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シリーズ一覧
しんのすけ「アローラ地方を冒険するゾ」
【メレメレ島編】【アーカラ島編】【ウラウラ島編】【エーテルパラダイス編】【ポニ島編】
【ウルトラスペース編 前編】【ウルトラスペース編 後編】【大大試練編】【エピローグ】



636: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/08(木) 21:11:14.99 ID:gKH7a9Ln0
…… …… ……
【エーテルパラダイス編】
…… …… ……

海上 グラジオの小型船

グラジオ「スカル団とエーテル財団は、表向きでは敵対しているが、その裏では繋がっているんだ」

しんのすけ「どしてー?」

ハウ「スカル団は他人のポケモンを奪ってるけどー、エーテル財団の人たちはポケモンの保護してるから、方針が食い違うと思うけどー」

グラジオ「ボスのグズマはなにか理由があって、財団のある目的の為に手を貸しているようだ」

しんのすけ「なになに? 世界征服?」

グラジオ「フッ……それと同じくらい厄介なことではあるな」

グラジオ「コスモッグの力を使って、ウルトラホールを開き、そこから現れる異次元の生命体――ウルトラビーストを呼び寄せることだ」

637: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/08(木) 21:12:46.06 ID:gKH7a9Ln0
ハウ「ウルトラビーストって、しんのすけがエーテルパラダイスで戦ったあのー?」

グラジオ「ほう、奴らを知っているのか? なら話は早い」

グラジオ「コスモッグはそれ自体弱いポケモンだというのは話したな? だが、コスモッグはストレスを与えたり、身の危険が迫ると、ウルトラホールを開く能力を持っている」

ハウ「ウルトラホールを開くー? じゃあコスモッグって、ウルトラビーストなのかなー?」

グラジオ「……そう、やつもまた、ウルトラビーストだ。リーリエが連れ出したのも、きっとストレスを与え続けられたコスモッグの身を案じての行動だろう」

ハウ「じゃあさーじゃあさー、このままウルトラホールが開かれたら、どうなっちゃうのー?」

グラジオ「言われなくともわかるだろ? アローラ……いや、世界がビーストで溢れかえる。そうなれば、人とポケモンの生態系のバランスが崩壊し、やがて世界はビーストが支配してしまう」

ハウ「なんでそんなことするのー! アローラになにか恨みでもあるのー?」

グラジオ「……オレにもわからん。理解できれば、説得できたかもな」

ハウ「それじゃー早くリーリエとコスモッグを見つけて取り返さなきゃ! ねぇ、しんのすけー……」

しんのすけ「ZZZ」

ロトム図鑑「」スリープモード

638: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/08(木) 21:13:45.00 ID:gKH7a9Ln0
ハウ「うわわー! 大事な話なのに寝ちゃってるよー!」

グラジオ「フッ、寝かせてやれ。スカル団のアジトへ一人で乗り込み、更にクチナシさんの大試練までこなしたんだ。疲れないというのが、無理があるさ」

ハウ「でも、よく寝られるよねー。おれ、マイペースってよく言われるけど、しんのすけはそれ以上だよー」

グラジオ「だが、まんざらではなさそうに見えるぞ」

ハウ「まあねーしんのすけと一緒にいると、楽しいもんー。それにーリーリエとかアセロラとかってしんのすけのこと心配してるけどー、おれはしんのすけってなんでもできそうな気がするのー」

グラジオ「そうだな、そいつは変わってはいるが……子供とは思えない、凄まじいパワーを発揮する。しまキングとのポケモン勝負でそれを見せつけられた」

ハウ「見てみたかったなー、しんのすけの大試練ー」

グラジオ「オレも冷静さを欠いていたとはいえ、負けてしまったからな。次に戦う時は――!」

ハウ「どしたのー?」

グラジオ「チッ、財団のボートだ……!」

639: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/08(木) 21:14:45.21 ID:gKH7a9Ln0
ハウが前方に目をやると、エーテルパラダイスの周囲に、エーテル財団のボートらしきものがいくつも警戒に当たっていた。

グラジオ「おそらく、誰にも邪魔されないように警護に当たっているんだろうな。憎い奴らだ……!」

ハウ「どうするのー?」

グラジオ「正面突破する! 向こうはポケモンを使って迎撃してくるだろうが、こちらもポケモンを出してボートを蹴散らして進むしかない。まずはしんのすけを起こせ!」

ハウ「しんのすけー! 起きてー!」ユサユサ

しんのすけ「ZZZ」

ハウ「世界の危機だよー! 早く起きてー!」ユサユサ

しんのすけ「ZZZ」

グラジオ「なにしてる! 早く起こせ!」

ハウ「起きないんだよー! 揺さぶってもなかなか起きないー! ……あ、そうだ!」

ハウ「……ライチさんとビッケさんが来たよ」

しんのすけ「えっ?! どこどこどこっ?」ガバッ

ハウ&グラジオ「…………」ハァ

640: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/08(木) 21:15:58.82 ID:gKH7a9Ln0
しんのすけ「あれ、ライチおねいさんとビッケおねいさんは?」

グラジオ「しんのすけ! 説明は後だ! エーテルパラダイスに入るために、お前とポケモンの力借りたい! いいな?」

しんのすけ「え? あ、そうだ! オラたちエーテルパラダイスに行くんだっけ」

ハウ「だからそのためにあいつらを追い払わなきゃー! じゃないとビッケさんにもルザミーネさんにも、リーリエにも会えないよー!」

しんのすけ「よーし、オラに任せなさいっ!」

グラジオ(ハウ……手馴れているな)

しんのすけ「カザマくん! マサオくん! レッツラゴー!」ヒョイッ

ジュナイパー『オーケー! 任せてくれ!』ポンッ

ヨワシ(群)『全部ぶっ飛ばしてやるぜィ! イェイ!』ポンッ

ハウ「ライチュウ! はりきってこー!」ヒョイッ

ライチュウ「ライラーイ!」ポンッ

グラジオ「……飛ばすぞ!!」

ブォォォォン!!

財団職員A「ん? 誰か来るぞ」

641: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/08(木) 21:16:57.37 ID:gKH7a9Ln0
職員B「そこのボート! 止まれ! 止まらんと……!」

ヨワシ『ひ ゃ っ ほ う !』ザバァッ

職員の真下からマサオが現れ、大ジャンプした! その勢いに巻き込まれて、ボートが転覆し、職員も海に放り出される!

職員C「侵入者だ! ポケモンで応戦しろ!」

ライチュウ「ラーイッ……チュウウッ!」バチチチッ!

職員D「ぎゃあああ! しびれびれーっ!」

職員E「おのれ! よくも!」スッ

ヒューッ ドスッ!

職員E「イタッ! これは矢か!?」

ジュナイパー『ポケモンは出させないぞ!』スッ

ポンッポンッポンッ!

ジュナイパー『……!』

ペリッパー「グアッグアッ!」

フワライド「フワワー」

レディアン「レディー!」

642: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/08(木) 21:17:41.64 ID:gKH7a9Ln0
ジュナイパー『僕が相手だ! 来いっ!』ギリリッ

ザバン!

ヨワシ『吹っ飛ばしてやるぜ!』ブシャアアアアッ!!

ペリッパー「グアッ!?」

フワライド「フワワー?」

レディアン「レディッ?!」

ジュナイパー『うわわっ!』バサッ

ドドドドド!

ジュナイパー『マサオくん! 少し抑えろ!』ポタポタ

643: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/08(木) 21:19:04.52 ID:gKH7a9Ln0
ハウ「いくよーライチュウ!」

バッ バッ ブゥンブゥン ビリリッ!

ピカッ! ゴウッ!!

ライチュウは Zパワーを 身体に まとった!

ライチュウが 解き放つ
全力の Zワザ!

ラ イ ト ニ ン グ サ ー フ ラ イ ド !

ライチュウ「ライラーイッ!」ゴウッ!

ライチュウは電気をまといながら夜空へ飛翔すると、ハウが職員たちの出したポケモンを指さした。

ハウ「ライチュウ! ゴーゴー!」

ライチュウ「ラーイッ!」

ライチュウはそれらのポケモンたちに狙いを定めると、急降下し突撃。すると、雷の柱が周囲に発生し、ポケモンと職員たちのボートを巻き込むと同時に颯爽とライチュウが通り抜けていった!

バリバリバリ!!

職員たち「うわぁぁぁぁっ!」

644: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/08(木) 21:20:00.08 ID:gKH7a9Ln0
職員F「くそっ! 追え追えーっ!」

財団職員たちの運転するボートが、次々としんのすけたちの後ろから追いかけてくる!

しんのすけ「おー、ネコバス運転してたときを思い出しますなぁ」

しんのすけ「ううっ、思い出しちゃったらおしっこしたくなっちゃった……」ブルブル

ハウ「しんのすけー! どこ行くのー?」

しんのすけ「おトイレー」

ハウ「えー?」

トテトテ

職員F「エーテルパラダイスに入れるもんか――ん?」

エーテルパラダイスに入ろうとするスカル団のマークが目印の一艘の小型船。その上に、しんのすけがこちらに向けて立った。いぶかる職員F。
そしてあろうことか、ズボンを下ろし始めたではないか!

しんのすけ「うーん、月が綺麗~」

職員F「えっ? ちょっとまって、まさか――」

ジョボボボボボ!

645: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/08(木) 21:20:36.04 ID:gKH7a9Ln0
職員F「うわーっ! きたねきたね! バックしろバック!」

しんのすけ「おおう、出る出るー」

グラジオ「なんだ? 職員たちの船がオレたちを避けている? よくわからんが、チャンスだ! ハウ、しんのすけ、ポケモンをボールに戻せ!」

ハウ「わかったー! ありがとーライチュウ!」バシュッ

しんのすけ「ふースッキリした。カザマくん、マサオくんごくろーさん」バシュッ

グラジオ「一気に進むぞ……!」

646: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/08(木) 21:21:23.44 ID:gKH7a9Ln0
エーテルパラダイス 船着場

職員G「あの下品なお子様たちどこに行った?」ドタドタ

職員H「しらみつぶしに探せ!」ドタドタ

ハウ「うう……! で、どうするのー?」

しんのすけ「職員さんに聞いてみたら?」

グラジオ「……とりあえずエレベータに向かうか」サッ

ハウ「とりあえず、っていったよー! この人ノープランだよー!」

しんのすけ「ふつうのー人なんかにゃなりーたくないー♪」テクテク

ロトム図鑑「やきゅうせーんしゅになってーパイロォーットになってー♪」テクテク

ハウ「そっちじゃない……って、おいてかないでよー!」

スタスタ

647: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/08(木) 21:23:06.00 ID:gKH7a9Ln0
グラジオ「……やはり、エレベーターには見張りがいるか」

しんのすけ「じゃあワイロでも渡しますか」

ロトム図鑑「このZクリスタルを渡せば見逃してくれるかな」

ハウ「そんなことしちゃダメだよー。でも、なんで職員さんたち、おれたちを襲ってきたんだろー。前来た時は優しかったのに……」

グラジオ「そんなことを考えても仕方ない。出番だ、ヌル」ヒョイッ

ヌル「オオオオーッ!」ポンッ

グラジオ「あの見張りにでんじはだ」

ヌル「オオオォッ!」ダッ

職員J「ん? なんだ?」

ヌル「オオオッ!」バチチッ

職員J「――おがッ!」ビリビリッ

ドサッ

しんのすけ&ハウ「おおーっ」パチパチパチ

グラジオ「フッ、感心してる場合じゃない。エレベーターに乗るぞ」

648: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/08(木) 21:25:51.10 ID:gKH7a9Ln0
タッタッ

グラジオ「…………」ピコピコカチカチ

ハウ「あれー? 動かないのー?」

グラジオ「まっ、そうだろうな。動かせるのは関係者のみか。地下にも降りられんとは、わかっていたが……かなりクルもんだな」

ロトム図鑑「私の出番のようだな」ズイッ

しんのすけ「おーぶりぶりざえもん」

グラジオ「……図鑑ごときに何ができるんだ?」

ロトム図鑑「私は国際警察のハッカー兼サイバーテロ対策部隊に所属していたポケモンだ。ここのサーバーにハッキングしてセキュリティを解除し、エレベーターを動かしてやる」

ハウ「そんな部隊あるのー?」

グラジオ「なるほど……ロトムはもともと電化製品の中に入り込む性質を持つポケモンだったな。ならば、うまく応用すればハッキングすることも不可能ではない……か」

ロトム図鑑「ゴーストタイプだから、やろうと思えば人間の頭の中にでも入れるからな」

ハウ「科学とポケモンの力ってすげー」

ロトム図鑑「そういうことだ。ふむふむ……」

ロトム図鑑「……これは!」

ハウ「なにかわかったのー?」

649: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/08(木) 21:26:44.58 ID:gKH7a9Ln0
ロトム図鑑「このエレベーターはシルフカンパニー製だな」

