

少女「え? 私なんかが黒ずくめさんの前の席で、良いんですか!?」

黒ずくめ「モチロンだよ」ニコ


少女「わっはー、エスコートする姿もイケメン……!」

少女「立てばイーグル、座ればオパール、歩く姿はクロスイレンというやつですね!!」

男「テキトーに黒っぽいモノ挙げてみました感ありがとう」

黒ずくめ「フフ。二人とも面白いなあ」

629: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:16:35.15 ID:YzE8DNDmo

黒ずくめ「まるで、長年連れそった夫婦……」

黒ずくめ「いや、違うか。でもとにかく、そんなカンジがする」

男「いちおう三日前に会ったばかりなんだぞ?」

少女「夫婦……、ですか。たしかにそのくらい一緒にいたかもしれませんね」

男「あーコイツついに壊れやがった」

黒ずくめ「くっ、くっ、くっ。本当、面白いよ」


男「そういや黒ずくめさん、今日は一人なのか?」

黒ずくめ「いや。昨日と同じ連れが二人、いたんだけどね」

630: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:17:01.85 ID:YzE8DNDmo

黒ずくめ「あ、コーヒー飲ませてもらうね」ズズッ

少女「連れのお二人さん……?」

黒ずくめ「ほら昨日、列を誘導していた係員のオトコが、いただろう」

男「ああ……」

黒ずくめ「それと後ろで本を出してくれていたオトコもね」

男「案外、オトコと一緒にCOMIKEに来てたんだな」


男「てっきり女の子でも、はべらせてるモノかと」

黒ずくめ「くっ、くっ。ヘンな言い方はよしてくださいよ」

黒ずくめ「二人は大学の時のサークル仲間なんです。あと数人、いますが」

631: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:17:28.55 ID:YzE8DNDmo

黒ずくめ「ああ、そうだ。昨日の同人誌は、読んでくれたかな?」

少女「えっ? あっ、ハイ! モチロン読みましたとも!」

少女「なんというか……。打算の無い、とってもキレイな、愛の物語でした」

少女「プラトニックラブといいますか!!」

男「…………」ハハッ

黒ずくめ「うん。以前のモノとはいえ、たしかに精魂込めて描いたモノだからね」

黒ずくめ「楽しんでくれたなら幸いだ」


黒ずくめ「……で。実は、その同人誌のモデルなんだが……」

少女「は? モデル?」

632: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:17:54.99 ID:YzE8DNDmo

黒ずくめ「うん。実は、あの一連の同人誌の登場人物には」

黒ずくめ「モデルにさせてもらった友達がいてね……」

黒ずくめ「それが、サークルを手伝ってくれた、彼らなんだ」

少女「まじですか!」

男「……。そういえば、ちょっと、似てたかも……」


黒ずくめ「ふふっ。さすがに本人たちに教えたら、顔を赤くしてたけどね」

少女「現実世界から着想を得る、というコトですか……。ナルホド」

男「いやナルホドじゃないからな。コワいな、COMIKE……」

633: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:18:22.09 ID:YzE8DNDmo

黒ずくめ「…………」ジー

男「……?」


男「……あの、俺が何か?」

黒ずくめ「ああ。いや、その……」


黒ずくめ「ふふ」


男「何だその意味深な笑いは!!」

黒ずくめ「ふふふっ」

634: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:18:49.59 ID:YzE8DNDmo

黒ずくめ「いや、男さんはノーマルのほうが合っている気がします」

黒ずくめ「ああ。僕の個人的な見解ですよ?」

黒ずくめ「男さんは、男さんの思うように、生きていただければと」

男「コワい。コワいなぁ、ホント、COMIKE……」


少女「……? それで、黒ずくめさん」

少女「昨日のお二人はどうされたんですか?」

黒ずくめ「ああ……。その二人なんだけどね」

黒ずくめ「さっきの山毛線運行見合わせだかなんだかで、足止め食らってるんだ」

635: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:19:18.65 ID:YzE8DNDmo

男「山毛線が運行見合わせ……?」

男「いったいどういうコトだ?」

黒ずくめ「うん。なんでも、山毛線の線路で事故があったとか」

黒ずくめ「たしか……。爆発物が落下、だったかな?」


男「爆発物が……」

少女「落下……?」


男&少女「「…………」」


黒ずくめ「……?」ズズッ

636: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:19:47.09 ID:YzE8DNDmo

黒ずくめ「どうしたんだい二人とも、アイマイな表情で沈黙して」

男「いやぁ……。なんでもナイデス」

黒ずくめ「そうかい? ならいいんだけどね」


少女「ちょっと、ヤバいですよ男さん!」ヒソヒソ

少女「あのミサイル、モロ都市部に着弾しちゃってるじゃないですか!!」

男「ううん。でも爆発物が落下ってだけで」ヒソヒソ

男「人身事故にはなってないみたいだし……」

男「いちおう組長さんは有言実行したのか。セッティングのやつ」

少女「でも山毛線って数百万人に影響あるんですよね? 泣き出すヒトいますよ……」

637: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:20:30.47 ID:YzE8DNDmo


黒ずくめ「……で。なら、タクシーで来ればいいじゃん、って言ったんだけど……」

黒ずくめ「片方が、何万人が詰めかけてる駅のホームに閉じ込められてるうちに気分悪くなったらしくて」

黒ずくめ「今、二人して自分のホテルの部屋に、こもってるんだ」

少女「そうだったんですか……」

黒ずくめ「一昨日に昨日と、COMIKEに連れ回した僕も悪いんだけどね」

黒ずくめ「オトコならもうちょっと根性見せてくれないかなー」

男「ははは……。まあ、COMIKEは普通のヒトにはキツいからな」


黒ずくめ「まったく。だけど、それで困ってたんだ」

638: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:20:56.90 ID:YzE8DNDmo

少女「困ってた……? お二人と合流できないコトですか?」

黒ずくめ「モチロンそれも困るんだけどね」


黒ずくめ「コスプレ先行入場の通行証が余ってしまうから」


少女「コスプレの。先行入場……?」

黒ずくめ「あ。そうだ!」

黒ずくめ「なら、先行入場の通行証がもったいないし」

黒ずくめ「二人も僕と一緒に会場に入るというのはどうかな?」

男「は……?」

639: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:21:23.59 ID:YzE8DNDmo

少女「コスプレの、先行入場。そんなコトが、出来るんですか?」

男「聞いたコトがある……。コスプレイヤー限定のサービスだが」

男「サークル参加者と同じ7時半から、先に入場できるシステムがあると」

黒ずくめ「うん。COMIKEの開催前に、ネット上で申し込めるんだけどね」

黒ずくめ「当選すると、通行証が発行されて、当日早く更衣室を使えるんだ」

少女「……。それは、良いシステムだと思いますが……」

男「…………」


少女「単刀直入におうかがいします」

640: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:21:50.20 ID:YzE8DNDmo

黒ずくめ「……? 何かな」

少女「そのコスプレ通行証を使って、早くにサークルの列に並んだり」

少女「……というコトは、可能なんですか?」

男「…………」

黒ずくめ「…………」


黒ずくめ「いや、それは不可能だ」ニコ


少女「え……?」

黒ずくめ「先行入場できるといっても、更衣室からの移動には制限があるからね」

641: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:22:17.44 ID:YzE8DNDmo

黒ずくめ「……チケットと同じような使い方は出来ないよ?」

少女「……!!」ギク

黒ずくめ「ふふ。期待した?」

少女「い、いえ。そういうワケでは、ないのですが……」


黒ずくめ「準備会もソコはちゃんと考えているね」

黒ずくめ「僕としても、コスプレを利用して、チケット組まがいのコトをされるのは」

黒ずくめ「とうてい承服できるコトじゃない」


男「…………」

642: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:22:54.89 ID:YzE8DNDmo

黒ずくめ「まあ、気にするコトは無いさ」

黒ずくめ「元はベンリなアイテムなんだから、正しく使えば、正しいアイテムになる」

黒ずくめ「そうだろう?」


少女「……!」

少女「はいっ!!」

黒ずくめ「うん、うん。やっぱり君は、暗い顔より、元気な顔がイチバンだ」スッ

少女「ひゃあっ! ほ、ホッペタ撫でないでくださいよぅ……!」テレテレ

男「…………」ヤレヤレ

643: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:23:24.11 ID:YzE8DNDmo


男「……ちょ。ちょっと待ってくれ……」

男「それは俺もコスプレをするというコトか?」


少女「……! 男さんのコスプレ姿!」

少女「見たい! ゼヒ見てみたいです!!」

男「えぇー……。俺、別に興味無いんだが」

黒ずくめ「くっ、くっ。ムリにする必要は無いと思いますけどね」

黒ずくめ「せっかくコスプレ先行入場するんだし、少しはどうですか?」

男「えぇー」

644: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:23:56.15 ID:YzE8DNDmo

黒ずくめ「といっても、凝ったコトをする必要はありません」

黒ずくめ「ザンネンながら僕は女モノのサイズの服しか持ち合わせていないですし」


黒ずくめ「でも、ほら、今年はアレが流行ってるじゃないですか」

男「アレ?」

黒ずくめ「あの、FG○にも登場してる。エジプトの……」

男「ああ。メジェド様か」

黒ずくめ「そう。白い布に目を描いて被るだけのやつ」

黒ずくめ「アレならカンタンに出来るんじゃないですか?」

645: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:24:23.88 ID:YzE8DNDmo

男「……コスプレ。やる、のか……」

少女「男さん。チャレンジ、チャレンジ! ですよ!」

男「はあ……。わかったよ」

男「コスプレ先行入場して、コスプレしないのもマナー違反だろうしな」

少女「やったー!!」

黒ずくめ「それじゃあ、キマリというコトで」


店員「失礼します。コチラ、ご注文の朝マッグとハンバーガーになります」

少女「おっ、やったー! ありがとうございます!!」

646: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:24:50.90 ID:YzE8DNDmo

少女「いっただっきまーす!!」パクパク


黒ずくめ「何を注文したんですか?」

男「朝マッグを、俺とコイツの分、2つと……。ハンバーガー数個だ」

黒ずくめ「ハンバーガー数個? ソレは……」

男「コイツが食べる」

黒ずくめ「え? 少女ちゃんが?」

男「ああ。こう見えて、けっこう大食いなんでな。コイツ」

少女「んぐっ。ばばば、バラさないでくださいよー!!」

647: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:25:17.40 ID:YzE8DNDmo

黒ずくめ「あはは……。よく食べるのは、イイコトだよ」

男「朝マッグとかせっかく量少ないのに、追加注文してちゃ意味無いと思うんだがな」

黒ずくめ「でも、これからCOMIKEに臨むのなら、エネルギーは蓄えたほうがいいですよ」

男「たしかに。待機列に並ぶワケでもないし、まあ、いいか……」


少女「んー、これがあの、有名なマッグのハンバーガーかぁ!!」モグモグ

少女「この安っぽさが良い!!」バーンッ

男「こら、デカい声でそういうコト言うな……!」

黒ずくめ「あはは」

648: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:25:43.87 ID:YzE8DNDmo


――有開パークビル前

少女「ごちそうさまでしたー!!」


黒ずくめ「さあ、そろそろ時間だ。ビッグサイトに行こうか」

男「ああ。その前に、LAMSONに寄らせてくれないか?」

黒ずくめ「国際展覧場駅前の?」

男「実は、昨日の着の身着のままで来ててな……。いや、服は着替えてるが」

男「装備の食糧の備蓄が心もとないんだ」

黒ずくめ「わかりました。そういうコトでしたら、まず寄りましょう」

649: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:26:15.67 ID:YzE8DNDmo


黒ずくめ「あっ……」

男「どうかしたか?」

黒ずくめ「いや、さっきおハナシしてた、コスプレ先行入場通行証ですが……」

黒ずくめ「本来なら、申請した本人しか使えないんです」

男「まあ、それこそ転売して使われたりしたらマズいからな」

黒ずくめ「まあ。サークル入場と同じで、厳しく取り締まってはいないと思いますが」

黒ずくめ「万が一、目をつけられた場合は引き下がるので、そのつもりで」

黒ずくめ「その時は僕も一般入場の入口から入りますよ」

男「……。できるだけ、この待機列に、並びたくはないんだけどな……」

650: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:26:42.50 ID:YzE8DNDmo
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少女「うひゃあ……。もう、パークビルのすぐ近くまで」

