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シリーズ一覧
小林オペラ「この裁判…逆転してみせる!」
小林オペラ「この裁判…逆転して救ってみせる!」
小林オペラ「この裁判…逆転できるのか?」
小林オペラ「この裁判の逆転の逆転の逆転」【その1】
小林オペラ「この裁判の逆転の逆転の逆転」【その2】
小林オペラ「これが最後の逆転だ!」

2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 20:20:36.16 ID:aa7GqzznO
トイズ、それは選ばれし者の心に咲く奇跡の蕾

そして現れた大探偵時代。

それは、トイズを花咲かせた探偵と怪盗が美しさを競う会う時代であった。

だが、今や大アイドル時代

アイドル達もまた、美しき花を咲かせ競い合う時代。

その中にもう一つ、その花達とは比べ物にならない程に大きく輝き

美しき花達を摘み、残虐に殺してしまう花があった。

探偵はトイズを正義に使い

怪盗はトイズを悪事に使い

アイドルはトイズとエレメントを駆使し、人々に夢と希望を与える。

そして、サイコパスは―――トイズを殺人に使う

それらを凌駕し輝く為だけに大きなトイズを欲し続け

血で汚れた花畑の中心で、誰よりも美しく輝き続け人々を魅了し続けるのであった……



第四話  「紅い花畑の中心で」




3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 20:21:36.91 ID:aa7GqzznO


小林(前回の裁判から一ヶ月近く経った)

小林(神津が調べているサイコパスの調査が進められている…事は知っているが)

小林(何故か、今回ばかりは僕に情報が貰えない)

小林(僕だって無関係では無い筈だ。だからどうして情報をくれないのか神津に問い詰めた所)

神津『お前がおおいに関係しているからだ』

小林(…と、返答された。僕が関係しているなら、余計知るべきではないのかと思うが…)

小林(そこは神津も思う所があるのだろうと、観念して今に至る)

小林(…………)



4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 20:22:11.78 ID:aa7GqzznO

【小林オペラ横浜事務所  12月20日 午前10時11分】


小林「もうそろそろ、クリスマスか…」

小林(…思えば、彼女達とクリスマスを共に過ごすのは初めてな気がする)

小林(……そして冷静に考えれば、彼女達はクリスマスには実家に帰っている事であろう事に気づく)

小林(そうだよ、クリスマス以前に学園では冬休みだ。普通の生徒なら実家に帰っている事だろう)

姫百合「……ふぅ、小林さんもコーヒー入れますか?」

小林「うん。貰おうかな」

小林(…恐らくクリスマスにこの事務所に居るのは、今や学園の生徒では無い姫百合くんと…)

コロン「ウチもコーヒー頂戴!師匠と同じ奴やで!」

姫百合「ブルーマウンテンのブラックですけど、大丈夫なんですか?」

小林(この冬でも薄着のコロンくんかな……)

小林(油断すればスグに脱ぐ少女とこの事務所では最年少の少女…こういっちゃなんだが、非常に犯罪の臭いがする)

小林(僕だけでも、誤解を特にアンリエット会長からされないように彼女達をホテルに泊めて僕一人で過ごした方が無難じゃないだろうか?)

5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 20:23:43.72 ID:aa7GqzznO

姫百合「…ああ、そういえば小林さん。クリスマスはどうするんですか?」

小林「ん?」

姫百合「いえ、ミルキィホームズの皆さんはそれぞれ家に帰られるでしょうし。私もずっとここに居るわけにもいきません」

姫百合「なので、私もそろそろ自分探しの旅を再開しようかと…」

小林「…うーん、それなら題無いと思うよ。彼女達ならクリスマスパーティを開くと思うし。それに君を呼ばない筈が無い」

小林「寧ろ、僕がどこかのホテルに泊まる事にするよ。元々そのつもりだったし」

コロン「ええー!?師匠はクリスマスパーティ参加しないん!?」

小林「はは…さすがに女の子が6人で男が僕一人だと、僕の居場所が無さそうだから」

小林「一応地元の友人を誘って飲みにでも行こうかなって。一応僕も成人だし」

小林(お酒は飲めないけど)


6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 20:24:47.54 ID:aa7GqzznO

姫百合「……………」フムッ

姫百合「…多分、無理だと思いますけどね。それ」

小林「え?」


バッタァアアンッ


シャロ「先生!大変です事件ですよ事件!」

コーデリア「私達!茉莉音ちゃんのクリスマスコンサートに招待されましたの!」

ネロ「以前、依頼で助けたお礼なんだってさ。開始5分で無くなったチケットをタダでくれるなんて。」

ネロ「本当、転売したらいくらくらいになるやら」

エルキュール「そ…その……だから…その……小林さんと…ヒメさん…も」オドオド

小林「うっうわっ、待って。落ち着いて君達」

シャロ「落ち着けませんよ!だって!あの茉莉音ちゃんのコンサートなのですよ!?それもクリスマスの!」

ネロ「関係者である僕達も、思いっきりはしゃがないとねーその日」

姫百合「…茉莉音さん?それって、アイドルのあの人ですか?」

シャロ「はい!そーなんです!あの茉莉音ちゃんです!!」

小林「姫百合くんは知っているのかい?」

姫百合「はい。日本では結構有名なアイドルですから」

ネロ「そうそう。それで、僕達は茉莉音の依頼を……」

ネロ「……って、小林?」

小林「ん?」

コーデリア「あの…もしかして茉莉音ちゃんを知らないんですか?教官は…」

小林「ははは…いやぁいくらなんでも、僕が君達の依頼人の事を全部知っているわけじゃないし…」

シャロ「そうですよ!だって先生だってエレメントを探してくれるお手伝いをっぇぇぇぇえええええええええええええええ!!!???」


7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 20:25:33.37 ID:aa7GqzznO

ネロ「知らないんじゃん!!全っ然!!」

コロン「ん?マリネ?クリスマスはフランス料理にでもするんか?」スッ

ネロ「お前も日本に居た癖に知らないの!?天城茉莉音!」

コロン「アマギマリネ?マリネって言えば…魚使ったフランス料理の…」

シャロ「アイドルです!」

コロン「……魚とフランス人のアイドル…?」プシュー

姫百合「コロンさんの脳内処理がパンクしたみたいですね」

コーデリア「教官!イギリスで会ったんじゃありませんでしたか!?姿は見たでしょう!?」

小林「うっ…うーん……会ったっけ…」

姫百合「小林さん…いくらなんでも国民的アイドルを知らないとかありませんよ」

コロン「ウチも知らんで!ツカそもそもアイドルなんて興味無いしな!」ドンッ

コロン「大体!ドームでコンサートする意味が分からへん!ドームは雨の日でも野球する為のもんや!勝手に何さらしとるっつーねん!」プンプン

ネロ「小林良いの!?今小林はこの馬鹿と同じレベルなんだよ!」

小林「…さすがにそれはコロンくんにも失礼じゃないか?」


8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 20:26:29.23 ID:aa7GqzznO

コーデリア「とっとにかく!私達はクリスマスに茉莉音ちゃんのコンサートに行くのです教官!」

小林「そっかぁ…楽しんでおいで」

シャロ「そう!だからコロンちゃんも一緒に茉莉音ちゃんのコンサートに!」

コロン「師匠が行かんならウチも行かん」

ネロ「ヒメも一緒に僕達と騒いで!」

姫百合「いえ…私、騒がしいのはちょっと…」

エルキュール「皆さん……と。……あれ?」

シャロ「…って何でですか先生!行きましょうよ一緒にー!」

小林「いやでも、招待されたのは君達だろ?余計に人数増やしたら向こうも困ると思うんだけど」

ネロ「そんな事ないよ!寧ろ小林なら逆にサインねだられるかも。ねぇヒメ!?」

姫百合「満員のコンサートに人数増やして来るのはさすがに失礼だと思います」

コロン「ウチらは三人でクリスマス過ごす境、勝手に楽しんでいけばええやん?」

姫百合「そうですね。今横浜は物騒ですし私達は小林さんの傍に居るという事で」

ネロ「…………」

コーデリア「そ…それじゃぁ教官は一緒に来てくれないのですか…?」

小林「うっうん…。サイコパスの事もあるし、神津の調査も長引きそうだしね」


9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 20:27:07.82 ID:aa7GqzznO

ミルキィホームズ「「「「…………」」」」

ミルキィホームズ「「「「はぁ……」」」」ションボリ

シャロ「先生…来ないんですかぁ…」

ネロ「…どうする?コンサート。行く?」

エルキュール「……でも、招待されたから……行かないと…」

コーデリア「そうね……4人だけでも、行かないと失礼よね…」

小林(一気にテンションが下がったな彼女達)

シャロ「でっでも…良いんですか?言っちゃいましたよ?茉莉音ちゃんにも先生達を連れてくるって」

ネロ「サプライズの為に名前すら言わなかったのにね」

コーデリア「あっ…でも、そろそろお迎えが」

小林「……お迎え?」

姫百合「コンサートは今日なんですか?」

ネロ「ん?いや?でもそろそろ…」


バッタァァアアアアアアアアアンッ


小林「!」

姫百合「!」

コロン「おわぁっ!?」ビクゥッ



10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 20:27:34.97 ID:aa7GqzznO


???「…………」


小林「……あの?」

小林「どちら様…ですか?」


???「…………」


???「…あっ…あいたたたぁ……」ズキズキ

???「うう…迎えに来たのは良いけど…頭と胸打っちゃったぁ……」サスサス

姫百合「…えっええと?」

コロン「………」

シャロ「…ああー!ホルスタインさん!」

ネロ「茉莉音のマネージャー!!」

小林「…え?」

マネージャー「あははー。ミルキィホームズの皆さん。お久しぶりですー」フリフリ

姫百合「ああ、お迎えの…」

コーデリア「ハイ。お久しぶりです。その節はどうも」

エルキュール「チケット…ありがとうございます」

マネージャー「いえいえ良いんですよー茉莉音ちゃんを復活させてくれたお礼は、まだまだ返しきれ無いんですからぁー」ニコニコ

11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 20:28:11.63 ID:aa7GqzznO

シャロ「あっ!それじゃぁその返しきれないお礼で私達以外にも人を連れてきても良いですか!?」

マネージャー「えええ~?それはどうでしょう。ただでさえ満員なのに、私がそれを増やせる権限はぁ~」

シャロ「そっ…そうですか」ガクー

小林「ね。君達だけで行った方が良いんだよきっと」

マネージャー「そうですねー。申し訳無いですけど保護者の方は少し……」

マネージャー「………」

小林「?」

マネージャー「……あ、あのう…」

小林「何でしょうか?」

マネージャー「貴方……もしかして…小林……オペラさん?」

小林「ええ、そうですが」

マネージャー「………」

小林「………」

マネージャー「…………」

小林「……?」

カチッ  ピッピッピ  プルルルルル


12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 20:28:40.52 ID:aa7GqzznO

ガチャッ

マネージャー「あっ!もしもしプロデューサーさん!?小林さん!小林オペラさんがミルキィホームズと一緒に居ました!」

小林「あの?」

マネージャー「本当ですって!今から写真送りますから!」ピッ

小林「ちょっと?」

マネージャー「あの小林さん!私と一緒に写真撮ってください!」ダキッ

小林「えっ?」パシャッ

マネージャー「もしもし!写真は見てもらえましたか?……はい!わっ分かりましたぁ!今すぐ事務所に連れてきます!!」アタフタ

小林「はい?」

マネージャー「小林オペラさん!」ガシッ


マネージャー「私達のコンサート…いえ、事務所に、来てください!」






小林「ェェェェェええええええええええええええええええええええええええ!!!?」




13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 20:29:18.84 ID:aa7GqzznO

シャロ「それじゃぁ!先生も私達と一緒にコンサートに来てくれるんですか!?」

マネージャー「それは勿論!大歓迎です!寧ろ来てくれないと困りますよぉ!」

ネロ「なぁんだ!それじゃぁ決まりだね小林!クリスマスは思いっきり盛り上がろうよ!」

小林「いっいやいやいやいや!あの僕はサイコパスの調査が!」

コロン「師匠が行くならウチも行くでぇ!」ドンッ

コーデリア「ほら!ヒメも」ズイッ

姫百合「ええ…ええええええ…」

マネージャー「それじゃぁ今すぐ車を出しますので!皆さん乗ってください!」

小林「いやだから!というよりコンサートはクリスマスじゃないのか!?どうして今僕が――」

マネージャー「これでプロデューサーさんも喜んでくれますよ!飛び入りで小林オペラさんが入ってくれたら…」

小林「ちょっとっ!?それ僕をステージに上げて歌わせようとしてますよね!?」

シャロ「それじゃぁ私は先生の右ー!」

コーデリア「じゃぁ私は教官の左ね!」

ネロ「ちぇ、小林の隣は埋まったかぁ。…シャロの右で良いよ」

エルキュール「それじゃぁ…私は…コーデリアさんの左…」

小林「君達もちゃっかり僕を逃がさないつもりだよね?僕を中心に押して扉から遠ざけて」

コロン「ウッ…チョット…苦し……」ギュゥウウウ

姫百合「……私だけ助手席で良かったんでしょうか?」

マネージャー「それじゃぁステージの大成功を祈って!出発ー!!」



ブロロロロロロロロ……




14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 20:29:53.45 ID:aa7GqzznO


【川澄芸能事務所 12月20日 午後12時34分】



小林(とうとう来てしまった……)

ネロ「いやぁしかし、茉莉音ちゃんに会うのも久しぶりだよね」

シャロ「あの後、国民的アイドルとして不動の地位を手に入れた茉莉音ちゃん!」

コーデリア「テレビを見るたび私達の鼻が高くなるわ!」

エルキュール「元気…そうで。嬉しい……」

小林「…君達は嬉しそうだね。ははは…」

コロン「」

姫百合「圧迫されて意識の無い探偵が一人居ますけど…この人、内臓とか潰されてません?」

マネージャー「あっ、ここが事務所になるんですよ~?小林さん」

小林「あっはい。……って、そういう事じゃなくて!」

小林「ここまで連れてこられても、僕はステージには…」

マネージャー「あれぇ?私、小林さんをステージに出すなんて言いましたっけぇ?」キョトン

小林「あの、しらばっくれても駄目ですよ…ちゃんと僕以外にも聞いた人は」

マネージャー「それはプロデューサーさんに聞きましょう~。それじゃぁ入りますね~」コンコン

小林(これ、僕の意見が通りそうに無いな)

マネージャー「失礼します~」ガチャリ

シャロ「はぁーい!茉莉音ちゃん!こんにちは~!」

ネロ「お久ー!呼んでくれてありがとね!」

コーデリア「今回は!私達の教官もお呼びになっているのよ!」

エルキュール「あっ……ひっ!」




???「…………」ゴゴゴゴゴゴ




15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 20:30:20.66 ID:aa7GqzznO


ミルキィホームズ「「「「…………」」」」

ガシッ

小林「ん?」

エルキュール「こっ…怖いっ……!」ブルブル

ネロ「…………」

ネロ「……ええと、…強盗?」

コーデリア「…そっそうね。この強面の人!以前まで見なかったわ!!」

シャロ「先生!怪盗…いえ強盗です!事務所に強盗が居るのです!」

マネージャー「ええっ!?強盗!?どこっ!?どこっ!?」キョロキョロ

???「…………」

小林「…………」

小林(日本に来てから今更だけど、今回は特に失礼極まりないな…)

姫百合「皆さん落ち着いてください。どうしてあの人を関係者としての考慮を…」

???「チィ!ばれたか!」

姫百合「えっ?」

16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 20:30:46.50 ID:aa7GqzznO

シュバッ   シュルシュルシュル

???「へへっでも御用な物は手に入ってるのさ!アバヨ!」ガラララ

小林「えええ!?本物!?」

シャロ「せっ先生!どうしましょう!」

姫百合「…コーデリアさん!今すぐ彼を捕まえ……」

ガシッ

???「え?」






????「…………」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ





シャロ「」

ネロ「」

コーデリア「」

エルキュール「」

コロン「」


17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 20:31:22.48 ID:aa7GqzznO


???「うっうわぁ!なっ…何だお前ぇ!?」

????「……ちょっと、こちらまで来てもらいます」ズイッ

スタスタスタスタスタ

???「いっいやあああ!!離せぇ!俺は…ただ!茉莉音ちゃんの生着替えを――」


バタンッ



姫百合「」

小林「……あの、すみません今のは?」

マネージャー「…ああー本当に強盗が入ってたんですねぇ。戸締り忘れてたのかな?」

シャロ「……はっ!」シャキーン

小林「ああ、おかえり」

シャロ「先生!何か…何かもっと怖い人が入ってきました!」ガシッ

ネロ「僕も見た!あんな堅気の人を見たのは初めてだよ!?ヤクザ!?この事務所ヤクザと関わりあるの!?」

コーデリア「」(放心)

エルキュール「」(気絶)

コロン「」(瀕死)

小林「いっいやぁ。多分違うと思うけど……」


ガチャリ


????「…ご迷惑をお掛けして申し訳ありませんでした。先ほどの人は警察に引き渡しましたので」

シャロ「きゃぁぁあああああああああ!!出たぁぁぁあああああああああああ!!!!!」ビックゥゥウウン

ネロ「うわぁあああああああああああああああ!!!」ビックゥウウ

コーデリア「」(気絶)

エルキュール「」(気絶)

コロン「」(心肺停止)ビクッ


18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 20:32:30.19 ID:aa7GqzznO

マネージャー「あっ!お疲れです真田くん。真田くんは鉄壁の警備ですねー」ニコニコ

真田P「………」スッ

真田P「あっはぁ……その、私は警備員ではなく…」ポリポリ

ガチャリ

プロデューサー「おっす真田君!クリスマスライブ、準備は出来ているか?」バシッ

真田P「あっ!プ…プロデューサー!はっはい。BRさんの人たちの練習も順調です」

プロデューサー「うむ!今回は君の初の大仕事だ!上手くやってくれよ?」ニヤニヤ

真田P「…はい。貴方の望み通りになるよう精進します」オドオド

小林「………あの?」

真田P「!」

真田P「あっ…申し訳ございません。ご挨拶が遅れました」ペコリ

小林「は…はぁ。どうも」

真田P「私、こういう者と申します」スッ

小林「名刺…ああ。貴方はこの事務所のプロデューサーなのですか」

プロデューサー「それも新人ホカホカだぞ。お手柔らかに頼んだぞ」

プロデューサー「……って、うぉおおおおおおおお!?」ビックゥ

小林「なっなんでしょう?」ヒクッ


19: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 20:33:43.24 ID:aa7GqzznO

プロデューサー「ほっ……本物の小林オペラ…で…でしょうか?」フルフル

小林「え?ええ…まぁ」

プロデューサー「…………」

プロデューサー「…ほっ…本当に横浜に来ていたのか……」

マネージャー「はい!私も一目見た時はビックリしまして」

真田P「小林オペ…えっ!あの……」オドオド

真田P「も…申し訳ございません!その、お土産の一つも用意できずに…!」オロオロ

小林「……はは。その、」

小林(名乗る前に紹介が終わっちゃったな…)

シャロ「やっやっぱり先生は業界でも凄い人なんですか!?」ズイッ

プロデューサー「そりゃぁ凄いってもんじゃないよ。こちとら隙あれば事務所に入れたいくらいだ」

ネロ「実際!小林が芸能活動したらどのくらい稼げるの!?」ズイッ

真田P「えっええと……恐らく、”億”程の利益にはなるかと…」

シャロ・ネロ「「億ぅ!?」」ガガーン

小林(いやいやいや……)


20: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 20:35:35.12 ID:aa7GqzznO

ネロ「小林!これはチャンスだよ、今この流れは!絶対アイドルになるしかないって!」ズイ

シャロ「私!先生がアイドルになったら一番のファンになりますよ!」ズイ

真田P「あの、名刺に連絡先がありますので。興味がありましたらウチに…」

小林「……非常に困る要求を僕にしないでくれるかな?」

プロデューサー「まぁ、でも今回はアイドルのコンサートだから。さっきマネージャーが言ってた飛び入りとかはさすがに練習してないし無いかな」

マネージャー「ええ~?絶対受けると思うんですけど…」

プロデューサー「駄目駄目。コンサートまで後4日しか無いんだぞ?それまでに何とかなるとも思えない」

真田P「さすがに私も…そう思います」

マネージャー「ええ~……」ガックシ

小林「ははは…それを聞いて安心しました…」

プロデューサー「だから、アイドルのコスプレさせて端っこで躍らせてみよう。そして最後にネタバラシすれば話題にはなる筈だ」

マネージャー「わぁ!それは面白そうな事になりますね!」

小林「それ聞いてより一層不安になりました。帰って良いですか?」

真田P「あの先輩。さすがにそれはドン引きなのでは……」


ガチャリ

???「おっすおっす!!プロデューサーさん!来てしまいましたよ!」

????「………おはよう」ペコリ

シャロ「あっ!まり……ん?」

21: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 20:37:13.35 ID:aa7GqzznO

ネロ「ええっと……誰?」

姫百合「…仮にもアイドルの人たちに失礼ですよ。この人たちもテレビに出てる――」

姫百合「……………」

小林(ああ。名前、出てこないんだ)

真田P「ああ、おはようございます。篠田さん。洲水さん」ペコリ

篠田「プロデューサーさん!今日もバリッバリ練習しますよー!!」

洲水「……センター右の子と後ろの子、二番目の歌と三番目の歌のサビ。そのズレがあるから調整よろしく」

真田P「はい。クリスマスまでには間に合わせます」ペコリ

シャロ「…………誰?」

ネロ「小林は分かる?」

小林「いや、その…僕もテレビあまり見ないから」

コーデリア「」

コーデリア「ハッ」

コーデリア「そっそれよりも茉莉音ちゃん!茉莉音ちゃんはどこ!?」キョロキョロ

真田P「茉莉音さん…?申し訳ありません。私は担当では無いので…」

コーデリア「ぎゃぁあああ!!出たぁあああああ!!!」ビクゥッ


22: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 20:38:08.75 ID:aa7GqzznO

プロデューサー「…茉莉音なら、個別レッスンを受けてるところだよ。後一時間くらいで終わるんじゃないか?」

シャロ「ええ!?そっ…そうなんですか?」

ネロ「なーんだ。じゃぁもうちょっと遅く来た方が良かったんじゃん」

小林(そもそも、この事務所に来る理由なんてあるのか…?)

洲水「…………」

篠田「あっ!プロデューサーさん!プロデューサーさん!」

真田P「はい、なんでしょうか篠田さん」

篠田「あの色鮮やかな四人組みと地味な男の人と女の人は誰ですか?」

コーデリア「色鮮やかって……」

シャロ「私達の事でしょうか?」

小林「そして地味とは僕の事だろうか」

姫百合「私も入ってますよね」

コロン「」

真田P「はい。彼等は、かの有名な小林オペラさんと。……」

真田P「……………」

ネロ「そして地味な男の人しか名前を知らないとか……」

姫百合「私に関しては救いようがありませんよね」

コーデリア「私達は!この小林オペラ教官が率いるミルキィホームズよ!」

真田P「…………?」

小林(本当に知らないようだね…)

篠田「小林?オペラ?何だか聞いた事あるねぇ~。洲水ちゃんは知ってる?」

洲水「ううん。全く」フルフル

小林「うん。今まさに自己紹介が必要な状況だねこれ」

23: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 20:38:45.33 ID:aa7GqzznO

シャロ「了解しました!私の名前はシャーロック・シェリンホード!」ビシィッ

ネロ「僕の名前は譲崎ネロ。人の心が読めるのさ」ビシィー

コーデリア「私はコーデリア・グラウカ。教官の下で探偵をしています」シャリィー

エルキュール「」(気絶)

ミルキィホームズ「「「私達4人は!ミルキィホームズ!!」」」ビシシー☆

篠田「ふーん?」

洲水「………」

真田P「失礼しました。私はこういう者です」スッ



証拠ファイル①真田Pの名刺

【名前と連絡先と会社名が書かれている。何故か名前欄が小さい】



小林「あっ…どうも」

篠田「それよりもプロデューサーさん!皆はどこに居るの!?」

真田P「藍川さんと栗野原さんは第二スタジオでレッスン。御子柴さんは部屋です。アーグニャさんは日本語教室へ。鬼瓦割さんはまだ来ていません。」

洲水「ふぅん。よく把握してるねアンタ」

真田P「いえ、仕事ですので」

篠田「そのくらい愛されてるって事ですよ私達!」

洲水「…どうせ、”仕事”なんだろうけど」フー

シャロ「せんせぇー……盛大にスルーされましたぁ…」グスッ

コーデリア「あの娘達…本格的に私達に興味を示さないわね……」

小林「というよりも、探偵に興味が無いだけじゃないかな?ははは…」


24: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 20:40:04.11 ID:aa7GqzznO

洲水「……で?」

小林「ん?」

洲水「どうして居るの?どう見てもアンタら関係者じゃないよね?」ズイッ

小林「えっ?あっ……」

真田P「洲水さん。この方達は茉莉音さんが巻き込まれた事件を解決してくださった方達で…」

洲水「………ふーん。まぁ、どうでもいいけど」スッ

洲水「アイドルにただ会いたいだけのミーハーはウチのプロデューサーに追い出して貰うから」

真田P「大丈夫です洲水さん。もう既に追い出しましたので」

洲水「?」

プロデューサー「それに、この小林オペラは――」

小林「ステージにはあがりませんからね絶対」

真田P「それに、彼女達は茉莉音さんに用があるとの事なので。行き先は同じです」

マネージャー「…あっ!という事はそうなりますね」

篠田「……じゃぁ、このヘンテコな格好した人達もレッスン場に来るの?」

コーデリア「ヘンッ…」

姫百合「テコッ……」

真田P「はい。そういう事となります」

小林(臆せず言ったな……僕のこの格好も変なのだろうか?)