グラジオ「そんなことどうでもいいだろ……! 認証を解除しろと言ってる!」イラッ

ロトム図鑑「慌てるな、こわっぱども。どこか接続できるプラグの差し込み口的なモノがあるはずだ」

ハウ「なんか不安になってきたー……」

ロトム図鑑「あった! さて、接続するぞ」スルスル カチッ

しんのすけ「どう?」

ロトム図鑑「黙れ、今ハッキングしている最中だ」ピコピコ

ロトム図鑑「ふむ……厄介なことになった」

グラジオ「まさか、探知されたのか?」

ロトム図鑑「いや、世界中のネットワークを通してハッキングしているから短時間は逆探知される心配はない。だが、最後のセキュリティを破るためには2つの選択肢のうち、1つを選ばないといけないようだ」

ハウ「なになにー?」

650: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/08(木) 21:27:57.86 ID:gKH7a9Ln0
ロトム図鑑「単純なモノだ。赤か緑、どちらかのウォールを破ればセキュリティーが解除されるが、もう一方はトラップになっている」

しんのすけ「クジラくん、どっちにしたらいいの?」

グラジオ「……赤か緑か」ムムム

ハウ「ねぇ、聞こえてるー?」

グラジオ「……」

ハウ「グラジオってさー黙ってればかっこいいと思ってるところあるよね」ボソッ

しんのすけ「いやですわ~あれが今時の若い子のスタイルなのかしら~」ボソッ

グラジオ「……聞こえてるぞ!」

651: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/08(木) 21:29:02.73 ID:gKH7a9Ln0
ロトム図鑑「思い出した! 確かこういうとき、赤を選ぶのが正解だった」

ハウ「じゃあ早く破ろー!」

ロトム図鑑「よーし……」

しんのすけ「と言いつつ緑だったり」

ブチッ
ピーッ

ハウ「あ」

ロトム図鑑「バカ! なんということを!」

・・・

ハウ「……あれー?」

しんのすけ「何も起きないじゃん」

ロトム図鑑「……ふう! 私の的確な判断がセキュリティーを解いたようだな」

グラジオ「どこが的確だ! このブタ!」ガシッ

ロトム図鑑「待て! まだ安全に接続を――あ゛っ」ブチッ

652: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/08(木) 21:29:46.77 ID:gKH7a9Ln0
アナウンス『ビーッ!ビーッ! 船着場から不審な反応あり! 至急財団職員は侵入者の確保へ向かわれたし! 繰り返す……』

ドカドカ!
イタゾー!

しんのすけ「あららー」

ハウ「うわわー!結局バレてるじゃん!」

グラジオ「こんな奴を信じたオレがバカだった……」

ロトム図鑑「お前が勝手に私をいじるからだ! バカ!」

コツコツ

ザオボー「エーテル財団の支部長といえば、世界にただ一人……このザオボーだけで、ございます」

ザオボー「おやおや、招いていないのにまたいらしたのですか?」ニヤァ

しんのすけ「よ! 課長!」

ザオボー「支部長です!」

653: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/08(木) 21:30:27.42 ID:gKH7a9Ln0
グラジオ「……言わなくとも、用件はわかっているよな? ザオボーともあろうお人なら」

ザオボー「ヒヒヒ……! グラジオさま、世間にもまれたようですね。ですが教えられません! あなたともあろうお方なら、この状況で言える立場なのか、わかっていますよね」

財団職員たち「…………!」スッ

グラジオ「……クッ」

ロトム図鑑「おねげえしますだ、こいつらのポケモンは渡しますから命だけはお助けくだせえ」

ハウ「こいつー!」

ザオボー「ほうほうほう、面白いことを言う図鑑ですね。わざわざハッキングしていたのはあなたでしたか。いいでしょう」

職員K「では私が彼らのポケモンと身柄を拘束します」

ザオボー「ではロトム図鑑、あなたの身柄はこの支部長のザオボーが保証いたしますよ」

ロトム図鑑「へへーん、悔しかったらかかってこい」ブリブリ

しんのすけ「裏切り者ーっ!」

グラジオ「このブタ……覚えてろ」

ザオボー「彼らは地下1階の空いているラボにでも閉じ込めておきなさい!」

654: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/08(木) 21:31:33.84 ID:gKH7a9Ln0
エーテルパラダイス 地下1階 とあるラボ(空き部屋)

グラジオ「くっ……」

しんのすけ「ぬーっ! オラの青春返せーっ!」

ハウ「そこはポケモンじゃないのー?」

職員K「安心しろ、後でお前たちをエーテルパラダイスから追い出した時にポケモンを返してやる」

職員K「もっとも、グラジオ様が持ち出したタイプ:ヌルは返してもらいますが」

グラジオ「貴様……!」ギロッ

ハウ「持ち出したー? どういうことー?」

しんのすけ「もしかして禁断の恋ってやつ?」

職員K「それを君たちが知る必要はない。そこでおとなしくしているんだな」

ウィーン

655: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/08(木) 21:32:45.48 ID:gKH7a9Ln0
ハウ「ねえグラジオー。ヌルってどんなポケモンなの?」

しんのすけ「クジラくんの元カノ?」

グラジオ「…………」

グラジオ「……ヌルは、ウルトラビーストに対抗するために創られた、人工のポケモンだ」

しんのすけ「!」ピクッ

ハウ「創られたポケモンー!? それってポリゴンみたいなヤツってことー?」

グラジオ「……そうだ。だが、プログラムで創られたポリゴンと違うのはヌル自体、シンオウ地方に伝わる伝説のポケモンをモデルに、バイオテクノロジーでありとあらゆるタイプのポケモンの力を組み合わせて創られたポケモンだ」

656: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/08(木) 21:33:55.50 ID:gKH7a9Ln0
グラジオ「……元々はARシステムと呼ばれるプログラムを組み込むことで、あらゆるタイプになり、あらゆる技を使いこなすように設計された。だが……起動テストを行った結果……成功するどころかヌルは暴走してしまった。それを制御するためにあの兜を被せられたんだ」

ハウ「なんでグラジオはーヌルと一緒にいるのー?」

グラジオ「……オレとヌルは似てるんだ」

しんのすけ「えーっ! あの兜がパックリ割れると、クジラくんそっくりの顔が出てくるの?!」

グラジオ「そういう意味の似てるじゃない……!」

グラジオ「作られた存在なんだ……。オレは母の飾りとして、いつも選ばれた服で、言われたとおりに振る舞い……ヌルはビーストと戦う。そのためだけに、準備された」

グラジオ「ビーストを倒すためだけに存在しているヌルを放っておくことはできなかった……自分を見ているみたいでな。それで2年前、オレはヌルを連れてここを出て行った」

ハウ「それじゃーグラジオってここの人だったのー?」

グラジオ「……そうだ」

ウゴッ! ウグァァァァッ!

3人「!?」

ハウ「今度はなにー?」

659: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/08(木) 21:37:47.80 ID:gKH7a9Ln0
【おまけ】

ハウ「あのさー気になってることがあるんだー」

しんのすけ「なに?」

ハウ「グラジオってポケモン勝負中、いつも左腕震わせてるよねー。あれなんだろーね?」

しんのすけ「血圧測ってるんじゃない?」

ハウ「違うと思うー。もっとこう、日頃の癖というかそんな感じがするんだよねー」

しんのすけ「お! わかった、手相を見てるとか?」

ハウ「Zポーズのイメトレ?」

しんのすけ「バイブ機能が付いてるとか」

ロトム図鑑「ラーメンの湯切りの練習だろ」

しんのすけ「あ、それだ!」

ハウ「ポケモン勝負してる最中にラーメン作る練習なんてへんなのー」

しんのすけ&ハウ&ロトム図鑑「あはははー!!」

グラジオ「ンなわけあるか! お前らオレをなんだと思っているんだ……!!」ビキッ

661: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 20:03:04.59 ID:gw+EmeqQ0
ウィーン

ひろし「しんのすけ! ハウくん! 無事か!?」

ビッケ「ぼっちゃま……」

グラジオ「ビッケ……!?」

しんのすけ「ビッケおねいさーん!」

ひろし「俺は無視かよっ!」

ハウ「おじさん、助けに来てくれたのー?」

ひろし「ああ、お前たちが地下のラボに閉じ込められたって聞いて、ビッケさんと一緒に降りてきたんだ」

ビッケ「みなさんのポケモンです。職員の方から取り戻しました」

しんのすけ「おおっ、ありがとー!」

ハウ「おじさんー。なんで職員の人たち、あんなに変わってしまったのー? 前来た時は、みんな親切にしてくれたのに」

ひろし「俺にもわからないんだ。ただ、代表と支部長から『誰ひとりとしてここを通させるな』って放送が入ったら、みんな目の色を変えて警備に乗り出したんだ」

ひろし「それで俺も保護区の警備に当たっていたら、お前らが捕まったことが伝わってな。事情を知っているビッケさんと一緒にここに来たんだ」

662: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 20:04:16.85 ID:gw+EmeqQ0
ビッケ「……ひろしさんは、もともとフタバカンパニーから転勤してきたばかりですので、こちらの内情についてまだご理解されていないからでしょうね」

ひろし「内情って?」

ビッケ「我々エーテル財団は、代表の意志に逆らわないように、金銭や人質、脅迫など、強行的な手段を取ってでも命令に従わせるときもあります。これらをしてでも命令するケースは今回くらいで滅多にありませんが……」

ハウ「そうだったのかー……」

しんのすけ「ま、とーちゃんがまたおかしくなったら、靴の臭いを嗅がせますから」

ひろし「はは、分かったことを言うなよ」

ハウ「においー?」

ひろし「そういうお前たちだって、なんでこんなところに来たんだ? 今ここが危ないところだって、外から見てもわかるはずだろ?」

ハウ「実はこういう事情があってー……」

~ハウ説明中~

ひろし「コスモッグ……ウルトラビーストに、リーリエ」

ひろし「つまり、しんのすけたちの友達のリーリエって子が連れていたコスモッグを、財団が取り返して、その能力でウルトラビーストを呼び出すのを、しんのすけ達は止めに来た……ってことか?」

グラジオ「……そういうことだ」

しんのすけ「オラたち、リーリエちゃんもほしぐもちゃんもお助けしに来たんだ!」

663: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 20:05:52.60 ID:gw+EmeqQ0
ひろし「……本当なら、親として大人として、お前たちを止めるべきなんだろうな」

ビッケ「ひろしさん。しんのすけさんもハウさんも、顔を見られている以上遅かれ早かれ、いずれエーテル財団とスカル団に狙われます。なので、まずは今回の命令を下している代表を止めることが最善と思われます……」

ひろし「……わかった! とーちゃんも手伝ってやる! 世界の危機なんてどうでもいいけど、息子を危ない目に遭わせるわけにはいかないしな」

しんのすけ「おおっ、とーちゃんも加われば、フンバリキだね!」

ひろし「それを言うなら、百人力、だろ?」

ハウ「おじさん、ポケモン持ってないのに戦えるのー?」

ひろし「大丈夫だ、おじさんはポケモンを持ってないけど、代わりに武器になるものはある。それでお前たちをサポートするさ」

グラジオ「リーリエのこと、なにか知っているか?」

ビッケ「恐らく……代表のところかと」

グラジオ「なら、会いにいく。それだけの話だ」

ハウ「代表ってルザミーネさんだよねー。いい人だから、話をきいてくれるよー」

しんのすけ「そーそー、オラなんて素直でいい子だから、きっと止めてくれるって」

グラジオ「興味のない相手になら、優しくふるまえるだろうさ……」

664: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 20:08:14.53 ID:gw+EmeqQ0
ビッケ「ただ、代表の御自宅へ向かうための扉はカギがかかっていますから……」

グラジオ「関係ないね」

ひろし「あの扉のカギか……。おそらくだが、支部長ならなにか知ってるかもしれないな」

しんのすけ「ぶりぶりざえもんも一緒かなー?」

ビッケ「支部長なら、1階におられます。どうかお気をつけて……」

しんのすけ「よーし! じゃあ3人はリーリエちゃんを追って! オラはビッケおねいさんとコーヒーでも!」

ひろし「お前も来るの!」

ハウ「こんな時でもしんのすけってブレないねー」

グラジオ「頭痛くなってきた……」

ウィーン
ドタドタドタッ!

