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1: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/24(木) 17:19:38 ID:Ji05Go0Y
※これは俺の好きな、ある少女漫画をSS化した物です
※SS化のため、原作と少しだけ表現の違いなどが幾つかあると思います

2: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/24(木) 17:34:06 ID:Ji05Go0Y
女「」タッタッタッ

女(ぎゃー!遅刻しちゃうー!!)タッタッタッ

女「はぁっ…!はあっ…!」タッタッタッ

女(もっ、もうすぐ校門だっ…!)タッタッタッ

女(ここを曲がれば!!)タッ

グニッ

女(わ゙っ!?だ、誰かの足踏んじゃった!?)

女「ごっ、ごめんな」クルッ

男「」ギロッ

女「さっ!?!?」

女「」

男「…」

男「……」トコトコ

女「……」

女(…………こっ…こぁい…)プルプル





3: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/24(木) 17:44:30 ID:Ji05Go0Y
女(…高校生の私は今でも)

女(はっきり言って、色んな事に自信が……)

女(ありません)

キーンコーンカーンコーン

女「」ズーン…

女友「どしたの、女。顔色ひっどいけど、何かあった?」

女「い…いや……」

女友「吐きな。あんた、溜め込むから」バンッ


「男ー」

男「ん?」


女友「男の足を踏んだ…?」

女「た…たぶん、もんのすご~く痛かったんだと思うんだ……」

4: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/24(木) 18:01:51 ID:Ji05Go0Y
女「も…もしかしたら、指の足が折れて…!」ビクッ

女友「踏んだくらいで普通は折れない。気にし過ぎなんじゃないの?」

女友「女は超、マイナス思考だからなぁ~」

女「」グサッ

女友「ったく、何でそうなったのかっ。ふんとにっ」

女「……うぅ」

女(何で…かなぁ…)

女(……思えば)

女(小さい頃から、この性格のせいで色々と男子にからかわれて)

女(それから男の子が苦手。自分の容姿、性格、思考回路…自分に関する全ての要素が大嫌い…)

女(だいたい、すぐ緊張するし、赤面するし、引っ込み思案だし、トロイし…………うっ)ホロリ

女(……自分でも、直したいとは…凄く思う…)イジイジ

キーンコーンカーンコーン

…………
……

5: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/24(木) 18:21:13 ID:Ji05Go0Y
女友「くぁ~っ!疲れた!」ノビー

女友「楽そーだと思ったからなったのにっ。文化祭の小道具係!」

女「案外、大変だね」

カエローカエロー

ザワザワ

女友「何であたしらばっか残んのさっ。旗作りめんどい!もー」バサッ

女「慣れない裁縫はやっぱ難しいね…」チクチク

女「…」チクチク

女「」プスッ

女「いだい゙…」

女友「つーか、この後夜祭のテーマ『肉食』って何すんだろ。皆でバーベキューでもすんのかね」

女友「」グー

女友「……腹減った」ジュルリ

女「うーん…予算的にどーだろ…」

6: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/24(木) 18:36:15 ID:Ji05Go0Y
女「あっ、もしかして『肉食系』とか『草食系』とかの意味かなぁ?」

女友「あー」

女友「…あんたは絶対、草食系だよねぇ」

女「そ…そーかな?」

女友「自分からガツガツ行くタイプじゃないでしょ」

女友「…そうだなぁ、んーとねぇ……」キョロキョロ

女友「あ、ほらほら。あーいうのを肉食系って言うんだよ。肉食女子」ユビサシー

女「…?」チラッ

女「!」

女(男君…の周りに女子…)


男「…つーか、何の用?」ブアイソー

「えー、用なきゃダメなのー?」

キャッキャッ


女(はえー…他のクラスの子まで…)ボー

7: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/24(木) 18:58:44 ID:Ji05Go0Y
オトコーハナソー

キャッキャッ

女「……」

女(…あんなコワそうな感じなのに人気、あるんだなぁ…)

女(意外…)

女(って失礼だなっ)ブンブン

女友「まぁ男、顔は良いからねー」

女「顔…」

女友「あたしはもうちょい甘々で優しげな人のがタイプだけど」


「ねぇねぇ、男ー」

男「何?」


女「…」ジッ

9: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/24(木) 19:23:15 ID:Ji05Go0Y
ナンデモナーイ

男「何だよ」

アハハハハハハ

女(…こんなにちゃんと見たの初めてかも…)ジーッ

女(いつも、目が合ったら困るから男の子の顔はちゃんと見れないし…)ジーッ

女(…確かに女友ちゃんの言う通り)

女(………綺麗な顔、してるなぁ)ジッ

男「……」チラッ

女「!?」

女友「女ー!聞いてるのっー?」

女「っ…!」バッ

女友「だから!女はもっと積極的に!」

女「ちょっ…女友ちゃん!大きな声で喋らないでっ…!」

女友「はぁ!?何でさっ!だからっ、そういうとこが女はー!」

女「お願いっ、注目されるの嫌なんだもんっ」アワワッ

10: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/24(木) 19:37:29 ID:Ji05Go0Y
女友「何さっ!別に注目ぐらい!」

女「しーっ!しーっ!」

男「……」

…………
……


女友「あっ!もうこんな時間!」

女「ほんとだ…」

女友「女、急行間に合わなくなるから先帰りなっ」

女「ご、ごめんね!ありがとう」ゴソゴソ

女「旗持って帰らなくちゃ…。入るかな…」



女「…」トコトコ

女(お、重い……)トコトコ

11: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/24(木) 19:48:16 ID:Ji05Go0Y
女(靴箱……)

女「…」カタンッ

女(靴取れたけど、荷物大量で履きにくい……)

バサッ

女(あっ、ふ、袋がっ…)

ボコッ

女(ああっ!靴片方落ちたっ!)