25: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 20:40:31.75 ID:aa7GqzznO

プロデューサー「おおっと!そうだな。久しぶりに茉莉音も喜ぶぞ~?」

シャロ「はい!私も皆さんも会うのを楽しみにしています!」ウズウズ

姫百合「私は会った事無いので、会いに行っても良いのか分かりませんが…」

小林「僕も直接は会った事無いね。……帰ろうかな?このままだと本当にライブに関わせられる可能性が…」

ネロ「ほら、エリーも起きて」ザクッ

エルキュール「ヒゥッ!?」ビクッ

小林「ネロ、鉄ヘラをそんな使い方しちゃいけないよ」

ネロ「ほら、そこの露出魔も」ザクッ

コロン「」ビクッ

コロン「」

ネロ「……………あっ」

小林「トドメ刺した!今トドメ刺したね!?」


26: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 20:41:06.14 ID:aa7GqzznO

エルキュール「え…ええと…一体何が……」

マネージャー「あっ、そちらで白目剥いて床に寝ている女の子もお連れの方なのですかぁ?」

姫百合「あっええと、この子は……」

篠田「……あっ!私この子知ってる!」

小林「……え?」

篠田「大阪に旅行行った時、串カツのオブジェクトにソース塗りたくっていた子だ!!」

姫百合「全然知らない人です。どこかやっておいてください」

真田P「了解しました」ズイッ

ネロ「くぅっ……僕達よりもこの露出魔の方が姿を知られているなんて…!」

小林「いや、こんな形で知名度上げても生活し辛くなるだけだと思うよ…」

27: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 20:42:15.21 ID:aa7GqzznO

【横浜鶴舞薫レッスン教室 12月20日 午後2時04分】


シャロ「わぁ、この建物のどこかに茉莉音ちゃんが居るんですか!」

真田P「はい。そういう事になります」スタスタスタ

洲水「って、結局ここまで来てるし…大丈夫なの?これ」

プロデューサー「大丈夫大丈夫!探偵であろう者なら勝手にツイッターとかファイスブックに載せる訳なんて無い筈だから」

ネロ「えっ?載せちゃ駄目なの?」ピコーン

小林「…ちょっと?今、何?さっきの音……」

マネージャー「でも、お昼休みも終わったばかりだから。なるべくお静かにお願いしますね」

ミルキィホームズ「「「「はーい!!」」」」

姫百合「…………」

小林「ふふ、彼女達も大きくなったものだ」

姫百合「……教官としての立場だった時とは少しおかしな方向ですが」

小林「でも、あんなに怖がっていた真田さんにもうあんなに警戒心を解いている」

小林「人付き合いが良いことは、僕も見習わなくちゃいけない事かもしれないね」

姫百合「……そうかもしれませんが、端から見ると」

シャロ「あっ!見てください!このポスター美樹ちゃんがセンターです!」

ネロ「おっ!この松ぼっくりチョコのポスター、茉莉音が映ってる」パシャパシャ

コーデリア「見て!あそこに私達も映ってるわ!ほら!観客席に座ってるアレ!」

エルキュール「休憩室……本がいっぱい……」

姫百合「確っ実に幼児退行しているように見えます」


28: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 20:42:47.87 ID:aa7GqzznO

シャロ「あっ!もしかしてあの大きな扉ですか!?」

真田P「いえ、あそこは第二倉庫でして…」

シャロ「ちょっと見てきます!」タタタタタ

真田P「あっあのっ!?」

バターンッ

シャロ「キュウ!」

小林「シャーロック!?」ガーン

マネージャー「ああ~…今のは痛そうですねぇ……」

29: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 20:43:34.76 ID:aa7GqzznO

スタッスタッスタッ

???「……………」

コーデリア「ちょっとシャロ!イキナリ走ったら危な…ひっ!?」ビクッ

ネロ「ちょっとどうし……ひっ…人を殺しそうな目……」

エルキュール「………」ブルブル

シャロ「痛たたた……ごめんなさい茉莉音ちゃん。いきなり扉が開いて…」

???「…………」ズズズズズ

シャロ「ぉぅ……!」ビクッ  スススススス

シャロ「せっ…先生!先生!」グイッグイッ

小林「うっうん。怖いのは分かったから。とりあえず謝ろうね?」

真田P「おっ…鬼瓦割さん……また倉庫の中に居たんですか…」

鬼瓦割「………ファーア…ああ、プロデューサー。」ポリポリ

シャロ「そうですよね!あの強面のプロデューサーと比べたら怖くありません!それに」

シャロ「こういう怖い顔の人ほど中身は良い人だって!この事務所では相場が決まっているんです!ね?」

鬼瓦割「あ”あ”んっ?」ギロリッ

シャロ「」ビクッ

ネロ「」ビクッ

コーデリア「」ビクッ

エルキュール「」ビクッ

小林「お、おう…」ビクッ


30: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 20:44:06.21 ID:aa7GqzznO

真田P「あの、鬼瓦割さん…ライブまで後4日もありません。ので、できる限り練習に来ていただかないと…」

鬼瓦割「…つっても、面倒臭えんだよ。同じ動きを何時間の繰り返したりでよ」

真田P「…それが、アイドルの仕事ですから」

鬼瓦割「……チッ。やっぱそうなるってか。……仕方ねぇか」ボリボリ

シャロ「ほっほら!やっぱり聞き分けの良い良い人って!」

鬼瓦割「ちょっと、血でも見てくるかな……」ボキッボキッ

ミルキィホームズ「「「「きぃいいやぁぁああああああああああああああああ!!」」」」ダダダダダダダダダダダダ

タタタタタタスターンスターンスターン

小林(蜘蛛の子散らすように逃げていった…)

カーンッ  トタン

シャロ「うわぁあああん!!頭打ちましたぁああ!!先生ぇええ!!!!」ガシッ

小林(そして逃げ遅れた子兎は仲間に助けを求める……まんま野生の動物だな)

真田P「あの、皆様。関係者が不審に思うので机の下から出てもらえると嬉しいのですが…」



31: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 20:44:50.46 ID:aa7GqzznO

洲水「…鬼瓦割さん。アイドルがしちゃいけない顔ばかりしてると、いつかゴシップ誌にある事無い事書かれるよ?」

鬼瓦割「そういうてめぇも、休憩時間になると一人でどっか行くのを止めたらどうだ?あ?」

篠田「まぁまぁお二人方~。廊下で喧嘩しちゃ駄目ですよぉ。それに、プロデューサーさんが見てますよ~?」

洲水「………」

真田P「えっ?ああ…はい。出来れば…その」

鬼瓦割「……チッ」

小林(何だか、殺伐としているな。…アイドル業というのも大変なんだ)

マネージャー「まぁまぁ、鬼瓦割さん。覚えも早いし踊りには問題ありませんでしたし」

プロデューサー「体力はうちの事務所一だからね!…真田くんの次くらいに」

鬼瓦割「そういう事なら、もう少しふけっていても良いって事だよな?」

真田P「いえ、鬼瓦割さんの場合は腕の動きが他のアイドルよりも大きく、繊細さが少し足りませんので練習には来て貰わないと…」

鬼瓦割「本当、気持ち悪いくらいに良く見てるよなぁ。アンタ」

真田P「はい。私は貴方の担当でもありますので」

鬼瓦割「…………」

篠田「いやぁ~♪鬼瓦割さんも愛されてますねぇ~」

鬼瓦割「チッ」

小林「…あの、君達?いい加減机の下から出てきてくれると嬉しいんだけど」

ネロ「シー!黙ってて小林!バレたら僕達アイツに食べられちゃうんだから!」

小林「君達は初対面のアイドルにどんなイメージを持ってるんだ…」


32: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 20:45:16.00 ID:aa7GqzznO

鬼瓦割「分かった。出りゃぁ良いんだろ出りゃぁ」スタスタスタ

真田P「ありがとうございます。頑張ってきてください」

洲水「ふぅー。本当、鬼瓦割も素直じゃないね」

コーデリア「皆!オーガは去ったわ!机から出るわよ!」

ネロ「おっす!」バッ

エルキュール「は…はい…!」ババッ

姫百合「…貴方達は素直すぎます。自分に」



33: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 20:45:47.49 ID:aa7GqzznO

真田P「…それでは、この部屋になります」カチッ

小林「川澄特別レッスン室……ですか」

小林(名前からして、本当に特別扱いされてるんだな。その茉莉音さんって人は)

コンコン

<はーい

プロデューサー「茉莉音ー、美樹、先生。ちょっと邪魔するよー?」

<あっはいどうぞー

ガチャッ

美樹「何か用?プロデュ…ああっ!ミルキィホームズじゃん!」カチリ

シャロ「はい!お久しぶりです美樹ちゃん!」ピョンピョン

ネロ「茉莉音は?」

美樹「ああ、茉莉音ちゃんならあそこに…」

茉莉音「………あっ」

シャロ「あっ!」

シャロ「茉莉音ちゃぁ~ん!」ダダダダダ

茉莉音「あっ危ない!シャーロックさん!」

バチイィンッ

シャロ「えっ?」

グオオオオオオッ

シャロ「きゃぁああああああああああっ」

バッチィイイイイイイイイン

コーデリア「シャロォ!?」

小林「シャーロックゥ!?」


34: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 20:46:18.98 ID:aa7GqzznO

ネロ「いっいきなり飛び上がったと思ったら天井にぶつけたよ!?」

美樹「あー……そうだった御免」

エルキュール「な…何が…」

茉莉音「……このレッスン室は、練習の精度を上げる為に。罠を仕掛けているんですよ」

茉莉音「ちょっとでもミスすると、文字通り痛い目に合う部屋なんです」

姫百合「ええ……」

小林(…本当に大事にされているのか疑問に感じてきた)

バババッ

先生「あらぁああ!貴方達、この世紀の魔窟である私の教室へよ・う・こ・そ♪」パチクリ

コーデリア「っ!?」

姫百合「!?」

ネロ「うぉぅ……」ヒクッ

プロデューサー「おー先生!ライブまで後4日も無いけど茉莉音はどんな感じだい?」


35: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 20:47:04.51 ID:aa7GqzznO

先生「んもう、本当に最高のコンディションよ!練習始めてから一週間が経つけど、二人とも私の罠を美しくすり抜けていくのよ!」

先生「私がノンケだったら、見惚れていたわぁ!」キラキラキラ

マネージャー「わぁ、そうなんですかぁ」

エルキュール「」

真田P「…ごぶざたしております。先生」ペコリ

先生「あっ!やだ真田ちゃんも居たのぉ!?」

先生「来るって分かってたら、おめかししてたのにぃ!んもう!プロデューサーったらイケズぅ!!」

プロデューサー「ははは!アンタがおめかししたら最早化物にしか見えないだろ」

先生「やっだぁ!もう、プロデューサーったら冗談がお好きねぇ♪」

姫百合「あ…あの…小林さん…」

小林「う、うん?」

姫百合「なっ…なんでしょう。あの強烈なインパクトを持つ男性の方は……」

小林「ええと、見た感じ茉莉音さんのレッスン教師みたいだね」

姫百合「いや、あの…それはそうなんですが…」


36: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 20:48:12.41 ID:aa7GqzznO

先生「あっ」

小林「ん?」

先生「やっ…やだ!ちょっと貴方!すっごいイケメェンじゃない!?」

小林「え?あっ…僕ですか?」

先生「プロデューサー?もしかしてついに私の要求呑んでくれたのぉ!?イケメン男性アイドルユニットを作ってくれるって!」キラキラキラ

プロデューサー「いやだから作るつもりは無いって!作ったとしてもお前の所為で1日持たずに全員から辞表出されるわ!」

先生「やっだぁ!いくらなんでも私だってアイドルに手は出さないわよぉ」

マネージャー「美樹ちゃん茉莉音ちゃん。この先生のいう事、信用できる?」

美樹「ううん全然!」

茉莉音「ずっとライバル事務所の男性ユニットの話ばかりするので、不安でいっぱいです…」

小林(見事に信用されてないな…)

先生「あらぁ、じゃぁこのイケメンは一体どんな理由でここまで来ちゃったのぉ?」

プロデューサー「それは…」

コーデリア「きょっ教官も茉莉音さんのコンサートに行けるように交渉しに来たのよ!」

ネロ「そうだよ!だから茉莉音ちゃんに会いに来たんだよ!」

小林(いや、別にそこまでして行きたくも無いんだけど…)


37: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 20:48:50.79 ID:aa7GqzznO

茉莉音「ははは…別にそこまでしなくても了承くらい……」

小林「だから、さすがにそこまで迷惑はかけられないって」

ネロ「えー?でもさー」

先生「やっだぁ!迷惑なんかじゃ、ん無いわよぉ!私の目の保養に、もうちょっと居ても良いのよ?」

茉莉音「…………」

小林「ははは…申し訳ありませんが、僕もちょっと忙しい身でして…」

茉莉音「……こっ…」

小林「?」

茉莉音「小林 オペラさん!!!?」ガガガーン

コーデリア「!」ビクッ

ズルッ

美樹「あっ」

プロデューサー「あっ」

マネージャー「あっ」

先生「あっ」

茉莉音「えっ?」

グゥオオオッ

茉莉音「えっ!?」

ドゴォオオアアアアアアアッ

茉莉音「」 パラパラ…


「茉莉音ちゃぁぁあああああああああああああん!!!」



38: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 20:49:51.64 ID:aa7GqzznO


茉莉音「………」

小林「…え、ええと…」

ネロ「とりあえず大丈夫?天井に頭突き抜けてたけど」

シャロ「ふぁ~あ…あっ!茉莉音ちゃんおはようございます!」フリフリ

茉莉音「………」

コーデリア「…茉莉音ちゃん?どうしたの?さっきから黙って…」

茉莉音「…………」

茉莉音「……その…」

シャロ「?」

茉莉音「どうして……ミルキィホームズの皆さんと小林オペラさんが…一緒に居るんですか?」

ネロ「何でって、小林は僕達の教官だよ?」

コーデリア「最近までイギリスに行っていて私たちと離れていたけど、また戻って来てくれたの!」

エルキュール「小林さんから…探偵の極意を……教えて貰って…」

シャロ「先生が居るから!今のミルキィホームズが居ると言っても過言じゃ無いんです!」フンスッ

茉莉音「……えっ」

茉莉音「ぇぇぇええええええええええええ!!!?」ビックゥ

ネロ「ちょっそんなにビックリする事かなぁ…?」

茉莉音「ビッビックリもしますよ!だって、あの小林少年がミルキィホームズの教官だったなんて!」

茉莉音「わ…私の憧れの人が…」ボソッ

小林「…え?今、何て言ったのかな?」

茉莉音「…………」


39: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 20:50:28.77 ID:aa7GqzznO

美樹「へぇ~、アンタがかの有名な小林少年…ねぇ?」ニヤニヤ

小林「いや、もう少年っていう年でも無いけどね」ハハ

シャロ「茉莉音ちゃん!先生の事知ってたんですか!?」

茉莉音「え…そりゃぁ、有名な人だし…」

先生「やっやだぁん!そこのイケメン!小林少年って事は…アイドルとは違うベクトルの男子だったのねぇ!?」ビックゥ

小林「いや、まぁ確かに僕はアイドルではありませんが…」

先生「それじゃぁ先生!サイン貰おうかしら!このレオタードに直接書いてくれない?この腰ら辺に直で」スッ

小林「ええっ!?いやいやいや、それはちょっと…」

コーデリア「きょっ教官に近づかないでください!」ババッ

真田P「先生。申し訳ございませんが。客人にセクハラは止めてください」

先生「あぁらぁ。今のセクハラだった?ごめんなさいねぇ。じゃぁ、真田くん…」

洲水「うちのプロデューサーに手を出したら、こっちが許さないよ」ギロッ

先生「やっやだわぁ洲水ちゃん怖いお目目ねぇ。何もそういうつもりは無いわよぉ」

先生「と・こ・ろ・で、篠田ちゃんと洲水ちゃんもここに居るって事は、彼女達も私の授業を受けるって事ぉ?」ジリッ…

篠田「」ゾッ

洲水「」ゾッ

真田P「いえ、彼女達は彼女たちのレッスンがあります。まだ先生のお世話になる事はありません」

先生「なぁんだぁ。残念ねぇ。私の授業を受けたらスタントマンにだってなれるのにぃ」

真田P「いえ、恐れ多いです」

篠田「…良かったぁ」ホッ

洲水「……”まだ”?」

40: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 20:51:07.31 ID:aa7GqzznO

先生「うう~ん…それにしても」チラッ

ネロ「」ゾッ

先生「この子達も中々可愛いわねぇ~…私の手に掛かれば、最高のアイドルに仕立て上げる事もできるけどぉ?」ペロッ…

シャロ「せっ…先生!この人怖い!この事務所で会って来た中で一番怖いです!!」ガクガク

小林「そっそうだね…僕もちょっと怖いよ…」

コーデリア「男性女性、どちらかがセクハラで訴えてもこの人間違いなく勝てません!」

小林「それを堂々と言うのはどうかと思うけど…」

茉莉音「……それで」

シャロ「うん?」

茉莉音「ミルキィホームズの皆さんが…私達にどのような用なんでしょうか?」

茉莉音「それも、小林オペラさんと…お友達と真田さんとプロデューサー…マネージャーさんも連れて」

ネロ「ああ、この事務所の人達は案内してくれただけだから用事は無いよ」

真田P「ええ。少し申し訳無い気持ちです」

美樹「ふーん、じゃぁ招待券についての事?それでお友達も連れて行きたいって交渉しに来たの?」

シャロ「わぁ!凄いです美樹ちゃん!どうして分かったんですかぁ!?」

美樹「ふっふーん!こっちも探偵の洞察力ってのをやってみたかったのさ!」ドヤッ

シャロ「うぇえええ!」ビックン

姫百合「……そんな驚かなくても、ちょっと考えれば分かる事ですよ」


41: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 20:51:49.70 ID:aa7GqzznO

茉莉音「ああ、招待券を友達分出してくださいって事ですか」ニコッ

小林(正直、無理だったらそれでも良いんだけどね)

プロデューサー「それか小林くんを飛び入r」

小林「そういえばレッスンを中断させてしまっているかな僕達!?ははは!それじゃぁちょっと僕はお暇しようかな!」

ネロ「逃がすな真田!小林は今ここから逃げようとしている!ここで逃がしたら小林は多分もう戻ってこない!」

プロデューサー「なんだってぇ!行け真田くん!羽おい責めだ!」

真田P「失礼します」ガシッ

小林「うわぁ!ちょっと!?何この連携プレー!どれだけ僕を拘束したいんだ!?」

ネロ「ここで小林を逃がしたら僕達は再び地獄のような生活を送る事になるからね…悪いけどやすやすとは逃がさないよ」ニヤニイヤ

コーデリア「そうなんですか教官!?また私達を置いていくつもりですか!?」

エルキュール「もう…じゃがいも生活は…嫌……!」

シャロ「そっ…そんな……先生……先生ぇえ!!」グスッ

小林「どうしてそこでそう繋がるんだ!?過剰思考過ぎるよ!」


42: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 20:52:23.45 ID:aa7GqzznO

茉莉音「…あっあの!」

小林「ビクッ あっ…何かな?」

茉莉音「…その、ミルキィホームズの皆さんには、私も大変お世話になっています。皆さんの大切な人なら、私も喜んで招待したいです」

スッ

小林「えっ」

茉莉音「そっ…それに。私自身もおこがましいかもしれませんが、小林さんのファン…なのです。小林さんに私のステージを見てもらいたいと思っています…」

茉莉音「なっなので…是非、是非……/////」プルプル…

茉莉音「わっ…私達のステージを見てください!」スッ!

小林「………」

小林「……」

小林「…分かった。ありがとう」スッ

茉莉音「!」

小林「楽しみにしているよ。その…クリスマスライブ」ニコッ

茉莉音「っ」パァアア

茉莉音「はいっ!」


43: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 20:53:05.85 ID:aa7GqzznO

美樹「ふぅう↑。茉莉音ちゃんも青春だねぇ」ニヤニヤ

シャロ「やりました!先生もヒメちゃんもコロンちゃんも茉莉音ちゃんのライブに行けますよ!皆!」

コーデリア「………………そうね」

ネロ「…でも、何かちょっと面白くないなぁ………」

タッ

篠田「おっと!私達の事も忘れちゃ駄目ですよ茉莉音さん!」

茉莉音「あっ…篠田ちゃん」

洲水「…一応、私達も同じステージに立つんだから。負けないよ、お互い」

美樹「お~?先輩ウィズトップアイドルの挑戦と聞いたぞそれ~?」

篠田「構いませんよ!私達の夢はタダ一つ!」

篠田「このアイドル界のお花畑で!私達は一際輝く華となるのです!」


バタンッ


藍川「おっしゃぁあ!良く言ったぜぇ!篠田っち!」

篠田「藍川さん!」

ジャッキー「…バウッ……」

洲水「あっ…ジャッキーも」

44: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 20:53:38.71 ID:aa7GqzznO

エルキュール「」ビクッ

コーデリア「え?ええと…ジャッ…ジャッキー?」

姫百合「す…凄く…大きいんですが…」

ジャッキー「……………」

小林(本当にでかいな…座高だけで真田さんの胸まである……いやいや、これ何種だ?)

ネロ「わぁ!すっごい大きい犬っ!!」ガバァッ

シャロ「先生ぇー!モフモフですよ!モフモフ!」 モフモフッモフッ

ジャッキー「…………」

藍川「はっはっはぁ!何だ君達はぁ!?うちのジャッキーに勝手にモフモフしてぇ!初対面なのに遠慮がないなぁ!あはっはぁ!」

先生「やだぁ!ジャッキーちゃぁん♪んもうっ!私が犬アレルギーじゃなかったら食べちゃいたいくらい可愛いわぁ♪」

藍川「はっは!良かったなジャッキー!このオカマがアレルギー持って無かったらお前ケバブにされてたぞぉ!」

ジャッキー「…バウッ……」


45: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 20:55:01.11 ID:aa7GqzznO

真田P「藍川さん。ジャッキーさん。おはようございます」

ジャッキー「…バウッ……」

藍川「おっとぉプロデューサー!オッスオッス!今日も顔怖いねぇ!新入りの子がヤクザの事務所に来たかと勘違いしちゃうじゃないのさ!」

藍川「この私みたいにねっ!」ドヤッ

ジャッキー「…………」

真田P「…その節は申し訳ございませんでした。以後、気をつけます」ペコリ

藍川「はっはっははぁ!冗談!冗談だってば!それより、事務所行ったらプロデューサー達の姿が無くてさぁ、ちょっとビックリしちゃったぜ僕ぁ!」

プロデューサー「あっ…そういえば今、事務所が蛻の空だな」

姫百合「何やってるんですか貴方達…」

プロデューサー「仕方がない。マネージャー!お前事務所に戻ってくれ」

マネージャー「えっ?でもまだ私小林さんにサイン貰ってな…」

プロデューサー「戻れ」

マネージャー「わっ分かりましたぁああ~!」ドタドタドタ

真田P「あっ、それでは私も…」スッ

洲水「アンタはまだ。私達にまだ今日の日程伝えてないじゃない」グイッ

真田P「…申し訳ございません。まだ栗野腹さんが来ておりませんが、とりあえず皆さんの分だけでも…」

「ここに居るよ」

真田P「えっ?」

ヌゥウウッ

栗野原「……やっほぉおぉおお~~…」ヌウウッ

シャロ「ぎゃぁぁあああああああああああああああ!!!!!」ビックゥウウンッ

ネロ「うわぁあああ!犬から人間が出てきたぁああああ!!!」ビクビックウウン!