ビッケ(みなさん……グラジオさまの事、よろしくお願いします……。思いつめると、後先考えずポケモンを連れだすところとか、おふたり、似ておられますから……)

665: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 20:08:58.56 ID:gw+EmeqQ0
エーテルパラダイス地下一階 エレベーター前

ひろし「くそー……さっきのおかげで、警備が厳重になっているな」

グラジオ「このまま通り抜けるのは、不可能か……」

しんのすけ「オラにいい考えがあるゾ!」

ハウ「なにー?」

しんのすけ「とーちゃん以外、みんなこれ着ればいいんだよ!」バサッ

ひろし「そうか、その手があったか!」

ハウ「エー! それ着るのー?」

グラジオ「俺はそんなもの着ないぞ……!」

しんのすけ「じゃあオラととーちゃんとハウくんで、リーリエちゃんに会いにいくもん。クジラくんはここでじっとしていればー?」

グラジオ「クッ……!」ピクピク

ハウ「グラジオー仕方ないってー。他に方法がないんだもん」

グラジオ「ハァ……憎いヤツだ」

しんのすけ「それほどでも~」

ひろし「褒めてないって……」

666: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 20:09:54.53 ID:gw+EmeqQ0
ひろし「すいませ~ん、エレベーター使ってもいいですか?」

職員L「ん? そのポケモンは?」

ひろし「あ、あぁ、これから保護区に連れて行くポケモンたちですよ。ほら、さっきも侵入者がいたでしょ? 戦闘に巻き込まれないために保護区に避難させようと……」

ルガルガン(夜)?「…………」

ピカチュウ?「ぴっかぁ!(裏声)」

カプ・コケコ?「コイケェーエイコー!」

職員L「この……ポケモンたちが?」

ひろし「は、はい」

667: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 20:12:17.53 ID:gw+EmeqQ0
職員L「この……ポケモンたちが?」

ひろし「は、はい」

職員L「なんかピカチュウが普通のサイズより頭身が高く見えるけど……」

ひろし「えっと、突然変異です。色違いと似たようなものですよ」

職員L「……ちょっと待て、じゃあなんでカプ・コケコがこんなところにいるの?! コイツメレメレ島の守り神だろ!?」

ひろし「えーっと、それが……」

カプ・コケコ?「オラたちーバカンス中ーでしてー!」

ひろし「そうそう、旅行中らしいんですよ」

職員L「オマエラあやしい! オマエのようなしゃべるカプ・コケコと頭身が高いピカチュウがいるか!」

ルガルガン?「……!」

ピカチュウ?「ピカァ!?(裏声)」

ダッ

カプ・コケコ?「カプ・カンチョー!」

ズ ボ ッ !

職員L「あおおおおーっ!!」ビクビク

668: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 20:13:22.25 ID:gw+EmeqQ0
ひろし「よし、今のうちだ!」

カプ・コケコ?「よっしゃー!」

ルガルガン?「なにしてやがる、オレ……」

ピカチュウ?「でもちょっと面白かったー」

ルガルガン?「……だいたい、カプ・コケコに変装なんて無理がある」

カプ・コケコ?「オラのコスプレに不可能はない!」

ルガルガン?「そうじゃない! 不自然すぎると言っている!」

ピカチュウ?「まぁ今更だけどねー」

669: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 20:14:30.85 ID:gw+EmeqQ0
エーテルパラダイス 1階 扉前

グラジオ「ザオボー……!」

ザオボー「おやおや……下でおねんねしていればいいものを」

しんのすけ「よ! 副課長!」

ザオボー「支部長です! なんでさっきよりランクが下がっているんですか!」

ザオボー「ひろしさん……あなたは確か、保護区の警備を任せていたはずですが。なぜお子様たちを連れているのですか? まさか、我々に逆らうなんて言うんじゃありませんよね」

ひろし「俺の子供のポケモンを取り上げて、ラボに閉じ込めるやつらを信用できるかよ」

ザオボー「侵入してきたのはそちらのお子様たちでしょうに。いいのですか? フタバカンパニーから異動してきたあなたが、財団の方針に口出しできる立場ではないのですよ?」

ザオボー「そうですねぇ、そこのお子様たちを説得して、さっきのラボに戻して頂ければ今回のことは代表に報告しないでおきましょう。いかがですか? 慈悲深い支部長の取引ですよ?」

ひろし「支部長、俺が家族をお前たちに売る男に見えると思ったら大間違いだ」

グラジオ「……」

ザオボー「……」ヤレヤレ

しんのすけ「ま、とーちゃんの甲斐性じゃヒラか係長止まりだもんね」

ひろし「うるせーよ! せっかくかっこよく言ったのに……」

670: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 20:15:35.15 ID:gw+EmeqQ0
ハウ「ザオボーさん、奥の扉のカギ持ってるのー?」

ザオボー「ええ! もちろんですとも。カギというより、パスワードですが」

ハウ「だったらー隠れていたら、先に進まれることもないのにー」

ザオボー「!?」

しんのすけ「そうだよねー。子供でも分かることなのに、おバカさんだなぁ」

ザオボー「ええい! こうなったら、人呼んでエーテルパラダイス最後の砦! 支部長ザオボー! その力をとくとお見せしましょう! ええ! マルチバトルでお相手しましょう!」

グラジオ「時間がない、しんのすけ! オレを助けろ! ハウは誰かが乱入してこないように周囲を見張れ!」

ハウ「おーし!」

しんのすけ「めんどくさいけど、行きますか」スッ

エーテル支部長の ザオボーが
勝負を しかけてきた!

671: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 20:16:21.91 ID:gw+EmeqQ0
ザオボー「行きなさい! スリープ! スリーパー!」ヒョイッ

スリープ「スリィィプ!」ポンッ

スリーパー「スリィィィパァー!」ポンッ

しんのすけ「カザマくん、レッツラゴー!」ヒョイ

グラジオ「深緑の射手と並び立ち、供に愚鈍なる力をねじ伏せろ――ヌル!」ヒョイ

ジュナイパー『早くケリを付けよう! しんのすけ!』ポンッ

ヌル「オオォォッ!」ポンッ

グラジオ「ヌル! スリープにシザークロス!」

ヌル「オオォォッ!」ダッ!

しんのすけ「それじゃ早速Zワザ行っちゃいま~す」

バッ バッ ブリブリブリブリ!

カザマは Zパワーを 身体に まとった!

カザマが 解き放つ
全力の Zワザ!

シ ャ ド ー ア ロ ー ズ ス ト ラ イ ク !

672: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 20:17:02.21 ID:gw+EmeqQ0
しんのすけ「カザマくん! ファイヤーッ!」

ジュナイパー『行くぞッ!』バサッ

カザマは真上に飛翔すると、周囲に無数の矢羽根を扇形に並べた。そして矢羽根と供にスリーパーへ急降下する!
そしてスリーパーに直接攻撃したと同時に無数の矢羽根がスリーパーや周囲に突き刺さり、黒紫の爆発を引き起こした!

スリーパー「スリィィパァァ!!」ドサッ ゴロゴロ……

ヌル「オオオォッ!!」

ザンザンッ!

スリープ「スリィィィプ!?」

フラッ ドサッ

ひろし「すげぇ……秒殺だ!」

ハウ「よーし! ナイスバトルだよー二人ともー!」ピョンピョン

ザオボー「あ、あああ、ありえないでしょう? お子さまに追い詰められるなんて!? しかも何もできずにっ」

グラジオ「助けあう、か……悪くないな」

しんのすけ「オラとクジラくんのハートとハートが重なり合った結果なのねぇん」クネクネ

グラジオ「その気色悪い言い方、やめろ」

673: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 20:17:46.90 ID:gw+EmeqQ0
ハウ「おれたちーリーリエ助けたいから、もう行ってもいいよねー!」ニコニコ

グラジオ「ザオボーともあろうお人なら、用件、わかっていますよね」

ザオボー「クッ……皮肉が言えるほど、世間にもまれましたか」

ザオボー「ですが、パスワードを教える気はありませんよ。なにせ私は、エーテル財団最後の砦! 支部長ザオボーですから!」

ハウ「あー! 勝負に勝ったのにきったなーい!」

ひろし「じゃあ、その最後の砦とやらの強さ、試してみるか」ズイッ

ひろし「しんのすけ、ハウくん、グラジオくん、そいつの手足を抑えてくれ」

しんのすけ「もうしてるよー」ガシッ

ハウ「オッケー!」ガシッ

グラジオ「…………」ガシッ

ザオボー「な、なにをする気ですか? ぼぼぼ暴力ですか? そんなことで私が屈すると思っているのですか?」

675: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 20:18:33.88 ID:gw+EmeqQ0
ひろし「そんなものを子供に見せるわけにいかないだろ。その代わり、ある意味暴力よりきついことをするけどな」ズルッ

ザオボー「なぜ靴を脱ぐんですか? ちょっとそんなもの近づけないでください臭いますからやめてくださいホントに!」ガタガタ

ツーーーーン

ザオボー「ウグッ!!」

グラジオ「……!?」ビクッ

ハウ「なんかくさいー!」ウルッ

しんのすけ「出た! とーちゃんの靴下攻撃!」

ザオボー「オオオオッ! オッ!! オオオオォォォ!!!」ジタバタジタバタ

ひろし「どうだ? 話してくれるか? 支部長」ツーン

ザオボー「話します! 話しますからもうやめて……ウェップ」

グラジオ(なんて臭いだ……そこらの毒タイプの放つ臭いとは比べ物にならない。ザオボーはこれを間近で受けているのか)

ザオボー(だからお子様と親バカは好きになれないんです……)ピクピク

676: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 20:25:46.92 ID:gw+EmeqQ0
エーテルパラダイス1階 ルザミーネの屋敷前広場

グラジオ「一気に行くぞ、ヌル……!」ダッ

ヌル「オォォォッ!!」ダッ

スカル団したっぱI「こいつらを止めろ!」

したっぱJ「グズマさんのお手を煩わせるな!」

ハウ「わー! スカル団のみなさん、いっぱいいるよー! 本当にスカル団にお仕事頼んでたんだー! すごいショックー!」

しんのすけ「エーテル財団も下着ドロボーだったのか!」

ひろし「なんでだよっ!」

ハウ「考えるのはあとだよねー! しんのすけ! スカル団、やっつけるよー!!」

しんのすけ「おっしゃー!」

ひろし「オレも靴の臭いでサポートするぜ!」バッ

677: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 20:26:18.16 ID:gw+EmeqQ0
したっぱI「行け、ラッタ!」

したっぱJ「あいつらを倒せ、ゴルバット!」

したっぱK「ヤドラン! ゴーッ!」

ラッタ「シャーッ!」ポンッ

ゴルバット「ゴルーッ!」ポンッ

ヤドラン「ヤン……」ポンッ

ハウ「いくよーガオガエン!」ヒョイッ

ガオガエン「ガルルルッ!」

しんのすけ「ネネちゃん! レッツラゴー!」

ヌイコグマ『どこからでもかかってきなさいよ!』

678: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 20:27:03.92 ID:gw+EmeqQ0
グラジオ「グズマ……!」

グズマ「グラジオ、ここまで来たってことはよ、生みの親に逆らうつもりってことだな?」ニヤッ

グラジオ「ああ、親が間違っていることをしてたら、逆らってでも止める!」

グズマ「ハッ、反抗期ってやつか。おまえのことは、ずいぶん気に入ってたんだがよ。この親不孝者が!」

グズマ「お前のその性根、ブッ壊してやらあ!」

グラジオ「孤独と戦ってきた日々で鍛えた力、ぶつける!」

グズマ「破壊という言葉が人の形をしているのが、このオレさまグズマだぜえ!」

679: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 20:28:55.23 ID:gw+EmeqQ0
ハウ「ガオガエン! DDラリアットー!」

ガオガエン「ガオォォッ!!」ギュルルルン!

バキッ!

ヤドラン「ヤン……」

しんのすけ「ピッピ人形を殴るように打ち込めー!」

ヌイコグマ『ふんっ!』ブンッ

ドズムッ!

ラッタ「シャッ!?」

ゴルバット「ゴルルッ!!」バサバサッ

ひろし「食らえっ!」バッ

ツーーン!

ゴルバット「ゴ、ゴルッ!?」ピクッ

したっぱたち「ひっ! く、クサッ!」フラッ

バタバタッ!

