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姫「疲れた、おんぶして」勇者「はいはい」【前編】【後編】


471: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/06/28(木) 15:55:22.42 ID:YUSxYEUK0


姫「勇者ー? はやくはやくー」

< 「ちょっと待ってくれ、ここのハンドタオルは小さくて……」

姫「タオル着けなくてもいいのに」

ガチャッ

勇者「……一緒に入浴するなら必要なんだよ」




472: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/06/28(木) 16:00:23.28 ID:YUSxYEUK0


姫「どっちから頭洗う?」

勇者「別にどっちでもいいなー」

姫「じゃあまた勇者洗ってよ」

勇者「はいはい」


姫「あ、待って!」

勇者「ん?」

姫「……優しくしてね」

勇者「はいはい(かわいい)」



473: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/06/28(木) 16:06:06.56 ID:YUSxYEUK0


勇者「痒い所ないか?」ごしごし

姫「んぅ……」

勇者「んぅ?」

姫「後ろをちょっと強くして」

勇者「はいはい」ぐしぐし

姫「……~~っ」

勇者「どう?」

姫「首筋お願い」

勇者「頭じゃないな」



474: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/06/28(木) 16:13:03.04 ID:YUSxYEUK0


勇者「よしっと」ざばっ

姫「ひゃんっ!」

勇者「次は体か、俺は風呂に浸かってるよ」

姫「え? 洗ってくれないの」

勇者「背中だけならいいけど」

姫「ー♪」ニコニコ

勇者「……はいはい」なでなで

姫「えへへ///」



475: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/06/28(木) 16:25:59.32 ID:YUSxYEUK0


勇者(……えへへって、前はこんな感じだったっけ)ごしごし

勇者(姫が一週間の間で色々体験したせいか?)ごしごし

勇者(まあ……気のせいかもしれないな)ごしごし

勇者(考えてみたら、一週間も姫と離れ離れになったのは初めてだったし)ごしごし

勇者(………ん? そういえば)ごしごし

姫「ゆ……勇者っ、ね?」

勇者「ああごめん、どうかしたか」ごしごし

姫「…と、途中から……胸ばっかりになってる…っ」びくっびくっ



勇者「  」




476: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/06/28(木) 16:34:57.94 ID:YUSxYEUK0


勇者「……///」ごしごし

姫「……」

勇者「……////」ごしごし

姫「……」  

勇者「……~~/////」ごしごし

姫「勇者、もうお風呂に入ってて良いから……顔がどんどん真っ赤になってるよ」

勇者「……はい//////」



477: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/06/28(木) 16:43:36.15 ID:YUSxYEUK0


姫「終わったから次いいよ勇者」

勇者「んー」←冷静になった

姫「私が勇者の頭洗うよ♪」

勇者「おっ、じゃお願いしようかな」

姫「真っ白な頭を泡で更に真っ白にしちゃうんだからね!」

勇者「優しくしてな」

姫「やーだよっ」

勇者「OK (かわいい……)」



478: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/06/28(木) 16:49:02.75 ID:YUSxYEUK0


姫「痒い所ある?」がしがしがし

勇者「ないかな」

勇者(い、いてぇ……)

姫「もう流す?」

勇者「うん」

姫「よいしょ」ざばっ

勇者「ぐああああああ!!?」←傷ついた頭皮に染みた



479: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/06/28(木) 16:56:59.53 ID:YUSxYEUK0


姫「……ごめん」チャプッ

勇者「いや、ホイミしたから全然平気だけどさ」

姫「……」

勇者「……気にし過ぎだって」

姫「勇者の体洗いたかった」

勇者「どっちにしろダメだったから諦めてくれ」



480: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/06/28(木) 17:05:26.62 ID:YUSxYEUK0


姫「……ふぁ」

勇者「眠いか?」ごしごしっ←姫の頭拭いてる

姫「……うん」うつらうつら

勇者「疲れたもんな、姫が一番大変だったよな」なでなで

姫「……勇者、ベッド」

勇者「はいはい、寝るか」がしっ



481: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/06/28(木) 17:12:55.61 ID:YUSxYEUK0


姫「……zZZ」

勇者「おやすみ」ぱさっ

スタスタ

勇者(確か下の食堂に本があったな、少し読んでから寝るか)

勇者「っ」クラッ

勇者(……さっき『デイン』使ってかなり疲労が来てるな、10日寝てないし)

勇者(やっぱり寝よう)スタスタ



482: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/06/28(木) 17:29:50.04 ID:YUSxYEUK0


  ・・・ファサッ


  とてとて……


  もぞっ


  ぎゅっ・・・




483: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/06/28(木) 17:42:46.13 ID:YUSxYEUK0


勇者(……暑い)

勇者(寝苦しいな、布団はいらないか)スッ

姫「っ」ぎゅっ

勇者(……なるほど暑いわけだ)

勇者「姫、姫のベッドはそっちだぞっと」ぐいっ

姫「お願い」ぎゅっ

勇者「起きてたのか? ……!」

勇者(……泣いてる)



484: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/06/28(木) 17:56:34.16 ID:YUSxYEUK0


勇者「……」なでなで

姫「……」

勇者「ちょっと気になってたんだよ、姫の事」

姫「……」ぎゅっ

勇者「『全部思い出した』って事はさ、姫が俺にどういう感情を抱いてるか既に俺が知ってるって事なんだ」

姫「……?」すっ

勇者「もう機会を待つ必要もない訳だしさ……姫に応えようと思う」

姫「………勇者? それって」



485: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/06/28(木) 18:18:30.88 ID:YUSxYEUK0


勇者「いや、正直……恥ずかしい話だけどさ……」

勇者「言わなくてもわかってるんじゃないかと思ってたんだ」

勇者「………でも、姫も俺と同じように1人で泣いてるなら……せめて伝えてあげなきゃと思って」

姫「……」 ドキ ドキ


勇者「その………」

姫「うん……っ」 ドキ ドキ ドキ


勇者「…好きだ、ひめ
姫「!」ちゅっ

勇者「!!!??」



486: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/06/28(木) 18:28:07.14 ID:YUSxYEUK0


姫「……好き?」すっ

勇者「……」←てっきり王様が亡くなって自分と同じ悲しみに襲われてるのだと思ってたので、混乱

姫「勇者、私の事好き?」

勇者「……」コクコク

姫「私ね、全部思い出したんだよ?」

姫「だからあの夜勇者にしてあげた事覚えてるんだよ?」

勇者「……」コクコク



487: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/06/28(木) 18:38:45.79 ID:YUSxYEUK0


姫「だから私、全然寂しくないし勇者にやっと本当の気持ちを教えて貰って幸せ」

姫「……きっとお父さんも喜んでくれる気がするの」ぎゅっ

勇者「……」

勇者(やっぱり姫は俺より強いな……)


―――― ちゅっ



488: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/06/28(木) 18:44:10.51 ID:YUSxYEUK0


< ギシッ……ドンッ
< 「ひゃぁ……!」


主人「……ほう」






489: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/06/28(木) 18:52:01.06 ID:YUSxYEUK0


勇者「いっつつ……何するんだいきなり」

姫「ごご、ごめんねっ!? まさかこんな簡単に勇者が押し倒せるって思ってなくて」

勇者「当分は普通の人間にも力じゃ勝てないくらい、今の俺は疲労してるからな…」

姫「そうなの?」

勇者「ああ、ところで何で急に押し倒したりなんか……?」

姫「……ずっと前に勉強したでしょ、『ふうふのいとなみ』って」

勇者「っ!? あれは王族の為の、正しくない知識だからな!?」

姫「えっ」



490: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/06/28(木) 19:01:48.86 ID:YUSxYEUK0


姫「……じゃ、こうやって[ピー]するのも?」

勇者「ダメっ」

勇者(…………)


がばっ

姫「ひゃっ?」

勇者「……俺は、知ってるだけで実際に『そういう事』はしたことないんだ」

姫「う、うん」

勇者「だから……痛かったら、言うんだぞ?」

姫「……♪」ちゅっ

勇者「……」なでなで



491: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/06/28(木) 19:08:13.80 ID:YUSxYEUK0





主人「ゆうべはおたのしみでしたね」2828





勇者(な、なぜにバレている―――― ッッ!!?)

姫「……////」



492: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/06/28(木) 19:23:05.27 ID:YUSxYEUK0


勇者「……はぁ、厨房借りていいか」

主人「え? 朝食なら俺がつくるぞ」

勇者「姫は俺が作った物の方がいいんだよ」

姫「勇者の作った料理は美味しいんだよね♪」

勇者「……///」なでなで

姫「~♪」



主人(朝からなんだこれは……)



493: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/06/28(木) 19:39:37.36 ID:YUSxYEUK0


勇者(さて、と……一晩寝ただけじゃまだ体力も回復してないから無茶は出来ないな)

コック「お客さん、手伝う事は?」

勇者「野菜と皿を用意してくれればいい」

勇者(朝は簡単なサラダに適当なものでいいか)


―――― シャキィッッ!!

―――― ゴォォッ!! ジュバンッ!!

―――― ジュワァッッ!! シャカシャカシャカシャカシャカッッ!!

―――― スパンッッ!! シャッ・・ゴパンッ!!



勇者「『スクランブルエッグとフィッシュフライ、ハニーワッフル、霜降り肉のカルパッチョ風サラダ』・・・っと」

コック「……」



※のちにこのコックは、ラダトーム王家からの「料理長にならないか?」 という話を蹴ったそうな



494: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/06/28(木) 19:45:00.25 ID:YUSxYEUK0


勇者「フィッシュフライとか作ってみた、どうだ」

姫「……」モグモグ

姫「勇者」

勇者「んっ、うん? (め、珍しく無表情!?)」びくっ

姫「あーん」すっ

勇者「……へ」

姫「お口あーんしてよっ」

勇者「…」



495: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/06/28(木) 19:50:24.74 ID:YUSxYEUK0


勇者「あーんっ」

姫「えいっ♪」ひょい

勇者「モグモグ ……」

姫「~♪」モグモグ

勇者「……」ゴク

姫「ゴク どう?」

勇者「…いや、美味しいと思う」

姫「えへへ♪……私にもあーん♪」

勇者「……あ、ぁあ! なるほど!」


主人(何がなるほどなんだ……)

コック(なんという『あーん』の破壊力)



496: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/06/28(木) 19:56:09.11 ID:YUSxYEUK0


姫「んー、お腹いっぱい」

勇者「部屋で休むか?」

姫「うん、勇者おねがい」すっ

勇者「はいはい」がしっ

姫「勇者違う! おんぶじゃなくて、抱っこ」

勇者「え? おぅ…」ぎゅ

姫「ふふん♪」ぴとっ



497: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/06/28(木) 20:09:23.53 ID:YUSxYEUK0


勇者「よっと」

姫「ありがとう勇者」にこっ

勇者「どういたしまして」なでなで

姫「勇者、隣にきてきてっ」

勇者「?」

姫「……お昼寝、しよ?」ぎゅーっ

勇者「……」



498: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/06/28(木) 20:13:07.94 ID:YUSxYEUK0


姫「・・・ゆーしゃっ♪」もぞもぞ

勇者「……」なでなで

ぎゅっ

姫「ふぁっ……えへへ、勇者……」ぎゅ

姫(……あ)ぴとっ


<  ドキ ドキ ドキドキ ドキ ドキドキ ドキ ドキ


姫「……勇者、すごいドキドキしてる?」

勇者「……ん」なでなで



499: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/06/28(木) 20:19:46.55 ID:YUSxYEUK0


勇者「……姫、前に比べたらすごい変わったよ」

姫「そうかな」

勇者「なんかさ……今までなら直ぐに姫がして欲しい事がわかったのに、分からないんだ」

姫「悪いこと?」

勇者「悪いことじゃない、姫が前よりもっと大切というか……どうしようもない位愛おしくなってきた」

姫「ふーん……やっぱり昨日したえっちのせいかもね」

勇者「かな……」ぎゅっ



500: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/06/28(木) 20:31:03.79 ID:YUSxYEUK0




主人「あさからおたのしみでしたね」2424




勇者「……覗きか」ギロッ

主人「俺の部屋の上があんたらなんだよ!」




501: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/06/28(木) 20:36:58.14 ID:YUSxYEUK0


主人「……で? イチャイチャしてたアンタの嫁さんはどうした」

勇者「寝ちゃったみたいだ、慣れない事何度もしたから」

主人「へーぇ(笑)『何度も』?」

勇者「……殴っていいか」

主人「冗談だ」

主人「……でアンタどこに行くんだ」

勇者「『忘れ物』を取りに行くだけだ、直ぐ戻るよ」


勇者(……姫を少しでも守りたい、そのためには『アレ』が絶対必要になる)



510: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/06/29(金) 16:51:40.11 ID:+1AfRYgi0


姫「……ん」むくっ

姫(………部屋が真っ暗、結構寝ちゃった?)

姫「……」ジャラッ

姫(…………)きゅっ

姫(この首飾りに触れてるだけで、勇者への愛が湧き出るみたい……)

姫「…勇者?」



511: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/06/29(金) 17:11:50.64 ID:+1AfRYgi0


姫「……」

< 「2413…2414……2415………」

姫「勇者、いるの?」

< 「! ああっごめん、起こしたか姫」

< ゴトンッッ

姫「なにしてるの」

勇者「ふぅ……ちょっと鍛えてた」スッ



512: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/06/29(金) 17:16:17.73 ID:+1AfRYgi0


姫「凄い汗かいてるよ勇者、こっちに来て?」

勇者「ん」

姫「汗びっしょり……お風呂入った方が良いよ」ふきふき

勇者「そ、そうか? もう少しやりたいんだけど」

姫「もう夜だし、私お腹すいちゃったのっ」

勇者「……くす、はいはい」なでなで



513: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/06/29(金) 17:25:31.16 ID:+1AfRYgi0


< ジャァァ・・・


勇者「~♪」ごしごし

姫「~♪」ごしごし

勇者「目に泡さえ入らなければ良いなぁ……これ」ごしごし

姫「えへへ、頭洗いっこ楽しいでしょ」ごしごし

勇者「楽しい楽しい」なでなで

姫「♪」ごしごし



514: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/06/29(金) 17:31:59.63 ID:+1AfRYgi0


勇者「じゃ、まず俺から頭流していいかな」

姫「うんっ、私が流してあげ……」

姫「……」ピーンッ

勇者「?」

姫「やっぱり私から流してくれる? 頭がチクチクする」

勇者「ん? わかった」

勇者(そういえば姫の肌はデリケートだもんな……)ごしごしざばっ



515: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/06/29(金) 17:42:57.58 ID:+1AfRYgi0


勇者「よし、じゃあお願いしていいか」

姫「任せて♪」ごしごしざばっ

勇者(っとと、目閉じてないとしみるな)

姫(……目、閉じたかな)

勇者「……姫?」

姫「目は閉じてなきゃしみるよ?」ざばっ

勇者「うぉ、わかった」

姫「ふふん」ニコッ



516: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/06/29(金) 17:47:54.55 ID:+1AfRYgi0


姫「勇者、ちょっと顎上げててね」ざばっ

勇者「ん」

姫「……」ドキ ドキ

ちゅ・・っ

勇者「! ……」なでなで

姫「……このまま、昨日の夜中したみたいにしていい?」

勇者「ん」



517: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/06/29(金) 17:59:05.25 ID:+1AfRYgi0


姫「……ん…クチュ……」ぎゅっ

勇者「チュ……、姫、ちょっと待ってくれるか」

姫「だめ、目は閉じてて?」ぐいっ

勇者「閉じたままするのか……」

姫「うん」クス



518: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/06/29(金) 18:05:10.74 ID:+1AfRYgi0


姫(……う、うわ? 明るい所で見ると男の人のこれって……)ビクッ

姫(……)ドキ ドキ


パクッ


勇者「―――――― ッッ!!?」ビクッ!!