少女「みんなカラーコーンの内側に座ってますね」

男「昨日の同じ時間でも列はここまで来てなかったぞ……。やはりコレが三日目か」

651: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:27:09.43 ID:YzE8DNDmo

黒ずくめ「晴れだから人が集まったのか、人が集まったから晴れたのか」

黒ずくめ「三日目の参加者が晴れ男、晴れ女説。あるね」

男「集まってる人間の性質からして、あまり前向きに考えたくはないが……」


少女「ああ。でも、おぼろげな白い雲がまばらにかかった、朝の青い空を背にした」

少女「ビッグサイトの前に、色んな格好をした人々が集まって……」

少女「いよいよCOMIKEの最終日が。はじまるんですね!!」


男「……。そうだな」

黒ずくめ「ふふ。本当にCOMIKEをイチバン楽しんでいるのは、彼女のようなヒトなのかもしれないね」

652: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:27:36.67 ID:YzE8DNDmo


スタッフ「東待機列は既に封鎖されました。西待機列に回ってくださーい」

スタッフ「Hey, you! I said that you can not enter the east!」

スタッフ「不要打入列! 子曰! 學而時習之! 不亦説乎!!」


待機列「おぉー……」パチパチパチ


男「今のは……。日本語の後のやつは、英語か?」

黒ずくめ「そして最後は中国語ですね。ウワサのトリリンガルスタッフかもしれない」

男「さ、三か国語……? スゴいヒトがスタッフにいるんだな……」

653: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:28:03.49 ID:YzE8DNDmo


――LAMSON 国際展覧場駅前店

店員「ラー…」

店員「ラーシャッセー…」


少女「て。店員さんも、息絶え絶えです……」

男「コンビニもついに三日目だからな」

男「しかしこのヤツれよう。まさかワンオペ? まさかな……」


黒ずくめ「あ。男さん、この白い透明なゴミ袋でいいですか?」

男「ああ……。うん。いいよ」

654: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:28:29.86 ID:YzE8DNDmo


少女「……!」


少女「み、見てください男さん!!」

男「……? どうした」

少女「あ、あれだけ食べ物が詰まっていた商品棚が!」


少女「まるで虫に食い荒らされたかのように、穴だらけになっています!!」


男「本当だ、品揃えがまばらになっている……」

男「いよいよ佳境というワケか……」

655: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:28:57.32 ID:YzE8DNDmo

店員「……!!」ガタッ

シュババババババ


少女「うっ……。店員さん、ものすごい速さで商品を補充していきます!」

男「寸分の狂いも無い手つき……。コンビニ店員も極めればアレほどか」

黒ずくめ「コンビニ店員ってたまにとんでもないヒトいるよね」

黒ずくめ「でも、僕の売り子も負けていない」

黒ずくめ「もし僕のところの金髪が太陽の下であれば、通常の三倍の速さで品出しを……」

男「黒ずくめさんの売り子はサンフラワーか何かか……?」

656: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:29:25.13 ID:YzE8DNDmo


――LAMSON 国際展覧場駅前店 前

男「梅おにぎりは買ったな。それじゃあ、そろそろビッグサイトに行くぞ」

少女「ま、また梅おにぎりですかぁ……?」

黒ずくめ「くっ、くっ。梅干しは、腐りにくいからね」

男「そういうコトだ。おにぎりの具の定番なだけはある」

少女「ツナマヨが食べたいですよぅ」

男「さっきハンバーガー食ったろう、まだ味の濃いモノ食い足りないのか」

黒ずくめ「それじゃあ行こう。待機列を尻目にビッグサイトに入るのは、ちょっと気が引けるけどね」

657: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:29:51.83 ID:YzE8DNDmo


――ビッグサイト コスプレ参加者 先行入場入口

黒ずくめ「3人。登録料、3000円です」

スタッフ「はい、確認しました。更衣室は男性女性ともに会議棟ですが」

スタッフ「女性は東8ホールも使えます。混雑の分散にご協力ください」

黒ずくめ「ありがとうございます」ニコ


男「ふぅーっ。怪しまれずに通れたな」

黒ずくめ「オドオドしてたら当然怪しまれます。こういうのは思い切りがダイジですよ」ニコ

男「営業スマイルとか、トクイそうだもんな……。ハハハ」

658: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:30:18.97 ID:YzE8DNDmo

少女「…………」

男「……? どうした、少女」

少女「……本当に、これで良かったんでしょうか」

黒ずくめ「…………」

少女「黒ずくめさんのお連れさんが、間に合わなかったのは、仕方ないとしても」

少女「ルールを破って、私たちが入っちゃって……」

男「…………」


黒ずくめ「……そうだね」

659: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:30:46.78 ID:YzE8DNDmo

黒ずくめ「これは人間の集まりだ」

黒ずくめ「当然ルールは守るべきだが、バカ正直でいては痛い目を見るコトもある」

黒ずくめ「……昨日の、君たちのようにね」

少女「…………」

黒ずくめ「いや。ソレに関しては、僕にも責任があるんだが」


男「黒ずくめさん。アレは……」

黒ずくめ「わかっています。友人さんや死神から聞いている」

黒ずくめ「昨日はイレギュラーな事態があったと」

男「……。そういえば、今日は、友人たちは……?」

660: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:31:14.76 ID:YzE8DNDmo

黒ずくめ「さあ。朝に所用があるとは聞いていますが」

黒ずくめ「……もしかしたら、その“後始末”に動いているのかもしれませんね」

男「アイツら……」


黒ずくめ「とにかく。色んな人が集まる大きなイベントである以上、臨機応変な対応が必要だ」

黒ずくめ「モチロン、ルールを破るコトを正当化してるワケじゃない」

黒ずくめ「でも、少しずつ助け合い、少しずつ出し抜き合う」

黒ずくめ「それがCOMIKEというイベントの実情なのかもしれない」

少女「…………」

661: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:31:40.47 ID:YzE8DNDmo

黒ずくめ「だけど。他人の裏をかいて、出し抜き合うのが人間であれば」

黒ずくめ「他人を慮り、支え合って助け合うコトが出来るのも」

黒ずくめ「また人間だ」

黒ずくめ「僕がこんなコトを言うのも、おこがましいかもしれないが」

黒ずくめ「どうか、COMIKEを嫌いにならないでほしい」

少女「…………」

少女「……はい。わかっていますよ」

黒ずくめ「…………」ニコ


黒ずくめ「少なくとも、僕は今日、ココでソレを表現したいと思う」

662: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:32:08.10 ID:YzE8DNDmo


黒ずくめ「さて。女子更衣室はコチラ、男子更衣室はアチラだ」

男「ひとまずココでお別れだな。着替え終わったら、またこの逆三角形の下に集まろう」

黒ずくめ「ええ」

少女「……あれ。そういえば、私、どんなコスプレをするんですか……?」

黒ずくめ「そうだね。いくつか衣装はあるんだが、どれにする?」

男「ああ……。それなら」


男「俺に一つ、アイデアがある」


少女「……?」

663: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:32:35.21 ID:YzE8DNDmo


――数十分後  ビッグサイト 逆三角形下

参加者「……?」

ザワザワ


男「…………」


参加者「メジェド…?」

参加者「デマセイ」

参加者「フケイデアルゾ」

ザワザワ

664: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:33:01.72 ID:YzE8DNDmo


男「…………」


男(この、ビニール袋に目を書いて、足から上を覆っただけのコスプレ……)

男(本当にこれでいいのか?)

男(他の、クオリティの高いコスプレとは、比べるべくもない……)

男(穴があったら入りたい……)


メジェド「…………」ゾロゾロ

メジェド「…………」ゾロゾロ

665: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:33:29.48 ID:YzE8DNDmo

男(……あ)

男(でも、他にもメジェド様のレイヤー、いっぱいいるな)

男(ちょっと安心した)ホッ


参加者「……う、うう……」ボロボロ


男(う。あれは、浮浪者……!!)

男(の、ようなコスプレか。『無人島で100年生きたのび太』って書いたスケッチブック持ってる)

男(COMIKEに来るのは友人について回ってだから)

男(コスプレはさほど詳しくはないが、スゴいな……)

666: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:33:56.61 ID:YzE8DNDmo

参加者「…………」スタスタ


男(ん? スーツのヒトだ。日曜出勤の社畜がCOMIKEにまぎれこんで……)

男(なワケ無いか。となると、アレも何かのコスプレ……)

男(……待てよ。あの髪型。最近、どこかで見たコトがある)


キラン☆


男(あ。あの、小脇に抱えているのは……。将棋ゴマ!!)

男(まさかこのまえ公式戦で29万連勝を果たした、あの四段のコスプレか!?)

男(は? まるで将棋だな……)

667: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:34:23.43 ID:YzE8DNDmo


少女「……男さーん!!」

男「おお。来たか」


少女「どうですか!? この、応援団コス!!」


男「ああ。とても似合ってるぞ。黒い服と白いハチマキが良いカンジだ」

少女「~♪♪」

黒ずくめ「男さん、お待たせしました」

男「黒ずくめさんも。今日も黒ずくめ、キマってるな」

668: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:34:51.81 ID:YzE8DNDmo

黒ずくめ「いえいえ。男さんも」

黒ずくめ「メジェド様でしたっけ? よく似合っていますよ」

男「絶対できる誰でもコスプレナンバーワンだと思うがな」

黒ずくめ「ふふ。たしかに」


少女「え? 絶対できる!!?」ガタタッ

男「なんでお前は特定のワードに反応してるんだ。スクリプトか?」

少女「いえ、そういうワケじゃないんですが」

少女「どうも、この格好だと、絶対に諦めないという情熱が湧き出てきまして!!」ゴオオオオオ

669: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:35:18.36 ID:YzE8DNDmo

男「アツい……。暑苦しい」

黒ずくめ「でも、ホント似合っていますね。少女ちゃん」

黒ずくめ「僕は普通にカワイイコスプレをしてもらおうかと思ってましたが」

黒ずくめ「まさかの応援団長風のコスプレとは。たしかに、アツい彼女にピッタリだ」

黒ずくめ「前から似合いそうだなー、とか思ってたんですか?」

男「そうだな……。昨日、待機列中で、ちょっとした事件があったんだが」

男「着想はソレだ」

男「どうもアイツには、とにかく頭カラッポにして燃え上がるような」

男「そんな格好が似合うような気がしてな」

670: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:35:44.63 ID:YzE8DNDmo


黒ずくめ「…………」クス


黒ずくめ「ずいぶん、彼女のコト、わかっちゃってるんですね」

男「そうか? ただの第一印象だがな」

黒ずくめ「ご謙遜を。繰り返しになりますが、長年連れそった……」

黒ずくめ「そんなカンジがしますよ」

男「だとしたら、アイツがヤケに馴れ馴れしくしてくるからだな」


男「でも……」

男「なんだか俺も、そんなカンジがしてきたよ」

671: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:36:11.07 ID:YzE8DNDmo


――ビッグサイト 某所

男「…………」チク タク

男「あれから数時間が経った」


男「ついにこの時が来たな」

少女「ええ! 最後まで、張り切っていきますとも!!」

黒ずくめ「そうだね。きっと、悔いの無いように」


ピンポンパンポーン

アナウンス『みなさん、長らくお待たせしました』

672: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:36:39.26 ID:YzE8DNDmo

アナウンス『ただいまより、COMIKE 92――――』

アナウンス『三日目を、開催します!!』


ババババババババババババババババババババババババババババババ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

待機列「「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」」」」」」

ババババババババババババババババババババババババババババババ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

no title

673: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:37:09.86 ID:YzE8DNDmo



ドドドドドドドドドドドド…

ウオオオオオオラッシャァァァァァァァァァァァァァァァァァァイイイイイイ!!!!!!