ジャッキー「…………」


46: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 20:55:45.06 ID:aa7GqzznO

真田P「…ジャッキーさんの毛の中に居たのですか」

プロデューサー「本当、この娘に至っては神出鬼没だよなぁ」

藍川「おっとぉ!ジャッキーくんの毛の中に居たのかぁ!私も全然気づかなかったぞぉ!かくれんぼしたらマロンちゃん、一生見つからないだろうねぇ!」

篠田「まさにかくれんぼの達人ですね!」

栗野原「クックック…そんな称号……不都合しか無さそうだけどねぇ…ケケケ」

真田P「おはようございます栗野原さん」

栗野原「もう午後だよ。…まぁいいや。おはようプロデューサー。今日も呪われそうな顔してるねぇ…ケケケ」

真田P「えっ……」

栗野原「私は好きだよぉ?その陰気くさそうな顔……クケケケケ…」

真田P「はっ…はぁ……」ポリポリ

小林(…ここのアイドル達、負けず変わらずキャラの濃い娘達ばかりだな)

小林(…好き嫌いが分かれそうだ)

プロデューサー「まぁいいや、これで全員だっけか?」

藍川「あれれ?あと、鬼瓦割さんとアーグニャちゃんと御子柴ちゃんが居ないよ?」

洲水「鬼瓦割はさっき倉庫で見つけたよ」

真田P「御子柴さんは部屋。アーグニャさんは日本語教室です。……そろそろ終わる頃だと思いますが」

篠田「御子柴ちゃんは部屋かぁー…。それじゃぁ!私ちょっと呼んでくるね!」タタタタタタタ

真田P「あ、それでは私もアーグニャさんを迎えに行きます」スタスタスタ

洲水「ああ、ちょっと…私達の日程は?」

藍川「まぁまぁスミスっち!このクリスマスライブ間近のクッソ忙しい時期、練習以外に無いって!いつも通りだよ!」

洲水「…だから、どこを直すとかを一人ひとりアドバイス貰ってるでしょ私達。それが無いとどうしようもないでしょ」

藍川「…………」

藍川「あっ」

47: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 20:56:14.23 ID:aa7GqzznO

栗野腹「クックク…まぁ、私はいざとなったら霊媒すれば良いだけだけどねぇぇ…ケケケ」

美樹「…いやぁー、本当個性豊かなアイドルがいっぱいいるねーBRチーム。」

ネロ「こうなるとちょっとこんがらがっちゃうよね」

姫百合「……本当に纏まっているのか不安になってきますよね」

プロデューサー「その点は大丈夫だ。私達の教育技術は賜物だからね!」

小林(まぁ、バラバラだったらここまで大きなステージに上がれなかっただろうしね)

バタンッ

小林(…ん?)

アーグニャ「…Приветー…みなさーん…」フラフラァ

藍川「おーアーグニャちゃぁん!相変わらず冒頭何言ってるか分からないけど、来たんだねぇー!」

アーグニャ「…ムニャルムニャル……ワタシ…トテモ…眠イデース…」フラフラフラァ

アーグニャ「……グゥ…」

洲水「寝るな寝るな。これからレッスンだぞ」

プロデューサー「というか真田くん日本語教室まで迎えに行っちゃったぞ?…呼び戻さないと」ピッポッパ

48: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 20:56:42.61 ID:aa7GqzznO

ピリリリリリリリリ

先生「あっ、臨時休憩時間は終わりよ!さぁ、茉莉音ちゃんも美樹ちゃんもレッスンに戻るわよ!」

茉莉音「あっ…はい!」

美樹「ええ~…またあの色んな意味で地獄のようなレッスンをぉ~?」

プロデューサー「あっそれじゃぁ私達もここを出っ…あっ真田?アーグニャ事務所に来たから戻って来ていいぞ?」スタスタ

洲水「…じゃぁ私も、プロデューサー探してくるから」

先生「それじゃぁ小林くぅん?ごめんなさぁいねぇ?もし、私とお話したかったらこの名刺を…」

小林「えっあっ…はい……」



証拠ファイル②レッスンの先生の名刺

【名前と連絡先とスリーサイズと電話番号が書かれている。キスマークが大きく覆われている】



小林(これ…パッと見キャバクラの名刺に見えるな)

シャロ「ええー?もう茉莉音ちゃんとバイバイなんですか?」

ネロ「ようやく会えたんだから、もうちょっとお話したいんだけどなー僕も」

アーグニャ「ふぁぁ……Спокойной ночи ……グゥ………」

藍川「ほらほらー!おやすみなさいくらい日本語で言わないと私困惑しちゃうよー?ここで寝ちゃ駄目だー!」ダンダン

ジャッキー「…………」

先生「あらぁ。皆この部屋に残りたいの?茉莉音ちゃん大人気ねぇ。それじゃぁ……」

先生「茉莉音ちゃんと一緒に、私の熱いレッスンを受けるかしらぁ?」ニタァ……

シャロ「バイバイ茉莉音ちゃぁーん!また会いに来るからねぇー!」ブンブン

ネロ「クリスマスライブ楽しみにしてるよー!頑張ってねそれじゃさようならバイバーイ!」ダダダダ

コーデリア「お体をお大事に!検討を祈りますわ!」ドダダダダダダダダ

アーグニャ「Доброе утро!!!レッスンに行きましょう!」カッ

藍川「おおっとぉ!やる気だねぇアーグニャちゃん!よっぽどあのオカマレッスンが嫌かぁ!」

ジャッキー「…………」スタスタスタ

姫百合「失礼します」スタンスタンスタンスタン

小林(今、皆の心が一つになった!)

小林「………」

先生「…」パチクリ

小林「そっそれじゃぁ僕も…」

茉莉音「こっ…小林さん!ミルキィホームズさん!」

小林「…ん?」

茉莉音「………ライブ、楽しみにしてください!」ニコッ

小林「…………」

小林「…うん。ありがとう」





49: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 20:57:45.86 ID:aa7GqzznO

【横浜鶴舞薫レッスン教室 12月20日 午後3時26分】


小林(そして僕達は、プロデューサーの後を追っていくうちに色々なアイドルと出会い、その度にスケジュールやライブの確認)

小林(時には僕達をそっちのけで明後日の方向へと進み、ミルキィホームズの皆も姫百合くんも探検しにどこかへと消えた)

小林(そして今――僕は)

小林(この広いレッスン教室の中で迷子になっていた)

小林「マズイ…よなぁ」

小林(正直、このまま僕がレッスン教室から出て帰るのは容易い事だ。彼女達の心配は無いだろう)

小林(問題は彼女達が僕を探しているとして、勝手に帰ったら失礼に当たってしまうわけで…)

小林「…あっ」

真田P「あっ」

小林「どっ…どうも」

真田P「ええ。どうも小林さん」

50: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 20:58:28.35 ID:aa7GqzznO

小林「…何を、しているんですか?そんな所で」

真田P「…いえ、この部屋はその、御子柴さんの部屋なのですが」

真田P「篠田さんが入ったっきり出てこなくて…。鍵も掛かって途方に暮れていた所です」

小林「鍵が?」

真田P「ええ、あっ!だからと言っておかしいわけでは無いのです」

真田P「御子柴さんは、その…極度の人見知りでして」ポリポリ

小林「はぁ」

真田P「レッスン以外は大体自室で一人、何をしているのか分かりませんが鍵を閉めたまま閉じこもるのです」

小林「ははは…それは大変ですね」

小林(どうしてアイドルになったんだろう)

真田P「…元々は、篠田さんの友人で彼女がここに連れてきた子なんですよ」

小林「えっ?」

真田P「私がこのような身なりと顔。そして背が高さで酷く怯えさせてしまった事があるのです」

小林「えっ、あの…僕、口に出していましたか?」

真田P「ですが、それも無くなり御子柴さんはじょじょに綺麗な笑顔に…あっ!申し訳ございません。彼女のプロデュースの癖で…」ペコペコ

小林(この人も、結構苦労しているんだなぁ)


51: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 20:58:56.61 ID:aa7GqzznO

真田P「しかし…」チラッ

真田P「……そろそろ部屋から出て貰わないと困るのですが…」

小林「この後、何か?」

真田P「はい。この後ライブに関する打ち合わせとレッスンが」

小林「そうなのですか…」

真田P「篠田さんもこの部屋に居るのでしょうか…」チラッ

小林「うーん…何かしらの事件が起こってなければ良いんですけど…」チラッ

小林「…………」

真田P「あの、失礼します御子柴さん。レッスンの時間です。」コンコン

小林「……」

真田P「…あの、篠田さん?いらっしゃいますか?御子柴さんも居るのは――」

小林「…あっあの……真田……さん」

真田P「?はい。なんでしょう」

小林「……足元を、見て貰ってもよろしいですか?」

真田P「足元ですか?」チラッ

真田P「…………えっ」

小林「…はい。ドアの隙間から…流れてるの…これ、血…ですよね?」

真田P「……………」


52: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 21:00:00.15 ID:aa7GqzznO




ドンッ!!ドンッ!!!!



小林「!」

真田P「御子柴さん!?篠田さん!?何をやっているのですか!?開けてください!!」

小林「真田さん!落ち着いてください!」

真田P「…っ!御子柴さん!!篠田さん!!!!」ドンッ!!ドンッ!!!!!

小林「真田さん!扉を叩くだけじゃ駄目です!」

小林「鍵を壊す勢いで蹴破りましょう!!」

真田P「!!」


53: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 21:00:39.84 ID:aa7GqzznO
no title

54: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 21:01:06.14 ID:aa7GqzznO


小林「凄い…一蹴りで……!」

真田P「篠田さん!御子柴さん!!」

篠田「」

真田P「!!」

真田P「篠田さん!どうしたんですか!?しっかりしてください!!」

篠田「」

小林(!手にジュースの入ったグラスを持っている…)

真田P「篠田さん!?篠田さん!!」

小林「……」ピトッ

小林「…大丈夫、眠っているだけだ。外傷も目立った所は無い」

真田P「…よっ…良かった…」

小林「…………それよりも」

小林「あれは………あれが…御子柴さんなのか?」

真田P「ハッ そうです御子柴s……」

真田P「」

55: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 21:01:33.59 ID:aa7GqzznO

小林「……この、華の造形をした花瓶……の下に彼女の頭が……いや頭が潰されている…」

真田P「………っ」

小林「…真田さん」

小林「………これは、間違いなく殺人事件だ」

真田P「…いっ今すぐ警察を呼びます…!!」ピッピッピ……

小林「……………」

小林(落ち着け…落ち着くんだ僕…!)

小林(まず、警察が来る前にこの殺害現場の状況を十分に把握する必要がある)

小林(もし、被害者の殺害時刻が現時点の時刻と差異が無ければ…真犯人は近くに居る!)

小林(まずは被害者の周辺を調べ……)

小林(……………)

小林(……僕は、今殺人事件が起こったにも関わらず冷静に判断し行動に移している……)

小林(これは…探偵としては良い傾向かもしれないが…人間としては…)

小林「…とにかく、捜査だ」


56: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 21:02:03.74 ID:aa7GqzznO


→【凶器の石の華】

小林(被害者である御子柴さんの頭を完全に潰している)

小林(この壷を持ち上げて被害者の頭を確認する度胸は、僕には無い)

小林「……ん?」

小林(そういえば、この壷が凶器と言う割りには壷が綺麗すぎるな)

小林(いや、血や肉片は付着しているが…鈍器として用いられたとしたらひび割れや変形が少なすぎる)

小林(無いと言っても良いくらいだ……)




証拠ファイル③凶器?の壷

【大きな華をモチーフとした石壷。ひび割れや変形がほぼ無い】




57: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 21:03:10.96 ID:aa7GqzznO



→【篠田が飲んだジュースのグラス】



小林「グラスが割れている…中身はオレンジジュースか」

小林(篠田さんは眠っていた。という事はこのジュースを飲んで眠らされたと考えるのが妥当か)

小林(このジュースに関しては神津と鑑識が明らかにするだろう。睡眠薬入りかどうかはその時に聞こう)




証拠ファイル④割れたグラスとジュース

【篠田さんが飲んでいたと思われるジュース。中に睡眠薬が入っていた可能性が有り】




小林「…………」

小林(しかし)

小林「一体誰に盛られたんだ…?」




58: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 21:03:38.77 ID:aa7GqzznO


→【机上の写真】


小林「ん?これは……」

小林(…この写真に写っている人が御子柴さんなのだろうか?)

小林(そしてその隣に移っている女性は……一体…これは何だ?)

小林(赤い×印で顔が潰されている…どういう意味だろう?)




証拠ファイル⑤御子柴さんの写真

【写真には二人の人物が写っている。被害者と被害者の母親。母親の顔が赤い×印で潰されている】



真田P「はい…はい!早急にお願いします!」ピッ

小林「…あの、真田さん」

真田P「え…はい。なんでしょうか?」

小林「この写真に写っているのは…御子柴さんで間違いありませんか?」

真田P「…えっ?あっ!はい!御子柴さんとその母親に……」

真田P「……どうして母親の顔が赤く塗りつぶされているんですか…?」

小林「(…………)真田さん」

小林「どうやら、この事件は想像以上に複雑のようです」

真田P「えっ…」

小林(これだけの証拠では、現状が全く分からない)

小林(それに、警察が来るまで現場保存の為に引き出しの中を開ける訳にもいかない…凶器である壷を動かすなんてもっての他だ)

小林(……神津達を、G4を待つしか無いのか…!)



59: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 21:04:21.67 ID:aa7GqzznO


【横浜鶴舞薫レッスン教室 12月20日 午後3時45分】



ダンッ!!!!!!



小林「!」

神津「………」

小林「…来たか。神津」

シャロ「せっ先生!この騒ぎは…一体なんなんですか!?」

コーデリア「あのっ!急に警察の方達が私たちを部屋に拘束するって!教官!?」

小衣「ちょっとアンタ達!うっさい!黙ってなさいよ!」

プロデューサー「…ちょっとこれは、一体何が起こったんだい?小林少年と、真田。」

真田P「…………」

神津「…小林」

神津「…………」

姫百合「あっあの!小林さん!一体ここで何が起こったんですか!?」

洲水「……プロデューサー。何だか凄く浮かない顔してる」

真田P「…………」

アーグニャ「Это странно……プロデューサー…元気ありません…」


60: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 21:05:05.77 ID:aa7GqzznO

神津「…一体何があった」

小林「この部屋には鍵がかかっていた。それで僕達は扉の鍵を壊し、中に入ったんだ」

小林「その時から既に…こんな状況になっていたんだ」

神津「……………」

次子「っつー事は、ここで寝てるお譲ちゃんもそのままの状態って訳かい?」

小林「…ああ。そうなる」

次子「…ふぅーん」

ネロ「異議あり!」ビシッ

小衣「はぁ!?ちょっと何!耳元で叫ばないで!」

ネロ「今、この現場で矛盾があったから突きつけただけだよ」

平之「矛盾…ですか?」

ネロ「そうだよ。何で居るのアンタ達」

小衣「…は?」

ネロ「G4って怪盗事件担当でしょ?現場をチラっと見た感じ、どう見ても殺人事件だった」

神津「………」

ネロ「これは、明らかに矛盾していると思うな」

平之「………」

咲「………」

小林「…ごめんネロ。矛盾していたとしても…そんなに疑問を感じない」

ネロ「えっ」


61: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 21:05:58.06 ID:aa7GqzznO

次子「んあ。あー私たちさぁ?今まで二度もサイコパス殺人に関わって来たからさぁ」

咲「警視の一声さえあれば、殺人事件でも介入できるようになったってわけ~」

神津「…俺は許可した覚えが無いがな」

小林(それはそれで大問題のような)

シャロ「えっ……」

エルキュール「まっ…また…さっ…殺人?」

神津「…………」

小林「…まぁ、でもそういうわけだ神津」

小林「この事件、どう見ても殺人事件。そして僕は第一発見者だ」

神津「…ああ、そういう事になるな」

小林「そうだ。それを踏まえて言える。ここにある証拠品だけでは不明な点が多い」

神津「…………」

小林「まず、このグラスのジュースには睡眠薬が混入していた可能性がある。そして、この壷は凶器と言う割りにはひび割れも変形も少ない」

神津「…………」

小林「そして、極めつけはこの机の上の写真。被害者と思われる人物とその母親が…」

神津「小林、良く聞け」

小林「?どうしたんだ?」

神津「……我々に情報提供。指示をしてくれるのは良い」

神津「だが、我々はお前のいう事は聞けない」

小林「……えっ?」

ネロ「…どういう事なのさ」

神津「小林、今回のケースにより。お前には」


神津「特殊捜査権限を与えることが出来ない」


小林「!?」


62: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 21:06:35.68 ID:aa7GqzznO

コーデリア「どっどういう事よ!?」

「はんっ!当然の事よ!」

スタスタスタスタ

小林「っ!……北芝検事」

北芝「…久しぶりねぇ。探偵オペラ」

北芝「悪いんだけど、今回はアンタに特殊捜査権限を発動させる事はできないわ」

シャロ「なっ…なんでですかぁー!!」

ネロ「それって、ただのアンタの私怨じゃないの…?」ギロッ

神津「……北芝検事の事情とは関係が無い」

神津「特殊捜査権限は、いついかなる時でも発動できる物では無いという事だ」

小林「…そっそれってもしかして…」

神津「…ああ、小林。お前が事件の第一発見者の時点で」

神津「お前にも事件の容疑が少なからず存在する」

小林「っ!」

シャロ「!」

ネロ「!」

コーデリア「!」

エルキュール「!」

姫百合「!」


63: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 21:07:26.00 ID:aa7GqzznO

神津「…事件の容疑を被っている者に特殊捜査権限を与えるわけにはいかない」

神津「つまりはそういう事だ。悪いが明日の裁判の日まで、お前達は身動きが取れない」

小林「そんなっ…」

北芝「はっ!ざまぁないわね。これじゃぁ安楽椅子探偵でも事件解決は無理じゃないかしら?」

北芝「アンタにまだ、不明の点があるって言うのならね!!」

小林「ぐっ…」

北芝「…まぁでも、特殊捜査権限がかけられても、容疑があっても弁護権は失わないから今回の事件でも弁護してみたら?」

北芝「そして準備不十分のまま弁護席に立つ屈辱、受けてみるがいいわ!あーっはっはっは!」

ネロ「なんだとー!毎回小林に負けてるくせに生意気なぁー!」

コーデリア「そーよそーよ!今となっては負け犬の遠吠えにしか聞こえないわ!」

ジャッキー「…バウッ……」

小林「あっ…ジャッキーくん居たんだ…」

小衣「そうよ!ババアあんた調子に乗らないで頂戴!」

北芝「アンタはどっちの味方なのよ……」

北芝「…まぁいいわ。あんた達は明日の裁判まで留置所で身動きが取れないでしょうし」


小林「っ!?」


64: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 21:08:10.20 ID:aa7GqzznO

姫百合「りゅ…留置所……」

北芝「誰が告訴されるか、楽しみにしているが良いわ」

北芝「あぁーっはっはっはっは!!」

神津「……不当な逮捕はしない」

神津「中でも最もサイコパスの可能性が高い人物を拘束、告訴するつもりだ」

小林「…………」

小林「…という事は、つまり…!」

神津「お前がそいつを弁護するのは勝手だが、あまり警察を舐めない事だな」

神津「…連れて行け」

巡査部長「はっ!!」



タッタッタッタッタッタッタ………




65: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 21:08:43.03 ID:aa7GqzznO

【留置所 12月20日 午後4時44分】



ネロ「クッソー!何だよ神津警視のあの態度!」プンプン

コーデリア「いくらなんでも!私たちをこんな所に押し込んだ上にあの仕打ち!今まで事件を解決したのは私たちなのに酷いと思います!」プンプン

小林「いや、仕方無いよ…。僕にも容疑がかけられているのは事実だし」

シャロ「でも!先生が殺人なんてする筈ありません!」

エルキュール「そっ…そう…です…!」プルプル

小林「うん、いや今回容疑にかけられるのは僕じゃなくて…」チラッ

真田P「………………」

洲水「…プロデューサー。その…さ、あんまりそんな暗い顔しないでよ」

藍川「そうですよ!こういう時こそ…時…こそ……」

藍川「……………」

藍川「…ごめん。さすがに不謹慎すぎた」

洲水「…まぁそうだよね。御子柴さんが…ね。まさか…………」

アーグニャ「…………」

鬼瓦割「チッ そもそもいつ自殺してもおかしくない野郎だったのは確かだけどな」

洲水「…ちょっと?鬼瓦割?」

鬼瓦割「だって、顔を合わしてもヒソヒソと逃げる奴だぞ?私なんて声も聞いた事無いんだぜ?」

洲水「…………」ギロッ

アーグニャ「……喧嘩…ダメ…」フルフル

藍川「まっまぁまぁお二人ともぉ。ちょっち落ち着いてぇ~」

二人「「黙ってて(ろ)!!」」

藍川「うひぃ!」ビクッ

エルキュール「きゃぁああああああ!!」ビクッ

シャロ「猛獣がぁああ!猛獣が唸り始めましたぁー!!」

ネロ「大丈夫だよ皆!猛獣は檻の中に居て僕達は…檻の中だぁ!うわぁああああああ!!」

姫百合「………元気ですねぇ」

小林「……本当」


66: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 21:09:49.64 ID:aa7GqzznO

真田P「あの…お二人とも、お止めください…お願いします」ペコッ

洲水「…………」

鬼瓦割「………チッ  興が失せた」

茉莉音「…それだけでも良かったです。だって、私たちの仲間が…殺されたんですもの…」

美樹「これ以上、犠牲者出したくないからねー」

鬼瓦割「………おい、言葉に気をつけろツインテール」

小林「…………」

小林(やっぱり荒れてるなぁ。…仕方ないか)

小林(今回の事件、刑事側に告訴されるのは間違いなく…”篠田さん”)

小林(理由は、殺害現場の部屋に殺害時に居た人物として、真犯人の容疑に一番近い人だからだ)

栗野原「……………」サクッ サクッ

藍川「…うん~?栗野原っちは何をしてるのかな~?」

栗野原「…この事件の真犯人を……呪い殺そうとしているの」

栗野原「呪殺は刑罰に処されないからねぇ~…よっぽどの事が無い限り。ケケケッ」サクッサクッ

藍川「あっあのさマロンっち?お人形さんが血まみれになってるんだけど…どのような効力があるのそれ?」

洲水「ていうか犯人が誰かハッキリしていなくても効力あるの?それ」

真田P「…栗野原さん止めてください。貴方が血を流す必要はありません」

真田P「貴方が傷ついてしまえば、私が困ります」

栗野原「…………」

栗野原「…プロデューサーがそういうのなら、仕方無いねぇ。クケケッ…」

小林(アイドル達には彼に任せれば安心そうだな)


67: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 21:10:45.88 ID:aa7GqzznO

鬼瓦割「…それより、黒プロデューサーとバカ乳とオカマはどうした?あいつらも容疑あるんじゃないのか?」

藍川「あらっ?ええとそれは~…」

真田P「先輩とマネージャーは事件当時、事務所に居たので容疑外です。先生は…その…」

先生「はぁ~い♪私はKO↑KO↓に居るわよぉ~☆」

鬼瓦割「居たのかよ……」チッ

茉莉音「すごい離れた所に居ますね」

先生「こういう時でもライブの為にレッスンを怠ってはいけないわ!もうライブまで……」

真田P「…殺人事件が起こった以上、クリスマスライブは中止です。それも…不謹慎ではありますが。メインメンバーに欠員が出てしまっては、表に出る事も出来ません」

茉莉音「えっ………」

先生「あら……残念ね。茉莉音ちゃんも美樹ちゃんも凄くダンス上手くなったのにぃ…」シュン

ネロ「…やっぱりこういう事態になっちゃうと、ライブは中止だよねぇ…」

シャロ「楽しくはしゃげませんもんね…」

茉莉音「……………」

小林(…茉莉音さん、酷くガッカリしてるな。)

小林(クリスマスライブ…本人も楽しみにしていたんだな……可哀想に)



68: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 21:11:12.23 ID:aa7GqzznO


ガターンッ



小林(…ん?)

看守「小林オペラ、面会だ。出ろ」

シャロ「えっ何?先生?」

コーデリア「教官だけ…一体どういう事でしょう」

小林「あの、一体誰が……」

看守「ここでは伝えられない。来い」

小林「………分かりました」スッ

シャロ「!」

シャロ「せっ先生!もし被告人でしたら!弁護してあげてください!」

ネロ「多分、一番不安なのは刑事側に訴えられた人だからね」

小林「……ああ。分かった」

小林(勿論、そうするつもりだ。このまま裁判が終わるまで何もしないまま終わるわけにはいかない)

小林(……だが、何だ?この、胸騒ぎは?)

