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1: ◆KakafR9KkQ 2017/06/26(月) 19:49:07.16 ID:676y8fut0
田中琴葉は逡巡する

目の前の命題について既に23分も悩んでいる

彼女は真面目で正確な人間だ、悩みながらも時計をちら見し自分がどれくらい時間を無駄にしているかを計っているのだ

もうこれくらい悩むならいっそ直感で決断をしてしまおう、今自分の中で最も強い感情 それが答えだ

そう、田中琴葉の答えは…… 是

心はGoサインを出した もう悩むことは無い感情の赴くまま進も……

否、本当にそれでいいのだろうか?

これまで軽々しくした決断に何度後悔したことだろうか? 田中琴葉とは同じ失敗を幾度となく繰り返す阿呆なのだろうか?

落ち着いて、落ち着いて、まだ大丈夫引き返せる

田中琴葉は思考を再び0に戻し、これ以上無い正確な秤でふたつの事象を推し量る


このアイス、食べるべきか、食べざるべきか……


2: ◆KakafR9KkQ 2017/06/26(月) 19:52:55.67 ID:676y8fut0
田中琴葉の好物と言えばアイス 常識である

時刻は10:32 眠る前に体を冷やすなど健康面から見ればとても愚かしいこと、そんなことは百も承知だ

だが彼女は辞められない、眠る前のアイスこそが彼女の正義であり彼女の全てなのだ

…… 言い過ぎた、眠る前のアイスは彼女の5%なのだ

とにかくアイスは田中琴葉にとって大事なファクターでありアイスを目の前にして迷う理由などない…… そう『普通』ならば

今の状況は普通ではない、なんと田中琴葉はこの日既にひとつアイスを食べてしまったのである

これが何を意味するかおわかりだろうか? 田中琴葉はアイスのおかわりをしようとしているのである

ひとつでも体を冷やし代謝を悪化させ持ち前の糖分で女の子の体をぷにぷにさせてしまうアイス

それをふたつ食べてしまったらいったいどうなってしまうのだろうか…… 嗚呼想像するも恐ろしい

3: ◆KakafR9KkQ 2017/06/26(月) 19:54:38.82 ID:676y8fut0
しかし彼女はそんなことは重々承知でありその上でアイスを欲しているのだ

目の前(正確に言うなら目の前の冷凍庫の中のアイスゾーン)に鎮座しているアイス-しゅわりん☆どりーみん味-

何やら今話題のアイドルとのコラボ味らしく、その見た目のポップさからつい手に取ってしまったしゅわりん☆どりーみん味

普段バニラチョコストロベリー抹茶しか食べない超保守派田中琴葉が期間限定アイスを手に取る これは一大事である

そう例えるなら春日未来がテストで100点を取るような、例えるなら最上静香が蕎麦を食べるような、例えるなら伊吹翼が誰にも甘えず自立するような、例えるなら箱崎星梨花がまじだりーと悪態をつくような……

閑話休題

とにかく田中琴葉が期間限定を手にすることは歴史的大事件、小さくて大きな一歩なのである

そしてその一歩踏み出したアイスの感想は…… 彼女曰く『美味しい』

4: ◆KakafR9KkQ 2017/06/26(月) 19:57:56.73 ID:676y8fut0
そう、美味しいのである

そう、美味しいのである

そう、美味しいのである

どれくらい美味しいかと言うと、翌日事務所で会った大親友の所恵美と島原エレナに対して

「ねぇ聞いて、美味しい話…… じゃなくて美味しいアイスの話があるの ふたりは知ってる? あの期間限定アイスのしゅわりん☆どりーみん味 あれがとにかく美味しくてね、私普段は無難な味しか食べなくてそれがどうしても気になっちゃって買ってみたんだけどそれがとっても美味しくて! すくって一口運んだ瞬間美味しくて! もう美味しくて、私これに出会うために生まれて…… あれ、何で私泣いてるんだろ……? でもそれくらい美味しくてね! 美味しかったの!」