少女「ど。どこからか鳴り響く、この叫び声は……」

男「向こうも向こうで戦いが始まったらしいな」

黒ずくめ「スタッフ長さんたち、今年もやってるんだ? 懲りないなぁ~」


黒ずくめ「さて。じゃあ僕たちも、行動を開始しようか」

674: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:37:37.42 ID:YzE8DNDmo

少女「そうですね!!」

少女「……って、コスプレをするヒトは、どこに行ったらいいんですか?」

男「そうだな。基本的に、ビッグサイトの会場内なら」

男「どこでコスプレをしていてもいいんだが……」

黒ずくめ「コスプレをするならココがオススメですよ、と」

黒ずくめ「コスプレエリアといってね。準備会に推奨されている場所もある」

少女「ほう。それはいったい、どこに?」


黒ずくめ「うーん。毎年コロコロ変わって、ややこしいんだけど……」

黒ずくめ「今年は逆三角形付近や、屋上、あとは東館のトラックヤードかな」

675: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:38:03.83 ID:YzE8DNDmo

男「じゃあ、トラックヤードにするか。人は多いが、行列も見れるし」

黒ずくめ「え……。行列を見に行くんですか? 変わってますね」

男「ははは……」


少女「……黒ずくめさん」

黒ずくめ「うん? どうしたの?」

少女「やっぱりこれだけ晴れてると、倒れるヒトとかも出ますよね?」

黒ずくめ「そうだね。そりゃ、まあ」

少女「……そうですか」

黒ずくめ「……?」

676: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:38:30.49 ID:YzE8DNDmo


――ビッグサイト 東館外 トラックヤード


  ザワザワ ザワザワ ザワザワ ザワザワ

      ガヤガヤ ガヤガヤ ガヤガヤ ガヤガヤ

    ザワザワ ザワザワ ザワザワ ザワザワ



少女「……う、ウワァ――――!!!」

少女「こ。こここ、この黒いの。全部ヒトですか……!?」

黒ずくめ「あはは。もしかしたら、ヒトじゃないのも、混じってるかもね」

677: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:39:13.58 ID:YzE8DNDmo

男「まあ、チミモーリョーが一匹や二匹混じってても、わからんかもな……」

少女「す、スゴい人の量ですよ」

少女「長い行列がいくつも出来ていた一日目も、私も並んだ二日目をも、しのぎます」

少女「本当に、スゴい、スゴい人の量です!!」

少女「ボキャブラリーが不足しててバカみたいですが、そうとしか言えません!!」

男「昨日はこんな列の中に並んでたのかと思うと、ゲッソリするな」

黒ずくめ「といっても、列の勢い自体は、昨日よりかはマシのようだけど」


男「ちなみに今日の大手は、どんなカンジなんだろう?」

黒ずくめ「そうですね。Eマンガ先生のヒトをはじめとして、常連大手サークルが多いようです」

678: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:39:40.53 ID:YzE8DNDmo


参加者「おい、三日目もサーキットが始まるらしいぞ!」

参加者「見に行こうぜ!!」


男「……はは」

黒ずくめ「サーキットをやるのは大手のアカシですね」

黒ずくめ「あとは、FG○島と、その関連の商業作家の列が延びるのではないかと」

男「FG○って今日だったか。こりゃあ、人も多くなるぞ……。いや、もう多いか」

少女「これは、男さんじゃないですが、まるで。人がゴミのよ……」


レイヤー「人がゴミのようだ!!!」

679: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:40:06.95 ID:YzE8DNDmo

少女「!?」クルッ



レイヤー「目が、目がァァァァァァ」

カメコ「「「パシャパシャパシャパシャパシャパシャ!!!」」」


レイヤー「三分間待ってやる……」

カメコ「「「パシャパシャパシャパシャパシャパシャ!!!」」」



男「スゴいな。大佐のコスプレもいるのか」

黒ずくめ「あのヒト毎年いますよ」

680: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:40:34.11 ID:YzE8DNDmo

少女「うわぁ……」

少女「人がゴミのようだ、とか、本当に言うヒトいたんですね」

男「いやそういうネタだからな?」

少女「そ、そーなんですか。変わってますね……」


カメコ「バルス!!」

レイヤー「あァァ、目がぁ、目がァ、っ……ああああアアアア~~~!!!」

カメコ「「「パシャパシャパシャパシャパシャパシャ!!!」」」


男「しかし……。大佐のあの作品って、いったい何十年前の作品だっけ?」

681: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:41:01.92 ID:YzE8DNDmo

黒ずくめ「うーん。二十年……、いや、それ以上前かと」

黒ずくめ「僕や男さんが生まれる前からあるのはマチガイないですね」

男「そんな前の作品だったか……」

男「なのに、発表から数十年経った今でも、こうしてコスプレするヒトがいる」

男「あらためてスゴい場所だよな。COMIKEは」

黒ずくめ「好きなら何でもアリ、の精神ですからね」


レイヤー「いいこと? 暁の水平線に勝利を刻みなさい!」

レイヤー「問おう。あなたがわたしのマスターか」

682: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:41:29.42 ID:YzE8DNDmo

男「……っと。とは言っても、やっぱりコスプレの中心、ハナガタは」

男「最近のアニメやゲームのキャラクターのようだが」

黒ずくめ「美人なレイヤーさんのほうが、人目も引きますからね」

黒ずくめ「ていうか男さん、ああいうのが最近のアニメやゲームのキャラとか、わかるんですか?」

黒ずくめ「なんだかオタクじゃない風を装っていたように見えますが」

男「……ん? ふふーん、さて何のコトだか」

男「それに。ニワカがソレを名乗っちゃ、ホンモノに失礼だよ」


少女「あの。男さん、男さん」

男「ん……?」

683: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:41:55.81 ID:YzE8DNDmo

少女「あの、レイヤーさんの周りで、カメラ持ってるヒトたち……」

少女「アレはいったい、何なんですか?」

男「ああ。アレは、“カメコ”といってだな」

男「カメラ小僧の略で。COMIKEで、レイヤーを撮影するヒトたちだ」

黒ずくめ「カメラマンさんだね。レイヤーは撮影に快く応じるモノさ」

少女「へえ……。うーん、撮ってるヒトもスゴい情熱だなあ」

黒ずくめ「まあ、マナーの悪いカメコだって、いるにはいるんだけど……」


ドローン「バラバラバラバラバラバラ!!!」

684: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:42:22.78 ID:YzE8DNDmo


少女「……?」

少女「お、男さん。なんですかアレは」

少女「上を飛んでる、ちっさいヘリコプターみたいなのは……」

男「ん? アレはドローンだな」

男「最近流行りの、上等なラジコンみたいなモンだ」

黒ずくめ「アレでレイヤーを撮影してるのかな」

黒ずくめ「でも、ソレはさすがに……」


ヒュルルルル…

685: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:42:50.22 ID:YzE8DNDmo


ドローン「チュドオオオオオオオオオオオオンンンンンン!!!!!!」


映画泥棒「ド、ドローン!!?」


自宅警備隊「ドローンでのコスプレイヤーの撮影はマナー違反だ!!」

自宅警備隊「おとなしくナワにつけ! 映画泥棒!!」


少女「……!?」


映画泥棒「へっ、こんなところで捕まってたまるかよってんだ……!」

映画泥棒「あばよ! パトランプのとっつぁ~ん!!」ダダダッ

686: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:43:16.98 ID:YzE8DNDmo

自宅警備隊「待てー! 映画泥棒!!」

ダダダダダダダダ



黒ずくめ「うわー、彼らも彼らで、今年もやってるなー」

少女「……黒ずくめさん。今のは?」

黒ずくめ「ん? ああ、今のコントかい?」

黒ずくめ「特殊部隊みたいなほうは、非労働武装集団、自宅警備隊 M.E.E.T.」

黒ずくめ「絶対に働かないコトにイノチをかける集団だ」

少女「……は?」

687: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:43:44.32 ID:YzE8DNDmo

黒ずくめ「普段は自宅だけを警備しているんだが、この期間はCOMIKEにも出張しているという設定らしい」

黒ずくめ「そして逃げていったビデオカメラ頭が、映画館のCMでオナジミの映画泥棒だね」

黒ずくめ「あはは。ビックリした? 面白いでしょ」


少女「…………」

男「……安心しろ。アレもコスプレの一つだ」

男「今朝の特殊部隊に姿は似ているが、別に関係は無い」

少女「……そうですか。なら良いんですが……」


黒ずくめ「…………」

688: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:44:16.00 ID:YzE8DNDmo

黒ずくめ「……少女ちゃん!!」

少女「はいっ!?」

黒ずくめ「それじゃあ、僕たちも。そろそろ、コスプレ、始めようか」

少女「は……、ハイ……」

黒ずくめ「カラーコーン置いて。仮の設営して……、と」


カメコ「あの、撮影、いいですか?」

少女「えっ……」

黒ずくめ「はい、モチロンですよ。何かご要望はありますか?」

カメコ「それじゃあ、ソッチの応援団の女の子に、何かセリフを!」

689: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:44:41.79 ID:YzE8DNDmo

少女「え……」

少女「お。男さん……。どうしましょう」

男「ん? 何か好きにソレっぽいコト、言えばいいじゃないか」

少女「そんなコト言われたって思いつきませんよ!!」

男「……うーん。そうだな……」


男「あっ。ほら、“アレ”があるだろう」

少女「“アレ”……?」

男「昨日待機列でやっていた……」

690: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:45:08.53 ID:YzE8DNDmo

少女「え。あんなので、良いんですか?」

男「良いんだ。思いっきり、やってやれ」


カメコ「お願いします!!」


少女「…………」

少女「それじゃあ、失礼して」スゥゥ…


黒ずくめ「え? 何が始まるんです?」

男「まあ見てロッテ銘治ブルガリアヨーグルト」

691: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:45:35.37 ID:YzE8DNDmo


少女「ガンバれガンバれ出来る出来るゼッタイ出来るガンバれもっとやれるってェェッ!!!」


黒ずくめ「!?」

参加者「!?」



少女「やれる!! 気持ちの問題だっ、ガンバれガンバれ、そこだァ!! そこで諦めんなァァ!!!」


参加者「シュウゾウ?」

参加者「イワナ?」

参加者「ザワザワ」

692: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:46:03.80 ID:YzE8DNDmo


少女「ゼッタイにガンバる積極的にポジティブにガンバるガンバるゥッ!!」


少女「―――ペキンだって、ガンバってるんだからァァァァァァッッッ!!!!!!」




参加者「……おおおおおおおおおおおおっっっっ!!!!!!」パチパチパチ

参加者「昨日の娘じゃん!」

参加者「この夏に、あえて応援団の服とは……」

参加者「正直に言おう、俺も水着は好きだ」

参加者「熱くなれよぉぉ!!」

693: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:46:30.89 ID:YzE8DNDmo


少女「はぁ、はぁ、はぁ……」


パチパチパチパチパチパチ

パチパチパチパチパチパチ


少女「え……? ……あっ」


カメコ「いいね、今の叫び! コッチ向いて!」

少女「あっ……。ハイ!!」


パシャッ

694: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:46:58.18 ID:YzE8DNDmo


黒ずくめ「…………」アングリ

男「どうだ。驚いたか?」

黒ずくめ「ええ。そりゃ、驚きますよ……」

黒ずくめ「なんですか、今の?」

男「知らないか? ほら、いるだろう。よくテレビに出てる、日本一アツい元テニヌプレイヤーが」

黒ずくめ「……ああ。その、彼が、……え?」

男「彼が出てる動画を編集して、既存の音楽に乗せた、MAD動画群があってな」