女(うぅ…どんくさいなぁ…)

女「拾わなきゃ…」イソイソ

女「…?」クルッ

男「……」ム~ン

女「!!」ビクゥッ

女(お、男君!!)ガタガタ

12: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/24(木) 20:06:23 ID:Ji05Go0Y
男「……」

女(あっ…そっ、そうか…!あたし邪魔だっ…!)アタフタッ

グイグイッ

女(くっ、靴入んないっ…!!)パニック

男「…」

女(なっ、何で!?上手く足が靴に入らないっ!ひぃぃ~っ!!)グイグイッ

男「…持ってようか?」

女(えっ…!)クルッ

男「…」

女「えっ…あ、いやっ、そんなっ」カァッ

女(手に汗かいてるよ、あたし!!)アワワッ

男「…でも」

13: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/24(木) 20:07:05 ID:Ji05Go0Y
男「……」

女(あっ…そっ、そうか…!あたし邪魔だっ…!)アタフタッ

グイグイッ

女(くっ、靴入んないっ…!!)パニック

男「…」

女(なっ、何で!?上手く足が靴に入らないっ!ひぃぃ~っ!!)グイグイッ

男「…持ってようか?」

女(えっ…!)クルッ

男「…」

女「えっ…あ、いやっ、そんなっ」カァッ

女(手に汗かいてるよ、あたし!!)アワワッ

男「…でも」

14: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/24(木) 20:19:41 ID:Ji05Go0Y
女「あのっ、いやほんとっ」

男「荷物、かして」スッ

女「っ!?」ドキッ

女「いいですっ!!ごめんなさいーっ!!」ダダダッ

男「…!」

男「………逃げた」

男「……」

男「…」カタンッ

男「…!!」

男「………サイフ」ヒョイッ



女「」タタタ

女(わ…悪い事をしてしまった…逃げてしまった…!!)

女(親切で言ってくれたのにっ!最低だあたしは!!)

女(どうしよう…。今日一日あたしのせいで男君が少しでも嫌な気分に……)ズキンズキン

17: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/25(金) 15:59:01 ID:M34f4w3M
ガヤガヤ

女「!」

女(電車も混んでる…)

女「……」

女(…ほんと)

女(ダメだなぁ、あたしは……)ズキン

ドアガシマリマス

ハクセンノウチガワマデ~

女「…」

ギュウギュウ

女(詰め詰めだ…)

ドカッ

女(うぅっ…。押されて痛い…)

ガシャンガシャン

ピーッ

18: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/25(金) 16:19:50 ID:M34f4w3M
「ちょっと何で発車しねーんだよ!」

女「!」

女(か、鞄がドアからはみ出てっ…)

女(降りなきゃっ…!でも前の人に押されて動けないよっ…!降りるに降りられない!)

女(どうしようっ…!あたしのせいでドアが閉まらないっ…!!)

ギュウーッ

女(く、くるし……)

グイッ

「でっ」

女(誰かに外から押されっ…!?)

女「っは…」

女(や、やっと息が…)

男「すみません」

女「!!」

男「挟まってる奴いるんで詰めて下さい」

19: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/25(金) 16:41:45 ID:M34f4w3M
女(男君!!)

「えっ、あ、ごめっ」ススッ

…ガタンゴトン

…ガタンゴトン

男「…」

女「あ、あの、ありが…」

「さっきのどうしたの?」ヒソヒソ

「挟まってたってどいつ?」ヒソヒソ

女「!!」

「あー、あの子じゃない?」ヒソヒソ

ジロジロ

女「っ…!」カァッ

「それより、ドスのきいたデカイ声、あの男?スゲーな」

ザワザワ

20: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/25(金) 16:57:22 ID:M34f4w3M
女(わ…わあぁぁぁっ…!)

女(あたしのせいで男君までっ!)

女(うぅ…いたたまれない……)

女「…」チラッ

男「……」

男「…こっち」スッ

男「ここ立ちなよ。楽だから」

女「!」

女(あ……れ…?)

女「…」

女(…男君は)

男「……」

女(気にならないのかなぁ……)

21: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/25(金) 17:30:05 ID:M34f4w3M
男「…つーか、これ…」スッ

女「…え」

女「あっ!!あたしのサイフ!?うそっ、ごめっ」

男「サイフ無くてよく乗れたね」

女「てっ、定期で乗ったからっ!気付かなくてっ」アタフタッ

男「あー、そか」

女「!」

女(あ……)

男「…」

女(男君…汗かいてる…?)

女「っ…」ドクンッ

女(…もしかして、これ届けるために)

女(追いかけて来てくれたの…?)

女「…」ギュッ

22: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/25(金) 17:46:30 ID:M34f4w3M
マモナクーコウダイーコウダイー

ミギガワノトビラガ~

女「…あっ、の!」

プシューッ

ドドドッ

女「ぐえっ」

男「なっ…」

タダイマシャナイタイヘンコミアッテオリマス

ナカホドヘオツメニナッテ~

女(人がさらに増えてっ…!)

ギュウギュウ

女(ひ~っ!!)

23: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/25(金) 17:47:08 ID:M34f4w3M
マモナクーコウダイーコウダイー

ミギガワノトビラガ~

女「…あっ、の!」

プシューッ

ドドドッ

女「ぐえっ」

男「なっ…」

タダイマシャナイタイヘンコミアッテオリマス

ナカホドヘオツメニナッテ~

女(人がさらに増えてっ…!)