姫「…ふっ……ん、クチュ …クチュ 」



519: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/06/29(金) 18:10:46.72 ID:+1AfRYgi0


勇者「っ、姫 そんな……っ」

姫「……♪」カプッ

勇者「い"っっ!?」

姫「ぷは……えへへ、下手に動いたら大変な事になっちゃうよー?」

勇者「ちょ、姫! どうしたんだお前!?」

姫「パクッ」

勇者「~~!」ビクッ



520: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/06/29(金) 18:22:13.65 ID:+1AfRYgi0


……クチュ…クチュ……ッ

姫「んっ……ふ…ぅん?」ジュプ

姫(……そろそろかな)

姫「ぷはっ……ふぅ」

勇者「……大丈夫か」

姫「勇者は気持ち良い?」

勇者「そりゃ、まあ……」

姫「嫌だった?」ニコッ

勇者「…………」

姫(ー♪)ニコニコ



521: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/06/29(金) 18:29:46.89 ID:+1AfRYgi0


ガバッ

勇者「あー、もう……普通に言ってくれたらいいのに」

姫「…♪」ぎゅっ

< クチュッ

姫「ぁ……っ」

勇者「好きだよ、……クチュ」

姫「んぅ……っ」チュッ

姫(ひぁ……あっ、指が入って……ぁ)ビクビク



522: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/06/29(金) 18:34:43.72 ID:+1AfRYgi0






主人「こいが みのる やど はじめました」5555







勇者「わかったからその怖い顔やめてくれ……」

姫(♪)ぎゅっ



523: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/06/29(金) 18:42:40.26 ID:+1AfRYgi0


勇者「なあ、この近くに何かお店あるか」

主人「デートか」

勇者「うん」

姫(///)ぎゅっ

主人「その娘さん向きな店なら、ちょうど今夜から村で祭りがあるよ」

勇者「マイラの村にしては珍しいな」

主人「温泉祭りってやつさ、背中の嬢ちゃんも楽しんできな」



524: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/06/29(金) 18:47:08.61 ID:+1AfRYgi0


屋台「へいらっしゃい! 温泉まんじゅうはどうです?」

勇者「5個くれるか」

屋台「背中の嬢ちゃんに味見サービスで1つあげるよ!」

勇者「お! ありがとう」

姫「まんじゅう?」

勇者「甘いお菓子だよ」

姫「はむっ……甘くておいしい」ニコッ

屋台「可愛い嬢ちゃんだねぇ! 5個のうち2個はタダにしとくよ!」



525: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/06/29(金) 19:01:11.27 ID:+1AfRYgi0


姫「ゆーしゃっ! 向こうに射的あるよー!」ぺしぺし

勇者「んん? 姫は苦手じゃなかったっけ」

姫「勇者がやってる所が好きなの、かっこいい」

勇者「よしやろう」キッ

姫「ぬいぐるみぬいぐるみ~♪」



526: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/06/29(金) 19:09:39.31 ID:+1AfRYgi0


店主「や、やめてくれぇぇ!! ひええええええ!!」


< 「すげぇ……客泣かせで有名なオヤジを泣かせてやがる」

< 「ていうかあのカップル、というより男がヤバい」

< 「今、矢が景品をホーミングしてなかったか?」


勇者「あと3つで全景品を制覇だー!」

姫「よく狙って勇者! 矢はこれが最後だよ!」


シュバッ

ガカカッッ!!


店主「ぎゃああああ!! 全滅したああああああああああ!!?」



527: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/06/29(金) 19:13:02.73 ID:+1AfRYgi0


勇者「いっぱいふくびき券もらったな」

姫「ちょっとかわいそうだったから、ちょうどいいんじゃないかな」

勇者「ふくびきの後、温泉行ってみるか?」

姫「混浴?」

勇者「混浴」

姫「えへへ……///」

勇者「こらこら(かわいいけど)」なでなで



528: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/06/29(金) 19:20:18.50 ID:+1AfRYgi0


福引所「おめでとうございます! 一等の『マイラ温泉1日無料券』を差し上げますよ!」

姫「やったぁ!」

勇者「く、くじ運いいな姫……」

姫「勇者はぜーんぶ薬草だったもんね」

勇者「うむぅ」

姫「ふふん♪ ほめていいよ」

勇者「かわいいかわいい」なでなで

姫「////」ぎゅっ


福引所「 おきゃくさん こまります ほかのおきゃくに めいわくです 」2828




535: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/02(月) 12:10:59.66 ID:LAlLl4Y10


勇者「んー……温泉なんて初めて入ったな」

姫「私もだよ、気持ち良い……」

勇者(……これで姫と2人きりなら、尚良かったけど)ちらっ


< ワイワイガヤガヤ


勇者「普通に他の夫婦とかいるんだもんな……」

姫「?」



536: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/02(月) 12:44:22.71 ID:LAlLl4Y10


姫「あ、勇者勇者っ! 向こうでお水配ってるよ」

勇者「本当だな……取ってこようか?」

姫「私が行く、ちょっとのぼせて来たの」ざばっ

勇者「……」

姫「なに?」

勇者「行ってらっしゃい」

姫「ぅ? わかった」



537: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/02(月) 12:51:30.83 ID:LAlLl4Y10


姫「ふぁぁ……のぼせちゃったぁ」

勇者「水と思ったら酒だったからだろ」

姫「透明なお酒らんて……初めへらったのぉ」

勇者「あまり見ないからな、マイラの温泉宿では名物らしいし」

姫「ふぅん……物知りらね」

勇者「はいはい」なでなで

姫「気持ち良い気分……♪」



538: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/02(月) 12:57:20.50 ID:LAlLl4Y10


勇者(……何かお土産欲しいな)キョロキョロ

勇者(せっかく姫とまともに、デート出来たんだし……)

姫「むにゃzZZ……♪///」


勇者「なあ、それなんだ?」

鍛冶屋「『銀の髪飾り』だよ、軽くて丈夫だし、嬢ちゃんへのプレゼント向きなのもあるよ」



539: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/02(月) 13:08:34.97 ID:LAlLl4Y10


勇者「この娘に合うのはあるか」

鍛冶屋「嬢ちゃんにかい? なかなか綺麗な髪だな、それなら……」

鍛冶屋「コイツはどうだ」

勇者「は、派手じゃないか」

鍛冶屋「女性は派手なもんが好きさね、他にするかい」

勇者「あー、どうするかな」

姫「zZZ」ぎゅっ

勇者「……そっちの頼む」

鍛冶屋「コイツかい? 随分子どもっぽいな」

勇者「可愛い方が良いんだ」

鍛冶屋「そうかい、750Gだよ」



540: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/02(月) 13:56:09.87 ID:LAlLl4Y10


主人「おや、お帰り」

勇者「部屋に水を持ってきてくれ」

主人「なんだ、酔ってるのかその嬢ちゃん」

勇者「水と間違えたんだ」

主人「へぇ、とりあえず後で持っていくよ」

勇者「すまない」スタスタ



541: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/02(月) 14:06:58.98 ID:LAlLl4Y10


勇者「よっ」

姫「……んっ」ぼふ

勇者(この分だとしばらくは寝てるな)

勇者(……行くか)

ガチャッ

勇者(っ……本当に重いな)ズシッ



542: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/02(月) 14:13:11.61 ID:LAlLl4Y10


主人「水持ってきてやったぞー」ガチャッ

主人「……なんだ、お楽しみ中じゃないのか」

主人(水はここに置いとくか)コトッ

主人(……?)

姫「zzz」

主人(嬢ちゃん置いてどこに行ったアイツ?)  

主人(ふむ、しかしこの嬢ちゃんどこかで見たような……)

姫「zZZ」すぅ



543: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/02(月) 14:23:43.00 ID:LAlLl4Y10


勇者「……」スッ


―――― ヒュィン!


勇者「……っ」ドサッ

勇者(重すぎる……いくら全快時の二割に満たない程に弱っていても、これ程の重量なんて……)

勇者(……)グッ

勇者(それでも、これを片手で扱えるようにならなきゃ意味がない!!)



544: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/02(月) 14:32:45.13 ID:LAlLl4Y10


―――― ヒュィン! ヒュンヒュンヒュンッッ


勇者「………」ヒュィン

勇者「……っ」グラッ

勇者(……夜もかなり深くなってきた、戻ろう)

グラッ

勇者「!! しまっ」




  ドズゥゥンッッッ!!







545: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/02(月) 14:40:26.60 ID:LAlLl4Y10


< 「うわああ! 地震か!?」

< 「ついに竜王がここにも……」

< 「外に出ろー!!」


勇者(まずいな、ここを離れよう)ズシッ

勇者(……『レプリカ』とはいえ、何で出来てるんだこの剣)



546: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/02(月) 14:50:45.20 ID:LAlLl4Y10


< ズゥ……ン……


姫「……?」びくっ

姫(揺れてる……何だろう)

姫(また部屋も真っ暗、勇者は……?)

< ガチャッ

< 「……やれやれ」ゴトッ

姫「……(こんな夜中に私を置いてくなんて、脅かしちゃおうかな)」スッ



547: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/02(月) 14:57:38.48 ID:LAlLl4Y10


姫(……♪)ソロソロ

勇者「はぁ、危なかったなぁ……」

姫(ふふん、気づかれてない気づかれてない♪)スッ


キィン!


勇者「うおぁ!? いたのか姫!」ビクッ

姫「あ……ばれちゃった」



548: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/02(月) 15:06:58.33 ID:LAlLl4Y10


勇者「そうか、俺の『ロトの印』と姫の首飾りがまた共鳴したのか」

姫「もう……こんな時に」

勇者「なんで共鳴したのか、いまいち分からないな」

姫「勇者のそれも何なの?」

勇者「俺が『勇者の儀』を終えてから、最後の試練を賢者達に出されてな」

姫「その時に貰ったの」

勇者「いや、試練で手に入れるんだが……まあこの話はまた今度な」



549: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/02(月) 15:36:26.62 ID:LAlLl4Y10


勇者「……で、どうかしたのか姫」

姫「ぇえ!? な、なななんでもないよっ!」

勇者「? そっか」

なでなで

姫「んっ、なに?」

勇者「まだ顔赤いし、水飲んで落ち着いたらどうだ? 姫の体は酒に強くないんだから」

姫「……うん、ありがと」にこっ

勇者「じゃあ俺はシャワー浴びてくるから、先に寝ててくれ」



550: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/02(月) 15:42:23.15 ID:LAlLl4Y10


< ジャァァ・・・


姫「……あ」

姫(これ……勇者、この剣持って外に行ってたのかな?)

ひょいっ

姫(凄く軽い……何で出来てるんだろ、綺麗な装飾もされてるけど)

姫(……刃物振り回したら怒られるかな、やめよ)ゴトッ

姫「? 意外に重そうな音が出た……??」



551: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/02(月) 15:49:19.32 ID:LAlLl4Y10


< ・・・チュン…チュン…


勇者「……うっ…ん~」ぐぐっ

勇者(朝か、寝た気がしないな)

姫「……zZZ」ぎゅっ

勇者「………」

勇者(おはよ、姫)チュッ

勇者(……~~~ッッ!!)

勇者(恥ずかしいなこれ!! うわぁ……村を少し走って来よう!)



552: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/02(月) 15:57:57.90 ID:LAlLl4Y10


ガチャッ

勇者「……?」

勇者(やけに静かだな、まだ主人はいないのか)スタスタ

勇者「……いない、か……」

勇者「『朝食も俺が作るから部屋に行かなくて良い』っと、書き置きしとくか」サラサラ

勇者(…………)

勇者(静かだ)



553: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/02(月) 16:02:02.00 ID:LAlLl4Y10


―――― ザァァ・・・


勇者(……)

勇者(この雨だと、走るのはやめとくか)スッ

勇者(……)クルッ

勇者(…………)

勇者(…………………)

勇者(人の気配を……村から感じない……)



554: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/02(月) 16:08:17.49 ID:LAlLl4Y10


ガチャッ

勇者「誰か!!」


ガチャッ!

勇者「誰かいないのか!?」


ガチャッ!!

勇者「……」


カチャッ

勇者「………」ギィ

勇者(……いない)



555: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/02(月) 16:30:55.11 ID:LAlLl4Y10


ガチャッ!!


勇者「姫……!」バッ

姫「んぅ、おはよう……」ぎゅっ

勇者「よかった無事か、掴まってろ!」ギュゥッ

勇者(……!)チャキッ

勇者(どこから逃げる!? 窓からルーラか!?)

姫「勇者? どうしたの」

勇者「少し雨に当たるから、目を閉じてろ!」ぎゅっ

姫「??」



556: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/02(月) 16:39:03.91 ID:LAlLl4Y10


―――― ヒュバァッッ!!


姫「ひゃぁ! な、なに勇者!? どうなってるの!」

勇者「事情は後で説明する、今はここを離れる」タンッ

勇者「ッッ!!」グッ


ドヒュッッ―――― !!


姫「きゃぁっ……勇者っ」ぎゅっ

勇者「大丈夫だ姫、大丈夫……っ」



557: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/02(月) 16:46:36.41 ID:LAlLl4Y10


勇者(もし、もしも……)

ドヒュッッ!!

勇者(村の人間を消したのが、『竜王』なら……!)

勇者(とても今の俺じゃ、最初の戦い以上に刃が立たない、勝てない!!)

勇者(逃げないと……! 逃げないと!!)タンッ


ドヒュッッ!!




559: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/02(月) 17:00:30.71 ID:LAlLl4Y10


ダンダンダンッ!!

