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1: ◆eUwxvhsdPM 2013/12/07(土) 21:20:52.52 ID:17tMOklq0
※初めに

・このSSは「静・ジョースターの奇妙な日常」の続き・第九話です。
一応ジョジョのSSですが、大半がオリジナルとなっています。

・小説や読み切り等、もはやジョジョではない所からもネタを使っています。ご注意を。

・今回のお話、だいぶ短いと思います。

・長くなりましたが、書かせていただいます。

一話
静・ジョースターの奇妙な日常
http://ss-station.2chblog.jp/archives/41483219.html

二話
仗助「静のやばい物を拾ったっス」
http://ss-station.2chblog.jp/archives/41483219.html

三話
静「ジャンケン教師がやって来た」
http://ss-station.2chblog.jp/archives/41483232.html

四話
静「引きこもりのうちへ遊びに行こう」
http://ss-station.2chblog.jp/archives/41483261.html

五話
静「泥棒をしよう」
http://ss-station.2chblog.jp/archives/41483280.html

六話
静「ペーパー・バック・ライターは父親に憧れる」
http://ss-station.2chblog.jp/archives/41550842.html

七話
静「お見舞いへ行こう」
http://ss-station.2chblog.jp/archives/41550889.html

八話
静「日本料理を食べに行こう」
http://ss-station.2chblog.jp/archives/41550976.html

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1386418852


2: ◆eUwxvhsdPM 2013/12/07(土) 21:40:55.58 ID:17tMOklq0
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

承太郎「やれやれ……やっと追い詰めたぜ」

チェスタ「……」

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

メイ「ぐっ……うっ!ううっ!」

承太郎「有栖川メイ」

ドン

メイ「ちぇ……チェスタ、どうして……?」

チェスタ「……」

3: ◆eUwxvhsdPM 2013/12/07(土) 21:49:27.48 ID:17tMOklq0
メイ「どうしてッ!?私を『裏切った』のッ!!?」

チェスタ「『裏切り』……?違うな」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

チェスタ「俺は最初から……メイ、君を利用していただけにすぎない。俺の目的……『幸せになる』という、大いなる野望のためにな」

メイ「…………」

チェスタ「教えてやろう。『天国』へ必要なものは……メイ、君の死だ。君が一度『スタンド』を捨て去ることで……死ぬことで、君は俺となり、俺は君となる。それこそが、『天国の時』に必要なものなのだ」

4: ◆eUwxvhsdPM 2013/12/07(土) 21:59:07.52 ID:17tMOklq0
メイ「……何を……言っているの?チェスタ……」

承太郎「……」

チェスタ「……」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

メイ「私は……私の求める『天国』は、そんな所にない。私はッ……」

承太郎「……恨みは無い。しかし、第二の『DIO』となる存在を、捨て置く事は出来ないんでな……」

ザッ

メイ「待って!私は!私は――!!」

5: ◆eUwxvhsdPM 2013/12/07(土) 22:09:37.80 ID:17tMOklq0
メイ「私の求める『天国』は――私の目的はッ!!」

承太郎「『スター・プラチナ』」

ドンッ!!

メイ「あ……ああッ」

6: ◆eUwxvhsdPM 2013/12/07(土) 22:20:03.65 ID:17tMOklq0
スター・プラチナ『オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ』

メイ「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

…………

7: ◆eUwxvhsdPM 2013/12/07(土) 22:29:52.65 ID:17tMOklq0
…………

メイ「あああああああああああああああああああああ!!!」

ガバッ!!

チェスタ「……?」

ウォーケン「……」

メイ「……ハァッ!!ハアッ!ハァッ……」

8: ◆eUwxvhsdPM 2013/12/07(土) 22:30:22.00 ID:17tMOklq0
杜王町、とある住宅――

9: ◆eUwxvhsdPM 2013/12/07(土) 22:34:57.71 ID:17tMOklq0
メイ「ハアッ……ハアッ……ゆ……『夢』……?」

チェスタ「……どうかしたのか?メイ。酷くうなされていたようだが……」

スッ……

メイ「!!――私に近付かないでッ!!」

バシッ!

チェスタ「!……」

メイ「……ハァ、ハァ……」

チェスタ「……すまない」

10: ◆eUwxvhsdPM 2013/12/07(土) 22:39:35.90 ID:17tMOklq0
ウォーケン「悪夢でも見てしまったのかい?」

メイ「……」

ウォーケン「僕もよく見る。精神が不安定な時……最も気にしている悪い出来事を、人は夢に見てしまうものさ。僕の悪夢はもっぱら、この平穏な日常が崩れてしまうというものだったが……」

メイ「……」

ウォーケン「近頃は見なくなったな。たぶん、もうすでに『平穏』なんて、崩れてしまったからだろうね」

メイ「……貴方の話はつまらないわ」

ウォーケン「これは失礼。学が無いものでね……吸血鬼が喜ぶ話なんざ、僕の口からは引っくり返っても出そうにないよ」

11: ◆eUwxvhsdPM 2013/12/07(土) 22:44:26.61 ID:17tMOklq0
メイ「チェスタ……貴方は」

チェスタ「何だろうか?」

メイ「……私の味方よね?」

チェスタ「?……何を今更」

メイ「……」

チェスタ「……メイ?」

メイ「二人きりで……『天国の時』を待つのよね?」

チェスタ「……ああ」

メイ「その言葉に偽りは?」

チェスタ「無い。俺は神を愛するように、君の事を愛している」

メイ「……」

チェスタ「……非道い夢を見たようだな」

メイ「……殺される夢ばかり見るわ。これも全部……彼らのせいね」チラリ

12: ◆eUwxvhsdPM 2013/12/07(土) 22:50:05.71 ID:17tMOklq0
チェスタ「……まさか、まだ追跡されているのか?」

メイ「3キロ先にいるわ。こちらに向かってきている」

チェスタ「居場所を変えたばかりだぞ」

メイ「こちらのいる所がわかるような、そんな能力を持っているようね。例えば、双葉双馬の『ペーパー・バック・ライター』のような……ね」

チェスタ「……日の入りまであと1時間はある」

メイ「コートでも日傘でも何でもいいわ。探して頂戴。ウォーケン、貴方は後始末を」

ウォーケン「死体ならもう消している」

メイ「私の髪の毛一本すら、残さないように消して頂戴。何を手がかりにして追跡しているか、解ったものじゃあないから」

ウォーケン「わかった。……君のご命令とあらば」

13: ◆eUwxvhsdPM 2013/12/07(土) 22:55:17.55 ID:17tMOklq0
メイ「ああ……今夜はどこで休もうかしら」

チェスタ「……」

メイ「私はいつまで……惨めに逃げ惑いながら過ごせばいいの?このままだと、私……『天国』へと到達する前に、おかしくなってしまうわ」

ウォーケン「メイ、僕の家などどうだろう?」

メイ「却下よ。貴方にはまだ仕事がある。まだ貴方は死ぬべきじゃあないわ」

ウォーケン「……そうか。それは残念だ。君のためなら命など惜しくないのだけど」

メイ「掃除が済んだのなら、貴方は去りなさい。貴方には貴方の生活があるはずよ」

ウォーケン「そうだな。早い所『魂』を集めないと……バレないように、少しづつ確実に」

スタスタ……

14: ◆eUwxvhsdPM 2013/12/07(土) 22:57:50.31 ID:17tMOklq0
メイ「行きましょう、チェスタ。次の隠れ場所を探さないと」

チェスタ「……」

メイ「……チェスタ?」

チェスタ「メイ……俺の戯言に付き合ってくれるか?」

メイ「……なあに?」

チェスタ「俺は今から不確かな事を言う。君にこんな話はしたくないんだが、仕方ない」

メイ「……」

チェスタ「……学生が話すようなただの噂話で、全くの嘘っぱちかもしれない事なのだが……」

メイ「?……」

チェスタ「……とっておきの、場所があるんだ」

…………

15: ◆eUwxvhsdPM 2013/12/07(土) 23:00:25.63 ID:17tMOklq0
…………

シーラE「『ヴードゥー・チャイルド』」

ビシッ!

モゾモゾ……

『とっておきの、場所があるんだ……あるんだ……あるんだ……』

シーラE「……」

16: ◆eUwxvhsdPM 2013/12/07(土) 23:02:59.91 ID:17tMOklq0
ガチャ

フーゴ「家には誰もいない。誰かが住んでいたという形跡もないな」

シーラE「けど、数時間前までここに吸血鬼がいたことは確かね。『後片付け』が得意な部下でもいるんじゃあないの?」

フーゴ「ああ。……民家だというのに、形跡が『無さすぎる』……奇妙なくらいに綺麗だ。ホコリ一つ残っていない」

シーラE「けど、ニオイは隠せていないわ。腐臭がする。東の方へ向かったみたいね。……太陽から逃げるように」

フーゴ「……『ヴードゥー・チャイルド』で、何か情報は?」

シーラE「何も。……向こうも私達に気付いてる。極力情報を漏らさないようにしているわ。……本当、面倒な奴らね」

17: ◆eUwxvhsdPM 2013/12/07(土) 23:05:08.87 ID:17tMOklq0
シーラE「ただ……一つだけ」

フーゴ「何?」

シーラE「『とっておきの場所がある』……吸血鬼の仲間がそう言ったみたい」

フーゴ「とっておき?」

シーラE「場所については何も言ってない。その後すぐに逃げたみたいだわ。けれど、この言葉が『ヴードゥー・チャイルド』で浮き彫りになったって事は……」

フーゴ「……『聞かせたくない言葉』……って事か」

18: ◆eUwxvhsdPM 2013/12/07(土) 23:08:03.57 ID:17tMOklq0
シーラE「全く、こんな任務になるんだったら、ムーロロの奴でも連れてくるべきだったわ」

フーゴ「意外だね。『見張り塔』の占いを信じているのかい?」

シーラE「私達が苦労してる中、アイツがのーのーとイタリアで茶をすすってるのが気に食わないだけよ」

フーゴ「それは同感」

シーラE「……急がないといけないわね」

フーゴ「……」

シーラE「『とっておきの場所』へ、逃げられる前に捕まえるわよ」

フーゴ「……ああ」

…………

60: ◆eUwxvhsdPM 2013/12/18(水) 10:59:00.38 ID:12g2kuuF0
…………

キィ~ン コォ~ン カァ~ン コォ~~ンッ……

静「……」

スッ……

静「手首の角度は直角90°を保つ。各指は曲げずに真っ直ぐを保つ」

クイックイッ

静「ふぅぅぅ~~~~ぅぅぅ~~~~」

グルングルン

静「ふぅ~~~~」

グルンッ

静「手のひらを前へ……ひじも真っ直ぐ手首の角度は直角を保ったまま……一本ずつ折る。1.2.3.4.5……再び一本ずつ指を開く。2.3.4.5」

プルプルプル

静「……以上。授業終わりの『ストレッチ』……終わり」

ブラブラブラブラ

61: ◆eUwxvhsdPM 2013/12/18(水) 11:09:23.93 ID:12g2kuuF0
ガヤガヤガヤ

虻村「おうっ、静ァ~~帰んのかよッ?」

静「あったりまえでしょォ~~。学校にいてもする事ないしッ」

委員長「僕達、帰りに億泰さんの所に寄ろうと思ってるんだけど……静さんもどうだい?」

静「パ~~スッ。今日兄さん早く帰ってくるらしいから、美味しいご飯でも食べに連れてってもらうのよッ」

広瀬川「へえ~~。兄妹仲がいいんだね」

静「普通よ普通。いたって普通ウーッ。ていうかアンタ達、舌切られたばっかだってェーのに、よくまたあの店に行こうと思うわね」

委員長「まあ、君のせいでちょっとばかり奇妙な現象には、慣れっこになってしまったからね……」

虻村「それによォ~~あの店の料理が死ぬほど美味いっつーことは、紛れも無い事実だからなァ~~ッ!」ヨダレズビッ!