ギュウギュウ

女(ひ~っ!!)

24: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/25(金) 17:57:01 ID:M34f4w3M
ピトッ

女「」ハッ

女(おでこの油がガラスにつくっ…!)

女(どうしよっ…人に不快な思いをっ)

ドカッ

女「ぐえっ」

女(それ所じゃない!!)

ギュウギュウ

女(苦しい~!!息できない!!)

ガタンゴトン

女(死ぬ~っ!!)

25: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/25(金) 18:28:35 ID:M34f4w3M
ツギハーミナミマチーミナミマチー

ヒダリガワノドアガヒラキマス

男「!」

男「なぁっ、次こっちのドア開く!」

女「えっ?」

男「押し出されるかもしれないからどっか捕まって!」

女「え゙っ!?」

女(えぇぇっ!どこ掴めばっ…!!)アワワッ

男「…っ!」

女(どっ、どーしよ!!手を動かせないっ…!!)アワワッ

男「ちっ!!」バンッ

乗客「」ビクゥッ

男「っ…」ガッ

女(襟元捕まれたっ…!?)

26: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/25(金) 18:47:33 ID:M34f4w3M
プシューッ

男「っ」グイッ

女「!?」

フワッ…

女「!!」

女(一瞬)

男「……っはぁ」

女(空気が)

女(止まった………)

女「ごっ…ごめっ」ゼェハァ

男「や…俺こそ」ゼェハァ

女(そ、外に出れた……)ゼェゼェ

男「……っふぅ」

女(男君が、引っ張ってくれたんだ…)

27: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/25(金) 19:10:39 ID:M34f4w3M
ギュウギュウ

ギャーワーオチルー

男「…あー、この電車もう乗れないな…」

女「う、うん…」

………
……


男「…」

女「…」

男「…」

女(…え、駅のホームで二人っきり…!きっ…緊張しちゃうよっ…)

男「……」

女(男の子と二人だけなんていつぶりだろう…。いやっ、初めてかもしれない…!!)

女(い、色々言わなきゃっ…!)

男「…」

女(サイフのお礼とさっきのお礼と昇降口での謝罪と…あっ!足踏んだのも謝らなくちゃ!)

28: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/25(金) 19:44:03 ID:M34f4w3M
女「…えっと……それから……」グルグル

女「………」ブツブツ

女「…………あ」

男「あのさ」

女「はいっ!?」ドキーッ

女「あっ、ごめんねっ!お先にどーぞっ」キトキト

男「………じゃあ」

男「あのさ…注目されるの、何で嫌なの?」

女「えっ…」

男「…」

女「…っ」カァッ

女(き、教室で聞かれてたかな…)

女「……」

29: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/25(金) 20:23:23 ID:M34f4w3M
女「その……こんな自分を見て欲しく無くて……」

男「…何で?別に悪い事してる訳じゃないじゃん」

女「いや…あの…」

女「…小さい頃からずっと『赤面オバケー赤面オバケー』ってからかわれどおしで…」

女「何て言うか…その……」

男「……ふはっ」

女(…え?)

女「…」チラリ

男「くく…なんだそれ…」

女「!」ドキッ

女(……わ…笑っ…)

30: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/25(金) 20:45:55 ID:M34f4w3M
男「……つーか、人って色んな事気にするもんだなー…」

女(ゔっ。…うざくてごめんなさい…)

女「そ…そうなんだ。あたし…ど、どうでも良い様な事気にしすぎて、逆に肝心な事気付かないって言うか…」

女(あれ…なんだろう…。つい喋っちゃう…)

女「それで…人に返って嫌な思いを…」

男「…」

女(わ゙…重い事言ってる…)

女(…どうしてかな)

女(笑顔を見せてくれたから…?)

男「…」

男「…色々気にするって事は、人の痛みが分かんだよ」

女「…!」

男「もっと、自信持っていんじゃない」

女「…」

33: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/25(金) 23:50:58 ID:.pxjaFZk
やだ・・・キュンキュンする・・・!

34: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/26(土) 08:12:41 ID:0GaV3cH2
確かにすごく少女マンガっぽいよ、支援

35: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/26(土) 13:27:32 ID:ovcM2rzA
男「それに」

男「こうして、少し話しただけだけど」

男「あんた自身も、良い人じゃん」

女「!!」バッ

女(……そんな事、初めて言われた…)

男「…まー、俺も気にする事無い訳じゃないけどなー」

女「…え?」

男「眉間にさー、皺が寄るんだよなー、ここ。もうガキの頃から」ミケンチョンチョン

男「あと、目が悪くてこーやって見る癖もあるから」ムッ

女(あ…)

36: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/26(土) 13:53:18 ID:ovcM2rzA
女(そうか…それで…)


男『』ギロッ

男『……』ム~ン


男「目つき悪いとか怒ってんのとか、昔っから…」

男「密かな悩み」

女(……そう…だったんだ…)

女「……ふふっ」

男「…!」

37: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/26(土) 14:20:05 ID:ovcM2rzA
男「…笑ったな、人の悩みを…。前言撤回するぞ」

女「!?」

女「ごっ…ごめんなさい!!そういう訳じゃなくてっ!!」アワワッ

男「……ふ」

男「ははっ」

女「…!」

女(……不思議)

………
……


母「女ー、洗濯物出しちゃいなさいよー」

女「はーい」

女(不思議…だなぁ)

38: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/26(土) 14:38:29 ID:ovcM2rzA
女(…あんなに自分の事が嫌いだったのに)

女(今日は何だか…)


男『あんた自身も、良い人じゃん』


女(嬉しく感じる…)