勇者「頼む!! 開けてくれ! 誰かいるだろう!!」

< 「その声……勇者か、どうしたのだ」

勇者「マイラの村が襲われた! 今の俺じゃ戦えない!」

< 「!? 良かろう、しばし待て」

勇者「……」ぎゅっ

姫「………」



560: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/02(月) 17:14:44.42 ID:LAlLl4Y10


勇者「……すまない、助かった」

「タオルを持って来よう、王女の体に雨は辛かろう」

勇者「頼む」

姫「……私を知ってるの?」

勇者「ああ、両親が死んでから俺に魔法なんかを教えてくれた人だ」

姫「師匠ってこと?」

勇者「それだと二週間で師匠を越えた事になるかな」



561: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/02(月) 17:34:01.36 ID:LAlLl4Y10


賢者「コホン、久しぶりだの勇者よ」

勇者「大体二週間ぶりか」

賢者「うむ、しかし本当に王女が生きておったとは……」

勇者「……」

姫「勇者、怒らないで」なでなで

勇者「……ん、ありがとう」なでなで


賢者(流石は勇者を覚醒させただけはある……お互いに愛し合っているようじゃな)



562: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/02(月) 17:58:29.94 ID:LAlLl4Y10


賢者「ふむ……一晩で勇者に気づかれる事なく、マイラの村を全滅か」

勇者「ああ、生活の跡すら無かった……竜王の仕業なのか」

賢者「1つ聞きたいのだが、勇者の『紋章』に異変は無かったのかの」

勇者「無いな」

姫「……勇者、昨日の夜私達のが一度光ってたよ」

勇者「! まさか……?」



563: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/02(月) 18:06:18.81 ID:LAlLl4Y10


賢者「勇者を『ロトの勇者』と認めているなら、『紋章』はお主を呪いの類から守るだろう」

賢者「……じゃが守れるのは勇者のみ、何故に王女は助かったのか」

姫「……?」

勇者「……」チラッ


姫(勇者の『ロトの印』って、そんなに凄い物なんだ)ジャラッ


勇者「姫の首飾り……か?」

姫「ふぇ?」



564: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/02(月) 18:09:06.43 ID:LAlLl4Y10


姫「私の首飾りが守ってくれた、ってこと?」

勇者「それ位しかないかな」

賢者「ふぅむ? ちょっと見せてくれい」

ジャラッ

賢者「………」ジャラッ

賢者「ありがとう王女よ、ほれ」

姫「っ」ジャラッ



565: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/02(月) 18:17:21.36 ID:LAlLl4Y10


勇者「どうなんだ」

賢者「信じられんが、その首飾りはひょっとすると『紋章』よりも強い力を持っとるかもしれんな」

勇者「……凄いな」

賢者「まあ何より、無事なのは奇跡じゃ……呪いから守られるとはいえ闇からも守られるとは限らん」

勇者「闇って竜王の事か」

賢者「うむ」



567: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/02(月) 18:41:47.04 ID:LAlLl4Y10


賢者「近々、竜王の城から強大な波動を感じたのだ……」

賢者「以前に比べると、パワーも増しておるのやもしれぬ」

勇者「以前よりか」


< きゅっ


勇者「?」

姫「勇者なら勝てるよ、きっと」にこっ

勇者「……」

賢者「……やれやれ年寄りには暑苦しいの、しばらくは2人ともここに留まりなさい」

勇者「ああ、そうさせて貰うよ」



568: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/02(月) 18:44:51.29 ID:LAlLl4Y10




―――― 【おぉ・・・!!】



―――― 【これが我の新しき力か!! これぞ竜族の覇者に相応しい!!】



―――― 【クックック・・・勇者よ、貴様が我に挑んで来るのを楽しみに待っているぞ!】





569: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/02(月) 18:47:53.10 ID:LAlLl4Y10


勇者「……っ!」ガバッ

姫「勇者、大丈夫!?」

勇者「……寝て、たのか」

姫「部屋に来て少ししたら一緒に寝たんだよ?」

勇者「っ、頭が痛い……水あるか」

姫「今持って来てあげる!」スッ



570: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/02(月) 18:54:50.87 ID:LAlLl4Y10


勇者「……ありがとう」コトッ

姫「大丈夫? うなされてたよ」

勇者「はは、俺としたことが……」

姫「怖い夢見たの?」なでなで

勇者「かなり怖い夢だよ」

姫「……竜王と関係ある?」

勇者「…………」



571: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/02(月) 19:04:14.10 ID:LAlLl4Y10


勇者「一応さ、まともに俺を殺したのは竜王1人だけなんだ」

勇者「だから……そのアイツが以前より強くなったって聞いたら……ちょっとな」


姫「怖いの?」


勇者「えっ」

姫「怖いんだよね」

勇者「……怖い」

姫「私だけじゃなくて、勇者自身も守れないもんね」

勇者「……姫は必ず守るよ」

姫「駄目、私を守ろうとしたら負けちゃうよ? ……勇者に私からアドバイスしてあげる」




572: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/02(月) 19:09:34.01 ID:LAlLl4Y10


ガバッ

勇者「うわっ!」

姫「チュッ……ん…」

勇者「………」

姫「……っは、『攻撃こそ最大の防御』ってね♪」

姫「ふふん、どう?」

勇者「……愛してます」

姫「な、なんで敬語…?」



573: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/02(月) 19:31:02.03 ID:LAlLl4Y10



―――― ギュンッッ!!


勇者「おぉぉおおおおああああああああああ!!」

―――― シャッッ!!

ヒュィンッ!! ズバッ!!


勇者「はぁはぁ……だぁッ!!」ブンッ


ゴバァンッッ!!


姫「勇者……凄い」

賢者(明らかに姫のおかげでやる気を出してるな、溺愛にも程があるわい)



578: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/03(火) 14:57:58.01 ID:hsVaUX/B0


賢者(……あの2人が来て、半月かの)

賢者(早いもんじゃが……あの2人にとっては随分長い時間に感じたじゃろう)


カツンッ


賢者(………『雨の祠』という名前とは言え皮肉なもんじゃの……)

賢者(もうあの2人が来た日以来、雨が止んでおらぬ)

賢者(……………これではまるで、)



579: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/03(火) 15:00:34.10 ID:hsVaUX/B0








―――――― 「 勇者の両親が死ぬ前と同じではないか・・・ 」










580: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/03(火) 15:03:33.76 ID:hsVaUX/B0


勇者「……」スッ

勇者「……」ヒュッ

勇者「……」ヒュッ

勇者「……」スチャッ

勇者(もう重さは感じないな、これなら充分に……)


< 「ご飯だよー!」


勇者(……)くすっ



581: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/03(火) 15:12:35.67 ID:hsVaUX/B0


姫「ほらほらっ、できたよー!」

勇者「おー、美味そうだ」

姫「スープの隠し味が効いてるんだよ♪」

賢者「ほぉ、スープを作ったのか……どれ」ぺろっ


賢者「  」


勇者(【やっぱり】 死んだか )

姫「お爺さん!?」



582: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/03(火) 15:27:57.67 ID:hsVaUX/B0


勇者「あー、多分ちょっとしょっぱかったんだな」

姫「そうなの?」

勇者「このスープは俺が飲むから、姫は後でレシピ教えてあげるよ」

姫「スープちょっと味見していい?」


ゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクッッ!!!!


勇者「……ごちそうさま」

姫「もう、また1人で飲んで……///」

勇者(……半月前の弱ってた俺なら死んでるな)



583: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/03(火) 15:41:57.72 ID:hsVaUX/B0


・・・


姫「勇者、お風呂入ろー」ぎゅっ

勇者「ん? 少し早くないか」

姫「最近の勇者、汗臭いんだもん」

勇者「あ……そうだよな、ずっと鍛錬してるからあんまり臭いとか気にしなかったよ」

姫「毎日洗ってもすぐ汗かいたりするからだよ」

姫「……ね、隅々まで洗ってあげるから」きゅっ

勇者「……~~~、はいはい」がしっ

姫「抱っこ♪」

勇者「はいはい」なでなで



584: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/03(火) 15:51:19.77 ID:hsVaUX/B0


< 「っと、いつまでもデレデレしてると思うなよ!?」

< 「ひゃぁぁ!? くすぐ、ぁ……ふぁぅ」


賢者(静かに出来んのか……まったく)

賢者(……)スッ

賢者(どれ、ちょいとアレの様子でも見るかの)



585: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/03(火) 16:05:34.62 ID:hsVaUX/B0


ガチャッ


賢者(……ワシでは持つ事すら叶わぬが、見る事なら出来る)

賢者(なんと神々しい……)


< ……キンッ


賢者(『レプリカ』とは思えぬ、まるで本物の【 王者の剣 】だ……!)

賢者(儀礼用に初代ロトが何者かに作らせたらしいが、この美しい風格は完全に聖剣の域)

賢者(毎日見てはいるが、この剣が本物かと疑える程だ)



586: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/03(火) 16:13:25.72 ID:hsVaUX/B0


スッ・・・

賢者(だがやはり『レプリカ』……歴代の勇者一族でもこれをまともに操れたのは初代ロトと勇者のみ)

賢者(それも、勇者に至っては成長して怪力を身につけたからこその芸当だ)

スタスタ

賢者(……初代ロトは知らぬが、あのような重い剣…一体誰が作ったのやら)

賢者(さて、そろそろ寝るかの……王女の体を気遣っている勇者なら長風呂はせぬだろうしな)

賢者(……)



587: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/03(火) 16:23:18.38 ID:hsVaUX/B0



姫「…///……////」ビクビク

勇者「だからやめとけって言ったのに……」

姫「………////」

勇者「大丈夫か?」

姫「……にゃぁ///」カプッ

勇者「ぅあ! 落とすからやめろっ」

姫「好き……////」

勇者「分かったから、少し落ち着けって……」



588: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) 2012/07/03(火) 16:24:50.99 ID:ipO1mq5/o
何があったんだよwwwwwwwwwwwwww

589: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/03(火) 16:31:06.27 ID:hsVaUX/B0


勇者(……やっぱり『こういう』のは程ほどにする必要があるな、人間を駄目にする)

姫「……///」じっ

勇者「どした」なでなで

姫「……みゅ…///」ぎゅっ

勇者「まだ落ち着いてないのか?」くすっ

姫「ぉ……思ったより、その……~~」ぎゅっ

勇者(まあ……こんな姫をたまに見れるなら良いか、うん)なでなで



590: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/03(火) 16:33:52.52 ID:hsVaUX/B0


ガチャッ

勇者「到着ですよ姫様っと」スッ

姫「……ふぁっ」ぺたん

勇者「って、姫?」

姫「~~/// 立てないっ……////」

勇者「世話のしがいがあるなぁ、んっと」がしっ

姫「……////」ぎゅっ



592: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/03(火) 16:39:17.63 ID:hsVaUX/B0


姫「……」もぞっ

勇者「(かわいい) 俺はちょっと素振りしてくるよ」

姫「だめっ」ぐい

勇者「なんで」

姫「もう少し一緒にいて……、まだここのドキドキが止まらないの……」きゅっ

勇者「……仕方ないなぁ」なでなで

姫「~♪」



593: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/03(火) 16:45:19.78 ID:hsVaUX/B0


姫「ん……ちゅ、カプッ 」

勇者「いひゃい」

姫「えへへ……ちゅー」チュッ

勇者「………」なでなで

姫「胸にぎゅってして……勇者」

勇者「ん」ぎゅっ

姫「んぁっ……じゃなくて、勇者の胸に抱き寄せてぎゅうってしてほしかったの!!」////

勇者(……ついやっちゃった)



594: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/03(火) 16:54:36.71 ID:hsVaUX/B0


勇者「はいはい」ぎゅーっ

姫「……////」

勇者「……」チラッ


< キィィィンッ!!(明らかに爆発しそうなくらいの光)


勇者(絶対あの首飾りって姫の心とリンクしてるよなぁ)

姫「撫でて撫でて……」くいくい

勇者(首飾りの光が弱くなるとこれだし)なでなで



595: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/03(火) 17:02:27.91 ID:hsVaUX/B0


勇者(……)なでなで

姫「……♪」すりすり

勇者「明日こそ晴れたらいいな」

姫「? ……そうだね」

勇者「姫の体に悪いからな、太陽に当たらないと」

姫「心配?」

勇者「凄く」

姫「////」きゅ

勇者(……正確には心配じゃなくて、怖いんだけどさ)なでなで



596: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/03(火) 17:14:15.86 ID:hsVaUX/B0



● ● ●



賢者「がッ! ……はァ……ッ!!」ドサッ


{ ズ ズ ず ズ  ズ っず  ズ


賢者「っっ・・・!! ま、さか……竜王めッ………」

賢者「『聖域』すら……闇に飲まれると、は………ぐぉ」ずズギュッ

賢者(……あの2人は、無事なのか………?)

賢者(~~!!?)

< ズォムィュッッ

賢者「…は、はは……『光のオーブ』が闇に染まる事は、こういう事なのか? これではマイラのむら…っぁが!?」



{ ズ ず ズ  ズ ズズッ  ッッ



賢者「ゆッ……勇者、どうか世界を………!!」





{   トプンッ




● ● ●




597: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/03(火) 17:26:38.27 ID:hsVaUX/B0







勇者「……zZZ」ぎゅっ

姫「……zzz」きゅっ







598: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/03(火) 17:28:46.12 ID:hsVaUX/B0







< キィィィンッ!! キィィィンッ!!

< キィィィンッ!! キィィィンッ!!








599: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/03(火) 17:35:59.56 ID:hsVaUX/B0






勇者「……じいさん、どこだ」

勇者(………マイラの村の時と、同じ……?)


勇者「……じいさん……!」ガッ

< ビシッ! ズドォォッ!!


勇者「竜王か? アイツの仕業なのか……!!」


< 「今の、なに!?」



600: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/03(火) 17:39:24.83 ID:hsVaUX/B0


姫「ー! 勇者、壁が……」

勇者「じいさんが消えた」

姫「……」

勇者「マイラの時と同じだ、俺が生まれる前からこの祠を出ないじいさんが外に出るわけないのにここにはいないッッ!!」

姫「…っ」びくっ

勇者「……ごめん」ぎゅっ

勇者「………ごめん」

姫「………」



601: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/03(火) 17:46:14.53 ID:hsVaUX/B0


勇者「…………」

姫「……」

姫「ね、逃げなくていいの?」

勇者「……もう逃げる選択肢は無いんだ」

姫「なんで……かな?」

勇者「『光のオーブ』、きっとあれを闇に染められたんだ」

勇者「だから、竜王は簡単に人間を消せる呪いが使えるのかもしれない」



602: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/03(火) 17:58:08.37 ID:hsVaUX/B0


姫「そんな……消えた人はどうなるの」

勇者「さあね、もしかしたら竜王が直接来たのかもしれないし幽霊が……」


勇者「……何言ってんのかな……俺」


姫「勇者、お水飲む?」

勇者「……うん」

姫「はい」スッ



603: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/03(火) 18:09:36.22 ID:hsVaUX/B0


勇者「……」

姫「どうしたの勇者」

勇者「どうしたらいいかが分からないんだよ……」

姫「……」

勇者「姫を守るのは、簡単かもしれない……でも俺は……」

勇者「…………竜王に挑んで、次死んだら生き返る事が出来ないんだ」


姫「……」



604: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/03(火) 19:05:57.31 ID:hsVaUX/B0


姫「……」なでなで

勇者「どうしたら……いい?」

姫「……」なでなで


姫「ていっ」ベチッ

勇者「テッ」


勇者「??」

姫「いてて……平手でも痛いね」

勇者「……姫?」

姫「ゆーしゃ!!」

勇者「な、なんだ」



605: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/03(火) 19:09:04.08 ID:hsVaUX/B0


姫「そうだよ! 勇者は『勇者』なんだよ!?」

姫「勇者に竜王が倒せなかったら、私はきっと死んじゃうよ?」

勇者「そんなの……絶対にさせない」

姫「でしょ? 勇者は私だけの勇者でしょ?」

勇者「……!」

姫「……私が本当に好きで、昨日みたいに愛してくれてるなら! 守ってよ!!」



606: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/03(火) 19:15:07.28 ID:hsVaUX/B0


勇者「……俺」

姫「出来ない?」

姫「守ってくれないの?」

勇者「そんな訳ないだろ!!」ガタッ

姫「ならいつもみたいにあの剣持って、私を背負ってよ!! あの夜みたいに私を守る為に竜王と戦ってよ!!」

勇者「っ」

姫「……迷わないで私を守ってよ、勇者」ぺちっ

勇者「…………」


勇者(……きっと俺の性格は素直、じゃないな……)

勇者「単純か」なでなで

姫「!」



607: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/03(火) 19:29:51.63 ID:hsVaUX/B0


【次回】





【 我が名は……『竜王』ッッ!! 】




おやすみなさい…(-_-)zzz

610: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/07/03(火) 21:23:34.77 ID:e9MkRcTCo
我が台詞は… 乙!待ってます!