と、心からの美味しい感想文を述べたのだった

ちなみにこれに対する大親友の返答は

「琴葉はグルメの仕事受けない方がいいかもね」

「で、どういう味だったノ?」

であった

5: ◆KakafR9KkQ 2017/06/26(月) 20:00:15.11 ID:676y8fut0
また話がそれた、とにかくその美味しいアイスは瞬く間に彼女の心を掴み、あっという間に冷凍庫のアイスゾーンを制圧してしまった

と、ここまでは単なる少女とアイスの感動的ハートフルエピックで済んだのだろう 本番はここからである

とにかくそのアイスは美味しい、美味しすぎたのである

そう…… アイスは1日1度と決めた田中琴葉の決意を揺るがすほどに……

田中琴葉は耐えた、アイスの誘惑に必死に耐えた

辛い時は仲間の姿を思い浮かべた、こうしてる間にも仲間たちは必死で頑張っているのだ

恵美はアフタースクールにパーリータイムを

エレナはファンタジスタなカーニバルを

それぞれの場所で必死で頑張っている、なのに自分だけアイスの誘惑に屈して「これがホントウノワタシだー!」などと言いながらアイスを食べる訳にはいかない

6: ◆KakafR9KkQ 2017/06/26(月) 20:16:18.86 ID:676y8fut0
しかし、その我慢も限界だった

田中琴葉のアイスに対する気持ちは日に日に膨れあがり、最早爆発寸前 こんな感情なんて形容すればよいのだろう? これこそ変……違う! 恋である!

さて話は冒頭に戻る、田中琴葉は逡巡する ちなみに最初に迷い始めてから35分経過した

ここまで逡巡を続けたがどうにも結論が出ない、アイス二個目を食べるべきか食べざるべきか

田中琴葉脳内会議では食べる派食べない派で目下大論争中でどちらも一歩も譲らずに議論は平行線だった

食べる派は美味しい! アイス! 食べたい! と感情を振りかざし

食べない派は自身の体重推移、これまでの後悔の記録と理性を振りかざし

感情と理性、相反する人間の概念は決して交わることは無い

7: ◆KakafR9KkQ 2017/06/26(月) 20:19:31.54 ID:676y8fut0
そうだ、とひとつ天啓が降り注ぐ こういう時は多数決を採ればいいではないか

恵美のツイッターを見たことがある、何やらツイッターには『投票機能』なるものがあるらしく、恵美はそれを使ってツイッターライフをエンジョイしていた

それなら私もやってみようではないか! 投票機能を!

携帯を取り出し脳内で文章を構成する、何事にも事前準備と予習を欠かさないのが田中琴葉の鉄則である

よし、簡潔でわかりやすい文章は創られた いざ投票を!

……………………

そう、田中琴葉はツイッターをやっていない

何故自分は携帯を取り出してしまったのか、激しい後悔が田中琴葉を襲う

どうして、どうしてこんなことに……

田中琴葉は恨んだ、自分の愚かしさを

よく考えれば前提からおかしいのだ、投票機能を使ったとて結論が出るのはしばらく時間がかかる

そもそも他人がアイスを食べるか食べないかなど本当にどうでもいいことである

そう…… どうでもいいことである……

8: ◆KakafR9KkQ 2017/06/26(月) 20:22:03.30 ID:676y8fut0
さて、そろそろ結論を出したい いい加減この爪先をぐにっと曲げたうさぎさん座りも疲れてきたし、三角座りをしよう

自分で考えて結論が出ないならば仲間を頼ればいいではないか、これが田中琴葉の新鉄則

大親友の恵美とエレナからも「もし辛い時があったらすぐに頼って」そう言われていたではないか

辛い時、それは正に今なのである

再び携帯を取り出し、グループトークを開く『トライスタービジョン』 何気無いトーク履歴を見て心がほっこりとする

さて、大親友のふたりに遠慮など要らないだろう、自分が今悩んでいること その全てをぶつけよう!