女「…」ポフッ

女(心があったかい…)

母「女ーっ、靴下もっ」

女(お母さん…)

女(…今までお母さんが、あたしを産んで育ててくれたのに)

女(あたし、自分の事を嫌いなんて言っててごめんね)

女(ありがとう…)

女「…」

女(…男君て、すごい人だなぁ…)

女(あんな人っているんだ…)

39: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/26(土) 15:08:04 ID:ovcM2rzA



女友「女ー、学食行こー」

女「うんっ」

トコトコ

女(女友ちゃんはいつもこんなあたしとも一緒にいてくれてる…)

女(えへへ…)ニヘニヘ

女友「…何?にやにやして」

女「へっ!?ほんと!?」カァッ

トコトコ

「お前っ、生意気なんだよ!!」

女「!?」クルッ

「~~!!」

女(う…うわーっ、ケンカ!?やだなぁ…)

「ふざけんじゃねーぞ!!」

女(こわい…大丈夫かな…)

40: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/26(土) 15:19:07 ID:ovcM2rzA
女友「あほくさー。いこ、女ー」トコトコ

女「う、うん…」トコトコ

女「…」チラッ

「1年の癖にイキがりやがって!!」

男「…」

女「!?」

女(お…男君!!)

「ちょっとくらい背がデカくてモテるからってよーっ!俺のずっと好きだった祥子ちゃんまでお前の事っ…!!」

「ケ、ケンちゃん、それ褒める事になってる…」

「えっ」

男「…」

女(さ、三年生に絡まれてるの男君だったんだっ…!)

41: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/26(土) 15:39:29 ID:ovcM2rzA
「とっ、とにかく!!目つき悪いんだよお前!!いっつもいっつもガンたれて来やがって!!」

男「」ピキッ

男「あぁ?」ギロッ

「「!?」」ビクッ

女(こ、こわっ)

「なっ!…んだよその態度!!」ドンッ

男「っ」

女(あっ、痛い!)

男「…ち」グイッ

「…!」

グググ

「こ、こんにゃろ……力つよ……」グググ

42: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/26(土) 16:00:15 ID:ovcM2rzA
グググ

男「…」ポイッ

男「…」トコトコ

「……ばっ」

「ばーかっ!ばーかっ!今度はもっと大人数で来てやるからなっ!!覚えてろっ」

「ケンちゃん…」

女(こっ…こわい!やっぱり男の人って怖いなぁっ…!)ビクビク

女(でもっ…)

女(…でも!!)タッ

「お前なんかボッコボコのメッタメタのギッタンギッタンに…!!」

ドカァッ

「ぐほぉっ」

女(しっ、しまった!勢いあまってつまずいてしまった!!)

女「ごっ、ごめんなさい!!」

男「…!」ハッ

43: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/26(土) 16:17:19 ID:ovcM2rzA
「いいとこで……いてて」

女「すみません!!すみません!!」ペコッペコッ

「き、気を付けてよねー…」

女「はいっ」

女「…」ギュッ

女(…勇気を出せ、あたし…)

女「あっ、あのそれでっ…本題に入りますが…」

女「め、目付きとかで人を判断するのは、良くないと思うんです…」

女「その…中身を知ったら、すごい良い人とかあると思うし…」

女「そ、それに…聞いてたら何だか、そちらの逆うら…いえ!誤解もあるのかな……って」

女「だから!あのっ、大人数で来るのはやめてほしっ…!」バッ

「それでよー」スタスタ

「まじかー」スタスタ

女(あれ!?)

44: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/26(土) 16:37:42 ID:ovcM2rzA
女(し、しまった…!謝っててタイミングを逃した!!)

女「ちょっと待っ…」

ケンチャンマジウケルー

ギャハハハハハ

女「……」ボーゼン

男「……ぶふっ」

女「!」クルッ

男「…」ミケンチョンチョン

男「……ふ」

男「…ありがとな」

女「!!」ドキンッ

女「っ…」キュウ

45: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/26(土) 16:51:09 ID:ovcM2rzA
女(…男君といると、勇気が出るのかな)

女(今までのあたしには無かったものが…)

女(だって、今も、こんなに)

女(心が)

女(動く)



女(あれから毎日)

女(寝ても覚めても、浮かんでくる)


男『あんた自身も、良い人じゃん』

男『…ありがとな』


女(…男君の言葉が)

女(頭の中で何度も)

女(リフレインされる)

46: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/26(土) 17:08:23 ID:ovcM2rzA
ワイワイ

ガヤガヤ

ペンキカシテー

カンバンデザインスルノテツダッテー

女(だんだん、文化祭の準備も進んで来たなぁ…)

カップルハンガクキッサテン!!

女「!」

女(カップル半額いいなぁ…)

女(あたし達も早く、後夜祭の旗終わらせなくちゃ)

女「…」トコトコ

ガンッ

女「う、わっ!」コケッ

女(なっ、何か足に当たった!?)

女(こ、これって看板…?)

47: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/26(土) 17:18:48 ID:ovcM2rzA
女(…危ないなぁ。こんなとこに…)

女「…」チラッ

女(あ、この支えから落ちたのか…)

「あーっ!!」

女「」ビクゥッ

「ちょっ…何て事すんだよっ!!」

女「え…」

「あんた壊しただろ!?」

女「え゙っ」

女(えっ…元々落ちてたのに…。でもちょっと蹴っちゃったし…)

「ちょっとー!!もー!どうしてくれんだよっ!」

女「ご、ごめんなさい…」

48: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/26(土) 17:32:09 ID:ovcM2rzA
「俺が何日もかけて作った力作を…っ」

男「…」スッ

男「…」グイッ

ドンッ

「!?」ガラガッシャーン

男「…」

女「男君…!?」

「な…何すっ…!」

グラグラグラ

ガシャーンッ

「ひぃっ!?」ピョンッ

女(上の看板が落ちてっ…!)