612: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/04(水) 12:22:20.13 ID:Rz7Y4uGG0


< カチャカチャ

姫「よしっ、と」

勇者「大丈夫そうか」

姫「当たり前でしょ、誰がやったと思う?」

勇者「最後の鍵以外は俺だな」なでなで

姫「最後の鍵は私だもん!」

勇者「はいはい」ぎゅっ



613: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/04(水) 12:36:56.09 ID:Rz7Y4uGG0


勇者「いないとは思うけどさっ、」がしっ

姫(勇者の背中♪)ぎゅっ

勇者「もし留守中に『雨の祠』が荒らされたら、嫌だもんな……」

姫「だから鎖とか鍵で封印したんだよね?」

勇者「じいさんの墓みたいなもんだし、やっぱりその位はしたかった」

姫「うん、きっと大丈夫だよ」



614: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/04(水) 12:43:36.74 ID:Rz7Y4uGG0


勇者「……雨、なんで急に止んだかな」

姫「わかんない」

勇者「曇ってて、じとってはしてるのにな」

姫「不気味?」

勇者「ん、姫がいるから平気だな」

姫「私は勇者がいなかったら泣いてるかもね」

勇者「……ちゃんと背中に掴まってろよ?」くすっ

姫「うん! 行こう、勇者っ」ぎゅっ



615: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/04(水) 13:30:03.39 ID:Rz7Y4uGG0


勇者「リムルダールの方まで結構あるし、町までルーラするか」

姫「リムルダール? 竜王の城じゃないの」

勇者「竜王に連れて行かれた時、陸は竜王の城のある島まで続いてなかったろ?」

姫「真っ暗だったから……洞窟へは気絶してる間にだし」

勇者「……リムルダール北西から、丁度良い架け橋が作れるんだよ」

姫「?」

勇者「まあ、行けば分かるさ」


―――――― 「『ルーラ』」




616: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/07/04(水) 13:34:35.58 ID:Rz7Y4uGG0


姫「……」

勇者「……竜王の城に近かったからな、この町」スタスタ

姫「誰もいない、ね」

勇者「ああ」

姫「……早く竜王倒して、みんなを助けよっ」ぎゅっ

勇者「……さすが姫だよ、本当に」なでなで



617: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/04(水) 14:06:04.02 ID:Rz7Y4uGG0


勇者「よし、とりあえず着いたな」ザッ

姫「? 架け橋なんてないよ」

勇者「言ったろ、作るんだよ今から」にこっ

勇者「……けどちょっと待っててくれ、せっかくの墓参りだから」

姫「……」

姫「!? そういえばここって……!」

勇者「俺の両親が見つかった場所だよ」



618: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/04(水) 14:14:42.75 ID:Rz7Y4uGG0


姫「……なんで、こんな所に……?」

< チャキンッ

勇者「さぁ……もしかしたら、母さんはともかく俺の父さんはあの雨の時に気づいたのかもしれないな」

< ザクッ

勇者「……竜王の存在に気づいた父さんは直ぐに戦いを挑んで、負けた……とかな」

姫「………」スッ

姫(………)

勇者「………」



619: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/04(水) 14:23:06.15 ID:Rz7Y4uGG0


< ザクッ

< チャキンッ


勇者「今から俺達が竜王に挑んでも、結果はハッピーエンドじゃないかもしれない」

勇者「その結果が、俺の両親と同じ結果になる事もある」

姫「うん」

勇者「今なら……姫だけラダトームに戻せるよ」

姫「私が戻ると思う?」

勇者「戻らない」

姫「ー♪ そういう事だよ、死ぬ時は一緒なの」ぎゅっ

勇者「……一緒に死んでくれるのか」

姫「やっだよー、ばーかっ!」カプッ



620: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/04(水) 14:28:47.73 ID:Rz7Y4uGG0


勇者「~~!?」

姫「一緒に死ぬ為に来たんじゃないでしょ! まだそんな弱虫な事言ってる!」

姫「私は勇者とえっちした時から、結ばれた時からずっと気持ちは決まってたんだから!!」

勇者「姫……」

姫「『死ぬのを覚悟で』なんて、ハッピーエンドになれる訳ないよ! 『生きて姫と幸せになる』位の事言ってよ!」

勇者「……♪」なでなで

姫「ふぁ、わ、わかったの!?」

勇者「わかったよ」なでなで



621: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/04(水) 14:32:33.89 ID:Rz7Y4uGG0


勇者「んー、さてと」スッ

姫「?」

勇者「目、閉じててくれ」

姫「なんで」

勇者「サプライズだよ、サプライズ」

姫「・・・」きゅ

勇者(……よし)



622: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/04(水) 14:44:22.76 ID:Rz7Y4uGG0


―――――― パシャッ


勇者( 【精霊よ、今一度ロトの勇者に虹の加護を与えたまえ】 )


―――――― ・・・ィッ



―――――― キィィィンッッ!!


―――――― ・・・


勇者「・・・ん、目を開けて見な姫」

姫「………」




623: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/04(水) 14:57:07.32 ID:Rz7Y4uGG0


姫「……虹の、えっ……虹色の・・・橋?」

勇者「虹だよ、正真正銘本物の」なでなで

姫「で、でもなんで? 今真っ暗なのに……」

勇者「理屈なんて知らないよっ、と」ガバッ

姫「ひゃっ!」ぎゅ


スタスタ


勇者「ほら、俺達いま虹の上歩いてるんだよ?」

姫「~!」



624: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/04(水) 15:06:39.09 ID:Rz7Y4uGG0


姫「す……凄い……」ぎゅっ

勇者「竜王の城とリムルダールの中間まで行こう、そこが一番景色が良さそうだ」

姫「……素敵、って言えばいいかな」

勇者「なんでもいいよ、虹の橋なんてこれ以外無いだろうしさ」

姫「………」カプッ

勇者「なんで噛む!?」

姫「……凄く勇者に甘噛みしたい気持ちになったの」

勇者「やれやれ、かわいいからいいよいいよ」



625: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/04(水) 15:25:07.35 ID:Rz7Y4uGG0


姫「わぁぁ……! 海の上にいるよ私達!」ぺたん

勇者「天気が良かったらきっともっと綺麗だっろうな」

姫「隣! 座りなよっ」くいっ

勇者「はいはい」ザッ

姫「えへへー♪」ごろんっ

勇者「あまえんぼ姫だな」なでなで



626: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/04(水) 15:30:21.09 ID:Rz7Y4uGG0


勇者「………んー」なでなで

姫「………」

勇者「………」なでなで

姫「……」

勇者「おにぎり位、持って来れば良かったか?」

姫「……」



627: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/04(水) 15:35:57.51 ID:Rz7Y4uGG0


姫「……」

勇者「姫ー?」ぐりぐり

姫「ぁっ……」ビクッ

勇者「耳、姫も弱いのか~?」ぐりぐり

姫「もう……」

勇者「どうしたんだよ」

姫「あのね、また来たいなって思ってただけ」



628: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/04(水) 15:41:19.41 ID:Rz7Y4uGG0


勇者「それだけ?」

姫「うん、大事な事でしょ」

勇者「そうだなぁ、大事だな」

姫「でねでね? メイドも呼びたいなーって」

勇者「メイドもか」

姫「きっと楽しいよ」


勇者「……ああ、きっと楽しいな……今度また来るか」



629: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/04(水) 16:35:47.76 ID:Rz7Y4uGG0



勇者「……」スタスタ

姫「……」ぎゅっ

勇者「姫、とりあえず今のうちに『スクルト』かけとくからな」

ギィンッ!

姫「? なにこれ」

勇者「姫の体を魔力の薄い鎧で覆った、多少の揺れや衝撃ならかき消せる」


勇者「……だから、片腕で一応支えてるけど 『終わる』 まではしっかり掴まってろよ」


姫「………うん」ギュッ



630: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/04(水) 16:49:09.26 ID:Rz7Y4uGG0


―――――― 暗雲に閉ざされた空の下、魔物達は集結していた。


一体いつから出現したのかさえ不明な小さな孤島。

小さい孤島とはいえ、それらの面積ほぼ全てが1つの城となっていた。

人間の勇者達にしてみればその城の門は、巨大という言葉では表せない迫力と威厳に満ちていた。


しかし、その広大なエントランスには魔物達が歓迎の牙を剥いていた。


・・・勇者は瞳を魔物の群より奥へ向けた。

勇者(……)

『誘われている』、そう感じずにはいられない気配があった。



631: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/04(水) 16:58:17.60 ID:Rz7Y4uGG0


勇者達が進む『虹の橋』が城の入り口で終わる頃には、大勢の魔物がこちらへ駆けて来るのが見える。


勇者の首に巻きつく姫の華奢な手に、僅かに力が入る。

初めて彼女に向けられる『殺意』。

その質と数は世界を知らぬ少女にはとても耐えられる物では無い。

彼女は、勇者がいるからこそ強くなれるのだった。


勇者(応えなくちゃな)

勇者(…………)スッ


背中の愛する少女の為なら幾らでも強くなれる、そう幼き日の自分は宣言した。

その誓いの意味を、今こそ見せずにいつ見せると言うのか・・・?



632: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/04(水) 17:07:42.74 ID:Rz7Y4uGG0


―――― 既に城の内部で待ち受けていた魔物達の中で、魔法やドラゴン達の火球の光が瞬いていた。


勇者達の眼前に広がるのは、1つの生命を粉々に破壊しようと群がる魔の下僕達。

先陣を駆け抜けていたキラーリカントやスターキメラの絶叫。





そ こ へ 、 勇 者 の 右 手 だ け が 向 け ら れ た 。





風が止み、潮の音が止み、魔物達の憎悪の波動が、時間が、全てが止まる――――――




633: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/04(水) 17:11:25.89 ID:Rz7Y4uGG0





―――――― 【【 凍てつく波動 】】 ――――――




  ド ッ ッ !! !!


「 ッッ・・・!!? 」

「 ~~!! 」





634: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/04(水) 17:22:55.34 ID:Rz7Y4uGG0


・・・勇者の眼前に広がっていた火球の群は消滅し、『ゴースト』等の霊体が全て死滅した。


何より、それまで殺意と憎悪に溢れていた魔物の軍勢がその場で固まっていた。

『魔法使い』や魔力に敏感な魔物達の中には恐怖で立てなくなる者すらいた。

彼等の視線の先に立つ男が、先程とは違う姿へと形を変える。


(馬鹿な……なんだ………今のは、本当に奴は……)


誰かが呟いた言葉に合わせ、勇者が姫を背中に乗せたまま歩いて来る。

先程までの彼等なら、足手まといを連れた只の人間としか思わないだろう。

だが今はどうか?  



635: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/04(水) 17:30:59.05 ID:Rz7Y4uGG0


勇者「…………」キンッ

腰の宝剣を指先で弾き、柄を握る。

その静かな動作に魔物達は足を後ろへ後退させてしまう。


(この人間……いや違うッ!! コイツは、人間じゃない!! 人間が出せる波動じゃない!!)


魔物達の約半数が戦意を喪失する中、残った者達が吼えた。

その咆哮を全ての引き金となり、勇者の剣が唸りを挙げた。



636: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/04(水) 17:39:55.53 ID:Rz7Y4uGG0


勇者の片腕が残像を残して真一文字に薙ぎ払われた。

その瞬間、音も無く変化は訪れ――――――



―――――― ッッッツツ ! ! ! ! ! ! !



破壊。

その二文字が示す光景が瞬時に勇者の眼前を埋めた。


数百といる先陣にいた軍勢の大多数が、勇者のたった一撃で吹き飛んだのだ。


勇者の立つ位置にまで余波の地割れが襲う。



637: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/04(水) 17:46:16.90 ID:Rz7Y4uGG0


勇者「飛ぶぞ、掴まれ」

姫「うん……!」


大地が悲鳴を上げるかのような爆音を出す中、勇者は トッ と直後に虚空へ消え去る。


「勇者が消えた!?」

「地割れに飲まれたとは思えん! 探せぇッ!!」


狼狽するのを堪えた後方にいた魔物達の群。

城内にいる限り、前方の入り口さえ見ていれば安全だと彼等は思考する。

しかしそれは間違いだと刹那に感じる事となった。



638: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/04(水) 18:00:54.92 ID:Rz7Y4uGG0


ゴガッッッ!!!!


撒き上がる血飛沫すら衝撃波によって円を描くように叩きつけられる。

突如襲来した勇者の姿に反応した者達は初撃の剣撃で全滅。

そして勇者が隙を逃す事は無かった。


―――――― !!!!


背後にいるキラーリカントを両断しキラーリカントの左右にいるスターキメラを即座に薙払う。


ッッッ!! ッッッッッ!!!!


城内の周囲にいる悪魔の騎士達を一体ずつ刺突で仕留め頭上から降ってくるメラミの豪雨を剣撃で全て弾き返してドラゴンの集団を壊滅させる。


―――――― ッッッッッッ!!!!!!!!!!


粉塵を切り裂いて襲い来る影の騎士とストーンマンをまとめて斬り伏せてから後方の大魔導を雷撃で蹴散らす。



639: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/04(水) 18:12:10.91 ID:Rz7Y4uGG0



―――――― ッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!



姫を狙った弓矢をベギラマで射手ごと焼き払いその隙を突いて来た360度を覆う死神の騎士の群をデインで弾き、

更に剣撃で巻き起こした旋風で50の死神の騎士を切り裂き瞬速でエントランスの魔物達を剣圧の衝撃波で潰して行く!!




勇者「……大丈夫か、姫」

姫「う、うん……勇者の魔法が効いてるみたい」

勇者「………そうか」







640: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/04(水) 18:29:53.11 ID:Rz7Y4uGG0



・・・気がついた時には、勇者の周囲には最初は5000を越える軍勢だったのが数百程度しかいなかった。


美しいレトロな城内のエントランスはあちこち崩壊し、僅かな間で勇者は魔物達を壊滅させたという証をも思わせた。

凄まじい魔力、体力。

数の暴力すら彼に傷一つつける事は叶わなかった。


勇者と戦闘を始めて、まだ30分すら経っていないのに、その場にいた魔物達は圧倒的な力を前に敗北したのだ。


勇者「……もういいだろう、道を開けろ」

勇者「俺はお前たちを虐殺する為に来たんじゃない、どいてくれ」



勇者の静かな声が、一瞬静寂に包まれた城内に響き渡った。



641: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/04(水) 18:36:17.48 ID:Rz7Y4uGG0


「……わ、我々は! 貴様を殺す為に来たんだ! 今更…………」


勇者「今更、戻れないとでも?」


「っ……!」


片腕を切り落とされ、息も絶え絶えの『キラーリカント』は言葉を失う。

勇者は視線を辺りに移した。


勇者(・・・)


・・・周囲の魔物達も、恐らく同じなのだろう。

戻れるならば戻りたい、しかし戻るとはどういう事か分からないのだ。



642: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/04(水) 18:48:21.79 ID:Rz7Y4uGG0


勇者「……」

勇者「姫、目を閉じてろ……見るな」

姫「……うん」


勇者の冷たい声に、周りの魔物達も姫も怯える。

姫自身、勇者のこんな声は聞いた事が無かった。


勇者「…………『ライ…』」


「ぐ、ウオオオオオオッッッ!!」



―――――― 「『……デイン』」





643: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/04(水) 19:00:44.09 ID:Rz7Y4uGG0



―――――― 【 かつての大魔王、ゾーマは言った 】



  【 勇者よ、人は何故もがき生きるのか? 】

  【 滅びこそが我が喜び、死に逝く者こそ……命の散る様こそ美しいというのにだ 】

  

【 クックック、実に詩的な言葉だが・・・ゾーマは所詮『生物』としての答えを見出せずにいた 】

【 故に、かのゾーマはロトの勇者に敗れたのだ……! 】


【 『何故もがき生きるのか』だと? 決まっているだろうに 】



644: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/04(水) 19:06:13.83 ID:Rz7Y4uGG0




竜王【 人はッ!! 生物はッ!! 『死』を恐れ、『孤独』を恐れるからだッッ!! 】




竜王【 だからこそ、『死』と『孤独』を制したロトの勇者が最後に生き残っただけのこと!! 】

竜王【 ゾーマには真なる力を手にするに値しなかったのだ・・・ 】


竜王【 ・・・クックック、だが 我ら はゾーマを越えられる筈ではないか? 】


竜王【 勇者ッッ!! そして姫よッッ!! 】







勇者「…………」

姫「…っ」ぎゅっ




645: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/04(水) 19:12:25.22 ID:Rz7Y4uGG0