小林(いや、胸騒ぎだけじゃない。この強烈な違和感……気持ちの悪さ…)

小林「…………」

小林(…この事件、何かが隠されている。それも、酷く臭う何かが)



69: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 21:11:49.99 ID:aa7GqzznO


【留置所 12月20日 午後5時02分】


小林「………」

小林「きっ君は……!」












コロン「師匠!こんな所で何しとるんや!?」




70: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 21:12:36.64 ID:aa7GqzznO

小林「コロンくん!君は留置所には居なかったのか…!」

コロン「うん?まぁ、気づいたら公園のベンチで眠ってたんやけどな」

コロン「そんな事よりも、これどないなっとるん?」

コロン「あの胡散臭い銀髪の眼鏡の兄ちゃんに師匠の居場所を聞いたら、留置所と聞いておったまげたで!」

コロン「しかも姫百合やミルキィホームズの皆も留置所に閉じ込められとる言うて…何に巻き込まれたんや?」

小林「……実は、その………」




71: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 21:13:04.10 ID:aa7GqzznO


→【殺人事件】


コロン「…ほんまかいな?」

小林「ああ。事務所の持つ練習所で殺人事件が起こった」

小林「そして事件現場に近かった僕達が容疑者として拘束された。そして僕は第一発見者だ」

コロン「…ふ~ん?ほ~ん?……そして、何か分かったんか?師匠」

小林「……分からない」

コロン「ん?」

小林「容疑にかけられた探偵に特殊捜査権限が貰える事は無い。だから僕はここに居るわけで…」

コロン「あっ………」

コロン「…………」

小林「あっいやその。でも裁判で大体の証拠は出揃うと思うしそんな悲観にならなくても…」

コロン「……ふっ」

小林「ふ?」

コロン「ふはーっはっは!こんな時こそ!名探偵コロン様の出番や!」ガタッ

小林「うわっ!?」ビクッ

72: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 21:13:43.51 ID:aa7GqzznO

コロン「安心せぇ師匠!ウチはこの事件で誰よりもアリバイがある!そして関西でも有数な探偵や!」

コロン「だからウチには特殊捜査権限が下りる筈やで!」フンス

小林「………」

小林(確かにそう…だけど)

タンタン

コロン「師匠!これからウチは師匠の為にこの事件の捜査してくるで!」

コロン「そして!新しく暴かれる証拠品を楽しみにしてーな!今日までにおったまげるほどの証拠品を持ってきたるわ!」

小林「……それは、非常に助かる」

コロン「おっしゃぁああ!やる気出てきた!それじゃぁ行くでぇ!名探偵コロン!捜査開始ぃいい!!」ピュゥウウウ―

小林「…………」


イソゲイソゲー!キョウマデニシショウニユウリナショウコヒンソロエルンヤー!


小林(…ミルキィホームズに負けないくらい、彼女も騒がしい子だな)

小林「でも、ちょっと頼れる子…かな」クスッ

看守「はい、以上今日の面会は終了です」

小林「えっ」

看守「今日はもうこれ以上の面会は許されませんので、あっしからず」

小林「……」

小林(ごめんコロンくん…証拠品…間に合わなかったね……)




73: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 21:14:11.61 ID:aa7GqzznO


【留置所 12月20日 午後5時30分】


シャロ「そうなんですか。コロンちゃんが…」

小林「うん、幸い彼女にはアリバイがあるからね」

ネロ「ちぇー。結局の所あの露出魔、棚から牡丹餅だよねー」

姫百合「しかし、これで私たちにも証拠品が回ってくる可能性が高くなりました」

小林「はは…そう……だね」

小林「…………」

小林「……あの、皆さんちょっと良いですか?」

洲水「?」

真田P「はい。何でしょうか」

小林「…僕は明日、この事件の被告人を弁護します」

茉莉音「!?」

鬼瓦割「…おいちょっと待てよ。被告人って事は、御子柴を殺した奴の事だろ?」

洲水「さすがに、私もそれはどうかと思うけど?」

栗野原「……もう、遅い。私が…呪いをかけたからネ……ケケケ」

小林「……その、被告人が」

小林「篠田さん…だったとしてもですか?」

藍川「!?」

栗野原「!!!」

アーグニャ「……Вы, наверное шутите?」


74: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 21:14:57.25 ID:aa7GqzznO

洲水「……どういう事?」

小林「今回の事件、事件の容疑者として最も疑わしいのは篠田さんです」

小林「刑事側が告訴する人物として最も最有力なのは間違いないでしょう」

藍川「いっいやいやいやいや」ブンブンブンブン

藍川「篠田っちが!?絶対有り得ないでしょ!よりによって一番殺人に無縁じゃん!篠田さんなんて!」

洲水「…私も、ジョークとしては笑えないなそれ」

小林「冗談ではありません。本当の事です」

真田P「…………」

先生「ええ~?でも、篠田ちゃん。BRの中でもすっごく良い子よぉ?そんな子が殺人なんてぇ…」

小林「それを確かめる為に、僕は法廷に立ちます」

小林「この事件の、真犯人を突き止める為に」

洲水「…………」

鬼瓦割「…………」

藍川「…………」

栗野原「…………」

アーグニャ「…………」

真田P「………そう…ですか」


75: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 21:15:51.13 ID:aa7GqzznO

シャロ「大丈夫ですよ!小林先生なら絶対に!裁判に勝って見せます!」

ネロ「そうだよ!事件なんてアッサリ解決しちゃうんだから!」

コーデリア「教官に出来ない事なんて無いんです!」

エルキュール「大船に…どんぶらこ…どんぶらこ…」

小林「…みんな、ありがとう」

小林(正直、僕はそんなに自信無いんだけど…)

鬼瓦割「…で?どうするってんだよ」

小林「はい。まずこの事件当日の事柄を整理する為に」

小林「皆さん一人一人に事件当日何があったか聞かせてください」

洲水「……それって…」

栗野原「私たちの事…疑ってるぅ?」

小林「いえそうではありません」

小林「事件当日に皆さんがどこに居たのか、把握する必要があるのです」

鬼瓦割「…………」

アーグニャ「…………」

真田P「……分かりました」

スッ

真田P「皆さんも、小林さんにアリバイを話してください」

洲水「………分かった」

藍川「…分かった。まぁ仕方無いよね」

鬼瓦割「……こうなった以上はな   チッ」

アーグニャ「…Да。Понимаю…分かりました」

栗野原「しょうがないねぇ…ヒヒッ」

小林「…ご協力、感謝します」

小林(現場の捜査が出来ない今、僕ができる事は)

小林(事件関係者から話を聞いて、どんな些細な情報も手に入れる事だ!)



76: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 21:16:19.13 ID:aa7GqzznO


→【真田Pのアリバイ】


真田P「…AM6時に起床。6時十分に歯の洗浄。終えたら昨日下準備した食材で朝餉の準備を。」

真田P「いつもの通り7時13分の東海道本線の普通列車で通勤。7時55分にはタイムカードを切り今日のスケジュールの確認を…」

小林「…あっあの、私生活の事までは報告しなくても大丈夫なので…」

小林「真田さんは僕と同じ事件の第一発見者です。アーグニャさんを迎えに行った後の事を教えてください」

真田P「…はい。あの後、先輩から電話が掛かってきてアーグニャさんが練習場に来たという報告を受けました」

真田P「その後皆さんのレッスンの時間を念のため先輩に報告。一度練習場に戻り御子柴さんを迎えに行きました…その後は」

小林「分かりました。結構です。その後の事は理解しています」

小林(…聞いた所、変わった所は無いな)

洲水「……タイムカードを切って私たちのスケジュールを確認した後、何してるの?」

真田P「え」

藍川「あっ!それ私も気になるなぁ~。誰のスケジュール表を一番最初に見るのかも何気に~」

アーグニャ「Понятно…アーグニャがここに来る時間ハ…ダイタイお昼頃デス」

鬼瓦割「…学校の勉強とかあるからな。一応」

真田P「…あの?」

栗野原「キキキ…そんな早く事務所に来て…プロデューサーは何してるのかなぁ?」

洲水「…確かに気になるね。そこん所どうなの?プロデューサー」

真田P「…………」

小林(真田さんが困惑している…)



77: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 21:16:56.45 ID:aa7GqzznO


→【鬼瓦割さんのアリバイ】



小林「鬼瓦割さんは、ずっと倉庫に一人で居たのですか?」

鬼瓦割「…勝手に決め付けんなよてめぇ」

小林「すっすみません…」

鬼瓦割「だけど、残念ながら一人では無かったぜ」

小林「…え?」

鬼瓦割「黒プロデューサーに倉庫から引っ張られて、強引にレッスンの参加させられてたんだよ。私は   チッ」

真田P「鬼瓦割さん…私の忠告通りに」

鬼瓦割「…ふん、一応ライブも控えているからな。仕方無くだ仕方なく」

鬼瓦割「そん時の事は黒プロデューサーとダンスの先生に聞けばぁ一発で分かるだろうよ」

小林(つまり彼女もアリバイがあるって事か)

洲水「……………」



78: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 21:17:40.79 ID:aa7GqzznO


→【洲水さんのアリバイ】



小林「僕達が居ない間、洲水さんは何をしていたのかな?」

洲水「…私たちは川澄プロデューサーに連れられてレッスン場に行かされたよ」

小林「えっ?」

洲水「鬼瓦割とはその時一緒になったの。なんなら川澄プロデューサーと藍川さんとアーグニャさんも一緒だったけど」

藍川「そうですぜぇーい!このロシアのロリっ子もホレホレー!」

アーグニャ「Да-да。容疑者の私達が言うのもナンですが、カワスミプロデューサーなら証明できマス」

小林(…つまりこの三人もアリバイがあるという事か)

小林(川澄プロデューサーとマネージャーは物理的に殺人は不可能…それに性格から嘘をつく事はなさそうだ)

小林(…もし本当に何も隠していなかっただけど)



79: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 21:18:41.60 ID:aa7GqzznO


→【ミルキィホームズのアリバイ】



小林「一応、君たちにも確認しておくよ」

シャロ「はい!あの後私達はプロデューサーについていったのです!」

ネロ「しかし!そこではぐれて僕達は!」

コーデリア「迷子に!」

エルキュール「なってしまったのです…」シュン

姫百合「…本当、栗野原さんが居なかったらどうなっていたことか…」

小林「栗野原さん?」

栗野原「ケケッ…私はジャッキーにしがみついて川澄プロデューサーを追っていたんだよ」

栗野原「でも、まさかジャッキーが川澄プロデューサーじゃなくてこのカラフルな娘達についていくなんて…ビックリしたよ。本当に。ククケケ」

小林「…それで、どうしたんだい?」

シャロ「折角なので、栗野原さんに練習場を見学させていただきました!」

コーデリア「茉莉音ちゃん以外にも、沢山のアイドルユニットの人達が練習していましたわ」

ネロ「いきなりG4がやってきて僕達を捕まえるまではねぇ~」

小林「ははは…楽しそうで何よりだね」

小林(これは彼女達もアリバイがある…のか?)

姫百合「…これが本当の事ですので呆れますよね」



80: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 21:19:19.81 ID:aa7GqzznO


→【茉莉音ちゃんのアリバイ】



小林「一応、君たちのアリバイも聞いて良いかな?」

茉莉音「あっはっはい!」ピシッ

美樹「…って言っても。私達に説明できる事なんてたかが知れてるからねぇ」

美樹「何せ、ここ最近は泊り込みで練習ばっかりしてるから。昨日からずっとレッスン室から動いてないんだよねぇ~」

先生「んもう!その分だけ貴方達はダンスが上手くなってるんだ・か・ら♪」

小林(それってほとんど監禁なんじゃぁ…)

茉莉音「あっあの、…本当です。私達は」

茉莉音「事件当日から、文字通り日付が変わった後もずっとレッスン室から一歩たりとも動いていません…」

美樹「雑誌の撮影とかポスターとかの外部の仕事は全部断ってさぁー。私、レッスン室で焼肉食ったの昨日が初めてだよ」

先生「でも美味しかったでしょぉ~?事務所直々からの国産黒毛和牛パーティ!」

茉莉音「……野菜がありませんでしたね」

美樹「正直食事後の運動は肉の脂が腹ん中回って吐きそうになったよ」

美樹「でも、それも全部水の泡かぁ~…中止は残念だなぁ~本当」

茉莉音「…………」

小林(また、彼女に悲しい顔をさせてしまった)

小林(しかし、これで残りの三人もアリバイが成立した…という事か)



81: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 21:19:52.43 ID:aa7GqzznO

小林(つまり、この時点でアリバイが成立していないのは篠田さんと)

小林(………)

小林(…僕、か。)

真田P「…………」

洲水「…………」

鬼瓦割「…………」

藍川「…………」

アーグニャ「……………」

栗野原「…………」

茉莉音「…………」

美樹「…………」

小林(明日の裁判、本当にどんな展開になるんだろう。まさか、また僕が被告人になるわけじゃないよな…?)

シャロ「だっ大丈夫ですよ皆さん!」

バッ

シャロ「この事件は!私達の先生!かの有名な小林オペラ先生が担当するんですから!」

ネロ「そうだよ!小林が担当して解けなかった謎なんて一つも無いんだ!」

コーデリア「教官がこの事件に取り組めば!絶対に真犯人だって分かるんだから!」

エルキュール「だから…大船に…どんぶらこ……」

姫百合「……確かに今は不安かもしれません。気分も優れないでしょう」

姫百合「ですが、今は私達に任せてみてはくれませんか?」

小林(…いや、それは有り得ない筈だ。神津の捜査なら、今までの裁判の通り真犯人までの筋が分かるようにしてくれる)

小林(G4だって馬鹿じゃない。神津の居るG4ほど有能な警察組織も早々無い。無い筈だ……)

小林(なのに…何なんだ?さっきから感じる…)

シャロ「だから安心してください!先生と私達が居ればこの事件!あっという間に解決してみせちゃいます!!」



小林(この……猛烈な違和感は…!!)




82: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 21:20:32.59 ID:aa7GqzznO


小林(そして僕は、事件の発見直後から明日行われる裁判までのこの違和感が)

小林(この事件の重要なファクターであった事を)



小林(裁判当日になるまで気づくことは無かった………)







【続く】

83: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 21:21:15.24 ID:aa7GqzznO

証拠ファイル①真田Pの名刺

【名前と連絡先と会社名が書かれている。何故か名前欄が小さい】




証拠ファイル②レッスンの先生の名刺

【名前と連絡先とスリーサイズと電話番号が書かれている。キスマークが大きく覆われている】





証拠ファイル③凶器?の壷

【大きな華をモチーフとした石壷。ひび割れや変形がほぼ無い】





証拠ファイル④割れたグラスとジュース

【篠田さんが飲んでいたと思われるジュース。中に睡眠薬が入っていた可能性が有り】






証拠ファイル⑤御子柴さんの写真

【写真には二人の人物が写っている。被害者と被害者の母親。母親の顔が赤い×印で潰されている】





84: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/31(火) 21:21:42.58 ID:aa7GqzznO
今回はこれでおしまいです。次回は裁判パートです。
続きはこのスレで投下致しますので、お待ちいただけたら幸いです

100: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 22:33:33.53 ID:pHCAi9B7O
【横浜裁判所 第二控え室  12月21日 午後1時02分 】


小林「……………」

小林(結局)

小林(本当に裁判当日になるまで留置所から出して貰えなかった……)

小林(検察側は一体どのような準備をして、この事件についてどう考察したのだろう)

小林(想像するのは容易いけど、確信は持てない)

小林(………全ては裁判が始まるまでどんな考察も充てには出来ないか…)

101: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 22:34:11.99 ID:pHCAi9B7O

白い髪の少女「でも、何も考えないよりはマシだと思うよ?」

小林「ん…まぁそうだけどね」

白い髪の少女「それよりも、本当に彼女を弁護するの?」

小林「それは愚問だね。彼女を弁護しなければこの事件の真相には辿り着けないだろうし」

白い髪の少女「ふーん、そっか。それは間違いないけど多分後悔するんじゃない?」

小林「後悔?それってどうし…」

小林「………」

小林「…って、どうして君が僕の隣に座っているんだい?」

白い髪の少女「ん?」

小林「いや、ん?じゃなくてだね…」

小林「あっ!そういえば君、怪盗アルセーヌの裁判の時でも会った…ような」

白い髪の少女「えー、他にも英国から日本までの飛行機でも会ったでしょ?」

小林「…ああ。確かに会っている」

小林「一つだけ聞いても良いかい?」

白い髪の少女「んー?」

小林「…僕が日本に来てから、この一連の事件に君の姿を見たという人が居る」

小林「一度被告人にされた姫百合くんも、白い髪の少女を見たと言った」

白い髪の少女「………」

小林「…これは、偶然なのか?それとも」

白い髪の少女「偶然だよー」

102: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 22:34:45.08 ID:pHCAi9B7O

小林「…偶然?」

白い髪の少女「うん、私はサイコパスって人たちだっけ?その人には興味が無いよー」

小林「………」

白い髪の少女「でも、サイコパスって人達は私に興味があるみたいだけどー」

小林「………え?」

白い髪の少女「いや、興味があるのは君の方かな?だって君、人間辞めてきてるし」

小林「…ちょっちょっと待ってくれ!?一体どういう…」

「小林さん!」

小林「!」

エルキュール「…………」

小林「あっ…エルキュール」

エルキュール「…いっ今…一体誰と喋って居たんですか…?」

小林「ああ、ええと…この娘は…」

小林「………あれ?」

小林(居ない……?)

「先生ー!」

「師匠ー!」

103: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 22:35:17.39 ID:pHCAi9B7O

小林「っあ、君たち…大丈夫だったのかい?」

シャロ「はい!今回の事件は私たちが容疑者です!」

コロン「せやせや、だから今回は被告人のアイドルの容疑が解けても、次に師匠やら他のアイドルやら…色んな候補がおるからな」

コロン「そりゃぁもう血眼で証拠品を漁りまくったでっ!」フンスッ

小林「そっそれは頼もしいね…」

ネロ「んで、現場を引っ掻き回したせいで公務執行妨害として僕たちと同じ留置所に入れられたんだよねー」

コロン「んなぁー!それは言わんといてーなっ!」アタフタ

小林(………………)

コロン「あっ安心せぇや師匠!ちゃんと怪しい物は……」

コロン「………」

コロン「…一つ!一つだけでも見つけたからっ!な?」

小林(一つ…か)



証拠ファイル⑥壊れたカセットテープ

【被害者の部屋に落ちていたカセットテープ。真っ二つになっている】



小林(今回こそ本当にダメかもしれない)

小林「…ありがとう。コロンくん」ニコッ

コロン「!」パァアアア…

104: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 22:35:52.11 ID:pHCAi9B7O

小林(本当…どうしよう………)

シャロ「あっ!篠田さん!」

篠田「……………」

ネロ「おっ!今回の依頼人登場だよ。小林」

小林「えっああ、どっどうも…」

篠田「…………」

小林(…やっやっぱり被告人にされたのか…この娘…)

篠田「……っ」キッ

篠田「今回はよろしくお願いします!小林さん!」ペコリ

小林「えっ?…ああ、こちらこそ頑張ります!」

美樹「まぁまぁ篠田さ~ん?そんなに固くならないでも良いじゃなぁい?」

洲水「いや、アンタここがどこか分かってんの?裁判所だよ?篠田も容疑者にされてるんだし」

真田P「いっいえ、そっその。しっしっ篠田さんがししし心配することはなな無いと思いまます」ガタガタ

真田P「こっ小林さん…そのっ小林少年が…しし篠田さんのべべ弁護士をしてくれるるなならら…」ガタガタガタガタ

洲水「プロデューサーは当事者でもないのにビビリすぎ」

茉莉音「でも、言ってる事は間違ってませんよ!」

茉莉音「篠田さんの弁護士は、あの!有名な小林オペラさんなのですから!余計な心配はきっと!きっと無用です!」キラキラ

小林「ど…どうも………」

真田P「………」

105: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 22:37:22.58 ID:pHCAi9B7O

真田P「っ」パァンッ(両手で自分の頬を叩く)

ミルキィホームズ「「「「!」」」」ビクッ

真田P「…その通りです。篠田さん」

真田P「私たちは貴方を信じています。ですから、貴方も信じてください」

真田P「本当に殺っていないのなら、この裁判は必ず。私たちが…いえ、小林オペラさんが決着を着けて頂けます」

篠田「………ふふ」

真田P「………」

篠田「大丈夫だって!そんな事分かってますよ!プロデューサーさん!」パンッ

篠田「私の弁護士はあの!探偵小林オペラなんですよ!?絶対に私を無罪にしてくれる筈です!」

篠田「私の勝訴は!絶対です!最後まで!それを信じて頑張ります!」

小林「…………」




白い髪の少女≪それよりも、本当に彼女を弁護するの?≫

小林≪それは愚問だね。彼女を弁護しなければこの事件の真相には辿り着けないだろうし≫

白い髪の少女≪ふーん、そっか。それは間違って無いけど、多分後悔するんじゃない?≫




小林「………」

小林(いや、余計な事は考えるな。そもそもそんなの確信すら無いじゃないか!)ブンブン

篠田「この裁判でも!勝訴という名のどでかい華を咲かせてみせますよっ!」ブイッ


オー! パチパチパチパチパチ


藍川「やるねぇー!篠田っち!」

栗野原「ケケッ…まぁ、篠田が殺人犯なら、今頃私の呪いで…フヒヒ」

アーグニャ「Желаю удачи! 篠田さん!」

洲水「…まぁ、いつもながらそういうキャラだよねー篠田は」

鬼瓦割「………フンッ」

真田P「私も…応援しています」

106: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 22:38:24.86 ID:pHCAi9B7O

篠田「えっへへー!ありがとうみんな!そしてプロデューサー!」

篠田「そして小林さん!」

小林「えっ?あっはい!」

篠田「今回はどうぞ!よろしくお願いいたします!」ペコリ

小林「えっ?あ…どうも」ペコリ

ネロ「…そのやりとり、二回目だよ」

小林(…………)

小林(…皆良い子だ。見た感じ、悪い人なんて一人も居なさそう…だけど)

小林(やっぱり…昨日からこの違和感は拭えないな…)

小林(………一体)

小林(この事件の裏には、何が隠されているっていうんだ!?)

小林(…それとも、僕の思い違いか?)

小林(…………………)

107: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 22:39:17.28 ID:pHCAi9B7O


【横浜裁判所  第一法廷室】


ザワザワ…ザワ……

カッ!!


裁判長「これより!篠田久留美のサイコパス殺人を審議致します!」

裁判長「弁護側、検察側、準備はよろしいですかな?」

北芝「検察側、準備完了しているわ」

小林「弁護側。……………」

裁判長「……………」

北芝「……………」

小林「……………」

裁判長「……弁護側!何か言わないと分かりませんよっ?!」

小林「いっいやその…ずっと留置所に居たもので…」

北芝「…準備が、完了していないという事かしら?」

北芝「問題無いわ。こちらの準備は完了している」

北芝「神津くんと私が証拠品の提出をするから、それで賄いなさい」

小林「うぅ…………」

小林(検察側の証拠を、弁護士の僕が使うのか………)

小林(北芝検事のいつにましてのあの顔、…僕が不利になる物で間違い無さそうだ)

北芝「まったく、しょうがない探偵ね。子供を相手してるみたいだわ」

小林(割れ物注意の書かれたダンボールに乗っている検察側に言われたくないよ…というか、それ崩れたら今度こそ北芝検事死なないのか?)

108: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 22:40:13.06 ID:pHCAi9B7O

カッ

裁判長「それでは北芝検事。事件の概要をお願いします」

北芝「了解したわ」

北芝「今回の事件の被害者は御子柴華子(15)職業はアイドルをしていたそうよ」

裁判長「アイドル…?」

北芝「正直くっだらないお遊びみたいな物よ。あんな歌って踊るだけで客から大金搾取するなんて、キャバクラと変わらないわ」

小林(…今、全てのアイドルファンを敵に回したぞこの人…)

北芝「そして被告人は篠田杏子(16)彼女も被害者と同じくアイドルをしているわ」

北芝「この事件は、被告人が被害者の頭を叩き潰し、後日部屋に戻り隠すように壺を乗せて自分で睡眠薬入りの飲み物を口に含んだ」

北芝「睡眠薬入りの飲み物を飲んだのは、自分も被害者に見せる為に敢えて飲んだのでしょうね」

小林「異議!!」

小林「その概要について、二つ異議を唱えさせて頂きます!」

北芝「………」

小林「まず!壺を載せる必要は何ですか!?壺が凶器じゃないのなら、どうして乗せる必要があったのですか!」

小林「そして、睡眠薬を飲んだ時の言い分!その理由が弱いです!実際、殺したのなら普通に逃げれば良かったんじゃないですか!?」

北芝「異議あり!!」

北芝「…早とちりは恥を生むわよ弁護人」

小林「…!」

北芝「それを今から証言するんでしょう?ねぇ?」ドヤァ…

ダンッ

北芝「裁判長、検察側は第一の証人の召喚を要求するわ!」

カッ

裁判長「……検察側の要求を許可します」

裁判長「係員、証人を連れてきてください」

北芝「………」

小林(…北芝検事………)

小林(前回の裁判で、何度も要求を断られたから出来て当然な事まで要求し始めたな…)

109: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 22:41:25.77 ID:pHCAi9B7O

神津「……………」

北芝「証人、名前と職業を」

神津「…名は神津玲。職業は警視正をしている」

小林(……今思えば、警視正が証言台に立つって凄い光景だな)

北芝「ふふん、神津くん?この事件の概要も知らないノータリン君に親切に事件の事を教えてやりなさい?」

神津「………弁護人には、若干ながらもこの事件の容疑がかけられている」

神津「だから、特殊捜査権限も与える事も出来ないまま、我々が拘束した」

小林「………」

神津「……小林」

神津「本当に良いんだな?」

小林「……ああ、教えてくれ。この事件の概要を」

神津「……………」

神津「……分かった。後悔しても知らんぞ」

北芝「♪」

小林(今の僕には証拠品という証拠品がほとんどない。だからこの証言の矛盾を指摘してもほぼ無駄だろう)

小林(それに神津の事だ、神津の証言には矛盾がほとんど無いに違いない)

小林(だからこの証言では、なるべく揺さぶって情報を出来るだけ多く引き出すんだ!)