680: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 20:29:48.93 ID:gw+EmeqQ0
ひろし「フッ、この臭いに勝てる奴などいるものか」ハキハキ

しんのすけ「」

ハウ「」

ひろし「……お前ら嗅いでねえだろ! わざとらしく気を失うな!」

したっぱL「あのオヤジが一番厄介だな! おい、あのオヤジをやれ!」

ひろし「しんのすけ! ハウくん! ここは俺が引き受ける! お前らは早く代表のところへ行け!」

しんのすけ「とーちゃんは?」

ひろし「後で行くぜ! とーちゃんを信じろ、しんのすけ!」

しんのすけ「……とーちゃんはいつか、課長になれるよ!」ダッ

ひろし「課長どまりかよ!」

ハウ「おれは残るー。おじさん、ポケモン持ってないでしょー? おれが手伝ってあげるー!」

ひろし「ハウくん……! よし、臭いに巻き込まれないよう気をつけろよ!」

ハウ「うんー!」

681: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 20:32:32.16 ID:gw+EmeqQ0
しんのすけ「ほっほーい、クジラくーん!」

グラジオ「クッ……強くなってない。孤独と戦ってきた日々、まるでムダだったというのか……」ガクッ

ヌル「オ、オオ……」ピクピク

しんのすけ「クジラくん、ヌルヌルくん、せーり痛?」

グラジオ「……ホントにそう見えるなら眼科行けっ!」

グズマ「ブッ壊しても、ブッ壊しても、手を緩めなくて嫌われるグズマ様が、ここにいるぜ」

しんのすけ「よ! くさやのおじさん」

グズマ「グズマだ! そこのおぼっちゃんは、オレさまが壊してやったよ。家を飛びだし……強くなりたいって、スカル団に来たりしてよ。それなりに気に入ってたがよ……。生みの親に逆らうなんて、親不孝にもほどがある!」

しんのすけ「えっ? クジラくんとくさやのおじさんって親子なの?! ってことはクジラくんがお父さん?」

グズマ「ちげぇよ! バカかお前は!」

グラジオ「勘違いするにしても逆だ……!」

しんのすけ「ほーほー」

グズマ「そんで、次はお前をブッ壊す番だ。いつまでもチョロチョロまとわりつく、目障りなじゃがいも小僧が!」

グズマ「お前のじゃがいも頭ブッ壊して脳みそストローでチューチューすすってやるぜクソボーズ!!」

682: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 21:05:41.19 ID:gw+EmeqQ0
スカル団ボスの グズマが
勝負を しかけてきた!

グズマ「オラァ行けっ! グソクムシャ!」ヒョイッ

グソクムシャ「ズモォォォッ!!」ポンッ!

しんのすけ「…………」

――グソクムシャ「ズモォォォッ!!」ドスドスドス!

――しんのすけ! であいがしらは出した瞬間のみだが、必ず先制できる技だ! グソクムシャの得意技だよ!

しんのすけ「ボーちゃん! レッツラゴー!」ヒョイッ

ミミッキュ『ボッ!』ポンッ!

グズマ「挨拶がわりにであいがしらをブチかませ!」

グソクムシャ「ズモォォォッ!!」ドスドスドス!

ドゴッ!

ミミッキュ『ボ! 早い!』カクン

しんのすけ「ボーちゃん、今だ!」

ミミッキュ『オッケイ』バチチチッ!

グソクムシャ「ググッ!?」ビリビリ

683: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 21:07:23.95 ID:gw+EmeqQ0
グズマ「こいつ……麻痺にしやがったか」

ミミッキュ『ボーッ!』ジャキンッ!

グソクムシャ「グモッ!?」ザクッ!

ミミッキュ『もう一度!』ジャキン!

グズマ「今だ! ふいう――」

しんのすけ「ボーちゃん、一旦戻ったほうがいいよー!」

ミミッキュ『ボ! 分かった』サッ

グズマ「チッ……ふいうちを読んだな」

グズマ「グソクムシャ! いったん戻りな!」シュンッ!

ミミッキュ『ポケモンを取り換えた……?』

しんのすけ「ワッハッハッハッ、ボーちゃんに恐れをなして逃げたか!」

グズマ「ハッ――行きな! アリアドス!」ヒョイッ

アリアドス「シャーーッ!!」ポンッ

グズマ「アリアドス、どくのいとだ!」

アリアドス「シャーッ!!」ブシュッ

684: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 21:08:18.16 ID:gw+EmeqQ0
しんのすけ「あっ! ネネちゃんみたいに図体がおっきいと抜け出せないから気を付けて!」

ヌイコグマ(ボール)『どういう意味よ!』

ミミッキュ『ボーッ!』ジャキンッ

ザクザクザクッ!

どくのいとをシャドークローで切り裂いた瞬間、ボーちゃんの背後にアリアドスが現れた!

グズマ「クロスポイズンだ!」

アリアドス「シャッ!!」ブンッ

ザクザクッ!

ミミッキュ『うっ……!』ブルッ

しんのすけ「ボーちゃん、大丈夫?」

ミミッキュ『たぶん、毒を受けたかも。これから光の壁を張って、アリアドスにのろいをかけてくる』

しんのすけ「のろい?」

ミミッキュ『しんちゃんは、次のポケモンを出す準備しといて』

しんのすけ「ほいっ」コクン

685: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 21:09:30.43 ID:gw+EmeqQ0
ミミッキュ『ボーッ!』ピカー!

グズマ「あん? 光の壁か? 面倒なことしやがる。アリアドス! かげうちだ!」

アリアドス「シャーッ……」ブゥゥン

ミミッキュ『ボ!?』ドカドカッ

ボーちゃんの影からアリアドスが現れて、攻撃を加える。
しかし、振り向きざまにボーちゃんの目が妖しく輝く!

ミミッキュ『……ボ!』ギンッ!

アリアドス「シャ……!?」ドクン!

グズマ「ん……?!」

ミミッキュ『しんちゃん……交代』ハァハァ

しんのすけ「ボーちゃん、ごくろーさん」シュンッ

686: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 21:10:35.46 ID:gw+EmeqQ0
しんのすけ「マサオくん! レッツラゴー!」ヒョイッ

ヨワシ(群)『うっしゃあ! ヤローども、行くぜい!』ポンッ

グズマ「あん時のヨワシ……。さっきのミミッキュといい、バカなわりに面倒なの連れてやがる」

しんのすけ「マサオくん、思いっきり行っちゃえー!」

ヨワシ『おうっ! ウラウラのときはほとんどだらしねぇところ見せちまったが、汚名返上だぜ! ファイヤーッ!』ブシャーッ

マサオの口から勢いよくみずでっぽうが放たれる。

アリアドス「シャッ?!」ドドドッ!

グズマ「アリアドス! もう一度どくのいとだ!」

アリアドス「シ、シャーッ!!」ブシュッ

グズマ「そんなでけぇ図体じゃ避けようもねえだろうよ!」

しんのすけ「押し返しちゃえ!」

ヨワシ『やらいでかっ!』バシュッ!

マサオのみずでっぽうと、アリアドスのどくのいとが互いに迫っていく!

アリアドス「シャアッ……!」ズドドッ!

687: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 21:11:34.37 ID:gw+EmeqQ0
ヨワシ『うっ……糸が!』

マサオにどくのいとが締め付けられたものの、アリアドスの体力も限界を迎えた。

アリアドス「シ……シャッ」ガクッ

グズマ「おうおう、ヤツはどくに出来たみたいだな。よくやったぜ、アリアドス」シュン

ヨワシ『……このくらい!』ググッ

しんのすけ「ちょっとずつヨワシくんが逃げちゃってるけどね」

ジュナイパー(ボール)『やっぱり、でかさが仇になってる時があるね』

しんのすけ「群れなんだから、バラバラになれないの?」

ヨワシ『バラバラ?』

ジュナイパー『なるほどね! 群れを一旦散り散りにさせて技を回避したあと、もう一回戻るんだよ!』

ヨワシ『……考えてみるぜ。すぐにできることじゃねぇけどよ』

グズマ「カイロス、出てこいやぁ!」ヒョイッ

カイロス「カイロォォッ!」ポンッ

しんのすけ「おおっ、新手か!」

ヨワシ『誰が来ようが関係ねぇ! ぶっ飛ばしてやるぜぇ!』ブンッ

688: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 21:13:20.46 ID:gw+EmeqQ0
マサオは全身を一回転して尾ひれ(の形に群れたヨワシ)をカイロスに向けて叩きつける!

カイロス「カイッ!」メキッ!

マサオのアクアテールを食らって、地面にめり込んだものの、カイロスは尾ひれを挟んだ!

グズマ「よーし! そのままやまあらしだ!」

カイロス「ロォォォッ!!!」グワァァ

ヨワシ『な、なにっ!?』ズズズ

しんのすけ「おーっすげー! マサオくん持ち上げてる!」

ジュナイパー(ボール)『関心してる場合かよ!』

カイロス「ォォッ!!」ブゥンッ

ズシンッ!

ヨワシ『うわぁっ!』バララーッ

ヨワシ(単)『ううっ……』

689: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 21:14:07.11 ID:gw+EmeqQ0
グズマ「へっ、群れが散ったみてえだな。所詮、群れのないヨワシなんて文字通りの雑魚だよ。ぶっ壊す価値もねぇ。とっとと引っ込めな」

しんのすけ「マサオくんは雑魚なんかじゃないもん!」

ヨワシ『し、しんちゃん……』

しんのすけ「ところで雑魚ってどういう意味だっけ?」

ヨワシ「」ズルッ

グズマ「……おまえのバカなやりとりに付き合うつもりはねぇよ。カイロス、かわらわりで止めさしちまえ!」

カイロス「カイッ!」ドタドタッ

ヨワシ『ひっ、ひいいっ……!』ビクビク

カイロス「ロオオオッ!」ブンッ!

しんのすけ「マサオくん!」

ヨワシ『――ッ!』スゥゥゥッ

ブシャアアアアッ!

カイロス「!?」ドドドドッ

690: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 21:15:07.71 ID:gw+EmeqQ0
しんのすけ「おー! やるじゃん」

ヨワシ『ハァハァハァ……』

グズマ「今のはハイドロポンプか? しぶてぇヤツだ! とっととやっちまえ!」

カイロス「ロォォッ!」ブンッ!

ヨワシ『うわぁぁっ!』ドカッ

ドサッ

ヨワシ『し、しんちゃん……も、限界だよ……』ピクピク

しんのすけ「ほい、マサオくん頑張りましたな」シュンッ

しんのすけ「じゃあ次カザマくん――」

ヌイコグマ(ボール)『ちょっと待って、あたしが出ていい? あのグソクムシャにリベンジしたいの』

ジュナイパー(ボール)『えぇ? だったら先に僕がカイロスを倒したほうが――』

ヌイコグマ(ボール)『いいでしょ? カザマくんはアセロラさんの試練で出番もらったんだし』

ジュナイパー(ボール)『わ、わかったよ……』

しんのすけ「じゃあネネちゃん、レッツラゴー!」ヒョイッ

ヌイコグマ『今度こそあいつにリベンジしてやるわっ! とっととカイロスをやっつけちゃいましょ』ポンッ

691: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 21:16:51.55 ID:gw+EmeqQ0
グズマ「あのヌイコグマか。さっきの奴らと比べりゃ大したことねぇ相手だ。カイロス、もう一度かわらわりだ!」

カイロス「カイッ!」ブンッ!

ヌイコグマ『あんたなんかに用はないのよ! とっとと失せなさい!』ブンッ!

ググググッ

ヌイコグマ『ふぬぬぬっ……!』ググッ

カイロス「ロォォォッ」ググッ

ネネの腕とカイロスのハサミがつばぜり合いをするようにぶつかりあう!
しかし、先に動いたのはネネだった!

ヌイコグマ『ふんっ!』ガシッ

カイロス「カイッ!?」

ヌイコグマ『おぉぉりゃぁぁっ!』ブゥンブゥン

しんのすけ「久しぶりに見た、ネネちゃんのぶんまわし……」

ヌイコグマ『ふんっ!』ブンッ!

ヌイコグマに投げ飛ばされたカイロスは、壁に激突する!

ズズンッ!!

カイロス「ロォォッ……」ガクッ

692: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 21:18:05.61 ID:gw+EmeqQ0
グズマ「ケッ……相変わらずの怪力だ。カイロス、戻んな」シュンッ

グズマ「後はお前だけだ! グソクムシャ!」ヒョイッ

グソクムシャ「ズモォォォ……ッ」ポンッ!

ヌイコグマ「やっと出てきたわね。マリエ庭園でのお返し、たっぷりすr」

グズマ「であいがしらだ!」

グソクムシャ「ズモォォォッ!!」ドスドスドス!

ドカッ!

ヌイコグマ『……っと! そう何度もさせないわよっ』グググッ

グソクムシャ「ズモォォ!」

ヌイコグマ『あーら、最初にやった時よりずいぶん動きが遅いじゃない』ニヤッ

しんのすけ「ボーちゃんがまひまひにさせましたからー」

ヌイコグマ『まぁ、それなら今度、リアルおままごとでいい役をやらせなきゃね』

ミミッキュ(素直に喜べない……)

693: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 21:20:17.92 ID:gw+EmeqQ0
グズマ「グソクムシャ! シェルブレードだ!」

グソクムシャ「ズモォォッ!」ブンッ!

振り下ろされるシェルブレードに対して、すかさずネネは横へ回避するとグソクムシャの腹に向けて拳を突っ込む!

ヌイコグマ『ネネ・パーンチッ!!(カウンター)』ブンッ

グソクムシャ「ズモッ!?」ドスンッ!

ヌイコグマ『そしてネネ・タックル!(とっしん)』ドンッ!