静「夜は普通に高いらしいわよ、あの店。虻村カネあんの?」

62: ◆eUwxvhsdPM 2013/12/18(水) 11:19:06.32 ID:12g2kuuF0
広瀬川「あ、そういえば静さん。『奇妙』といえば……」

静「なあに?」

広瀬川「最近学生の間で噂になってる、『幽霊屋敷』って知ってる?」

静「『幽霊屋敷』ィ?海の底の色を知らねーように、そんな話は知らないわ」

広瀬川「ううん、静さんなら何か知ってるかも、って思ったんだけど……」

委員長「何だい、『幽霊屋敷』って?」

虻村「まーた康司の『オカルト好き』が始まったぜェ~~。『杜王町七不思議』はもういいのかよッ?」

広瀬川「これはその『七不思議』に新たに加わるかもしれないって言われてるくらい奇妙な話なんだけどさ……ほら、『七不思議』の『人体模型の呪い』って、本当は人が引き起こした快楽殺傷事件だったっていう話でしょ?」

委員長「その話も噂話じゃあないか。犯人が捕まったっていうさ。……まあ、『人体模型の呪い』の噂を、聞かなくなったのは事実だけどね」

63: ◆eUwxvhsdPM 2013/12/18(水) 11:30:14.38 ID:12g2kuuF0
広瀬川「実はね……ここではない何処か、この世とあの世の境界線に……『存在しないはずの屋敷』があるんだってさ」

静「『存在しない』?」

広瀬川「建っているはずのない場所に建っていて、もう一度そこに行こうとしても簡単には入ることが出来ないんだって。……それでね、その屋敷の中は、見るも無残に荒れ果てていて……」

委員長「……」

広瀬川「壊れた食器や窓ガラスに混じって……人のバラバラになった死体が転がっているんだって。それをやったのは、血に飢えた凶暴な幽霊なんだ……っていう話……」

静「……」

虻村「……ゴクリ」

64: ◆eUwxvhsdPM 2013/12/18(水) 11:39:35.83 ID:12g2kuuF0
静「うーん……20点かな」

広瀬川「えッ?」

静「怖い話としてはオソマツよ。その幽霊の生前のこととかをもうちょい練ったほうがいいんじゃあないのォ?あと、日本の怖い話なら、スプラッターよりも忍び寄る怖さっていうのが欲しいわね。……直接的な死の描写じゃあなくって、背後に立つだけとか追いかけてくるだけとか……そういう風な感じのほうが怖さ倍増じゃあない?」

委員長「……冷製なダメ出しだね」

広瀬川「い、いやっ!これはボクが考えた話なんかじゃあなくって!最近噂になっている話なんだよッ!」

静「それに、幽霊って別にあたしにとっては、『奇妙』でも『怖く』もなんともないわよ」

虻村「強がってんじゃあねーよッテメェ~~」

静「強がりっていうかさ……ほら、あたしって……『能力』を持っているでしょう?」

65: ◆eUwxvhsdPM 2013/12/18(水) 11:49:41.16 ID:12g2kuuF0
広瀬川「ええっと、たしか『守護霊』だっけ?」

委員長「『スタンド』って呼んでたっけ、君はたしか」

静「そう。『スタンド』……生命力が形となって見えるようになったもの。その生命力がさ、何か強い心残りとか未練とかで、死んでもこの世にしがみついたとしたら……それって『幽霊』って言えるんじゃあないの?」

虻村「フーン……よくわかんねェぜ」

静「だからさ、『幽霊が出る屋敷』だったら、普通に存在する可能性があるっていう話ッ。『存在しないはずの屋敷』っていうのはスゴイ興味があるけど、ただの『幽霊屋敷』に言うほど興味は無いわねーッ。死んだ魂があたしと一緒に、冒険してくれる事なんて無いでしょう?」

広瀬川「それは……そうだろうけど……」

静「どーせなら『屋敷』のほうが『幽霊』だったら面白いんだけどねーッ!アハハハハハハハハハ!」

…………

66: ◆eUwxvhsdPM 2013/12/18(水) 11:58:49.24 ID:12g2kuuF0
…………

仗助「静、これから『屋敷幽霊』に行くけどよォ~~……ついて来るか?」

バン

静「……」ポカーン

康一「静ちゃん、お帰り。お邪魔しているよ~、学校生活にはもう慣れた?」シタッ!

静「ええ、はあ、まあ……じゃあねーだろッコラッ!帰宅直後に全く意味わかんない事言うなよなァァ~~ッ!!」

67: ◆eUwxvhsdPM 2013/12/18(水) 12:10:02.83 ID:12g2kuuF0
静「康一さんがいるって事は置いておくわ。……どうもこんにちは。狭くてキタネー家ですけどゆっくりして下さい」ペコリ

康一「いやあ、成長したねェ~静ちゃん。ちょっと前までこーんな小さい赤ちゃんだったのに」

仗助「狭くて汚いって……おれがガンバッて建てた新築の家を、何だと思ってるんだよッコラッ」

静「兄さんだって、何だと思ってるのよッ」

仗助「は、はあ?」

静「一戸建ての家に住んでるくせに……『幽霊屋敷』ィ?そんなのに興味あるっての?意外とガキね……この家引っ越してそこに住むつもり?」

仗助「住む訳ねェだろうがよ~~ッ。それに、おれの提案じゃあねえよ」

康一「静さん、実はぼくが言い出したことなんだ」

静「……康一さんが?」

68: ◆eUwxvhsdPM 2013/12/18(水) 12:14:44.56 ID:12g2kuuF0
康一「財団からの仕事だよ。S市内の方で『屋敷幽霊』が見つかったっていう情報があったからさ……それが事実なのかどうか、調査してほしいってね。ちょっと交通の便が不便な所だから、仗助くんの車に乗せてもらおうと思ったんだ」

仗助「『屋敷幽霊』なんてそうそう見れるもんじゃあねーだろう?来て損は無いと思うぜェ~~」

静「あたしオトナのレディーだからさァ~~、『幽霊屋敷』なんて心霊スポット、全く興味無いのよねーッ……」

仗助「静ァ、『幽霊屋敷』じゃあねーぜ」

静「……?」

仗助「……『屋敷幽霊』だ」

静「……もっかい言って?『屋敷……』何?」

69: ◆eUwxvhsdPM 2013/12/18(水) 12:19:29.72 ID:12g2kuuF0
康一「『屋敷幽霊』……そこには今から60数年前――ある『貴族』の屋敷が『建っていたんだ』。時代は太平洋戦争末期――S市は米軍の猛烈な空襲にみまわれ……その貴族の家はこっぱみじんに吹き飛んだそうだよ」

仗助「その時幸いそこで死人は出ていねえ。その屋敷の貴族も生き延びて貿易商として財を成している。これが当時の新聞だ……」カサッ

康一「だけど、その『貴族の屋敷』は今も存在しているんだ。『その家自体が霊魂となって、未だにその場所にある』……言ってることわかるかなあ?」

静「……その、つまり人じゃあなくって、『家が幽霊』ってこと?」

仗助「その種のもんを、今まで見たこととか聞いたことあるかよ?」

静「あるなら『屋敷が幽霊だったら面白いのに』とかいうくだらないジョーク言わないわよ。……ちょっと面白そうじゃあないの」

ザッ

70: ◆eUwxvhsdPM 2013/12/18(水) 12:24:46.89 ID:12g2kuuF0
バタンッ

仗助「んじゃあ、さっそく行くぜ。静ァー、後部座席だからってゴロゴロすんなっ。キチンとシートベルト閉めやがれ」

静「康一さん、このCD入れて」ハイ

康一「これ?」

静「霧のメロトロンどお思う?霧のように降りてくるメロトロン――こわれかけ――燃える朝やけ――1分37秒のところ……好き?」

康一「?メロ?……」

仗助「康一、付き合うな。静の洋楽話に付き合ったら日が暮れるぜ」

ブロロンッ!

71: ◆eUwxvhsdPM 2013/12/18(水) 12:29:34.56 ID:12g2kuuF0
ブゥ――ン……

仗助「その『屋敷幽霊』の住所わかるか?」

康一「片平町。S市の駅から2キロくらいかな」

静「あのあたり何も無くない?半径500メートル以内に立ち入った事ないわ」

仗助「飲み屋があったなあ、たしか。……大学の先生と行ったことあるぜ」

静「うっわ、情報の繋がり方がオッサンね。兄さん見た目はまだ若いんだから、もうちょっと『元気ハツラツゥ!』でいないといけないわよ。人間気が付くとすぐフケるんだから」

仗助「見た目だけじゃあなく全体的にまだまだ若いっつーのッ」

康一「仗助くん、カーナビがあるなら大まかな住所入れるけど?」

仗助「悪ィ康一、この車じいちゃんのおフルでよォ~~……んなハイテクなもん積んでねぇんだよ」

静「兄さんと一緒で古臭ェーわ」

仗助「今スグ降ろしてやってもいいんスよッ?コラァーッ」

ブゥーン……

…………

95: ◆eUwxvhsdPM 2013/12/27(金) 21:46:20.37 ID:iY+MoLtt0
…………

バタン

仗助「着いたぜェ~~。片平町だ……」

康一「うーん、ビルが立ち並んだ所だけど、本当にこんな所にあるのかなぁ……?財団の情報とはいえ不安だよォ~~」

静「くっ、くっ……」

チョン!

静「やったッ!!自分のヒジ舐めれたァァ~~~~っ♪」

康一「……」

静「アハハハハハハハ達成感~~」

康一「……」

96: ◆eUwxvhsdPM 2013/12/27(金) 21:50:48.66 ID:iY+MoLtt0
仗助「おっ、身体柔らかくなったじゃあねーか。ちょっと前まで前屈すらマトモに出来なかったのによーッ」

静「体育のテストで恥ずかしい目にあったからね。寝る前にシッかりストレッチして毎日ちょっとずつ訓練すればこんなモンよォ~~。今なら両肘舐めれるわよ。レロレロレロレロレロレロレロ」

仗助「なるほど……スゲーッうらやましいな。で、康一。ここから先の詳しい場所はわかんねーのか?」

康一「うん。路地裏とか……人目につかないような所に建ってると思うんだけど」

仗助「しょーがねーっスね……手分けして探すかァ。見つけたら携帯に連絡ってことで」

静「お腹空いたしね。さっさと見つけて調査しちゃいましょッ。兄さん、今日は晩御飯豪華なのにしてよね~~ッ」

仗助「康一……どっちが先に『屋敷幽霊』を見つけられるか勝負しようぜ。負けたら静のメシ代持つ……っていう……」

康一「仗助くん……もしかしてお金ないの?」

97: ◆eUwxvhsdPM 2013/12/27(金) 21:55:51.41 ID:iY+MoLtt0
静「♪~~♪♪~~」

スタスタ……

静「……うーん、とりあえずビルの隙間に入ってみたけど、そもそも『屋敷幽霊』なんて見たことないから、よくわかんないわね……スッゴク小さかったり見えなかったりしたらどうすればいいのかしら」

スタスタ……

静「……あっ、猫」

ニャーン

静「……あたし、猫って苦手ね。エラソーにガンたれてくるんだもの。アンデスの山中で遭難したら、食べちゃうわ、絶対」

タタッ!

静「?……ああ、こっちにも道があったのね。狭いけど、あたしなら通れ……」

スルスル……

ピタッ!

98: ◆eUwxvhsdPM 2013/12/27(金) 22:00:05.58 ID:iY+MoLtt0
静「い、いやッ!!通れないわッ!ムネがつっかえて通れないわッ!あたしってば、ほら!大人のレディーだから……全然通れないわね~~ッ。ああ~~残念ッ!康一さんなら通れたかなァァ~~?」

ボソボソ……ボソ

静「……?」

……ボソ……ボソボソ

静「……道の先から……声が?」

……ボソボソ……

静「……~~うーッ……つっかえて通れないのに……全く全然通れないのにィ……」

……スルスル……スルリッ

静「……クソッ、余裕で通れちゃったわ。……なんか負けた気分……」

99: ◆eUwxvhsdPM 2013/12/27(金) 22:05:07.04 ID:iY+MoLtt0
静「で、さっきの声は……?」

???「……クソッ!あの女坊主(あま)……住所が近いからおかしいと思ったんだ!」

静「……?」

???「『君のために素敵な家を見つけた。今度は本物だ』……だと?左腕だけじゃあ足りないみたいだなッ。今度は眉間に三発撃ちこんでやる。きっかり三発な……あの世を体験させてやるぞ、絶対にッ」

静「……あのォ~~……?」

???「!!」クルリッ!