110: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 22:41:58.10 ID:pHCAi9B7O


【証言開始】


①被害者と被告人は友人関係にあった。これは被告人も肯定している。


②死亡時刻は12月20日の深夜2時。頭部は重量車のタイヤのような物で轢き潰されている。


③それ以外の傷が無いのを見て、被害者はほとんど抵抗しなかったと解釈した。


④死体は部屋に移動されていた。だが、被告が潰れた頭部の近くで飲み物を飲むのは明らかに異常だ


⑤そして被告には被害者の死亡時刻時にアリバイが無い。


⑥以上の事を持って、我々は被告人篠田杏子を拘束した。




111: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 22:42:53.02 ID:pHCAi9B7O


小林「異議っ!!!」

小林「なっ…何なんだ神津!?このっ………未知まみれの証言はっ!?」

神津「…お前が慌てるのも無理は無い。裁判が始まるまでお前は留置所に居たのだからな」

小林「いやっいやいや!現場はっ!?壺はっ?!あの部屋は事件現場じゃなかったのかっ!!?」

神津「……小林、昨日言ったハズだ」

神津「…”警察を舐めるな”とな」

小林「!!」

小林「しっしかし…だとしても、僕には準備が……」

ダンッ

北芝「……さっき…言ったでしょう」

北芝「”神津くんと私が証拠品の提出をするから、それで賄いなさい”って…警察側の証拠の共有を認めてるのよ!!」

北芝「お望みならどんな証拠でも…なんなら弁護側に有利な証拠だって出してあげるわ。まぁ…そんなもの存在すらしてないけどねっ!!」

北芝「あぁーっはっはっはっはっは!!!」

小林(……くそぅ…浦島太郎になった気分だ……)

小林(というより…殺害現場を調査もしないで弁護どころか尋問ができるのか…!?)

裁判長「…弁護人、理不尽だという気持ちは分かります」

裁判長「しかし、証拠の無い状況で挑んだ以上覚悟はしてもらいますぞ」

神津「覚悟は決めたのだろう?小林」

小林「うぅ……」

カッ

裁判長「それでは弁護人、尋問を始めてください」


112: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 22:43:55.33 ID:pHCAi9B7O

【尋問開始】


①被害者と被告人は友人関係にあった。これは被告人も肯定している。


小林「待ってくれ!」

小林「その…友人が友人を殺したのですか?一体何の為に?」

神津「被告はサイコパス容疑がかけられている」

神津「サイコパス容疑が掛けられれば、難癖とつけられる動機の立証も難しくないだろう」

小林(つまり…動機なんてどのようにも取れるって事か…)

小林「いいのか…?そんな事で………」

神津「強いて言うなら。被害者が行動する際は、ほとんど被告人も同行だったそうだな」

神津「それほど長く一緒に居れば、すれ違いも多少は存在するだろう」

小林「ぐぅ………」

北芝「女同士の乳繰り合いは興味ないわ。気色悪い。証言に戻って頂戴。神津くん」

神津「了解した。して、被害者の……」



113: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 22:45:35.80 ID:pHCAi9B7O

②死亡時刻は12月20日の深夜2時。頭部は重量車のタイヤのような物で轢き潰されている。


小林「待ってくれっ!!」

小林「どっ…どういう事なんだ!?部屋には血が部屋中に飛び散っていた!」

小林「それに…被害者は僕たちが事務所に居た時には死んでいたのかっ?!」

小林「そして…轢き潰されただって!?まさか!被害者の頭部にタイヤ痕が……」

神津「落ち着け」

神津「興奮するのも分かるが、今は俺が証言している最中だ」

小林「…うっ、………すまない」

神津「まず部屋にあった血だが、あれは被害者の物で間違い無い。」

神津「あの壺の中に被害者の血が溜まっていて、底に穴が開けられていた」


証拠ファイル③凶器?の壷を書き換えた。

【中に被害者の血が溜まっていて、底に小さな穴が開けられていた】




神津「そして、第一発見が真田氏とお前…昨日の午後3時45分」

神津「その時既に、死後13時間は経っていたのは間違いないだろう」


証拠ファイル⑦御子柴華子の解剖記録

【死亡推定時刻は12月20日午前2時前後。頭部を重量車のタイヤのような物で轢き潰されている以外に外傷は無い】



神津「そして凶器に使われた車。タイヤに血痕が付着しているトラックが」

神津「本物の事件現場に放置されていた」

小林「ほっ…本物の事件現場?」

神津「ああ、大胆にも事務所の隣の空き地にな」

神津「地主の通報から特定できたらしい。血液も被害者の物だった」

神津「…だが、奇妙な事に。そのトラックには指紋もエンジンが動いた跡も熱も全く無かった」




証拠ファイル⑧凶器のトラック

【事務所近くの空き地の上に放置されていた。血液は付着していたが、エンジンが動いた跡も指紋も無く、誰かが乗った痕跡が無い】



小林「ちょっと待ってください。事務所の近くの空き地ですか?」

小林「被害者が殺されたのなら悲鳴があったハズです。誰もその悲鳴は聴いていないのでしょうか?」

神津「……それも、奇妙な話ではあるがな」



114: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 22:47:00.22 ID:pHCAi9B7O

③それ以外の傷が無いのを見て、被害者はほとんど抵抗しなかったと解釈した。


小林「待ってください!」

小林「ほっ…ほとんど抵抗しなかったのですか!?悲鳴も?!」

神津「…我々が想定する限り、この事件の犯人は」

神津「トイズで人を動けなくする事が出来る。そう解釈している」

小林「…それでは、被告人篠田杏子さんが金縛りのトイズを持っていると?」

神津「可能性はある」


ザワザワ…ザワ……

カッ


裁判長「…しかし」

裁判長「実際のところ、どうなのでしょうかな?」

神津「…本来トイズは一人で複数持つことは出来ません」

神津「しかし、本来の力の一部を隠して。自身の能力を偽る事は可能です」

神津「…まぁ、可能性は絞られますが」

裁判長「なるほど」

裁判長「では、被告人のトイズは一体?」

神津「…”スローモー”」

裁判長「…すっすろーもー?」

神津「被告は、トイズの力で自分の時間を早くし、視界に映った物の時間を遅く感じさせる事が出来るそうです」

小林「…………えっ」

小林(はっ…初耳だぞそんなの!)



証拠ファイル⑨篠田杏子のトイズ

【”スローモー”視界に映った物の動きを遅く感じさせるトイズ】



裁判長「…しかし、その能力と金縛りとはどのような関係が?」

神津「いえ、そもそも」

神津「本当にスローモーなのかは断定出来ていません。体内時間を操る能力だけだとすれば」

神津「そしてそれが、”自分以外”でも可能だとすれば。被害者の時間を遅くすることで回りを早くし轢き潰すのに逃げる隙どころか思考も許せぬ状況が作れます」

神津「後はトラックを動かせば悲鳴を上げさせる事なく殺す事が可能です」

裁判長「ふむ、確かに道理にはかなってますね」

小林「…うっうう………」

小林(思いもよらない証拠品が集まってくる………)




115: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 22:48:15.40 ID:pHCAi9B7O

④死体は部屋に移動されていた。だが、被告が潰れた頭部の近くで飲み物を飲むのは明らかに異常だ


小林「待ってください!」

小林「そのっ異常と決めつけるのは…早計じゃないでしょうか!?」

神津「………小林」

神津「お前、それ本当に言ってるのか?」

北芝「一見するとバカでかい壺に頭を潰されて死んでるのが一目で分かるその状況でわざわざグラスにジュース注いで飲む奴が…」

ダンッ

北芝「そんな頭のおかしい行動する奴がサイコパス以外にどこに存在する!!」

小林「異議!!」

小林「だとすれば、ある疑問が現れます!」

神津「……疑問?」

小林「そうです。確かに死体の横でジュースを飲むなんて異常な行為ですが」

小林「ジュースには睡眠薬が盛られていたそうですね?」

北芝「……………」

小林「その睡眠薬を盛ったのは、一体誰なんですかっ!!」ダンッ

神津「……小林」

小林「?」

神津「被害者は、睡眠不足に悩まされ睡眠薬を常用していた」

神津「…あとはわかるか?」

小林「……………」

小林「…あっ!まさか……」

神津「被害者は寝る前に睡眠薬で溶かしたジュースを飲んでから寝るんだそうだ」

北芝「間抜けで頭のおかしい殺人犯は現場工作している時に喉が渇いて冷蔵庫からジュースを取り出し」

北芝「それを睡眠薬入りだと知らないで気を失った。こんなところかしら?」

小林「うっ」

神津「……被告人に知っているかどうかカマをかけてみた所」

神津「どうやら知らなかったらしく。更に飲んだ事を肯定している」

小林「…………」

神津「…そういう事だ。つまり」

神津「被告人は被害者の横でジュースを飲んだ事は事実。そして」

神津「そのジュースには、被告人が愛用していた睡眠薬が溶かされて混入していたのだ」

小林「………うっ」

小林「うぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」ガガァアアンッ




証拠ファイル⑩睡眠薬

【被害者が常用していた。ジュースに溶かして飲んでいる】




小林(うっ…くっくそぉ……揺さぶって情報を引き出せば引き出すほど)

小林(どんどん突破口が閉じられて追い詰められている気がする……)

神津「…更に我々は、もう一つ被告人を告訴した理由がある」


116: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 22:48:58.59 ID:pHCAi9B7O


⑤そして被告には被害者の死亡時刻時にアリバイが無い。


小林「待ってください!」

小林「深夜二時ですよ?そんなもの……」

ダンッ

小林「アリバイが無いなんて当然の事じゃないか!!」

神津「そうだ。だからお前らには留置所に入って貰っている」

神津「一番容疑が強いのが被告人なだけで、お前も容疑者に含まれている事を忘れたか?」

小林「異議っ!」

小林「僕は昨日の深夜2時。その時間は本を読んでいたよ」

小林「事務所には姫百合君もコロン君も居たから。彼女たちが証人になるし、彼女たちのアリバイも立証される」

神津「………………」

北芝「ふん、証拠としては決定的じゃない上に弱いわ」

北芝「そんなものでアリバイが成立するなんて、思わない事ね!」ビシッ

小林「…………」



117: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 22:49:25.27 ID:pHCAi9B7O


⑥以上の事を持って、我々は被告人篠田杏子を拘束した。


小林「待ってください!」

小林「…本当にそれだけの理由で篠田さんを告訴したんですか?」

北芝「何?証拠としては十分だと思うけど?」

小林「だとしても、何か足りませんか?」

神津「……何が足りない?」

小林「もし、本当に殺害現場が事務所近くの空き地なら」

小林「どうやって部屋まで運んだのですか?被害者の頭は潰れています」

小林「事務所まで運ぶ途中にそこらじゅう血まみれになると思うのですが」

北芝「…何かに入れて運んでいたたのよ」

小林「では、その何かは見つかってますか?」

神津「……当然だ」

小林「…だったら!」ダンッ

小林「その”何か”を!証拠品としてここに―ー」

北芝「異議あり!!」

北芝「…あなた、馬鹿なの?」

北芝「壺の中には、被害者の血が溜まってたのよ?」

小林「………………」

小林「あっ!!!!!」

118: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 22:49:54.45 ID:pHCAi9B7O

神津「…我々警察は壺の中に被害者が居たという前提で途中操作を進めていた」

神津「お前なら察すると思っていたのだが」

小林「…うっ…ぐぐっ」

北芝「全く、よくもそんな知識で裁判に出ようと思ったわね」

ダンッ

北芝「私に二度も勝って調子に乗ってるみたいだけど……」

北芝「これなら容赦なく叩き潰せそうね!!この阿呆が!!」

小林「………………ぐ…ぐぉおおおおおおおお!!!」

小林(そもそも…僕を捜査させなかったのは君たちじゃないか……!)

神津「…もう反論は無いのか?」

神津「無ければ、ここで俺の証言は打ち止めだ」



119: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 22:50:21.21 ID:pHCAi9B7O

神津「…以上が、我々警察側が決した事件の概要だ」

小林(…想像とは違っていたけど)

小林(やっぱり…いや、証拠の数もあるからか。この尋問で反論は出来ない!)

カッ

裁判長「なるほど。確かにその状況では被告人が一番怪しい」

裁判長「…しかし」

裁判長「事件が起こったのが昨日の深夜だとすれば、被告人が殺害したという決定的な証拠は無い訳ですか?」

神津「……ああ、確かに証拠は無い」

小林「!」

小林(証拠が無いのに…篠田さんを疑っているのか…!?)

神津「だが、証言はある」

小林「っ!」

ダンッ

北芝「検察側は事件当日、現場で被告人を目撃した証人を手配している!」

北芝「裁判長、証人の召喚を要求するわ」

裁判長「……分かりました。証人の召喚を認めます」

北芝「ククッ」ドヤッ

小林(北芝弁護士…要求が認められるのが嬉しいんだな…)

裁判長「それでは係官!証人をこちらに連れてきてください!」



120: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 22:51:33.96 ID:pHCAi9B7O


???「……………」

小林「……………」

北芝「…証人。名前と職業を――」

小林「異議っ!」

小林「あっあのっこの人…あれですよね!?」

???「…………」

北芝「あれって、何言ってるのアンタ」

小林「いやいやいや!この人昨日事務所で見ましたよ!事務所に入っていた泥棒です!!」

裁判長「なっ」

裁判長「なんですってぇえええ!?証人!貴方は泥棒を働いていたのですか!?」

北芝「…………」

???「チィ!ばれたか!」

シュバッ   シュルシュルシュル

???「へへっでもここに用は無いのさ!アバヨ!」ガラララ

北芝「係員」パンパン

係員「はっ!」ガラガラガラガラガラ

バチバチバチバチゴゴゴゴゴゴグルグルグルグル

???「おおっとぉ!なんだその機械はぁ!そんなものでこの俺様、怪盗マリネ・ファン・ラバー様が…」

北芝「ってぇぇえええええ―――――!!!!」


121: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 22:52:26.64 ID:pHCAi9B7O
no title
ファン「ぎゃぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」


122: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 22:52:52.12 ID:pHCAi9B7O


裁判長「…………………」

小林「…………………」

北芝「…係員。黒焦げになってる証人を立たせなさい」

係員「はっ」バッ

北芝「息してるか確認しなさい」

係員「はっ!大丈夫であります!」

北芝「そう、なら起こしなさい」

係員「了解しました!おらぁっ!」ボゴォッ

ファン「ぐっふっ!!」ブホッ

小林(腹パンかよ…)

北芝「さて…次に逃げ出したら……」ガコンッ

≪レベルツーニヒキアゲラレマシタ≫バチバチバチバチゴゴゴゴゴゴグルグルグルグル

北芝「分かってるわよね?」

ファン「…………はい」

北芝「じゃぁ証言しなさい。貴方が昨日の深夜に見た物を」

ファン「……………はい」

小林(可哀想に、すっかり萎んじゃったな…彼)


123: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 22:53:18.29 ID:pHCAi9B7O


【証言開始】


①あの時は茉莉音ちゃんのパン……事務所の近くを歩いていました。


②…ごめんなさい。怪盗の仕事の為に事務所を下見してました。


③事務所のロッカールームの場所は分かっていたので、あとはどう侵入するか考えてました。


④その時、パキパキという音が響いたのは覚えてます。でも、それが何の音かは分かりません…


⑤でも、篠田久留美ちゃんがニコニコしながら真っ暗な事務所の中で歌っていたのは覚えています…



124: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 22:54:52.77 ID:pHCAi9B7O


北芝「被告人が事件当日、殺人の音があったその時に事務所の中に居た」

北芝「そして殺人の横で歌っていた…それは間違い無いわね」

ファン「はい…」

小林「異議!」

小林「彼が見たのは、事務所で歌の練習をする被告人の姿です!」

小林「それに、事務所近くが殺人現場だとして…殺人の最中、彼女は事務所の中に居た」

小林「この証言だと…被告人が殺人を犯したどころか、立派なアリバイがあるじゃないですか!」

北芝「異議あり!」

北芝「トラックには指紋もエンジンも動いた跡が無かった」

北芝「これが何を意味するか分かる?犯人は手に触れずともエンジンを動かさずともトラックを動かすことができたのよ!」

北芝「方法はどうあれ、犯人は動く必要が無かったと考えられるわ」

北芝「そして、篠田久留美のトイズはスローモー…このトイズを被害者に使えば」

北芝「その場から逃げるどころか、悲鳴なんて出す事も出来ないでしょうね」

小林「うぅっ……」

バンッ

北芝「この証言、尋問できるものならやってみなさい」

北芝「できるもんならねっ!」

小林(うっ…何か…何か無いのか…?)

小林(どんな些細な事でも良い…この証言に、矛盾が……)



125: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 22:55:30.73 ID:pHCAi9B7O


【尋問開始】



①あの時は茉莉音ちゃんのパン……事務所の近くを歩いていました。

小林「待ってください!」

小林「証人、貴方…一体何を探していたんですか……」

ファン「悪いが、それは言えないな。なぜなら俺は証人である以前に怪盗なのだからなっ!」

ファン「さすがの俺も手の内は明かさないぜ!はぁーっはっはっはっは!」

北芝「……」ガコン

バチバチバチバチゴゴゴゴゴゴグルグルグルグル

ファン「茉莉音ちゃんの下着です!コンサートとかで履くのは見せパンと聞いてから!本物の下着が欲しいなって!」

ファン「だから俺は!その些細な疑問から怪盗になるって決めたんですよっ!!」

小林(……うわぁ)

北芝「汚らわしい……いっそ死ねば良いのよアンタなんて」ガコンッ

≪レベルスリーニヒキアゲラレマシタ≫バババババババババババ

ファン「待って!全部話す!全部話しますから許してぇ!!」

北芝「ふん、痛い目に会いたくなければ洗いざらい話しなさい!」

北芝「この裁判が終わったら、次はアンタが裁かれる番よ!」

小林(北芝検事…彼、検察側の証人なのにえらい敵意向けてるな…)



126: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 22:56:02.77 ID:pHCAi9B7O


②…ごめんなさい。怪盗の仕事の為に事務所を下見してました。



小林「待ってください!」

小林「それじゃぁ昨日事務所で見た貴方は、やっぱり盗みを働いていたのですね?」

ファン「やっぱりって…俺を警察に突き出したのは貴方達じゃないですか?」

小林(……ああ、そういえばそうだったかな…)

小林「ちなみに、それは何時ごろでしたか?」

ファン「怪盗は常に時間を気にする。それは時間が盗みにとって重大な意味を表すからだ」

小林「分かりました。それで、何時だったんですか?」

ファン「……………2時くらい?」

小林「なんで疑問形なんですか!」

北芝「…どうやら証人のオツムは怪盗にしてはよろしく無いようね」

小林(うう…こんなの証言にならないよ……)



127: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 22:56:53.46 ID:pHCAi9B7O


③事務所のロッカールームの場所は分かっていたので、あとはどう侵入するか考えてました。


小林「待ってください!」

小林「ロッカールームの場所…?それは、どこですか?」

北芝「…弁護人、何を聞いているの?」

小林「え?」

北芝「まさか…アンタも泥棒を…」

小林「するわけが無いでしょう!何考えてるんですか!」

ファン「はっはっは!よくぞ聞いてくれたぞ同士!」

小林「同士じゃありません!」ダンッ

ファン「あれは、隣の空き地と隣接している面でな、空き地からも木が邪魔して俺の姿は見えない」

ファン「そうつまり!姿を隠して脱出するには格好な場所なのだよっ!!」

小林(嬉々と犯行の事を喋り始めたぞこの人……)



証拠ファイル⑪空き地と事務所の間の木

【空き地からも事務所からも、この木が邪魔して見る事が出来ない】



北芝「そんな情報は、次の裁判で引き出しなさい!」

北芝「こいつの犯行なんて、この裁判では何の意味も持たないわ!」ダンッ

小林「………………」

小林(果たして、そうだろうか?)

カンッ

裁判長「なるほど、空き地に…ねぇ」

小林「…その空き地の近くで、何か物音はしませんでしたか?」



128: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 22:57:28.22 ID:pHCAi9B7O

④その時、パキパキという音が響いたのは覚えてます。でも、それが何の音かは分かりません…




小林「待ってください!」

小林「………その、パキパキ…という…音は……」

ファン「――んんー…強いて言うなら……ゴミをつぶしていたのかな?」

ファン「堅いけど軽い物を潰してる音だから、大した物じゃないだろうし、DQNかもしれないし怖いから直接は見てないけど」

小林「…………」

北芝「…どうやら、殺害現場が事務所の隣の空き地であった事は間違いないようね」

ファン「え?殺害?何が?」

北芝「そして、犯行が可能だったのはその場に居た人物…もしくは、事務所に居た人物」

北芝「そういう事に、ならない?」

小林「ぐっ…!」

北芝「証人、貴方事務所の中に誰か居なかったかしら?」

ファン「事務所の中?…マリネちゃんは居なかったかな」


129: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 22:57:59.63 ID:pHCAi9B7O


⑤でも、篠田久留美ちゃんがニコニコしながら真っ暗な事務所の中で歌っていたのは覚えています…


小林「待ってください!」

小林「本当に篠田さんが事務所の中に居たのですかっ!?」ダンッ

ファン「本当だっ!俺がアイドルの顔を間違える訳が無かろう!」

ファン「クリスマスライブに上がるアイドルの全員のスリーサイズだって言えるぞ!まず鬼瓦割ちゃんが一番お○ぱい大きくて上から93……」


ガッシャァァァン……


ファン「ひぃぃっ!」ビクゥッ

小林「なっ…何の音だ?」

コラ!オヨナシクナサイ!

ウルセー!ナンダカムシズガハシッタンダヨクソヤロォオ!

北芝「………」

小林「………」

裁判長「…どうやら、少しデリカシーの無い質問だったようですね」

北芝「…とにかく」

北芝「被告人は事件当日事務所の中に居た。そして証人は事務所と事件現場の間に居た」

北芝「証人は事件現場を見ていた被告人を見たという事になるのよ!」ダンッ

小林「うっ……!」

北芝「それに、事件現場を目撃したのなら。どうして警察に通報しなかったのか」

北芝「そんな矛盾が生まれるのだけど、…大丈夫かしら?」ニヤッ

小林「………」

小林(本当に、そうなのか?この証言、矛盾が生まれているのか?)

小林(どうする?このままゆさぶるか?)


→もっとゆさぶる

 やめておく


130: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 23:00:34.88 ID:pHCAi9B7O

小林「…証人、本当に被告人は空き地を見ていたのですか?」

ファン「ああ、窓の前をじっと見ているから。俺も見つかるかと思ってヒヤヒヤしたよ」

小林「…分かりました。ではそれを証言に加えてください」

北芝「あらぁ?本当に良いの?貴方にとっては非常に都合の悪い証言じゃなくて?」

小林「……(僕の推測が正しければ、この証言は矛盾が無い。でも)」

小林(ある証拠品と合わせれば、この証言で篠田さんの無実を証明する手がかりになるかもしれない)

小林「はい、是非お願いします」

北芝「………」



⑤でも、篠田久留美ちゃんがニコニコしながら真っ暗な事務所の中で歌っていたのは覚えています…

⑤でも、篠田久留美ちゃんが窓から外を見ながら歌っていたのは覚えています…


131: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 23:01:03.38 ID:pHCAi9B7O

⑤でも、篠田久留美ちゃんが窓から外を見ながら歌っていたのは覚えています…


小林「待ってください!」

小林「それは…間違い無いんですね?」

ファン「勿論。間違えようが無いさ!」

ファン「あの笑顔は!いつも通りの篠田久留美ちゃんだった!ステージの上の天使のままだったんだから!」

小林「……分かりました」

北芝「ふん、この証言を崩そうと頑張ってるみたいだけど」

北芝「無駄な足掻きであることを自覚しなさい。どこにも矛盾なんてありゃしないわ」

小林(そう…この証言にはどこにも矛盾は無い)

小林(だから、この証拠品を突きつけて、この証言の矛盾を更に無くすんだ!)