グソクムシャ「ズモォッ!」

しんのすけ「そろそろ避けたほうがいいよー」

ヌイコグマ『まだいけるでしょ! これでとどめよっ! ネネ・パーン……』

グソクムシャ「ズモォッ!」ブンッ

ドンッ!

ヌイコグマ『きゃっ!』フラッ

しんのすけ「あーん、だから戻ったほうがいいって言ったのに」

グズマ「歴史は繰り返すってな!」

694: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 21:21:11.04 ID:gw+EmeqQ0
グズマ「調子に乗ってると、そうやって不意打ちされてブッ壊れるキッカケになるのさ。そこのお坊ちゃんのようにな!」

グラジオ「くっ……!」

グズマ「こっから一気にブッ壊してやるぜぇ! グソクムシャ! シェルブレード!」

グソクムシャ「ズモッ!」ブンッ!

ヌイコグマ『痛いっ!』ザンッ!

グズマ「そらそらァ! どんどん行くぜぇ! グソクムシャ、アクアジェットだ!」

グソクムシャ「ズモォォォォッ!!」ドドドドッ!

ヌイコグマ『ううっ!』ドンッ

ジュナイパー(ボール)『ネネちゃん! ライチさんとの戦いでしたように、一度攻撃を我慢して耐えて一気に攻めるんだ!』

ヌイコグマ『わかって……るわよ!』ググッ

グズマ「もう一度シェルブレード!」

グソクムシャ「ズモォォッ!」ブンッ!

ヌイコグマ『く、ううっ!』ザシュッ

ヌイコグマ『はぁ……はぁ……!』

695: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 21:21:46.42 ID:gw+EmeqQ0
グズマ「まさに虫の息ってな! そろそろ、ブッ壊すとするか」

しんのすけ「ネネちゃん、また負けちゃうよ? 悔しくないの?」

ヌイコグマ『悔しいに決まってるでしょ! 同じ相手に負けちゃうなんて、そんなのイヤッ!』

しんのすけ「じゃあ、今思いっきり行っちゃえ!」

ヌイコグマ『うんっ!』ダッ!

ドドドドド!!

ヌイコグマ『うおおおおっ!』

咆哮とともに、今までがまんして溜めてきたエネルギーを解放した、その時!

カッ!

グズマ「なにっ!?」

しんのすけ「ネネちゃんも光った!」

696: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 21:24:25.67 ID:gw+EmeqQ0
ジュナイパー(ボール)『進化だよ! ネネちゃんが進化するんだ!』

まっすぐグソクムシャに突進しながら、ネネの身体がどんどん巨大化していく。
女の子が抱きかかえられるぬいぐるみから、しんのすけはおろか、グズマでさえ見上げるほどの巨躯へと変わってゆく!

ズズズズ!!

グズマ「グソクムシャ! アクアジェットで止めろ!」

グソクムシャ「ズモォォッ!!」ドドドッ!

ドンッ!

グソクムシャは進化を阻止しようとネネに攻撃を仕掛けようとするが、先ほどのネネとは比べ物にならない力で、アクアジェットを食い止められた。

???「…………」ググッ

グソクムシャ「ズモ……!?」

???『おりゃああああっ!!』ゴウッ!

バキッ!

グソクムシャ「ズモォォォッ!?」グワッ!

697: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 21:25:09.80 ID:gw+EmeqQ0
光に包まれたネネがグソクムシャの下顎にアッパーを食らわせると、彼の身体が一度宙に浮かんだ!
かろうじて着地して体勢を整えるが、進化したネネのパワーに、全員が驚愕していた。

グズマ「なん……だと?」

グラジオ「……!」

しんのすけ「おおーっ! ネネちゃん!」

キテルグマ(ネネちゃん)『あたしを舐めるんじゃないわよ!』

進化の光が払われると、ネネはヌイグルミの姿から一転、ピンクと黒の体表が目に付く着ぐるみのような姿――ごうわんポケモンのキテルグマに変わっていた。

しんのすけ「ネネちゃんずいぶん太りましたなー大きくなったゾ」

キテルグマ『あ゛あ゛? 誰が太ったですってぇ?!』ドスドスッ

しんのすけ「おわわっ! なんでもないなんでもない!」

グズマ「なんて奴だ。また進化させやがっただと……」

グソクムシャ「ズモ……ォォッ!」ユラッ

しんのすけ&キテルグマ「!」

698: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 21:26:53.82 ID:gw+EmeqQ0
キテルグマ『しんちゃん! Zワザで決めちゃいましょ!』

しんのすけ「おうっ!」

バッ! シュッ! ブリッブリッブリッ! 

ピカッ! ゴウッ!!

ネネは Zパワーを 身体に まとった!

ネネが 解き放つ
全力の Zワザ!

ぜ ん り ょ く む そ う げ き れ つ け ん !

キテルグマ『オラオラオラオラオラオラオラオラ!!』

グソクムシ「グッ、グモッ!?」

ゼンリョクのネネが放つ無数の拳がグソクムシャを襲う!

ドゴドゴドゴドゴドゴ!!!!

キテルグマ『オラァッ!』バキッ!

699: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 21:28:06.24 ID:gw+EmeqQ0
グソクムシャ「グモォォッ!!」

フィニッシュに、キテルグマ自身がオーラを纏って突っ込む!

しんのすけ「ネネちゃん! ファイヤー!」

キテルグマ『おりゃああああっ!』

ドドドドドドド!!!

ドッゴォ!!

グソクムシャ「グモォォォッ!!」

ドサッ ゴロゴロ

グソクムシャ「グ、グモ……」ガクッ

グズマ「グソクムシャ――」

キテルグマ『……ふうっ! ようやくリベンジできたわ』

しんのすけ「まいったか! これがオラたちのゼンリョクだゾ!」

グズマ「…………!」ブルブル

グズマ「グズマァ!! なにやってるんだああ!!」ガクガクッ

700: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 21:28:42.16 ID:gw+EmeqQ0
しんのすけ「おおっ、また騒いでる。くさやのおじさんカルシウム足りないのかな……?」

グズマ「しょうがねえ……通りな!」スッ

しんのすけ「あ、どうもねー」テクテク

グラジオ「しんのすけ……! 後でオレも追いつく! リーリエと母上を頼む!」

しんのすけ「ほいほーい!」

しんのすけ(ん? 母上?)

グズマ(……あのじゃがいも小僧をブッ壊すには! 俺様をブッ壊すほど追い詰め、自分自身を強くしないとな!!)ガンッ!

701: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 21:31:08.56 ID:gw+EmeqQ0
ルザミーネの屋敷 屋内

ウィーン!

しんのすけ「ほっほーい! リーリエちゃん生きてる?」

リーリエ&ルザミーネ「……!」

しんのすけ「あ、ルザミーネのおねいさん、やっほ~!」フリフリ

リーリエ「ウソ……です。しんちゃんが、助けに来てくださるなんて……」

しんのすけ「なんか文句ある?」

リーリエ「そ、そういうわけじゃないですけど……」

ルザミーネ「ふうん、知り合いなの。しんのすけ君のような素直で可愛いコと、あなたが仲良くしてるの。わたくし、がっかりです」

しんのすけ「そうかっかしないでおねいさん。オラとリーリエちゃんの仲を嫉妬するのはわかりますけど、別に恋人じゃありませんから……」

リーリエ「かあさまの許しがなくても! わたしはコスモッグを助けます!!」ムシ

ルザミーネ「あなた……よく分からないことを言うのね。だってわたくしには、娘も息子もいないのよ?」

ルザミーネ「わたくしの愛を受け入れずに、いなくなる子供たちなんて!」ギロリ!

リーリエ「……!」

しんのすけ「え? え?」

702: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 21:32:47.70 ID:gw+EmeqQ0
リーリエ「……!」

しんのすけ「え? え?」

ルザミーネ「それにリーリエ、あなたになにかできて? 親を説得できない! トレーナーとしての強さもない! やったことと言えば、人の実験材料を黙って持ち出したことぐらい」

しんのすけ「あと、方向音痴だったり寄り道して買い物したり」

リーリエ「しんちゃん、今は黙っててください……!」

ルザミーネ「美しさが足りていないのよ……。まあ、いいとしましょう! せっかくですから、ビーストちゃんを招くところ、ご覧なさい」

しんのすけ「ビーストちゃん……?」

リーリエ「ワガママではありません。お願いなのです……! かあさま! ビーストのためにコスモッグを犠牲にしないで!」

リーリエ「ウルトラホールを開ければ……! コスモッグ……死んじゃう……!」

ルザミーネ「そうよね、死んじゃうかも。だって、コスモッグの能力を無理やり使っちゃうもの!」コツコツ

しんのすけ「……!」ピクッ!

703: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 21:33:31.35 ID:gw+EmeqQ0
スウッ

ルザミーネ「あなたがわたくしの子供なら、少しは考えてあげたかも……なんてね!」ニイッ!

ブゥン

しんのすけ「消えちゃった……」

リーリエ「……しんちゃん、来てくださってありがとうございます」

しんのすけ「まったく、オラがいないとダメなんだから」

リーリエ「そう……ですね。なのにわたし……ワガママしか言えなくて……」

しんのすけ「ほしぐもちゃん、危ないの?」

リーリエ「……はい」

リーリエ「お願いです……ほしぐもちゃんを……! ほしぐもちゃんを助けてくださいッ!」

しんのすけ「よーし、じゃあ行きますか!」

リーリエ「はい! あのワープパネルで追いましょう!」

704: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 21:34:26.71 ID:gw+EmeqQ0
ルザミーネの屋敷 秘密の地下室

しんのすけ達がルザミーネを追ってワープすると、真っ白な部屋へたどり着いた。

しんのすけ「なにあれ? ポケモン?」キョロキョロ

リーリエ「えぇ……なんですか……?」キョロキョロ

しんのすけ&リーリエ「!」

ルザミーネ「はやくこちらにいらっしゃい」ニヤニヤ

しんのすけ「あれなーに?」

ルザミーネ「あら、しんのすけ君、わたくしのコレクションに興味があるのかしら」

しんのすけ「こねくしょん?」

ルザミーネ「これはわたくしの愛する子供たち……。ポケモンを永遠に飾るの」

リーリエ「そんな……!」

凍ったピカチュウ「」

凍ったヤドン「」

凍ったナマコブシ「」

しんのすけ「みんな凍ってる……」

705: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 21:35:12.97 ID:gw+EmeqQ0
ルザミーネ「しんのすけ君も、ここのコレクションに加えようかしら?」

しんのすけ「えっ……オラ、いい」ビクッ

ルザミーネ「そう、残念……」

リーリエ「かあさまッ!」

ルザミーネ「まぁいいわ。ねぇしんのすけ君、以前保護区に来たとき、ビーストちゃんと戦ったでしょう? あの時、あなたはビーストちゃんがどんなふうに見えたかしら?」

しんのすけ「んっと……オラを見て一目ぼれした!」

ルザミーネ「ふふ……相変わらず、面白いこと言うのね。わたくしには、こちらの世界に来て、戸惑って暴れちゃったように見えたの」

しんのすけ「ほーほー……」

ルザミーネ「だけど、ケースに閉じ込めるのはかわいそうなのよね……。だからアローラで、気ままに暴れてほしいなって思うの」

しんのすけ「かわいそうならなんで自慢の子供は閉じ込めてんの……?」

ひろし&ハウ「しんのすけーっ!」ドタドタッ

グラジオ「リーリエ!」タタタッ

リーリエ「!」

しんのすけ「とーちゃん! ハウくん! クジラくん!」

706: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 21:36:40.70 ID:gw+EmeqQ0
ハウ「あーリーリエ!! わーよかったー!!」ピョンピョン

ひろし「あの子がリーリエちゃんか。それにしても、この部屋……代表はずいぶんまともじゃねぇな。しんのすけ、大丈夫か?」

しんのすけ「まぁね」

ルザミーネ「あら、ハウくんとひろしさんまでいらしたの? ……ふぅ、グズマもだらしないコ」ヤレヤレ

グラジオ「オレからも頼む。ウルトラホールは開けるな! ビーストを暴れさすとか、ない!」

ルザミーネ「…………」コツコツ

グラジオ「…………」

リーリエ「…………」オロオロ

ルザミーネ「コスモッグを連れだす娘に、タイプ:ヌルを奪った息子……。あれだけ愛情を注いだのに、わたくしは裏切られたのよ? 今更なにを聞くと言うの!」ギロッ!

グラジオ「……!」キッ!