「えっ…何!?危なかっ…!下敷きになるとこだった!!」ガクブル

男「…」

「もっ、もしかして助けて…?でっ…でも突き飛ばす事ないだろー!?」

49: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/26(土) 17:54:16 ID:ovcM2rzA
男「…打ちつけあまいから、壊れたんだよ」

男「そっちのも」

「えっ…」チラッ

女「!」

「じゃあ、自然に…?で、でも俺しっかり作ったし…。そんな簡単に壊れるもんじゃ…」

男「…そお?」トンッ

ガラガラガッシャーンッ

「ギャーッ!!」ピョンッ

女「…!」

「何すんだよっー!!俺の力作がぁっ!」

男「…」

男「…」トコトコ

「ちっ、ちくしょお~!先生に言ってやるからなーっ!!」

男「…」トコトコ

女「お…男君…!」タタタッ

50: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/26(土) 18:12:36 ID:ovcM2rzA
女「お、怒ってるよ…?」

男「…」ピタッ

男「…あのくらいで壊れるなら」

男「当日、人が多い時に壊れたらあいつらがもっと大変な事になる」

女「!!」

「見た?突き飛ばしたぞ」ヒソヒソ

「目つきもこわいし…」ヒソヒソ

女「っ…」

女(……それならそう言わないと、男君が悪者みたいに思われちゃうのに…)

女「……」

男「…」トコトコ

女(…自分がどう思われるかは)

女(気にしないんだな…)

女(…すごいなー、やっぱり男君て…)

女(あたしなんか凄く凄く気にしちゃうのに…)

51: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/26(土) 18:56:32 ID:ovcM2rzA
女「……ふふっ」

男「…?」クルッ

男「…何笑ってんの?」

女「えっ、嘘っ!?笑ってた!?」カァッ

女(…でも、やっぱり)

女(あたしもこんな風に)

女(なりたいな…)

女「…ふふっ」

男「?」

52: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/26(土) 19:10:48 ID:ovcM2rzA
女(あぁ…そうか)

女(あたし)

女(男君の事が………)



女(…好き…)



ワイワイ

ガヤガヤ

女友「女が男を!?す…もがっ」

女「しーっ!しーっ!」

女友「もががっ」プハッ

女「し、知られたくないんだ…。気持ちを」

女友「…何でさ」

53: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/26(土) 19:23:43 ID:ovcM2rzA
女「あたしには…想いを伝える勇気もないし…」

女(話せるようになれたこの距離をなくすのが、怖い)

女友「…」

女「同じクラスってだけですごく幸せな事なんだなーって…」

女友「欲がないな~っ」プニプニ

女「いだた…」

女友「このやろ~」プニプニ

委員長「ちょっとあんた達!遊んでないで後夜祭の旗出来たのっ!?」

女「!」

女友「んげ…文化祭の実行委員長…」

女「大体は…」バサッ

委員長「なっ…何よこれ!?」

54: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/26(土) 19:45:44 ID:ovcM2rzA
女友「へ?何が?テーマ通り『肉食』って…」

委員長「はあぁぁぁ!?何言ってんのよ!!」

委員長「後夜祭のテーマは『告白』よ!!『告白』祭り!!生徒達が催しの力を借りて壇上で勇気を出して告白していくのっ!!」

女友「ええっ!?だって」

女「この指示書通りに…」ピラッ

委員長「これのどこが『肉食』に読めるってのよっ!!」カキカキ

委員長「ほらっ!ちゃんと『告白』って読めるじゃない!!」ピラッ

女「!」

委員長「だいたい!考えても見なさいよ!折角のロマンチックな後夜祭に何が悲しくてそんな肉々しいテーマをっ!!」

女「す…すみません。字が読みづらくて…」

委員長「何ですってぇ!?字が汚いって言うつもり!?自分で間違えといて図々しいっ」プルプル

女「そっ、そんなっ!ごめんなさいっ!」アワワッ

委員長「許さないわよっ!!」ゲキリンッ

57: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/27(日) 13:23:17 ID:dObHJ/sw
委員長「…そうね」ゼェハァ

委員長「罰として」

委員長「後夜祭のシミュレーションしてみなさいよ」フンッ

女「…へ…?」

委員長「」イラッ

委員長「当日、『こういう風に告白します~』って感じで」

委員長「壇上で皆の前で告白、今予行練習してみせて」

女(え……!)サアァァ

男「…!」

ザワザワ

委員長「そうね…相手役は、文化祭委員のあんたでいいわ」

委員「えっ、俺!?」

女友「はあぁっ!?バッカじゃないの!?」

委員長「あんたは黙ってなさいよっ!!」クワッ

58: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/27(日) 13:46:39 ID:dObHJ/sw
女「……っ」

委員「や~だなぁ~照れちゃうな~いひひおひひ」

委員長「ほらっ、早く!」

ザワザワ

女「…」カアァ

女(…何で、こんな大勢の前で…)

女「…」チラッ

男「…」

女「っ…」

女(男君もいるのに…)

女(…例え、フリでも)

女(好きでもない人に、告白なんて)

女(したくない)

59: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/27(日) 14:03:31 ID:dObHJ/sw
委員「いひひおひひ」

女(…でも、そう言ったらこの人にも失礼だし…)