132: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 23:01:34.05 ID:pHCAi9B7O


小林(この証言には矛盾が無い)

小林(でも、突っ込みどころが無い訳では無い)

小林(この証言で求める事は、篠田さんの潔白)

小林(だったら、矛盾を見つけるんじゃなくて。少し見方を変えて矛盾を無くす事を考えれば良い)

小林(逆に利用すれば…!)



134: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 23:11:31.32 ID:pHCAi9B7O


→⑤に証拠ファイル⑪空き地と事務所の間の木を突きつける!

小林「異議あり!」

小林「……怪盗ファンさん。貴方の証言には矛盾がありませんね」

ファン「ふっ怪盗とは欺くことが目的ではあるが、嘘をつくのはただの泥棒…」

北芝「矛盾が無いからなんなのよ?だったら検察側の立証が正しかったってことに」

小林「いえ、そうじゃありません」

小林「この証人の証言で一つ、明らかになっています」

裁判長「明らかに?」

小林「はい。この証拠品を見てください」

北芝「? 何よこれただの木じゃないのよ」

裁判長「はい。事務所と空き地の間にある。なかなか大きな木ですな」

北芝「…………」

北芝「っっ!!」

小林「…どうやら、検察側は分かったみたいですね」

ダンッ

小林「そうです。仮に被告人が事務所の空き地側の窓の前に立っていたって……」

小林「事件現場が見えていた訳が無いんです!!何故なら」

小林「この木が邪魔して、空き地なんて見えなかった筈ですからねっ!」

北芝「ぐぅぅうっ!!」グサグサッ

ファン「……あっ!確かに!」

ファン「あの木、ワサワサが大きいから下に居た俺でも空き地が見えなかったっ!」

ダンッ

135: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 23:13:42.67 ID:pHCAi9B7O

北芝「だっだとしても関係無いわ!現に犯人はそこに居なくとも凶器である車を動かせた!」

北芝「現場が見えなかった事に関しては、大して問題じゃない!」

小林「異議!」

小林「凶器の問題が解決しても、トイズの問題が解決しない!」

小林「被告人は視界に映った物なら全ての時間を止める事が出来るとある!しかし!」

小林「この木がある以上、被害者の動きを遅くさせる事は不可能です!!」

北芝「うっ…」

北芝「ぎゃぁぁあああああああああああああああああああああ!!!!」ガガーン

小林(よっよしっ!北芝検事が予想以上に驚いている!)

小林(どうやら、視界が木で遮られていたのは予想外だったようだ)



136: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 23:14:11.32 ID:pHCAi9B7O



カンッ


裁判長「……なるほど。確かにあの木があると被害者の姿が視界にで映らないでしょうね」

裁判長「北芝検事。何か反論は?」

北芝「…………」

北芝「こうは考えられないかしら?」

小林「?」

北芝「事件現場、その当日その場には……」

北芝「共犯者が居た……と」

小林「……なっなんですって?」

北芝「そう考えれば、この問題は全面解決するわ」

小林「異議!」

小林「その、共犯者が居たという証拠は何ですか!?」

北芝「……仮にあの壺を事件現場から動かしたとして。一人で可能かしら?」

小林「そっそれは…」

北芝「まぁ、それは良いのだけど…方法が一つだけあるわね」

北芝「今回の事件、容疑者は被告人だけじゃないのよ。まだ結構な人が要るわ」

小林「………」

小林「……えっまっまさか……」

北芝「ええ、証言台に容疑者を全員立たせて」

北芝「一人ひとり昨日の午前2時のアリバイを証言として提出する!!」

小林「…なっ」

小林「なんだってぇぇぇええええええ!!!?」

137: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 23:14:43.31 ID:pHCAi9B7O

カンッ

裁判長「………これは」

裁判長「想像もしなかった事態になりましたね。証言台に、容疑者全て立たせる……」

裁判長「…………」

裁判長「…それで、共犯者の可能性を立証できるのですか?」

北芝「ええ。約束するわ」

裁判長「分かりました」

裁判長「係官!証人を全員証言台に連れてきてください!」

係官「ええっ!?」

係員「…わっ分かりましたぁ!!」ダダダダダダ

小林(…なっ…何て……アグレッシブな裁判なんだ………)



138: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 23:15:12.44 ID:pHCAi9B7O

14人「…………………」

裁判長「……………」

北芝「…………」

小林「………………」

シャーロック「…あっ!先生ぇー!」フリフリ

ネロ「ねぇ小林、これどういう状況?何で僕たちが全員証言台の上に居なきゃ駄目なの?」

小林「……ごめん。それは僕もちょっと分からないな」

コーデリア「うう…ちょっと窮屈ですわ」

洲水「…プロデューサー。悪いんだけど。真ん中に立たれたら邪魔だよ。ただでさえ図体でかいんだから」

真田P「あっ…すっすみません」ササッ

藍川「まーまー!スミスっちもカリカリしないでぇー」

鬼瓦割「おい、これ横一列に立たなきゃいけねぇのか?何なんだこれ」

栗野原「…ケケッ。まるでオーディションみたいだねぇ…」

アーグニャ「Извините, пожалуйста...どうして私たちミンナ、コンナトコロに?」

裁判長「……いやはや。今まで長い期間裁判席に居ますが」

裁判長「証言台がここまで賑やかになったのは、今日が初めてです」

小林(…今後も無ければ良いけど)


139: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 23:15:49.46 ID:pHCAi9B7O

北芝「貴方達は全員、この事件の容疑者に選ばれてる事は分かってるわよね?」

藍川「あっー!そうだ!そうだよ!アンタ達警察はひどいよ!話も聞かずにあんな狭い部屋に閉じ込めてさぁ!」

鬼瓦割「はぁー、警察ってのはいつもこうだ。私たちの言い分を聞かずに怪しい奴をホイホイ捕まえやがる」

真田P「…………」

コーデリア「いっいくらなんでも今回の捜査は…横暴すぎやしませんかっ!?」

姫百合「そうですよ。小林さんだって、今回の裁判での準備がそろわなかったんですから…」

先生「あっあらやだ!私も疑われてるのぉ!?御子柴ちゃん殺しの犯人に!」

茉莉音「………………」

美樹「本当ひどいなぁー。私たちは少なくともアリバイはあるってのにー」

北芝「そう、アリバイがあるなら良かったわね」

北芝「今から、貴方達のアリバイを証言として提出して貰おうと思っているの」

シャーロック「証?」

エルキュール「言…?」

北芝「そうよ。さすがに今回の事件は容疑者が多すぎてこっちも面倒だから」

北芝「自らの潔白を示すためにも、アリバイを証言してちょうだい」

小林(ほっ…本当にやるのか………)

140: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 23:16:17.30 ID:pHCAi9B7O

鬼瓦割「アリバイ?んな事、昨日アンタ達に言ったじゃねぇか」

北芝「いえ、この尋問では違う時間帯のアリバイを証言してもらうわ」

北芝「”昨日の深夜二時”に何をしていたか。そして、それを誰が証明できるか。それらを答えて頂戴」

真田P「…………」

美樹「ええ?深夜…二時?」

藍川「そんなの、草木も眠る時間じゃないのさ」

カッ

裁判長「申し訳ございませんが、私語の時間がございません。さすがにこんなに居ると時間が掛かってしまいますからね」

裁判長「証人達は検察側の言う事を聞いて、”昨日の深夜二時”のアリバイを証言してください」

14人「…………………」

小林(……うう…いっ嫌な予感が……)


141: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 23:16:43.48 ID:pHCAi9B7O


【証言開始】


【藍川】深夜なんて時間、勿論グースカ寝てました!証人は両親です!


【洲水】…藍川と同じ。父さんが証明してくれるよ。そもそも今時のアイドルで更に高校生がそんな時間まで起きてるわけないよ


【栗野原】一人暮らしだから部屋で一人カナと遊んでたよぉ~あっ、カナってこの手作り藁人形だよぉ~可愛い可愛い。……証人はマンションの監視カメラだよ


【鬼瓦割】寝てたに決まってんだろ。親父とお袋が証明してやんよ。チッ


【アーグニャ】Вы, наверное шутите? パピーとマミーに夜更かしは禁止されてマスヨ


【真田P】…事務所に残って仕事をしていました。クリスマスライブの時期が近いので調整を…篠田さんと先生、あと先輩が証人です。


【先生】茉莉音ちゃんと美樹ちゃんとお泊りでライブの練習していたわぁ。証人は茉莉音ちゃんと美樹ちゃんと川澄Pと真田くんねぇ♪


【茉莉音】先生とお泊りでレッスンしていました。確かその時、夜食で焼肉を食べていたと思います。証人は先生と美樹ちゃんとプロデューサーです


【美樹】先生と茉莉音ちゃんと三人で夜通しレッスンしてましたー!証人は先生と茉莉音ちゃんとプロデューサー!…深夜の焼肉は気分悪くなったわぁー…


【シャーロック】深夜二時…深夜二時……あっ!確か茉莉音ちゃんの事務所の隣の空き地に居ました!でも私一人でした!


【ネロ】僕は部屋でネットしてたよ。トイズ使えば結構深い所にも行けるし。会長が証人だよ


【コーデリア】その……一人で……お食事に行ってました……お店のレシートなら…あります…けど……… ダラダラ


【エルキュール】寝て…ました………。その……会長が……証人……です……


【姫百合】部屋で本を読んでいました。小林さんが証人です



142: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 23:17:29.87 ID:pHCAi9B7O

小林「………………」

北芝「………………」

裁判長「……………ふむ」

裁判長「やはり、ほとんどの方が寝ていたようですな」

小林「………そっその、シャーロック…シャーロック?」

シャロ「?」

小林「きっ君……本当に事務所の隣の空き地に…」


カンッ

裁判長「それでは弁護人、この証言に尋問をお願いします」

裁判長「…と、言いたいところですが。これだけの人数全員を尋問していけば日が暮れてしまいます」

北芝「ええ。現に私はこの証言で大体共犯者の目星はついたのだけど」

小林「…っ!」

裁判長「…そういう訳で。本件に関係の無い事を無駄に揺さぶりを入れたら、プライパシーの侵害も含めて」

裁判長「それなりのペナルティがありますので、覚悟してください?」

小林「…………え?」

カンッ

裁判長「時間の短縮の為、ご協力できますね?」

小林「……………」

小林(無駄な揺さぶり…見るからに本件とは関係ないアリバイには突っ込むなという事か…)

小林(そしてこの証言、証拠との食い違いというよりは…)

小林(証言と証言の矛盾を指摘するような…そんな感じの尋問だな…)

小林(……だけど、この証言…アリバイ……おかしな箇所が所々有る……)

小林(それに…見るからにおかしい箇所も…!)

小林「……分かりました。尋問をさせてください」

裁判長「よろしい」

裁判長「それでは弁護人、尋問をお願いします」



143: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 23:18:33.44 ID:pHCAi9B7O


【尋問開始】


【シャーロック】深夜二時…深夜二時……あっ!確か茉莉音ちゃんの事務所の隣の空き地に居ました!でも私一人でした!


小林「待ってくれ!」

小林「シャーロック!じっ事務所の…隣の空き地に居たのかっ!?」

シャロ「え?あっはい。あそこの公園に、隠れ農園を作ってたんですよ私!」

シャロ「土にも栄養がありましたし、トマトやきゅうりやナスビも…コツコツと大事に育ててました!」

北芝「……」

小林「…何か、音が聞こえなかったかい?」

シャロ「はい、音ですか?」

小林「ああ、何かを潰す音とか。あと、事務所に誰か居た…とか」

シャロ「事務所?うーん…空き地からだと木が邪魔で事務所の窓とか隠れちゃうんですよ」

シャロ「音は……ああ、何かを潰す音というか、パキパキっていうか…」

小林「……それは、本当に深夜二時の事かい?」

シャロ「……はい!それは間違いありません!いつもそんな時間に野菜ちゃんを育てているんです!」

小林「……………」

北芝「……つまり」

北芝「彼女にはアリバイが無い。そういう事になるわけね」

小林「!」

小林「シャーロック!」バンッ

シャロ「ええっ!?あっ…はい?」ビクッ

小林「何か…公園で何か見なかったか!?大きな車や倒れてる人間や!」

シャロ「ええ?やっやだなぁ~先生。そんなもの見えたら、さすがの私だって救急車くらい呼びますよぉ」

小林「………………」

北芝「…確かに、事件現場には誰の物か分からないけど、花壇の陰に野菜が植えられていたわ」

北芝「一体それが誰の物なのか。何の意味があったのか分かっていなかったけど」

小林「………監視カメラ」

北芝「!」

144: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 23:19:01.44 ID:pHCAi9B7O

小林「空き地の様子を映した監視カメラは…どこかに無かったのか?」

北芝「……そんなものあったら」

北芝「真っ先にこの法廷の証拠品として提出している!」ダンッ

小林「ぐぐっ……!」

シャロ「…あっあの、一体どうしたんですか…?」

シャロ「私が…お野菜を見に行って…何か不都合な事があったんですか?」

ダンッ

北芝「それは、今答える必要無い」

北芝「さぁ弁護人、尋問を続けなさい」

小林「………くっ!」

小林(このままでは……シャーロックが事件の容疑者になってしまう…)

小林(北芝検事のあの様子だと…間違いなくそう見てる”顔”だ)

小林(ここは、他の人のアリバイも掘り下げてみるか…)



145: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 23:20:10.14 ID:pHCAi9B7O


【真田P】…事務所に残って仕事をしていました。クリスマスライブの時期が近いので調整を…篠田さんと先生、あと先輩が証人です。


小林「待ってください!」

小林「…篠田さんは、確かに深夜二時まで事務所に居たのですか?」

真田P「はい。天城茉莉音さんに負けないくらいに練習をしたいと、音響室を使う許可を得て使わせました」

小林「その、恩教室とはどこら辺にあるのでしょうか?」

真田P「………確か、あの部屋は窓一つ無い防音室となっていた筈ですから……」

真田P「一階の西、練習煉の中にあったと思います」

小林「………(あれ?)」

小林(何かこの証言…おかしくないか?)


→もっとゆさぶる

 やめておく

146: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 23:21:02.58 ID:pHCAi9B7O

小林「…本当に、恩教室は窓一つありませんでしたか?」

真田P「はい。窓があれば外に響いてしまいますからね。防音の意味が無くなってしまいます」

小林「………あの、真田さん」

小林「貴方達の前の証人が、篠田さんを真っ暗な事務所の中から見たと言っています」

小林「これについて、どう思われますか?」

真田P「…………」

藍川「ちょっええ!?真っ暗な部屋の中で歌ってる篠田っちっ!?」

洲水「何それ………怖っ」ブルッ

栗野原「………クケケ…怨霊………お化け……怖くないさ…」ブルブル

真田P「……ちなみに、それはどこから見たとおっしゃってましたか?」

小林「え?ええと……確か、隣の空き地と接する面だったと聞きます」

真田P「……なるほど」

真田P「小林さん。おそらくそれは篠田さんではありません」

小林「えっ?」

真田P「これをご覧ください」スッ

小林「はぁ…ええと、何ですか?このポスター、被告人が大きく映ってますが…」

真田P「今回のクリスマスライブ。目玉は天城茉莉音さんですが、私の要望により一人ひとりのアイドルがセンターのポスターを発注しております」

真田P「クリスマスライブの物販の時に販売する予定の物でした」

北芝「……全員、歌ってるポーズね」

真田P「はい。アイドルですので、歌う姿を切り取った等身大のポスターを千円で販売する予定でありました」

小林「……その、つまり……」

小林「犯人が見たのは……被告人本人ではなく、そのポスターだったと……」

真田P「おそらく、そうだと思われます」

小林「……………(何て、大げさな人だったんだ……)」



証拠ファイル⑫等身大アイドルポスター

【クリスマスライブに出演するアイドル全員分の等身大ポスター。物販で販売する予定だった】





小林(…ん?待てよ?という事は……)

小林「…この証言が本当なら、被告人は犯行が不可能だった。そういう事になりませんか?」

北芝「…………」

北芝「まぁ、そうなるでしょうね」

小林「!」


147: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 23:21:32.30 ID:pHCAi9B7O

ダンッ

北芝「しかし、これはあくまで口だけの証言よ!」

北芝「確証を得たいのなら、それなりの”証拠”を提出しなければならないわ」

北芝「もし、目の前のこいつが被告人とグルだったとしたら…この証言、何の価値も無いんだからね」

藍川「おいおーい!ちょっと待ちんさい!」

洲水「勝手にウチのプロデューサーを犯人扱いしないでくれる?」ギロッ

鬼瓦割「……覚悟、出来てんだろうなぁ?」バシーンバシーン

栗野原「ケケケ……北芝愛……か。クケケェーッ!」グサッグサッグサッ

北芝「…ウッ!」グサッグサッグサッ

北芝「なっ…何?今のは…?イキナリ胸に激しい痛みが三回も…!!」

小林(栗野原さんの藁人形のカナちゃん…効力すごいな…)

小林(…しかし、ここに居る皆が容疑者である以上、証言の力が弱いのも確かだ)

小林(もう少し、他の人のアリバイを掘り下げてみようかな)



148: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 23:22:09.18 ID:pHCAi9B7O


【コーデリア】その……一人で……お食事に行ってました……お店のレシートなら…あります…けど……… ダラダラ


小林「待った!」

小林「それじゃぁコーデリア、そのレシートを提出してくれないか?」

コーデリア「ええっ!?」ビクッ

コーデリア「でっでも教官…そっそれは…」

小林「?何も隠すことは無いと思うんだけど…アリバイの立証のためにも、頼むよ」

コーデリア「ああっええと……そそそそうだ!そうだわ!家に!家に忘れてきた~のよぉ~♪」ラララ

ダンッ

北芝「歌ってごまかせると思いかしら?それとも…そんな事実、本当は無いんじゃいの?」

コーデリア「なっ!ちゃっちゃんとあります!だってレシートは大体サイフの中に……あっ!」

北芝「それじゃぁ提出出来るはずよね。とっとと提出しなさい。時間の無駄よ」

コーデリア「いっいや…でも…でも…教官の居る前で……」フルフル

小林「?…コーデリア、一体どうしたんだ?」

コーデリア「そっそうだわ!黙秘権!黙秘権を行使させていt」

北芝「係官!証人のサイフからレシートを奪い取りなさい!」

係官「了解です!」

コーデリア「いやぁ!いやぁああ!やめっやめてぇええええええ!!」ジタバタ

ピラッ

北芝「ご苦労だったわ。昨日の深夜二時…これね」

北芝「…”餃子の帝王”……”スペシャルニンニク餃子5人前”…”餃子のステーキ1キロ”……”20分以内に食べたらお会計が全部タダ!10キロの巨大餃子チャレンジ!”」

北芝「お会計総額……”0円”」

裁判長「……………」

傍聴席「……………」

小林「…たっ…食べきれたのか………凄いね…コーデリア…」

コーデリア「うっうわぁあん!うわぁああん!もうお嫁にいけませんわぁああ!!」ビエエエエエ

北芝「……”餃子の帝王ホームズ探偵学院近く”…事件現場とは関係の無い場所ね」

小林「その店の住所だけ読み上げれば良かったんじゃないのか…?」

北芝「内容は強烈だけど、この裁判においては何の価値も無いわね」クシャクシャ  ポイ

コーデリア「ああ!チェレンジ成功レシート券が!次回から千円のタダ券がぁ!!」

小林(さすがにこれは酷すぎないか…)

北芝「弁護人、次は無いわよ。こんな無駄なゆさぶりするならね」

コーデリア「酷い!無駄なんて!私…一生懸命頑張ったのよ!それなのにぃいい!」グスッグスッ

ネロ「なんだよー!コーデリアなんて一人だけでお腹一杯食べてたんじゃん!」

シャロ「私も餃子食べたかったです!」

エルキュール「よっ…夜中に…そんなに食べるのは…どうかと………」

姫百合「…つか何してるんですかアンタ達…」

小林「……今度僕が奢ってあげるから、大人しくするんだ君たち」

ミルキィホームズ「「「「!」」」」

小林(うわぁ、みんな目をギラつかせてこっち見始めたぞ…)



149: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 23:22:55.04 ID:pHCAi9B7O

【先生】茉莉音ちゃんと美樹ちゃんとお泊りでライブの練習していたわぁ。証人は茉莉音ちゃんと美樹ちゃんと川澄Pと真田くんねぇ♪


小林「待ってください!」

小林「ライブの練習は…練習場ですよね?事務所のすぐ後ろにある」

先生「そうよぉ☆コ・バ・ヤ・シ・クンも一緒に来てたじゃなぁい♪」パチン

小林「いえそうなのですが…深夜のその時に何か音が聞こえませんでしたか?」

先生「あらぁ?音かしらん?」

茉莉音「…と言っても、私たちの練習場も防音が施されてるし……」

美樹「聞こえてたとしても、気にしないよねぇ」

小林「……………」

美樹「あっ!でも深夜二時って言ったら、私たちが焼肉食べてた時じゃない?」

茉莉音「ああ、あの後すぐ動くって言われたから…思わず吐きそうになったんだよね」

美樹「そーそー。食道炎になるかと思ったよ先生ぇー」

先生「んもう、ちゃんと謝ったじゃなぁい。でぇも、センターとしての動きはまだまだだったんだからっ!」

小林「……………」

小林「真田さんが、この時どのような仕事をしていたかご存知ありませんか?」

美樹「うーん?」

茉莉音「……真田さんが、事務所に居たんですか?」

先生「あら!そうそう、真田くんたら大真面目に担当のアイドルの為に深夜まで調整を施して…んもう涙ぐましいったら!」

先生「そのまっすぐな姿勢…思わず食べてしまいたいくらいだわぁ!おっほほほほほほほ!!」

洲水「……………」ギロッ

栗野原「…………」ブスッブスッ

先生「あっあらやだ冗談よ冗談~、冗談だから栗野原ちゃんは人形に釘さすの止めて?何だか先生、お胸が痛くなってきたからぁ」

小林(なんだかあの空間…怖いな…)

小林(…どうしよう、他に何を聞こうか?)


→真田Pはどこで仕事をしていたのか

 クリスマスライブはどのような曲で踊るのか



150: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 23:23:31.42 ID:pHCAi9B7O

小林「……ちなみに」

小林「真田さんは、どこで仕事をしていたのですか?」

先生「あらぁ?そんなの決まってるじゃなぁい。プロデューサー専用の部屋で自分用の机よぉ」

先生「確かぁ、窓際に近い席だったと思うわぁ」

小林(窓際に近い席………)

小林「……………分かりました。ありがとうございます」

先生「いえいえぇん♪良かったら、ウチのレッスン室もちょくちょく見にきてねぇん♪」

茉莉音「あっ…小林さんなら歓迎します!待ってますから!」//////

美樹「んー…ちょっちこじれそうだからお控えなすった方がいいかもしれないねぇ」

小林「……ははは」



151: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 23:24:08.11 ID:pHCAi9B7O





小林(皆の証言を聞く限り、被害者の悲鳴が聞こえなかったのは間違いないみたいだな)

小林(この尋問で、できるだけ情報を引き出して…違和感を感じたら証言を突きつけよう)






153: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 23:30:56.51 ID:pHCAi9B7O

→【真田P】…事務所に残って仕事をしていました。クリスマスライブの時期が近いので調整を…篠田さんと先生、あと先輩が証人です。
を突きつける




小林「異議!」

小林「……真田さん。貴方が仕事していた部屋は、どこですか?」

真田P「仕事場ですね。専用の部屋がありますので」

小林「レッスンの先生が言っていました。真田さんは窓際の席だったと」

真田P「……確かに、窓に近い席ではありましたね」

小林「……真田さん」

小林「窓の外からでは、何が見えてましたか?」

真田P「今は空き地となっている場所です。最近、木が茂っていて見難くなってはきましたが」

小林「……窓は、あったんですね?」

真田P「?ええ……」

小林「…ならば」

小林「空き地から勿論、何か音が聞こえてた。そうですね?」

真田P「……………」

真田P「…いえ…すみません。仕事に集中していたもので」

ダンッ

小林「しかし、それではおかしいんですよ」

小林「二人の証人が、空き地で何かを潰す音が聞こえたと証言しています。」

小林「しかし貴方も同じ現場に居たにも関わらず、その音に気づいていない」

小林「防音でも無い部屋で、それはおかしいとは思いませんか?」

洲水「……何が言いたいのさ」

小林「…今のところは、疑問点を言っているだけです」

ダンッ

北芝「うざったいわね…回りくどい事言わずにとっとと言っちゃいなさいよ」

北芝「アンタが犯人の共犯してんじゃないのかって!」

洲水「!」

藍川「!」

真田P「!」

小林「異議!」

小林「まだそうと決まったわけでもありません!それに、被告人の犯行も今のところはハッキリとしていないじゃありませんか!」

北芝「異議あり!」

北芝「そもそも、被告人が有利になる証言をしたのはこいつよ。だったらまず」

北芝「こいつの信憑性を証明してみせなさいよ!」ダンッ

小林「……………」

154: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 23:31:44.24 ID:pHCAi9B7O

裁判長「…このままでは、埒があきそうにありません」

小林「……はい、そうですね」

小林「弁護側は、新しい証言を要求します」

北芝「……………ふん」

裁判長「私は、弁護側の要求を認めます。検察側は?」

北芝「別に、止める理由なんて無いわよ」

裁判長「分かりました」

裁判長「それでは、弁護側は、証人達にどのような証言を求めますか?」

小林「………そうですね、では」

小林「証人達はどのような”トイズ”を持っているのか。それを証言して貰います」

コーデリア「!」

洲水「……トイズ?」

栗野原「……ケケッ」

裁判長「……よろしいですかな?証人……達」

真田P「はい。私は特に問題を感じません」

真田P「そもそも、BRはトイズの持ったアイドルをコンセプトにしたグループです。ネット上でも公開されています」

真田P「ここで証言しても、事務所が不利になる事は特にございません」

藍川「…まぁー、なら別にいいかぁ」

洲水「うん、特になんて事ないし」

鬼瓦割「……チッ」

裁判長「……分かりました」

小林「それではみなさん、話してください」

小林「皆さんはそれぞれ、どのようなトイズを持っているのかを」



155: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 23:32:15.39 ID:pHCAi9B7O


【証言開始】



【藍川】ずばり!私のトイズは”エフェクト”!手から魔法のようにキラキラしたものやモヤモヤしたものまで出せるよ!実態の無い映像のようなものだけどね!