竜王【 よく来た……勇者よ! 】


竜王【 我が名は…………『竜王』ッッ!! 】


竜王【 竜族の王にして、全ての覇を司る王だ 】

竜王【 我は待っていたのだ、そなたのような強き若者をな…… 】


勇者「………」


竜王【 どうだ? 我が配下に加わらぬか、そなたの力も、大切なその姫も渡すのだ 】

竜王【 そうすれば、そなたには世界の半分をやろう……闇に染まった絶望の世界をな 】



646: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/04(水) 19:16:32.17 ID:Rz7Y4uGG0


竜王【 さあ……そなたの答えを聞かせて貰おう……! 】


勇者「……」

姫「勇者……」きゅっ

勇者「………」


竜王【 そなたと我が世界を支配すれば、敵などおらぬ、最強の支配者になれるのだ!! 】


勇者「……竜王」


竜王【 何か、勇者よ 】


勇者「姫の望む、幸せで明るい世界はお前に作れないのか」

竜王【 ・・・クックック、何を言い出すのかと思えば 】

勇者「どうなんだ」



647: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/04(水) 19:20:05.19 ID:Rz7Y4uGG0


竜王【 応えは『否』ッッ!! 言った筈だ、その姫すらも我の所有物にするとな!! 】


竜王【 そして貴様もだ勇者よ! 貴様も我の配下になり服従を誓うがいい! 】


勇者「……そうか」

勇者「姫」

姫「え?」

勇者「悪いが、降りて下がっててくれ」

スッ

姫「……勇者?」

勇者「愛してる、姫」


竜王【 なに・・・? 】




648: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/04(水) 19:25:27.89 ID:Rz7Y4uGG0



勇者「……竜王、なら話は終わりだ……」


竜王【 ほぅ…… 】

勇者「俺は姫を守る、そのためなら貴様も倒す!!」


竜王【 クックック! よくぞ言った勇者よ……!! 】

竜王【 では今よりそなたは世界に唯一の我の『宿敵』だッッ!! 】


竜王【 『孤独』を、『死』を乗り越えしその愛の力! 我に見せてみろ!! 】




竜王【 そして!! 最後は我が腕に抱かれッッ!! 息絶えるが良い!! 】






652: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/07/04(水) 22:04:57.87 ID:BixAN+rSO
いい感じに魔王だな

654: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/05(木) 14:27:09.65 ID:ddvUh1vT0


―――――― カッッ!!


刹那に莫大な閃光が弾け、衝突した。

両者は詠唱も呪文も唱える事無く、自身の魔力に任せて魔法を行使したのだ。

空気が瞬時に燃焼された事で周囲に暴風が吹き荒れる中、勇者と竜王は微動だにしなかった。


竜王【 クックック、所詮は相殺がやっとのベギラマか? 】

竜王【 ならば再びあの夜の終幕を演じようかッ!! 】


勇者(……『あの夜』か、あの時に比べたら随分容赦ない気がするけどな)

勇者(まぁ……負ける気はしない―――ッ!!)




655: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/05(木) 14:50:40.74 ID:ddvUh1vT0


竜王の言葉が終わる瞬間、2つの強大な閃光が再びぶつかり合う。

ただし、その威力も余波も先の『ギラ』とは比べ物にならない程強力なものと化していた。


暴風がその衝撃波の発生源に吸い込まれ、一時的に極限の真空状態となった。


僅かな空白の間。

そして一輪の波が空間全域に駆け抜ける!



―――――― ゴォッッッ!!



『スクルト』による加護で衝撃波程度なら無効化出来る姫が、体を前から突き飛ばされた感覚に襲われる。


姫「…!? ひゃぁ……っ」



656: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/05(木) 14:57:26.13 ID:ddvUh1vT0


   ガシィッ!!


勇者「悪い姫、次は衝撃波を姫に当たらないようにする」


優しく姫の体を受け止め、彼女に一言呟く。

彼女は思わずそちらへ振り向いた。


―――― フッッッ!!


風が姫の髪を撫でるように抜けたのと同時。

勇者の姿が消え、彼女の背後で再び死闘が始まっていた。

彼女は勇者の姿を捉えようとまた振り向いた。



657: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/05(木) 15:10:21.01 ID:ddvUh1vT0


勇者「破ァッ!!」


黄金の軌跡を描く『王者の剣』を乱れ打ち、真空の刃を駆け巡らせる。

音を越える速度で駆ける無音の斬撃を竜王に捉える術はない。


竜王【 『真空斬り』ならば見切っているぞ勇者ッッ!! 】

勇者「 !? 」


闇の霧を携えた竜王が勇者の背後に現れ、勇者の体が凄まじい衝撃波に叩きつけられた。

音が追いつかない世界で行われた小さな死闘が、瞬時に終わる。

石畳にも関わらず勇者の体が数十cmも沈み、背面の骨が一斉に粉砕される。


勇者(……っ!!)



658: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/05(木) 15:21:46.10 ID:ddvUh1vT0



―――――― ド・・・


勇者(まだだッッ)

刹那、全身に走る痛みが広がるよりも速く『ベホイミ』で回復する。


同時に、叩きつけられた瞬間に手放し空を舞っている『王者の剣』を手に取った。

更に更に同時に、その剣に直接黄金の魔力を流し限界まで威力を高めた。

そして、


―――――― ・・・ッゴォォォォンッッッ!!


背後で勇者の真空斬りが壁に炸裂した瞬間、勇者の刃が竜王に届く!


竜王【 ……! 】

    ギィンッッ!!

勇者「っはぁ!」



659: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/05(木) 15:34:19.14 ID:ddvUh1vT0


竜王の眼前で勇者が咆哮する。


勇者「―――――― ッッ!!!」


純白だった髪が瞬時に黄金と化し、視覚化出来るだけの魔力の渦が彼の体を覆った。

地を滑るように勇者が竜王へ走る!


竜王【(あれが四天王達を容易く葬った、勇者の真の姿……!)】

背筋をゾクリと、竜王の中を何かが駆け抜ける。

竜王【(なんて怒りに満ちた姿、何という生物の最高峰の力!!)】

竜王【 ハッハッハァッッ!! やはりゾーマは勝てない訳だッッ!! 】


闇の霧の如く揺れ動くマントを刃のように一閃し、竜王が狂喜に声を奮わせる!

闇の軌跡を描くように空間に残る漆黒の残滓が、1つ1つが『ベギラマ』を意味する魔法陣と化した!!



660: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/05(木) 15:45:25.80 ID:ddvUh1vT0


竜王【 この竜王、『孤独』として世界に生まれ落ちてより初めての高揚感よッッ!! 】


竜王【 さあ・・・ これならばどうだ勇者ァッ!! 】



―――――― ボンッッ!! と数百の魔法陣が一度に弾け飛び勇者に向けて練獄の閃熱が降り注ぐ!



勇者「『ライデイン』・・・!!」

勇者の黄金の魔力がその瞬間に爆発し、彼を中心として蒼白の剛雷が吹き荒れる!


・・・しかし、それでは彼は竜王を倒せないと知っている。

姫を守り、竜王を倒すには足りないと知っている。

だからこそ彼は咆哮する、全身全霊の魔力を『ライデイン』に乗せる――――― !!



661: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/05(木) 15:54:12.09 ID:ddvUh1vT0


姫「……勇者……!」


幾度となく流れ込んで来る強大な力の余波を、衝撃波を勇者の蒼白の雷撃が貫いていく。

彼女には暴風すら触れさせない、と。

雷の龍が、少女を包み込むように渦を巻いて守護していた。


竜王【 クックッ……クハハハハハハハハァッッ!! 】


バヂィンッ!! と竜王を仕留めんとする光の刃をマントで叩き落とし、勇者の元へ跳ぶ。

その右手には、先日身につけた『古代最強位呪文』。

幾数もの『ライデイン』すら弾き返しながら、竜王はその魔法を勇者の眼前で爆裂させる!



662: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/05(木) 16:01:11.14 ID:ddvUh1vT0


勇者「 …… 」

手の『王者の剣』を堅く握り締め、勇者は竜王と視線を交差させる。


竜王【 打ち勝てるなら打ち勝ってみるがいい!! 】

竜王の右手が、紅炎を中心に蒼炎の閃光を迸らせた。

そして竜王は憎悪を滲ませた咆哮と共に最強の呪文を唱える!!









―――――― 【 『  ベギラゴン  』 】 ――――――










663: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/05(木) 16:15:54.93 ID:ddvUh1vT0




  竜王城の、玉座の間がある場所は地下七階。

  にも関わらず、一本の光柱が竜王城に突き立てられた。

  その光柱の中心には……2つの影。




―――――― ギュイイイイイィンッッッッッッ!!!!



勇者「 おおおおおおオオオオオオオオオオオッッ!!! 」


蒼炎に左腕を焼き溶かされ右腕だけの彼は、一本の剣をその蒼炎にぶつけ灼熱の火炎を纏う!

勇者の眼前にいる竜王を、切り裂く為に。

咆哮し、絶叫と同時に黄金の魔力と蒼炎に包まれた刃を躍らせる!



664: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/05(木) 16:26:49.43 ID:ddvUh1vT0


竜王【(……!!)】


瞳に迫る刃に、竜王は呪文の反動で動けないでいた。

いや……『動かない』。



――――――――――――――――――
―――――― 灼熱火炎斬 ――――――
――――――――――――――――――



ゴバァン!! という爆発。

超神速で躍る勇者の『王者の剣』が竜王の体を縦一文字に一閃した。


竜王【 ごァ…… 】


鮮血が爆炎によって蒸発しながら飛沫を挙げる!!



勇者「!!――――――ッッ」



しかし勇者の刃は、剣は、止まらないッッ!!



665: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/05(木) 16:42:22.56 ID:ddvUh1vT0


音を越え、超摩擦で全身が火炎に包まれようと勇者は止めなかった。


―――――― ザンザン斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬ッッッッ!!


太陽を思わせる程の光輝炎。

一閃の上を更に一閃し二筋の軌跡を更に一閃で斬り開き一閃と斬撃の嵐が爆炎の威力を極限以上まで高める!!

竜王の体から飛沫を上げる血液すら超温度で霧状になる!



勇者「終わりだァァッッ!!」



ついに浮遊感が落下へと変わった瞬間、竜王城より数百m上空で勇者の剣から蒼白の雷が瞬いた。


勇者「 『ライデイン』!! 」


最後の一撃が、勇者の剣を通して竜王に放たれた。



666: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/05(木) 16:45:32.67 ID:ddvUh1vT0


轟ッッ!! と鳴き声を挙げ、雷龍が竜王を撃ち抜いた。

そして竜王はそのまま竜王城へと落下――――――









―――――― する筈だった。











667: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/05(木) 17:04:12.82 ID:ddvUh1vT0



―――――― バツンッ!!



竜王の体が内側から爆ぜ、その中から巨大な翼が伸びたのだ。


勇者「あれは……!!」


忘れていた。

勇者の脳裏を、2つの事が一度に駆け巡った。

一つは『あの夜』の記憶。

もう一つは・・・


勇者「(  ・・・『竜』王・・・  )」




668: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/05(木) 17:16:33.45 ID:ddvUh1vT0




【 どうした勇者よ、我はまだ『終わり』ではない筈だが? 】



大空に響き渡る産声。

これこそが真の姿だと誇示するかのように、竜王は巨大な翼を羽ばたかせる。

その翼による動作が、小さな竜巻すら引き起こしているのが見える。


勇者「……!! 『ベホマ』」

即座に勇者は左腕を蘇生させ、全身の傷を塞ぐ。


勇者の体のみが落下していく中、ついに竜王が勇者の頭上へと回り込んだ。




669: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/05(木) 17:31:54.26 ID:ddvUh1vT0


【 クックック・・・どうした? 真空斬りすら出さぬのか 】

勇者「…………」


―――――― しかし、忘れていたのは竜王も同じらしかった。


【 ・・・ッッ!! 】

瞬時に巨竜となった竜王が 轟!! と旋回した。


  ギュオッッッ!!


その僅かな差。

真空の刃が幾重にも重なり合った強力な剣撃を、竜王は見事その巨体でかわして見せたのだ。

刃の行き先は海面だった。



670: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/05(木) 17:51:25.31 ID:ddvUh1vT0



ドドドドォォオオオッッ!!!!


突き立つ水柱、その余りの威力で視界が吹き飛んだ海水で埋め尽くされる。

竜王と、勇者の、両者の姿が一時的に世界から隠されてしまう。




―――――― !!

―――――― !!





直後、巨大な水柱が一瞬で掻き消される!!



671: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/05(木) 18:04:36.88 ID:ddvUh1vT0


水の膜壁を爆発させ、両者が刹那に大空を交差する。


勇者「……!!」

【 ・・・!! 】


ッッッッ―――――― !!!

巨竜の翼が破壊の鉄槌と化し勇者に叩き込み更に竜王の周囲で再び闇の残滓が1つ1つ全て魔法陣となり爆発する!!

!!!―――――― ッッッッ

轟火球の嵐そのものとなった竜王を勇者は避けもせず叩き込まれた翼をライデインで断ち切りベギラマを連射して火球を撃ち落とす!!

直後に勇者の黄金の魔力は迸り、凄まじい雷撃の槍が竜王を貫いた!


【 ガァアアアアアアアアッッ!!? 】


勇者(……効いた?)



672: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/05(木) 18:13:32.69 ID:ddvUh1vT0


先程とは明らかに違うダメージに、勇者が気づく。

轟火球を全て弾き返しながら、勇者は再び大空を舞って距離を取る。


勇者(ッ、そういえば……さっきはマントでライデインを弾いてたのか?)

勇者(だとすれば、奴がさっきの『ベギラゴン』で自滅を恐れなかったのも……マントがあったからか!)


【 オオオオオオオオォォォォォォォッッッッ!!!! 】


ズルッッ!! と、竜王の翼が傷口から再び蘇生する。

そして、巨竜の漆黒の瞳が勇者を捉えた。

瞬間。




673: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/05(木) 18:21:07.00 ID:ddvUh1vT0



―――――― 竜王城の内部を登っていた姫は、凄まじい爆音を耳にする。


足下から沸き上がるようなその異様な感覚に、姫は階段を登る足を止めた。

そして音の正体は何か、探ろうと耳を澄ました。


姫「………………?」


ついさっきまで聞こえていたのに、突然止んだ事に首を傾げた。

再び勇者の所へ駆けつけるべく、彼女は階段を登る足を進める事にした。

『スクルト』が効いてるのか、それとも先程から止まらない『首飾り』の光が助けているのか。

姫は長い距離を初めて1人で走っていた。



   その時だった。




674: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/05(木) 18:36:13.35 ID:ddvUh1vT0



ゴゴゴゴゴゴゴ・・・!!



突如鳴り響く唸り声。

姫が警戒して身を低くしようとしたのも束の間、直ぐに災厄は彼女を襲った。


足下の階段が一瞬にして爆発し、周りの通路すら全て崩壊し、姫の華奢な体が瓦礫と共に投げ出された。



姫「―――――― きゃっ」



余りの浮遊感に、何が起きているのか分からなくなってしまう。

事実この時の彼女の視界は真っ暗になっていた。

だが、直ぐに自分がどういう状況か思い知る。



姫(わ、私……落ちてる……?)