100: ◆eUwxvhsdPM 2013/12/27(金) 22:10:26.43 ID:iY+MoLtt0
???「……おや、誰だい?いや……『何』だい?君は……?」

静「あ、ゴメンナサイ……こんな路地裏に入って来ちゃって。この付近に住んでる人ですか?」

???「いや、わたしは家を持っていないんだ……住民じゃあない。君のようにたまたま入り込んだだけだよ」

静「持ってない?(ホームレスか?この人……)」

???「……ふむ、しかし……君は……?」ジロジロ

静「?……何ですか?」

???「いや、何……君のような若い娘と話すのは久しぶりでね。こんな姿になる前の自分は、一歳でも若い女と話すのを
喜んでいた……ような気がするよ」

静「は、はあッ?」

???「おっと!誤解するなよ……別に小児性愛者という訳じゃあないぞ。ただ、腐った卵みたいな精神をした女坊主以外の女性と話すのが嬉しくてね……それとも君も坊主なのか?もしくは巫女?信心深いようには見えないが……」

静「……なんの話?」

???「失礼、別にどうでもいい事だったな……わたしが見えようと見えまいと」

静「?……」

101: ◆eUwxvhsdPM 2013/12/27(金) 22:15:11.56 ID:iY+MoLtt0
???「それで、君は……どうしてこんなひと気の無い路地裏に来たんだ?猫が触りたいならペットショップへ向かう事をお勧めするが」

静「別に、触りたいとは思わないわね。……実は、エト……貴方に言っても仕方ないかもしれないけど……探してるものがあって」

???「探してるもの?指輪か何かかい?」

静「いえ。……えっと、ちょっとオカルトじみて恥ずかしいんですけど……『屋敷幽霊』を探してるんです」

???「……何?」

102: ◆eUwxvhsdPM 2013/12/27(金) 22:19:43.38 ID:iY+MoLtt0
静「あっ、えーっと、説明は難しいんですけど。『幽霊屋敷』じゃあなく『屋敷幽霊』なんですよ。『屋敷』が『幽霊』。あたしも見たことは無いんだけど、この付近に建ってるらしくって……」

???「……どっちもお勧めはしないな」

静「……えっ?」

???「いや……『屋敷幽霊』が見たいなら、ここから数百メートル西だ。『屋敷幽霊』な『幽霊屋敷』が見たいなら、すぐそこ……」

静「……場所知ってるんですか!?ていうか、『すぐそこ』って……?」

???「今しがた『そこ』を見てきた所だよ。わたしも、何だ……オカルト話が好き、みたいなものでね」

103: ◆eUwxvhsdPM 2013/12/27(金) 22:24:59.72 ID:iY+MoLtt0
静「『屋敷幽霊』な……『幽霊屋敷』?」

???「まあ、どちらもそう変わらないだろう。向こうの『屋敷幽霊』にいた『掃除屋』も、幽霊みたいなものだったし……いや、幽霊なんかじゃあないな。あれは」

静「……どういう事です?っていうか、アンタこそ……何者だっての?」

???「別に、ただ……わたしだけの『結界』がある部屋を探していてね。少し前までは仕事を生きがいにしていたが、最近は部屋さがしも生きがいになっている。眺めのいい部屋を探しているんだ……」

静(仕事があるのに……住む所ないのォ?)

???「それで、今まで色々な所を見てきたんだが……ここも外れだな。前見た所よりかは幾分平和だが、スピーカーの音響でワーグナーの音楽に陶酔できないのはいただけない。こんな部屋じゃあカメだって落ち着けないだろうな。クソッ」

静「そんなにうるさい所なの?別に工事中とか線路の近くだとかじゃあないみたいですけど」

???「行儀よくしていれば大丈夫かもな……自信が無いなら近づくことはお勧めしないぞ。まあ、もっとも……新しくくっつく『左腕』のアテがあるなら、構わないが」

チラリ……

静(?……この人、なんだか……『左手』だけやけに細くて綺麗ね……?)

104: ◆eUwxvhsdPM 2013/12/27(金) 22:30:19.05 ID:iY+MoLtt0
静「と、とにかく……この奥にあるんですね?『屋敷幽霊』」

???「『幽霊屋敷』……いや、どっちでもいいな。それは君が見て決めることだ」

静「えっと……その、危険とか……無いですよね?」

???「さあな。それも君しだいだろう……一つだけ言うとするならば、わたしはこんな家に住むのは御免だ」

静「ま、まあ幽霊の屋敷だものね」

???「それはむしろ嬉しい所なのだが……わたしは、リラックスしてのんびり出来るはずの自分の家で、他人の目を気にして過ごしたくないのでね」

105: ◆eUwxvhsdPM 2013/12/27(金) 22:34:48.51 ID:iY+MoLtt0
静「……屋敷に幽霊でも住み着いてるの?」

???「いや、『結界』は無かった。住み着いてるというより、むしろあいつも『掃除屋』……と、いうのも違う気がするな……まあいいか」

静「……結局の所、よくわかんないわね」

???「大事なのは、わたしは今日も夜を過ごす部屋が無いということだ……はあ……」

静「……」

???「……今夜はどこで休むとするか……」

106: ◆eUwxvhsdPM 2013/12/27(金) 22:39:45.42 ID:iY+MoLtt0
スタスタスタ……

康一「……静ちゃん?声が聞こえたと思ったら、そこで何をしているの?」ヒョコッ

静「康一さん!」クルッ

康一「狭い所だなあ……よくこんな所に入れたね?ぼくでも結構通るのつらいのに……」

静「丁度よかった!康一さん、この人『屋敷幽霊』に詳しいみたいで――」

パッ!

107: ◆eUwxvhsdPM 2013/12/27(金) 22:42:19.73 ID:iY+MoLtt0
シーン……

康一「……?誰も居ないけど?」

静「……あれっ?」

キョロキョロ

108: ◆eUwxvhsdPM 2013/12/27(金) 22:45:22.04 ID:iY+MoLtt0
静「お、おかしいわね……ついさっきまでそこにいたのに……」

康一「本当の幽霊にでも出会ったんじゃあないかな?それとも……疲れて寝ぼけてたとか?」

静「ちょ、ちょっと!寝ぼけてなんかいないってのッ!ホントーにそこでお話してたのよッ!マジに『屋敷幽霊』に詳しい人で……ちょっぴり変態っぽかったけど」

康一「だ、大丈夫なの?そんな人と話して」

静「大丈夫。あたし強いもん」

康一「ぼ、ぼくは心配だよォ~~……寝ぼけてたほうが何倍もマシだよ」

静「だから本当だって!その人が言うにはこっちに……」

スタスタ…

109: ◆eUwxvhsdPM 2013/12/27(金) 22:47:57.39 ID:iY+MoLtt0
バッ!

静「……」

康一「……」

静「……何も、無い……」ガックリ

康一「……」

110: ◆eUwxvhsdPM 2013/12/27(金) 22:49:54.95 ID:iY+MoLtt0
静「クッソォ~~……やっぱりただの変態だったのね。おかしいと思ったもん、出会ってすぐの赤の他人が『屋敷幽霊』なんて知ってるわけないわよね……」

康一「……」

静「康一さん、ちょっと外の道路に出ましょう。ここジメジメして薄暗くって息がつまるわ……ゴホ」

康一「……」

静「……康一さん?」

康一「静ちゃん、あれ……」

111: ◆eUwxvhsdPM 2013/12/27(金) 22:52:26.64 ID:iY+MoLtt0
静「……?」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

康一「ビルとビルの隙間に……紙のようにペッタリ張り付いて……!」

静「……!」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

康一「これは……」

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

静「あったわ……すごい」

康一「本当に……こんな場所があるなんて……」

149: ◆eUwxvhsdPM 2014/01/10(金) 21:29:47.36 ID:0ZKc40pi0
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

静「し、しかし……こんな薄っぺらいとは思わなかったわ。屋敷幽霊が……」

スッ……

静「こんなのに、どうやって入れば……」

ドギュン

静「!!」

クルッ

静「えっ……なっ!?」

バァァァアァ

静「グ……グレート。中に入ると……立体的になるなんて」

150: ◆eUwxvhsdPM 2014/01/10(金) 21:40:40.58 ID:0ZKc40pi0
静「へえ……」

コンコン

静「こんな小さなゲタ一つも『幽霊』で『できて』いるの?この下駄箱も?スゴイわ……マジで意味わかんない」

康一「と、とにかく仗助くんに連絡しないと……」ゴソゴソ

静「あれは何かしら?」スタスタ

康一「ちょ、ちょっと静ちゃん!」

静「何?」

康一「仗助くんが来るまで中に入るのは待とう。どんな危険があるかわからないし……」

静「心配しすぎだってのーッ。ちょっぴり探索するだけよ、少ォしだけ……ね」

康一「も、もう~~」

151: ◆eUwxvhsdPM 2014/01/10(金) 21:49:59.50 ID:0ZKc40pi0
ガラガラッ

静「この靴磨き油も『幽霊』?」

ネトォ

静「……」

ゴシゴシ、キュッキュ

静「……みたいね。靴がちっとも綺麗にならない」

シボッ

静「このマッチの火も『幽霊』?他のものには燃えうつらないけど……どうしてマッチは燃えるのかしら。マッチも『幽霊』なら燃えそうにないもんだけど」

康一「静ちゃん……ダメだってェ~~あまり好き勝手行動するのは……」

静「自由に見れないと、ここに来た意味ないんだっての。特に兄さんだったら、事件現場を守る警察官みたいに絶対触らせてくれないんだもの。今のうちに見て回るわよ~~ッ。この部屋は何かしら?」

ガチャッ

152: ◆eUwxvhsdPM 2014/01/10(金) 21:59:15.49 ID:0ZKc40pi0
ヒョコッ

静「うわっ、何?この部屋……」

康一「えっ?」

静「入らないほうがいいわよ康一さん……見て、メチャ不安定な『ガラス製のオブジェ』がいくつも並んでる」

オォォォォ……

康一「ホントだ……こんな事言うのも何だけど、少し趣味が悪いかなあ」

静「この屋敷の主人の好みなのかしら?センスバリバリの静ちゃんとは仲良くなれそうにないわね……ドアを閉める衝撃だけで倒れそうだわ」スッ

パタン……

静「……幽霊を『壊したら』どうなるのか?っていう好奇心もあるけどォ~~……ま、いいわ。他の部屋も見て回りましょう」

…………

153: ◆eUwxvhsdPM 2014/01/10(金) 22:04:08.86 ID:0ZKc40pi0
…………

コトン

康一「裕福そうな男性の写真だ……この屋敷の元……持ち主かな?」

静「夢野久作に小栗虫太郎……いい趣味してるわ。『ドグラ・マグラ』じゃあなくって『瓶詰地獄』っていうのが通ね」

康一「そうかなあ?ぼくはそう思わないけど」

静「洋楽のレコードとか無いかしら?レッド・ツェッペリンの初版レコードとかァ~~」

ガシャガシャ

康一「時代的に無いだろうね、たぶん」

154: ◆eUwxvhsdPM 2014/01/10(金) 22:09:40.73 ID:0ZKc40pi0
静「シューベルトの『白鳥の歌』とかモーツァルトのピアノ協奏曲27番とかはあるのに……SP盤。あたしの欲しいもんは無いのかなァ~~。食器やナイフなんてもらっても仕方ないしィィ~~」

ガシャガシャガシャ

康一「静ちゃん、もしかして……『泥棒』する気?」

静「人聞きの悪いこと言わないでよ。幽霊の道具がこの屋敷から離れたらどうなるのか?っていう好奇心……それだけだっての。どーせ屋敷の元主人は死んでるんだし、もらって帰らない手はないわ」

ガシャガシャガシャ

155: ◆eUwxvhsdPM 2014/01/10(金) 22:15:43.70 ID:0ZKc40pi0
康一「確かにこの屋敷に昔住んでた人はもういないよ。けどさ……今、『幽霊』となったこの屋敷に『誰か』が住んでるかも……とか」

静「……」

ピタリ

康一「……ちょっぴり、気にならない?」

静「いや……住み着いてるのは『いない』って、さっきの変なオッサンが言ってたわ。それに、ただの幽霊だったら怖がる事もないし」

康一「あ、そう……」

静「……けど、あのオッサン……『むしろあいつも掃除屋』……とか、言ってたわね」

康一「?……『掃除屋』?」

静「あたしもよくわかんないけど……この屋敷、『何か』があるのは確かだと思いますよォー」

康一「えっ!?じゃ、じゃあのんびり中に入って探索しちゃあダメじゃあないかっ!静ちゃんは早く外に出て!あとはぼくが調べるよッ!」

静「もーっ、ホンット兄さんと同じで心配性なんだからッ!赤ん坊のころからあたしを知ってるからって、そういう態度やめろってのーッ!あたしもう赤ん坊じゃあないのよ?」

ガチャガチャ

康一「そ、そうだけど……やっぱり心配なんだよ。静ちゃんに何かあったら、って思うと……」

156: ◆eUwxvhsdPM 2014/01/10(金) 22:19:51.04 ID:0ZKc40pi0
静「わかったわよ……わかった。すぐにここから出るわよ」

康一「本当?」パアア

静「その代わり、幽霊の道具を盗る事については目ェつむってくださいねェ?この幽霊のマッチは面白いわ……後で火つけて兄さんのポケットに入れてみよう」

ゴソゴソ

康一「わ、わかったよ……はあ」

静「そうだ、戸棚の奥とかに何か隠してるかもしんないわねッ!ヘソクリとかァ~~秘密の日記とかッ!幽霊のお金とか持ってても仕方ないけど、金運アップのお守りにはなりそうだわ」ガラガラッ

ゴロッ……

静「!!」

157: ◆eUwxvhsdPM 2014/01/10(金) 22:24:42.65 ID:0ZKc40pi0
静「な!?……!?……!!」

ガシャアア――ンッッ!!