委員「…!」ジッ

委員「つーか、お前……あっ!!」

委員「どこかで見たと思ったら!!」

女「…?」ピクッ

委員「お前、あれだろ!?俺オレ!!覚えてない!?」

女(…え?誰…だっけ…)

委員「幼稚園の時、一緒でさーっ!こいつ名前なんだっけ!?」

委員長「女、だけど?」

委員「そうそう!そんな名前!!」

女「…」

委員「そうだ!!その顔!!思い出した!!『赤面オバケ』だ!!」

女「!!」ドクンッ

60: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/27(日) 14:30:29 ID:dObHJ/sw
女「っ…」カアァ

委員「そう!その赤面顔!!」

ドクン

委員「こいつ、すぐ顔真っ赤になるからさーっ『赤面オバケー赤面オバケー』っつってからかわれて、いっつも泣いててよーっ!」

ドクン

ドクン

委員「つーか、お前!今でもその顔すんのかよーっ!!ぎゃはは!」

ドクン

委員「あーっ!スッキリした!この際だから高校でもこのまま『赤面オバケ』ってあだ名にしてさー」

ドクンッ

61: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/27(日) 14:46:47 ID:dObHJ/sw



男『あんた自身も、良い人じゃん』



ドクンッ

女(あたしも…)

女(男君みたいにっ…!)

委員「赤面オバケーっ、うおー!何かなつかしー!」

男「おい…」

女「…っ」ギュッ

女「止めてくださいっ!!!」

委員「」ビクッ

男「!!」

62: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/27(日) 15:05:29 ID:dObHJ/sw
女「あたしは『赤面オバケ』じゃありません!!『女』です!!」

女「そっ…それから!あたしは貴方の事が好きじゃないのでっ、ごめんなさい!!好きじゃない人に告白なんて出来ません!!」

委員「!?」

男「…」

ザワザワ

「ぷっ…」

女「!」

「赤面オバケじゃありませんって、真剣に…ぷぷっ」

「しっ」

「だって、顔真っ赤で言っても説得力無いし…」ゲラゲラ

「確かに赤面オバケだな…ぷぷ」

女「…!」カアァッ

委員「……っ」プルプル

委員「なっ、なんだよ!その言い方っ!何で俺がフラれたみたいになってんだよ!!俺だって別にお前の事なんかっ」

女「ごっ、ごめんなさっ…!」

63: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/27(日) 15:34:53 ID:dObHJ/sw
委員「ふざけんなっ!!」ドンッ

女「きゃっ…」グラッ…

女(…ぁ。あたし、やばいな……)フラッ

女友「女!?」

男「っ…!」ダッ

女(…緊張が)

女(…頂点を、超えた)

ガターンッ

キャー!!

オンナガタオレター!!

………
……


パチ

女「……」

女(……夢…?)

64: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/27(日) 15:53:28 ID:dObHJ/sw
女「…」ムクリ

女(保健室……)

女友「女っ!!気がついた!?」ガバッ

女「女友ちゃ…」

女友「吃驚したよー!もうーっ!」オーイオイ

ズキッ

女「い゙ったた」

女友「あっ、倒れた時腕打ったんだよっ」アタフタッ

女友「…でも、危なかったんだよ。男が支えてくれてね…」

女「!」

女友「そうじゃなかったら、頭から机に突っ込むとこで…」

女(男君が…)トクン

女(…どんな風に…支えてくれたんだろう…)

女(覚えてないの、もったいなかったな…)

女友「あ、そうだ!鞄取って来てあげる!」タタッ

65: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/27(日) 16:15:49 ID:dObHJ/sw
女友「すぐ戻って来るからねー」

女「うん。ありがとう、女友ちゃん」

女友「どういたしましてー」ガラッ


女友「!」

女友「わざわざ来たの?」

女友「うんうん、気ーついたよ。入って入って」


男「…」ガラッ

女「…!」

女(男君…)

66: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/27(日) 16:34:28 ID:dObHJ/sw
男「…」カタン

男「……大丈夫?」

女(何で…どうして)

女「…っ」トクン

女(わざわざ、来てくれたの…?)

男「…ごめん」

女「…え!?」

男「腕、ぶつけたんだよね…倒れた時に」

女「えぇっ!そんなっ!」アワワッ

女「あぁっ!それよりお礼言うの遅れてっ!!ありがとう!!男君が助けてくれたんだよね!?」

女「本当にありがっ…」

男「でも」

男「俺がもっと早く支えてたら、腕も打たなかった」

67: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/27(日) 16:47:46 ID:dObHJ/sw
男「…ごめんな」

女「っ…」キュゥ

女(…腕の痛みなんか、とんでいった)

女(腕なんかよりも)

女(…胸が、苦しい…)

男「…さっき」

男「『赤面オバケじゃありません』って…」

女「そっ」カァッ

女「それ!も…もーっ!自分でも何であんなバカな事言ったのかっ!笑われてたしっ」

女「ほんとっ、恥ずかっ…」

男「頑張ったじゃん」

女「…!」ドキ

男「スカッとしたよ」

68: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/27(日) 17:07:51 ID:dObHJ/sw
男「…俺もさ、『女』って呼んでいい?」

女「ぁ…」カアァ

男「丁度、何て呼ぼうか迷ってて」

女(…例え、それだけの理由でも)

女(あたしの事、想い浮かぶ時が)

女(少しでも…あるの…?)