男「今のは、その動画群の中でも、トップクラスに有名なセリフだ」

男「昨日、友人の奴がな。朝の待機列で教えやがったんだよ」

695: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:47:26.20 ID:YzE8DNDmo

男「ほら。これが、その時の動画だ」スイッ スイ

男「ハシッコで俺が見切れてるのは気にしないでくれ」


黒ずくめ「……うわぁ。本当だ……」

黒ずくめ「なるほど。それで、あの衣装を……?」

男「ああ。でも、事前には何も言わなかったけど、黒ずくめさんがピッタリの服持ってて良かった」

黒ずくめ「いえいえ。黒い服なら、なんなと、ありますからね」


黒ずくめ「……そっか」

男「…………」

696: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:47:58.01 ID:YzE8DNDmo


黒ずくめ「……いや、ね。実は気にしてたんですよ」

黒ずくめ「朝、電話もらった時から、少女ちゃんの声が暗くて」

黒ずくめ「だからあんなコト言ったんだけど」

男「…………」

黒ずくめ「でも、安心しました」


黒ずくめ「少女ちゃんは、一昨日に友人さんからおハナシを聞いたのと同じ、少女ちゃんだって」

黒ずくめ「僕が知ってる中で、最も“COMIKEを楽しもうとする”、女の子なんだって」

男「……そうだな。俺も、そう思う」

697: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:48:27.20 ID:YzE8DNDmo

黒ずくめ「ふふ。いや、昨日会ったとき少女ちゃん、グッタリしてたじゃないですか」

黒ずくめ「だから、一昨日は、あんなにCOMIKEを楽しもうとしてたのに……」

黒ずくめ「もしかしたら、COMIKEのコト、嫌いになっちゃったのかなって」

男「……それは」


黒ずくめ「でも、杞憂だったようですね」

黒ずくめ「僕は、少女ちゃんにこのまま帰ってほしくないと思って、コスプレに誘ったんですが」

黒ずくめ「そもそも。COMIKEのコトが嫌いなら、今日は来てくれなかったろうし」

黒ずくめ「COMIKEのコトが好きだから、あんな元気いっぱいに、楽しめるんだろうなあ」

男「…………」

698: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:49:24.57 ID:YzE8DNDmo

黒ずくめ「まあ、人間がいっぱい集まるんですし、色々ありますが」

黒ずくめ「……少なくとも、僕は。色んなヒトの全力が見れる」



黒ずくめ「COMIKEのコトが大好きですから」

黒ずくめ「少女ちゃんが楽しんでくれるのは、スナオに嬉しいです」


男「……ああ。俺も楽しいよ」

男「全力で楽しんでるヤツってのは、見てるだけで、コッチも楽しくなってくる」



カメコ爺「ふおおお! 貴女が黒ずくめさんですな!?」

黒ずくめ「え……? あ、ハイ」

699: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:49:51.39 ID:YzE8DNDmo

カメコ爺「やはり。タクシーでお見かけした時から」

カメコ爺「すばらしいコスプレイヤーだとお見受けしていましたぞ」

カメコ爺「はい! 目線をコッチに! 心底見下したカンジで!!」パシャパシャ

黒ずくめ「ハァ……?」

カメコ爺「んん、その冷ややかな目線がたまらない!!」パシャパシャ


男「……って、ちょっとちょっと! ソコのカメコさん! あんた!!」

カメコ爺「おや、どうしましたかな。メジェドどの」

男「あんたタクシーの運転手さんでしょう!!? 今朝の!!」

700: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:50:20.18 ID:YzE8DNDmo

カメコ爺「おや。バレましたかな」

男「バレましたかなじゃないですよココで何やってるんですか!!」

カメコ爺「見てのとおり、カメコですが」

男「カメラ……。……小僧?」

カメコ爺「ほっほ」


カメコ爺「たんパンこぞうは、いくつになっても、たんパンこぞう」

カメコ爺「カメラ小僧は、いくつになっても、カメコですぞ」

男「いや意味がわかりませんから」

701: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:51:13.03 ID:YzE8DNDmo

男「それより、タクシーはどうしたんですか!」

カメコ爺「普通にパーキングに預けてきましたな」


カメコ爺「いや。もうCOMIKEは、若者たちの催しであると、一線を退いていたのですが」

カメコ爺「今朝がたの走りで“コチラ”のほうも、血が騒ぎましてな」カチャ

カメコ爺「老骨にムチ打って。最後の一日だけでもと、馳せ参じたのですぞ」

男「え……。って、コトは……」

カメコ爺「ほっほ」

カメコ爺「会場が有開に移って、ベンリになりました」

カメコ爺「今のビッグサイトでCOMIKEを出来る参加者は幸せですなwww」

702: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:51:41.49 ID:YzE8DNDmo

男「……って! そ、その口調……!!」

カメコ爺「んん、それでは私はこれで」

カメコ爺「星の数ほどのコスプレイヤーが私を呼んでいますぞー!!」ダダダッ


男「…………」


男「はぁ」

男「血は争えない。という、コトか……」


黒ずくめ「男さん? 今のおじいさんは……。一昨日のタクシーの?」

男「ああ。ヒトに歴史あり……、だな」

703: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:52:08.37 ID:YzE8DNDmo


黒ずくめ「さて。COMIKEは、ここからが本番です!」

黒ずくめ「僕たちも張り切っていきましょう!」

男「ああ。そうだな……」


男「って、俺も?」

黒ずくめ「そうですよ。男さん、見たところ僕と同じくらいの歳だと思いますが」

黒ずくめ「ちょっと落ち着きすぎだと思います」ドンッ


男「そ。そんなコト言われても、生まれつきで……、うわっ!」バタタッ

少女「うわっと! 男さんも叫ぶんですか? ええ、一緒に頑張りましょう……!!」

704: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:52:35.89 ID:YzE8DNDmo


――ビッグサイト 東館外 トラックヤード

少女「はぁー……っ。疲れましたー!! 海風がキモチイイー」

黒ずくめ「カメコたちもハケたね。そろそろ、終わりにしようか」

男「もう昼前か……。よくこの炎天下の中で、突っ立ってたよ」


黒ずくめ「本当なら、もっと館内を動き回ってもいいんだけどね」

黒ずくめ「まあ。行列を眺めながらのコスプレというのも、案外悪くない」


ザワザワ ザワザワ ガヤガヤ ガヤガヤ

黒ずくめ「もっとも、その行列は。まだ解消されていないようだけど……」

705: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:53:19.12 ID:YzE8DNDmo

黒ずくめ「さて。このあと、君たちはどうする?」

男「ん? そうだな。……どうする、少女?」

少女「そうですね! せっかくまたCOMIKEに来たんだし、島の頒布物とか、見てみたいです!!」

黒ずくめ「そうか。なら、僕は……」


金髪「おーい、黒ずくめ~……!!」

紫髪「ココにいたかー……!」


黒ずくめ「おや。騎士は遅れてやってくる、というやつかな」

男「……? あの二人は……」

706: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:53:47.09 ID:YzE8DNDmo

黒ずくめ「今朝、話していただろう?」

黒ずくめ「ほら。本当なら今朝一緒に入る予定だった、連れの二人だよ」

男「ああ。昨日の売り子の……!」


紫髪「探したぞ!!」

黒ずくめ「そうかい? 悪いね。でも、なら連絡くれれば良かったのに」

金髪「COMIKEで電話が繋がるワケがないだろう……!」

黒ずくめ「あはは。それもそうか」


黒ずくめ「それで金髪。体調は大丈夫なのかい?」

707: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:54:13.68 ID:YzE8DNDmo

金髪「ご安心を!! 太陽の下であれば、元気三倍なので」

紫髪「まったく。駅の屋根の下ではヘナチョコになる、金髪にも困ったモノだ……」

金髪「ぐ。あの人の量では、仕方ないだろう!」

黒ずくめ「あはは。ケンカしないで」


黒ずくめ「それよりも、せっかくコスプレ衣装を持ってきたんだろう」

黒ずくめ「昼からの立ちシゴトは、いささかキツいが。頑張るかい?」

金髪「ゼヒとも!!」

紫髪「そのために来たんだからな!!」

708: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:54:41.06 ID:YzE8DNDmo


黒ずくめ「というコトだ。僕たちは、もう少しコスプレしていく」

黒ずくめ「男さんと少女ちゃんは、二人でも大丈夫?」

男「モチロンだ。一日目は二人だけで行動してたからな」

少女「黒ずくめさんも! あと数時間、頑張りましょう!!」

黒ずくめ「うん。思う存分、COMIKEを楽しんでね」


金髪「あの……。お二人?」

男「は?」

紫髪「状況を鑑みるに。黒ずくめと一緒にコスプレをしていてくれたのですか?」

709: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:55:08.58 ID:YzE8DNDmo

少女「ええ! 黒ずくめさんのおかげで、コスプレ、めっちゃ楽しめました!!」

金髪「そうですか。それは良かった」

紫髪「黒ずくめの奴、ごメイワクをおかけしませんでしたか?」


紫髪「……たとえば、薄い本のネタにしようとするとか」

男「あ。あはは。アハハ……」

金髪「まったく。今日も我々を置いて、勝手に行ってしまうし」

金髪「まあ。我々が足カセになって、COMIKEを楽しめないよりは、よほど良いですが」

紫髪「世話の焼けるヒトだ……。だが、それがいい」

710: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:55:35.81 ID:YzE8DNDmo


少女「お二人も、コスプレを?」

金髪「ええ。今日は、西洋騎士の衣装ですね」ガサゴソ

少女「おわ。カタそうなメタルプレートだ……!」

金髪「見た目だけですよ。実際は利便性を考え、軽い素材を使って作っています」

少女「自作なんですか! スゴい……!!」


紫髪「今日はお二人とも、ありがとうございました。まったく、金髪が倒れなければ……」

男「あ……。いえいえ、良いんですよ。ソレ、俺たちにも責任ありますし」

紫髪「……?」

711: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:56:02.61 ID:YzE8DNDmo

男「とにかく。黒ずくめさんをお願いしますね」

金髪「ええ、もとより」


紫髪「ところで、お嬢さん。なかなか良い腕の筋肉をしていますね。普段の運動は何を?」

少女「へ? 私ですか……?」

金髪「おい、紫髪!!」

紫髪「痛い痛い痛い。エリを引っ張るコトはないだろう!」

男「ははは……。それじゃあ、お元気で!」

金髪「ええ。お二人も、ご武運を!!」

712: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:56:31.00 ID:YzE8DNDmo


少女「ふう……。ホントCOMIKEには、色んなヒトが参加してるんですね~」

男「ああ。俺たちの知ってるヒトでも、全然知らないヒトと友達だったりする」

男「そんなヒトの考えてるコトが見られるのも。COMIKEの良いところだ」


男「さて。このあとは、島の頒布物を見に行くんだったか?」

少女「ハイ! そうだ、たしかコスプレのままでも歩いていいんでしたよね!?」

男「いやいや、着替えていくぞ。俺の格好を見ろ……」

少女「あ。たしかに、ビニール袋かぶったままじゃ、キツそうですもんね……」


男「まずは逆三角形のところで着替えよう。そのあとは、東館の島めぐりだな」

713: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:56:58.44 ID:YzE8DNDmo


――東館 ホール内

ワイワイ ガヤガヤ ワイワイ ガヤガヤ


少女「うう……。もうお昼だというのに、スゴい人ですね!!」

男「そうだな。むろん、大手の行列が、いまだに生き残っているのもあるが……」


男「……ん? 大手の行列が、いまだに生き残ってる?」

少女「どうかしましたか?」

男「……いや、なんでもない。本来なら、コレが正常なんだが……」

714: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:57:25.82 ID:YzE8DNDmo


男「とにかく。スゴいな、今年のFG○の勢いは……」