ひろし「なに……?」

707: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 21:37:35.52 ID:gw+EmeqQ0
ハウ「へえ、娘に息子……」

リーリエ「……」

グラジオ「……」

ハウ「って、えー!! リーリエたち家族なのー!?」

しんのすけ「ハウくん鈍いなぁ」

ハウ「嘘つけーしんのすけも今知ったでしょー!」

ルザミーネ「元家族ね……ハウくん。その人たちは、出ていったのだから」

ひろし「代表……あんたは、本気でそう言ってるのか? 自分の娘と息子だぞ!」

ルザミーネ「なにをおっしゃっているのですか? ひろしさん。親の言うことに従えない子供を、なぜ娘と息子として扱わなければいけませんの?」

ひろし「リーリエちゃんとグラジオくんは、お前の欲を満たす道具だっていうのか?!」

ルザミーネ「ひろしさん……。あなたは聞き分けのいい息子さんを持っているから理解しがたいでしょうね。その子達がわたくしの愛を受けながら身勝手な理由で裏切ったせいで、ここがどれだけの損害を被ったか、どれだけめちゃくちゃになったか分かりますか?」

ひろし「それはお前が子供たちの言葉を聞かなかっただろうが! なんで耳を傾けなかったんだ!」

リーリエ「……」

グラジオ「……ひろし」

708: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 21:38:46.11 ID:gw+EmeqQ0
ルザミーネ「当然でしょう? この子達は黙ってわたくしの愛を受けて、美しく育っていればそれで良いのですから。わたくしに歯向かうような言葉なんてそんなコト、口を開くことすら許しませんよ」

ひろし「てめぇ、同じ親として許せねぇ……なんてやつだ」ワナワナ

ルザミーネ「というか、そんな下らないこと、どうでもいいの! 財団に残されたコスモッグのガスだけで、ウルトラホールが開いたでしょう?」

ハウ「あの時の揺れかー!」

ルザミーネ「ケージの中のコスモッグをまるごと使えば、ウルトラホールもたくさん……。ふふっ、どれだけのビーストちゃんが来るのかしら?」クルッ

ほしぐもちゃん「ぴゅ……!」

リーリエ「お願い……やめて……。ほしぐもちゃん……力を使うと、動けなくなるの……パラダイスから逃げたあともしばらく……固まっていて……」

リーリエ「力を使いすぎたら、本当に死んじゃいます……!」

しんのすけ「……とーちゃん」ボソッ

ひろし「……ああ」ヌギッ

709: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 21:41:20.38 ID:gw+EmeqQ0
ルザミーネはリーリエの言葉を無視し、コスモッグの入ったケージを手に持って、しんのすけたちへこれみよがしにぶらさげた。

ルザミーネ「ほら……ウルトラホールを開けるから、おいでなさいビーストちゃ――」

ひろし「しんのすけ! 行けっ!」バッ!

しんのすけ「ほいっ!」ダッ!

ひろしが片方の靴を飛ばすと、走り出したしんのすけが素早くキャッチ。そしてしんのすけは目にも止まらぬスピードで、ルザミーネへ一気に距離を詰めた!

しんのすけ「くらえっ! とーちゃんの靴攻撃!」バッ!

ルザミーネ「!?」

ツーーーン!!

ルザミーネ「ウッ! ゴホッゴホッ!」

パシッ!

しんのすけ「ほしぐもちゃんいただき!」ダッ!

グラジオ「!」

リーリエ「しんちゃん……!」

ひろし「みんな! ここから逃げるぞ!」ダッ

710: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 21:42:24.17 ID:gw+EmeqQ0
リーリエ「は、はいっ!」

ハウ「待って待ってー!」ダッ

ケージを抱えるしんのすけを先頭に、みんながワープパネルに向かうと、今度はグズマが現れる!

グズマ「代表! 首尾はどう……」

ルザミーネ「グズマ! しんのすけ君を捕まえなさい!」

グズマ「だ――?」

しんのすけ「あ、やば」

???「……!」ヒュンッ!

金ッッ!

グズマ「おおーーーーーッ!! おっ! おおーーーっ!!」

ロトム図鑑「ん~変な感触だ……」

711: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 21:43:08.93 ID:gw+EmeqQ0
ハウ「あーっ!」

しんのすけ「ぶりぶりざえもん!」

ロトム図鑑「職員に解体されかけたから逃げてきた」

グラジオ「なにをしてる! 早く行くぞ!」ダッ

シュン! シュン! シュン!

グズマ「あ……ああっ……あ……きんのたまが……」ビクッビクッ

ルザミーネ「……なんてひどいの!」ワナワナ

ルザミーネ「グズマ! 早く追いなさいっ!」ゲシッ!

グズマ「あ、ああっ、わかってる! あのじゃがいも小僧ッ……!」マタヲオサエナガラハシルッ

シュンッ!

ルザミーネ「……行きなさい! 愛しい子供達! コスモッグを取り戻しなさい!」スッ

712: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 21:44:13.59 ID:gw+EmeqQ0
エーテルパラダイス1F 

ドタドタドタ!

ハウ「でかしたよー! しんのすけー!」

しんのすけ「いやぁそれほどでもー!」

グラジオ「船着場に向かうぞ!」

マチヤガレェ!

みんな「!」

グズマ「うおおおお! コスモッグをよこしやがれぇぇ!!」ダダダダダッ!

ハウ「わー! 追ってきたよー!」

ひろし「エレベーターに乗るぞ!」

リーリエ「はいっ!」

ズルズルッ!

ミロカロス「ミロォォッ!」

ハウ「わー! ミロカロス?!」

リーリエ「あのポケモンさんは、かあさまの……!」

713: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 21:45:27.99 ID:gw+EmeqQ0
ミロカロスがれいとうビームを放つと、エレベーターが凍りついてしまった!

ビキビキビキッ!!

リーリエ「エレベーターが……!」

グラジオ「仕方がない! 住居区の非常階段を下るぞ!」

ドタドタドタッ!!

ひろし「あの奥が居住区だ!」

スーッ
バリンッ!

ムウマージ「ヒヒヒッ!」ユラァ

キテルグマ「クーーーーッ!!」グワッ

しんのすけ「おわっ、こっちにもネネちゃん?!」

グラジオ「違う! あれも母のポケモンだ! ハウ、行くぞ!」スッ

ハウ「わかったー! ここはおれたちがやるから3人は急いでー!」

ひろし「2人とも、頼んだぜ!」ダッ

リーリエ「にいさま! ハウさん! 気をつけて……!」ダッ

しんのすけ「お風呂入れよー」ダッ

714: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 21:46:04.87 ID:gw+EmeqQ0
グラジオ「行くぞ! ヌル!」ヒョイッ

ハウ「ガオガエン! 出番だよー!」ヒョイッ

ヌル「オオォォォッ!!」←回復済み

ガオガエン「ガォォォッ!!」ポンッ

ハウ「グラジオー。負けられない戦いって、揺るがない強さがいるんだねー!」

グラジオ「ああ、だが……ロイヤルドームでのオマエの言葉こそが、真実かもな」

ハウ「そうかなー? まぁいいや! ガオガエン! ムウマージにDDラリアット!」

グラジオ「ヌル! キテルグマにエアスラッシュ!」

ガオガエン「ガオォォッ!!」ギュルルルン!

ヌル「オォォォッ!」ブンッ!

715: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 21:46:43.72 ID:gw+EmeqQ0
エーテルパラダイス 職員居住区

ドタドタドタッ!!

しんのすけ「リーリエちゃん大丈夫?」

リーリエ「だいじょう……ぶです!」ゼェゼェ

サッ!

ピクシー「ピッピクシーッ!」

しんのすけ「また来たーっ!」

ひろし「どきやがれ! このっ!」バッ

ツーーーン!!

ピクシー「ギエピー!!」ビクビクッ

716: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 21:47:18.18 ID:gw+EmeqQ0
しんのすけ「とーちゃん!」タタタッ

リーリエ「大丈夫ですか?」タタタッ

ひろし「……そうだ! リーリエちゃん、バッグを!」パカッ

ひろしがゲージを開くと同時に、グズマが接近してくる!

グズマ「逃がさねぇぞてめぇら! さっさとそいつをよこせっ!」ダダダッ!

ひろし「こんな箱! 欲しけりゃくれてやるっ!」ぷ ―・

グズマ「おっとと!」パシッ!

パカッ

ロトム図鑑「いや~ん見ちゃめ///」

717: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 21:47:58.96 ID:gw+EmeqQ0
グズマァ! ナニヤッテルンダァァ!!>
ブヒィィィィィ!!>

ひろし「さ、行け! あいつらは俺が止める!」

ほしぐもちゃん(inバッグ)「ピュ……」

リーリエ「ありがとうございます!」ダッ

しんのすけ「名刺じゃないのね」ダッ

ひろし「かかってこいっ! フタバカンパニー営業二課係長野原ひろしが相手だ!」

ピクシー「ヤロー!」

718: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 21:51:05.18 ID:gw+EmeqQ0
しんのすけ「もう少しで非常階段だよ!」

リーリエ「はいっ!」

ズルズルズルッ

ミロカロス「ミロォォォッ!!」グワッ

ドレディア「ドレディー」

リーリエ「ま、またっ!」

しんのすけ「ぬーっ、しつこい奴らだなー! しつこいってどんな意味だっけ、くそっ!」

ミロカロス「ミィロォォッ!」ズピーッ!

しんのすけ「!」ダッ!

リーリエ「しんちゃんっ!」

しんのすけ「とおーっ!」ピョンッ!

ミロカロスのれいとうビームをジャンプして回避すると、そのままミロカロスの頭に向かってお尻を出しながらダイブした!

ミロカロス「ミロッ!?」

しんのすけ「くらえーっ!」

ブッ!

719: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 21:51:47.77 ID:gw+EmeqQ0
ミロカロス「オオォォッ!!」ジタバタジタバタ

リーリエ「…………」アゼン

しんのすけ「よーし! カザマくんボーちゃんレッツラゴー!」ヒョイッ

ジュナイパー『任せてくれ!』ポンッ

ミミッキュ『ボ!』←こちらも回復済み

しんのすけ「さ、リーリエちゃん!」ダッ

リーリエ「は、はいっ!」ダッ

ミロカロス「ミッ、ミロォォッ!!」ズピーーッ!!

ドレディア「ディア~ッ!!」バサバサバサッ!!

720: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 21:52:31.75 ID:gw+EmeqQ0
ミロカロスはれいとうビームを、ドレディアははなびらのまいを、カザマたちに向けて放つ!

ミミッキュ『ボーッ!』カッ!

しかし、素早くボーちゃんがカザマの前に立つとすぐさま光の壁を張った! れいとうビームと無数の花びらが弾かれて、周囲の壁を破壊する!
すかさず、カザマが影の矢を翼につがえる!

ジュナイパー『やあっ!!』ドシュドシュッ!!

ドカンッ! ドカンッ!

ミロカロス「ミロッ!」

ドレディア「ドレッ!?」

ミミッキュ『カザマくん、僕がミロカロスとドレディアの動きを止める。合図を出したら、すぐに威力の高い攻撃を叩き込んで!』

ジュナイパー『分かった!』

721: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 21:53:34.04 ID:gw+EmeqQ0
エーテルパラダイス 船着場

しんのすけ「ついたー! ゴール!」

リーリエ「にいさまの……ふねは?」ハァハァ

しんのすけ「てゆうかリーリエちゃん、船動かせんの?」

リーリエ「えっ?」

しんのすけ「お?」

しんのすけ「…………」

リーリエ「…………」

リーリエ「あ、あの、ではマサオさんのなみのりで……」

しんのすけ「あ、その手があったかー」

コツコツ……

ルザミーネ「ここにいたのね……」

しんのすけ&リーリエ「!」

ルザミーネ「さぁ、コスモッグを返しなさい」コツコツ

722: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 21:54:57.15 ID:gw+EmeqQ0
リーリエ「……!」

しんのすけ「リーリエちゃんには指一本触れさせないゾ!」バッ

ルザミーネ「……しんのすけ君、あなたにもがっかりです」

ガシッ

しんのすけ「うわぁぁ離せぇぇっ」ジタバタ

ルザミーネ「そこでおバカな頭を冷やしたらどう?」ポイッ

ザブン!

しんのすけ「うわっぷ!」ジャブジャブ!

723: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 21:55:24.29 ID:gw+EmeqQ0
リーリエ「しんちゃん!」

ルザミーネ「さあ、早くわたくしにコスモッグを渡しなさい!」

リーリエ「かあさまっ……!」フルフル

ルザミーネ「渡しなさいと言っているの!!」ギロッ!

リーリエ「い、いやです!」

ルザミーネ「…………」

ルザミーネ「……そう」スッ

バシンッ!!

724: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 21:56:39.64 ID:gw+EmeqQ0
激しい音が船着場に響いた。
頬を叩かれた勢いで、一瞬リーリエは自分は今、何をされたのかわからないまま、地べたへと崩れ落ちた。

リーリエ「――っ」

しんのすけ「あーっ! リーリエちゃんっ!」

ルザミーネ「ふぅ……いい加減目障りなのよ。あなた」

リーリエ「かあ……さま?」ガクガク

ルザミーネ「邪魔なのよ? わかる? もうあなたは必要ないの。いい加減コスモッグ、返してもらいます!」

ドッ!