康一「うわーっ、やった?」

スカッ!

ボトンッ

静「つ……『ツボ』?」

康一「ツボが……戸棚に入っていたんだね」

静「な……こんな不安定なモンを何で戸棚にしまうのよ?割っちゃったわ……幽霊の品物も壊れるのね」

158: ◆eUwxvhsdPM 2014/01/10(金) 22:29:24.25 ID:0ZKc40pi0
康一「粉々になっちゃったね……仗助くんなら直せるのかな?」

静「誰も住んでない屋敷幽霊の『後片付け』なんて不毛だわ……割っちゃったのはちょいと罪悪感あるけど、軽く掃除するだけでいいでしょ、こんなの……」

ザッザッ

康一「だからって、足で集めるなんて……」

静「ほうきとチリトリがあれば使うんですけどねーッ……こんなの適当に集めるだけで…………?」

159: ◆eUwxvhsdPM 2014/01/10(金) 22:34:39.13 ID:0ZKc40pi0
カチャリ……

静「…………あ?」

カチャ……

静「ん??……?ツボの破片に混じって何か落ちてる……???なんだ?今物色してる時には気づかなかった。いつの間に落ちてたんだろ」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

160: ◆eUwxvhsdPM 2014/01/10(金) 22:39:49.55 ID:0ZKc40pi0
静「?」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

静「?なによ、これは~~~~?この『形』なに……落ちてる。この『形』……ゆ…………び……みたい、だけど……」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

161: ◆eUwxvhsdPM 2014/01/10(金) 22:44:15.30 ID:0ZKc40pi0
静「……」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

静「……」チラ

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

クルッ

静「だ……『誰』のですってェ――ッッ!!?」ブシュウウ!!

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

162: ◆eUwxvhsdPM 2014/01/10(金) 22:49:37.52 ID:0ZKc40pi0
康一「しッ!!静ちゃん!?その左手の小指は……!!?」

静「ぐ、うう……!わからない……なんで!?どうして……あたしの、小指が…………!?」

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

???『アアアアア……アア……』

静「――えっ?」

バッ

163: ◆eUwxvhsdPM 2014/01/10(金) 22:54:06.35 ID:0ZKc40pi0
静の後ろに、『何か』がいた……
人の形をしていた。次の瞬間には猫になっていた。
そう思うと、『それ』はいつの間にか身の丈3メートルほどの熊となり、
瞬きをしている間に首の無い死体の姿となった。

静「なっ!?何だァァ~~~~こいつはァァ――ッッ!!?」

???『アアアアアアアアアアアア……ウアアアアア……!!!』

康一「こいつがッ!!静ちゃんの指をッ!?」

???『アアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!』

グオッ!

静「!!攻撃してくるッ!!『ワイルド――」

ブアッ!

164: ◆eUwxvhsdPM 2014/01/10(金) 22:59:50.96 ID:0ZKc40pi0
静「――ハニィィィィィィィィィ』イイイイ!!!」

ワイルド・ハニー『ドラアアアアッッ!!』

ブォン!

???『アアアアア!!』

メシャアッ!!

???『ブゲアアアアアアアアア……!!』

静「!?何よコイツ、てんで弱い――」

スカッ!

165: ◆eUwxvhsdPM 2014/01/10(金) 23:05:22.84 ID:0ZKc40pi0
ボドンッ

静「…………は?」

ドクッ、ドグッ……

静(な、何かが……『落ちた』……あたしの顔から?『何』が?……あたしは今……今ッ!『攻撃』はしたけど、『攻撃を受けてなどいない』はずよ……!)

ドグッ……

康一「し……静ちゃん……う、ううっ!!」

静「あれは……今、『落ちた』のは……!!」

166: ◆eUwxvhsdPM 2014/01/10(金) 23:11:48.34 ID:0ZKc40pi0
ブシュウウ!

静「あたしの『耳』よぉォォォォォォ――!!!」

ギャ――z__ン!!

???『アアア……アアアアアアア!!!』

ザリッ!ザリッ!

康一「うわあああああああああああああああ!!!」

静「サッパリわかんない……!何だっていうのよコイツはぁッ!!?この屋敷幽霊の――」

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

???『アアアア……ガアッ!アアッ!』

静「――『幽霊』だっていうのォォォォォ!!??」

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

199: ◆eUwxvhsdPM 2014/01/23(木) 21:40:21.42 ID:55sfq+MT0
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

???『アアアアアアアア!!!』

静「うおおおおおおお!!」

ワイルド・ハニー『ドラドラドラドラ!!』

ドゴドゴドゴ

???『グアアアアア!!』

スカッ!スカッ!スカッ!

ボドドンッ

静「ぐっ!ううっ!!」ドクッドクッ

康一「静ちゃん!一旦逃げよう!奴の攻撃の『謎』がわからないと――」

静「奴にダメージが入ってんのは見ればわかるわッ!このまま攻撃し続ければ勝てるッッ!!」

康一「けどッ!静ちゃん……もう指がほとんどッ!」

静「来いッ!今度こそ再起不能にしてやるわ――ッッ!!」

???『グアッ!ガアアッ!』

200: ◆eUwxvhsdPM 2014/01/23(木) 21:45:55.56 ID:55sfq+MT0
???『アアアアアアアアアアアアア!!!』グオッ!

静「ブチ消してやるッ!!『ワイルド――」

康一「『エコーズACT3』!!」

ドン!

エコーズACT3『必殺!3FREEEEEEZE!!!』

ドシュ!ドシュ!ドシュウ!!

201: ◆eUwxvhsdPM 2014/01/23(木) 21:55:29.44 ID:55sfq+MT0
???『ガアッ!?』ヨロッ……

ドズ――ン!!

静「こッ!康一さんッ!」

エコーズACT3『3FREZZE……アノ謎ノクソッタレスタンド自身ヲ『重ク』シマシタ』

???『アアアア……アアア!!』バギッ!バキッ!

康一「今のうちに、逃げるよ静ちゃん!屋敷から出て仗助くんと合流しないと――」

スカッ!

202: ◆eUwxvhsdPM 2014/01/23(木) 22:00:25.63 ID:55sfq+MT0
ボドン!

康一「ぐッ!?が……ハアハア……」

静「こ……康一さん!?」

康一「あ……ぼ、くの……『喉』が……ヒュー、ヒュー……」

ドクッ!ドクッ!

康一「『落ちた』……声が……い、きが……!」グラッ……

ドシャアッ!!

???『アアアア……アアアアア!!』

静「う……うわあああああああああ!!!」

204: ◆eUwxvhsdPM 2014/01/23(木) 22:04:49.20 ID:55sfq+MT0
静「康一さんッ!!しっかりしてッ!早く兄さんに治してもらわないと……!」ガシッ!

ズルズル……

???『アアッ!!アアアアッ!!』

ザッ!ザッ!

静「こっちに来るんじゃあねーわよッボケェーッ!」

ガシッ!

静「この『花瓶』でも……食らいなさいッ!」ビュッ!

バリィ――ン!

205: ◆eUwxvhsdPM 2014/01/23(木) 22:10:07.32 ID:55sfq+MT0
静「クソッ!外しちゃったわ!けどビビったでしょ!?逃げないけどビビってる!ふざけんなゲロっ吐き野郎――ッバーカバーカ」スカッ!

ボドンッ!

静「あっ……えっ!?」ダラダラ……

???『アアア……アアアアア……』ザッ!ザッ!

静「な……何で!?どうして……?今ッ!あたしとあいつとは少し『距離』があるのに……!攻撃の動作なんて全く見えなかったのにッ!!」

ドクッ、ドクッ……

静「攻撃なんて絶対に!受けてなんかいないのにッッ!!なんで今、あたしの右耳が吹っ飛んだのッッ!!?」

???『アアアアアアアア!!』

ザッ!ザッ!!

206: ◆eUwxvhsdPM 2014/01/23(木) 22:14:40.11 ID:55sfq+MT0
静「ゆ……指もいっぱい切り落とされちゃったし!両耳も落ちた……サングラスがかけられないわッ!チクショウッ!!」ジリジリ

???『アアアアアアア……』

静「攻撃の動作が無いのに攻撃されているッ!これは一体――」ジリジリ……

パキッ!

静「――はっ!」バッ!

207: ◆eUwxvhsdPM 2014/01/23(木) 22:19:41.07 ID:55sfq+MT0
静「さ、最初にあたしが誤って割っちゃった、『ツボ』の破片……?」

パキッ……

静(も……もしかして、『これ』のせいか?あたしが……『割っちゃった』から、とでも言うの?)

???『アアアアアアアア』ザッ!ザッ!!

208: ◆eUwxvhsdPM 2014/01/23(木) 22:24:02.04 ID:55sfq+MT0
静(あたしが『ツボ』を割ったら、あたしの小指が切り落とされて、コイツが現れた……康一さんはコイツを重くした時、『屋敷の床』を壊したわ。そして今、『花瓶』をコナゴナにしたら右耳が吹っ飛んだ。いくつか『謎』は残るけど――)

???『ウアアアアアアアア!!』

静「コイツはッ!!何かを『壊した』時に攻撃をしているんだッッ!!くっ――」ズルズル……

バタァ――ン!!

209: ◆eUwxvhsdPM 2014/01/23(木) 22:30:18.02 ID:55sfq+MT0
静「ハァ、ハァ!」ガチャリ!

ガチャガチャ!バンバン!!

静「鍵を閉めたから、少しは時間稼げると思うわ……『何かを壊したら攻撃される』……攻撃のカラクリは何となーくわかった。慎重に行動すれば問題無いわね」

康一「……」ドクドク……

オォォォォ……

静「康一さんの出血が激しい。あたしも大概だけどーッ、兄さんに治してもらわないとマジにヤベェーッわッ。この部屋は屋敷のどの辺り……」

クルッ……

静「――!!」

210: ◆eUwxvhsdPM 2014/01/23(木) 22:34:27.80 ID:55sfq+MT0
静「こッ!!この『部屋』はッ……まさか!!『そんな』!!」

ド ン

静「この部屋はッ!!『ガラスのオブジェ』の部屋だァァァァァァァ!!!」

ギャ――z__ン!!

211: ◆eUwxvhsdPM 2014/01/23(木) 22:40:03.04 ID:55sfq+MT0
静「うわああ!!さっきあたし!!勢い良く『ドア』を閉めちゃったわッ!!ドアを閉めた衝撃で――!!」

グラッ!グラアッ!!

静「あっ!!うわあああっ!!た、倒れ――!!」

グラア――ッ!!

静「う……おおおおおおおおおおおおお!!!」

212: ◆eUwxvhsdPM 2014/01/23(木) 22:42:36.06 ID:55sfq+MT0
静「『波紋疾走』ッッ!!」

ドガアーッ!!

バリ!バリ!!バリ!!

213: ◆eUwxvhsdPM 2014/01/23(木) 22:45:06.22 ID:55sfq+MT0
グラァ――……ア……

静「!……ハァ!ハァ!」

ピタッ!!