『ねぇ恵美エレナ、ちょっと相談したいことがあるの…… うん、いつもいつもふたりに頼ってばかりで悪いなって思ってる、けどふたりに話を聞いてもらって励ましてもらうとそれだけでとっても暖かい気持ちになって、あぁ親友ってこういうことなんだなって思えるの、だからこれからもずっと…… 親友で居てくれる…… ? あ、ゴメン話それちゃったね、えーと…… そうアイス! アイスの話! 私アイス食べたいの! どうしたらいいと思う? あ、違うのアイスはもう食べてて今日はこれふたつ目でね…… うん…… そう…… 私は自己管理も出来ないような女なの…… こんな夜遅くにラインしちゃってごめんね……』

9: ◆KakafR9KkQ 2017/06/26(月) 20:33:13.62 ID:676y8fut0
数分後

『え、何?』

『ちょっとまとめて欲しいよー』

どうやら大親友のふたりにも田中琴葉の繊細な硝子細工の心を理解することは出来なかったようだ

田中琴葉は追撃を始める

『そっか、ちょっと分かりにくかったよねごめんなさい、簡単に話すとね私アイスが食べたいの、今どうしても! でもアイスは今日既に1つ食べちゃっててね…… 違うの、普段はちゃんと節制してるよ? だけどこれはただのアイスじゃなくて期間限定のしゅわりん☆どりーみん味なの! これがとっても美味しくて……だからふたつ目を食べたくて仕方無くて…… 私どうすればいいと思う!?』

おお、なんということだ! やれば出来るではないか田中琴葉! さきほどと比べてなんと簡潔で丁寧なラインだろうか

やはり相談するのにも思いやりの心は必要なのだ、田中琴葉18歳はまた新しく人生の教訓を学んだ 人生80年是日々勉強也、先はまだまだである

10: ◆KakafR9KkQ 2017/06/26(月) 20:36:24.39 ID:676y8fut0
数分後

どうしたことか、携帯がぶるぶる震えない

いや正確には一度だけ震えた いつ登録したか忘れたショッピングサイトのメールマガジンが届いた

とにかく、大親友からの返信が来ないのである、待てど暮らせど来ず早9分

既読は付いている、それならばすぐ返ってくるものではなかろうか

恵美もエレナも返信が恐ろしく早い、何か特殊な訓練を受けているのではないかと思うほど

そのふたりが返信しないなんて……

田中琴葉の脳内を最悪のパターンがよぎる…… まさか…… ふたりの身に何かが起きたのでは!?