リーリエ「うっ……!」

ルザミーネはハイヒールでリーリエを蹴るように押しのけると、彼女のバッグをもぎとった。

ルザミーネ「ふふ……これで邪魔されず、ビーストちゃんを呼び出せるわ」

ほしぐもちゃん「ぴゅ……ぴゅう」

ルザミーネ「あなたはこっちのゲージに入ってなさい!」

しんのすけ「こらーっ! ほしぐもちゃんになにするんだーっ! リーリエちゃんにも謝れーーっ!!」バシャバシャ

ルザミーネ「さぁ、おいでなさい! ビーストちゃん!」

725: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 21:57:52.67 ID:gw+EmeqQ0
ルザミーネがコスモッグの入ったケージを掲げると、ケージから光が漏れ出した。そして光が天井に到達すると、空間に穴が空き、ウルトラホールとなった。
同時にエーテルパラダイスを中心に、暗雲が広がっていき、アローラ地方に拡大していく。4つ島あちこちに、ウルトラホールがいくつも開かれていく。

そして、ホールの内側からビーストが現れてくる。この船着場に開かれたホールからも、しんのすけが保護区で対峙した、少女のシルエットを持つウルトラビーストが這い出てきた。

UB「じぇるるっぷ……」

ルザミーネ「まあ! アローラのあちこちにも!」

しんのすけ「リーリエちゃん、ほしぐもちゃん、大丈夫?」

リーリエ「…………」

ほしぐもちゃん「……ぴゅ」

ルザミーネ「もう……コスモッグったら、ケージの中でもうるさいわね。わたくしが好きなのは、あなたの能力だけですのに」

ルザミーネ「でもその能力……わたくしの役に立ったようね! 今頃アローラに、たくさんのビーストちゃんが来てるはず……!」

ルザミーネ「ほら……! アーカラ島やポニ島にも……メレメレ島にもいるみたいね……!! ウフフ!」

726: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 21:58:48.97 ID:gw+EmeqQ0
同時刻 メレメレ島 マハロ山道

ハラ「しまキングはやるキング♪」ドスンッ

ハラ「胸騒ぎを覚えれば……」

UB「…………!」ビリビリビリッ!!

ハラ「珍しい客ですな」

ハラ「しまキングとして……!」スッ

キランッ!

バチチチチッ!

ハラ「!」

UB「!」

カプ・コケコ「カプゥーコッコォーッ!!」

727: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 21:59:20.86 ID:gw+EmeqQ0
ハラ「守り神としてか、ただ戦いたいだけか」

空を見上げると、青と桃色、二つの光が。

ハラ「他の島も同じだろうか。頼みますぞ仲間たち……」

ハラ「しまキングとして、このハラ、お支えしますぞ!」

カプ・コケコ「カプゥーッ!!」ダッ!

UB「デンデンジュッ!!!」ビリビリビリッ!

728: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 21:59:57.38 ID:gw+EmeqQ0
エーテルパラダイス 船着場

ルザミーネ「うふふ……ビーストちゃん」

ドタドタッ

グズマ「代表……実験は成功なんだな」ニヤッ

ドタドタッ!

ひろし「しんのすけっ!」

グラジオ「リーリエ!」

ハウ「2人とも無事ー?」

ミミッキュ『あれがウルトラホール……!』

ジュナイパー『ウルトラビーストが……!』

ルザミーネ「やだ……無粋な人ばかり。ビーストちゃんが驚くでしょ」

ルザミーネ「グズマ、いらっしゃい。開発していたウルトラボールで、あのコ達を捕まえに行きますよ。正直、この数じゃまだ足りないもの」

グズマ「お、おうっ」

729: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 22:00:41.30 ID:gw+EmeqQ0
ひろし「お前ら! まさか!」

グラジオ「……!」

UB「じぇるるっぷ……」ブゥゥン

ルザミーネ「ふふふっ……ビーストちゃん」

グズマ「……はっ」

ウルトラビーストがホールの中へ戻っていき、グズマが後を追うように先に入っていく。

リーリエ「……かあさま」

ルザミーネ「フフ……」フリフリ

そして最後に、ルザミーネはしんのすけたちに不気味な笑みを浮かべながら、手を振り、歩き出す。

ブゥゥゥン

穴が小さくなっていき、ルザミーネたちの姿もホールの向こうへと消えていってしまった……。

730: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 22:03:42.91 ID:gw+EmeqQ0
ハウ「リーリエー大丈夫? どうしたのー?」

リーリエ「……」

しんのすけ「ほしぐもちゃんも、お元気?」

ほしぐもちゃん「…………」

グラジオ「どうした?」

しんのすけ「クジラくん、とーちゃん、ほしぐもちゃんが動かないの」

ひろし「姿もさっき見た時と違ってる……。生きてるみてぇだが……」

コツコツ

ビッケ「みなさま、ご無事で……」

ハウ「ビッケさん……」

グラジオ「そう……だな……」

ロトム図鑑「私は無事ではないぞ……」ボロッ

731: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 22:05:06.85 ID:gw+EmeqQ0
グラジオ「ただ、やることが山積みだけどな……。ウルトラホールに消えた代表とグズマ……動かなくなったコスモッグ……」

グラジオ「あんな人でも親だ。ビーストの世界に放っておいて良いわけない」

ひろし「グラジオくん……」

グラジオ「アローラで崇拝されていたという伝説のポケモンでもいれば、未知の世界にも行けるだろうが」

ハウ「いるよー! だってビーストもいるんだし。だから会えるよ、伝説のポケモンだって! ね、しんのすけ!」

しんのすけ「どうかな?」

ハウ「そこは嘘でも「うん」って言おうよー!」

リーリエ「…………」

732: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 22:05:50.01 ID:gw+EmeqQ0
ビッケ「あのう……リーリエさまも、みなさまもお休みになられたら。職員の住居スペースに、ベッドを用意しましたので……」

グラジオ「ああ、頼む」

ハウ「おれもくたくたー」

しんのすけ「じゃあオラ、ビッケさんと同じ部屋で……」

ロトム図鑑「なにを! 私もだ」

ひろし「お前らは俺の部屋で寝るの!」

しんのすけ「えーっ、とーちゃんとー?」

ロトム図鑑「こんなシケヅラと寝てもな」

ひろし「あのなァ……!」

リーリエ「あの……しんちゃんのお父様……」

ひろし「え? どうしたんだ? リーリエちゃん」

733: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 22:07:43.51 ID:gw+EmeqQ0
リーリエ「しんちゃん、貸してもらえませんか……? わたし1人じゃ……」

ひろし「え……」

ひろし「……あ、ああ! うちの息子でよけりゃ好きに使ってくれ。しんのすけもいいよな?」

しんのすけ「ほ、ほいっ」

リーリエ「じゃ、しんちゃん……」ギュッ

リーリエは、蒼白な顔のまま、しんのすけの手を握って連れて行った。彼女の周りの空気だけ、ぜったいれいどになっている。口調も、まったく抑場がない。

ハウ「……ほしぐもちゃんが動かなくなっちゃったからかなー? なんか、急に元気なくなったねー」

グラジオ「……リーリエ」

734: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 22:09:34.26 ID:gw+EmeqQ0
ルザミーネの屋敷

ルザミーネが使っていたベッドに座って俯くリーリエを、しんのすけはおとなしく眺めていた。リーリエの宝石のような翠眼は濁っていて、なにも映っていない。

しんのすけ「……」

リーリエ「……」

ほしぐもちゃん「……」

リーリエ「かあさま……ほしぐも……ちゃん」

しんのすけ「り、リーリエちゃん……?」

リーリエ「……」

しんのすけ「お、お元気出しなよ。オラなんてしょっちゅうかーちゃんからげんこつとかグリグリ攻撃されてるから……」

リーリエ「ううっ……うううっ」ポタポタ

しんのすけ「ほ、ほらっ、ケツだけ星人ブリブリ~ブリブリ~! ほしぐもちゃんも大好きでしょ~? だから目ェ覚まして~! ブリブリ~ブリブリ~!」

リーリエ「くうっ……うっ……あぁっ」

735: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 22:10:10.07 ID:gw+EmeqQ0
しんのすけ「ケツ顔マン! ぷっぷす~ぷっぷす~! ぷっp」

ギュッ

リーリエ「うぁぁっ……ぁぁぁぁっ!! かあさま……かあさまっ!!」

しんのすけ「……リーリエちゃん」ポンポン

しんのすけ「今日はオラが布団になったげるから。いっぱい泣いていいよ」

リーリエ「ううっ……うううっ……!!」ブルブル

しんのすけ「よしよし……」ナデナデ

736: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 22:13:01.99 ID:gw+EmeqQ0
1時間後

リーリエはようやく胸の内から溢れる悲しみを吐き出し尽くすと、そのまましんのすけを抱きかかえたままベッドへと転がった。
ルザミーネが使っていたベッドは、どこまでも深く沈んで、リーリエを包んでくれるような柔らかさがある。

リーリエ「……しんちゃん」

しんのすけ「……」

リーリエ「……寝ちゃいましたか」

リーリエ「さっきは、びっくりしたでしょう? ごめんね……」

しんのすけ「……」

リーリエ「まだかあさまのこと、引きずってると思ってます? いいえ、たくさん泣いて……むしろスッキリしちゃいました」

リーリエ「かあさまがいなくなって……ほしぐもちゃんも動かなくなって……こんなに悲しいこと、きっとこの先無いと思います」

リーリエ「ですけど、今でもほしぐもちゃんを元の世界に帰して、かあさまをビーストの世界から連れて帰りたいという気持ちもあるんです」

737: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 22:13:52.74 ID:gw+EmeqQ0
リーリエ「だから……わたしもゼンリョクを出してもっと、もっと頑張ってみせます」

リーリエ「ポケモンさんとたくさんの試練を乗り越えたしんちゃんとハウさんのように……」

リーリエ「……かあさまと一緒に寝てたベッドですが、まさかしんちゃんと一緒に寝るとは思いませんでした」

リーリエ「ですが……ここで寝るのも、今日が最後です」

リーリエ「……しんちゃん。そばにいてくれて、ありがとうね」ギュウ

リーリエ(……こんな小さな背中がわたしとほしぐもちゃんを守ってくれたのですね)

しんのすけから伝わってくる温もりと優しさが、悲しみと惨めさでボロボロになったリーリエの心を埋めるように癒していった。
もっともっと、この子が欲しい。この子の優しさと勇気が、欲しい。
自然と、しんのすけを抱きしめる力が強くなっていった。

リーリエ「今度は……わたしが……ほしぐもちゃんと……しんちゃんを守りたい……な」

リーリエはしんのすけの小さな身体だけでなく、想いと決意も手放さないようにきつく抱きしめながら、ゆっくりと眠りに落ちた。

リーリエ「……」スースー

738: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 22:14:34.26 ID:gw+EmeqQ0
モゾモゾ

しんのすけ「ぶはっ!」

しんのすけ「あー苦しかった。リーリエちゃんきつく抱きしめすぎだって」

リーリエ「……」スースー

しんのすけ「うんうん、よく寝てますな」

しんのすけ「えーっと、オラのリュックどこだっけ」ゴソゴソ

しんのすけ「あったあった! さーて、作りますか」チョキチョキ

リーリエ「……ほしぐもちゃん」

しんのすけ「……」

ナデナデ

739: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 22:15:41.33 ID:gw+EmeqQ0
その頃、ボールの中では……。

ヨワシ『リーリエさん、かわいそう……』

ジュナイパー『自分の親に暴力を振るわれて、大切なコスモッグも動かなくなっちゃったらね……』

キテルグマ『しんちゃんも優しいね。リーリエさんの辛さを受け止めてあげてるもの』

ヨワシ『でも、女の人も怖い時は怖いんだね』

キテルグマ『当たり前でしょ! 女の人はね、時には男の人よりおっかないことをしでかすことだってあるんだから!』

ヨワシ『ネネちゃんが言うと、説得力あるね……』

キテルグマ『どういう意味よ? えっ? ボールから出てあんたをピッピちゃんの刑にしたろか?』

ヨワシ『ひいいいーっ! 深い意味はないって!』

ミミッキュ『……』

ジュナイパー『……ボーちゃん、どうしたの?』

ミミッキュ『あ、ごめん、ちょっとウルトラホールのこと考えてた』

キテルグマ『ウルトラホールって、あの変なポケモンが出てきた穴のこと?』

ミミッキュ『うん。カザマくん、気付いた?』

740: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 22:16:50.41 ID:gw+EmeqQ0
ジュナイパー『え? なにが?』