静「く……『くっつく』波紋を床に流した。マジに……ドキュン危機一髪ぅ~~だわ。これだけの数の物壊しちゃったら……流石に死んでた か も」

コトン、コトンコトン……

静「ハァ、ハァ……この部屋はトラップのようなものなのね……」

???『アアアアア……』

ガチャリ!

214: ◆eUwxvhsdPM 2014/01/23(木) 22:47:16.50 ID:55sfq+MT0
???『アアアアアアアア……』

ギ……ギギイ……!!

静「……カラクリはわかったわ。もうアンタなんかに負けない……!」グッ

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

???『アアアアアアアアアアアア!!!』グアッ!

静「全力で消すッ!喰らえッ――」バッ!

215: ◆eUwxvhsdPM 2014/01/23(木) 22:50:39.55 ID:55sfq+MT0
『攻撃しちゃあダメだ!!静ちゃん!!!』

静「――ッ!?」

ピタッ!

???『アアアアアアア!!!』グオッ!

216: ◆eUwxvhsdPM 2014/01/23(木) 22:53:27.24 ID:55sfq+MT0
???『アアア!!アアアアア!!』グッ!グッ!

静「……!?」

???『アアアアア!!アアアアア!!』グオオ!グッグッ!!

静「……こいつ、『攻撃して来ない』……?」

『攻撃しちゃあダメなんだ……コイツは、威嚇して攻撃を誘っているだけなんだ……!』

静「こ、康一さん!?喉を切り落とされて、話せないはずじゃ……!?」バッ

217: ◆eUwxvhsdPM 2014/01/23(木) 22:55:42.80 ID:55sfq+MT0
康一「ぐっ……」ブルブル

エコーズACT1『ぼ……ぼくのエコーズは『音』のスタンド……能力を使って声を出したんだ……ハァ、ハァ』

静「な……なるほどォ」

エコーズACT1『けど、あまり持ちそうにないから……ぼくの考えを簡単に言うよ。コイツは、このスタンドは……『この屋敷自体』なんだ』

静「……屋敷『自体』?」

エコーズACT1『屋敷を守るために、この『屋敷幽霊』が生み出した『スタンド』なんだ……守るためのスタンドだから攻撃はしないけど、この屋敷と、こいつに攻撃をすれば……攻撃される。そういうスタンドなんだよ。……たぶん』

218: ◆eUwxvhsdPM 2014/01/23(木) 22:57:31.92 ID:55sfq+MT0
???『アアア!!アアアア』

ブン!ブン!

静「……物がスタンドを出すなんて……あるのォ?そんな事?」

エコーズACT1『杜王町には『鉄塔』のスタンドがあるっていうし……承太郎さんは『剣』のスタンドと戦ったことがあるって言ってた。そういうものも、存在するんだよ……』

静「……」

???『アアアアアア…………』

スッ……

静「……消えた」

219: ◆eUwxvhsdPM 2014/01/23(木) 23:00:31.49 ID:55sfq+MT0
康一「……ぐうっ……」パタッ

静「……」

シーン……

康一「……」

静「……攻撃したり、壊したりしなかったら……案外静かで暮らしやすいのかもね……立地条件も悪くないし」

220: ◆eUwxvhsdPM 2014/01/23(木) 23:04:12.92 ID:55sfq+MT0
静「だが帰る」

バンッ

静「二度と来るつもりもないわ」

221: ◆eUwxvhsdPM 2014/01/23(木) 23:05:43.75 ID:55sfq+MT0
ズルズル……

康一「……うう……」

静「ハァ、ハァ……」

タッタッタ……

仗助「おーう静ァ~~。探してたんだよ……って、何だァァ――ッその怪我はァァァァ!!?」

静「……一足遅いっての。兄さん……」ガクリ

――静・ジョースター……仗助のスタンドにより傷は完治。もう変な噂話には首を突っ込まないと心に決めた――

――東方仗助……二人の傷を治した後も、静の身体の事を気にするが、「兄さん、いい加減ウザい」と言われてヘコむ。最近いい所が無い――

――広瀬康一……この後仗助のおごりで豪華なご飯を食べた――

…………

222: ◆eUwxvhsdPM 2014/01/23(木) 23:08:38.58 ID:55sfq+MT0
…………

メイ「素晴らしい家だわ、チェスタ!」

チェスタ「喜んでくれて、何よりだ」

オオオォォォ……

メイ「こんな屋敷があるなんてね……ここなら誰にもバレないわ。食べ物が無いのは残念だけれど、そこはチェスタ……貴方を頼りにしてるわよ?」

チェスタ「任せてくれ」

メイ「追いかけられる恐怖からの開放……ふふ、スガスガしいわ。歌でも歌っちゃいたい気分!ンッンッンン~~♪んふ♪……あとは『天国』に到達出来ればそれでいい。焦ることは無いわ。焦らずに、ゆっくりと……焦っちゃダメよ……うフフフ……」

チェスタ「……メイ」

メイ「?……何かしら?」

224: ◆eUwxvhsdPM 2014/01/23(木) 23:10:07.53 ID:55sfq+MT0
チェスタ「……物を壊すんじゃあないぞ」

オオオォォォォ……

メイ「わかっているわよ。……フフフ」

…………

225: ◆eUwxvhsdPM 2014/01/23(木) 23:11:52.74 ID:55sfq+MT0
…………

シーラE「……おかしい」

フーゴ「?」

シーラE「クンクン……どういう事だ?これは……」

フーゴ「何かあったのかい?」

シーラE「……」

フーゴ「シーラE?」

シーラE「……吸血鬼の痕跡が、消えた……ニオイまで」

フーゴ「……何だって?」

226: ◆eUwxvhsdPM 2014/01/23(木) 23:13:31.58 ID:55sfq+MT0
シーラE「吸血鬼が消え去ったのよ。完璧に、この世から……!」

フーゴ「……」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

フーゴ「ありえるのか?そんな事……死んでもニオイくらいは残るだろう?」

シーラE「わからないわ。獲物の追跡なんて何度もしたけど、こんな事初めてよッ。クソッ!」

フーゴ「……」

227: ◆eUwxvhsdPM 2014/01/23(木) 23:15:09.59 ID:55sfq+MT0
シーラE「……見失ったわ」

フーゴ「探そう。何としても……!」

シーラE「ええ……!」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ……

…………

⇐To be continued=・・・?

278: ◆eUwxvhsdPM 2014/01/28(火) 22:29:57.25 ID:ap3fvpet0
――番外編――

『シーラEちゃんとフーゴくん』

279: ◆eUwxvhsdPM 2014/01/28(火) 22:32:29.91 ID:ap3fvpet0
・キャラ崩壊あり

・静ジョ本編とほぼ関係無し

・二人は恋人では無く、仕事仲間

・フーゴくん31歳、シーラEちゃん29歳

280: ◆eUwxvhsdPM 2014/01/28(火) 22:35:27.63 ID:ap3fvpet0
フーゴ・シーラE、来日三日目
『カフェ・ドゥ・マゴ』テラス――

フーゴ「……ふう。三日でだいたいこの辺りの地理は把握出来たね。隠れられそうな場所や人通りの少ない場所もわかった」

シーラE「……」イジイジ

フーゴ「あとは君の『ヴードゥー・チャイルド』で……シーラE?」

シーラE「んー?」ギュッ

フーゴ「……何をしているんだい?」

シーラE「何って……」グッググッ

281: ◆eUwxvhsdPM 2014/01/28(火) 22:39:52.93 ID:ap3fvpet0
シーラE「……できたーッ。あめんボ」ジャーン

フーゴ「……」

シーラE「浮いた」プッカァーッ

フーゴ「……」

シーラE「んふふー。どう?フーゴ」チョンチョン

フーゴ「んー……『どう?』って聞かれると……」

282: ◆eUwxvhsdPM 2014/01/28(火) 22:45:05.95 ID:ap3fvpet0
フーゴ「……クリップで出来たものが浮くとは……面白いものを作るね」

シーラE「スゴイでしょ?ねえねえ、うらやましい?」

フーゴ「うん。少し……どうやって作るんだい?教えてほしいよ」

シーラE「別に教えてあげてもいいけど、アンタぶきっちょそーだからねェ~~。作れるかな?アンタのあめんボぷくぷく沈んじゃいそーだわ」

フーゴ「努力するよ」

シーラE「んじゃ、コレ持って……色は紫でいい?あたしは赤で作るけど」

フーゴ「何でもいいよ……作れたらそれで」

シーラE「じゃッ、まずはこの部分を伸ばして――」

…………

283: ◆eUwxvhsdPM 2014/01/28(火) 22:50:13.31 ID:ap3fvpet0
…………

プクプク……

フーゴ「……クソッ!どういう事だこれはァ~~ッ?ぼくのあめんボだけ『浮かばない』なんて!」

シーラE「うっわ、『ぶきっちょ』だとは思ってたけど……これほどとはね。さすがのシィラ先生もお手上げよ、コレ」

フーゴ「もう一回だシーラE……もう一回最初から教えてくれ。次は完璧に作ってみせるッ!ぼくも赤いクリップを使うぞッ!」ガシッ

シーラE「たぶん色関係ないわよ……あんたの腕が悪いだけだって」

店員「あのォ~~……」

フーゴ「ん?」クルリ

284: ◆eUwxvhsdPM 2014/01/28(火) 22:55:27.84 ID:ap3fvpet0
店員「お取り込み中、申し訳ございません。ご注文は……?」

フーゴ「ああ、失礼……そういえば何も頼んでいなかったね。えーっと……」パサッ

シーラE「へえ、結構いろんな飲み物あるのね……」ヒョコッ

フーゴ「シーラE、君は何がいい?」

シーラE「……アンタは?フーゴ」

フーゴ「ぼくは……ブレンドでも頼もうかな」

シーラE「じゃああたしもそれ」

フーゴ「すみません、ブレンド……」

店員「はい、ブレンドコーヒー2つですね?」

フーゴ「……いや」

シーラE「?」

285: ◆eUwxvhsdPM 2014/01/28(火) 22:59:50.59 ID:ap3fvpet0
フーゴ「やっぱり、少し甘いものが飲みたいな……ブレンド一つと、このキャラメルフラペチーノ下さい」

シーラE「!ちょ、ちょっと!!」

フーゴ「何?」

シーラE「あたしも……それ」

フーゴ「?……どれ?」

シーラE「それ飲みたい。……アンタの頼んだヤツ」

フーゴ「……ブレンドじゃあなかったのかい?」

シーラE「あたしも、きゃらららふららちーの飲みたいって言ってんのッ!」

フーゴ「言えてないよシーラE……」

286: ◆eUwxvhsdPM 2014/01/28(火) 23:05:00.30 ID:ap3fvpet0
フーゴ「全く……何も同じものを頼まなくても良かっただろう?」

シーラE「うっさい」パラパラ

フーゴ「なんだかなあ、真似されてるみたいで少し居心地が……」

シーラE「別にアンタの真似なんかしてないわよッ。ちょーどあたしも甘いの飲みたかったの」

フーゴ「けどねえ……」

シーラE「うっわ、ねえ見てよフーゴこれ」ヒョイッ

フーゴ「ん?何?」

287: ◆eUwxvhsdPM 2014/01/28(火) 23:10:27.21 ID:ap3fvpet0
シーラE「チョコレートパフェだって……スッゲ、めちゃくちゃ甘ったるそうなチョコソースが『これでもかッ!』ってくらいかかってるわ……こんなの頼むヤツの気がしれないわね」

フーゴ「……うん」

シーラE「こんなにデカデカとメニューに写真載せちゃって……人気あんのかな?これ。すごい甘くて重たそうだわ。3時のおやつに食べたら晩御飯とかいらなくなりそうなボリュームね」

フーゴ「……そうだね」

シーラE「こんなん頼むヤツなんて、成長期で胃も頭もカラッポの女子高生だけよ。あたし無理無理。絶対食べきれないもの」

フーゴ「……はあ」

288: ◆eUwxvhsdPM 2014/01/28(火) 23:14:56.26 ID:ap3fvpet0
シーラE「まあ甘いのは嫌いじゃあないけどさぁ~~……あたし結構スタイルいいし、やっぱ甘いものとか肌に悪そうだし……こういうのって絶対無理よねェー」

フーゴ「……」

シーラE「まあ……味が気になるか?って言ったら、ちょっぴり気になるけど……ただそれだけよね。全然あたしは興味とか全く無いし――」

フーゴ「……食べたいのかい?」

シーラE「は、はあッ!?そそそ、そんな訳ないしッ!」

フーゴ「食べたいんだろう?」

シーラE「いや、全然そんな……こんなの十代の若い女の子が食べるモンよ。あたしみたいな大人の女性には……」

フーゴ「すみませーん、チョコレートパフェ一つ」

シーラE「話聞けッフーゴ!」

…………

290: ◆eUwxvhsdPM 2014/01/28(火) 23:20:47.81 ID:ap3fvpet0
…………

フーゴ「……うん、おいしい。やっぱりフラペチーノにしておいてよかった」チュー

シーラE「全く……あたしこんなの食べたくないのに、頼んじゃうんだから……バカフーゴ」ニコニコ

フーゴ「……食べないのなら、ぼくが全部食べるけど?」

シーラE「はあ?アンタに食わすなんてドブに捨てるようなモンよッ。あたしが責任もって全部食うわ」

フーゴ「あ、そう……」

シーラE「あーん……」

パクッ

シーラE「……ん……んふ、んふふふふふ……」ニコォ~

フーゴ「……美味しいかい?」

シーラE「美味しいわけないじゃあないの。甘いわ……アマすぎ。あたしの口に合わないわね」パクパクッ!