675: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/05(木) 18:50:09.31 ID:ddvUh1vT0



勇者「ッッ!! 危ねぇ姫っ!!」

姫「ひゃんっ!」


海面に叩きつけられる寸前。

勇者の体がクッションになり、姫を受け止めた。

かなりの距離を飛ばされ砲弾とも呼べる速度の姫を、双方にダメージの無いよういなした勇者は凄まじい技と言えた。


一歩間違えれば、姫の体は例え勇者が受け止めたとしても粉々になっていたかもしれなかったのだから。


勇者「ッ……しっかり抱き締めてろ姫!!」

姫「え、ちょ! っ……あれ? 今私達飛んでるの?」

勇者「『ルーラ』の応用だ! 行くぞ!!」




676: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/05(木) 19:10:12.29 ID:ddvUh1vT0


勇者が瞬時に速度を上げ上昇する。

必死に勇者に抱きついている姫は、ふと目を勇者の背後に向けた。


姫「勇者……っ!」

勇者「分かってる!!」


【 ガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッッッッ!!!!!! 】


大空に轟く咆哮。

ギュォ!! と何かが渦を巻く音。

巨大な竜の姿、本来の竜王がとても巨体とは思えぬスピードで追ってきていた。




・・・それも  『黒炎の渦』  を纏って、だ。




677: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/05(木) 19:17:41.12 ID:ddvUh1vT0


―――――― ギュォッッ!!


黒炎がそれぞれ固有の意志を持っているかのように、『渦』が数百の魔法陣を作り出していく。

それも、1つ1つが明らかに超高度の呪文を意味していたのだ。


勇者(『ベギラゴン』を連射だと……!!)


腕の中にいる姫を庇いながら、あの威力の魔法の嵐を潜り抜けるのは不可能。

しかし既にかなりの高度まで上昇してしまった以上、もはや後戻りは出来ない。

だが、それで自分を盾にしたとしても・・・


勇者(・・・考えろ)

背後から更に空気を引き裂く音。

追いつかれ、再び撃ち合いになるのは必須。


勇者(考えろぉ……!!)




678: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/05(木) 19:21:08.24 ID:ddvUh1vT0


姫「…………」


明らかに苦悩する勇者を見て、姫は静かに理解する。

自分のせいで彼は今、窮地に立たされている。

自分のせいで……姫のせいで……?


姫「……勇者」

勇者「なんだ!」

姫「………必ず、助けてね?」




679: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/05(木) 19:25:26.11 ID:ddvUh1vT0






―――――― トンッ ……と、姫が勇者を突き飛ばすように腕を伸ばした。






突然の行動と、姫がしっかり抱き締めていたのもあって。

勇者の体からいとも簡単に姫が引き剥がされた。


勇者「 !!? 」

【 ヌゥ・・・? 】


竜王すら、横を落下していった姫に不可解な声を漏らす。

何より、勇者には余りにもショッキングな光景に見えた。



680: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/05(木) 19:32:37.57 ID:ddvUh1vT0


ドンッッ―――――― !!



大気を蹴り飛ばし、勇者が刹那に急降下する。

ついに、竜王と対峙する。



勇者「どけぇぇえええええ!!!!」



腕が悲鳴を上げ、筋が幾つか切断されるのも無視して全力で剣を振り上げる!!

そこへ重ねるように勇者の魔力が『ライデイン』に変換され轟雷の剣を、『王者の剣』に衝突させた!!


【 来るが良い勇者・・・!! 】


二枚の巨大な翼が刃の如く一閃し、凄まじい『ベギラゴン』の嵐が繰り出される!!




681: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/05(木) 19:41:16.25 ID:ddvUh1vT0




――――――――――――――――――――――
―――――― 【 稲妻雷光斬 】 ――――――
――――――――――――――――――――――



【 なっ・・・!!? 】


勇者「ぁあああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」



黒炎が作り出した魔法陣さえも突き破り、『ベギラゴン』の嵐を貫き、竜王の翼すら断つ―――!!

『ライデイン』と『レプリカ:王者の剣』が合わさった力に、勇者の心に呼応した『ロトの力』が爆発する!


竜王自身をも守護する『黒炎の渦』が、最後の迎撃抵抗を勇者に見せる!!



―――――― ギュォオオンッッ!!




682: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/05(木) 19:51:57.42 ID:ddvUh1vT0


【 グ・・・ッッ、我は・・・我が貴様に敗北するなど………!! 】


黒炎が勇者の体を引き裂き、何度も貫く!

だがしかし、それらの抵抗すら……


勇者は、貫き斬る―――――― !!


勇者「だぁあああああ!!!!」

全力の力を振り絞り、勇者は魂の咆哮を轟かせた。


黒炎が、『黒炎の渦』が。

ビキッ!! と音を立てて勇者の『光』に破壊されていく!


【 馬鹿なァッ!! なぜ我が負ける!? 一体我に何が足りないと言うのだ!!! 】



683: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/05(木) 19:53:23.58 ID:ddvUh1vT0











勇者「知るかぁぁあああああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!!!」












684: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/05(木) 19:58:01.41 ID:ddvUh1vT0




―――――― ッ!!




巨竜の断末魔が鳴り響く。

威厳ある声でも、憎悪を滲ませた声でも無い。


ただ迷い無き道に『間違い』があるのに気づき、悲鳴を上げている竜の悲しい声だった。



魔の道に堕ちた竜は、ただ堕ちていく。




686: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/05(木) 20:03:17.25 ID:ddvUh1vT0




―――――― ュゥゥウウウウウ・・・!




姫は。


姫(・・・結構落ちて来ちゃったな)


目を閉じ、ただその瞬間を待っていた。

それが自身の死か、それとも『愛する人』の救済かは知らない。

だが彼女は後悔などしていないのはハッキリしていた。


姫(……私、)



687: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/05(木) 20:09:30.77 ID:ddvUh1vT0



姫(……結構かっこいいなぁ、勇者のためにこんな事出来るなんて)


風を突き抜け、落下速度が更に上がる。

恐らく数秒しか余裕はない。


姫(まぁ……)

姫(どうせ……)くすっ



姫は笑った、平和だった日常の中で見せたように無邪気に笑った。

彼女は知っていた。

幼い頃からずっと彼女は知っていた。



688: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/05(木) 20:14:23.81 ID:ddvUh1vT0


勇者「何笑ってんだよ……心配かけやがって」


ガシィッ!!


姫「……竜王は?」

勇者「倒した」

姫「……そっか、何か言ってた?」

勇者「いや」

姫「……そう、かわいそうだったなぁ」


勇者「なんで笑ってたんだ」


姫「ん? だって……勇者は私の為なら死ねちゃうくらい好きだから、きっと大丈夫だなーって」

勇者「……はいはい」



689: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/05(木) 20:17:51.45 ID:ddvUh1vT0






―――――― 【 なんで私は、母がいない? 】





(……そう私は周りに何度も聞いた)


(だが……周りの者達は答えてくれなかった)


(気を使っていたのか……)


(母は、『私』のせいで死んだからか)


(…………)




690: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/05(木) 20:22:11.74 ID:ddvUh1vT0


(だとしても、何故だ)


(何故誰も私のそばにいてくれない?)


(私は……寂しかった)


(姫達のように、私も恋をしてみたかった……)


(あの薄暗い城にずっと居たくなかった、温かい家族が欲しかった)


(なのに……何故私は、我は……こうなってしまったのだ)



691: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/05(木) 20:24:41.05 ID:ddvUh1vT0


( 誰か我に教えてくれ…… )


( 我は、どうしたら孤独から抜け出せる? )


( 誰でもいい・・・!! 教えてくれ・・・!! )


( 理解するだけでは、求めるだけでは駄目なのか……!! )


( 誰か…… )




692: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/05(木) 20:28:40.85 ID:ddvUh1vT0




勇者「……?」

姫「どうしたの勇者」

勇者「いや……それ」スッ


姫「あ、あれっ? なんでまだ私の首飾りが光ってるのかな」


< キィィン! キィィン!



693: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/05(木) 20:32:26.69 ID:ddvUh1vT0




【【 ユ”・・・ユウシャ 】】




勇者「?……―――――― !!」



ゴッッッ!!!!


姫「きゃあっ!?」



勇者「ッッ、まだ生きて……!?」

勇者「……………お前……誰



< グシャァアアアッ!!



694: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/05(木) 20:37:42.79 ID:ddvUh1vT0


勇者「ぐっ……ぁあ”あ”あ”あ”っ!?」


足を潰され、絶叫する勇者。

油断はしていなかった、魔力も充分満ちていた。

しかし。


勇者「『ライデイン』!!」バッ


【【 ムダだ・・・ 】】


勇者の全力のライデインが、『闇の霧』に消される。

音も無く、とても静かに無力化された。



695: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/05(木) 20:44:15.67 ID:ddvUh1vT0


姫「勇者!!」


勇者「来るな……!」

キンッ と勇者は即座に剣を取――――――


【【 ヤめておけ、そして…… 】】


ガッッ!! と剣を瞬時に弾き、異形の何かが勇者に手を添えた。


【【 我が誰か? 知っているだろう 】】

バヂバヂィッ!! という炸裂した雷の音。


勇者の眼前に突きつけられたのは、『黒い雷』。


勇者(……この黒い雷に、『魔法を無力化する霧』……)



696: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/05(木) 20:50:12.91 ID:ddvUh1vT0


【【 初めて見たか……? 】】

【【 我のあの『マント』は未完成で中途半端だったが、これが完成形だ 】】


脳裏によぎるのは、最悪の相手。


勇者「……『闇の衣』? そしてお前は……」




真竜王【【 そうだ!! 我が名は竜王……いや、『真・竜王』か? 】】




直後、勇者の体に黒い稲妻が走った。



707: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/06(金) 11:12:42.23 ID:3wridGAQ0


勇者「―――――― っッッ!!」

視界が瞬時に黒く塗り潰され、聴覚が麻痺する。


勇者の絶叫も既に断末の叫び声となっていた。

姫が叫ぶ。

姫「ゃ、やめて!! やめてっ……!!」


余りにも非力な声だと彼女自身思うのに、何も出来ない。

それどころか、目の前で殺されるかもしれない勇者が絶叫しながら必死に近づくのを制止していた。

勇者ですら抵抗出来ない相手に、姫が近づいても悲劇しか起きないからだった。



708: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/06(金) 11:30:06.66 ID:3wridGAQ0


真竜王【【 クハハハハァアアアア”ア”ア”ア”ッッ!! 】】

真竜王【【 どうしたのだ勇者ッ!!? 我を倒さないと姫は救えなかったのではないかぁ!? 】】


凄まじい雷撃の雨を降り注ぎながら竜王の憎悪に満ちた声が轟く。

そして、竜王は更に雷撃の威力を強めるように声を、自身の威厳すら歪めていく。


真竜王【【 結局は『孤独』のままだった我にッッ、ただの『怒り』に目覚めただけのッ俺にィッ!! 】】


勇者と竜王の周囲の空間が一瞬 グニャリ と歪み、竜王の放つ黒い雷が壮絶な咆哮を鳴らす。


真竜王【【 何故に負ける!? ゾーマをもこの俺をも越えた貴様がッ!! 何故俺に敗北するゥゥッ!!? 】】

真竜王【【 答えてみろォ!! 俺に抗ってみろォッ!! 】】


ゴバッッッ!! とついに勇者達のいた海岸が崩壊する。



709: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/06(金) 11:41:34.63 ID:3wridGAQ0


真竜王【【 ・・・ 】】


勇者「ゥ……っは、は……ぁ」

ギシッ、と巨大な腕が勇者の頭を鷲掴みにする。

呼吸が上手く出来ず、魔法すら使用出来ないほどに瀕死の勇者では何も出来ない。


竜王が、落胆した声を出した。


真竜王【【 ・・・こんなものが、この世界の真実とはな 】】




710: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/06(金) 11:53:28.06 ID:3wridGAQ0


真竜王【【 『怒り』が貴様をその姿に変えたなら、今の俺が貴様と同じ姿……か? 】】


ミシィッ!! と勇者の頭蓋が悲鳴をあげた。

勇者の頭から……いや、既に全身から血液が噴き出し始めていた。

勇者「ぁ、が……っ!!」


真竜王【【 醜い、醜いこの悪竜の姿がッ!! この俺だ、お前と同じ姿なんだァッッ!! 】】



―――――― ッ!!


凄まじい速度で、勇者を掴んだ竜王が飛んだ。

幾度と巨大な岩を破壊しながら、勇者を更に痛めつける。



711: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/06(金) 12:44:26.90 ID:3wridGAQ0


―――――― ドサッッ


無人となったリムルダールの町で、勇者はようやく解放された。

しかし、その命はもう風前の灯火と言える。


竜王はしばらくその勇者を何か期待しながら眺めていたが、何も起きない。


勇者は奇跡を起こせない。

ただ蛆虫のように転がり、自身に迫る死に抗いもしない。

・・・そこまで考え、竜王は掌を勇者に向ける。


先の雷撃を再び浴びせるだけで、勇者は絶命する。




712: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/06(金) 12:50:35.84 ID:3wridGAQ0


真竜王【【 ・・・ 】】


だが、竜王はそこで止めた。

巨竜だった時とほぼ変わらない巨大を誇る彼の背後に、何者かが立っていた。

竜王は振り向かずに問う。


真竜王【【 何をしに来たのだ? 姫よ 】】


姫「……っ!」びくっ


背後に立つ姫の体が、過剰に驚く。

恐怖で足や肩が震えているのが竜王の耳に聞こえる。



713: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/06(金) 13:18:57.11 ID:3wridGAQ0



姫「……っ」

姫「勇者から、離れて……!」



やっとの思いで絞り出した言葉。

その頼りなさ過ぎる声は、竜王の『怒り』を僅かに停止させた。


真竜王【【 ほぉ? その手に構えた剣で俺をどかすか? 】】

真竜王【【 姫よ、貴様が其処まで無謀とはな……失望したぞ 】】


バヂィッ!! と黒雷が轟く。

竜王の憎悪が無尽蔵の魔力となり、勇者すら圧倒する力を生み出していく。

それは目の前にいる姫を殺すのに、あまりにも強大過ぎる力だ。




714: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/06(金) 13:27:28.35 ID:3wridGAQ0



―――――― バギンッッ!!



『何か』が砕け散る。


真竜王【【 ・・・!? 】】


それはガラスが割れた音にも聞こえ、金属を叩き鳴らした音にも聞こえた。

しかし、竜王には全く別の音として伝わっていた。


姫(ぇ……え?)


姫は何が起きたか分からないでいた。

何故か、自分が生きている事に疑問が追いつかない。

彼女はほんの一瞬前まで竜王に殺されようとしていたのではなかったか。


  何故 彼女は 無傷 なのか 。




715: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/06(金) 13:33:28.10 ID:3wridGAQ0


姫「……あ」


ふと見る彼女の目に、輝きを強くする何かが映った。

そう、あの『首飾り』だ。


姫(もしかして、今のから守ってくれた……?)


真竜王【【 ………… 】】

真竜王【【 (どうやって防いだかは良い……だが) 】】


真竜王【【 (違和感がある) 】】




716: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/06(金) 13:58:55.57 ID:3wridGAQ0


強烈な違和感。

『怒り』で正常に思考出来ない竜王にさえ感じさせる、何か。

目の前に立つ姫は再び竜王に、僅かに足を進めた。


真竜王【【 止まれ 】】


―――――― バギンッッ!! 


姫「きゃぁ!」

今度は更に強力な黒雷を浴びせられ、姫の体が大きく仰け反り尻餅をつく。

しかしその華奢な体に傷は無い。




717: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/06(金) 14:04:10.39 ID:3wridGAQ0


そこで、竜王は気がついた。

姫の首飾りが輝く度に、呼応し同じく輝いていたのだ。





真竜王【【 『レプリカ』の……ロトの剣……! 】】




姫「……光ってる」

竜王と彼女の手にある剣を見比べ、姫が呟いた。

初めて、『レプリカ』でしか無かった剣が姫の手の中で『本物』となっていたのだ。



718: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/06(金) 14:13:01.15 ID:3wridGAQ0


真竜王【【 (本物は俺の城の『無限回廊』に保管されたままの筈……) 】】  


目の前で異常な力を放つ剣と、姫の首飾りに竜王が混乱する。

今さら何故、何故自分の前でそんな奇跡が起きるというのか?