男「外も行列が長いが。アレは島か、島だよな? トンデモナイ量の血栓だ」

友人「FG○は去年の年末がキッカケで大ブレイクしましたからなwww」

男「そうそう。あの時の採集決戦の盛り上がりといったら……」


男「ってぇ、友人!!?」

友人「男氏wwwヤケモーニンwwwwwwぺゃっwwwwww」

白い死神「おっと。俺もいるぜぇ」

少女「友人さんに、死神さん……!」

715: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:57:56.34 ID:YzE8DNDmo


男「お前ら、今日は何して……。というか、なんで島の内側に座ってるんだ?」

男「まるでサークルみたいに」

友人「んんwwwそれはwww死神氏の本を売っているからですなwww」

少女「し、死神さんの本!? サークル参加してたんですか!?」

白い死神「そんな驚くコトか? 俺だってファンネルばっかやってるワケじゃない」

白い死神「せっかくCOMIKEに参加するんだ。同人誌の一冊くらい書くさ」


少女「で、でも……。今日って三日目。男性向けの日でしたよね」

少女「その、死神さんも、やっぱり?」

716: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:58:43.68 ID:YzE8DNDmo

白い死神「ん……? ……いや、違う。違う!」

白い死神「嬢ちゃん、三日目はエロ同人ばかりだと思ってないか?」

白い死神「三日目は評論、解説本の日でもある。俺が出してるのは、コレだよ」ピラッ

少女「……? コレは……」


少女「『白い死神の絶対失敗しないファンネル術』?」


白い死神「そうだ。俺が教えられるコト、っていったら、やっぱコレしかないからな」

白い死神「あの白い死神がレクチャーするファンネル術。キョーミあるだろ?」

男「なるほど……。たしかに、白い死神のネームバリューは、強いな」ペラッ ペラッ

717: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:59:11.69 ID:YzE8DNDmo


参加者「あっ、死神さんですよね? 新刊1部ください!!」

白い死神「はいよー。良いファンネルライフを、心がけてな」ポンッ


男「死神……。お前、考えたな」

白い死神「おうともよ! おかげで本はバカ売れ!」

白い死神「いやー、来年もサークル参加しちゃおっかなー!!」

男「だけど。お前、ファンネル術なんか教えちゃっていいのか?」

男「他のヤツにも知れ渡ったら、これから動きにくくなるんじゃないのか?」

白い死神「ちっちっち。俺がテクニックのすべてを書いたと思ってるのか?」

718: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 18:59:44.70 ID:YzE8DNDmo

白い死神「こんなのは、俺の108あるファンネル技術の、序ノ口に過ぎん!」

白い死神「それに、知れ渡ったら知れ渡ったらで、ソレを逆用する手段もある」

白い死神「そう。たとえどんな状況であろうとも。俺は頒布物を、迅速、かつカクジツに……」


白い死神「狙い撃つ!!」


少女「うーん、カッコイイなあ……!」

白い死神「おや嬢ちゃん。俺はチケット組だぜ? 本当に尊敬しちゃっていいのかい?」

少女「ええ。死神さんはチケット組ですが、転売しないだけ、志の高いヒトだと思います」

少女「……それに。出し抜き合うのが人間ならば。助け合えるのも、また人間だと思うので」

719: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 19:00:25.93 ID:YzE8DNDmo

白い死神「……嬢ちゃん。ちょっと、成長したな」

少女「えへへ……」


友人「こうして少年は大人への階段を上っていくのですなwww」

男「少女だけどな。で、お前たち。今朝は何をしていたんだ?」


少女「やっぱり、今日の頒布物のファンネルですか?」

白い死神「んー? まあ、そんなところだな」

友人「そんなところですなwwwwww」

男「…………」

720: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 19:01:04.72 ID:YzE8DNDmo


男「……おい、友人」

友人「んん?wwwなんですかなwwwwww」

男「今日は行列が正常に伸びているな」

男「三日目だから比較的多いとはいえ、少なくとも、すぐに消滅しているなんてコトは無い」


男「……何をした?」

友人「んんwwwそれはwwwちょっとwww」


友人「お花を摘みにいっただけですなwwwwww」

男「そりゃトイレだ」

721: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 19:01:44.84 ID:YzE8DNDmo

白い死神「まあ、俺たちには俺たちの戦いがあったのさ。深く追究せんでくれ」

男「……そうか。まあ、そう言われちゃ、引き下がるしかないが……」


少女「死神さーん! それじゃあ、新刊1部、くださいなー!!」

白い死神「おうよ。良いファンネルライフを心がけてな」

男「え。ファンネル、するのか……?」

少女「いえ、する機会があるかはわかりませんが。後学のため、というやつです!」

白い死神「まあ、そういう目的で買ってるヤツが一番多いだろうな」

男「やっぱりキョーミあるよな。そういう、裏の部分みたいなの」

722: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 19:02:11.27 ID:YzE8DNDmo

男「それじゃあ、俺たちはこれで」

少女「えーっ、もう行くんですかー?」

男「他のところも周るんだろう。一ヶ所に長く留まる時間は無い」


男「あと数時間とはいえ、この暑さだ。気を抜くなよ」

白い死神「言われなくとも。こう見えて、お前なんかより何度もCOMIKEに来てるからな」

友人「上に同じですぞwwwwww」

男「ははは。まあ、屋内じゃ、比較的熱中症もマシ……」



                                          バタン

723: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 19:02:38.77 ID:YzE8DNDmo

少女「……!!」


友人「んん……!」

白い死神「な……!」

男「ちっ。言ったそばからか。おい……」



少女「ソコのヒト!! 大丈夫ですか!!」ダッ



男「……!」

724: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 19:03:06.19 ID:YzE8DNDmo


初心者「う、うーん……」

少女「良かった。まだ意識はある。いま、汗を拭いて……」

少女「何か飲み物は持っていますか?」

初心者「い。いや。何も……」

少女「何も持っていない!? どうしてですか!!」

初心者「まさか、COMIKEが、こんなにキツいとは……」

少女「初心者の方ですか……。……、……」


男「お、おい。少女……」

725: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 19:03:33.96 ID:YzE8DNDmo

少女「男さん! スポーツドリンクを分けてあげてください! 持ってるでしょう!?」

男「あ、ああ。だが、さすがにぬるくなってるぞ……」

少女「構いませんから。さあ、早く!!」

男「お、おう。そらっ」


ポイッ


少女「キャッチ!!」パシッ

少女「はい、コレをどうぞ。自分で飲めますか?」

初心者「あ。ありがとう……」グビグビ

726: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 19:04:00.78 ID:YzE8DNDmo


白い死神「……はーぁ。少女ちゃん、テキパキしてるねぇ……」

友人「我らが出る幕も無かったようですなwww」

男「ああ。そうだが……」


男「ふっ」


白い死神「ん? どうした、男」

男「いや……、な」


男「お前の言う通り。アイツも、ちょっと成長したな、と思ってさ」

727: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 19:04:29.19 ID:YzE8DNDmo


少女「めまいは収まりましたか? 良かった」

少女「でも、まだ体が熱を持っていますね……」

少女「念のため、救護室に行きましょう」

少女「ほら、肩を貸してください」

初心者「あ。ありがとう……」


少女「あ。戦利品の入った袋は、絶対に忘れずに!」

少女「放っておいて盗まれても、私、知りませんよ!!」

初心者「は、はい……」

728: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 19:04:56.26 ID:YzE8DNDmo


――救護室

少女「スミマセン! 熱中症の方、一人です!!」

天使「了解です。スタッフさん、この方を。ベッドへ運んでください」


ドサ…


少女「ふーうっ」

天使「おや……。貴女は、たしか。昨日もお越しになっていましたね」

少女「え? あ、ハイ。そうですね」

729: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 19:05:22.87 ID:YzE8DNDmo


男「おーい、少女。大丈夫かー……?」

天使「そう。彼と一緒に」


天使「二日間に渡り、ご協力を感謝します」ペコリ

少女「えっ、あっ、そんな! 何も頭を下げなくても……!」

少女「COMIKEの参加者としてトーゼンのコトをしたまでですよ!!」

天使「いえ。このCOMIKEは、本当に患者の数が多い……」

天使「実情。この救護室の機能だけでは、まったく対応できないのです」

少女「…………」

730: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 19:05:51.50 ID:YzE8DNDmo

天使「加えて、この広い会場中の、すべてにスタッフがいるワケではない」

天使「物陰で倒れている患者の方を、見逃してしまうコトもあるのです」


天使「だから、貴女がたのような有志の協力者は、とてもありがたい」

天使「私の働きだけではすべての患者を救うコトは出来ません」

天使「ですが、皆さんの協力があれば、それも可能となる」


天使「ですから。そんな貴女の、尊い志に」

天使「正しい心を持った貴女にこそ、敬意を表したいのです」ペコリ

少女「わ。わわ。そ、そんな……! 頭を上げてください!」

731: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 19:06:18.13 ID:YzE8DNDmo


天使「そうですか」ガバッ

少女(上げた)

天使「では、私は患者の看病と、次なる患者の対処があるので、これで」

天使「貴女たちも、健康に気をつけて、COMIKEを楽しんでください」

少女「は……、ハイ!! わかりました!!」


男「…………」


少女「男さん!!」

男「よう。少女。天使さんから直々に、感謝されたみたいだな」

732: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 19:06:45.20 ID:YzE8DNDmo

少女「ええ、そうなんですよ! あんなヒトから褒めてもらえるなんて。光栄です……!」

男「いや。お前は、特別なコトをしたんじゃない」


男「良いコトをしたんだから、当然、感謝された」


男「それだけのハナシだろう?」

少女「……!」


少女「……私、なれましたかね」

少女「“助け合える参加者”、ってやつに」

733: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 19:07:11.88 ID:YzE8DNDmo


男「…………」


男「ああ。なれたとも」ポンッ

少女「……!」


男「お前は、俺の。誇りだ」

男「この俺が保証する。お前は、良い参加者だとも」


少女「う……。う、うぅ……」

少女「男さぁぁぁん!!!!」ガバッ

734: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 19:07:39.17 ID:YzE8DNDmo

男「ちょっ、おい! こここ、こんなところで抱きつくな……!」

少女「男さん、男さぁん。私、嬉しいですよぉ……」グスグス


参加者「カップル…?」

参加者「チワゲンカ…?」

参加者「イヌモクワナイ」

参加者「…リアジュウバクハツシロ」


男「ち……、違う!! 本当に違うからぁ~っ!!!」


少女「ぐす、ぐすっ。……。おじいちゃん……」

735: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 19:08:06.39 ID:YzE8DNDmo


――ビッグサイト 逆三角形下


参加者「3!」

参加者「2!!」

参加者「1!!!」



ピンポンパンポーン


パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ!!!!!!