男「…あれ、駄目?『女』って」

女「う、ううん!」

女(…男君に呼ばれる名前は、魔法みたい)

女(文化祭の…後夜祭のテーマ『告白』)

女(男君がいると、今までには無かった勇気が出る)

女(男君の…誰よりも一番近く、特別な位置)

女(…その場所が)

女(欲しい)

女「…」ギュッ

69: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/27(日) 17:36:08 ID:dObHJ/sw
文化祭当日

ワイワイ ガヤガヤ

女「」モグモグ

女友「」パクパク

女「案外、自由時間がないもんなんだねぇ…文化祭の係って」モグモグ

女友「んねー、雑用ばっか!」パクパク

女「屋台の味見係で食べられるのは嬉しいけど」モグモグ

女友「んまんま」バクバク

女「あ、こっちのたこ焼きもおいしい。食べてみなよ」ヒョイッ

女友「」パクッ

女友「ほんとだ。うんまい」モグモグ

女「…」パクパク

女(男君、今頃どこにいるんだろう…)

女「はぁ…」

女(会いたいなぁ……)

70: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/27(日) 17:54:20 ID:dObHJ/sw
男「何してんの?」ヒョコッ

男友「よっ」

女「!!」

女友「おっ!男と男友じゃん」

女(お…男君!!会えた!!)パアァァ

男「ふ、何そのカッコ」

女「あっ、さっきまでお化け屋敷の呼び込み係しててっ」

男友「ははっ、かわいーね。な、男」

男「うん」ジッ

女(わ…わあぁぁ!!お化け屋敷バンザイ!!)

男友「おいおい…お前が言うとそう聞こえねーよ。何で睨むんだ」

男「そお?」

女(あたしは…もう分かるもんね。今のは睨んだんじゃない)

女「へへ…」

81: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/29(火) 13:34:05 ID:uqW4EMzk
男「つーか、すげー食ってんね」

女友「着替える間もなく、次は屋台の味見係言われてさー。文化祭の実行委員長さんに」

男「これ、二人で全部?」

女友「女はこう見えて、あたしより食べるんだよ」

女「ゔっ、はは…」

男友「うまそー。俺らも食っていい?」

女友「おっ、助かるね。けっこーうまいよ」チラッ

女「!」

女「うん!」

男友「んじゃ、遠慮なく」カタン

男「ほんとにスゲー量…」

ワイワイ

女(わ…わわーっ、嬉しい。なんか…仲良しグループみたい…)

女(……ちょっと前までだったら、考えられない事だなぁ…)

82: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/29(火) 13:42:01 ID:uqW4EMzk
女(……男君、あたし…)

女(伝えたい事が、あるよ)

男「あ、それ半分食いたい。女の前にあるやつ」

女(『女』!!)カアァ

女友(『女』!?)ピクッ

女「うっ、うん!半分!ちょっ…ちょっと待ってねっ。これ中にフランクフルト入ってて!」グイグイ

男友「じゃー、俺はこのクレープにしよーっと」

女「はっ、半分にするの難しいっ!」グイグイ

男「あー、いーよ。持ってて」

女「え…持っ…?」ヒョイッ

男「…」パクッ

女「!?!?」カアァ

女友「!?」ボトッ

ベチャッ

男友「荒っぽいなぁ、男は……って、ああっ!俺の膝にっ!!」ベチョベチョ

83: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/29(火) 14:07:43 ID:uqW4EMzk
男「んまい」ペロリ

女「~っ!」キュウゥ

女「あっ、お、男君ついてるよっ。マヨネーズ!」

男「え、どこ?」ペタペタ

女「あっ、そっちじゃなくてっ」スッ

男「…!」

女「こっ……ち」

男「っ…」フイッ

女「!?!?」カアァーッ

女「ごっ、ごごごめっ…!!」ズササッ

男「いや…」

女「ああああ!!ちっ、ちがっ、違うのっ!!」

男「ふ、何が」

女「」カァァ

女(ああああたしっ!思わずっ、男君のくっくちっ、唇に手伸ばしたりしてっ…!)

84: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/29(火) 14:30:57 ID:uqW4EMzk
女(恥ずかしいっ…)

女「…」ドキドキ

女(…例え)

女(この距離をなくしても)

女(…伝えたい事が、ある)

………
……


女「ふ~…」カタトントン

女(やっと人段落…)

女「…」チラリ

女(…もう夕方だ)

女(実行委員長、人使い荒いなぁ…)

85: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/29(火) 14:43:18 ID:uqW4EMzk


男「…」


女「」ハッ

女(窓の向こうに男君発見!!)ペタッ


「あーっ、いたいた!男ーっ」タタタッ


女「!」


「もうすぐ後夜祭始まるから探してたんだよー!」

男「…」

「告白祭りの時、あたし言うからちゃんと壇上に上がってよね!!」


女「なぬっ」


「何人来ても絶対あたしを選んで!」


女(…皆、後夜祭の『告白』を意識してる)

86: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/29(火) 14:59:32 ID:uqW4EMzk


「ここだけの話ねー、他にも結構男狙ってるヤツいるんだわ。負けたくないから先にツバつけにきた」

男「つば…」

「あ、言っとくけど今先に返事言うのはルール違反だからねっ」


女(そんな中で、あたしは……)

女「」ズーン

女(じ、自信ないなぁ…)

女(大勢の前で…壇上で… ちゃんとうまく伝えられるんだろうか……)

女(そう言えば、何て言おう…)

女(断わられたら…その後、どうなるんだろう……)

女(………考えてみれば)

女(断らなきゃならない男君に取っても迷惑な事なのかもしれない…)

女「はあぁ……」

女(……不安)

87: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/29(火) 15:18:29 ID:uqW4EMzk
女(…分かってた気がしてたけど)

女(思ってたよりも、もっと)

女(想いを伝えるってすごく…)