否、否―――――― ッ


真竜王【【 ならばそれは一族に伝わる儀礼剣ではないのか? 消え失せろッ!! 】】


激昂した竜王が姫に向けて憎悪の雷撃を射る!!



『ベギラゴン』や『ライデイン』を遥かに凌駕する、地獄から呼び出した究極の呪文が姫を襲う。



姫「……!」



719: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/06(金) 14:18:45.54 ID:3wridGAQ0



―――――――――――――――――――――
―――――― 【ジゴスパーク】 ――――――
―――――――――――――――――――――



―――――― ゴオォッッ!!!!


巨大な黒雷の柱が鉄槌の如く姫に振り下ろされた。

たったそれだけなのに、周囲に広がっていた無人のリムルダールの街は瞬時に消し炭となった。


膨大な魔力の嵐が漆黒の灰を巻き上げ大空に舞う。




720: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/06(金) 14:21:31.82 ID:3wridGAQ0


真竜王【【 ・・・ 】】






ブォンッ―――――― !!!







「……『また会おう』って、言ったろ? 王女様」





真竜王【【 ッッ!!? 】】






721: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/06(金) 14:28:03.51 ID:3wridGAQ0




・・・優しい声が、姫の耳をくすぐった。

そして彼女の予想通り、目を開ければ目の前にいた。

「……勇者」

漆黒の灰に視界を半分奪われていながらも、姫はその名を呼ぶ。


しかし、帰ってきた応えは違った。


「悪いな、合ってるけど俺は王女様の勇者じゃない」


姫「えっ……?」


ブォンッ!! と、声の主は片手だけで辺りの灰を全て吹き飛ばした。



722: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/06(金) 14:32:26.50 ID:3wridGAQ0



勇者ロト「また『会おう』って、言ったろ? 王女様」



姫「勇者じゃ……ない?」


彼女を庇うように包み込んで来る腕の温もりや、声はとても勇者に酷似している。

だが彼の髪は本当は金髪だったし、瞳の色も確か水色だった。


では、いま彼女を抱いている黒髪の男は誰なのか?



―――――― ヒュッ




723: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/06(金) 16:19:32.01 ID:3wridGAQ0



―――――― ガギィィッン!!



瞬時に姫の手から剣を奪い、男が竜王と太刀打ちする。

姫を抱く腕の力が強く締まり彼女を僅かに覚醒させた、彼女の脳裏にようやく男の正体が浮かんだ。

それは、あまりにも有り得ない者の名前だった。


そして、姫とほぼ同時に竜王が咆哮した。

勇者さえ無力化した絶対の闇の力を一斉に爆発させたのだ。



真竜王【【 散れぇいッッ!! 初代ロトの勇者ァッ!! 】】



勇者ロト「来いよ竜王、俺と『ルビス』が相手になってやる」




724: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/06(金) 16:28:39.01 ID:3wridGAQ0


ゴゴゴォオッッッ―――――― !!


大地が凄まじい揺れに襲われる程の衝撃波が発生する。

姫を瞬時に建物の裏に連れ出し、追撃してくる竜王の黒雷を片手のみで掻き消す!


勇者ロト「今勇者の奴を連れてくる、王女様はここにいな!!」


ゾンッッ!! と、空間そのものを切り裂くような竜王の爪を紙一重で避ける。


―――――― ギィッ!!・・・


続く竜王の二枚の翼が触手のように勇者ロトを切り刻もうと渦巻き、爆発のような火花を散らし弾き返した。


―――――― ・・・ヒュガッッッ


火花が散り終わるより速く、勇者ロトが瞬速で踏み込む!



725: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/06(金) 16:37:02.61 ID:3wridGAQ0


―――――― ガッッッ!! ギギギギギギギギュィイイイイインンッッッッ!!!!


刹那、『闇の衣』にさえ守られ最硬の守りを誇っている筈の竜王が・・・


真竜王【【 ガァ・・・ッッ!!? 】】


・・・その巨体が地より浮き、凄まじい連撃の衝撃に後方へと吹き飛ぶ!!


勇者ロト「ッッ……!」ビシィッ

勇者ロト(勇者は、どこだ……!!)


全身に走る激痛を勇者ロトは無視し、辺りを見回す。

そこで彼は気がついた。

果たしてあの姫が、死にかけた勇者を放っていられるかという事。

彼の視線の先には、姫が瀕死の勇者に駆け寄っていた。

背後に竜王がいるのも気にせず。



726: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/06(金) 16:46:33.88 ID:3wridGAQ0


勇者ロト「だぁあああああ!! どうしていつの時代も女は静かに待っててくれないんだ!!」


ビシィッ!! と、彼の頬にヒビが走るのを無視して走る。

彼に託された時間が少なすぎるのを実感しながら。


真竜王【【 ガァアアアアアアアッッ!! 】】


  ドンッッ!!


勇者ロト「お前の相手は俺だってんだよクソ餓鬼ぃっ!!」

凄まじい破壊力を帯びた『突き』が文字通り竜王の胴体に刺さり、鈍い音が轟く!


―――――― パキィンッ!!


その一撃で、『レプリカ』の王者の剣が大破する。



727: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/06(金) 16:53:26.90 ID:3wridGAQ0



ドゥッ―――――― !!


間髪入れず、凄まじい一閃が竜王を再び仰け反らせる!

同時に竜王の『闇の衣』から 轟ッ!! と黒雷が勇者ロトの体を弾き飛ばす!


勇者ロト「ッッ、グァッ・・・!!」


ザンッッ!! という大地に剣が突き刺さる音と同時に、勇者ロトの体が踏み留まる!

そして背後にいる姫と勇者を確認してから



勇者ロト「………ッ、時間がねぇ…一気に稼がせて貰うぞ!!」




真竜王【【 !? 貴様、その剣は・・・!! 】】




728: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/06(金) 17:00:56.38 ID:3wridGAQ0


大破し、砕け散ったように見えていた『王者の剣』。

それが竜王の眼前に突きつけられ、初めて竜王が息を呑んだ。


勇者ロトの手にあったのは、『レプリカ』や『本物』などとは全く次元の違う物だった。

若き日の竜王が世界中を探しても見つけられなかった、聖剣中の聖剣。



勇者ロト「力を貸してくれ……『ルビス』」


―――――― 『精霊剣・ルビス』 ――――――


かつて、大魔王ゾーマが最も恐れた最強の刃。

精霊神の『愛』を勝ち取った者がその真の力を操れると言われる純白のソードだった。


そして今、まさに、竜王の前に立つ伝説の勇者がそれを振るおうとしていた。



729: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/06(金) 17:13:20.28 ID:3wridGAQ0



真竜王【【 ―――――― ッッ!!! 】】



異質な気配に竜王が空を見上げる。

暗雲に包まれていた筈の空が、黄金の光に覆われていたのだ。

正面に立つ勇者ロトが、彼が手にした最強の光の呪文を竜王に放とうとしている。

かのゾーマでさえ闇の衣を使って全力で防御した、伝説級の奥義。


勇者ロト「―――――― ッッ!!」

ビシィッ!! と左目が見えなくなるのを感じ、僅かに顔を歪ませながらも咆哮する。



―――――― 『ギガデイン』ッッ!!




730: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/06(金) 17:18:44.60 ID:3wridGAQ0



―――――― 大空全体が呼応するように爆発し、膨大な魔力の柱を撃ち出す!!



【【 ぐぉおおおおおおおお―――――― !!!!! 】】


竜王の『闇の衣』の許容量を遥かに越えた超魔法に屈し、瞬間には既に海の彼方まで投げ飛ばされる!



勇者ロト「ッッ!! づぁ……」ビシィッ







731: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/06(金) 17:23:49.41 ID:3wridGAQ0



勇者ロト「……」


凄まじい激痛に襲われながらも、背後を振り向いた。


姫「勇者! 目を開けて、返事をして……!」

勇者「…」


勇者ロト「王女、そいつはもう駄目だ」

姫「!!」


心無い言葉に、思わず姫は怒りに声を震えさせようとした時。

目の前で伝説の勇者は、『崩れていた』。



732: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/06(金) 17:33:54.96 ID:3wridGAQ0


勇者ロト「っ……こんな筈じゃなかったんだけどな、本当ならお前らに苦労させる気もなかった」


ぽつりと、左手の先が僅かに光の粉と化しながら伝説の勇者はそう語った。


勇者ロト「……『オーブ』の魔法が、根本から作り替えられたせいで…召喚のタイミングも実体化の完成度もボロボロ」

勇者ロト「……王女、お前に責任はとって貰うからな」


にっと、彼の笑みを見た姫が腕の中で息絶えようとしている勇者を強く抱き締める。

それを見た勇者ロトは笑いながらヨロヨロと近づいた。


勇者ロト「王女、今度はお前がそいつを救うんだ」

姫「……私が、救う? でもどうやって!」

勇者ロト「だから言ったろ?」


スッ、と彼女の胸にある首飾りを指差した。


勇者ロト「……そいつが、王女の中で作り替えられた『光のオーブ』なんだよ」




733: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/06(金) 17:41:52.25 ID:3wridGAQ0


姫「これが……?」


勇者ロト「そうだ、竜王が闇に染めたのは抜け殻も同然の水晶玉だ」

伝説の勇者は足元の勇者の横に倒れる。


勇者ロト「っ……俺は今の『ギガデイン』で実体化出来なくなりつつある」

勇者ロト「王女、お前が勇者から受け続けた『愛』とお前が持つ『愛』で変質したその首飾りなら勇者を救える筈なんだ」


姫「……でも、どうしたら…」

勇者ロト「呪文の詠唱を教える!! それを姫が唱えるんだ……!」

勇者ロト「『王女の愛』で勇者を救えないようじゃ、絵本にも出来ねえんだよ!!」



734: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/06(金) 17:46:33.82 ID:3wridGAQ0



―――――― ッッ!!



大気が、震えた。

極限の『怒り』の頂点に達した竜王の魔力が、更に膨れ上がる。


ゴッ!!


凄まじい風が巻き起こり、


  バリィィッ!!


漆黒の雷が海を叩き割る。



大魔王ゾーマも到達出来なかった究極の『進化』。




735: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/06(金) 17:51:30.20 ID:3wridGAQ0




【【 ッッ!! ォォオオオオオオオッッ!!!! 】】




巻き上がる海水をドーム状に弾き、そのまがまがしい雄叫びに激しく唸る雷。

進化の頂点に達し、内なる闇を解放した竜王の魔力がまだ膨れ上がる……!







【【 オオオオ!! ォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!! 】】









736: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/06(金) 17:57:46.62 ID:3wridGAQ0



勇者ロト「……!?」


ゾクリ と、勇者ロトの背中が凍りついた。

凄まじ過ぎる闇の力に、恐怖すら覚えたのだ。


勇者ロト(ゾーマ以上……ね、俺1人じゃどうにもならないのはわかってたが……)

勇者ロト(はっきり言って、規格外の強さだ……『仲間』がいてもこのレベルの敵相手じゃ太刀打ちのしようがない)


だが、と彼は心の中で付け加えた。



勇者ロト(………この2人なら、『勇者』にならどうにか出来るって時点で……次元が違うか)



姫「…………………」



737: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/06(金) 18:03:05.96 ID:3wridGAQ0




―――――― 全てのモンスター達が、『闇』に飲まれていた。



「ひぃぃ!! 竜王様、おやめ下さい!! おやめくだっ……ゴェッ」


ドラゴンもスターキメラもキラーリカントも死霊の騎士も、

全てのモンスターが、『闇』に飲まれていく。


アレフガルド全体に竜王の『闇の衣』が魔力を欲し、更なる魔物達を喰らっていく。


何千何万、竜王の暴走した闇は巨大化し続けた。





738: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/06(金) 18:12:50.54 ID:3wridGAQ0



崩れ落ちていく体を引きずりながら、勇者ロトは立ち上がった。


勇者ロト「何があっても詠唱を止めるな、最後まで唱えろ……」


羽根のように軽い筈の『精霊剣』を、とても重そうに握り締める。

彼の目は、空に広がっていく『闇の衣』の中心に君臨する怒りの魔王を捉えていた。


勇者ロト「多分ダメージすら与えられないかもしれないが、それでももう一度『ギガデイン』を撃ってみる」

勇者ロト「それで駄目だろうがなんだろうが、俺は元の世界に戻っちまう」


勇者ロト「……信じてるぞ、お前らの『愛』」

姫「……………」コクッ



勇者ロト(さて、行くか……)


勇者ロト(………帰ったら、絵本でも書いて隠居したいもんだ)


伝説の勇者は、竜王に向かって飛んだ。




739: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/06(金) 18:16:46.95 ID:3wridGAQ0




―――――― (……ここは?)




―――――― (………ああ)


―――――― (俺……死んだのか)


―――――― (……今までまともに見渡した事は無かったけど、真っ暗だな)


―――――― (……地獄か……)





740: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/06(金) 18:18:34.43 ID:3wridGAQ0



―――――― (……姫……)


―――――― (ここって、姫にも会えるのかな……)


―――――― (……て、んなわけないか)


―――――― (はは………)


―――――― (……姫……)


―――――― (姫……姫……………!!)




741: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/06(金) 18:21:33.35 ID:3wridGAQ0



―――――― (ここで終わりたくない!!)


―――――― (約束したんだ!! スラリンと、姫を必ず守るって!!)


―――――― (……出してくれ)


―――――― (ここから出してくれ!! 姫を、姫を助けに行かなきゃいけないんだよ!!)


―――――― (誰でもいいから!! 生き返らせてくれ……!!)




742: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/06(金) 18:25:28.52 ID:3wridGAQ0



―――――― 【 奇遇ではないか、我もそう思っていたのだ 】



―――――― (っ、誰だ?)


―――――― 【 我か……名乗る必要はない 】


―――――― (……頼む、力を貸してくれないか)


―――――― 【 ほう、どうすれば良いのだ 】


―――――― (分からない、だけど……竜王に勝てるだけの力を貸してくれ!!)


―――――― 【 面白いな、我も死人なのに力を貸せと言うか 】




743: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/06(金) 18:30:06.26 ID:3wridGAQ0



―――――― (…………)


―――――― 【 そなた、名は何という 】


―――――― (俺か? 勇者だ)


―――――― 【 勇者だと? フフフ、益々面白い・・・ 】


―――――― 【 勇者よ、そなたに『大賢者』たる魔力を授けよう 】





―――――― 【 この魔界の大賢者・・・『ゾーマ』の力を、そなたへの祝福としてな 】





744: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/06(金) 18:35:37.69 ID:3wridGAQ0



―――――― 伝説の勇者は消えた。


もはや、竜王の前に立ち塞がる者は存在しない。

もはや、竜王に戦いを挑む力を持つ者は存在しない。


【【 ・・・ 】】


だが止まらない。

暴走した『闇の衣』の力を、竜王は辺りに構わずぶつけたかった。


そして視界に入る、ラダトームの王女・姫。



【【 ガァァぁアアアあ”アアアア”アアアッッ!!!!!! 】】




暴虐の怒王の矛先は既に向けられた。



745: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/06(金) 18:40:21.83 ID:3wridGAQ0




姫(お願い勇者……)

姫(生き返って、勇者……! 助けて!)



勇者ロトに教えられた詠唱を全て唱えあげる。

そして、彼女は胸元に下がる『王女の愛』を掴み取って祈る。


姫(勇者……!!)