フーゴ「そう。……そりゃあ、良かった」

シーラE「んふふ♪」モグモグ

292: ◆eUwxvhsdPM 2014/01/28(火) 23:24:53.81 ID:ap3fvpet0
フーゴ「!……そうだシーラE」

シーラE「何?アンタにはあげないわよ?」モグモグ

フーゴ「ちょっとスプーン貸してくれないかい?」

シーラE「?……いいけど……何で?」

カチャッ

フーゴ「はい、シーラE」スッ

シーラE「?」

フーゴ「あーん」スーッ

シーラE「!?なッ……!!」

293: ◆eUwxvhsdPM 2014/01/28(火) 23:30:01.80 ID:ap3fvpet0
シーラE「ば、バッカじゃあないのッ!?そ、そんな……こここ、コイビトどーしがやるような事……あたしがやる訳ないじゃあないのッ!」

フーゴ「……」ジッ

シーラE「甘ったるいパフェのニオイでアンタまでおかしくなったんじゃあないの?バーカ、バカバカ。バカフーゴ」

フーゴ「……」ジッ

シーラE「……」

フーゴ「……あーん」スッ

シーラE「……うっ……うーっ、うーっ……」

フーゴ「……」

シーラE「……あ……」

294: ◆eUwxvhsdPM 2014/01/28(火) 23:35:46.25 ID:ap3fvpet0
シーラE「……あ……あーん……///」プルプル……

フーゴ「なんちゃって」ヒョイッ

パクッ!

シーラE「んがっ!?」ガチッ!

フーゴ「ああ、甘いけど後味はスッキリしていて美味しいじゃあないか。なかなかの美味しさだよ、うん」モグモグ

シーラE「……」プルプル

295: ◆eUwxvhsdPM 2014/01/28(火) 23:40:10.98 ID:ap3fvpet0
フーゴ「うん?どうかしたのか、シーラE?少し顔が紅いようだけど……?」

シーラE「ッ!」カァァ///

フーゴ「パフェなんて血糖値の上がりそうなもの食べたからかな?大丈夫?気分は悪くない?」ニヤニヤ

シーラE「……ぐ、ぐ……!」

フーゴ「熱でもあるのかい?これは大変だあ。早くホテルに戻って――」

シーラE「……『ヴードゥー・チャイルド』ッッ!!」ギャーン!!

フーゴ「ストーップ!待った!ぼくが悪かった!からかってすまないッ!!『スタンド』は反則だッ!!」

296: ◆eUwxvhsdPM 2014/01/28(火) 23:44:48.75 ID:ap3fvpet0
シーラE「ったく……次やったら全身唇だらけにしてやるわ」カチャッ

フーゴ「悪かったよ、もうしない。……意外な面が見れて満足した」

シーラE「からかいやがって……はあ」アーン

フーゴ「……あ、そういえば」

シーラE「ん?」モグモグ

298: ◆eUwxvhsdPM 2014/01/28(火) 23:49:50.13 ID:ap3fvpet0
フーゴ「さっきぼく、そのスプーン使ってしまったよ……すまない」

シーラE「……んぐッ!!?」ビクンッ!

フーゴ「あー、ぼくはそういうの気にしないタイプなんだけど……君ってそういうの気にする方?電車のつり革持てないタイプかい?」

シーラE「……ん……んー!んー!!」プルプル

フーゴ「悪かったって……ほら、新しいスプーンもらってきてやるから……」

シーラE「ゴクンッ……い……いい、わよッ……別に……」

フーゴ「?」

299: ◆eUwxvhsdPM 2014/01/28(火) 23:54:56.98 ID:ap3fvpet0
シーラE「別に……あたしも、気にしないし……」カチャ

フーゴ「……そう?」

シーラE「こういう仕事についてるから、任務によっては土でもなめて飢えを凌がなきゃならない時もあんのよ?これくらいの事、いちいち気にしてたら生きてらんないわよッ」パクッ

フーゴ「まあ、それもそうなんだけど……」

シーラE「~~……ッッ///」プルプル

フーゴ「やっぱりスプーンもらってくるよ……」

…………

301: ◆eUwxvhsdPM 2014/01/28(火) 23:59:52.12 ID:ap3fvpet0
…………

フーゴ「……でね、ここは住宅地になっているんだが、母子家庭が多いらしくて――」カキカキ

シーラE「……」ポケーッ

フーゴ「――だから、この辺りは吸血鬼の餌場として――」カリカリ

シーラE「……!」

フーゴ「ぼくの予想としては、吸血鬼はここから1キロの範囲に――」

シーラE「あー、ごめんフーゴ」

フーゴ「うん?」

シーラE「悪いわね……ちょっとだけ失礼するわよ」ガタン

フーゴ「……何処か行くのかい?」

シーラE「うっさいわねーッ、お手洗いよ。お・て・あ・ら・いッ」スタスタ

フーゴ「トイレなら逆――……行っちゃった」

シーン……

フーゴ「……どうかしたのかな……?」

302: ◆eUwxvhsdPM 2014/01/29(水) 00:04:26.81 ID:Klv0x35F0
おばさん「♪~~♪~~」テクテク

犬「ハッハッハッハッ……」テクテク……

ザッ!

シーラE「……」

ズンッ

犬「ワンッ?」ピクンッ

おばさん「んー?なあに、アナタ……?」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

シーラE「……」

犬「……」

おばさん「……」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

シーラE「……んふっ」ニコッ

303: ◆eUwxvhsdPM 2014/01/29(水) 00:09:12.61 ID:Klv0x35F0
シーラE「んへへ~、トトォ、トトォ~~ッ♪」ナデナデ

犬「ワンッ!ワンッ!ヘッヘッヘッヘ」パタパタ

おばさん「あらっ!ウチの子がこんなに懐くなんて……アナタ犬好きなのねェ~~ッ」

シーラE「うんっ!大好きー♪うへへ~~ッ」ワッシャワッシャ

犬「ヘッヘッヘッヘ!クゥーンクーン」ゴロゴロ

おばさん「こんなかわいい娘に遊んでもらって、ウチの子も嬉しそうだわ。もっと遊んであげてねえ」

シーラE「はいっ!うふ、んふふふふふ♪トトォだぁ~~っ♪」グワッシグワッシ

犬「ワンワンッ!」モミクチャッ

…………

304: ◆eUwxvhsdPM 2014/01/29(水) 00:15:00.22 ID:Klv0x35F0
…………

物陰――

フーゴ「……」コソッ

コソコソッ

フーゴ「……」ジーッ……

ウヘヘ~

ワンワンッ!

フーゴ(う……うわあ……)ドンビキ

…………

305: ◆eUwxvhsdPM 2014/01/29(水) 00:19:51.77 ID:Klv0x35F0
…………

シーラE「ふうっ!待たせたわね、フーゴ」ツヤツヤ

フーゴ「いえ。……遅かったですね」

シーラE「少しお手洗い混んでたのよ。悪かったわね……何の話してたっけ?」

フーゴ「吸血鬼の潜伏場所について。……あちらの方向ではお手洗い、遠かったでしょう?」

シーラE「んー?まあまあね」

フーゴ「……そんなに混んでたんですかあ?」

シーラE「まーそこそこよ」

フーゴ「……犬可愛かったですねえ?」

シーラE「うん!すっごく可愛かった!やっぱり犬は大型犬よねぇー!表情豊かで飽きないし、何より――……」ハッ!!

306: ◆eUwxvhsdPM 2014/01/29(水) 00:25:08.26 ID:Klv0x35F0
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

フーゴ「……」

シーラE「……おいフーゴ」

フーゴ「なんです?」

シーラE「……とりあえず、こっち向け」

フーゴ「嫌ですよ」

シーラE「いいからこっち向け。ブン殴るわよ」

フーゴ「嫌ですって。……今そっち向いたら……プッ!プククッ!……笑いが、クッ!クククッ!!」

シーラE「……」プルプル

307: ◆eUwxvhsdPM 2014/01/29(水) 00:29:49.17 ID:Klv0x35F0
フーゴ「無愛想な貴方が、犬を……ククッ!まるで子供みたいに……ぷぷっ!」

シーラE「……ッ~~……」プルプル

フーゴ「満面の笑みで、犬を……ぷはっ!あはは!あんなの見たことないッ!ぷははは……!」

シーラE「……『ヴードゥー・チャイルド』ぉぉぉ!!!」ズギャーン!!

フーゴ「だからそれは反則――イテッ!殴るのはやめろォーッ!!」

…………

332: ◆eUwxvhsdPM 2014/02/02(日) 22:45:47.26 ID:Eff8GQi50
…………

シーラE「あたしアンタ嫌いだわ」ブスッ

フーゴ「そりゃどうも。……いやあ、しかし……」

シーラE「?」

フーゴ「君が犬派だったとはね……」プルプル

シーラE「殴られ足りないの?フーゴ。唇つけてショック死させてあげてもいいのよ?」

フーゴ「ああ、はいはい。悪かった……もう言わないって。本当に」

シーラE「ったく……いい天気だっていうのに、アンタのせいで憂鬱だわ……」

333: ◆eUwxvhsdPM 2014/02/02(日) 22:47:57.59 ID:Eff8GQi50
静「……あれっ?貴方達は……」ヒョコッ

仗助「あんッ?イタリアコンビじゃあねーか」ヒョコッ

シーラE「んあ?」

フーゴ「ああ、『ジョジョ』の遠い親戚だという……ジョースケさんとシズカさん、でしたね?」

静「こんにちは。フーゴさんにシーラEさん」ペコッ

仗助「おうっ。先日はどーもよォ~~ッ」ペコッ

シーラE(動きがシンクロしてるわ……)

334: ◆eUwxvhsdPM 2014/02/02(日) 22:51:15.07 ID:Eff8GQi50
フーゴ「もう動いて平気なのですか?なかなか深い傷でしたが……」

仗助「おお。怪我してぶっ倒れてたのが夢だったみてェーに綺麗サッパリだぜェ~~。イタリアの親戚さんに礼言っといてくれよ。マジで助かった」

静「兄さんの怪我治してくれて、ありがとうございましたっ」ペコッ

フーゴ「いえいえ……礼ならぼくでは無く、『ジョジョ』に言って下さい」

シーラE「さすがジョルノ様の能力ねェ~~ッ!……殺人ウィルス撒き散らすだけのアンタとは違うわ」チラリ

フーゴ「…………」

シーラE「ちょ、ちょっと。無言にならないでよ……冗談だって」アセアセッ

335: ◆eUwxvhsdPM 2014/02/02(日) 22:53:17.81 ID:Eff8GQi50
フーゴ「お二人は、お出かけ中ですか?」

仗助「まあそんな所っす」

静「映画見に行くんですよ。『デッドプール―マーク・ウィズ・ア・マウス―』」

フーゴ「デッ……ああ、アメコミの」

仗助「おれはアメコミの実写なんざ興味ねーんだがよォ~~……」チラリ

静「いやいや兄さん、ついにデップーが主役で映画デビューなのよ?これは見なきゃあ損よ、ソン!」

仗助「結構前に映画に出てただろ?そのキャラ」

静「あんなのデップーじゃあないわよッ!ファンを馬鹿にしやがって……あたしぜってェー認めないからね。今回の映画は期待してるわよ。ヘッドプールもレディプールも出るんだから!第四の壁は壊してくれるのかなァ~~?」フンフン