こうしてはいられない、まずは恵美とエレナの実家へ連絡を

と、そう思った折 携帯がぶるぶる震えた 2回震えた

『OK』のスタンプがふたつ届いた

11: ◆KakafR9KkQ 2017/06/26(月) 20:38:20.75 ID:676y8fut0
OK そうOKだ

つまり田中琴葉は大親友ふたりに許されたのである、夜のアイスおかわりを認められたのである

もう田中琴葉を阻む障害は存在しない、この冷凍庫を開きしゅわりん☆どりーみん味のアイスをいざこの手に……

「あれ?」

田中琴葉は頭にハテナマークを浮かべる

無い、無いのだアイスが、田中琴葉のニューロンメモリーによれば最後のひとつがあったはずのアイスが忽然と姿を消している

不肖田中琴葉、いくら耄碌しようとも大好物のアイスの数を間違えることなどないだろう、日記にだって毎日冷凍庫のアイスの残り個数をメモしているのだ

それなのに何故…… 何故……

田中琴葉の長い夜はまだまだ終わらない

「お母さーん! 私のアイス知らないー!?」


続く

13: ◆NdBxVzEDf6 2017/06/26(月) 20:47:05.22 ID:/ZQNpP+00
一旦乙です

>>1
田中琴葉(18)Vo/Pr
no title

no title


>>4
島原エレナ(17)Da/An
no title

no title


>>9
所恵美(16)Vi/Fa
no title

no title


どんな味なんだろ?
http://m.youtube.com/watch?v=EF9905QrXQY



17: ◆KakafR9KkQ 2017/06/27(火) 19:38:10.05 ID:RQwhF6L60
「お母さーん! 私のアイス知らないー!?」

田中琴葉は探し始めた 消えたアイスしゅわりん☆どりーみん味を、その後ろ姿は現代に現れたシャーロック・ホームズそのものであっただろう

そしてアイスの捜索はわずか15秒で終了した 田中琴葉の母の「あ、あのアイス? 食べちゃったわまた今度買ってくるわね」という言葉によって

田中琴葉は慟哭した アイスはもうない

田中琴葉は嗚咽した アイスはもうない

田中琴葉は絶望した アイスはもうない

田中琴葉は走り出した 光る明日…… ではなく最寄りのコンビニへ

ほ? アイスが無いなら買いに行けばいいのです、よ?

脳内に姫の声がする、そうアイスが無いなら買いに行けばいい、田中琴葉はすぐさま着替えホクホクの財布を抱えて家を出た

18: ◆KakafR9KkQ 2017/06/27(火) 19:42:51.52 ID:RQwhF6L60
田中琴葉の自宅から最寄りのコンビニへはおよそ5分で着く距離だ、田中琴葉は早歩きを駆使することで3分45秒でたどり着いた

コンビニに入りシャッセーの洗礼を受ける、もしあの女が765プロのアイドルだったなら秋月律子にキツく絞られていたであろう だが所詮はコンビニバイト、そんなことはどうでもいいのである

自慢のおみ足でコンビニを闊歩している時、田中琴葉は突然足を止める…… しまった、変装をしていない……

幸か不幸か、田中琴葉はまだまだこれからのアイドル 街中で気付かれることは少ない、だがそれでも割と、いやたまに、うーんまぁごく稀に気付かれる

その『ごく稀に』がもし今来てしまったら……

未成年の深夜徘徊、深夜のアイスおかわり…… そんなことを心無いメディアに報道されてしまえば、田中琴葉のアイドル人生は終わってしまう

あだ名が『アイスキチ』になり、昼夜問わずアイスを食べてるような人間と誤解されてしまうだろう、そう最上静香のように

というより最上静香はもっとうどんキャラを否定してもいい、本当にお前はそれでいいのか最上静香よ

とにかく、このままコンビニでアイスを手に取るのは大きなリスクを孕んでいるのだ

19: ◆KakafR9KkQ 2017/06/27(火) 19:47:48.48 ID:RQwhF6L60
しかし田中琴葉はまたもうひとつのことに気付く、そう今の田中琴葉はトレードマークであるカチューシャを付けていない

田中琴葉がカチューシャを付けていない、これが意味することがおわかりだろうか?

そう、アイデンティティの喪失 誰だかわからないのである

カチューシャは田中琴葉にとってとても重要な、体の1パーツと言っても差し支えの無いもの、て言うかアイスより大事だ

今の田中琴葉は例えるならメガネの無い高山紗代子 いやあの子は割と簡単にメガネを外す、それならばメガネの無い秋月律子だ 気付かれるはずがなかろう

変装を忘れたと思いきや私は今完璧な変装をしていたのだ、こんな私を田中琴葉と認識出来る人間など

「あのー、すいません」

突如声をかけられた、まさか気付いたのか!? 完璧な変装を施した今の田中琴葉を見て!?

いつの間にやら田中琴葉は変装すら見抜かれるほどのトップアイドルになり、1流アイドル特有のスターオーラを身に纏っていたらしい……

とにかくこの場を切り抜ける方法を考えなくては…… 握手したら満足して貰えるだろうか? 最悪サインくらいなら

「それ取りたいんでちょっとどいてもらえますか?」

「あ、ごめんなさい」


【穴(あな)があったら入(はい)りたい】
穴があったら入って身を隠したいほど、恥ずかしくてたまらないようす。 -故事ことわざ辞典より引用

20: ◆KakafR9KkQ 2017/06/27(火) 19:52:06.83 ID:RQwhF6L60
田中琴葉は無事アイス売り場へと辿りついた

目の前にはキラキラと輝く宝石箱のようなアイス達、さてお望みのしゅわりん☆どりーみん味は……

「あった!」

田中琴葉は快哉を叫んだ! 後はこれを買って家に帰って食べるのみ!