女(勇気のいる事なんだ…)

女「…」

ガラッ

女「!」

委員長「…はぁっ、はぁっ…」

委員長「…ねぇ、さっき言い忘れてたんだけどっ…」



ワイワイ ガヤガヤ

女友「ねぇ!女見なかったっ!?」

生徒「しばらく見てないけど…」

88: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/29(火) 15:32:12 ID:uqW4EMzk
女友「待ち合わせ場所に来てなくてっ!携帯も繋がんないのっ」

生徒「えぇっ」

ピーガガッ

『えー、間もなく告白祭り始まりまーす』

ワーッ



女「っ…」チクチク


委員長『…ねぇ、言い忘れてたんだけどっ…』

委員長『これ、全部ほつれてたから繕っといてほしいのよね!』

委員長『これ全部!宜しくねっ』バササッ


女(な…何でこんなにっ…)チクチク

89: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/29(火) 15:47:16 ID:uqW4EMzk
チクチクチクチクチクチク…プスッ

女「いたっ…」

女(どうしようっ…!)

女「終わらなーいっ!!」

女「うぅっ…縫っても誰が見るって言うの…もう文化祭も終わるのにっ…」チクチク

女(女友ちゃんに連絡したいけど…携帯は充電切れてるし…)

女(告白祭り、17時からって…)チラッ

女「!」ドクンッ

女(もう…始まってるんだ…)

女「……」ギュッ

女(…あたしには…やっぱり、無理だったのかなぁ…)

女(このまま…何も変わらない)

女(いつもみたいにこのまま諦めて…時間が過ぎて、文化祭が終わって)

女(…あたしの知らないとこで、勇気を出して頑張った子が)

女(男君に、想いを伝えて…)

90: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/29(火) 16:07:38 ID:uqW4EMzk




男『あんた自身も、良い人じゃん』


男『…俺もさ、「女」って呼んで良い?』


男『頑張ったじゃん』



女(何もっ……)ジワァ


ガタンッ


ワーッ ワーッ

「ずっと前から好きでしたっ!」

「おっ、俺もです!」

ヒュー ヒュー

91: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/29(火) 16:21:12 ID:uqW4EMzk
女友「ねぇっ、男!女見なかったっ?」

女友「ずっと連絡とれなくてっ…!」

男「え……」

『次ー1年の男君、壇上へどうぞー』



タタッ

女(…このままじゃ)

女(ダメなんだ)

女「はぁっ…はぁっ…」タタタッ

女(男君に出会えて、勇気を貰ったの)

女(男君がいてくれたから、頑張ろうって思えた)

女(男君が、好き)

女(この気持ちだけは)

女(本当だって、自信を持って言えるから)

女「っ…」タタタッ

92: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/29(火) 16:47:28 ID:uqW4EMzk
バンッ

委員長「!」ビクッ

女「これっ、全部縫ったんで!!後は自分でお願いしますっ!!」バサッ

委員長「えっ」

女「っ」ダッ

委員長「…」

委員長「…最後の方、縫い方ざっつ…」



キャー キャー

男「…」

「あたしは、前から男の事いいなって思っててー」

93: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/29(火) 17:03:49 ID:uqW4EMzk


タタッ



女「待って下さいっ!!」



男「!!」

ザワッ

女(あたしもっ……)タッ

ガッ

女(つまずいたっ…!?)コケッ

男「!」ドカァッ

ドタタタタタ

女「っ…」

ドサッ

94: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/29(火) 17:15:14 ID:uqW4EMzk

男「…お、女?大丈…」

女「好きっ…!」ポタ

男「!!」

女「あたしっ…男君の事がすごくすごくっ…!好きなのっ…」ポロポロ

ザワザワ

「ちょっ、ちょっと!何今のーっ!」

「突然入って来て好きとか言ってるし!!」

女「っ…!」カアァッ

「誰さっ、今のっ」

「ほら、男と同じクラスの…」


男「…女」

男「こっち」グイッ

女「えっ…!」

タッタッタ


96: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/29(火) 17:34:46 ID:uqW4EMzk

タッタッタ


女「お、男君っ…!ちょっと待っ…」

男「…っ」グイッ

ギュッ

女「っ!?」ドキッ

男「…本当?さっきの」

女「っ…!」

女「ほっ、ほん、本当…っ!!すごい本当!本当の本気でっ…」

男「…っ」

男「…やばい、嬉しい」

女「え…」

女(うれ…)

女「えっ…」

男「…ずっと、女見てきて」

97: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/29(火) 17:43:59 ID:uqW4EMzk
男「なんかいつも一生懸命で、くるくる表情変わって」

男「気がついたら、目が離せなくなってた」

男「っ…」



男「…好きだよ」



女「っ…!!」ポロポロ


女「大好きっ……!」ギュッ


………
……

98: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/29(火) 18:12:03 ID:uqW4EMzk

女(…かくして、その後のあたしの居場所はと言うと)

…ガタンゴトン …ガタンゴトン

男「女ー、ここ立てよ。掴まれるから」

女「あ、ありがとうっ…」

男「日光まぶし…」ムッ

女「…あ、男君」スッ

女(男君の方へ手を伸ばせば……)

男「…!」

女「…」ミケンコシコシ

女「……っ」カァ

男「っ、照れるならすんな…」フイッ

女「あ、あははは…」

女(…いつでも)

女(触れてもいい、位置)

終わり

99: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/29(火) 18:14:04 ID:uqW4EMzk
以上です
読んで下さった皆さん、有難うございました

100: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/29(火) 22:20:11 ID:I7oUzOAI

まさに少女漫画だな