勇者に口づけをし、彼の耳元で静かに囁く。

その思いに迷いは無くただ彼女は究極の呪文の名を告げた。





746: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/06(金) 18:41:18.17 ID:3wridGAQ0













―――――― 「   『ザオリク』   」
















747: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/06(金) 18:47:05.90 ID:3wridGAQ0



―――――― カッッッ!!



瞬間、姫の胸元から膨大な光が爆発した。

そしてその光は静かに勇者の肉体を包み込む。



【【 ―――― !!? 】】



凄まじい光の力に、究極の存在となった筈の竜王が気圧される。

暗闇に飲まれようとしていた世界が、『王女の愛』から迸る光によって照らされる。


その光は、あらゆる者に温もりを感じさせるものだった。




748: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/06(金) 18:54:12.10 ID:3wridGAQ0



―――――― 「ただいま、姫」



目も開けられない程の光の中で、勇者の声がする。


姫「勇者!! 良かった、生き返っ――」

  「ここは、君はいちゃいけない」


優しく抱き締められながら、姫は勇者の言葉が理解出来なかった。


姫「何言ってる……の? 私達はずっと一緒って……!」


「待っていて欲しいんだ、ただ信じていて欲しい」

「俺には、姫を守る事は出来ないから・・・」


姫「っ…! 嫌っ、やだ! 勇者と一緒じゃないと私・・・!!」



749: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/06(金) 19:01:00.63 ID:3wridGAQ0



―――――― 彼女の唇に、勇者の唇が重ねられる。


  それはとても優しく、儚いキスだった。


  姫の声が出なくなる。


姫「……」


  目の前にいる勇者は、姫の為に人間である事を捨て幼い時より『勇者』という化け物になる事を選んだ。


  そして、姫という彼だけの小さな世界を守る為に彼は何度も死を乗り越え、力を手にした。


  その次元はもはや神すら超えても尚、彼は姫の為に、『彼女だけの勇者』として剣を握った。


  そんな彼を、姫に止める事など出来るのだろうか?




750: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/06(金) 19:02:37.15 ID:3wridGAQ0





姫「……どんなに時間がかかってもいいから」




姫「 必ず、迎えに来てよ? 勇者! 」





勇者「……約束、だな」







751: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/06(金) 19:11:48.49 ID:3wridGAQ0



―――――― パシュッ!!



姫「!」


メイド「きゃあっ!? ひ、姫様!? どうしてここに……」

兵士「お、おい! 『光』が動き出したぞ!!」


姫が光の中から出た時には、ラダトーム城の屋上にいた。

そこから遠く彼方で唸る『闇』と、間違いなく姫がいた筈のリムルダールの町から輝く『光』を城の人間達が見守っていた。


メイドが姫に近寄り、声をかける。


メイド「ここは危険です! 中に入りましょう!」

姫「……お願いメイド、見届けたいの」

メイド「しかし……あれ」


メイド「………まさか、あの光って……!?」


振り向き、見上げた先でメイドは見た。

最後の決着が、最後の幕が、戦いが終わろうとする瞬間を。



752: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/06(金) 19:18:56.71 ID:3wridGAQ0



勇者「……竜王」



【【 ・・・ 】】



勇者「もう終わらせよう、これが俺の最後の一撃だ」

勇者「お前が吸収した魔物達も含めて、俺が全て『地獄』まで連れて行く……!!」




【【 ・・・!! ヴォオェアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!! 】】




勇者「来い・・・竜王」スッ





753: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/06(金) 19:20:43.69 ID:3wridGAQ0









勇者「  ―――――― 【【【 『マダンテ』 】】】 ―――――― !!  」










754: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/06(金) 19:28:04.82 ID:3wridGAQ0





  ・・・音は無かった。



  勇者を中心に展開された『光』はあらゆる魔力のベクトルを『破壊』に変え、飲み込んだ。



  当然、その効果範囲は竜王の『闇の衣』もまた例外ではなかった。


  アレフガルドの魔物全てを飲み込んだ究極の魔力は、全てベクトルを『破壊』に強制された。



  結果、光は巨大な破壊魔法と化し……リムルダールの海岸を含んだ陸を削り、巨大な爆発に巻き込んだ。




  その中心にいた勇者がどうなるかなど、想像も出来ない。







755: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/06(金) 19:28:55.84 ID:3wridGAQ0







● ● ●   3ヶ月後








756: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/06(金) 19:32:09.30 ID:3wridGAQ0


伯爵王「いやあ明日が楽しみだ! いよいよだな」

大臣「そうですな」

伯爵王「思い出すなぁ、彼女と初めて出会った時を!」

大臣「はて、どんな風に出会いましたかな」

伯爵王「ふふ、いいだろうあれはたしか・・・」



757: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/06(金) 19:35:25.66 ID:3wridGAQ0


メイド「失礼します」コンコンッ

< 「開いてるわ」

メイド「……」ガチャ

姫「久しぶりね、メイド」

メイド「……姫様、あの噂は本当なのですか」

姫「なにが?」

メイド「伯爵と明日結婚式を行うという話です!!」



758: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/06(金) 19:40:00.63 ID:3wridGAQ0


姫「……本当よ」

メイド「なぜですか! あんな男と結婚するなんて……」

姫「メイド、私が今この部屋にいられるのはなんで?」

メイド「は? 姫様のお部屋だからです……」

姫「違うの、私は伯爵に正式に王位を渡したからよ」

メイド「?」

姫「今の私はね、ただの姫なのよ……城にいられるのは伯爵王の許しを得ているからなの」

メイド「……それで、伯爵と結婚するなんて事になるんですか」

姫「違うわ」



759: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/06(金) 19:43:21.88 ID:3wridGAQ0


メイド「……何か、理由が?」

姫「メイド、私ね」

メイド「……」


姫「……勇者の子供がいるの、お腹に」


メイド「……………………え」

姫「私1人じゃこの子供を無事には育てられない、だから伯爵と結婚してこの子を守りたいの」

姫「……勇者が私を守ってくれたみたいに」

メイド「……姫様」



760: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/06(金) 19:46:18.57 ID:3wridGAQ0


< 翌日 >


姫(……)ジャラッ

姫(あの日から、もうずっと『愛』が光ってない)

姫(そして……)


メイド「姫様、綺麗ですよとても」

姫(……こうして、結婚式を前にしても……)



761: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/06(金) 19:48:48.59 ID:3wridGAQ0


姫「ね、メイド」

メイド「なんですか?」

姫「……勇者がいたら、綺麗って言ってくれたかな」

メイド「勿論ですよ」

姫「……そっか」



762: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/06(金) 19:52:35.21 ID:3wridGAQ0



―――――― 『 ヌゥ、まさかこの私が敗北するとは…… 』



『さすがはたった1人で魔王を倒した事はあるようだ』

『では、約束通りそなたの願いを叶えよう・・・』


「ぴきーっ!! ぴぃ!」

「!! 姫が伯爵と結婚……?」


『どうかしたか』

「すまない、出来れば急いでくれ」

『……ならば少々おまけをしてやろう』


「?」



763: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/06(金) 19:55:24.47 ID:3wridGAQ0


―――――― ゴォォン!! ゴォォン!!


姫(……? どこかで聞いたような)


メイド「もう、誰か間違えて鐘を鳴らしちゃったのかな」

姫(鐘……)

メイド「さ、姫様……私が先導しますから」

姫「うん、ありがとう」



764: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/06(金) 19:58:18.70 ID:3wridGAQ0


「すまない! 式場はどこだ!?」

兵士「ダンスホールだが……」

兵士「て、なんだお前!? 怪しい鎧を着た奴め!」

「『スラリン』!」


スラリン「ぴきーっ!!」ズドォッッ


兵士「ぐあああ!?」



765: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/06(金) 20:01:52.44 ID:3wridGAQ0


神父「汝、良き夫として・・・」

< 「警備兵が三名やられた、来てくれ」
< 「なに?」
< 「敵はスライム一匹らしい」
< 「魔物は3ヶ月前に絶滅したんじゃ…」


伯爵王「~! 騒がしいぞ!! 何事だ!」

兵士「それが……」


姫「……スライム?」



766: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/06(金) 20:03:54.79 ID:3wridGAQ0


< 「ぐあああっ!」


兵士「!」

伯爵王「な、なんだ!?」


< ざわ・・ざわ・・・


  キィィン!! キィィン!!


姫「光ってる……!!」

メイド「きゃ! なんですかそれ!?」



767: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/06(金) 20:06:34.21 ID:3wridGAQ0



ドバーン!!


スラリン「ぴきーっ!!」ぴょん

兵士「うわ! 魔物だ!」

兵士長「囲め!! 槍兵前へ!」


スラリン「ぴっ、ぴい……」じりっ



768: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/06(金) 20:09:01.72 ID:3wridGAQ0



「『ラリホーマ』」


< キィン・・・


兵士「あ、あふん?」

兵士長「魔法……だ、と」ドサッ


「やれやれ、危なかったなスラリン」

スラリン「ぴきーっ♪」



769: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/06(金) 20:12:10.74 ID:3wridGAQ0


勇者「 迎えに来たぞ、姫! 」



姫「勇者っ!!」


伯爵王「~~!? おのれ、であえ、であえ!」

< 「そこまでだ、伯爵」

伯爵王「?」


王様「その男は私を殺し、王の座を奪おうと企んだ男だ!」


姫「お父さん!?」

メイド「何がどうなってるの!!?」



770: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/06(金) 20:15:54.12 ID:3wridGAQ0


伯爵王「くっ……こうなれば!」バッ

姫「ひゃあっ!?」


伯爵王「姫の命がおしければ全員うごく……


メイド「せぃやァッッ!!」

ドゴン!!

伯爵王「ぐへぇ!?」


ドサッ


メイド「アンタが悪者ってわかったからには、容赦しないんだから!」スタッ



771: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/06(金) 20:21:11.81 ID:3wridGAQ0



勇者「……」

姫「勇者……」


勇者「3ヶ月も待たせて、ごめんな……」

姫「ううん、ずっとはやかったくらいだよ……」ポロポロ

勇者「……」なでなで


王様「よくぞ世界を救い、国を救ってくれたな……勇者よ」

勇者「王様! 本当に生き返ったんですね」

姫「勇者が生き返らせたの?」


王様「うむ……まさか神との戦いに勝って私とそなたを蘇らせようとは、伝説として語るに相応しい勇者だ」



772: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/06(金) 20:25:00.55 ID:3wridGAQ0


王様「ところで、勇者よ……」

王様「私も年だ、何よりこのアレフガルドを救ったそなたこそ、王に相応しいのではないか」


勇者「……」くすっ

姫「勇者?」


勇者「王様、申し訳ないが俺にはずっとやりたかった事があります」

勇者「それは時期のせいで不可能でしたが、今なら可能なのです」

王様「それはなにか」



勇者「……」がしっ

姫「え?」



773: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/06(金) 20:29:57.76 ID:3wridGAQ0



勇者「姫はッッ!! 俺が貰っていく!!」ぎゅっ



王様「なっ……」

メイド「えぇぇっ!?」


勇者「はっはっはー!! 国の王なんかにはならない! 俺は姫と一緒に幸せになるんだー!!」

姫「……////」


勇者「それでは皆さん! お元気で……あ、メイド」

メイド「はい?」

がしっ

メイド「え」


勇者「『ルーラ』!!」





―――――― シュバァッッ!!





王様「……なんと豪快な」



774: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/06(金) 20:39:12.33 ID:3wridGAQ0


―――――― シュバァッッ!!


メイド「ひああ……そ、空飛んだの初めてですよぉ」

姫「慣れると楽しいよ♪」

メイド「……あはは」


勇者「……姫、話があるんだ」

姫「……なにかな」


メイド(お……)


勇者「……俺と結婚してくれ、今度こそずっと一緒にいてくれ」

姫「いいよ」


勇者「……////」

メイド(そ、即答……!?)



775: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/06(金) 20:41:20.82 ID:3wridGAQ0


姫「……ふふん、ごめんねメイド付き合わせて」

メイド「いえ、お幸せに……」

姫「じゃ、まずどこいく?」

メイド「えっ」


勇者「姫の行きたい所ならどこでも」

姫「うーん……あっ」



776: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) 2012/07/06(金) 20:42:17.42 ID:3wridGAQ0






姫「疲れたから、おんぶして♪」



勇者「……はいはい」






777: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/07/06(金) 20:43:36.49 ID:3wridGAQ0
ご愛読ありがとうございました

月曜日か明日明後日の午後にHTML化と質問受付をします


おやすみなさいっ!

778: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) 2012/07/06(金) 20:44:33.21 ID:tpuVYu79o
乙!

779: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/07/06(金) 20:44:35.23 ID:gOSHgms1o
えんだあああああああああああああああああああああああああ

780: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/07/06(金) 20:47:54.68 ID:0BK0zfyeo
超乙!
いろんな意味で勢いが素晴らしかった

781: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/07/06(金) 20:48:53.68 ID:fHuNPkNDo

楽しませてもらったよ
ゾーマの所がヤバかった

782: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/07/06(金) 20:52:07.62 ID:vewUCvrLo
盛大に乙!

783: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/07/06(金) 21:06:51.33 ID:B4NMBj0eo
うわあああああおおお乙ぅうううう!
話の盛り上がりや展開が神がかってすごかった

素敵な物語をありがとうございました

784: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2012/07/06(金) 21:19:12.09 ID:UW+wzL0AO
( ゚Д゚)<スゲェ
マジ面白かった

やっぱ王道は素晴らしい、盛大に乙でした

787: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) 2012/07/06(金) 21:52:26.19 ID:20rPy7ceo
乙!
神様にも勝つのかww

791: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/07/06(金) 23:01:18.33 ID:KiWS6ajSO


いいスレタイ回収だ

796: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/07/07(土) 02:02:44.75 ID:YvE4HtMho

良かったよ

797: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) 2012/07/07(土) 06:47:27.97 ID:HHlyqLfyo
これはいい

807: (福岡面) ◆WslPJpzlnU 2012/07/08(日) 18:21:44.18 ID:JlUytGL/0
質問は無いみたいで安心しました


ちなみに分かってる方が多いと思いますが、本スレの原作は

『ドラゴンクエスト』

『剣神ドラゴンクエスト』

です。


殆どがオリジナル要素とはいえ、『四天王』やメルキドの町の『辺境伯・伯爵』は『ドラゴンクエスト』での
『コイツ最初強かったなー…』とか『ゴーレム造れる凄い町』という意識を基に描きました。

また、勇者の異常極まりない強さと『DQ』には存在しない『スクルト』やら『ギガスラッシュ?』や『マダンテ』は

『剣神ドラゴンクエスト』の終盤やふっかつの呪文を利用した後の勇者のチートっぷりを基にしてます


そこで、『DQ』と『剣神DQ』の勇者のイメージ(黒髪→金髪)やらチートっぷりを配合して生まれたのが

『  姫  』(原作:ローラ姫)でした。

考えてみれば、『DQ』は元々この姫を助けに勇者が旅に出るのが始まりだったと気づき、
同時に『姫を助けなくてもクリアは出来る』という噂を聞いて 

「……これってよほど姫が好きじゃなきゃ勇者助けないんじゃ」

という謎の妄想から、物語の『そもそも勇者と姫の関係』を描きたくなりました。

だってゾーマがわざわざ予言(ツンデレ)してくれてまでの実力がある『竜王』に挑むからには(しかも勇者1人)

やはり命を懸けてまで戦える何かがあったと思いたくて、最初からラブラブな勇者達を書きました。

長々と語ってしまいましたが、私はこの2人の物語を終わらせないように完結出来て死ぬほど満足でした。



※ (途中、メイドも姫が好きという百合百合っ子な設定を入れようか悶絶したのは内緒☆)

スレURL:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1337509920/