736: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 19:08:33.45 ID:YzE8DNDmo



アナウンス『これにて、COMIKE 92を――――』


アナウンス『―――終了します!!』


アナウンス『皆さん、お疲れ様でした。また冬に、お会いしましょう!!』


ピンポンパンポーン


パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ!!!!!!

パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ!!!!!!

737: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 19:09:01.13 ID:YzE8DNDmo


――ビッグサイト 屋上


男「ああ……。ついに、終わったか」

少女「終わって……。しまいましたね」


男「…………」

少女「…………」



少女「夕陽が……」

738: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 19:09:43.98 ID:YzE8DNDmo
no title


男「…………」

少女「ステキだなぁ……」

739: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 19:10:15.74 ID:YzE8DNDmo


少女「私。夕陽というモノがこんなにステキなモノだとは思いませんでした」


少女「そりゃあ、ハナシに聞いたコトはあります」

少女「夕陽を描いたキレイな絵も、映した美しい写真も見たコトはあります」

少女「見目麗しい夕陽を形容するたくさんのコトバがあるのも知っています」


少女「……でも。実物の夕陽は、こんなにも“ステキ”だ」

少女「陳腐なコトバですが。自分の目で見て、初めてわかるコトも、あるのだと」

男「…………」

740: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 19:10:42.03 ID:YzE8DNDmo


少女「私は。このCOMIKEに来て、そう、心から思いました」


男「……楽しかったか? この三日間は」


少女「ハイ! それは、とても!!」


男「…………」フッ




男「なら、良かった」

741: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 19:11:11.61 ID:YzE8DNDmo


少女「さて。私はもう、行かなくてはなりません」

男「こんなに早くにか? 日付が変わるまでには、まだ時間があるぞ」

少女「ええ。でも、日があるうちに、動かないと……」


少女「“ヤツら”が、来てしまいますから」


男「……!」

少女「まあ、この街のヒトたちも。ある種ファンタジックなくらいに」

少女「なんか戦闘力高いみたいですし。心配はしていないのですが」

742: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 19:11:44.41 ID:YzE8DNDmo

少女「それでも。東狂のヒトたちに、これ以上、私のせいで」

少女「メイワクをかけるのは、本意ではありません」


男「…………」

男「そうか」

少女「あっ、でも! 昨夜はそのまま帰るつもりだったので、荷物は全部持っていますし!」

少女「戦利品は帰ってから、たっぷり堪能させていただきます!!」

少女「ただ、友人さんの既刊のシリーズをすべて読めないのは、心残りですが……」

男「……。後から、同人誌を送る……」

743: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 19:12:18.68 ID:YzE8DNDmo


男「なんてコトは、出来ないんだよな」

少女「……ハイ。ザンネンながら」


少女「……つきましては。男さんとも、ココでお別れというコトに」

男「…………」


男「……お前は、良いヤツだ」

男「きっと帰っても。元気でやれる」ポンッ

男「がんばれよ」

少女「……!!」

744: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 19:12:46.64 ID:YzE8DNDmo



少女「―――ハイっ!!」








――シーサイド線 国際展覧場駅前


男「さて。ここまで来れば、タクシーの一つもあるかと思ったが……」

少女「あ。あのクルマは……!」

745: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 19:13:13.41 ID:YzE8DNDmo
no title

運転手「お呼びですかな」スチャ

746: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 19:14:17.40 ID:YzE8DNDmo


男「運転手さん! あなた……」

運転手「ほっほ。カメラ爺とは、一日限りの、かりそめの姿」

運転手「やはり本来の私は。しがない運転手ですので」

男「しがない……?」

運転手「ほっほ。東狂という街の日常ですからな」


少女「運転手さんのタクシーなら安心ですね」

少女「それでは、男さん。私はこれで」

男「―――ああ」

747: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 19:14:55.99 ID:YzE8DNDmo


少女「あっ。覚えていますよね、チャームのコト!!」

男「ん……? ああ、コレか」ジャラ

少女「ソレ! ビビっとくる女性に出会ったら、渡すんですよ!」

男「そんなに重要なコトなのか?」

少女「ええ。それは、もう!」



少女「一人の女の子が、COMIKEの楽しさを知るコトが出来るかどうかの、分水嶺なんですから!」



男「……ああ。そこまで言うのなら。一生をかけて、覚えておこう」ジャラ

748: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 19:15:23.27 ID:YzE8DNDmo


少女「なら、良いんです」パタン



少女「それでは、男さん! ―――お元気で!!!」


男「―――。……、お前もな!!」



ギュルルン!! ギュルルン!!



ブロロロロロ…

749: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 19:15:50.55 ID:YzE8DNDmo



男「…………」



男「……ふっ」




友人「んんwww男氏wwwココにいたのですかなwww」

男「友人。死神の設営の撤収は、終わったのか?」

友人「モチロンですぞ。それよりも、少女氏は……?」

750: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 19:16:48.73 ID:YzE8DNDmo


男「…………」


友人「…………」



男「あいつは、行ってしまったよ」



友人「……そのようですな」

友人「もう少し待ってもらえれば、残りの同人誌も送れたのですがな」

男「その時間も彼女には惜しい。アイツには、アイツの現実があるからな」

751: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 19:17:37.79 ID:YzE8DNDmo

友人「COMIKEが終わったら現実に戻るのは皆同じですなwww」

男「あ。そういえば、お前……!!」

友人「なんですかな?」

男「今朝、タクシーをよこしたのって。……マジで、お前なのか?」

友人「んんwwwwww」


友人「あちらのお客様からのタクシーです……。というやつですなwww」

男「ば。ばっかお前、俺が遠出するとか、何も言ってないのに……!」

友人「そのあたりは大家さんから聞き出しましたなwww」

友人「細かいセンサクは無用wwwそれが……。ハードボイルド」

752: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 19:18:05.35 ID:YzE8DNDmo

男「お前が言うとシブくも何ともないわっ!!」

友人「おやwwwこれはwww失敬wwwwww」


男「……それより。今日は、昼も抜きで島をめぐったせいで、腹が減ってるんだ」

男「ちょっとコンビニに付き合ってくれないか? そこのLAMSONでいい」

友人「んんwwwwww男氏wwwwww」


友人「この時間で、駅前のLAMSONに商品が残っているワケがないwwwwww」


男「あっ……!!」

753: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 19:18:33.82 ID:YzE8DNDmo

男「し。しまった。少女の奴に見せびらかしてばかりで、ソレを忘れていた……!!」

友人「んんwwwまさに、『大手も新刊を落とす』wwwwww」

友人「いかに男氏がCOMIKEに用意周到だとしてもwww」

友人「カンジンなところが抜けていては、セワありませんなwwwwww」


男「……く。くそぅ。今日からまた、寂しく、一人メシだというのか……っ!!」

友人「そうそう、男氏wwwそのコトですがwww」

友人「実はこれから、死神氏や黒ずくめ氏らを呼んでwww」

友人「今回のCOMIKEの打ち上げをやる予定ですぞwwwwww」

男「……!!」パァァ

754: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 19:19:00.80 ID:YzE8DNDmo


男「俺も……。行っていいのか?」

友人「んんwww承知以外ありえないwwwwww」

友人「なにしろ、男氏は」

友人「三日間の戦場を共にした、“戦友”ですからなwwwwww」


男「…………」

男「……持つべきモノは、友。だな……!」

友人「んんwww以前、今回の参加の予定は断っておいて、都合が良すぎるwww」

男「わ、忘れろ!」

755: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 19:19:27.42 ID:YzE8DNDmo


男「それで、いったいどこの店で打ち上げやるんだ?」

友人「今回お世話になった、大家さんの傘下のお店ですなwww」

男「げ。またお礼とか、言わなきゃなぁ……」

友人「我も同席しますぞwwwwww一蓮托生以外ありえないwwwwww」





男「…………」




 

756: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 19:19:54.68 ID:YzE8DNDmo
no title

757: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 19:20:23.24 ID:YzE8DNDmo




少女。



俺は、お前がどこから来たのかは知らん。


今までお前が、何を考え、どうやって生きてきて、

俺にとって“何であるのかも”、知らん。


俺は不器用なオトコだ。気の利いたコトバは思いつかん。


だから、単純なコトバだが。

これで、この三日間のお祭に、俺は折り合いをつけたい。



 

758: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 19:20:51.48 ID:YzE8DNDmo



また、来い。少女。


このお祭を、楽しいと思ってくれたなら。


次は冬にでも会おうじゃないか。


俺はいつでも待っている。



―――そして、いつか。

俺はお前と二人で、この祭のハナシをしたいと思う。



この、COMIKEのハナシを。








 ― Fin ―

759: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 19:21:19.36 ID:YzE8DNDmo
最終章 後編は以上になります。
また、これにて、当作品を完結とさせていただきたいと思います。

約一週間、お付き合い頂きありがとうございました。
合いの手、感想等々、作品を創っていくうえでとても活力となりました。
本当にありがとうございました。
原案となったコミケのほうにも興味を抱いていただければ幸いであります。

761: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 21:28:41.19 ID:sdyQ9+HOo

762: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/31(木) 21:31:14.99 ID:vfF7hMMRo
乙でした

765: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/01(金) 00:05:12.71 ID:Vne2tJoLo


バトル要素はいらなかったけど全体的にコミケの豆知識があって面白かった
コミケ行ってみたいなと思わせられた。でもきっと始発はムリだw参加してる人達スゴい

767: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/01(金) 04:08:21.56 ID:s6gV6xVIo
面白かった
おつです

768: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/01(金) 09:39:38.95 ID:TfiRPZjvo
おつおつ
少女のその後がきになりますな

781: ◆mclKiA7ceM 2017/09/04(月) 18:01:04.00 ID:p/u3yDcGo
皆さんこんにちは。

改めまして、約一週間、お付き合い頂きありがとうございました。
また、たくさんの感想、ありがとうございます。
作品を面白いと感じて頂けることは、物書きにとって一番の喜びです。

さて、今回は、いただいた多くの感想への最後のお礼として
ささやかですが、本編の「後日談」を用意させていただきました。


本編はあれで完成しており、それ以上はありません。
本編の裏の出来事や、登場人物のその後などは
読んだ方、一人一人にご自由に“想像”頂ければと考えています。

ですが、一度完結したこの作品にまだ触れてくださっている方へ
私の考える“想像の一つ”をお届けしたいと思います。


つまり、作者本人による二次創作のようなものなので、本編の余韻
ぶち壊してる部分もありますが、あまり気にせずに頂けると幸いです。

蛇足というやつですが、よろしければお楽しみください。

それでは、後日談を開始します。
少ないですが40レスほどの予定です。

782: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/04(月) 18:04:56.37 ID:p/u3yDcGo




ザッ


男「…………」

男「……なんで、また、ココに来ちまったかね」


no title

783: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/04(月) 18:05:22.87 ID:p/u3yDcGo


ヒュウッ


男(…………)

男(小雨まじりの、冷たい風が肌を刺す)

男(周りの公園の木々もざわざわと揺れている)

男(季節はもう秋。と、いうワケか……)


ザワッ ザワザワ…



友人「んっんっんっ~。…………んん!?」

784: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/04(月) 18:05:50.60 ID:p/u3yDcGo


友人「おや! 男氏wwwwwwヤケモーニンwwwぺゃっwwwwww」

男「はっ!? その特徴的すぎるアイサツは……」クルッ


男「友人!! どうしてココに!?」

友人「んんwwwいやはやソレは我のセリフwww」

友人「昨日は打ち上げの後、日が変わる前に解散したハズwww」

友人「我は今朝も鷲に泊まっていたから良いとしてwww」

友人「COMIKEはもう終わりましたぞwww男氏は、どうして今日もココにいるのですかなwww」


男「……。それは……」

785: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/04(月) 18:06:17.73 ID:p/u3yDcGo
no title