【栗野原】クケケッ私は指先を光らせる事ができるねぇ…まぁ、たったそれだけだけど。ETみたいに傷とかも治らないし…


【洲水】私はトイズで落ち着いたり自分だけだけど身体医療や精神医療に使えるよ。……名前は”マリファナ”だけどね。効果も同じみたい…


【鬼瓦割】……手に持った物で強度関係無く殴れば、誰だろうが意識を失わせる事が出来るぜ


【アーグニャ】Да.ワタシのトイズは”トランスレーション”どの国の言葉も私の分かル言語で聞き取れます。……日本語とロシア語以外ハ喋れませんガ


【真田P】そうですね……物を少し動かしやすくするくらいですか


【先生】私は何も持ってないわねぇ


【茉莉音】私は…能力を”エレメント”として具現化する事のできるトイズを持っています


【美樹】繋がった物を切り離す”セパレーション”って能力持ってるよ。……それで茉莉音に酷い事したっけ


【シャーロック】私のトイズは”念動力”です!最近力も強くなってきたんですよ


【コーデリア】私のトイズは”ハイパーセンシティブ”些細な光も小さな音も見えない場所の状況の把握もできるわ


【ネロ】僕のトイズは”ダイレクトハック”。電子機器になら何にでも思いのままさ


【エルキュール】わ…私のトイズは……ト……”トライアセンド”………//////


【姫百合】私のトイズは”インダクション”です。強制的にトイズを発動させたり止めたりできます。



156: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 23:32:54.00 ID:pHCAi9B7O

小林「……なるほど」

小林(やっぱり、皆のトイズもそれぞれ個性的だな)

北芝「さて、トイズの事について証言させたという事は」

北芝「何か分かっているのよね?」

裁判長「分かってますか?弁護人、先ほどのアリバイと重ねて考えてください」

裁判長「そして、意味のない揺さぶりは…」

小林「はい。分かっています」

小林(ミルキィホームズの皆の揺さぶりは一応必要無い…のかな?)

カンッ

裁判長「それでは弁護人、尋問を始めてください」


157: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 23:33:22.08 ID:pHCAi9B7O


【尋問開始】



【藍川】ずばり!私のトイズは”エフェクト”!手から魔法のようにキラキラしたものやモヤモヤしたものまで出せるよ!実態の無い映像のようなものだけどね!

小林「待ってください!」

小林「そのエフェクトは、主にどのような物でしょうか?」

藍川「おお!よくぞ聞いてくれました!こうやって手を振ると~」キラキラキラキラ

傍聴席「おお~~!!」

藍川「さらにこうやって手を大きく広げて~」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

ザワザワ……ガヤガヤ……

藍川「最後にフィナーレ!」バチバチバチバチバチ ドッカァァアアアン


ワァァァアアアアア!  パチパチパチパチパチ


シャロ「凄い!凄いです藍川さん!」

エルキュール「凄く…綺麗………でした……」

コーデリア「少し羨ましいわね…」

藍川「いやいやぁ~ありがとうございますお客様ぁ~!そしてホイッ!」ボンッ

小林「うっうわっ!?爆発!?」ビクッ

藍川「ニャハハハハ!大丈夫大丈夫!エフェクトだから受けても全然実感すらないよ!」

藍川「視覚と聴覚にだけ存在する映像みたいなものだから、ステージの上でも結構重宝するんだなぁ~これが」

美樹「いやぁ~本当にアイドルならではのトイズだよね藍川さん。正直交換してほしいくらいだよ」

藍川「ははは!絶対に嫌だからね!トイズ使わないでね!」

小林「……ちなみに」

小林「そのトイズを使って、人間を騙して使う事も可能ですか?」

藍川「ん?どゆこと?」

小林「例えば……実体の無い人間を作り出すとかは」

藍川「あっはははー!無理無理!一度やってみたけどめんどくさいったりゃありゃしない!」

藍川「顔も崩れるし、ほとんど化物みたいになるから実体が無くても人間どころか犬や猫も無理かもねー」

小林「……そうですか」

小林(…まてよ?視覚と……”聴覚”?)

小林(……………)


この疑問点を覚えますか?

→はい

 いいえ



158: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 23:33:58.31 ID:pHCAi9B7O


小林(………………)

小林「…ありがとうございました。結構です」

藍川「へっへーん!この法廷で私もファンも、ちょっち増えたかな?」

真田P「ええ、とても素晴らしかったです藍川さん」

藍川「あはは~///そう面と向かって言われると照れるよぉプロデューサー////」

洲水「ポジティブだね藍川は。ここ法廷なのに」

鬼瓦割「……チッ」


159: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 23:35:00.73 ID:pHCAi9B7O


【栗野原】クケケッ私は指先を光らせる事ができるねぇ…まぁ、たったそれだけだけど。ETみたいに傷とかも治らないし…



小林「待ってください!」

小林「えっ…?そっそれだけですか?」

栗野原「それだけだよぉー。何なら見てみるかい?クククク…」

小林「…えっええ。見せてもらえるなら」

栗野原「……それじゃぁ、見るがいいや」スッ  ピカァァアアアア

シャロ「きゃぁあああ!まぶしい!まぶしいですぅ!」

洲水「ちょっと栗野原、光強すぎ」

栗野原「おっと、それは申し訳ない」クルクルクル

小林(えっ、その指回るの?)

栗野原「これくらいがライブの時に使う光だよぉ~。クケケケ」

栗野原「踊ってる時、私がセンターの時とか。バックで踊ってる時とか演出よくなるんだよねー。ちょっと地味だけど」

藍川「ええー?良いじゃん良いじゃん!マロンちゃんの指先の光!なんだか不思議な魅力があるって評判だよー!」

真田P「はい。その光に魅入られてカルト的な人気を博しているのは間違いありません」

小林(光に呪いの念とか込めてそうだよな…)

栗野原「ケケケ。この光にわたしの思いの全てを詰め込んでるからねぇ。毎朝カナちゃんとお話しながら」

小林(ああ、間違いなく呪いとか入ってるなあの光)

小林(このトイズは…特に事件とは関係無さそうだな)



160: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 23:35:32.68 ID:pHCAi9B7O

【洲水】私はトイズで落ち着いたり自分だけだけど身体医療や精神医療に使えるよ。……名前は”マリファナ”だけどね。効果も同じみたい…




小林「待ってください!」

小林「その…それって、あの、危ないお薬の方の……?」

洲水「うん、日本じゃ非合法のアレ。トイズを一回使うたびアレを0.7g使うくらいの効力が私の中で発せられるみたい」

洲水「おかげでライブの時も緊張しなくて済むしストレスも生まないし良い事はあるんだけど、やっぱり見てくれは良くないよねこのトイズ」

真田P「しかし、検査の時でも薬物反応は全く無かったので。特に問題は無いと思われますが」

洲水「でもさ、何か恰好悪いじゃん。麻薬の効能のあるトイズなんてさ。マリファナであっただけマシだけど」

洲水「今のところ禁断症状もないし、あってもすぐ使える場所にあるし。プロデューサーもそう言うならまぁ別に良いかな」

小林(うっううん……なんだかギリギリ危ない気もするけど…)

小林(トイズとして開花した以上、彼女もどうする事も出来ないから…可哀想だけど、どうする事も出来ないかな)

藍川「まーまー元気出しなよスミスっち!マリファナ吸って捕まったアーティストや歌手なんていっぱいいるんだから!大丈夫大丈夫!」

洲水「うん、その人たち全員逮捕されてるよね。漏れなくね」

シャロ「…先生ー、マリファナって何ですか?」

小林「うん。それを使ったり食べたり体内に入れたらダメ。絶対の奴だよ」


161: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 23:36:22.57 ID:pHCAi9B7O


【鬼瓦割】……手に持った物で強度関係無く殴れば、誰だろうが意識を失わせる事が出来るぜ


小林「待ってください!」

小林「あの…そのトイズを近日誰かに使った覚えとか、ありませんか?」

鬼瓦割「あん?」ギロッ

小林「うっ」ビクッ

小林「いえ、もし使った覚えがあるのなら…その……この事件にも進展が…」

鬼瓦割「……私が殺したと言いてぇのか」ゴゴゴゴ

小林「…っ!」

小林(こっ怖ぇ!)

真田P「鬼瓦割さん。落ち着いてください」

鬼瓦割「…………」

鬼瓦割「……そもそも使うわけが無いだろ。事務所からも釘さされてるのによ」

鬼瓦割「親からも警察からも使えば即逮捕と釘刺されて…ったく、厄介なトイズを持っちまったもんだってんだ」

真田P「鬼瓦割さんがトイズを使っていないという事は、私と鬼瓦割さんの両親が証明できます」

真田P「少なくとも、鬼瓦割さんが事務所に入社する前。二年前以降は絶対に使わせませんでした。」

鬼瓦割「…つー事だ探偵。私が殺ったってんなら、相当の証拠品でも持ってくるんだな。…殺ってねぇけどよ」

小林(……う~ん…)

小林(もし、被害者が悲鳴を上げなかった理由が鬼瓦割さんがトイズを使ったからだとしたら…と考えたが、彼女にはアリバイがある)

小林(トイズに関係が無いかどうかは微妙だが、彼女が事件に関係しているかどうかは薄そうだ)

鬼瓦割「用が済んだら次の奴にいけよ。面倒だろ」

小林「…ああ、はい。すみません」



162: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 23:37:20.67 ID:pHCAi9B7O


【アーグニャ】Да.ワタシのトイズは”トランスレーション”どの国の言葉も私の分かル言語で聞き取れます。……日本語とロシア語以外ハ喋れませんガ


小林「待ってください!」

小林「……つまり、自動翻訳機という事ですか?」

アーグニャ「Да.すっごク便利デス」

アーグニャ「ニッポン、アメリカ人もヨーロッパからキタヒトもオオイ。聞くダケナラデキマス」

アーグニャ「喋れマセンケド、意味がワカルだけでも大分チガイマス」

小林(結構苦労したみたいだな…)

真田P「ええ。私は日本語以外は英語しか話せませんので、アーグニャさんのトイズにはいつも助けられています」

藍川「まぁ、”意味だけ分かっても喋れない”って事が多々あったけどねー」

洲水「ポーランド人が来た時は意味だけ分かってもどうしようかと思ったよね」

アーグニャ「Да.……アノトキは、タイヘンデシタ。勉強シマス」

小林(…このトイズも、事件とはあまり関係なさそうだな…)

小林「…ありがとうございました。結構です」

アーグニャ「Да…」



163: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 23:39:12.42 ID:pHCAi9B7O


【真田P】そうですね……物を少し動かしやすくするくらいですか


小林「待ってください!」

小林「それは…もしかして”サイコキネシス”でしょうか?」

真田P「……いえ、少し違うかもしれません」

真田P「私のトイズは、見た物の質量を変化させる事が出来ます。重い物を軽い物に、逆に軽い物を重い物に変化させる事です」

真田P「主に束ねた資料や荷物などの質量を変えて持ちやすくする為に使います故、逆に重くする事は少ないかと」

小林「……そうですか」

藍川「なるほどー、プロデューサーの怪力にはそんな秘密が」

洲水「そんなトイズ持ってるのにジムとか行く必要あるの?通う必要があまり感じられないのだけど」

真田P「いえ、トイズばかりでなく身体を動かす事は健康にもよろしいですから」

小林(しかし、彼は随分アイドル達から信頼されてるな……)

小林「事件当日、トイズを使う事はありませんでしたか?」

真田P「いえ……特に重労働はありませんでしたから」

小林「……そうですか」

小林(うーん……この証言が少し気になるんだよな…)

小林(………ん?)



この疑問点を覚えますか?

→はい

 いいえ




164: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 23:39:45.99 ID:pHCAi9B7O


小林(………………)

小林「…ありがとうございました。結構です」

真田P「いえこちらこそ、お役に立てなくて申訳ございません」

小林「あっいえ、些細な事でも十分証言になりますから」

真田P「そう言ってもらえると光栄です」

小林「ははは…」

ネロ「…ねぇ、そうやってお互いに謝ってると話がいつまで経っても終わらないよ」

北芝「無駄な話をしたいのなら、裁判が終わってからにしなさい」

小林(うっ……)




165: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 23:40:45.56 ID:pHCAi9B7O


【先生】私は何も持ってないわねぇ


小林「待ってください!」

小林「本当に、貴方は何もトイズを持っていないのですか?」

先生「えっええ…。悪いけど、本当に何も…」

小林「…………それは、ちょっとおかしくないですか?」

先生「なっ何が?」

小林「真田さん。この方はアイドル志望で貴社に入社したんですよね?」

真田P「先輩からはそう聞いています」

小林「……では、一つお聞きしたいのですが。貴社のアイドルは全員漏れなくトイズを持ち合わせています」

小林「アイドルとは、必ずしもトイズを持ち合わせていないといけないのですか?」

真田P「いえ、アイドルにトイズは必要ありません……ですが」

真田P「ウチの事務所は、トイズ持ちの娘が入社の必須条件となっています」

先生「…………」

ダンッ

小林「…そうなんですよ。おかしいんです」

小林「貴方は元々アイドル志望だった。だけどトイズを持ち合わせていない。なのに貴方は川澄芸能事務所を選んだ」

先生「やっやぁねぇ小林くんったら。アイドルにならなくても事務員やダンスの先生くらいなら」

小林「問題はそこではありません。トイズが必須条件の事務所にトイズの無い者が志願しても、問答無用で弾かれるか目にも通されない筈でしょう」

小林「なのに貴方は現に芸能事務所に居る。ダンスの先生だとしても、少し違和感を感じませんか?」

先生「ウッ!」

美樹「……言われてみれば、確かに先生はトイズが無いとか言ってるけど……プロデューサーはそんな事無いとか言ってたね」

茉莉音「そういえば…ちょっと不思議でした」

先生「やっやだぁ!私ダンスの先生よ?ダンスが上手いからって目をつけられたのよぉ!オホホホホホ」

小林「……」

小林「真田さん。彼のトイズの情報とかは、ご存じありませんか?」

真田P「いえ、目に通した事はありませんね…」

小林「そうですか……」

先生「んもう!小林くんったら、疑い深すぎぃ!」

小林(……このまま証言を続けても平行線だな)

小林(確認するのに、誰に話を伺おうか…)


→検察側に聞く

 ネロに聞く




166: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 23:41:17.78 ID:pHCAi9B7O

小林「……ちなみに、この中には嘘を見破る事のできるトイズを持ち合わせている少女が居ます」

先生「えっ」

小林「厳密に言えば、心を見るという能力ではありませんが。大抵の嘘は彼女には通じません」

ネロ「おっ!それ僕の事だね?」

小林「というわけで、今から貴方に質問をさせて頂きます」

小林「貴方の証言が嘘でないのなら、特に問題ない筈ですが」

先生「やっやだぁ…小林くぅん!乙女の秘密を探ろうだなんてぇ…」ダラダラ

ダンッ

小林「…仮に嘘を押し通しても、偽証罪に問われる事もあるのですよ」

先生「んまぁあーっ!!?」ビュォオオオオッ

小林「そうならない為にも、僕の質問に答えてください」

先生「……うっ…うう………」ダラダラダラ

小林(……さて、まず何から質問しよう)


→先生のスリーサイズ

 先生のトイズ

 今日の朝ごはん



167: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 23:41:49.76 ID:pHCAi9B7O


小林「単刀直入に言います。貴方のトイズは何ですか?」

先生「だっだから…そんなの無いって……」

ネロ「はい嘘ーーっ!小林!イキナリこいつ嘘かましたよ!」

小林「……証人?」

先生「そっそんな怖い顔しないでよ小林くぅん!だっ…だってぇ…」

小林「この裁判で、自分のトイズの事を話したら何か不都合な事でもあるんですか?」

先生「…ウッ!」ゴゴゴ

先生「……でっでもっ!事件当日どころか12年前から私はトイズを使っていないわ!」

小林「…ネロ、どうだい?」

ネロ「おっ、これは正直だね。嘘偽りは無いよ」

小林「…そうですか」

小林(…しかし、12年前?)

先生「そう!使ってないって分かったんだから…私のトイズの事なんてもういいじゃない!」

小林「いえ、そういう訳にはいきません。まだ質問は終わっていませんよ」

小林「次に、この質問に答えてもらいます」



→12年前の先生は何歳だったのか

 12年前に何があったのか

 12年前以降からどうしてトイズを使っていないのか



168: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 23:42:38.54 ID:pHCAi9B7O


小林「…どうして、12年前から使っていないのですか?」

小林「使う必要が無い。としても、使っていないと言い切れるものなのでしょうか?」

先生「つっ使って無いものは使ってないんだもの!しょうがないじゃなぁい!」

ネロ「おっと、これも本当だね」

小林「……もしかして、貴方」

小林「12年前に、トイズで何か事件を起こしたのではありませんか?」

先生「っ!!!!!!!」ビュゥォオオオオオオッ

ネロ「小林!この化物、今凄い動揺してるよ!」

小林「事件を、起こしたのですね?」

先生「おっ起こした…かもしれないけど……でもっ…でも!」

先生「もう!もう…このトイズは永遠に封印するって決めたんだからぁ!!」バンッ  バキャッ

ボォオオオンッ

藍川「おわぁっ!」

美樹「うおっ!!」

小林(しょっ証言台が砕け散った!)

ガラララララララララ

係員「……」ペコリ   コトン

カガララララララ…

小林(そして係員が無言で新しい証言台を置いて行った……)

先生「だっだから…お願い……」

先生「もうこれ以上…私を詮索しないでぇ!!」ブォァァアアアアアアアッ

小林「………(どうする?)」

小林(正直、最後に使ったのが12年前ならこの事件との関係性は薄いかもしれない)

小林(彼のトイズを、本当に証明するべきなのだろうか)


→明らかにする

 気持ち悪いから止める



169: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 23:43:15.19 ID:pHCAi9B7O

小林(いや…他の娘達がトイズの有無を証言して、彼だけ許されるのはおかしい)

小林「…申し訳ございませんが、ここは法廷です」

小林「少しでも証言を集める為、協力してもらいます!」ダンッ

先生「うっ……」

先生「うぅぉぉおおおおおおおおおおおおおっ!!!」ドゴォオオンッ  バキャッ

ボォオオオンッ


ガラララララララララ

係員「……」ペコリ   コトン

カガララララララ…


小林「証人!答えてください!12年前に貴方は……」

先生「うるせぇぇっ!!黙ってろやぁ!!殺すぞこのスットンキョウがぁああ!!」バァァアアアアンッ

ドゴォオオオオオッ

小林「ぎゃぁああああああああっ!!?」ビクッ

ガラララララララララ

係員「……」ペコリ   コトン

カガララララララ…

先生「……はっ!」

先生「ごっ…ごめんなさい!つっつい…頭に血が上っちゃって……」

洲水「……何?今の……?」

茉莉音「今の先生の顔………般若の12倍怖かった………」ガタガタガタ

小林(うぅ……これ以上聞いたら僕の命が危うい気がする……)

小林(このまま聞くのか?命を懸けてでも彼にトイズの有無を聞くのか?)



→聞く

 死にたくないから止める



170: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 23:44:01.13 ID:pHCAi9B7O


小林(…むしろ、ここまでして隠すのは何か理由がある筈だ)

小林(それを明らかにしなければ、この裁判が終わる事は無い!)

ダンッ

小林「…分かりましたよ。貴方のトイズの能力が」

先生「っ!?」

茉莉音「えっ…えええええええええ!?」

美樹「たっ探偵って…今ので先生のトイズが分かっちゃうの?」

シャロ「せっ先生凄いですっ!私…今の怖い顔で記憶すら全部吹っ飛びそうだったのに!」

洲水「…………」ジー

姫百合「…あの……小林さん?」

小林(うっ……何人かは、僕の言葉がハッタリだってことに気づいてるようだ…)

小林(…だけど、もう後には引けない!こうなったら…一か八かだ!)