仗助「鼻息荒ェーよオメー……」

フーゴ(……この娘の趣味は、よくわからないな……)

シーラE「へー、デップー映画化したんだ。見たいなあ……」

フーゴ「えっ」

シーラE「えっ?」

336: ◆eUwxvhsdPM 2014/02/02(日) 22:55:39.97 ID:Eff8GQi50
フーゴ「シーラE、君の好みって……」

シーラE「うるさいわよ、フーゴ」ズズッ

静「……」ジーッ……

シーラE「?……何?」

静「あッ!いえいえ、何も」

シーラE「……何も無いのに、人の顔をじろじろと見るものじゃあないわ。失礼よ」

フーゴ「シーラE、一般の女の子に言い過ぎだ」

仗助「いや、スンマセン。ウチの妹が……」

静「あのっ!いえっ!そのォ~~……前に会った時から、その……『格好いいな』って、思ってまして!」

シーラE「!……あたしが?」

337: ◆eUwxvhsdPM 2014/02/02(日) 22:58:20.57 ID:Eff8GQi50
静「シュッとしててキリッとしてて、女性の『スタンド使い』として先輩で……ちょっぴり憧れちゃってるんですよ、あたし」

シーラE「そ、そう?……そう言われて、悪い気はしないわね」

静「あのッ!質問なんですけど……どうやったらあたしも、シーラEさんみたいに格好よくなれますか?」

シーラE「んー、そうねェー……まず女ってナメられたらお終いよ。だから――」

フーゴ「犬を見つけたら笑顔で近付いて撫で回すといいですよ」ボソッ

静「……は?犬?」

シーラE「フーゴテメェー表出な」ガタンッ

フーゴ「嫌に決まってますよ」シレッ

338: ◆eUwxvhsdPM 2014/02/02(日) 23:00:24.75 ID:Eff8GQi50
仗助「……んじゃあ、そろそろおれら行きますんで」ペコッ

静「ありがとうございましたァ~~ッ!またお話させて下さいねッ!」フリフリ

シーラE「ええ、またね」ヒラヒラ

フーゴ「……仲の良い兄妹だね。今時珍しいんじゃあないか?」

シーラE「ええ。……」

339: ◆eUwxvhsdPM 2014/02/02(日) 23:03:10.70 ID:Eff8GQi50
フーゴ「?……どうかしたかい?」

シーラE「んー……ちょっとね」

フーゴ「……」

シーラE「……クララ姉さまの事……思い出しちゃって」

フーゴ「!……」

340: ◆eUwxvhsdPM 2014/02/02(日) 23:05:39.99 ID:Eff8GQi50
シーラE「優しい人だったのよ。……彼女のお兄さんのようにね」

フーゴ「……うん」

シーラE「……」

フーゴ「……」

シーラE「……アンタには感謝してる」

フーゴ「何だい、急に」

シーラE「……ごめん、暗い話するつもりじゃあなかったのよ」

フーゴ「わかってるよ」

シーラE「……」

フーゴ「……」

341: ◆eUwxvhsdPM 2014/02/02(日) 23:08:29.90 ID:Eff8GQi50
シーラE「あー、えっとさ。フーゴ」

フーゴ「はい?」

シーラE「さっきの話聞いてさ、あたしも映画見たくなっちゃった。今から行かない?」

フーゴ「映画……ねえ」

シーラE「あ、あとさ。この町にはすごく美味しい高級イタリア料理の店あるらしいわよ。トラサルディーっつって、あたし達と同じイタリア人がやってるんですって」

フーゴ「高級イタリア料理?」

シーラE「日本で食べる祖国の味っていうのもなかなかじゃあない?映画終わったらそこでディナーにしましょうッ」

フーゴ「うーん……それは、いいんだけど」

シーラE「?……何?」

フーゴ「君……その格好で高級料理店に入るつもりかい?」

シーラE「格好についてはアンタに文句言われたくないわね……!」

342: ◆eUwxvhsdPM 2014/02/02(日) 23:10:50.68 ID:Eff8GQi50
フーゴ「ぼくはスーツにネクタイじゃあないか。君のように変な民族衣装を着てる訳じゃあない」

シーラE「穴あきスーツに素肌ネクタイの何処が普通なのよッ!あたしのほうがまだマシだわッ!!」

フーゴ「君は露出も多いし……初夏とはいえ寒くないのかい?」

シーラE「動きやすいからいいのよコレでッ!だからそれを言うならアンタだって――……」

フーゴ「?……どうかした?」

シーラE「……フーゴ、ちょっと立ちなさい」

フーゴ「何で?」

シーラE「いいから、さっさと立ってこっち来る」

フーゴ「……?」ガタンッ

スタスタ……

シーラE「まったく……」ガタン

343: ◆eUwxvhsdPM 2014/02/02(日) 23:13:12.18 ID:Eff8GQi50
フーゴ「何?いきなり……」

シーラE「動かないで」スッ……

キュッ、キュッ

フーゴ「!……」

シーラE「ネクタイ曲がってんのよ。全く……アンタの唯一マトモな所なんだから、きちっとしなさいよねーッ」

フーゴ「……」

クイックイッ

344: ◆eUwxvhsdPM 2014/02/02(日) 23:15:15.14 ID:Eff8GQi50
シーラE「……んー?これどうやって結んでるの?」

ゴソゴソ……

フーゴ「……」

シーラE「えーっと、ここを引っ張ったら伸びるから……」

クイクイッ

フーゴ「……」

シーラE「んー、なんか不格好ね。一回外して結び直したほうがいいかも……」

フーゴ「……」

ギュッ!

シーラE「――ッ!!」

ドゴオッ!!

フーゴ「うごふッ!!」

345: ◆eUwxvhsdPM 2014/02/02(日) 23:20:50.55 ID:Eff8GQi50
フーゴ「ちょ……!シーラE、みぞおち入ったぞ……ゲハッ!」

シーラE「あ、あ、あ……アホウ!何!?何で今抱きしめたのッ!?」

フーゴ「なんでって言われても……ネクタイ直すのに時間かかって暇だったし」

シーラE「暇つぶしに抱きしめんなあッ!」

フーゴ「あとほら、ぼくの方が背が高くて、丁度こう……君が抱きしめやすい位置にいたし」

シーラE「だからって抱きしめんなあッッ!!」

フーゴ「いやあ、ぼくの腕に綺麗に収まるんだよね……お昼寝する時に抱きしめたら安眠出来そうだ」

シーラE「アンタあたしの事何だと思ってんの!?」

フーゴ「……安眠抱きまくら?」

シーラE「バカァーッ!!」

ドカァーン!!

フーゴ「ぷげえええええ!!?」

…………

346: ◆eUwxvhsdPM 2014/02/02(日) 23:24:28.36 ID:Eff8GQi50
…………

シーラE「もうっ、もうっ、もうっ……!」プンプン

フーゴ「悪かったって。本当に……いい加減ぼくの指を噛んでる唇を消してくれないかい?」ガジガジ

シーラE「……ホンット、あんな事マジでやめなさいよね……!」

フーゴ「ああ」

シーラE「……本当にわかってる?」

フーゴ「うん」

シーラE「……神に誓って?」

フーゴ「……」

シーラE「目ェそらすなコラ」

フーゴ「いやあ、だって……君をからかうのは楽しくってさ……」

シーラE「『ヴードゥー・チャイルド』ぉー。全部の指噛み付くようテーブルに唇出しなさい」

フーゴ「アイダダダダダダダ!」ガジガジガジガジ!

347: ◆eUwxvhsdPM 2014/02/02(日) 23:26:00.83 ID:Eff8GQi50
シーラE「罰として、ここの支払いアンタ持ちね」

フーゴ「わかったよ。……はあ」

シーラE「ため息つきたいのはこっちよ。ったく……世間は平和だっていうのに、アンタといたら心が休まらないわ」

フーゴ「そりゃあどうも、すまなかったね」

シーラE「クッソー……」

キャアアアー!!

ワンワンッ!!

シーラE「?……何?騒がしいわね……」

348: ◆eUwxvhsdPM 2014/02/02(日) 23:27:37.45 ID:Eff8GQi50
「キャー!!ひったくりよォォーッ!!」

「ワンワンッ!!」

ブゥゥ――ンッ!!

ひったくり「へへへッ!!」

「誰かそいつを捕まえてェェ――ッッ!!」

フーゴ「……世間もそうそう、平和じゃあないみたいだね」

シーラE「フ~~ゴぉ~~」ダルッ

フーゴ「……何?」

シーラE「んっ」ビッ

フーゴ「……ぼくが行けってかい?」

シーラE「うん」

フーゴ「嫌だよ」

シーラE「何で?」

フーゴ「殺しちゃったらどうするんだい?」

シーラE「手加減しなさいよ」

フーゴ「即死しちゃうよ。わかってて言ってるよね?」

349: ◆eUwxvhsdPM 2014/02/02(日) 23:29:10.05 ID:Eff8GQi50
フーゴ「捕まえるだけなら君が適任だろ?シーラE」

シーラE「嫌よ。面倒臭いもの」

フーゴ「自分の嫌な事を人に押し付けないで下さい」

シーラE「しょうがないわね……フーゴ」

フーゴ「はい」

シーラE「奇数!!」

フーゴ「……じゃあ、偶数」

シーラE「ビン!ブン!」

フーゴ「バン」バッ

シーラE……2
フーゴ……2

フーゴ「ぼくの勝ちですね」

シーラE「ちょ!タンマ!今の後出しだったわ!もっかいもっかい!!」

フーゴ「嫌だよ。僕の勝ちですー」

※ビンブンバン(bimbumban)……イタリアのじゃんけんのようなもの。
二人の出した数の合計が偶数か奇数かで勝ち負けが決まる。大変まどろっこしい。

350: ◆eUwxvhsdPM 2014/02/02(日) 23:30:56.24 ID:Eff8GQi50
シーラE「ううう……クッソー、子供ん時はこれ負け知らずだったのに」

ヴゥゥーン!!

フーゴ「シーラE、ひったくり犯のオートバイが逃げていく。早く行った方がいい」

シーラE「っつってもさ、やっぱりこんなの盗られた方が悪いと思わない?あたしら正義の味方じゃあないし、律儀に助けなくっても……」チラリ

おばさん「誰かァァ――ッ!助けてェェーッ!!」

犬「キャイン!キャイン!!」

シーラE「……あっ」

フーゴ「えっ?」

シーラE「さっきの、犬のおばさん……!」

フーゴ「……あ、本当だ」

シーラE「……」

351: ◆eUwxvhsdPM 2014/02/02(日) 23:31:35.70 ID:Eff8GQi50
おばさん「誰かァァ~~ッ!……」

シーラE「……ったく。しょうが無いわね」

ズアッ!

シーラE「『ヴードゥー・チャイルド』ッ!!」

ヴードゥー・チャイルド『エリィッ!!』ドガアッ!!

ビシ!ビシ!ビシ!!

ひったくり「ははっ!ノロマなババアだぜッ!じゃあなァ――ッ!!」

ブゥーン!

352: ◆eUwxvhsdPM 2014/02/02(日) 23:33:04.80 ID:Eff8GQi50
バカッ!

唇『あーん……』アングリッ

ひったくり「!?――えっ?」ガチッ!

ガクンッ!!

ひったくり「うっ……うおおおおおおおおお!!?」

ギャルギャルギャルギャル!!

ドッガァ――ンッ!!

シーラE「地面に『唇』を付けた。とびっきり大きなヤツをね……前輪がハマって盛大にコケたみたいだけど……ま、あたしには関係無いわね」ズズズッ

フーゴ「……」

シーラE「んー、美味しいわね。このコーヒー♪」

フーゴ(……やっぱり君が適任じゃあないか)

353: ◆eUwxvhsdPM 2014/02/02(日) 23:33:40.77 ID:Eff8GQi50
ひったくり「う、ううう?……クソッ!何が起こったんだ……?」

ザッザッザッ……

ひったくり「……うっ!?」

シーラE「ヴォンジョルノ、コソ泥さん。……あたしの前で悪事を働いたのが運の尽きだったわね」

フーゴ「……」

バン!