男「……知らんな。ただ、なんとなく、また来てみたくなっただけだ」

男「三日間の早起きのクセが抜けないのはあるが」

786: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/04(月) 18:06:44.62 ID:p/u3yDcGo


友人「んんwwwお祭は、開催までのジュンビや、当日の盛り上がりも楽しいモノですがwww」

友人「祭が終わった後、こうして静かに余韻を味わうのもツウですなwww」

友人「それが無意味だとしても、だからといって無価値とは限らないwwwwww」


男「…………」フッ

男「ちなみに、お前のほうは、どうしてココに?」

男「別に俺と同じ理由でも構わないが」

友人「まあwww同じといえば同じですがwww」

友人「セキバクとしたビッグサイトの中を写真に収めようかと思いましてなwww」スチャ

787: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/04(月) 18:07:14.29 ID:p/u3yDcGo

男「カメラ……。親子そろって、か」

男「……いや、ちょっと待て。ビッグサイトの中って、今日も入れるのか?」

男「知らないが、この静けさなら、今日はイベントはやってないだろう?」

友人「んんwwwとくにイベントが無くても、ビッグサイトは毎日開かれているwww」

友人「男氏も見かけたと思いますが、館内にはコンビニやレストランもあるwwwwww」

友人「イベントの無い日も営業していなければ干上がってしまいますなwww」

男「た。たしかに……」

友人「冬コミの最終日の翌日はお正月なので、何かと慌ただしいwww」

友人「COMIKE翌日のワビサビなビッグサイトが見られるのは、夏コミ限定ですなwww」

788: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/04(月) 18:07:45.70 ID:p/u3yDcGo


男「……そうだったのか」

友人「それではwww我は今から、実質無人のビッグサイトに潜入しますがwww」

友人「男氏も一緒にいかがですかなwwwwww」

男「……。ハイキョ探検、というワケか」

友人「別に荒れ果ててはいませんがwwwwww」


男「いいだろう。その単語、オトコの血が騒ぐ。乗った」

友人「んんwwwわかりみが深いwwwwww」


友人「それではwwwマボロシの、COMIKE 四日目! 開始ですなwwwwww」

789: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/04(月) 18:08:14.18 ID:p/u3yDcGo



――ビッグサイト 入口

ザッ ザッ


男「まずはオナジミ、逆三角形への大通りか」

友人「んんwww昨日の今は、西待機列の人で埋め尽くされた、この道もwww」

友人「現在は、大きな駅やショッピングモールの屋上のような閑散さwww」パシャパシャ


ガラーン


男「今日は月曜だからな……。数人のサラリーマンの姿がチラホラ見えるばかりだ」

790: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/04(月) 18:08:42.81 ID:p/u3yDcGo

男「そういや、お前、今日はシゴトとか無いのか?」

男「俺は大学の夏休み中だからいいんだが」

友人「んんwww一流の戦士にとって、COMIKEは三日で終わらないwww」

友人「各自がアキバの同人委託ショップで頒布物を漁る、通称“四日目”が本当に存在するwww」

友人「モチロン我もこのあと、アキバの“スイカ”や“鯱の穴”へ参戦せざるを得ないwww」

男「……は、はは。あれだけタイヘンだったのに、まだ戦えるのか」

友人「今日からまた出勤する社畜に比べれば人生イージーですぞwww」

男「あれ。そういやお前、普段シゴトとか、何してるんだ……? 俺、知らないぞ?」

友人「んんwwwwww」

791: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/04(月) 18:09:08.99 ID:p/u3yDcGo

男「どうして濁す!!」

友人「まあ、COMIKEで使う軍資金は貯められる、とだけ言っておきますなwww」


友人「そうそう。社畜といえば……。死神氏は、さっそく今日から出勤していったようですぞ」

男「え? アイツ、何のシゴトしてるんだ?」

友人「委託ショップでネット注文された商品の配送業ですなwww」

男「COMIKEが終わっても、COMIKEづくしか……」

男「ちなみに黒ずくめさんは?」

友人「彼女は地元の自宅に帰省したようですなwwwですが、それ以上のコトはwww」

792: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/04(月) 18:09:36.87 ID:p/u3yDcGo

男「そうか……。COMIKEが終わったら、皆、自分の現実があるんだもんな」

友人「その通りですなwww……と、逆三角形への階段ですぞwww」


友人「ここはCOMIKEに向かう戦士たちが昇る、ウォーリアズ・ラダーwww」

友人「ですが今はモチロン、我ら以外、人っ子ヒトリいないwwwwww」パシャパシャ

友人「少女氏と共に三人でココに並んだ二日目が懐かしいですなwwwwww」

男「…………っ」


男「少女……」


友人「…………」

793: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/04(月) 18:10:04.62 ID:p/u3yDcGo


――ビッグサイト 逆三角形下

男「トーゼンのように、ココにも、誰もいないな」

友人「当日のこの地は、たむろするコスプレイヤーや、救護室の患者で」

友人「ハチの巣を突っついたような大騒ぎであったと聞き及びますなwww」パシャッ


ビシャビシャ

男「地面が濡れているな……」

友人「そりゃあ現在も、雨が降り続けていますからなwww」

友人「雨に濡れたアンニュイなビッグサイトも、またオツですなwww」

794: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/04(月) 18:10:33.68 ID:p/u3yDcGo

男「二日目も雨が降っていたが、人が多すぎて、地面が濡れているとか気付かなかった」

友人「地面が見えてたらCOMIKEじゃないと豪語するスタッフまでいますからなwww」


友人「ちなみに、今回の三日間通しての来場者数は、およそ50万人であったもようwww」

男「なに。いつもより少なくないか?」

友人「最大が、猛暑でジェノサイドと呼ばれたCOMIKE 84の、60万人足らずですからなwww」

友人「今回は二日目までが雨だったコトなどが要因かとwwwおかげで参加は楽な涼コミでしたがwww」

男「そうか……。たしかに今日も、雨が降っているな。ここ最近の東狂は雨ばかりだ」

友人「しかし、それでも三日目は奇跡の快晴となったwww」

友人「三日目来場者によるCOMI結界、おそるべしですなwwwwww」

795: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/04(月) 18:11:00.19 ID:p/u3yDcGo


――ビッグサイト 屋上

友人「ここは逆三角形を通り過ぎた、西館の上にある屋上ですなwww」

友人「んんwww吹き抜ける秋の風が心地良いwwwwww」パシャパシャ


男「……お前、夕陽は好きか?」

友人「んん?wwwそりゃまあwww嫌いではありませんがwww」

男「そうか」


男「俺も嫌いじゃないが、しばらくの間は……。あまり、見たくないかもしれんな」

友人「…………」

796: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/04(月) 18:11:29.32 ID:p/u3yDcGo


――館内 東西連絡橋

友人「ココはwwwみんな大好き、ゴキブリホイホイwww」パシャッパシャッ

友人「相変わらずボウリングでも出来そうな、横幅の広さと、天井の低さwww」

友人「二日目では窓が変形するという、まさかのロボ展開を見せてくれましたなwww」


男「だが……。ゴキホイって、こんなに広かったんだな……」

男「人が多い時は、天井が下りてきて潰されそうな圧迫感があったんだが……」

友人「ゴキホイがあんなに人であふれかえるのもCOMIKEだけですなwww」

友人「他のイベントでは列を二つや三つ作るくらいの余裕はありますぞwww」

797: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/04(月) 18:12:41.79 ID:p/u3yDcGo

男「他のイベント……? お前、COMIKE以外でもビッグサイトに来たコトがあるのか?」

友人「それはモチロンwwwビッグサイトは年中何かしらやってますからなwww」

友人「直近では、今週末に行われる“COMIティア”ですかなwwwwww」

男「COMIティア……? それは何だ」

友人「COMIKEと同じような、同人誌即売会ですぞwwwさすがに規模は小さめですがwww」

友人「だがwwwCOMIティアの最大の特徴は、頒布物がオリジナルオンリーであるコトwwwwww」

友人「アマチュアの一次創作物、あるいは商業作品の原作者が中心のイベントですなwww」

男「なるほど……。COMIKE以外でも、ビッグサイトの用途は多いんだな」

友人「同人イベント以外でもwww来るべき2020年の東狂五輪関連で使用が予定されていますなwww」

798: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/04(月) 18:13:09.29 ID:p/u3yDcGo


――東館 館内
no title

799: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/04(月) 18:13:36.97 ID:p/u3yDcGo


男「ここから、東館の各ホールに繋がっているんだな」

友人「当日はまさしく激戦の地となった、歴戦の古戦場ですなwww」パシャッ


コツ コツ


友人「……とw我ら以外にも、訪れている方がチラホラいますなwww」

男「密閉されてるから声が響くぞ。静かにな」

友人「んんwww我も思わず単芝になってしまう静けさwww」


男「……しかし、キレイに撤収したモンだな」

800: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/04(月) 18:14:11.06 ID:p/u3yDcGo

友人「んんwww立つヲタ、跡を濁さずwww」

友人「借りたビッグサイトは日付が変わる前にキチンと返さなければいけませんからなwww」

友人「何しろ、一日に一ホール借りるだけでも、何百万というマネーが動いているゆえwww」

男「いったい何時間くらいで撤収するんだ?」

友人「モチロン我らサークルは、設営の撤収に一時間もかけませんがwww」

友人「机やイスやポスターやカラーコーンも含め、すべての機能の撤収は」

友人「閉幕からおよそ二時間、18時ごろと聞き及びますなwwwwww」

男「そんなに早くか……。アッサリしたモンだな」

友人「気になるなら、今年の冬はスタッフで参加してみますかな?www」

801: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/04(月) 18:14:37.03 ID:p/u3yDcGo

男「いや、やめておくよ。シガラミも多そうだし」


男「そういえば、お前。……やっぱり、死神やお前たちが、排除したのか?」

男「二日目の。チケット組が多く、大手が早々に全滅させられた、その原因は」

友人「……気になりますかな?www」

男「…………」

男「いや。やっぱり、やめておくよ」

男「何も知らない、部外者が。クビを突っ込むのは、傲慢すぎる」

男「COMIKEは俺一人の掌に乗っかるほど小さくはないだろうからな」

友人「んんwwwまあ、機会があれば話すこともあるかもしれませんなwww」

802: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/04(月) 18:15:04.38 ID:p/u3yDcGo


――東館 ホール内

男「そしてココが、当のホール……」


警備員「ホールは閉鎖中です」ヌッ


男「どわあっ!?」ギョッ

警備員「イベント開催期間以外は立ち入り禁止ですよ」

友人「んんwwwこれは申し訳ないwwwwww」ペコ


男「いい歳して怒られちまった……」

友人「郷に入っては郷に従えwwwいつまでもCOMIKE気分で入ってはいけませんなwww」

803: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/04(月) 18:15:34.20 ID:p/u3yDcGo


――ビッグサイト 東館外 トラックヤード

友人「ここからさらに進むと、八つある東ホールの、7つ目と8つ目のある場所ですな」

男「このあたり、一日目や三日目は、行列が出来ていてスゴかった……」

友人「東4,5,6に並ぶ列と、東7,8に並ぶ列がゴッチャになっていましたからなwww」


友人「東7,8の二ホールは、前回のCOMIKE 91から実用化されwwwwww」

友人「夏コミにおいては初めての運用でしたがwwwwww」

友人「壁や柱のモロさや、行列の誘導も含め、まだまだ改善の余地はありそうですなwww」

友人「でも個人的にはパンやお菓子や飲み物の自販機があるのがポイント高いですぞwww」

804: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/04(月) 18:16:02.01 ID:p/u3yDcGo