小林「12年前の事件。それとつながる貴方のトイズは―――」



→人間を捻りつぶすトイズ

 目を合わせたら死ぬトイズ

 大地を揺るがし海を荒らすトイズ



171: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 23:44:32.99 ID:pHCAi9B7O


先生「待ったっ!!!!!!!!!!!」


小林「!」

北芝「!」

裁判長「!」


先生「……分かったわ……言う……自分の口から言うわ……」

先生「私の…罪の記録を……」

小林「!」

裁判長「そっそれでは証人、貴方は……!」


先生「ええ、私は12年前の冬…一つの罪を犯したの」

172: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 23:45:53.94 ID:pHCAi9B7O

先生「その時はまだ高校生だった私は…恋をしていたの」

先生「相手は三年生の先輩。この冬が過ぎればもう二度と会えなくなってしまう」

先生「でも、私と先輩は男同士…先輩はノンケ。告白しても玉砕するのが目に見えてしまう…」

先生「その時…その時よ、私のトイズが開花したのは……そう、私のトイズは……”幻惑”」

先生「私を美しい少女に見せる幻覚を見せる事で、私は晴れて先輩と付き合う事が出来たの!でもっ……!」

先生「ある日、一緒に熱い夜を過ごした日の朝の事だったの……目が覚めたら私のトイズは効力を失っていて、起きたときに見た光景は……目を見開きながら私の顔を見て硬直する先輩だった…」

先生「そして先輩は、そのまま全裸のまま奇声を上げて家から飛び出し山の中へと逃げていったの………」

先生「それからずっと、先輩とは会っていなかった…でも、その後先輩が警察に保護されたと聞いたのは8年後の事だった」

先生「8年間ずっと森の中で野生と共に過ごした彼は記憶を無くし、人語も喋れなくなっていた……もちろん、私の事も覚えていなかった……」

先生「だから…だから私は!12年前先輩を傷つけた日から!もう絶対に罪深き”幻惑”のトイズを使わないって!決めたのよぉおおおお!!!」バァアアアアアアアアアアアアアアアンッ


ドガァァアアアアアアアアアアンッ




173: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 23:46:39.19 ID:pHCAi9B7O


裁判長「……………」

北芝「……………」

小林「…………」


「…………………」



ガラララララララララ

係員「……」ペコリ   コトン

カガララララララ…




北芝「……………弁護人」

小林「……はい」

北芝「有力な情報は、拾えたかしら?」

小林「……………いえ」

北芝「そうでしょうね。今のがこの裁判で有力な情報ですとかほざいてたら、さすがの私も貴方の頭を心配するわ」

小林「……………」



174: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 23:47:15.13 ID:pHCAi9B7O


カンッ

裁判長「………もう結構です」

裁判長「この事件は、被告人が殺人を犯す状況。証拠も揃っていて極めて明確な裁判です」

裁判長「被告人のトイズも、事件現場で使われた可能性も大きい」

小林「!」

小林「しっしかし…事務所と空き地の間には木が…!」

北芝「…そもそも、本当に被告人は事務所の中に居たのかしらね」

小林「どっどういう事ですか?」

北芝「被告人にはアリバイが無い。という事は音響室に行ったのは嘘で本当は」

北芝「事件現場のすぐ近くに居た可能性だって…いや、むしろこっちの方が可能性が高いわね」

小林「異議!」

小林「そっその明確な証拠は今存在していない!言いがかりは止めてください!」

北芝「…………」

裁判長「……確かに、被告人が事件現場に居たという証拠はありません…が」

裁判長「被告人が事務所に居たという証拠も、今の所ありませんね」

北芝「一人目の証人が言っていた被告人も、ただの大きな写真だったわけだし」

小林「クッ!」

北芝「この容疑者の中で、最も犯行が可能だった人物が被告人である事は揺るぎないわ」

北芝「大人しく負けを認めなさい!小林オペラ!!」

小林「…………」

小林(……何だ?この違和感は……)

小林(裁判前のとは違う、別の違和感……)

小林(……この違和感は…まさか……)

裁判長「それでは、この裁判の判決を――」


175: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 23:47:44.28 ID:pHCAi9B7O




小林「異議ありっ!!!!」



裁判長「!」

北芝「…………」

小林「…北芝検事、先ほどまで感じていた違和感が、ようやくわかりましたよ」

北芝「……何よ」

小林「突然13人の容疑者を一気に証言台に立たせた暴挙。この時点から気づくべきだったのかもしれません」

小林「そして、この裁判には証拠という証拠が今までの事件と比べて有力な物が少ないんじゃありませんか?」

北芝「…………」

ダンッ

小林「そう!この裁判……」

小林「検察側の捜査が圧倒的に不十分なのです!!」

裁判長「!?」

姫百合「!?」

コーデリア「えっええっ!?」

176: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 23:48:44.94 ID:pHCAi9B7O
ザワ…ザワザワ…

「…おい、一体どういう事だよ?」

          ザワ……

「証拠不十分のまま、議論していたって事なのか?この裁判」

ザワザワ……                  ザワ…


北芝「…………」

小林「検察側が被告人を告訴した理由が一番犯行が可能だから。そのあやふやな主張も疑問を感じていました」

小林「何より、被告人の動機の議論が今のところほとんどされておりません」

小林「それに…僕たちが見た事件現場にだって謎が多く残されています。被告人が睡眠薬入りと知っているか知らないか関係なくジュースを飲んだ理由もね」

小林「被告人と被害者は仲が良かった。それなのに被告人は睡眠薬入りだと知らなかったとは考えにくい」

北芝「異議あり!」

北芝「知っていたとしたら、余計に被告人の容疑が深まるじゃない!」

小林「異議!」

小林「だったら…被告人が被害者を殺す動機を!今!」

小林「ここで証明してください!!」

北芝「…………ぐっ…ぐぐっ……!!」



177: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 23:49:11.67 ID:pHCAi9B7O




「待った!!!」



小林「!」

裁判長「!」

北芝「………!」




















神津「……その事については、俺が証言しよう」









178: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 23:49:58.31 ID:pHCAi9B7O

小林「かっ…神津?」

北芝「神津くぅん!ようやく証拠品が揃ったのね!」

神津「まず、この裁判における検察側の捜査だが」

神津「確かに。有力な情報はほとんど得られておらず、ただ殺人事件だという事以外は分かっていない」

小林「!じゃぁ、この裁判は証拠不十分のまま行われていたという事か!」

神津「そうだ。だが、それにはちゃんとした理由がある」

神津「探すべき場所の検討が尽きた俺達は、この裁判と捜査を同時進行で行う事とした」

神津「つまり、裁判で議論されていた事を重点に置いて捜査を行ったのだ」

小林「……なっ何?」

神津「そして、俺達は殺害現場とは別の事務所の中を隅々まで調べまわった…その結果」

神津「怪盗ファンが言っていた部屋には、被告人の全身ポスターが事件当日から張られていない事が判明している」

小林「えっ」

神津「そもそも、怪盗ファンが見た被告人の場所は喫煙室でポスターなど張れる部屋では無かった。つまり」

神津「被告人は事件当日、間違いなく喫煙室の窓の前に立っていたのだ」

小林「…………え」

小林「ぇぇぇぇぇえええええええええええええええ!!!?」

179: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 23:50:56.07 ID:pHCAi9B7O

神津「更に、怪盗ファンの口を割らせた所。興味深い証拠品が喫煙室から見つかった」

裁判長「興味深い証拠品、とは?」

神津「怪盗ファンが仕掛けた隠しカメラが設置されていたんだ。それも、窓から空き地の光景が見える場所にな」

小林「…とっという事は……?」

神津「ああ、事件当日の光景が映った決定的証拠が、今ここにあるという事だ」

北芝「あっはっはっはぁああ!!さぁっすが神津くんだわぁ!愛してるぅ!」

裁判長「かっ神津警視正!今すぐその証拠品を提出してください!」




証拠ファイル⑬隠しカメラの映像

【事件当日、殺人の瞬間が記録されている。】



北芝「っふふふ…覚悟は良いかしら?弁護人?」

北芝「神津君が持ってきてくれた、検察側の切り札、決定的証拠を再生するわ」

北芝「嘘偽り無しの記録……さすがの貴方もこれは崩せないでしょうからね」

小林(…北芝検事も中身を知らない筈だけど)

カンッ

裁判長「…それでは、係官。今すぐ証拠品の再生の準備に取り掛かってください」



180: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 23:51:36.56 ID:pHCAi9B7O

【映像開始】



①場所は不明。だが窓からは空き地の光景が映し出されている


②窓の端には誰か分からない人影が立っている


③凶器と思われる車のような物が浮いてるかのように動き、途中で止まる


④人影は走って去ってゆく。


⑤部屋の中に誰か人影が。窓の光でその姿が被告人篠田久留美だと判明する


⑥急に被告人の姿が消え、怪盗ファンの姿が一瞬だけ映し出される


181: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 23:52:44.62 ID:pHCAi9B7O


裁判長「こっ……これは……」

小林(うっ…嘘だろ……?)

小林(喫煙室からだと……空き地の光景が木の間からでも見えている…?)

北芝「クックック…どうやら」

北芝「私の推理は間違っていなかったみたいね」

小林「…………う」

北芝「映像に映っているのは紛れも無く被告人。そして窓の外を見ていた」

北芝「映像から分かるように、木が邪魔になっていても空き地の光景はハッキリと見えていたわ!」

北芝「更に、空き地には人影が映り。被害者を殺した大型車の影も映りこんでいる。これは間違いなく」

北芝「被告人に、共犯者が居た事を示しているのよっ!」バンッ

小林「うっ……」

小林「うぅぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」


ザワザワ…ザワ……ザワ


カンッカンッカンッ

裁判長「静粛に!静粛に!」

裁判長「それで、その共犯者とは…一体誰なのですか!?」

神津「今、解析班が映像の明度を上げている。すぐにでも提出する事は可能だ」

北芝「…それじゃぁ神津くん。映像に映った空き地に居た黒い影…」

北芝「その影の正体を証拠品として提出して頂戴!」



182: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 23:53:11.76 ID:pHCAi9B7O


小林「………なっ!」

ネロ「こっ…これって……」

コーデリア「……うっ…嘘……でしょ?」

北芝「……………」

裁判長「…この、映像に映っている黒い影……この方は………」

裁判長「この証人に間違いありませんね?」

北芝「…そうね。認めるしかないわ」

ダンッ

北芝「検察側は、被告人の共犯者として……」













北芝「シャーロック・シェリンホードを告訴する!!」







183: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 23:53:54.12 ID:pHCAi9B7O

小林「異議あり!!!」

小林「あっ有り得ません!彼女が…証人が!殺人の片棒を担ぐなんて!」

小林「そもそも!証人と被告人とは接点がほとんどない!動機も存在しない!」

北芝「異議あり!!」

北芝「この証人は事件当日同時刻に現場に居た事を認めている!そして、映像にも記録されている!」

北芝「更に!どう見ても証人は野菜を見に来ただけの様子では無い!」

北芝「これだけ証拠が揃っていて…疑うな等とは…冗談じゃないっ!!」

コーデリア「異議あり!!」

コーデリア「シャッ!シャロが殺人をするって本当に思っているのですか貴方は!?」

北芝「それじゃぁ貴方は、証人が事件現場に向かった理由が野菜を見に来ていたと本当に信じているの?」

北芝「こんな深夜に外を出歩いてまで野菜の様子を見に行く馬鹿がどこに居るっていうのよ!!」ダンッ

ネロ「異議あり!!」

ネロ「その事についてはシャロは一切嘘をついていないよ!言いがかりは止めて貰える?」ギロッ

北芝「…それじゃぁ証人、貴方は本当に野菜の様子を見に行く為だけに」

北芝「あの殺風景な空き地へと向かったのですか?」

コーデリア「そうよ!シャロなら有り得るわ!ねぇシャロ!」

シャロ「えっ…ええと……ええと………」オロオロオロ

ネロ「………っ!?」

ネロ「シャロ…ほ…本当に………他の理由が…?」

北芝「…どうやら」

北芝「貴方の嘘を見分けるトイズは、相当優秀のようね」

ネロ「……あっ!」

ダンッ

北芝「さぁ、言い逃れはもう出来ないわよ」

北芝「貴方は、大型車と被害者が横たわっていた空き地に入った」

北芝「空き地に入って、本当にその姿が見えなかった。なんて言い訳は通じると思わない事ね」

シャロ「でっ…でも……でも……」


184: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 23:54:36.46 ID:pHCAi9B7O

ダンッ

北芝「さぁ、答えなさい」

北芝「貴方、事務所の隣の空き地まで一体何しに行ったの!?」

シャロ「…………」

シャロ「…せっ…先生……」

小林「…………くっ!」

小林(僕も…何故事件当日のこの時間にシャーロックが事件現場に居たのか…理由が分からない)

小林(だからと言って、ここは裁判だ。僕は彼女だけ特別扱いをすることも……)

小林「……シャーロック」

小林「一体、その事件現場で何を…していたんだ?」

シャロ「………!」

ネロ「こっ…小林?」

小林「シャーロック。僕は君を信じている」

小林「だからお願いだ。僕に全部話してくれ。あの夜、公園で一体何があったのかを」

小林「そうじゃないと、この裁判は先には進めない」

シャロ「…………」

小林「すまないシャーロック…話してくれ」

小林「事件当日、空き地で君は何をしていたのかを!」

小林「そして、一体何を見たのか!聞いたのか!」

シャロ「………………うぅ…」

シャロ「…………」

185: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 23:55:03.40 ID:pHCAi9B7O



シャロ「…も……」

シャロ「黙秘……します………」

小林「………えっ」

小林「ぇぇぇえええええええええええええええええええっ!!!!???」



186: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 23:56:03.96 ID:pHCAi9B7O


ザワザワ…ザワ……


北芝「……どうやら、探偵小林オペラさんは」

北芝「自分の教え子の心を開くことができなかったようね」

ダンッ

小林「シャーロック!?黙秘するという事は…分かっているのかい!?」

小林「下手な発言をするより、ずっと不利な状況になるんだよ!?」

コーデリア「!」

エルキュール「!」

ネロ「シャロ!どうして喋れないの!?なんで!!」

シャロ「ごっ…ごめんなさい……ごめんなさいい………!」ポロポロポロ

北芝「…どうやら、ここまでのようね」


ダンッ


北芝「裁判長。もう審議の必要はありませんわ」

北芝「映像を見る限り、被告人と証人シャーロックが共犯者だった事は確実」

北芝「被告人が被害者の動きを止め、証人のトイズで凶器であるトラックを動かし被害者を轢き殺した」

北芝「もうこれは、議論の余地もありません」

裁判長「……確かに、これは極めて明確な事件です」

裁判長「検察側の意見は、至極全う筋が通っています」

小林「……くっ!」

裁判長「それでは、この裁判に判決を――」



小林「異議!!!」



小林「まだ審議するべき箇所が残っています!」

北芝「……ほう、それじゃぁ提出してみせなさいよ」

小林「…それは、映像のこの箇所です!」




187: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 23:56:48.29 ID:pHCAi9B7O


→⑥急に被告人の姿が消え、怪盗ファンの姿が一瞬だけ映し出される


小林「映像に映っていたのは被告人と証人だけじゃない。怪盗ファンの姿も映っています」

小林「更に怪盗ファンも事件現場のすぐ近くに居たという事になる。つまり!犯行は怪盗ファンでも可能だった!」

北芝「異議あり!!」

北芝「残念だけど…不可能よ」

小林「どっ…どうしてですか?」

神津「怪盗と言うからにはトイズを持ち合わせている…お前はそう思っているかもしれないが」

神津「奴はトイズを”持ち合わせていない”」

小林「なっ…なんだって?」

北芝「ただ、下着泥棒を怪盗として提出すれば少しでも恰好良いと思ったんでしょうね」

北芝「奴は怪盗という単語を乱用してるだけのトイズの持たないただの下着泥棒よ」

小林「うっ…うう……」

北芝「トイズを持たない一般人が、あんなでかい車を触れずに動かせるものかしらねぇ!?エンジンもキーもギアも動かせない、更に車は坂だろうと普通は勝手に動かない!!」

小林「うわぁあああああああああああああああああああああ!!!!!」ガガーンッ

裁判長「……となると」

裁判長「やはり、犯行が可能だったのは被告人と。証人であるシャーロックさんだった……」

裁判長「これは、もはや議論の余地もありませんね」

小林「……………」

小林(おっ…終わりなのか…?こんな…最悪が終わり方で……)

小林(この裁判は…幕を閉じるのか?)

裁判長「それでは、弁護側から異議が無ければこれにて審議を―――」



小林「異議あり!!!!」



188: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/21(火) 23:57:16.83 ID:pHCAi9B7O

北芝「……あんたもしつこいわね」

小林「…もう一人、居るんです。この事件で犯行が可能だった人物が」

北芝「…ほう、面白い事を言うわね。分かってるの?」

小林「………はい」

カンッ

裁判長「それでは、提出してもらいましょう」

裁判長「この事件で、被告人と証人以外で犯行が可能だった人物とは?」




190: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/22(水) 00:05:20.05 ID:is8E32asO


→証拠ファイル①真田Pの名刺を突きつける


小林「この人です!!」

真田P「……なっ!!?」ビクッ

小林「事件当日、現場の近くに居て窓から事件現場も見る事が出来、トイズで殺害方法を再現する事も可能なのは…」

小林「僕が考えうる限り、この人しかいません」

真田P「そっ…そんな…?私が……御子柴さんを……?」

鬼瓦割「おい…殺されてえかてめぇ…?」ジャキッ

洲水「アンタ……一体何言ってるか分かってんのっ?」ギロリッ

栗野原「…………」グサッグサッグサッグサッグサッ

藍川「ちょっちょぉーっと!みんな落ち着いて!ね!?ね!?こんなの間違いだから!」

アーグニャ「Минуточку!」

藍川「ちょっと小林オペラ!よりにもよってプロデューサーを疑うの!?さすがに酷いよ!!」

小林「しっしかし…彼なら空き地で被害者を殺害する事も可能でした」

小林「真田さんのトイズは重さを変化させる事のできるトイズ。それだけなら二つの事が可能です」

小林「被告人を重くし倒れさせ、自身で身体を麻痺させる事も可能ですし。逆に車のギアの持ち手を重くするだけで動かす事も可能です」

真田P「………!」


191: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/22(水) 00:05:57.41 ID:is8E32asO

北芝「……まぁ、そう考えれば確かにこの証人も犯行が可能ね」

小林「はい、そうすれば犯行も一人だけで済みます」

真田P「しっしかし…私……私は……!」

ダンッ

小林「弁護側は!真田氏を事件の真犯人として告訴します!」

小林「そして!検察側の証拠品不十分を指摘し、弁護側はこの裁判はこれ以上審議の続行不可能として」

小林「検察側に再捜査と再審議を要求します!!」



192: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/22(水) 00:06:38.19 ID:is8E32asO



ザワザワ…ザワ…ザワザワ……


カンッ


裁判長「…これは……正直驚きの連続です」

裁判長「進めば進むほど、形の変わっていく裁判……正直私には、終わりが見えません」

北芝「………そうね」

北芝「まさか、弁護人がここまで醜く足掻くとも思わなかったわ」

小林「……………」

裁判長「…ですが、確かにこのまま審議を進めても平行線から超えない事でしょう」

裁判長「ここで、一旦審議を打ち切るという提案を裁判側は受け入れようと思います」

裁判長「検察側も、それでよろしいですね?」

北芝「………ふん」

北芝「せいぜい足掻くと良いわ。この負け戦に」

小林「……(なっ…なんとか……助かったのか…?)」

小林(首の皮一枚繋がった…ような感覚だ……)

真田P「……………うぅ…」

小林(…真田さんには悪い事をしたけど、容疑があるのは間違いないんだよな……)

小林(しかし…僕たちは本当に真実に近づいてるのか?)

小林(審議を進めても、裁判前から感じているこの違和感……結局最後まで拭えなかった…)

カンッ

裁判長「それでは、今日はこれにて閉廷――――」



「待った!!!!」


小林「!」

北芝「!」

裁判長「!」




鬼瓦割「……おい、まさかこのままハイ終わりで納得するとか思ってねぇだろうな?」


193: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/22(水) 00:07:09.92 ID:is8E32asO

裁判長「え?いやあの…そう言われましても、この事件は再捜査が…」

洲水「…さすがに私たちのプロデューサーを告訴されて黙ってられるほど、薄情じゃないんだよ」

栗野原「………ブツブツブツブツブツ…」グサッグサッグサッグサッグサッグサ

真田P「…あの、みっ…みなさん?まだ明日がありますから…」

藍川「そっそうだよ!まだプロデューサーが犯人だって決まったわけじゃ……」

洲水「シャラップ藍川」

鬼瓦割「俺らのプロデューサーを疑うケジメ……あんだろうなぁ?おい探偵さんよ」

小林「………え?」

鬼瓦割「いやぁ、ちょっと気になるんだわ。俺らの大事な大事なプロデューサーを疑う事のケジメが、どれくらいなのか」

鬼瓦割「………覚悟、してんだろ?」

小林「……っ!」ゾッ



194: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/22(水) 00:08:04.70 ID:is8E32asO


鬼瓦割「だったら…見せてみろよ……」ズイ

鬼瓦割「てめぇの覚悟をなぁああああ!!」ゴォオオオオオオッ

小林「っ!」スッ

鬼瓦割「てぇえやぁああ!!」ブンッ

小林「わっ!」スッ

鬼瓦割「避けんじゃねぇええええ!!!」ブォンッ


小林「………ぐぅっ!」ビュオンッ



△シャーロック

○ネロ

□コーデリア

×エルキュール

Rエラリー姫百合



195: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/22(水) 00:08:36.74 ID:is8E32asO


→×エルキュール



小林「エルキュール!!」

エルキュール「はっはいい!!」ティロン♪  バッ

バシィッ

鬼瓦割「ぐっ!」メキメキメキメキメキ

エルキュール「こっ…小林さんには…手を触れ…!」

鬼瓦割「たぁあ!」バキィッ

エルキュール「キュゥッ!」バタン

小林「エルキュール!」

藍川「ちょっちょーっと待った!暴力はダメだよ暴力はぁー!」ティロン♪

キラキラキラキラ  サラサラサラサラ

小林「!エフェクトが……法廷全域に!」

裁判長「こっこれでは何も見えませぬぞ!」

小林「…………っ!!」



△シャーロック

○ネロ

□コーデリア

×エルキュール

Rエラリー姫百合



196: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/22(水) 00:09:24.29 ID:is8E32asO


→□コーデリア


小林「コーデリア!」

コーデリア「はい!………」

コーデリア「……!あそこです!」

小林「!?あそこって…?」

コーデリア「バットを振り回して!ああ!ブレーカーに当たってしまいます!」

小林「!!」





△シャーロック

○ネロ

□コーデリア

×エルキュール

Rエラリー姫百合



198: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/22(水) 00:11:35.00 ID:is8E32asO

→○ネロ


小林「ネロォ!!」

ネロ「よし来た!」ティロン♪

鬼瓦割「っらぁ!」バキィッ


――ブツン――


小林「!ブレーカーが落ちた!」

ネロ「大丈夫だよ小林!自家発電とつなげたからすぐに点灯するさ!」

小林「…点いた。良しっ!」

小林「!」ガシッ

洲水「動かないで」ギリギリギリ

小林「うっ…ぐっ…!」

洲水「悪いけど、私これでも怒ってるんだよ。プロデューサーをサイコパス呼ばわりされて」

小林「………っ!」

小林(洲水さんの頭の上には……旗が…)



△シャーロック

○ネロ

□コーデリア

×エルキュール

Rエラリー姫百合


199: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/22(水) 00:12:07.75 ID:is8E32asO


→△シャーロック


小林「シャーロック!」

シャロ「はい!」ティロン♪

洲水「うわっぷ!なっ何これ!?旗が生きてるように…」

小林「よし!これで離れ………」

鬼瓦割「……私のトイズは……私の手に持った物で攻撃すれば全員眠らせる事のできるトイズだ。前後の記憶もあやふやになるだろう」

鬼瓦割「私の手に持っているのはスプリンクラー。周りは藍川のエフェクトで何も見えない。…何が言いたいか分かるな?名探偵」

小林(…まさか…この娘…!全員眠らせて、この裁判を無かった事にでもするつもりか!?)

小林「そんなことは……!!」



△シャーロック

○ネロ

□コーデリア

×エルキュール

Rエラリー姫百合



200: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/22(水) 00:12:34.45 ID:is8E32asO

→Rエラリー姫百合


小林「させない!姫百合くん!」

姫百合「はい!!」ティロン♪


パッ


鬼瓦割「!」


ナッ…ナンダナンダ?キュウニマワリガセンメイニナッタゾ?

サッキノタイリョウノキラキラハドコニイッタ?


鬼瓦割「………チッ!」


裁判長「かっ確保!係官!彼女を確保してください!!」


係官「はっ!!」

鬼瓦割「……クソッ…クソッ!!」ガンッ


ザァァァァァァァァ……


真田P「……鬼瓦割さん…」   パラパラパラパラ

洲水「……………」ガクッ     パラパラパラパラ

藍川「……まぁ、確かに気に入らないのも分かるけどさ…」    パラパラパラパラ

栗野原「…………うぅ…プロデューサー…」グスッ       パラパラパラパラ

アーグニャ「………грустно.」      パラパラパラパラ




201: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/22(水) 00:13:02.99 ID:is8E32asO


小林(それから後の事は、大変だった)

小林(裁判の審議の引き延ばしというよりは、暴動により審議不可能と言った方が正しいような。そんな中断をして)

小林(シャーロックと真田さんはサイコパス容疑者として、二人とも警察に連行された)

小林(事件の裁判は、また明日に開廷される)

ネロ「ねぇ小林!エリーが白目向いて一向に動かないんだけど!」

コーデリア「医務室!医務室に連れていきましょう!」

小林(……僕は)

小林(明日の裁判で、この事件を解決にまで導くことができるのだろうか?)

小林(……そして)

小林(どうしてシャーロックは、僕たちに本当の事を告げなかったのか)

小林(この裁判が始まる前から感じるこの違和感は…一体何なのか)

小林(だが、どちらにせよ明日の裁判で全てが終わる)

小林(例え、どんな終わり方になろうとも……)



【続く】





202: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/22(水) 00:13:28.76 ID:is8E32asO
今回はこれでおしまいです。
次は探偵編二日目です。しばらくお待ちください

203: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2016/06/22(水) 00:16:16.94 ID:is8E32asO
これまでの証拠品


証拠ファイル①真田Pの名刺

【名前と連絡先と会社名が書かれている。何故か名前欄が小さい】




証拠ファイル②レッスンの先生の名刺

【名前と連絡先とスリーサイズと電話番号が書かれている。キスマークが大きく覆われている】





証拠ファイル③凶器?の壷

【中に被害者の血が溜まっていて、底に小さな穴が開けられていた】





証拠ファイル④割れたグラスとジュース

【篠田さんが飲んでいたと思われるジュース。中に睡眠薬が入っていた可能性が有り】






証拠ファイル⑤御子柴さんの写真

【写真には二人の人物が写っている。被害者と被害者の母親。母親の顔が赤い×印で潰されている】



証拠ファイル⑥壊れたカセットテープ

【被害者の部屋に落ちていたカセットテープ。真っ二つになっている】





証拠ファイル⑦御子柴華子の解剖記録

【死亡推定時刻は12月20日午前2時前後。頭部を重量車のタイヤのような物で轢き潰されている以外に外傷は無い】




証拠ファイル⑧凶器のトラック

【事務所近くの空き地の上に放置されていた。血液は付着していたが、エンジンが動いた跡も指紋も無く、誰かが乗った痕跡が無い】




証拠ファイル⑨篠田杏子のトイズ

【”スローモー”視界に映った物の動きを遅く感じさせるトイズ】



証拠ファイル⑩睡眠薬

【被害者が常用していた。ジュースに溶かして飲んでいる】


証拠ファイル⑪空き地と事務所の間の木

【空き地からも事務所からも、この木が邪魔して見る事が出来ない】


証拠ファイル⑫等身大アイドルポスター

【クリスマスライブに出演するアイドル全員分の等身大ポスター。物販で販売する予定だった】



シリーズ一覧
小林オペラ「この裁判…逆転してみせる!」
小林オペラ「この裁判…逆転して救ってみせる!」
小林オペラ「この裁判…逆転できるのか?」
小林オペラ「この裁判の逆転の逆転の逆転」【その1】
小林オペラ「この裁判の逆転の逆転の逆転」【その2】
小林オペラ「これが最後の逆転だ!」