………… いや少し待て、本当にこれでいいのか?

今コンビニのアイス売り場にはしゅわりん☆どりーみん味アイスはなんと1つしかない

もちろん田中琴葉は買うつもりだった、しかしこれは許されざることではないのか?

今ここでしゅわりん☆どりーみん味を買うということはそれ則ち買い占めということになる

田中琴葉が買い占めてしまえば後から来た人はもちろんしゅわりん☆どりーみん味を味わえなくなる

本当に、本当にそれでいいのだろうか?

21: ◆KakafR9KkQ 2017/06/27(火) 19:55:10.81 ID:RQwhF6L60
しゅわりん☆どりーみん味はとっても美味しい、そう美味しい、美味しいんだってば!

そのしゅわりん☆どりーみん味は期間限定であり、ここで買い占め、店にもう在庫が無い場合は今後田中琴葉以外は一切この美味しさを知ることなく生涯を終えてしまう

これだから限定って奴は…… 限定なんて言葉はこの世から滅びて全部恒常に代わって欲しい

ここでの田中琴葉の行いひとつで誰かのしゅわりん☆どりーみんを奪ってしまうかもしれない

そう考えると急に怖くなる…… そんな…… 個人のエゴで買い占めなど許されるのであろうか

そう、今入店してきた中学生くらいの女の子、もしかしたらあの子はしゅわりん☆どりーみん味アイスを求めてやってきた同志かもしれない

そんな同志の目の前でどうして買い占めなんて出来ようか、いやでも私はアイス2個目を食べると決めたんだ…… ここは引けないんだ……

て言うかなんで中学生がこんな夜遅くに出歩いているんだ早く帰れ未成年は補導されるぞ

田中琴葉は意を決しコンビニのアイス売り場の奥へ手を伸ばす!

「ひゃっ!?」

コンビニの冷凍庫の奥の方って霜下りてて冷たいよね

22: ◆KakafR9KkQ 2017/06/27(火) 20:01:29.69 ID:RQwhF6L60
田中琴葉はついにアイスを買った 他でもない期間限定しゅわりん☆どりーみん味のアイスを買った

ついでにバニラチョコストロベリー抹茶味を4つずつ買った

買い過ぎだろ! と思うかもしれないが、田中琴葉は学生とは言えお金をもらって仕事をしているプロのアイドルなのである、その辺のスー○ーカッ○を買う学生と同じものさしで測らないでいただきたい

でも買い過ぎだと思う

爛々と鼻歌を歌いながらスキップなんてして帰路に着く田中琴葉、もしこんな姿を発見されたらそれこそ末代までの恥だろう

もちろん相談に乗ってくれた大親友への連絡も忘れていない『ねぇねぇ聞いて! アイス買っちゃった!』というラインをグループトークに投下した 既読スルーされた

しかし今の田中琴葉はそれでもニコニコ笑顔の上機嫌なのである、もしかしたら宮尾美也に並ぶほどの癒し系アイドルになれるかもしれない

いやむしろ田中琴葉はアイスを与え続けてさえいれば真面目委員長キャラではなく、ふんわり癒し系お姉さんキャラでいけたのではないか? 真相は闇の中……

とにかく、田中琴葉はアイスが買えてとってもハッピー! こんな幸せな気持ち 誰かに伝えたい! そうだ、作詞をしてみよう!

この後眠る前に日記にアイスに関するポエムを書き、次の日に日記ごと焼却処分されたのはまた別の話

23: ◆KakafR9KkQ 2017/06/27(火) 20:05:30.67 ID:RQwhF6L60
「ただいまー!」

田中琴葉、帰宅 ちなみに時刻はそろそろ12時を回ろうとしている、少し声のボリュームを落とした方がいいかもしれない

早速部屋の明かりを付けて期間限定 しゅわりん☆どりーみん味とご対面する田中琴葉

少し緊張してきた、このドキドキはやはり恋なのかもしれない

大好物を前に間がもたず思わず笑みが零れる、これまで幾多の困難をくぐり抜け田中琴葉はアイスを手に入れたのである、多少の気持ち悪さは見逃してあげて欲しい

取り合えずアイスを写真に収める、次の日の田中琴葉のブログの記事が決まった瞬間である

しゅわりん☆どりーみん味アイスはパッケージからしてカワイイ、アイドル達の写真がプリントされたフタ 田中琴葉もいつかはアイスのイメージアイドルとしてプリントされる日が来るのかもしれない