ザァー…



友人「おや、少し雨がキツくなってきましたなwww」

男「屋根がある軒先に入るか」

友人「我、この後も行動を予定しているのですがwww困りましたなwww」

男「バスかタクシーでも拾うしかないな」

男「それに、さっきまでは小雨だったし、また弱まるかもしれん」

友人「ポジティブシンキングはタイセツですなwwwwww」

805: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/04(月) 18:16:28.14 ID:p/u3yDcGo

男「そういや。南館、とかいう新しいホールがビッグサイトに出来るというのは、本当か?」

友人「ああwww西2ホールを工事中にして造っている、アレですなwww」


友人「正面から見て、西館の向こうに、新たなホールが建つ予定でwww」

友人「逆三角形から直通のルートも設置するとかナントカwwwwww」


男「なるほど……。その南館とやらが出来れば」

男「サークル配置や、行列なんかの事情も、また変わってきそうだな」

友人「有開のCOMIKEはビッグサイトと共にありwwwwww」

友人「ビッグサイトが変わるにつれて、COMIKEもまた、新たなカタチに成長していきますなwww」

男「…………」

806: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/04(月) 18:17:00.44 ID:p/u3yDcGo


男「……“成長”、か」

友人「んん? どうかしましたかなwww」

男「ああ。いや」


男「少女のことを思い出していた」



友人「……少女氏ですかwwwまだ昨日のコトだというのに、懐かしいですなwww」

男「そうだな。……アイツが俺のところに来たのは、本当に突然だった」

男「話したっけか。COMIKEが始まる一日前、突然俺の家に来やがったんだよ」

807: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/04(月) 18:17:44.98 ID:p/u3yDcGo


男「それから三日間は、本当にあっという間だった」

男「アイツに引っ張られ、COMIKEにやって来て」

男「色々あったが……。まるで夢のような時間だった」

友人「んんwwwそれは我にとっても同じwww」

友人「すべての参加者にとってのハレの日というのが、COMIKEの理念の一つですからなwww」


男「……結局アイツは、誰だったんだろうな」

友人「おや。男氏も知らないのですかな?」

男「ああ。アイツは、自分からは、ほとんど何も話さなかった」

808: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/04(月) 18:18:12.87 ID:p/u3yDcGo


男「だけど一つ、こうじゃないか、と予想している結論はある」

友人「……聞かせてもらえますかな?」

男「…………」


男「アイツは、なぜか俺のコトを以前から知っているような口ぶりだった」

男「アイツは、ネットスラングなんかも把握がマチマチで、ヤケに知識が中途半端だった」

男「アイツは、繋がらないと言って電話を使おうとしないわりには、音楽再生はケータイに頼っていた」

男「アイツは、COMIKEが無いところから来たと言っていた」

男「そして。……アイツは何故か、今回手に入れたモノと同じ、チャームを既に持っていた」

809: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/04(月) 18:18:43.16 ID:p/u3yDcGo


友人「…………」


友人「……それは」


男「ははは、荒唐無稽な結論だろう?」

男「だけど。そうとしか思えなくてな」

友人「んん。“すこしフシギ”な、世界ですな」


男「……でも、だとしたら、少し気にかかる」

男「アイツのあの後だ」

810: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/04(月) 18:19:11.37 ID:p/u3yDcGo


友人「んん? そのまま元いた場所に帰っていったのではないですかな?」

男「それはそうだろうが……。アイツは一つだけ、自分のコトを話してくれた」

男「アイツは、雨の降り続けるところからやって来た、と言っていた」



            ザァー…



男「そう。ちょうど、こんな風に」

友人「雨……? だとしたら、たしかに特殊な場所ですが。それが何か?」

男「アイツの“ふるさと”は、ヒトが出歩けないほど危険な“雨”が降る場所だそうだ」

811: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/04(月) 18:19:40.81 ID:p/u3yDcGo


友人「…………」

男「それにアイツは、高雄山で正体不明の特殊部隊にも襲われた」

男「COMIKEに耐える体力とか、足の裏のマメとか、やけにカラダを鍛えているフシもあった」

男「……アイツの正体を合わせて考えると」


男「アイツの“ふるさと”っていうのは……」

男「アイツが生きてきた人生っていうのは……」


男「いったい、何なんだろうな」

友人「……我らには測りかねる。想像するしかありませんな」

男「……そうだな」

812: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/04(月) 18:20:14.29 ID:p/u3yDcGo


男「ああ、そういえば。測るどころか、一つだけ、まったくわからないコトがある」

友人「んん? なんですかな?」

男「アイツが呼んでいた、COMIKEの言い方だ」


男「ココで三日間行われているのは、“COMIKE”だろう?」

友人「んん、そうですな」

男「だが、アイツは初め、この催し物を“コミケ”と呼んでいた……」

男「しかも、東京とか、有明とか、俺たちも知っているようで違う単語を口にしていた」


男「この違いは、いったい何なんだ?」

813: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/04(月) 18:20:49.63 ID:p/u3yDcGo


友人「たしかに、単なるイントネーションの違いと、流すのも不自然なハナシ……」

男「COMIKEとコミケは、同じモノではないのか?」

男「俺はコミケなんて聞いたコトが無い。何か違いが、決定的な差が、あるのか?」


友人「……。……それでは、こういうのはどうですかな」


友人「“コミケ”と“COMIKE”、それはたしかにどちらも存在する」

友人「ただ、世界にどちらが存在するのかという、可能性の違いなのだと」

男「おいおい……。そりゃあ、もう“すこしフシギ”の枠を超えちゃあいないか?」

友人「……ですなwww運命探知の魔眼でも無ければ証明のしようが無いwww」

814: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/04(月) 18:21:18.25 ID:p/u3yDcGo


男「でも……。だとしたら」


ザワッ ザワザワ…


男「たとえ少女の戻ったところは決まっていたとしても」

男「俺たちの未来は決まっちゃいない」


友人「……もし、我らが、楽しく、アツく、“COMIKE”を続けていれば……」

男「ああ、そうだ。……アイツは、また来てくれるかもしれない」

友人「んん、なるほど。ならば我らも恥ずかしい姿を見せていられませんな」

815: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/04(月) 18:21:46.06 ID:p/u3yDcGo


男「……ああ、そんなハナシをしていたら」

男「この三日間の出来事が、本当に夢の中の出来事に思えてくるよ」

友人「…………」

男「この静かなビッグサイトにいると、なおさら」


男「アイツは風のようにやって来て、大騒ぎして、嵐のように去っていった」

男「アイツは何一つ残さず去っていった」


男「アイツとの時間は……。本当にあったんだろうか、って」

816: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/04(月) 18:22:13.56 ID:p/u3yDcGo


友人「…………」

男「本当は、全部俺が見ていた、夢だったんじゃないかって」

男「はは。少女の奴が、もういないから、余計にな」

男「……たしかに。この目で、この耳で、この手で、触れ合ったハズなんだがな……」


友人「……そういうコトなら、一つあるのではないですかな」

男「……え?」

友人「少女氏が、我らに残した、たしかにソコにいたという証拠が」


友人「二日目の待機列を覚えていますかな」

817: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/04(月) 18:22:41.08 ID:p/u3yDcGo


男「……!!」

男「あ、あの。動画か……」

友人「そう。ほら、再生してみるといいですぞ」ポチ



少女『やれる!! 気持ちの問題だっ、ガンバれガンバれ、そこだァ!! そこで諦めんなァァ!!!』

少女『ゼッタイにガンバる積極的にポジティブにガンバるガンバるゥッ!!』



男「…………」

友人「いやあ、熱血少女ですなあ」

818: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/04(月) 18:23:09.80 ID:p/u3yDcGo


男「……そうだ。昨日の今ごろも、ココで……」

男「……アイツは、本当にいたんだな」

友人「そうですぞ。そしてこの記憶は、きちんと彼女の中にも、刻まれているハズ」

男「そうか……」


男「アイツのコトを考えて、心配していても、悩んでいても、仕方ない。か……」

友人「そうwww少なくとも、少女氏は、そのように生きていたwww」

友人「諦めない、絶対できる、とwwwwww」


男「……だとしたら、俺が立ち止まっているワケにはいかないな」

819: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/04(月) 18:23:37.50 ID:p/u3yDcGo
no title

男「……。空が……」

友人「雲の切れ間から、光が差し込んできましたな……」

820: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/04(月) 18:24:09.39 ID:p/u3yDcGo


友人「そういえば我も、男氏に訊きたいコトが一つありますなwww」

男「……? なんだ」

友人「我はモチロン、今回のCOMIKE、エンジョイさせてもらいましたがwww」


友人「……楽しかったですかな? この三日間は」


男「……ああ、そうだな。こんなコト言うのは、ガラでもないが」


男「―――すごく、すごく。楽しかったに決まっているだろう!」


友人「んんwwwwwwならば良かったwwwwww」

821: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/04(月) 18:24:41.02 ID:p/u3yDcGo


男「……さて、そろそろビッグサイト探検もお開きにするか」

友人「そうですなwwwCOMIKEの後のビッグサイトの写真も、十分に撮れましたぞwww」

友人「少女氏がまた来た時に、見せられるモノがまた一つ増えましたなwww」

男「……! お前……」

友人「……んんwwwでは、そろそろスイカに行かなくてはwww」


友人「四日目のスイカや鯱には待機列もできるwww早く行かないと、完売してしまいますなwww」

男「……待てよ。俺も付き合う」

友人「んん!?www男氏も買い逃した頒布物があるのですかなwww」

男「そうじゃないが。この三日間の、お前への、お礼のようなモノだ」

822: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/04(月) 18:25:14.71 ID:p/u3yDcGo

友人「……そういうコトなら、ありがたくwwwwww」

男「COMIKEはまだまだ終わらないな」


友人「んんwwwそれでは、スイカと鯱で、薄い本の数々が我を待っていますぞwww」

友人「そして創作意欲を得たら、次は冬コミにサークル申し込みしなくてはwww」

男「もう冬コミの申し込みをするのか?」

友人「郵送申し込みは水曜、ネット申し込みは木曜までの期限ですぞwww」

男「へえ。ずいぶん余裕が無いんだな」

友人「そうですなwww何しろ冬コミは、あと百数十日後www」

友人「土日は二十週ほどしかありませんからなwwwwww」

823: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/04(月) 18:25:43.13 ID:p/u3yDcGo

男「……そうか。なら、急いで申し込まないと、だな」

男「たしか申込書が必要なんだろう? もう買ったのか?」

友人「むろん、一日目のサークル参加の時に買ってきましたなwww」

男「抜かりの無いコトだ」


男「とにかく。冬コミに出す本も、楽しみにしているとするかな」

友人「んんwww当選できたら、のハナシですがなwwwwww」




男「…………」ピタ

824: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/04(月) 18:26:12.89 ID:p/u3yDcGo
no title

男「…………」



男「また、会えるといいな」






 ― Fin ―

825: ◆mclKiA7ceM 2017/09/04(月) 18:27:01.23 ID:p/u3yDcGo
後日談は以上になります。
これにて、本当の本当に、更新を終了とさせていただきたいと思います。

HTML化依頼はこのあと申請してきます。
皆さん、お疲れ様でした。


少女「コミケ行くので泊めてください!」男「は……?」【第一章】
少女「コミケ行くので泊めてください!」男「は……?」【第二章】
少女「コミケ行くので泊めてください!」男「は……?」【最終章】