354: ◆eUwxvhsdPM 2014/02/02(日) 23:34:14.22 ID:Eff8GQi50
ひったくり「て……テメエらの仕業かッ?……クソッ!!」ギリッ!!

シーラE「抵抗なんてするんじゃあないわ。無駄だからね……無駄無駄。ジョルノ様の嫌う行為だわ。黙って大人しく、捕まっときなさい。……あたしを怒らすんじゃあないわよ」

ひったくり「うるせェェェ――ッ!!テメェーのせいで人生お終いだぜこのクソッタレ女がッ!!『変な格好』しやがってよォォォー俺を見下してんのかッこの『クソダサコスプレ女』がよォォォ――ッッ!!!」

プッツーン☆

フーゴ「あっ」

ひったくり「……えっ?」

355: ◆eUwxvhsdPM 2014/02/02(日) 23:35:26.19 ID:Eff8GQi50
シーラE「……」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

フーゴ「ちょ、ちょっとシーラE……?彼もきっと、悪気は無かったんだと思うよ?その、つい勢い余って言ってしまっただけなんだ。たぶん。だから、その……」

シーラE「……」ギロッ

フーゴ「……あー、いや……なんでもない」

ひったくり「?……?何言って……やがんだ?な……何だよ?この……『凄み』はよォ……!?」

シーラE「……」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

ひったくり「お、おい待て……やめろオイ。俺今オートバイでコケてよォ……腰打っちまったし、スリキズ作っちまったよお。イテテ!……こんな怪我人を……ブチのめすなんざ、しねえよなあ?な?……」

シーラE「……」

ひったくり「……『コスプレ女』よぉ~~ッ?」

シーラE「『ヴードゥー・チャイルド』」

ヴォン!!

356: ◆eUwxvhsdPM 2014/02/02(日) 23:36:32.24 ID:Eff8GQi50
ヴードゥー・チャイルド『エェェェエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリエリィィィィィィィィイイイイイイ!!!!!!!』

ひったくり「ヤッダーバァアァァァァアアアアア!!!!」

ドッガァァ――ンッ!!

フーゴ「やりすぎだシーラEィィ――ッ!!」ズガビーン!!

357: ◆eUwxvhsdPM 2014/02/02(日) 23:37:17.39 ID:Eff8GQi50
ひったくり「ひ……ヒクヒク……」ピクピク……

フーゴ「し……シーラE?」オソルオソル

シーラE「あ……あたし……こいつ警察につきだしたら、服屋行くわ……センス悪いって店員にバカにされるのも結構いいかもね……キチッとしたスーツも欲しい!イタリア製の高級黒スーツよ!ネクタイもつけてみよう!」

フーゴ「……ぼくが買ってあげますよ……」

シーラE「……うん」

…………

358: ◆eUwxvhsdPM 2014/02/02(日) 23:37:53.83 ID:Eff8GQi50
…………

服屋――

シーラE「ふーん……」キョロキョロ

フーゴ「様々な服がありますね……」ウロウロ

店員「いらっしゃいませェ~~ッ。本日はどのような服をお探しでェ?」

シーラE「あ、えっと……動きやすそうな黒のスーツとか――」

フーゴ「とりあえず、彼女に似合いそうな可愛い服とかありませんか?」ズイッ

シーラE「ちょ、ちょっとフーゴ!」

フーゴ「せっかく服屋に来たのだから、色々試さないと損だろう?」シレッ

シーラE「け、けど……かわいい服って何よ」

フーゴ「何って……女性ならそういう服が欲しいんじゃあないのか?」

シーラE「……似合わないって、あたし。……こんな傷だらけの顔だし」

359: ◆eUwxvhsdPM 2014/02/02(日) 23:38:33.55 ID:Eff8GQi50
店員「いやいやァ、お姉さんホンット美しいじゃあないですかァ~~。やっぱガイジンさんは出来が違うなあッ!」

フーゴ「だってさ、シーラE」

シーラE「適当なおべっか使ってんじゃあないわよ」ブスッ

店員「いやいや本当ですって!こりゃあ服の選びがいがあるなあッもうっ!!んじゃっ、ちゃちゃっと全身コーディネートしちゃいますねェ~~ッ。彼女素材がイイーッから何でも似合いそうですねェ~~ッ!」ニコニコ

シーラE「えっ、ちょ、マジで?」

店員「彼氏さんはここで少ォしお待ちを……すぐ済みますので。それではァ~~ッ!」ガシッ!

シーラE「ちょっと、待っ、引っ張らないでよ!そもそもあいつ彼氏じゃ……ちょ!フーゴ!ふーごぉ~~っ!!」

ズルズル……

フーゴ「……ぼくも少し、服でも見るか……」

…………

360: ◆eUwxvhsdPM 2014/02/02(日) 23:39:13.38 ID:Eff8GQi50
…………

フーゴ「……うーん、このネクタイは少し派手かな?でもなあ……」

店員「お待たせしましたあっ!コーディネート、終わりましたよおっ!」

バーン!

フーゴ「おっ?どれどれ?」クルッ

シーラE「う……ううううう~~ッ……!!」モジモジ……

フーゴ「……」

ミニスカート フリフリッ♪

リボン プリプリッ♪

店員「いやァ~~、ホンット可愛らしいお姉さんでしたからね。服装も可愛らしく決めてみました。どうですっ?彼氏さんッ?」

フーゴ「……どうって……いやあ、うん……」ジロジロ

シーラE「見るなバカッ!殺すわよッ変態!!」ガルル

361: ◆eUwxvhsdPM 2014/02/02(日) 23:39:51.88 ID:Eff8GQi50
フーゴ「うん。いいんじゃあないかな」ニコッ!

シーラE「へあっ?」

フーゴ「すごくいいよ。このフリフリのスカートとか……ちょっと大きめの上着とかもいい感じだね、うん……可愛いよ?」

シーラE「かっ!……か、かわいいとか……///」モジモジ

フーゴ「うん!いつもの訳がわからない民族衣装に比べたら、1000倍マシだねッ!」ニコッ!!

シーラE「エリイッ!!」ドゴオ!!

フーゴ「なんで殴るのッ!?」ゲハアッ!

…………

362: ◆eUwxvhsdPM 2014/02/02(日) 23:40:36.57 ID:Eff8GQi50
…………

シーラE「やっぱりあたしには、こういうのが似合ってるのよ……動きやすいし」ピシッ

フーゴ「パンツルックのスーツですか」

シーラE「イタリア製は肌に馴染むわね……あたしこれ買うわ。こういう服なら、日本でも目立たないでしょう」

フーゴ「さっきの可愛い服は?」

シーラE「捨てときなさいよ。絶対いらない」

店員「あのォ、一応ウチの商品ですので……」

シーラE「フンッ!」

フーゴ「……」

363: ◆eUwxvhsdPM 2014/02/02(日) 23:41:09.70 ID:Eff8GQi50
フーゴ「……可愛かったのになあ」ボソッ

シーラE「ッ!……」

フーゴ「……本当にいらないのかい?」

シーラE「……しつこいわね。いらないわよ……マジに」

フーゴ「しかし……」

シーラE「フーゴ、あたし達は『裏の世界』の人間よ」

フーゴ「!……」

364: ◆eUwxvhsdPM 2014/02/02(日) 23:41:40.94 ID:Eff8GQi50
シーラE「これから先も、ずっとずっと……薄暗い闇の中で生き続けなくちゃいけないのよ」

フーゴ「……ああ」

シーラE「あたしは、あたし達は……人並みの幸せなんか、手にしちゃあいけないのよ。それはきっと……弱さに繋がるから」

フーゴ「……」

シーラE「わかったなら、早くスーツの代金払ってきてよ。任せたわよ」プイッ

フーゴ「……シーラE」

シーラE「ん?」

365: ◆eUwxvhsdPM 2014/02/02(日) 23:42:13.87 ID:Eff8GQi50
フーゴ「それでも、きっと……ジョジョなら、きっと。……ぼく達にも、幸せを掴む権利はあると……力強く、言ってくれるはずだ」

シーラE「!……」

フーゴ「……外で待っていてくれ」スタスタ

シーラE「……わかったわ」

フーゴ「…………」

366: ◆eUwxvhsdPM 2014/02/02(日) 23:42:50.44 ID:Eff8GQi50
店員「えーっとォ……それでは、イタリア製のスーツの代金ですがァ……」カチャカチャ

フーゴ「……あの、すみません」

店員「はい?」

フーゴ「もうひとつ、あれを――」

…………

367: ◆eUwxvhsdPM 2014/02/02(日) 23:43:24.33 ID:Eff8GQi50
…………

カランカランッ……

フーゴ「待たせたね」

シーラE「……遅かったじゃあないの」

フーゴ「ああ。すまない」

シーラE「ったく……さっさと行くわよ。会計にどんだけ時間かかってんだか……」

フーゴ「シーラE」

シーラE「ん?」

フーゴ「これを……」

ガサッ

368: ◆eUwxvhsdPM 2014/02/02(日) 23:44:03.35 ID:Eff8GQi50
シーラE「!……これって……?」

フーゴ「さっきの服だよ。……プレゼント用に、包装してもらってたんだ」

シーラE「んなっ!バッカじゃあないのッ!?そんなもんいらないわよッ!あたしをからかってんの?」

フーゴ「……」

シーラE「アンタにバカにされるに決まってるのに、着るわけないじゃあないのッ!!そんなもん捨てて――」

フーゴ「着なくてもいい」

シーラE「……何?」

フーゴ「着なくても、いいんだ。ただ、ぼくは君に……『プレゼント』をしたかった。ただ、それだけなんだ」

シーラE「……」

369: ◆eUwxvhsdPM 2014/02/02(日) 23:44:36.34 ID:Eff8GQi50
フーゴ「そして、いつか君が……心の底から『幸せ』だと、そう感じた時に――」

ガサッ

フーゴ「……袖を通してみてくれ。きっと……君の笑顔に、この服は……ぴったり似合うと思うんだ」

シーラE「……」

フーゴ「……」

370: ◆eUwxvhsdPM 2014/02/02(日) 23:45:09.68 ID:Eff8GQi50
シーラE「……バカ」

フーゴ「……」

シーラE「ばーか。ばかばか。バカフーゴ」

フーゴ「……」

シーラE「……」

フーゴ「……」

シーラE「……もう……」

ガサッ

371: ◆eUwxvhsdPM 2014/02/02(日) 23:45:47.85 ID:Eff8GQi50
シーラE「あ……ありがとう。……パニー」

ニコッ!

フーゴ「ッ……!」ドキッ

シーラE「……えへへ……」テレテレ

フーゴ「……ミスタの前でその名前で呼んだら、キレるからね。ぼく」

シーラE「なんでよぉー」

フーゴ「からかわれるに決まってる」

シーラE「いいじゃあないの。いつもあたしをからかってる罰よ♪」フフン

フーゴ「ったく……」

372: ◆eUwxvhsdPM 2014/02/02(日) 23:46:31.60 ID:Eff8GQi50
フーゴ「さあ、そろそろ行こうか?シーラE。十分息抜きは出来ただろう」

シーラE「ええ。この動きやすいスーツなら、吸血鬼にもすぐ追いつけそうだわ」

フーゴ「このすぐ近くのマンションで、失踪事件が起きたらしい。……さっそく行ってみよう」

シーラE「ふんッ……すぐに追いついてみせるわ。あたしの『ヴードゥー・チャイルド』の能力でね」

フーゴ「頼もしいよ」

シーラE「トドメをさすのは、アンタよ?フーゴ」

フーゴ「ああ。……任せてくれ」

ザッ!

373: ◆eUwxvhsdPM 2014/02/02(日) 23:47:02.22 ID:Eff8GQi50
シーラE「うーんッ!……今日は良い日ねぇ、フーゴ」

フーゴ「まったくだ」

シーラE「空が青くって……いい気持ち」

フーゴ「ああ」

シーラE「……」ニコッ

フーゴ「……」ニコッ

374: ◆eUwxvhsdPM 2014/02/02(日) 23:47:28.42 ID:Eff8GQi50
シーラE「行くわよ、フーゴ……追跡再開よッ!」ザッ!

フーゴ「ああッ!!」ザッ!

シーラE「頼りにしてるわよ?……『相棒』」

フーゴ「ぼくもさ……『相棒』」

シーラE「……ふふっ!」

フーゴ「……ははっ!」

ザッ!!

…………