ミミッキュ『ウルトラホールから、エネルギーが流れていたこと』

ジュナイパー『そういえば、どこかで感じたことが……あーっ!』

ヨワシ『ど、どうしたのカザマくん?!』

キテルグマ『急に大声ださないでよ。びっくりするじゃない!』

ジュナイパー『あのエネルギー! Zパワーとぬしポケモンがまとうオーラに似ているんだ!』

ミミッキュ『ボ……カザマくん、大正解』

ミミッキュ『ぬしポケモンは、たぶん、ウルトラホールのエネルギーを浴びてパワーアップしたポケモンだと思う』

ジュナイパー『じゃあZパワーの正体は……ウルトラホールから流れているエネルギーってことか!』

ヨワシ『ネネちゃん、意味わかる? 僕ちっともわからないや』

キテルグマ『さぁ?』

741: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 22:17:30.32 ID:gw+EmeqQ0
ジュナイパー『それじゃあZクリスタルもウルトラホールから生まれたものなのかな?』

ミミッキュ『……わからない』

ミミッキュ『僕の仮説だけど、ZリングとZクリスタルは、人間の体力をウルトラホールのエネルギーに変えて、僕たちをパワーアップするためのアイテムだと思う』

ジュナイパー『なんのために?』

ミミッキュ『たぶん、ウルトラビーストからアローラ地方を守るためにカプと人間が作ったかも』

ジュナイパー『目には目を、ZパワーにはZパワーを、ってところか』

ミミッキュ(だけど、Zパワーは人間の強い心にも反応する。人間の心とポケモンの心の繋がりがZクリスタルの誕生と深く関わっているのかも……)

742: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 22:18:26.72 ID:gw+EmeqQ0
翌日

しんのすけ「ふわぁ~あ……」

しんのすけ「あれ? リーリエちゃんがいない……」

ドンドンッ

ひろし「おーい、しんのすけー! 起きてるか?」

しんのすけ「とーちゃん?」

ウィィン

ハウ「おはよー! しんのすけー」

しんのすけ「とーちゃんにハウくん……結婚したの?」

ハウ「なに寝ぼけてるのー? もうみんな起きてるよー」

743: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 22:19:02.09 ID:gw+EmeqQ0
ひろし「てゆうか、なんで部屋ン中紙くずが散らばってるんだ?」

ハウ「リーリエとグラジオが外で待ってるよー。早く行こ行こー!」

しんのすけ「お? もうリーリエちゃん起きてたのかぁ。早起きですなぁ」

ひろし「お前が寝坊しすぎなの!」

ハウ「しんのすけーリーリエの姿見たら、きっとびっくりすると思うよー」

しんのすけ「?」

744: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 22:19:55.40 ID:gw+EmeqQ0
ルザミーネの屋敷の前

リーリエ「……」

しんのすけ「ほっほーい!」

リーリエ「あ……しんちゃん」

しんのすけに笑いかけたリーリエは、がらりとイメージチェンジしていた。
白のワンピースとロングヘアーから一転して、半袖のシャツとポニーテールに変わっており、活発的なイメージを感じさせる。

リーリエ「マリエで買ったままの服……似合いますか?」

しんのすけ「ふつー」

リーリエ「もうっ! せっかく気合を入れて着たのに……」

ひろし「こーらっ、こういうときは『似合ってる』って言うもんだろ」

しんのすけ「ふつーはふつーだもーん」

リーリエ「ほしぐもちゃんの事も……かあさまの事も……わたしには、やらねばならないことばかりです。わたし……しんちゃんのように、どんな試練にも立ち向かえるようになりたいのです!」

リーリエ「ですからわたし、気合いれてみました! はい、全力の姿です!」

バッ! バッ! バッ! ジャーン!

リーリエ「…………」ニコッ

745: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 22:20:43.82 ID:gw+EmeqQ0
しんのすけ「ち、ち、ゼンリョクのポーズするなら、お尻を出したほうが締まるんだよ」

リーリエ「出せませんよ!」

スタスタ

グラジオ「起きたか。ずいぶん寝てたようだな」

しんのすけ「クジラくん、おっはー」

グラジオ「リーリエ、コレクションルームで見つけた太陽の笛だ。アローラに古くから伝わるものと聞いた。太陽の下で吹くものらしい」つ太陽の笛

グラジオ「太陽の笛、月の笛、2本そろえ、音色を捧げ、伝説のポケモンを呼びだす……そんな話があるらしいな」

グラジオ「……伝説のポケモンすら、自分のコレクションに加えるつもりだったのかもな」

しんのすけ「オラは? ねぇオラにはなんかあるの?」

グラジオ「お前のロトム図鑑を見てみろ」

しんのすけ「え? ぶりぶりざえもん?」

ロトム図鑑「こんなこともあろうかと、財団のサーバーに潜入して、ウルトラビーストのデータを入手したのだ」

ハウ「ビーストの情報ー!?」

グラジオ「……と、言っても一種類だけだ。昨日、オレ達の前に現れたあのビースト……母がウツロイドと名付けたウルトラビーストのデータだがな」

746: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 22:22:06.90 ID:gw+EmeqQ0
しんのすけ「なんだ、たかが一種類かぁ」

ひろし「一種類でも無いよりマシだろ」

グラジオ「もし伝説のポケモンを呼び出し、向こうの世界に行くことになったら、そのデータを活用しつつリーリエのサポートを頼む」

しんのすけ「えーっ、オラが? めんどくさ」

リーリエ「にいさまは、なにをなさるのですか?」

グラジオ「後始末。エーテルパラダイスのな。相棒のヌルと遠くへ……そう願っていたが、結局ここにとどまるのか」

しんのすけ「とーちゃんは?」

ひろし「俺は一度メレメレに帰るよ。メレメレにもビーストが現れたみたいだし、かーちゃんたちの無事かどうか確かめなきゃな」

しんのすけ「心配しなくてへーきだよ、かーちゃんならたぶんビーストを返り討ちに出来るから」

ひろし「ははっ、そうかもな。でも、ひまわりやシロだって心配だろ?」

しんのすけ「ハウくんは?」

ハウ「おれねー鍛えるのー! もっともっとだよー! しんのすけやーポケモンにー助けてもらってばかりでしょー。やっぱり、自分でポケモンを助けられないとねー! しまキングになれないし、みんなを笑顔にできないよねー!」

ハウ「それに、アセロラの試練とかぜんぜんほったらかしだしー」

しんのすけ「そーいえば、全然やってなかったね」

747: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 22:22:57.41 ID:gw+EmeqQ0
グラジオ「……家族の話に巻きこんで、悪かったな」

ハウ「そーだよー。でもすごかったー! スペクタクルってやつー!? 鍛えれば、あんな不思議なこと、また体験できるかもだしー!」

グラジオ「スケールがでかくてな……オレらの母親は……」

リーリエ「ハウさん、来てくれてうれしかったです!」

ひろし「……グラジオくん、リーリエちゃん」

リーリエ&グラジオ「?」

ひろし「……あんまり無理すんなよ。どれだけ頑張ったって、お前たちはまだ子供なんだ。もし、また苦しいことや辛いことがあったらメレメレにあるうちに来な。いつでも歓迎するぜ」ニッ

リーリエ「はいっ! ありがとうございます!」

グラジオ「……そうだな」

748: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 22:23:59.18 ID:gw+EmeqQ0
しんのすけ「あ、そうだ! みんなーこれあげる」つアローラ防衛隊バッジ

ハウ「なにこれー?」

リーリエ「ダンボールで作ったのですか?」

しんのすけ「オラが夜なべして作ったアローラ防衛隊のバッジ! これを付けてれば、いつでもどこでもアローラ防衛隊だゾ!」

ハウ「へーお揃いだねー!」

リーリエ「アローラ防衛隊……とはなんですか?」

しんのすけ「アローラ地方を守る、愛と正義の戦士たちのことをアローラ防衛隊というの。隊長はオラね」

ひろし「なんだなんだぁ? カスカベ防衛隊の真似か?」

しんのすけ「ほい、クジラくんにもお一つ」

グラジオ「……必要ない」

しんのすけ「なになにー照れてるのぉ?」

グラジオ「そういう馴れ合いをするつもりはないだけだ……」

749: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 22:24:40.04 ID:gw+EmeqQ0
リーリエ「にいさま、そう言わないであげてください。きっと、私たちはひとりじゃないっていう、しんちゃんなりのメッセージですよ」

しんのすけ「いや、そこまで考えてないけどね」

リーリエ「」ズルッ

グラジオ「……フッ、面倒なやつだ」スッ

しんのすけ「よーし! 掛け声行くぞ! せーの、アローラ防衛隊、ファイヤーッ!」

リーリエ&ハウ&ひろし「ファイヤーーッ!」

グラジオ「しんのすけ、リーリエ、次の島……ポニ島に案内する」

リーリエ「ではしんちゃん! ゼンリョクで行きましょう!!」ギュッ

しんのすけ「いやん、いきなり手をつなぐなんて……。リーリエちゃん、なんかキャラ変わったねぇ。オラびっくりだよー」

ひろし「じゃ、しんのすけ。最後の試練頑張れよ。時間があったら、家族で応援に行くからな」

しんのすけ「ほーい!」

★挿入歌 ひとりぼっちじゃない★

【エーテルパラダイス編 おしまい】

751: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 22:29:17.35 ID:gw+EmeqQ0
【おまけ】

キテルグマ『ついにネネも進化したわよ! これで女子力アップなんだから』

ジュナイパー『じょ、女子力って……』

ヨワシ『ヌイコグマと比べるとずいぶん大きくなったね』

ミミッキュ『マサオくんが言っても、説得力ないと思う』

しんのすけ「うーむ、主に食べ過ぎですな」

キテルグマ『食べ過ぎじゃないわよ! これでも体重には気を遣ってるんだから! 失礼しちゃうわ』

キテルグマ『ねえねえ、ところで新しいリアルおままごとのネタ考えたの。アンタたちどうせ暇だし、せっかくだからやりましょうよ』

しんのすけ「えぇ……」

ジュナイパー『またリアルおままごと?』

ヨワシ『もういい加減離婚するのやなんだけど』

ミミッキュ『僕も、ポニ島にある石を集めたい』

ドゴッ!

キテルグマ『やるわよねぇ? みんな』

全員「『はっ、はいいっ!!』」

752: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 22:30:48.09 ID:gw+EmeqQ0
しんのすけ(前の夫との間に生まれた子供役)「わーい! オラ、このきあいのたすき、欲しかったんだあ!」

ミミッキュ(赤ん坊役)『おぎゃあおぎゃあ』

キテルグマ(未亡人で現在3度目の結婚生活を送る美人妻役)『いったいどうしたの? いつもケチなあなたがあんな高いものをお土産に買ってくるなんて』

ジュナイパー(夫の会社の先輩役。この後、妻を寝取る予定)『マサオくん、すごいんですよ。ホラ、奥さんに伝えなよ』

ヨワシ(夫役。ごく普通の冴えないサラリーマン)『え? えっとね……』

ヨワシ『……実は今日昇進して、課長になったんだ』

キテルグマ『ホントに? 嬉しい! 愛してるわ! あなた!』ギュッ

しんのすけ「おお、ママも新しいパパもラブラブですなあ」

ヨワシ『ま、待ってネネちゃん! なんかすんごく苦しいんだけど! 力強すぎだよ!』メキメキ

ミミッキュ『凄い音、出してる……』

753: 超超ゴルーグロボ ◆g/SXBgh1y6 2017/06/10(土) 22:31:36.92 ID:gw+EmeqQ0
キテルグマ『だって昇進よ昇進! あなたがようやく社会に認められたのよ? こんなに嬉しいこと、他にあるの?』

ヨワシ『ひいいい! 嬉しいけど痛いよおお!!』バキボキメキ!!

しんのすけ「じゃあオラ、そろそろ島巡り続けなくちゃいけないんで……」

ジュナイパー『い、いやあ、仲睦まじくてよろしいですなあ奥さん! それじゃあ、お邪魔みたいなので私はこれで……』

ミミッキュ『おぎゃあおぎゃあ』

ヨワシ『ねえみんな! 僕を見捨てないで! ヨワシのみんなも助けて! ぎゃああああああ!!』メキメキ

※キテルグマは愛情表現として抱きしめてきますが、背筋力は1トン以上あるので思い切り抱きしめられた途端全身が粉砕します。たとえリアルおままごとでも、絶対にキテルグマに近付かないようにしましょう。





ジュナイパー(この日ほど自分がゴーストタイプであることに感謝する日は来ないだろう)

ミミッキュ(僕も……)


シリーズ一覧
しんのすけ「アローラ地方を冒険するゾ」
【メレメレ島編】【アーカラ島編】【ウラウラ島編】【エーテルパラダイス編】【ポニ島編】
【ウルトラスペース編 前編】【ウルトラスペース編 後編】【大大試練編】【エピローグ】