まぁカワイイパッケージなど結局は処分するので関係無いね、と普通にフタを開ける田中琴葉 彼女は意外とドライな一面もあるのだ

そこで田中琴葉は気付いた、スプーンを忘れた

25: ◆KakafR9KkQ 2017/06/27(火) 20:07:37.79 ID:RQwhF6L60
田中琴葉はゴリラではない、アイスはスプーンで食べる派なのだ、アイスをフォークや箸で食べる派の方はこの機会にスプーンで食べてみて欲しい

お気に入りのスプーンを持ち部屋へ戻る田中琴葉、その嬉々爛々とした表情は彼女が18歳ということを忘れさせる、無邪気で純粋なものだった

少しだけ溶け始めたアイス、そうアイスはこのくらいが美味しいのだ

恐る恐るスプーンをアイスへ近づける、さくりと音を立てスプーンはアイスへと潜り込み、一掬い

田中琴葉は少し震えていた、無理も無いだろう ここまで幾多の大冒険を果たしてやっと手に入れたアイスなのだから

しかし目の前のスプーンの上に乗る青と緑のグラデーション、ほんのり爽やかな香り、それは田中琴葉をこれ以上無いほど刺激し……

「ぱくっ」

食べた! ついに食べた! 田中琴葉が本日ふたつ目のアイスを食べたぞ!

口に含んだ瞬間しゅわしゅわサイダーとすーすーミントが広がり、ラムネが弾ける

ミントとラムネの刺激が甘さをよりいっそう高め、色の通り食べた後に爽やかな清涼感を与えるしゅわりん☆どりーみん味、その感想は!

26: ◆KakafR9KkQ 2017/06/27(火) 20:09:23.47 ID:RQwhF6L60
「美味し~い!」

田中琴葉は目を細め、少し冷えるほほに手をあてて満面の笑みを見せた

おお…… なんと可愛らしいことか…… この笑顔さえあれば田中琴葉は誰にも負けない史上最高のアイスアイドルとなれるだろう!

田中琴葉のアイスを食べながらの満面の笑みを見たなら、誰もが同じアイスを買いたくなる

『田中琴葉にグルメロケは向かない』とは誰が言ったのか、小難しい言葉など必要無い、田中琴葉のこの笑顔だけあればそれで十分ではないか!

惜しむらくはこの笑顔を見てるものは誰一人居らず、田中琴葉自身もこの笑顔の価値に気付いていないことなのだが……

きっとこの笑顔の写真をツイッターに乗せれば7億6500万RTくらい余裕であっただろうに……


「あっ、その表情いいですね! 一枚、撮らせてください!」

失礼、この笑顔を見たものは一人居るようだ

27: ◆KakafR9KkQ 2017/06/27(火) 20:10:28.06 ID:RQwhF6L60
後日


「おっ、この琴葉の写真よく撮れてんじゃ~ん」

「ホントだ! コトハとっても幸せそうだヨっ」

「な、なななにこの写真!? この時家でアイス食べてたのにいつ写真撮られたのー!?」

アイスを食べている至福の笑顔の田中琴葉のブロマイドは765プロの物販で売られ、大人気となったのだった

その売り上げは不人気商品で、あっという間に生産終了したしゅわりん☆どりーみん味アイスを上回ったという……


ちゃんちゃん

28: ◆KakafR9KkQ 2017/06/27(火) 20:11:37.34 ID:RQwhF6L60
久しぶりにギャグを書きました。 るるるんって感じで楽しんでいただけたら幸いです。
読んでくれた人ありがとうございました。